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震災瓦礫の放射能より、中国からの有害黄砂を心配しなさい

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大阪で震災瓦礫の焼却試験が行われた時も、北九州市ほどの混乱はなかったものの反対運動が起きました。

その人たちは、「北九州市では周辺の子供9人に鼻血が出た」、などということをネットで流していますhttp://blog.goo.ne.jp/jpnx05/e/3dcd62d9d68708795887451af6fe00d6

別な大阪の瓦礫反対運動のサイトでは、「結核,ウィルス性肝炎,急性呼吸器病等の感染病の増加につながっている」としています。
http://mimislifestyle.blog.fc2.com/blog-entry-42.html

また別なサイトでは、「瓦礫を受け入れた焼却場を中心とする地域で、肺がんやさまざまな呼吸器系の病気が増えていくだろうと予想」されると述べています。(※このサイトは具体的数値や防波堤型瓦礫処理も紹介していますので、好感が持てました。防波堤型瓦礫処理は良案です。)
http://radiationexposure.blog.fc2.com/blog-entry-17.html

ではこの原因はなんでしょう。この人たちが言うように瓦礫焼却から出た放射性物質でしょうか?

素直に考えれば、肺ガン、急性呼吸器病と言うくらいですから、呼吸器病と密接な関係のある空気汚染物質と関連づけるべきでしょう。

現時点でもっとも疑われる最大の空気汚染物質はいうまでもなく黄砂です。これには瓦礫反対運動の方も同意していただけると思います。

昨日のブログでもしっかり書きましたが、中国からの黄砂には硫酸塩エアロゾルや病原菌など有害物質が大量に付着しているのが知られています。単なる砂ではないのです。

この大気汚染物質は別名「PM2.5」(※)といわれ2・5μmという超微粒子ですが、浮遊粒子状物質(SPM)と呼ばれる10μm以下のさらに微細な粒子もあり、肺胞に沈着していきます。

すると肺の機能が落ちて、気管支系疾患や呼吸器疾患や心臓病での死亡率が高くなることが知られています。また、肺がんリスクも高まります。

年平均100mg/m³になると呼吸器への影響、全死亡率の上昇などがみられることなどが知られています。

使用を禁じられた猛毒のアスベストも同じ超微粒子で、気管支や呼吸器、肺に侵入して多数の死亡者を出しました。

この黄砂には、工場の煤煙、車の排ガスが大量に付着しており、それには一酸化炭素、二酸化硫黄、窒素酸化物などの有害物質が含まれています。

これらは気道粘膜を刺激して、喘息などの急性呼吸器病を引き起こし、肺奥まで侵入して沈着し肺ガンを引き起こす原因物質です。

北京大学では、北京、上海、広州、西安の4都市だけで昨年、約8600人が死亡したとされています。Photo_6       図 「アジアの大気汚染:リアルタイム気質指数ビジュアルマップ」より
http://www.aqicn.info/?map&lang=jp

広東省の「南方週末」紙は、「中国の主要都市部では年間30万人前後が死亡。約60万人が呼吸器系疾患で入院、25万人以上が慢性気管支炎になっている」と報じました。

もちろんこれらの死者数は正式の統計ではありませんが、中国という情報統制国家においてはいたしかたがないでしょう。

とまれ、少なめに見積もっても1万人超の死者が毎年出ているというのは疑う余地がありません。

さて北九州市で瓦礫搬入が行われたのは2012年5月22日からでしたが、5月以降にこの黄砂が観測された日は以下です。

2012年5月・・・01,02,03,04,05,06,07,08,09,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31 

  • 6月・・・01,02,03,04,05,06,07,08,09  
  • 7月・・・少ない 
  • 8月・・・少ない 
  • 9月・・・少ない 
  • 10月・・・14,15,20,21,23,25,26,27,28  
  • 11月・・・05,06,07,08,09,10,19,22,23,24,28,29  
  • 12月・・・04,05,06,07,08,09  
  • ご覧のように北九州市で焼却が開始された5月23日からずっと黄砂は到来しているのがお分かりになると思います。

    黄砂は春にだけのように思われていますが、先に見たように夏期を除いてほぼ通年現れます。

    日本の気象庁の黄砂情報は、予報による見通しに基づく観測を中心にしてプレスリリースしているため、黄砂が出た後に「出ました」ということをしないからです。 

    結果として誤情報なわけですが、医療関係者も予報が出ていないのだからと、PM2.5との因果関係を疑わなかったというのが実態です。

    そういえば、これから盛りとなる花粉症も、黄砂とは無縁ではありません。黄砂・硫酸エアロロルを吸い込んだ場合、粘膜や呼吸器系が傷めつけられているために、花粉の飛散と重複して症状が重くなります。

    「子供が鼻血を出す」というのもアレルギー性鼻炎などによく見られる症状で、空気汚染によって鼻粘膜が刺激されて、鼻血が出た可能性もあります。http://kodomo.kmayct.com/77_1.html

    残念ながら寡聞にして、セシウム134、137と鼻血との因果関係があるとした学説は聞いたことがありません。

    あの「有名」なパンダジェフスキー氏も、心臓、肝臓、腎臓などへの影響は述べていますが、「鼻血」はあったっけ。伝聞で恐怖を煽るのは褒められた作法ではありませんよ。

    では、この人たちが反対している大阪ではどうなのでしょうか。

    大阪の瓦礫焼却試験初日の硫酸塩エアロゾルと黄砂の分布状況 
    国立環境研究所
    http://kobe-haricure.net/health/so4-gazou.htm
    2012年11月29日(木)12時

    Photo_52012年11月29日(木)18時

    Photo_4

    焼却試験初日の硫酸塩エアロゾルの飛散状況は、中国からの黄砂の影響で、全国的に高い数値を示しています。

    特にひどいのはオレンジ色の北陸から三陸にかけてで、関西のPM2.5濃度も上昇しています。 

    環境省の観測データをみると(※基準値35マイクログラム)
    ・大阪大正区   ・・・63マイクログラム
    ・堺市東区     ・・・60マイクログラム
    ・神戸市中央区  ・・・41マイクログラム

    もう一枚分布図を見てみましょう。これは今年2月現在のものですが、あいかわらず関西、特に大阪に比較的高い数値がでているのがわかりますね。
    http://www.aqicn.info/?map&lang=jp

    Photo_2

    ところで2枚目のマップのように、なぜ大阪が空気汚染度が高いのでしょうか。それは大阪の地形は、中国から近畿にかけての大気汚染物質を集めやすい地形となっているからです。 

    大阪の場合、空気汚染物質は日本海側から山越えして来る風よりも、壇ノ浦沖あたりで発生した上昇気流に乗って飛んで来て、大阪めがけて吹き下ろします。その時に中国大陸からのPM2.5を運んでしまうのです。 

    その上、大阪平野は奈良や滋賀、兵庫などの山に阻まれているためにいっそう濃度が上昇することになります。

    というわけで、もしこの大阪市の瓦礫焼却で、なんらかの呼吸器病が生じた場合、真っ先に疑われるべきなのはなんなのか改めて書く必要もないでしょう。震災瓦礫か、黄砂か常識で判断してください。

    震災瓦礫の放射能を騒ぐのは自由ですが、親としては現実に今あなたの子供の頭上に毎日降っている桁違いの量の黄砂に乗った有害物質や病原菌に対して、守りを固めたほうがいいと思うのですが。

    私は瓦礫反対運動が、このように呼吸器病との因果関係が明確に黄砂と判明しているのに、まだ瓦礫焼却と結びつけようというのが理解できません。

    仮に焼却場から放射性物質が漏れ出ているとしても、この凄まじい黄砂という大気汚染物質の前にはノイズ程度の意味しか持たないでしょう。

    反対運動をなさっているのは環境意識が高い方々なのですから、もう少し多方面からバランスよく眺められたらいいのに老婆心ながら思った次第です。

    ※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-943f.html
            http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/
    ■写真 冬の筑波山を見る。そろそろ春の田おこしが始まりました。

    ※PM2.5(ピーエムニーテンゴ)
    http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=2234

    直径が2.5μm以下の超微粒子。微小粒子状物質という呼び方もある。大気汚染の原因物質とされている浮遊粒子状物質(SPM)は、環境基準として「大気中に浮遊する粒子状物質であってその粒径が 10μm以下のものをいう」と定められているが、それよりもはるかに小さい粒子。
    PM2.5はぜんそくや気管支炎を引き起こす。それは大きな粒子より小さな粒子の方が気管を通過しやすく、肺胞など気道より奥に付着するため、人体への影響が大きいと考えられている。
    代表的な微小粒子状物質であるディーゼル排気微粒子は、大部分が粒径0.1~0.3μmの範囲内にあり、発ガン性や気管支ぜんそく花粉症などの健康影響との関連が懸念されている。

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    コメント

    コメント失礼します。

    疑問があるのですが、今年から黄砂の質が変わったのですかねぇ?

    毎年この時期にやってくる風物詩でもある黄砂が、このところの体調不良の原因なら、昔から取りざたされてもいいようなもの。

    それが、瓦礫処理を始めてから体調不良になったと言うのだから・・・

    投稿: やすちろ | 2013年3月19日 (火) 07時54分

    やすちろさん。
    せめて今日を含む関連記事を読んではいかがでしょうか。

    マスコミが今年になって聞き慣れない「PM2・5」について突然騒ぎ出しましたが、それは今年から突然象徴的に騒ぎ出したものです。

    福島第一原発周辺の瓦礫と違い、岩手や宮城の大量の震災瓦礫との区別くらいつけて下さい。
    受け入れ反対派(苦笑)に踊らされているのが、あなたのような方々だと、よくわかると思いますが…。

    投稿: 山形 | 2013年3月19日 (火) 11時40分

    福島原発の放射能も黄砂の放射能もレベルの違いはあれでも同じ放射能にも拘らず、福島の放射能は悪い放射能で黄砂の放射能は良い放射能なんでしょうかね?化学的には同じでしょ?

    投稿: | 2013年7月10日 (水) 19時57分

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