TPP交渉 席を蹴る覚悟が自民党政府におありか?
この15日に安倍首相がTPP参加を表明するのではないかと、取り沙汰されているようです。
石破幹事長の「自民党は民主党のような醜態をさらしたいのか!決めるまでは徹底的に議論する、しかし決めたからには一致してこれを支えるというのが自民党のあるべき姿だ!」という一喝に、どうも組織的抵抗は終焉しつつあるようです。
まぁ、あの顔でそう言われたらびびるわな。(苦笑)という訳で、そうとうな確率で交渉参加という未来が見えて参りました。
たぶん政府は、「あの6条件を守る努力は十分にする」というような言い方で突っ切ると思われます。
ただし、これまた石破氏が言うように、「交渉だから絶対とは言えない」というただし書きをつけることでしょう。
さて一方、米国やオーストラリアなどTPP11カ国は、シンガポールで16回目の拡大交渉会合を開き、13日に閉幕しました。
たいしたことは決まらなかったようですが、やはり交渉筋によると、焦点となっている農産品や工業製品の関税撤廃の例外扱いについてはなかなかまとまらず、次回5月15日からのペルー会合に持ち越されたようです。
日本の交渉参加問題にからめて、安倍晋三首相が米国と文書を取り交わした「例外品目」の設定に対し、一部の国から懸念が寄せられたようです。
これらの「懸念諸国」(たぶんNZやオージーでしょうが)は、日本が個々の参加国に対して外交ルートでアプローチして根回しや調査活動をしていることに対しても不信感を持っているようです。
一方、TPPが米国主導になっていることに対して反発する諸国もあり、日本が加わることで自国の農産品や工業製品の重要品目を守りたいとする諸国もあるようです。
思いの外TPP交渉参加国は利害対立を起こしているようで、一枚岩でないことが救いです。
まぁ、このていどのもたつきぶりで、シンガポールの首席交渉官が「交渉の進展はあった」というのですから、一番もめそうな乳製品、牛肉、穀類、砂糖、自動車関税などの関税はまだ決まっていないと思っていいのではないでしょうか。
そうでなければ、米国が首脳の共同声明を合意するはずがありません。
やると決まれば、早くこの交渉に参加しておかないとヤバイという自民党首脳の気分も分からないではありません。
もっともやるという理由は、中国包囲網形成以外にまったく思いつきませんが。
事ここに至って、私は自民党首脳にこれだけは聞いておきたいことがあります。それは医療、保険、農業などの個別具体のことではありません。
それについてはかなり詳細に議論がTPP対策委員会でもなされています。
私が聞きたいのはただ一点。、
「本当にわが国の国益を損なうと判断した場合、すなわち自民党公約6条件に違約する可能性が交渉において発生した場合、交渉から敢然として離脱しますね。」
もし国益に一カ条でも反したら交渉を打ち切る。11カ国からクソバカ扱いされようとも、席を蹴る、その覚悟が自民党政府におありでしょうか?
■写真 梅が満開です。見上げる空に筑波山。
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