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2013年2月 4日 (月)

中国の大気汚染 WHO基準値の20倍、広さは日本の国土の3倍に拡がる

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中国の環境汚染が、史上空前の規模になっています。
(資料3・4・5・6参照)

下の衛星写真は、NASAが撮ったものですが、画面中央右の白いスモッグ帯に小さな白字でBeijingとあるのが北京です。スモッグの海底に完全に沈んでいるのが分かります。

Photo_6
「環境省によると、10日夜から北京市を中心に中国東部で大気汚染が発生、14日まで主要都市で汚染が確認された。同市内の濃度は多い時には大気1立方メートルあたり約500マイクロ・グラムで日本国内の基準(1日平均35マイクロ・グラム以下)の十数倍にあたる。」(読売新聞1月30日) 

「専門家によると、霧には多くの有害物質のほか病原菌も付着。気管支炎やのどの炎症、結膜炎などのほか、お年寄りや疾患を抱えた人だと高血圧や脳疾患を誘発する危険があると指摘した。」(ロイター) 

私も何回か中国に行きましたが、北京に入るとまず気づかされるのは、空気の妙な「味」です。 

コークスを焼くような匂いに、排気ガスを加えたような臭いとでもいうのでしょうか。これが硫酸塩エアロゾルの「味」です。 (※エアロゾル・大気中浮遊物質)

そして晴れているのにもやがかかったようになっているのですから、実に奇妙な感じでした。自慢ではありませんが、高度成長期のスモッグの下で育った私にも、あそこまですごいものは経験したことがありません。

下の中国の写真が撮影されたのは夕暮れではなく昼間ですが、自動車の姿が霞んでしまっています。特派員は十数メートル先も見えないと書いています。(写真2枚 共同)

Photo_2

現在、この有害ガスの「濃霧」は、北は長春、瀋陽、珠江デルタ、東は済南、西は西安まで、中国の広域に広がっています。 

北京の米国大使館の発表によれば、肺がんやぜんそくを引き起こす微小粒子物質の世界保健機関(WHO)の基準値20倍のPM2.5に達することが分かりました。 

この汚染地域は、中国の7分の1に相当する130万平方キロ日本の3倍という途方もない面積に達します。大げさな表現ではなく、まさに空前絶後の汚染規模だと言えます。 

Photo                      

中国各紙によると、14日、全国67都市が汚染された「濃霧」に覆われ、北京市は58の企業の操業を止め、41の企業については汚染物質の流出を30%削減するよう指示しました。

公務車両の稼働も30%減らし、病院には急性の喘息や気管支炎を起こした子供を抱えた母親が殺到しました。

この「濃霧」の正体は、硫酸塩エアロゾルですが、主成分の酸化硫黄は、硫黄を含む質の悪い石炭などの燃焼によって発生します。

気体の二酸化硫黄は、眼と気道と肺に障害を与え、重度の場合は肺ガンの原因にもなります。

特に抵抗力の弱い乳児や子供には強烈な刺激で呼吸器系を蝕みます。

この発生源は、中国のエネルギー源が石炭に81%も依存していることによります。しかもこの石炭は、国内産の硫黄分を多く含んだ低品位炭です。

中国は世界最大の石炭生産国(2011年度)であり、同年の石炭 生産量は35億トンを越えました。これは世界総生産量の46%あたり、輸入量も世界一ですから世界総消費量のほぼ半分は中国が消費していることになります。

また中国の工場や火力発電所は、甘い環境基準の上に排ガス対策装置が不十分です。我が国ならば稼働すら許可されない施設ばかりです。

共産党機関紙・人民日報ですら、「不純物を多く含む石炭を燃やしている。この時に煙を浄化する装置の稼働率が低い。この煙には毒性がある」と書いているほどです。

中国では、障害児の出生率が2001年以来40%も上昇しています。明らかに開放改革路線による急激な工業化が背景にあるのは明らかです。

汚染はあらゆるものに拡がっており、大気汚染、水質汚染、食物汚染などに市民は取り囲まれています。

それが原因で、1年間に出生する2千万人の乳児のうち、百万人もが何らかの先天性障害児だと言われています。そしてそのうち、3分の1は生まれてすぐに死亡してしまいます。

WHOの統計(WHO, World Health Statistics 2012)によれば、中国の新生児・乳児死亡率は、1000人あたり11人です。ちなみに我が国は1人です。http://memorva.jp/ranking/unfpa/who_2012_neonatal_infant_mortality_rate.php

中国政府は、出生前診断で障害児と判明すれば、中絶するように命令しています。この優生政策のために、出生前に葬られてしまった胎児の数はWHOの統計には現れません。

なりふりかまわぬ経済成長至上主義こそが、中国の国是です。人権、環境などあらゆるものを切り捨ててそれに邁進してきました。

政府批判は許さない、集会結社言論の自由などもってのほか、普通選挙はしたことがない、政府の腐敗、貧富の格差は天文学的、そして工業排水で河川がどす黒く染まろうと、スモッグに街が沈もうと、そのために赤子が大勢死のうと、銭さえ儲かっていれば文句はないのだろう、と傲然と言ってのけたのが中国政府でした。

そしてそれを放置してきたツケが今になって回ってきたわけです。Google中国汚染マップを見るとその凄まじい環境汚染に背筋が冷たくなります。
http://maps.google.co.jp/maps/ms?ie=UTF8&oe=UTF8&msa=0&msid=117240148292975184990.0004484bc61e243e4e6b8

そしてこの銭ゲバのツケが回ってきた時には、世界史上でもっとも大規模かつ深刻に環境汚染が進行して、住むことすらできない土地になりつつあるというわけです。 

「このはね返りを回避するチャンスはあった」と、中国国家環保局(環保部の前身)の初代局長・曲格平氏はこう述べます。 

「中国の今の深刻な環境汚染はこの40年間、すべてを犠牲にし、経済発展のみを追及してきた結果だと言い切り、先進国の教訓や、1987年にはすでに存在した持続可能な発展の概念を無視したツケだ。問題の根本は、中国は「人治」社会で、政策決定者の権利はいかなる制約も受けないことにある。」
(香港 サウスチャイナ・モーニング・ポスト)
 

北京市長代行は2020年までに解決すると言っていますが、この83歳の初代環境局長の言う通り、巨大独裁国家が構造的に抱え込んだ汚染構造は、政体が変わらない限り解決することは不可能でしょう。 

環境汚染と政治-社会の汚染構造とが一体である以上、その解決は公害除去装置をつければいい、操業を減らせばいいという対処療法では済まないのです。

中国の環境保護活動家の戴晴氏が言うとおり、「中国社会に暴動が起きるとすれば、それは貧富の格差や腐敗によるものではなく、環境によるもの」になるかもしれません。

一方、我が国に対する影響は既に近畿地方で現れており、国立環境研究所の大気汚染予測システムでは1月28日午後以降、大陸から九州地方に汚染物質が流れ込んでいることが観測されています。(資料1参照) 

「30日夜から31日早朝には、大阪府や奈良県などで微小粒子状物質「PM2.5」が、環境基準(1立方メートル当たり1日平均値35マイクログラム以下)を超すレベルになったことが示された。30日午後6時の地上観測点の実測速報値も阪神地区などで基準を超え、予測結果をほぼ裏付けた。」
(毎日新聞1月31日 欄外参照)

環境省の観測データをみると(※基準値35マイクログラム)
・大阪大正区   ・・・63マイクログラム
・堺市東区     ・・・60マイクログラム
・神戸市中央区  ・・・41マイクログラム

「富山県・立山で約10年前から、積雪や雨、霧の成分を調査している富山県立大の渡辺幸一准教授は、汚染物質粒子のデータと気象データをあわせて判定することで、有害物質が中国から運ばれてきたことを確認。「特に黄海沿岸の工業地帯から運ばれてきた可能性は高い。シミュレーションでは九州、山陰の日本海側を中心に、近畿から太平洋側にも及んでいる」と話す。」
(産経新聞2月2日)

この中国発「毒ガス」は、この春には黄砂に乗って大量に我が国に吹いてきます。(資料2、9参照)http://www-cfors.nies.go.jp/~cfors/index-j.html        

日本人は、海を隔てて世界史上まれに見る汚染大国と接していることを自覚したほうがいいようです。

この問題は次回も続けます。

■写真 神郡(かんごおり)筑波山神社の参道に前に拡がる古い家並みの街です。ここを撮りに行くと時間が古い昔に遡っていきます。 

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1  国立環境研究所・大気汚染予測システムによる31日午前0時時点のシミュレーション。汚染濃度が高い黄色とオレンジ色、赤色がでているのが分かる。http://envgis5.nies.go.jp/osenyosoku/

■資料2 九州大学竹村俊彦准教授のデータによる中国からの大気汚染粒子の拡散予想図
(産経新聞2月3日)

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■資料3 <中国大気汚染>流入の西日本「物質濃度が急上昇」
毎日新聞1月31日

中国で深刻化する大気汚染が「越境汚染」として西日本に流入した影響で、30〜31日にかけて近畿地方で大気汚染物質「硫酸塩エアロゾル」の濃度が急上昇したとみられることが、国立環境研究所の分析で分かった。地上の実測速報値も、環境基準を超す地点があった。  

資料4中国の大気汚染深刻 濃霧、日本の面積の3倍
(日経新聞1月31日 )

 大気汚染が最も深刻なのは北京市、天津市、河北省、山東省など中国北部。北京の米大使館の観測によると、ぜんそくや気管支炎を引き起こす微粒子状物質「PM2.5」の大気中濃度は29日に一時、世界保健機関(WHO)の安全基準の20倍に達した。

中央気象台はスモッグに関する新たな警戒レベルを導入。PM2.5の濃度などから黄色(軽度のスモッグ)、オレンジ(深刻なスモッグ)、赤(極めて深刻なスモッグ)の3段階で情報を発信し、市民に警戒を呼び掛ける。  

 PM2.5は車の排出ガスや暖房用の石炭燃焼が原因。北京では30日夜に雨と雪が降る見通しで、濃霧はやや解消される見通しだ。
硫酸塩エアロゾルは、石炭などの燃焼で発生し、濃度が高くなると、ぜんそくなどの呼吸器疾患を起こす恐れもある。 

 国環研のシミュレーションでは28日午後以降、大陸から九州地方に流入し、30日夜から31日早朝には、大阪府や奈良県などで微小粒子状物質「PM2.5」が、環境基準(1立方メートル当たり1日平均値35マイクログラム以下)を超すレベルになったことが示された。30日午後6時の地上観測点の実測速報値も阪神地区などで基準を超え、予測結果をほぼ裏付けた。ただ、基準は1日平均値を基に判断するため、基準を超えたとはみなされない。 

 中国では近年、石炭など化石燃料の大量消費が原因の大気汚染が社会問題化している。国環研は、東アジア地域で大気汚染物質の濃度を推定。風向や風速などの気象データを加えて移動状況をシミュレーションし、公表している。ただ汚染の全てが中国由来ではなく、国内の暖房使用や自動車の排ガスなども影響しているとみられる。 

 国環研は「濃度上昇の予測結果は、大陸の大気汚染物質が流れ込んだためと解釈できるが、国内の濃度は中国の汚染レベルに比べると格段に低く、健康な大人が気にするレベルではない」と説明している。
中国の環境保護省は、ここ数日にわたり中国の空を覆っている有害な濃霧の総面積が130万平方キロメートルに及ぶと発表した。日本の3倍以上の面積がスモッグに覆われている形で、市民は外出を控えたりマスクを購入したり対応に追われている。  

 
■資料5 中国東部で深刻化している大気汚染が、日本にも影響を及ぼすことに懸念が出ている。

中国では今年に入り、北京市などで汚染物質を含んだスモッグに覆われる日が続き、体調を崩す住民が急増。飛来したとみられる汚染物質が日本でも確認され、西日本の一部では基準値を超える汚染物質が観測されている。

加藤勝信官房副長官は31日の記者会見で、「ただちに日本への影響があるレベルではないが、引き続き環境省で大気汚染物質の状況を調査するなど、適切な対応を図っていく」と述べた。

懸念されているのは、大気汚染物質の一つで、直径2・5マイクロ・メートル(1マイクロは100万分の1)以下の微粒子状物質「PM2・5」。吸い込むと肺の奥まで入り込み、肺がんなど呼吸器や循環器の疾患の原因になる可能性がある。

環境省によると、10日夜から北京市を中心に中国東部で大気汚染が発生、14日まで主要都市で汚染が確認された。同市内の濃度は多い時には大気1立方メートルあたり約500マイクロ・グラムで日本国内の基準(1日平均35マイクロ・グラム以下)の十数倍にあたる。(読売)
 

■資料6 中国、連日有害物質含んだ濃霧 呼吸器系疾患が急増 

中国各都市で連日、有害物質を含んだ霧が立ち込めている。12日付の中国紙によると、北京市の大気汚染を調べる全ての観測地点で、6段階の大気汚染指数で最悪の「深刻な汚染」を記録した。 

病院では呼吸器系疾患の外来患者が急増、市当局は住民に外出を控えるよう呼び掛けた。北京市は12日も朝から濃霧となり、数百メートル先のビルがかすんで見えない状態。 

中国メディアによると、河北、河南、湖北3省や天津市でも霧が立ち込め、深刻な大気汚染が続いている。専門家によると、霧には多くの有害物質のほか病原菌も付着。気管支炎やのどの炎症、結膜炎などのほか、お年寄りや疾患を抱えた人だと高血圧や脳疾患を誘発する危険があると指摘した。

北京市の小中学校は11日に体育など戸外活動を中止。外出する際は交通機関を利用するなどした上マスクを着用するようメディアを通じて呼び掛けた。(共同) <中国・北京では大気汚染が深刻な問題となり、マスクを着用する人が多くなっている
(1月13日、ロイター)>
 

■資料7 九州大学竹本俊彦准教授のデータによる硫酸塩エアロゾル拡散予想図Photo_3 

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コメント

曲格平さんの仰る通りだと思います。
かつて高度成長とともに公害問題に苦しんだ日本という「反面教師」が、すぐ隣にあるのに…。

田舎者の私など、キレイになった東京でさえ駅に下り立った途端に変な「空気の味」を感じます。
北京なんてとても耐えられないでしょうね。

PM2・5ってのが実に厄介なシロモノで、通常のマスクでは透過してしまう上に有害性が高く、かつ長期間大気に漂います。
以前にも書いたと思いますが、近年蔵王の樹氷が春先に黒ずむようになり多量のPM2・5が検出されています。また長井市という国内の工業地帯とはかけ離れた田舎町で、史上初の光化学スモッグ注意報が出ました。
原因はほぼ中国からの石炭排気だと断定されています。全く迷惑な話です。


北海道さん。ご無事でなにより!

仮に大気汚染が長期化する場合 四国や九州・中国地方の 野菜や果物にも影響出てくるのでしょうか
ハウス栽培は 大丈夫たと思いますが 土が汚染されてしまったら 終わりのような気もします
政府が対策に乗り出さないと 西日本の農業も危ないのかとも危惧します

大変な問題ですね

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