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公害大陸中国その7  足尾、水俣、都市公害が同時噴出

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日本で公害が一番ひどかった時代の東京都の公害防止行政の責任者だった菱田一雄氏は、1980年代に何度も中国を訪れて、環境汚染の実態調査や対策についてアドバイスを続けてきました。

今から既に30年前の当時、菱田氏はこう感想を語っています。
中国の環境汚染は日本の昭和40年代並。対策は昭和30年代並だ。」

昭和30年代(1955~64年)は、日本の公害の激甚期と言われる時期で、「三丁目の夕陽」はスモッグで霞んでいました。

スモッグ注意報が出ると、私たち子供たちはマスクをかけて学校に行ったものです。帰ってマスクを取ると、うっすらと煤塵がついていた記憶があります。

水質汚染、土壌汚染、大気汚染とあらゆるタイプの公害が日本を覆い尽くそうとしていた時期でした。これが 明るい前のめりの時代だった昭和30年代のダークサイドです。

1964年に、宮本憲一氏と庄司光氏によって「恐るべき公害」という本が発表され、日本人は今自分たちが住む列島が急速に病んでいることを知ります。

昭和40年代(1965~74年)には、公害はいっそう深刻になり、規模も拡大するのですが、患者さんたちの闘いとそれをなんとか解決していこうという世論が急速に盛り上がっていきます。

公害病訴訟団の 「怨」と白く抜いた黒旗がたなびくと、見守る私たちは粛然とした気持ちになったものです。

宇井純氏の「公害列島70年代」が出版されたのは1972年、国民に衝撃を与えた有吉佐和子氏の「複合汚染」が朝日新聞に連載されたのは、1974年10月14日から1975年6 月30日までのことでした。

この本によって、今まで自分が何気なく撒いていた農薬が、恐ろしい結果をもたらすことに気がついた農業者が生まれ、その痛切な反省から有機農業が誕生します。

当時一握りだった有機農業者は、今では農業界の一角にしっかりと根を張るまでになりました。

この昭和30年代から40年代にかけてが「4大公害病の時代」でした。 熊本水俣病が1956年、第2水俣病(新潟水俣病)が1964年、四日市ぜんそくが1960年から1972年、そしてイタイタイ病が1910年代から70年代にかけ相次いで発生しました。

全国各地での患者さんたちの必死の訴えが実を結んで、1970年にはその名も「公害国会」といわれる政策転換が行われました。

さて、中国に話を戻しましょう。冒頭に紹介した菱田氏の言葉は、中国の公害の深刻さは質量共に日本の激甚期を上回るのに、その対策は「昭和30年代並」、つまりなにもされていないに等しいと述べているのです。

中国の公害を難しくさせているのは、公害がひとつひとつのカテゴリーの中で解決されることなく、積み重なってもつれあって拡大深化していることです。

たとえば、広東省北江支流域の大宝山鉱山周辺で発生したガンの多発は、日本が19世紀に経験した足尾鉱毒事件に酷似しています。

また沙瑣頴河(さえいが)流域河南省周口市沈丘県の農村部で見られた、消化器系のガン、死産や乳幼児死亡率の急増、先天性進退障害などは、工場排水による4大公害病の水俣病やイタイイタイ病的です。

先だっては上海の揚子江河口付近の米の土壌からとんでもないケタのDDTが検出されました。これは使用禁止農薬で、検出されること自体がありえないことです。

このような農薬が原因の公害も大規模に発生しています。

そして今騒がれているPM2.5は、ディーゼル車などの自動車排気ガス、石炭火力の煤塵が原因である四日市ぜんそくと都市公害の複合です。

それに加えて、近年のダム建設や道路建設による開発公害、リゾート建設公害、14億を越える人口爆発による砂漠化、草原破壊、そして地球規模の気候変動まで加わって、日本がこの百年で経験したありとあらゆる公害すべてが現代中国に存在します。

これが公害専門家をして、「中国は公害のデパート」、あるいは「公害の生きた博物館」といわれる所以です。

このような、足尾などの古典的公害、水俣、イタイタイ病などの工業が原因の公害、そして都市公害、気候変動までが同時噴出する、これが中国の公害の解決をむずかしくさせています。

本においては、公害列島と言われながら、ひとつひとつの公害病を解決をしてきました。不十分であるにせよ、患者を調査し、救済し、公害工場の操業させて、長い時間かけて破壊された環境を再生した歴史があります。

中国では、解決なきままに放置され、積み重なり、絡まりあって更に巨大な複合汚染体を作り出してしまったのです。

それどころか中国政府は、公式には水俣病やイタイイタイ病は「ない」ものとしています。各種の環境法はあるにはあるのですが、責任の所在追及と患者の救済なき法は、魂なき空文でしかありません。

このことについてもう少し続けたいと思います。

■追記 北海道様。。大変な気象状況で、心配しております。ご無事だったでしょうか?

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コメント

管理人様

お気遣い賜りありがとうございます。

北海道東部では、テレビ・新聞で報道されている通り、大雪・・と言うより「強風」による地吹雪で交通障害やら、死亡事故まで起きています。
北海道東部と言っても広くて、今回の被害は、「根室・北見・網走」(位置的には釧路市の北東部)地域で、十勝では、風はかなり強かったのですが、大きな被害は出ておりません。
母子4人や父子(父親死亡)、女性死亡など、ニュースを聞いているだけで、涙が出てきます。
雪に慣れているとは言え、自然の猛威には敵いません。

これを教訓にします。

ありがとうございました。

投稿: 北海道 | 2013年3月 4日 (月) 13時28分

北海道様、お見舞い申し上げます。

私も94年2月14日の国道113号惨事を経験しましたし(幸い最後の自力脱出者でした。「止まったら死ぬ!」「ガソリン持ってくれよ!」)、何度死にそうな思いをしたことか。実に幸運だったとしかいえません。新潟からの帰りでしたが、たまたま30分早く出られたのが運命を分けました。2速ホールドで心臓バクバク鳴りっぱなしでした。
吹き溜まりに埋まってるクルマを自分の位置ロストしてたまたま交わしたり、対向車の大型トラックが、ヘッドライトだけ一瞬見えて擦れ違ったり…。

その前にたまたま庄内地方在住時には地吹雪とホワイトアウトと吹き溜まりの恐ろしさは実感していました。

亡くなられた方を、「エンジン掛けっぱなしでCO中毒で死んだバカ親子」などという、ネットでの酷い中傷に、大変心を痛めています。

ヌクヌクした部屋でそんなこと言ってる連中は、体験してみりゃ8割は死にますね。

投稿: 山形 | 2013年3月 5日 (火) 13時42分

ヌクヌクした部屋でそんなこと言ってる連中は、体験してみりゃ8割は死にますね。

>>>>都会人は、ホワイトアウトも、地吹雪も、未経験ですので、勝手な、中傷をするのでしょうね。

自分も、ホワイトアウトや、国道渋滞中に、新雪が、50センチ以上溜り、仕方ないので、ブルドーザーで、埋もれた我が車を、引っ張ってもらい、やっと脱出した経験があります。

地吹雪や1時間で、何十センチも、渋滞中に降ると、さすが、スコップ持参でも、間に合いません。

もちろん、4輪スタットレスに、3輪チェーンと、動力輪側には、わざと荷重をかけての走行なんですが、愛知方面は、北陸へ行く8号線などは、数年に1回は、そういう事態になりますね。

北海道との違いは、8号線の廻りは、農家さんが、住んでいるので、おにぎりとか、いろいろ差し入れが、あったりして、地元の人が助けてくれることです。

さすが、地吹雪中は、我慢して、待つ以外には、ありませんけど。。

大体、風が強くて、ドアが、開きませんしね。どうしようもないです。

トヨタとかのカーナビだと、ヘルプセンターに、連絡出来て、GPSで、トヨタ側で、位置を調べて、救助手配をかけてくれますが。。。救助が来るまでは、1晩、我慢せざるを得ない場合も、多いですよね。

自然は、怖いです。地吹雪には、かないません。

投稿: りぼん。 | 2013年3月 5日 (火) 17時25分

山形様 りぼん様

貴重なお話を聞かせていただきありがとうございます。
北海道のテレビでも、冬道運転時の備えを報じています。毛布、防寒具、手袋、使い捨てカイロ、牽引ロープ、長靴、金属製スコップ等々
私が考えると、もう一つ重要なものがあります。常に燃料は満タンにしておく事・・・です。
父子の被害者も燃料切れで、仕方なく歩いて知人方に向かう途中で力尽きました。
私は癖で、マイカーも業務用車も常に満タンにするようにしています。マイカーには、携帯ガスコンロ(キャンプに使うような一口コンロ、ヤカン、水2㍑、紙コップ(断熱材)、ドリップコーヒー、アルファー米、カップヌードルをボックスに入れて積んでいます。(牽引ロープ及びブスターケーブルは当然)
いつ、どこで、どんな災害に遭うか判りません。いつ使うかも判りません。でも日ごろの備えが重要だと思っています。(十勝沖地震の教訓でもあります)

みなさん自然の猛威には敵いません。備えあれば憂いなし・・・で行きましょう。

管理人様 記事と離れたコメントになってしまいました。申し訳ありません。

投稿: 北海道 | 2013年3月 5日 (火) 18時39分

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