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2013年3月 7日 (木)

TPP・鈴木会長、ご一緒に「構造改革」いたしましょう!

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スズキの鈴木修会長が2月26日、新製品発表会の席でTPP米国政府が日本独自規格である軽自動車の税制優遇を問題にしていることについて質問され、「TPPと軽は全然関係がなく、何が何だかさっぱりわからない」と答えたそうです。 

私は思わずプッと吹いてしまいました。鈴木会長、そりゃあたりまえじゃないですか。いままで2年間のTPP論争のなにを聞いていたんですか。 

スズキという会社は、まさにジャパン・オリジナルの塊のような会社です。「軽自動車」という他国にはないカテゴリーの車種を生み出したことだけでスゴイと思っています。 

モータリゼーションが遅れて始まったわが国では、国民にできるだけ安く車を買ってもらうために「軽自動車」という排気量の小さな車種に優遇を与えてきました。 

普通車には、年2万9500円以上の自動車税がかかるところを、軽自動車の場合は年7200円、我が家も使っている軽トラに至っては4000円と7分の1程度です。

まさにこれが自動車業界の「国柄」という奴です。

ところが、 これに米国自動車業界の3バカ大将は目をつけたわけです。 

この3バカ大将たちは、この「軽」への優遇を不当として、こんなものがあるからマスタングやシボレーは売れないのだと主張しました。

ならば、自分も同じ「軽」規格の自動車を作ればよさそうなものですが、そうは考えないで悪いのは日本とするところがスゴイ。このあたりのメンタリティは米国と中国はやや似ていますね。 

米国の性格に問題があるのは分かりきっているので、むしろ問題は日本の財界側です。 

鈴木会長、あなたがた財界は、「どうせ、TPPは農業の問題だ。あんな旧弊な部門は一度ぶっ壊してもっと国際競争力のある部門にせにゃならん」と言ってきたじゃないですか。 

まさにブーメランですな(笑)。この二年間、私たちTPP反対論者は、一貫して米国の要求は我田引水ばかりで、自国の輸出拡大のみを目的とし、関税のみならず国内制度そのものがターゲットだと言い続けてきたはずです。 

しかし、財界はそれが自分たちにも向けられて来るとは思わなかったようです。なんとおめでたい。 

米国通商代表部(USTR)の外国貿易障壁報告書には、日本の「自動車市場の閉鎖性」は常連でした。 

米国最大の労組である「米国労働総同盟・産業別労働組合会議(AFL‐CIO)」は、3月3日にTPP反対の声明を出しました。これは傘下の全米自動車労組(UAW)のTPP反対を受けたものです。

米国は日本農業の「障壁」など問題にはしていないのです。 今でもたっぷり小麦、大豆、トウモロコシを売りつけていますからね。

小麦や豚肉、バターなどのややっこしい関税制度は問題視されるでしょうが、コメなどは天王山でもなんでもありません。 

米国のターゲットは、保険、医療、建設、化学などと並んで、衰えたりといえど米国の主力産業である自動車産業なのです。

ですから、「TPPと軽の関係が全然ない」はずがないじゃないですか。こんなことは中坊にも分かります。 

米国には「軽」を作る製造技術がありません。発想そのものがなかったのですからあたりまえです。

シボレーのエンブレムをつけた軽が走っていましたので、あれまと思ったらやはりスズキとの提携品でした(笑)。GMとの提携を解消したので、もう見なくなるかもしれませんが、なかなかの珍品でした。

しかし、「軽」が日本の自動車業界の重要な一角だったのは、ただ安いからではありませんでした。 

燃費がいい、狭い日本の道路事業に適している、取りまわしも楽、奥さん達の車庫入れも簡単という日本の車事情に合っていたからです。

だから、ワゴンRが「優遇」を廃止されたからといって、ではマスタングを買おうとはならないのは日本人なら誰でも分かる道理です。

繰り返しますが、これが「国柄」というもので、誰に文句を言われる筋合いじゃありません。 

しかし、米国人にはそれがわからない。自国の論理のみを押しつけてきます。そのうち「燃費がいい」という日本車の特徴も関税外障壁だと言い出しそうです(笑)。

米国は、自国のテキサスで石油が足元から湧いて出ることに甘えて、石油税がないに等しく、今まで燃費について真面目に考えたことがありませんでした。 

米国自動車協会(AAA)によると、現在1ガロンのレギュラーガソリン価格は3.53ドル(1リットル当たり0.93ドル=約86円)です。わが国より4割前後安いわけです。 

これでも相当に高くなっているそうですから、石油価格が安い米国の自動車エンジンは燃費を改良しようという意欲がないので、いつまでもガソリンを垂れ流して走り続けています。 

逆に、これも米国の「国柄」という奴です。

また自動車の安全基準も同様の問題をもっています。日本政府が義務づけている自動車の安全基準について、米国は今年2月に自国の輸入車に対しては基準を緩めるよう求めました。

よくそんな恥ずかしいことを言うね、と思いますが、しつこいようですが、これが米国の「国柄」だからしかたありません。 

自分の国の国民の安全基準をどう定めようと勝手なはずですから、輸出相手国にとやかくいうことじゃないでしょうに。

これに悪のりして、国交省は、2010年11月に日本の安全・環境基準を国際標準化することを成長戦略の重要な柱の一つとしました。 心底、こいつらバッカじゃないかと本気で思いました。

これと同じ光景は農業分野の遺伝子組み換え農産物(GM)表示でも見られるはずです。米国はそれはしつこくGM表示義務をハズせと要求していますから。

よりよい方向に合わせていこうというのではなく、いちばんクォリティが低いがパワーだけはある奴に合わせろというわけです。

TPPは多国間交渉ですから、安全基準にしても、米国と合わせてしまったら、他の交渉諸国もそれに右へ倣えする仕組みです。

ここでひとつTPP標語、「安全基準、みんなで緩めりゃ怖くない」。

したがって、高い安全基準を持つ国が低い基準の国々と「調和」することになります。これを「国際基準調和」という耳触りのいい表現を使っていますが、まさに「下方への調和」です。 

自動車業界は、TPP参加の急先鋒でした。それは2010年だけで゛自動車産業がTPP交渉参加9カ国に支払った関税の総額が1300億円以上に昇るからです。

うち米国だけで約850億円関税を支払っていましたから、まんざら気持ちはわからないでもありません。

しかし、何度か書いてきているようにTPPて自動車関税などがなくなっても、「たかだか」850億円浮くだけの話なのです。

2013年2月5日、トヨタ自動車は業績予想の修正を発表しました。売上高を5000億円増額して21兆8000億円、税引前利益を1100億円増額して1兆2900億円としました。

決算説明資料によれば、第2四半期決算時点に比べて為替変動による増益が1400億円にもなるそうです。

ところが、この業績予想は1月以降の為替レートをドル84円、ユーロ110円と仮定して算出しています。

現在の為替レートである1ドル94円、1ユーロ125円が、第4四半期における平均為替レートとなれば、ざっと1590億円の増益が期待できるとファイナンスの専門家は見ています。

自動車業界全体で今まで払った関税が1300億、円安水準が1ドル94円ていどでトヨタ1社だけで1590億円!ホンダ、三菱などいれたらどんな額になることやら。

はっきり言って円安でさえあれば、TPPなどやる必要などはなかったのです。

鈴木会長は、今頃しまったと思っているはずです。自動車税制に対する米国の要求は、TPP交渉参加のための入場料でしかありませんものね。

「軽」の優遇税制や、安全規制などを緩めないと本交渉に参加できないのです。

さて、自動車業界の皆様。覚悟してくださいよ、まだ本交渉は始まってもいませんからね。米国と入場チケットの交渉段階なのです。

だから鈴木会長、今になって「軽とTPPはゼンゼン関係ない」といわれても困るのです。

ならば「軽」などという日本だけの「特殊な」規格と「既得権益」にしがみついていないで、グローバルな国際競争力を身につけるために、積極的に「構造改革」してみようではありませんか。その「改革」こそが成長力を生むのです。

残念ながら、わが国は早々に米国の自動車関税の撤廃は諦めてしまったようですが、私たち農業を逆うらみしないで、自動車業界の皆様もご一緒に「国際基準への調和」を致しましょう。

■写真 昨日につづいて野原の欅林です。

 
 

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コメント

鈴木修会長、立派な経営者であり経済人としても尊敬してますが…あまりにワンマン過ぎて後継者が育っていないのでしょうか?
バイクでのライバルだった本田宗一郎とはずいぶん違いますね。

最近は軽のシェアもダイハツと本田Nボックスに食われ、国際的にもVWから騙されて乗っ取られそうになったり、ちょっと心配です。
スウィフトのような素晴らしい物を持ち、インド市場にいち早く進出したり…凄い人だとは思います。

いつも興味深く読ませて頂いてます。
特にドイツの脱原発の状況や中国の環境汚染については、知らなかったことばかりで、よくお調べになられていて大変感心します。
ですが今回のはちょっと ? です。
米国が車の燃費に関心がないように書かれておられますが、
そんなことはないです。
私も詳しくはないのですが、2020年(2016年?)までに達成することを義務付けた罰金付きの規制(CAFE)が予定されてます。
米国メーカーは結構大変そうですよ。

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