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「脱原発優等生ドイツの憂鬱な現実」その2 毎冬ごと繰り返される停電の恐怖

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「ニューズウィーク2012年10月31日号」の元ベルリン支局長シュテファン・タイル氏のドイツレポートを続けます。前回のまとめは欄外にあります。 

さて、このように見てくるとメルケル政権は二つの間違いをしていることに改めて気づかされます。 

ひとつは17基の原発のうち半分にあたる8基を即時停止にすることにより、電力供給の不安定を招いてしまったことです。 

そして二つ目にドイツは、原発に替わる代替エネルギーとして再生可能エネルギーを見込んでしまい、それに23兆円もの過剰な補助金を投入してしまったことです。 

その再生可能エネルギーの主力と目されたのは太陽光発電でした。ここに補助金の半額、実に葯12兆円が投じられ、それが回り回って国民の電気料金に上乗せされることになりました。 

飯田哲也氏などの脱原発派(の一部)が、ドイツと同じ政策を提言されていますが、この人たちはドイツの実態を見てしゃべっているのかいつも疑問に思っているところです。 

それはさておき、ドイツは再生可能エネルギーへの過度な肩入れにより電力供給の不安定を招いたとニューズウィーク誌は報じます。 

原子力や火力と違って風や太陽は天候頼みなために、発電への貢献度がゼロの時も20%の時もあるからです。 

そのためにいつも十分な電力を供給できないことに備えて、電力会社は従来型のバックアップ発電所をスタンバイさせておかねばなりません。

幸い、ヨーロッパは国際送電網を持っていますから不足した場合はここからの買電に頼ることになります。 

私たち島国に住む日本人には感覚的についていかないのですが、ヨーロッパでは電力は売り買いできる貿易商品なのです。 

その結果、フランスやチェコからの輸入電力が増えて、ドイツへの電気輸出をあてこんで原発を新設するという笑い話のようなことが起きました。

ドイツは脱原発まで電力輸出国でした。ドイツの産業界も、国民も自分の国が停電するなどということは考えてもいませんでした。

今はまったく違ってきています。2012年2月の厳冬期に、ドイツでは暖房機需要で大規模停電を引き起こすところでした。

それを回避できたのは、政府がハンブルクの鉄鋼所の操業を停止させたことと、急遽旧式な石炭発電所を動かしたからです。

フリッツ・バーレンホルト(再生可能エネルギー会社RWEイノジーCEO)はこう言います。

再生可能エネルギーのような供給に不安定な電力への依存度を高めれば、問題は大きくなる一方だ。電力を貯蔵できれば問題は解決するかもしれないが、電磁点では大量の需要に対応できる蓄電技術は実用化までほど遠く、コスト的にも論外だ。」

バックアップ用の発電所を、いつも再生可能エネルギー発電所につけて、動かしたり、止めたりしているのは非効率極まりありません。

電力会社にとってはコストがふくらみ、政府は冬の度に薄氷を踏むような思いで電気をやり繰りせねばなりません。

こうして再生可能エネルギーに投資する魅力はますます薄れっていったのです。

■関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-19d4.html

■写真 北浦の朝の湖畔。私とは思えない上品な写真です(笑)。

 

■謝辞 本稿は「ニューズ・ウィーク2012年10月31日号」を研究のために参照させて頂きました。有り難うございました。なお、本記事は、要約の性格上、本文ままではないことをお断りします。

 

        ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 

前回のまとめ
・ドイツは福島第1原発事故により、脱原発政策を選択し(正確には二度目)、全17基中8基を停止し、22年までにすべての原発を停止することを決定した。
 

・その結果、社会的な打撃がドイツ社会に襲いかかった。最大のものは電気料金の値上がり。  

・一般所帯で電気料金が年間225万ユーロ(2万6550円)上昇し、80万所帯が滞納で電気を切られる危機に瀕している「燃料貧困層」を生み出した。  

・産業界では、電気料金の値上がりで受けた損害は葯340億ユーロ(約4兆120億円)に達し、停電などによる生産工程の混乱などと重なって、企業が生産施設を外国に移転することを検討し始めた。  

・脱原発政策の一環として再生可能エネルギーに全量固定価格買い取り制度(FIT)が持ち込まれ2000億ユーロ(23兆6000億円)が補助金として投入され、その半分は効率が悪い太陽光発電だった。

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

http://www.renewable-ei.org/column_g/column_20150724.php
電気代より石油価格高騰のガソリン代が家計を最も圧迫してて
自動車は通勤に必須なのでガソリンは節約出来ないので
止むを得ず電気料金を滞納し電気を切られるというオチ
要はガソリンのせいで貧困なのに脱原発に責任転嫁されてる
http://www.renewable-ei.org/column_g/column_20150902.php
再生可能エネルギーが増えるほど停電が減ってますね
http://www.renewable-ei.org/column/column_20141120.php
石炭火力も原発も両方停止してても電気は足りてて、
電気料金が高くてドイツを去った企業は発見できない

投稿: テスト | 2016年11月14日 (月) 23時28分

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