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脱原発のための6のパラメータその2・北欧の理念を持ったリアリズム

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脱原発は、もつれた糸玉のようなものです。
焦らずに、ひとつひとつ丁寧に解いていかねばなりません。一見迂遠ですが、結局それが一番の近道ではないでしょうか。

とりあえず私は、脱原発を考えるための6ツの「糸」を挙げました。(※1)その4番目にある「使用済み燃料の処分」について、ひとつのユニークな実例があるのをご紹介します。

それはフィンランドです。似たような形はスウェーデンもとっているので、いわば、「北欧方式」とでもいえるでしょうか。 

この両国は、広大な砂漠などがある大陸国家と違って、面積的には小国なのにもかかわらず使用済み核燃料(※2)の最終処分場を持っています。 

フィンランドはオンカロと呼ばれています。フィンランド語で「隠された場所」を意味するそうです。 

この地下埋却施設の地層はなんと18億年変動していないそうです。ちなみにわが国の活断層の認定基準は10万年ですからケタが違います。正直言って、活断層国家の人間には、大変にうらやましい。 

この安定した地層を500m掘って二重のキャスクに入れて保管する計画です。 

「オンカロ」は2020年に操業を始め、2100年代にいっぱいになる予定で、いっぱいになったらコンクリートで蓋をしてしまいます。

さて、フィンランドでは一部で誤解されているような単純な「原発推進国」ではありません。 

確かに原子力は29.6%で、わが国の福島事故以前とほぼ同じですが、決定的に違うのは、フィンランドがオンカロのような核廃棄物最終処分地を持っていることです。 

最終処分場のキャパシティに合わせて原発を建設する政策をとっています。 

つまりエネルギー需要という入り口から発想するのではなく、逆に核廃棄物の出口問題を解決してから新規建設計画を立てるという「出口からの発想」です。 

わが国のように原発を建設し始めた時に、最終処分場はなんとかなるさで始めたツケが今になって抜き差しならないことになった無責任ぶりとは大きく違います。 

フインランドは既存の4基に加えて、新たに3基の原発を作る予定ですが、このオンカロに核廃棄物を2100年代まで埋設し、その間に再生可能エネルギーを代替エネルギーとして使えるエネルギー源にする計画です。 

つまり、再生可能エネルギーが代替エネルギーで大きな地位を占めるようになるまでまでには、おそらく50年以上の時間が必要だという認識に立って、そこまではCO2排出が少ない原子力を使おうという現実主義的方針です

これは同じEU域内のドイツがラジカルな脱原発政策をとって、結果として重い財政負担や国民経済や生活への打撃を与えてしまったことを見ているのでしょう。

フィンランドの原子力の発電量は、最終処分場のキャパで決められて、それが許す範囲内で増設を容認していく考えです。 

つまり、フィンランドはこの最終処分場の容量に合わせて原発を作っているわけで、何のあてもないまま54基も作ってしまったわが国は、一体なんだったんだと天を仰ぎたい気分です。 

フィンランドは、今でも世論調査をすれば原発反対が賛成を上回るそうですが、この最終処分場の地層が安定しており、国民にそれを丁寧に説明してきているために大きな反対運動は起きなかったそうです。 

一方スウェーデンでは、エストハンマル市・フォルスマルクに最終処分地が作られました。(※3) 

これについては、国民に対して徹底した周知と教育がなされていて自由に見学が許されています。ドイツについては、長くなりそうですから、別稿とします。 

ところで、フィンラドやスウェーデンの北欧人が、原子力発電を維持し続ける理由はなんでしょうか。 

まず第1に、北欧人が原発のリスクより地球温暖化によるリスクが大きいと考えたからです。フィンランドやスウェーデンは寒帯に属する国で、気候変動が起きた場合大きな破局を迎える可能性があります。

また北極圏にあるために化石燃料の増大によるオゾン層破壊が、そのまま紫外線の増大とつながってしまうことを恐れています。 

新規原発3基を建設することによって国内のCO2の3分の1にあたる3000万トンを削減する計画です。そして2020年までに石炭火力発電所をゼロにする予定です。

我が国ては長きに渡ってバックエンド問題は一種のタブーでした。

いままで政府がどうしていたのかと言えば、一言で言えば、「処分地を探すふりをしていた」のです。 

認可法人「原子力環境整備機構」(NUMO)という組織が、最終処分地に適した場所を探すというふれこみで、なにか「やっているふり」をしていました。 

最終処分地はおろか調査候補地すらないことはわかりきった話で、ある財政難の小さな自治体が村長の独断で応募したところ、発覚して村を上げての大騒ぎになりました。 

ですから、このご大層な名前のナンジャラ機構とやらは、なにも仕事がないのです。しかし、このようなナンジャラ機構があるというだけで、経済産業省は、国会での言い訳が出来たというお粗末の一席です。

つまり我が国では、最終処分を決めないまま、核燃料サイクルを中心に考えていたわけですが、六ヶ所村再処理施設で、活断層が認定される事態になった場合、根底からこれが崩れます。 

これに対して日本学術会議は、いままでの政府が固執してきた地層埋却処分を、「到底受け入れられないものをにしがみついて時間を無駄にした」と批判しました。

その上で、我が国で北欧のような億年単位で安定した地層を探すのは困難であり、当面は最終処分という迷妄にしがみついているのではなく、現実を直視して数十年から数百年ていどの「暫定保管」というモラトリアム処分に切り換えることを提案しました。

また日本学術会議は、このモラトリアム期間に新たな技術進歩があったり、社会的なコンセンサスが取れた場合、いつでもそれを取り出すことができる方式を提案しました。

この暫定保管の間に、処分地やそれに見合う新たな処分の技術進歩を期待しているわけです。

そしてもう一点きわめて重要な提言もしています。それは際限なく核のゴミが出続けるのではなく、この暫定保管できる許容量に合わせた核のゴミの総排出量を定め、それに合わせて原発発電量を決めるべきであるとしたのです。

これは、北欧方式の入口=発電需要からだけから考えるのではなく、出口=暫定保管量から原子力の総発電量を決めていくという考え方です。

ようやく我が国でも、このような建設的な「核のゴミ」・使用済み核燃料の最終処分についての提案がなされるようになってきたようです。

■写真 今日は力いっぱい寒かったですね。すさまじい筑波おろしの強風の中で霞ヶ浦を一枚撮ってきました。あ~寒かった。

■追記 安倍内閣が成立しました。一方、「未来の党」の嘉田氏が小沢氏たちとの「分党」を発表しました。事実上これで解党、雲散霧消です。ここまでとはさすがに私も思いませんでした。これは脱原発派の敗北と捉えるべきです。
(欄外最下段に「未来の党」の新聞切り抜きを入れました。)

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■※1 私が考える脱原発の6つのパラメータ
➊環境問題
❷原発をなくした場合のエネルギーの安定供給源
❸代替エネルギーの普及・経済効果とその財源

❹使用済み核燃料の処分
❺国民生活・国民経済への影響
❻原子力規制機関のあり方

■※2 高レベル放射性廃棄物 原発の使用済み核燃料からウランとプルトニウムを分離する再処理を行う際に残る廃液。ガラスで固めた直後は表面温度200度以上、放射線量は浴びると20秒で死ぬ毎時1500シーベルトに達し、天然ウランと同程度の線量に下がるまで数万年かかる。09年時点で1692本のガラス固化体が青森県六ケ所村や茨城県東海村で保管されている。政府は福島第1原発事故前には、20年末に約4万本に増えると見込んでいた。

■※3 ヨーロッパの使用済み核燃料処分地
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=05-01-03-17

原子力委:高レベル放射性廃棄物処分、暫定保管へ転換提言
毎日新聞 2012年11月27日

 原発から出る高レベル放射性廃棄物の処分方法で、内閣府原子力委員会(近藤駿介委員長)は27日、地下深くに半永久的に埋める最終処分(地層処分)計画を見直し、将来、廃棄物を地下から取り出せる「暫定保管」へ転換を図るよう政府に求める提言案を示した。

 現行計画は、原発の使用済み核燃料を再処理した後に残る高レベル放射性廃棄物をガラスで固め、30〜50年間地上施設で冷ました後、金属容器に入れて地下300メートル以深の地層に数万年間埋める。

 提言案は、従来の計画を「最新の科学的知見の反映や国民との認識共有の取り組みが不足していた」と分析。その上で、数万年後の地層の安定性を保証する難しさや、将来より安定した処分地や処分方法が見つかる可能性を考慮し、廃棄物を再び取り出して処分計画を後戻りさせることも可能にする暫定保管について「必要性と意義を十分に評価すべきだ」とした。現行でも、坑道をふさぐまでの数十年間は廃棄物の再回収・移送が可能だが、計画に明記されていなかった。

 また「国民との間で、原発で発生する高レベル放射性廃棄物について認識を共有する努力が不十分だった」として、原発の「40年運転制限」「新増設なし」を盛り込んだ政府の革新的エネルギー・環境戦略を踏まえた場合に発生する高レベル放射性廃棄物の総量や処分面積を試算して明示するよう求めた。ただし、廃棄物の発生量をあらかじめ決めて原発や再処理工場の稼働を制限する総量規制には踏み込まなかった。

 地層処分は、原子力発電環境整備機構(NUMO)が02年から処分場の受け入れ自治体を公募したが、06年の高知県東洋町(後に取り下げ)以外に応募がなく文献調査すら未着手。世界でも地層処分を始めた国はない。日本学術会議は今年9月、暫定保管や総量管理を導入するよう原子力委に提言していた。 

追記 日本未来の党分裂、最後は嘉田切り 結党わずか1ヵ月
京都新聞 12月28日 

結党からわずか1カ月で分裂することになった日本未来の党。代表を務めた嘉田由紀子滋賀県知事側、「国民の生活が第一」元代表の小沢一郎氏側ともに、相手の実像を読み誤ったことが、分裂の背景にあった。組織、体質が違うと指摘されていた双方が理解し合えないまま、最後は嘉田氏が党を追い出される形となった。 

 分裂が不可避となってから、一夜明けた27日。嘉田氏は知事の公務で東京の議員会館を訪れ、地元選出の国会議員を回った。同じ階に小沢氏の部屋があることを記者団に指摘されると「仲が悪い訳ではなく、家風が違っただけ」と強弁した。 

 嘉田氏と小沢氏サイドの対立が深刻化したのは、衆院選大敗後の新役員人事だった。嘉田知事が国政政党代表との兼職を県議会に批判され、知事職に軸足を置く姿勢を示すとともに、首相指名選挙に臨むため、共同代表を選ぶ必要があった。 

 嘉田知事は20日夜に京都市内で小沢氏と会談し、社民党から合流した阿部知子衆院議員を共同代表にする案を提示した。関係者によると、「周辺議員に諮る」と答えた小沢氏から結果を聞くことはなく、逆に周辺議員から「共同代表に小沢氏を」と求められた。 

 折り合えずに迎えた24日夜の両院議員総会では、嘉田知事の阿部共同代表案は否決され、小沢氏に共同代表就任を依頼する案が賛成多数で採択された。 

 「小沢氏を使いこなす」と豪語していた嘉田知事にとっては、表に出て来ない「小沢手法」の壁は想定を超えていた。結党までに小沢氏と計3回会談した際は「世間が抱いているようなイメージではなく、話せる人。原発や女性子ども問題にも熱心だった」 

 小沢氏側にも誤算があった。嘉田知事を前面にイメージ戦略を展開し、党の実権は握っておこうとしたが、小沢氏に近い議員は「嘉田知事がこれほど頑固とは思わなかった」という。新役員人事のほか、衆院選公示日の比例名簿騒動でも「こちらの提案は聞き入れられなかった。あの時点で党は終わっていた」と明かす。 

 「琵琶湖を若狭湾の原発から守る危機感を伝えるには、知事では限界がある」と国政にも進出した嘉田知事だが、党内の分裂協議でも、当初考えていた分党ではなく、嘉田知事側が党を追い出される形の「分派」となった。国政に声を届けることを目指す嘉田知事の「挑戦」は困難さを増している。

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