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2013年3月20日 (水)

TPP なぜ農業は「保護」されねばならないのか

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TPP以降をいやでも考えねばならない時代になりました。だからこそ、今こそなにが「農の価値」なのかはっきりしておかねばなりません。

今後わが日本農業は動乱の時代に入ります。その時、何を私たち農民は守ってきたのか、何が農業の仕事だったのか同胞に対して説明していかねばなりません。

それを皆んな日本人なんだからわかってくれているだろう、という甘えが私たち農業にはありました。

もう甘えは許されません。私たち農民は主張する時がきました。

TPPの関税についての考えは、国境での保護を撤廃しようというのが趣旨であり、国内で保護すること自体は禁止していません 

農業は「保護」されねばなりません。まずこれが大前提です。 

こう書いただけで構造改革論者はアレルギーを起すでしょうが、農業が国の基幹的な国土インフラであるという認識は、洋の東西を問わず共通であり、EUや米国などは強烈な自国農業保護論者ですらあります。

なぜ農業が国土の基幹インフラなのでしょうか。改めてそこから考えていきます。

TPP推進派の中には、私たち農業者を既得権益者と見立てて、なにが恨みなのか知りませんが、日本農業潰せばいい世の中になるとでもいいたげな人が多く見受けられます。

農業関税はコメが778%という突出して高い関税を持っているために勘違いされていますが、野菜など関税わずか3%です。農業分野全体の関税率平均は11.7%で、他の工業製品関税と変わらない水準か、それ以下です。

グローバリストはコメばかり取り上げて、日本農業は国際競争力がないと言い募りますが、衣類の関税が10%ですから、農業はユニクロより強い国際競争と戦っているのです。 

ではコメをなぜ高関税の防壁で守っているのかといえば、水田が日本の自然コントロールの根幹をなしているからです。

新自由主義者は、コメを生産基盤の「水田という存在」が日本自然の中で果たしている機能から切り離して、ただの市場商品としてしか見ていません

ではここで、「水田」が位置する日本の国土はどのような特質があるのか、改めて考えてみましょう。 

我が国は文句なく世界最大の自然災害大国です。毎年襲ってくる大型台風、地震災害、土砂災害、豪雪災害、まるで自然災害の博覧会のような国です。

それは我が国が過酷な自然条件を持っているからです。

南北2千キロ、東西2千キロにおよぶ島々からなる列島であり、その中央部には2千メートル級の脊梁山脈が伸び、平野部は狭く、山岳地域の地質は崩落しやすい風化岩であり、そして河川はそれに沿って急流で海まで下り落ちます。

積雪地域は国土の60%に達し、いったん豪雪となると、たちまち交通機関が麻痺し、ときには今回の北海道のような大規模停電が引き起こされます。

多くある離島は、時化れば食料不足に陥ります。 急病人もヘリで搬送せねばなりません。

そしてご丁寧にも、3つプレートが集合している所に国土があるために、世界の0.25%の地表面積しかないにもかかわらず、マグネチュード7以上の大地震の実に20%が我が国で発生しています。 

これだけの自然災害大国に、なぜ1億3千万人もの国民が文明生活を営めるのかといえば、自然災害に対していくつもの自然をコントロールする防御機構を備えているからです。 

急峻な山から流れ出した急流は、まず山懐の水田に流れ込み、そこでいったん蓄えられて水量と水速のエネルギーを失います。 

いわば水田はミニ・ダムなのです。実際、水田の貯水量は大型ダムに匹敵する容量をもって、日本の自然をコントロールしています。 

もし水田がなければ、「まるで滝のようだ」と明治期に来日したヨーロッパ人を驚かせた我が国の河川は暴れ川となって、大水のたびに洪水をもたらすでしょう。最近でも四国の四万十川の大洪水は記憶に新しい所です。

小さな川は全国各地にありますが、大水の時には急流となります。その時に溢れた水は、いったん水田が吸収し溜め込みます。

また干ばつの時には、水田に付属するため池から水を放出して凌ぎます。これが水田のダム調節機能です。 

歴史的に我が国ほど治水に知恵と力を出してきた国はありません。川を治めた者のみが為政者たる資格があるとされるのが我が国の伝統でした。 

武田信玄は優れた民政家でしたが、彼が作った霞堤は暴れ川を見事に水田に引き入れて手なずけています。

その伝統はいまでも受け継がれています。それが水田と林業による治水です。

崩落しやすい山肌はいったん裸山にすると崩落して住宅地を襲い、河川を埋めて大水を引き起します。

それをさせないために日本人は山を守り、水田を守ってきたのです。

歴史的に農業と林業は一体のものでした。 しかし林業は輸入材に押されて衰退の一途をたどり、水田農業がかろうじて残っているたけです。

ですから、水田が放棄されていった地域では、「水田ダム」がないために水害が頻発していきます。

このように水田はコメ作り以外にも、治水、環境整備、景観保全、生物多様性の確保などの多機能を備えており 、それらを含めると単にコメの価格だけで計れない大きな意味での自然災害から国土を保全する働きをしているのです。

もし水田がなければ、我が国はこの過酷な自然から国民を守るために、多大な防災コストをかけねばならなかったでしょう。

外国のコメが仮に我が国のコメより安価だとしても、輸入米には我が国の国土と国民を守ることはできません。いったん水田を失くしてしまえば、1年間で雑草が身の丈ほど伸び、2年で田んぼの底が抜けます。

そして、機械はさびつき、世界一と言われる米作りの技術も5年以内に失われていきます。そうなってしまえば、もはや我が国はもう一度コメを作ろうとしてもその基盤も人もなくなるのです。

私たちは日本の米作りを守ろうとしています。それは高い安いというだけのお金の価値で置き換えることのできない「自然をコントロールする」という価値が農業の中にあるからです。

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TPP」カテゴリの記事

コメント

自分はどちらかというとTPP賛成です。

ご主張は分かるのですが、疑問点もいくつか湧いてきます。


1) 国土の保全が水田の役割というが、700%超もの関税で守っているのであれば、水田以外の方法でやったほうが最終的なコストは安いのではないのか?

2) 水田が生物多様性に寄与しているというのは本当なのか?農業というのは基本自然破壊を伴うのでは?(景観は確かに保全されるが)

3)仮に1,2の目的を水田が果たしているとしても、コンニャク、小麦、バター、砂糖等の関税が異常に高いことは正当化できない。

4)農業従事者の主たる反対理由は、上記1,2等ではなく「自分達の生活が苦しくなるから」と一般には受け止められている。(集会等で政治家を罵倒している旧態依然とした態度はそうした見方を助長。)


そう受け止められている以上、1)2)は詭弁だと言う人が多数でるのは自然なことの気がする。

「生活が苦しくなるから」というのは、言ってみれば「俺たちの生活のために、お前ら今後も農産物を高い値段で買い続けろ。その裏で、日本の工業が相対的に競争力を失って、お前の会社で給与が減らされたり、職に就けない若者が更に増えてもワシャしらん。TPP反対!」と言っているに等しい。

こうした一般の見方を払しょくするには、このポストの内容では不十分では?


なお、自分は「生活が苦しくなるから」という理由で反対する人がいるのは当然だと理解してます。そうなると、この問題は利害対立問題となるので、政治の場では最終的には多数決で決めていくしかなく、現状では残念ながら農業従事者に勝ち目がない状況に見えます。(TPP交渉参加に対する支持率が示す通り)

こくびとさん。おっしゃることは理解できます。この問題はコメント欄では狭いので、近々記事でやりますのでちょっと待って下さい。

こくぴとさんのコメントに対して、丁寧に考察していくことが、とても重要だと私も思います。
大手マスコミの世論調査での「TPP参加賛成60%」を象徴する意見じゃないでしょうか。

管理人さんの回答記事が出てからコメントすべきかもしれませんが、ちょっとだけコメントさせてください。


こくぴとさん、管理人さんは丹念に記事を書く方なので、今日の記事はTPPを考えるためのほんの一部だと認識してください。


さて、私も農家ですが、私はTPP参加でほとんどの国民が損をし、購買力等も低下すると考えているから反対なのです。(長くなるので考えの理由は省略します。)
管理人さんも以前危惧していたように、農業団体の強烈な反対行動によって、TPPの経済や産業分野での問題点(もちろん経済や産業分野以外にも多くの問題があります)の真相が不透明になり、農業対製造業ということに演出されてしまっています。

TPPで得をする推進派は、GDP3.2兆円増、農業分野3兆円減と、大雑把な宣伝で世論を誘導しています。日本がまともな国なら、GDP3.2兆円増などというざっくりした情報ではなく、どういう分野の人々が、どのくらいの数の人々が損(得)をし、どの地域が損(得)するかぐらいは、明らかにすべきです。

また、各県には農業分野の減を発表させるなど、巧みに農業対製造業を印象付けています。
地方の知事がTPPに反対しているのは、農業だけが問題だからではありません。例えば、ここ何年かの間に、折角誘致した工場が国際競争力の名のもとに、相次いで閉鎖したりしているからです。


このままでは、農業や農家は対策が取られるかも知れませんが、それ以外の産業や人々はTPPの荒波をまともにかぶってしまうでしょう。それが私の最も危惧するところです。

お久しぶりです。
TPPに関しては、先日の青空さんのご意見に非常に近い考えであります。


「こくびと」さんへ
食料・食糧自給に関しては、どうお考えでしょうか。
米国・豪州が大飢饉になり、余剰(輸出可能)なものがなくなったとき、果たして、自国(米国・豪州)を差し置いて、外国(日本)へ輸出してくれるでしょうか。
もし、そのとき、日本の農業が壊滅していたら、慌てて、再開しようとしても、数ヶ月~1年余を要することでしょう。まぁ、作物にもよりますが。
ご指摘のコンニャク芋は、最低でも2年(本来3年)を要します。

それから、農業が壊滅すると、農業関連産業、例えば、農業機械メーカー、肥料・飼料会社なども、かなりまずい状況になるんじゃないでしょうか。

個人的には、農業は、自然相手ですので、大規模農業化しても、大干ばつだったオーストラリアでさえ、お手上げで、大不作です。また、政府会計、政府財政は、未だ、長期財政シュミレーションによる国家政策を持っていないと言う、地球シュミレーターのような世界一の3次元コンピュータシュミレーションシステムと言う「ハード」を持ちながら、長期国家財政シュミレーションすら、出来ていない国が、日本です。
数年前、単年度で、北海道生乳が、余るからと言って、ホルスタインを処分して、精肉にしてしまいました。
案の定、翌年には、生乳自給率が下がり、結局、5年計画で、酪農牛頭数を戻す方向に動いたらしいのですが、農畜産水産業は、1年単位で、評価できないものであることを。、忘れて、将来財政プランを、提示する、単年度、いきあたりばったりの財務省予算計画には、飽き飽きしてます。
私事を例にあげて、恐縮ですが、平成24年度国家予算の第4次補正予算を申請して、すぐに、平成25年度予算申請における24年度予算の繰越精算申請を東海財務局と、やりあっている現状です。3月の彼岸前に、24年度第4次補正で、3月31日までに、事業完了して、ただちに、書類、完成写真をPDFと写真添付ファイルで送れと言う霞ヶ関の指示は、無理でしょ。って、最初から、言ってるのに。。

管理人さんが、次回、記事にしてくださるようなので、期待していますが、民主党時代の国家戦略会議の当時の古川大臣は、愛知県選出ですので、ちょくちょく情報を得てましたが、所詮、予算請求権の無い国家戦略会議をはじめ、内閣府の各部署の大臣、副大臣、政務官などは、どの党の出身であれ、事業と財政、人事など、主要部分を、一元化し、かつ、各省出向者で、運営する省庁などを廃止、長期年度対応型に再編成しない限り、何もできないのです。出向官僚ですので、採用元の省庁のロボットとしての政策でしかありませんから。

国家公務員人事と事業計画、財政計画が、一元化し、かつ、長期財政計画と連動しない限り、農業はじめ、あらゆる産業は、単年度で処理できるものなど、ほとんどありませんから、もともと困難な制度設計なのでしょう。

管理人さんの次回のすばらしい記事と提案を期待して、待っています。
自民党時代は、批判の的であった族議員が、再選されれば、官僚側も結果的に、財務省に、中長期予算申請でき、政治力で、長期ビジョンを達成できたと言うメリットも、族議員には、あったのですが。。

TPP、賛成にしろ、反対にしろ、国会で批准されるまでは、10年くらいは掛かりそうだと思ってます。

ハーグ条約の批准をみても、グローバル世界は、単年度では、動いていないことは、明白です。

自分が、大臣の職にあるうちに、自分の政策を提案して、結果を得ることは、不可能に近いことでしょう。

昔は、国会議員は、それぞれ長期ビジョンを党が示している中での、当該年度の予算付けだったのですが、今は、そういう観点で、政治家も官僚も、動いていないし、発言もしないので、外交政策で、頓挫するのだと個人的に思ってます。

青空です。

日本の農業は畜産も含め高い技術水準と生産から即座に小売り店舗に並べる世界最高峰の物流ネットワークを持ちます。
日本の農業生産額は5兆円(1億2千万人)で、
小さい小さいと言われていますが
実は米国(3億人)の農業生産額は15兆円前後で、人口対比で考えると同規模の生産力と市場を持ちます。
生産金額では日本農業は世界第三位の実力国ということは
あまり知られていません。

価格は高い高いと言われています。
確かに小麦は2倍、米は5倍ですので高いでしょう。
しかし食卓における穀物主食の食費は月間平均で
一世帯当たり6千円を下回ります。

これが仮に70%以下になっても家計への影響は
月間4千円。年間で5万円です。
吉野家の牛丼を全て関税なき海外農産物に
シフトした場合、現在の380円から280円になるそうですが
100円引きがそれほど重要かといえば、肯定できません。

管理人様がいう国土インフラ機能の大幅な減退と
cowboy様がいう関連業界(農機械メーカー、肥料、飼料メーカー、運送、物流会社)の衰退、
そして農業関連従業者の失業に対応する国家社会保障費用の増大の方がかなり深刻な国民負担を必要とするのではないかと考えています。
更に食料供給力は軍事、エネルギーと同レベルの
国家安全保障要因です。
世界が混迷を極めつつある中で自国の生殺与奪を他国に委ねる勇気は私にはありません。

日本人が考える程世界は平和ではなく
人の命も重くはないのです。

同時に日本の高い農業水準があるものの、
現在の農業産業(特に稲作と酪農)の産業体制には
課題が多いことは事実です。担い手の高齢化や弱者救済に偏りすぎた農政、硬直化してしまった産業体質など、問題点も深刻且つ多岐にわたります。
今後かなり痛みを伴う改革が必要であろうことは私も感じています。
大規模化、環境保全部門と産業部門の分化と一部公営化など昔から様々な議論が立ちますが、
日本農業は地域自然と生活、コミュニティーと解け合って初めて機能するため生中な対策ではどうにもうまくいかない宿命を持つと考えています。

どうするべきか、思案と行動をしていかねばならない局面ですが、実に難しい課題ですね。


>管理人様

楽しみ(というと不謹慎かな?)お待ちしております。

> Cowboy@ebino 様

本ブログ全部読んだわけではないですが、管理人様が「食糧安全保障」に触れておられないのは、それが自由貿易反対の論拠に全くならないと理解されているからだと推測してます。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20111116/223912/

こんにちは。
初めてコメントさせて頂きます三等兵と申します。

コメント欄に自由貿易という単語が見受けられましたが、自由貿易とは、リカードの比較優位特化・国家間分業を、制度的障壁を減らす事で推進する事を指すはずですから、TPPは結論から言って自由貿易推進とは言えません。
自由放任主義と市場経済至上主義がイコールで無い事と同様で、規制を単純に無くせば自由貿易を進めたという事にはなりません。

より公平で正しい競争が行われる様に促す、即ち、独占を防ぎ、消費者により正確な情報を与え、公平な裁判を行い、完全競争に市場を近づけるのが、本来の自由貿易推進のはずです。表示規制を非関税障壁と断ずる様なTPPはこれに逆行しています。
経済連携協定路線を自由貿易の推進とするのは、グローバリストの勝手な決めつけで、現実には単なるブロック経済推進政策に過ぎません。
ですから「自由貿易で経済成長するのは経済学の必然であるから、自由貿易批判は非論理的。TPPも自由貿易なので推進は当然」という、よく耳にする論調も、自由貿易が何であるかという議論を飛ばした思考停止と断じても良いくらいです。

新古典派学派・市場経済至上主義者でも、冷静な方は「(TPPの内容が明らかでないので)内容が自由貿易推進にあたるなら賛成」と、前提付きで賛成論を述べています。多くの推進論者が、一方で「でしょう・だろうと・思います」と、推測の範囲で内容を論じながら、この前提を言及しない事については、最早学者としてのモラルを疑います。

官僚OB等によれば、日本は通商交渉で頓挫すると、その要因が家電・自動車であっても、常に農業のせいで交渉が止まったと、スケープゴートにして来た経緯があります。日豪EPAですら、本来の問題は自動車産業であると聞きます。そうして作り出された農業悪玉論は、そう簡単に覆せるものでは無いでしょう。反対論を農業を中心とした既得権益者の我田引水だとして糾弾する論法は、2011年のTPP議論が過熱し始めた頃から予想していましたが、正に予想通りです。

EU諸国などの手厚い農業・農地保護に目を瞑り、イメージで作り上げた「脳内農業」をひたすらに批判する自称有識者達には、結論のためのダブルスタンダードしか感じません。ときに「農業は生産額ベース自給率では70%で強いからTPPだ」ときに「農業は遅れているからTPPで改革だ」ときに「農業は平均年齢65歳以上で既に崩壊だからTPPだ」と、論理も自己矛盾を起こしています。それすら通ってしまうのが今の世の中ですから、この段階にあって、農業者自らが農業の重要性を説いても、新たなプロパガンダに利用されるだけではないかと、無力感を感じます。

三等兵殿。

それほどの知識と文章力なら、昇格して兵長になって下さい!

三等兵 様

勉強になります。

ただ、「TPPの内容が明らかでない」のであれば、「TPPは結論から言って自由貿易推進とは言えません」とか「表示規制を非関税障壁と断ずる様なTPP」というのは可笑しくないですか?

反対論の中で自分が理解できないのはそこら辺のところです。

仰る通り、TPPのために必要な商品表示がなくなる等の事態になれば自分も良くないと思いますが、そうならないように交渉していくということだと理解してます。

米国との二国間FTAよりも交渉が優位に進めやすいはずという推進派の意見のほうが自分には説得力があるような気がしてますし、どうしても譲れない線が守れなければ、撤退、批准しないという選択肢もあるはずなのに、「そんなことできるわけない」という反対はの主張も自分にはよく理解できません。

(だから自分は「どちらかというと」賛成で、凄く確信をもって賛成ってわけではないんですけど。)

他人様のブログのコメント欄で議論をするのはマナー違反だと思いますが、質問がありましたのでお返事します。

「TPPがよくわからないなら、TPP=自由貿易ではないと言えないか?」
私の解説はよく読んで貰えれば分かると思いますが、私は「(主に新自由主義者が)一般論として自由貿易と呼ぶもの(経済連携協定路線)とその定義が、そもそも経済学的には自由貿易の定義から外れる」と述べています。
そして、「TPPは既存のFTAより包括的で強い多国間の経済連携協定である」というのは、賛成反対を越えて共通認識のはずですから「TPPの詳細な内容が分からないから」という理由では、覆る内容ではありません。
これにすら疑問符を付けるのならば、あなたが先のコメントで、あえて「TPPあるいはFTA路線へ批判する事」を「自由貿易反対」と置き換えた事に疑問を感じます。

因みに、(私自身はTPPには反対ですが、)あくまで先のコメントは「TPPを自由貿易として是非を論ずるのは、自由貿易の定義を考える限り誤りである。その理由は以下の通りである」という、「自由貿易とTPPを強引に繋げ、自由貿易は正しいという定説を後ろ盾にTPP反対論を批判する意見を批判する」内容ですので、TPP批判そのものと混同されない様お願いします。
また、TPPが自由貿易推進でなく、ブロック経済政策であっても、あくまで仮に、それが日本の国益のために必要なのであれば、参加の是非は別問題です。

「TPPはよくわからないのなら、反対も賛成も対等か?」
まず、論証とは「であるならであるからであると言える」とするのが本来の形だと考えます。

TPPの是非を巡る議論も、“ISDSの危険性や実際に米国グローバル企業が起こした訴訟の内容・NAFTAや米韓FTAに見られる問題と当事者の声・USTRによる国内向けの発表・年次改革要望書に見られる米国からの圧力・交渉参加=参加で脱退不能”等の「前提が正しいか」と、それらに本当に、指摘される危険性や問題点があるか、といった「分析が正しいか」で意見を交わしている事が見て取れます。

本来賛成派が反対派に行うべき反論の方法は、反対派の上げる数多くのに対し、その情報がデマや誤りである事を証明するなり、そのが論理的に間違っているとする事のはずです。

しかし、少なくとも私の認識では、反対派が署名付きの公文書を含めた、膨大な情報を集めている一方、賛成派のそれに対する反論は「交渉で勝ち取れば良い」とか「昔からある条項だから大丈夫だ」などと、あまりに根拠を欠いています。
「よくわからない」のレベルが根本的に違いますし、論点も根本的にずれていると考えます。

もし仮に、反対派が荒唐無稽な作り話を並べて批判しているだけなら、賛成派も逐一厳密な反論などする必要はありませんが、現実に署名があり、判例があり、批判がある事例まで、「よくわからない」で済ませるのは、批判を認めた事と変わらないと考えます。

それでも、あなたが様々な情報を集めた上で『いや、反対派も賛成派もどちらも根拠を欠いていて、よくわからない様に見える』と考えるなら、それはそれであなたの確たる持論でしょう。
しかし、私はどう見ても、両者が対等なレベルで情報と議論を交わしているとは思えません。ですから、反対派の上げる情報を信じられる範囲で信用し、TPPに反対する訳です。

カッコに不等号を使ったら表示されなくなってしまいました。署名も忘れました。失礼しました。

×:まず、論証とは「であるならであるからであると言える」と~

○:まず、論証とは「『前提』であるなら『分析』であるから『結論』であると言える」と~

×:本来賛成派が反対派に行うべき反論の方法は、反対派の上げる数多くのに対し、

○:本来賛成派が反対派に行うべき反論の方法は、反対派の上げる数多くの『前提』に対し~

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