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2013年1月24日 (木)

原子力規制委員会の安全基準骨子が出る

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原子力規制委員会の安全基準の細部が急速に詰まってきているようです。
(欄外資料NHKニュース参照)
 

●1月22日の骨子案要旨 

大規模な地震を想定
・地震の想定幅
活断層を旧来「12万年前から13万年前以降に活動した」としてきた年代から、「40万年前以降」に広げて評価する。
 

津波は最大規模を想定
・従来は既定自体存在していないものを、「最大規模の津波を想定」する。
 

③以上に備える耐震措置、防潮堤、重要部分の防水対策 

事故に際しての避難基準
・直ちに避難する基準・・・放射線量が1時間当たり500マイクロシーベルト(IAEA=国際原子力機関の1000マイクロシーベルトより厳しい値)
 

・1週間以内の避難を求める基準・・・1時間当たり20マイクロシーベルト(国際基準の100マイクロシーベルトより厳しい値)

事故を最小限に抑える施設の安全基準
・放射性物質の放出を抑えるフィルター・ベントの設置
・原子炉建屋に接近できなくなった場合の離れた「第2制御室」
・同じく緊急用注水施設

以上の骨子に対して、「これらの対策の中には、大規模な改良工事が必要になるものもありますが、どの対策を優先するのかや、設置までに猶予期間を認めるのか」(NHKニュース)などで、電力会社と意見が別れています。

たとえば、新基準では、規制委員会は航空機の激突に耐える建屋を要求しています。これは別に新奇なものではなく、フランスなどでは現実の基準として適用されています。

我が国はフランスと並ぶ原子力技術の先進国でありながら、万が一の備えは薄かったのです。

「事故は起きるもの」として対処するフランスと、「事故はありえない」として無事故神話にとらわれていた我が国。

やっと世界レベルの安全基準に近づいたのは、素直に評価していいのではないでしょうか。

というわけで、骨子そのものは妥当だと思います。しかし、現実には現存の原子炉は旧基準で出来ているわけです。

たとえば活断層の定義はこのように変化してきています。
・1978年にできた最初の耐震審査指針・・・過去5万年以内に活動した断層と定義
・2006年指針                ・・・「後期更新世以降の活動が否定できないもの                ・過去12~3万年以内」と定義
・同指針                    ・・・原子炉建屋などの重要施設を活断層の上に建ててはいけないと明記

ここで82年に設置許可が下りた敦賀2号機は、旧指針の「5万年以内」にもとづいて設計されています。

しかし今回規制委員会が「活断層」と定義したのは「10万年前ぐらい」のものですから、定義の変更があったことになります。

電力会社としては、「隠していたわけではない。定義が知らないうちに倍に伸びたのだ」という反論が可能なわけです。

超法規をしてしまったのは、法的に言えば規制委員会のほうであるのは事実だからです。

法的には「事後法による遡及適用」ということになり適法性が問われることになります。電力会社が訴訟を起こす可能性も否定できません。

そしてこの骨子はそのまた4倍の「40万年以内」ですから、相当多数の原発がこれに引っかかることになります。おそらくは電力会社の中には、徹底抗戦してくる会社も現れるでしょう。

実は活断層の地層学での定義には幅があるようです。ある学者が、「そんな結論は科学的ではない」と言えば、一方から「白を黒というのか」と返ってきます。大飯の調査のように、学者同士でマイクを奪い合うということになります。

このような場合どのように考えるべきなのでしょうか。私は原子力に関しては、最大限危機を想定するべきだと思います。グレイなら黒と考えて備えたほうがいいのです。

地震が皆無に近いフランスでさえ、航空機の墜落に耐える基準を持っているのに、世界に冠たる災害大国の我が国が無事故神話ではおかしいではないですか。

その意味でも、今回の骨子は地震、津波に対して最大限危機を想定していて評価できます。

さて電力会社に申し上げたい。法的争いに走ってもなんの得もありません。自民党に泣きつくのも無駄です。

徒に裁判で不毛な時間を費やし、その間再稼働も安全審査すらもストップしてしまうことになるのですから、維持費だけで巨額なものになります。

また自民党も最低でも7月末の参院選までは電力会社の力にはなってくれませんよ。

奇しくも同じ7月からこの新基準が施行されるのですが、それ以前に与党の政治的影響力を行使せねばならないのですから、自民党としてもうかつに動くわけにはいきません。

自民党が再稼働を応援するとしても、それは7月参院選の後の話。その時はもう新基準は出来てしまっています。

なにより、いったんこのような規制委員会の新基準ができた以上、今後、我が国で「これ以下」の基準に切り下がる可能性はゼロなのです。

そうである以上、電力会社にとっても、現実的に稼働可能か否かを冷徹に判断して、可能性の薄いものは速やかに廃炉にして、天然ガス発電所に転換したほうがかえって経営上も損害を低く抑えられるのではないでしょうか。

電力会社としては、「どの程度の対処で、とりあえずの再稼働が可能なのか」を、規制委員会と揉み合いながら、次の発電手段を真剣に考えるのが現実的ではないでしょうか。

一方国民としては、なにをしたらいいのでしょうか?決まっています。規制委員会を応援することです。

「田中委員長は原子力村だ」、などと馬鹿なことを言っていないで、応援することで、おかしな政治的妥協をさせないことです。

「原発ゼロ」までの十数年の期間、誰が、どのような基準で、いかにして安全を確保していくのか、脱原発派も真剣に考えるべき時期です。

「再稼働反対」の一点張りでは、なにも言ったことにはならないのです。

■関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-4.html
        http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post.html
      

■写真 霞ヶ浦の朝日に輝く漁港

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 

■資料1 原発の地震津波新基準骨子案
NHK1月22日
 

おととし3月の原発事故を教訓に、大規模な地震や津波に備える原発の新たな安全基準の骨子案が国の原子力規制委員会の専門家会議で示され、考慮する活断層の年代を広げることや、津波は発生の可能性がある最大規模を想定することなどが盛り込まれました。 

原子力規制委員会は、原発事故の教訓を踏まえて、電力会社に義務づける新たな安全基準を作る計画で、21日に骨子案が示された深刻な事故などに備えたものとは別に、大規模な地震や津波に備えた安全基準を、専門家の会議で検討しています。 

22日の会議で示された骨子案には、耐震性を評価するうえで考慮する活断層について、これまでの「12万年前から13万年前以降に活動した」としてきた年代を、「40万年前以降」に広げて評価することや、原子炉の近くを通る活断層や地下の構造を詳しく分析することで、施設への影響を調べることが盛り込まれました。 

また、これまで国の基準がなかった津波は、地震と同様に、発生する可能性がある最大の規模を原発ごとに想定し、防潮堤の整備をはじめ重要な機器がある建物に水が入らないようにする対策、それに浸水した場合の影響を軽減する対策を求めることにしています。 

地震と津波の安全基準の骨子案は今月中に正式に取りまとめられ、深刻な事故などに備えた安全基準とともに、ことし7月までに法律で義務づけられる予定で、規制委員会は新たな基準に基づいて原発の運転再開の審査を行うことにしています。

■資料2 原発“避難”は国際基準より厳格に
NHK1月21日
19時21分
動画あり

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130121/k10014952731000.html
 

国の原子力規制委員会の専門家会議は、原発事故の際、実際に測った放射線量を基に直ちに避難する基準について、国際基準より厳しい、1時間当たり500マイクロシーベルトとすることを最終的にまとめました。 

原発事故の避難を巡って、原子力規制委員会の専門家会議は、おととしの福島第一原発の事故を教訓に、実際に測った放射線量を基に、直ちに避難するための新たな基準を検討してきました。 

21日の会合では、事務局側から原発の半径5キロより外の範囲では、直ちに避難する基準として、放射線量が1時間当たり500マイクロシーベルトと、IAEA=国際原子力機関の1000マイクロシーベルトより厳しい値に達した地域としたほか、1週間以内の避難を求める基準として、1時間当たり20マイクロシーベルトと、国際基準の100マイクロシーベルトより厳しい値に達した地域という案を改めて示しました。 

これらの基準は、12月にいったん示されたものの、専門家から「科学的根拠が薄い」と指摘されてやり直しとなり、事務局側は21日の会合で、福島第一原発の事故では原発から5キロの地点で、事故の4日後に1時間当たり600マイクロシーベルト余りを観測したことを根拠としたと説明しました。 

これに対し、専門家からは妥当とする意見が相次ぎ、専門家会議は21日に示された基準を最終的にまとめました。 

新たな基準は、近くまとまる国の防災指針に盛り込まれる見通しです。 

■資料3 原発の新安全基準 骨子案を提示
NHK1月21日
12時23分
動画あり

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130121/k10014939211000.html
 

東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえた原発の新たな安全基準の骨子案が示され、放射性物質の大量放出を防ぐための設備や、建屋に近づけなくなった場合でも、離れた場所から原子炉に注水できる施設の設置などが盛り込まれました。 

対策の中には大規模な工事が必要になるものもあり、ことし7月以降に実施される運転再開の審査をする段階で、どの対策の完了を求めるのかが今後の焦点となります。 

原子力規制委員会は、福島第一原発で起きたような深刻な事故を防ぐための対策を電力会社に法律で義務づけることにしていて、21日に開かれた専門家会議に、これまでの議論を踏まえた新たな安全基準の骨子案を示しました。 

それによりますと、福島の事故の際に格納容器の圧力を下げる「ベント」が思うようにできずに放射性物質の大量放出につながったことから、放射性物質の放出を抑えながら容器内の圧力を下げる「フィルターベント」と呼ばれる設備の設置を求めるとしています。 

また、航空機の落下などによって建屋が大規模に壊れた場合でも原子炉に注水するための設備や、原子炉の状態を監視できる「第二制御室」を建屋から離れた場所に設けることなどが盛り込まれました。 

これらの対策の中には、大規模な改良工事が必要になるものもありますが、どの対策を優先するのかや、設置までに猶予期間を認めるのかなどの整理については、具体的な議論は行われていません。 

骨子案は今月中に取りまとめられ、国民から意見を聞いたうえで、ことし7月までに基準を決めることになりますが、新たな安全基準は7月以降に実施される原発の運転再開の審査にも適用されることから、審査の段階で、どの対策の完了を求めるのかが今後の焦点となります。 

■資料4 原発新安全基準 電力側から異論
NHK1月18日 23時7分
 

原子力規制委員会は、福島第一原発で起きたような深刻な事故への対策を電力会社に義務づけることにしていて、これまでの議論では、放射性物質の大量放出を防ぐためのフィルターベントと呼ばれる安全設備の設置や、非常用の冷却装置がすべて機能を失っても離れた場所から注水できる施設の整備などを求める方向で検討を進めています。 

これについて、規制委員会は、規制される側の意見を聞く必要があるとして、18日、専門家チームの会合に初めて関西電力や中部電力などを呼び意見や要望を聞きました。 

この中で、電力側は、安全性の向上のためにすぐに必要な対策については新たな基準の決定を待たずに対応するなどと述べました。

その一方で、検討中の基準については、例えば、規制委員会がフィルターベントの設備を2系統設置する必要があるという方針を示しているのに対して、「配管が長くなると地震の影響で破損するリスクが高まる」とか「1系統でも十分信頼性を確保できる」と述べるなど、意見が異なる場面が多く見られました。 

これに対して、規制委員会側は「原子炉建屋への航空機の落下やテロを想定した場合、建屋から離れた場所か、頑丈な構造にすることが必要で予備のための系統も必要だ」などと説明しました。
新たな安全基準は、原発の運転再開の判断の前提にもなるもので、規制委員会では、18日の議論なども踏まえて、来週、骨子案を示してさらに議論し、ことし7月までに法律で義務づける方針です。

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コメント

IAEA基準より厳しいことや、40万年の根拠は何だ?
と、ゴネる電力会社が出てきそうですね。
ともあれ政府も「再稼働は規制委員会の基準に従う」と言ってきていましたから、これは大きな1歩だと思います。

山形さん。まぁそのとおりですが、安全基準などというものは、厳密に科学的根拠があるわけではなく、安全と思われる数値を倍にしてとか、時には10倍にして安全に冗長性を持たせるので、規制委員会の考え方でいいのではないかと思います。
各国の安全基準などはその国独自の状況で決めていい性格のものですから。

異論ありません。

かつてのYS-11開発時のように(やり過ぎたけど、おかけで長く使われた)、「少しでも心配があるなら徹底的に安全側に振るべき」
原発のような一度事が起きたら、取り返すのにどれだけかかるのか分からないような施設ならなおさらです。

私が危惧するのは、政治の裏側や裁判等でひっくり返したり骨抜きにされないか?です。

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