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2013年4月

中国新型インフルエンザ事件第12回 WHO疑惑の事務局長・マーガレット・チャン氏

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国際機関の中立性を揺るがすWHO
今や中国政府のおかしな新型トリインフル対策と一体化してしまっているのが、WHOです。
国際防疫機関として、発生国と緊密な連携をとらねばならないのはわかりますが、今回のWOはそれを越えてある種の濃密な「共犯関係」に入ったようにすら見えます。
そして昨日書いたように、2008年にWHOは台湾を「中国台湾省」とする文書を加盟各国に送付し、事実上、台湾を中国のひとつ省(=県)として扱っています。(※1参照)
そのために、今回の台湾での発生はウイルス「国外」への感染拡大ではない、という中国政府の主張を後押しする結果になっています。
その理由を解くためには、このWHOからの「台湾追放」を決定した事務局長であり、今回のパンデミック・フェーズの最終判断をする権限を持つマーガレット・チャンこと、陳馮富珍氏の経歴を知らねばなりません。

出身地香港で消せないWHO事務局長マーガレット・チャン氏の汚名
彼女がWHOの事務局長に選出された時、香港で起きたのは拍手でも応援でもなく、大きなブーイングでした。
香港患者権益協会は、彼女が2003年の香港SARS禍の際の衛生局長(衛生署署長)であったにもかかわらず、「職務怠慢で、逃れられない重責を負っていた当事者である」とし、「中国当局の金銭外交が政治権益の獲得に功を奏した」と批判しています
一体なにがあったのでしょうか?

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香港におけるSARS制圧失敗の張本人と名指しされる
香港患者権益協会はSARSの感染被害者によって設立されたNGOですが、彼らは香港の流行時に、チャン氏が局長を勤める衛生局が、中国に同調して感染情報を隠蔽したとしています。
また、「感染源の追跡調査には非常に鈍感だった」と指摘しています。まさに今の新型トリインフルの余りに鈍く、方向違いすら指摘されている感染ルート・サーベイランス(調査)を彷彿とさせます。
特に、濃厚な感染が見られた淘大花園団地や、プリンス・オブ・ウェールズ病院の封鎖が遅れたために、感染を大きく拡大させてしまいました。
これも、今の上海での感染封じ込めに完全に失敗し、長江流域に拡大させ、ついには北京、内陸部にまで飛び火させた失態に重なります。
また、SARSの対策条例を修正することが後手にまわったために、有効な対策に失敗しました。
これなども、まさに今、チャン氏が事務局長職権として握っているパンデミック・フェーズ3からの引き上げの遅れとも二重写しになります。
 

香港議会が非難動議。そして失職。逃げるようにWHOへ
2003年7月、チャン氏はこのようなSARS対応の失敗により、香港議会(立法会)から職務怠慢を理由に非難動議が提出され、8月には失職しています。
このまま在職していたら懲罰措置をとられるところを、たくみにWHOへ転出で逃げきりました。
氏は患者遺族団体からの「killer」とまで言われる強い批判に対して、未だ謝罪のひとこともないにようです。(※2参照)

■露骨な中国の集票活動
このWHO事務局長に選出される2006年の選挙戦の間、中国の集票活動は赤面するほどあからさまだったと言われています。
まず中国にとって、重要な国際機関のトップを推薦すること自体が最初のことでした。
中国は胡錦濤国家主席が先頭に立ってアジア・アフリカ諸国の集票に動きました。
11月4日に北京で開催された中国アフリカ協力フォーラム・サミット会議時には、援助と引き換えにチャン氏の支持を公然と呼びかけ、WHO執行委員会のメンバー8カ国のアフリカ票を総なめにしました。
この舞台裏で、アフリカ諸国の100億ドルの借款を免除するだけてはなく、巨額のダーティ・マネーが動いたことは公然の秘密だと言われています。
そしてこのようなダーティな金は、アフリカ諸国の場合、国民に行くのではなく一握りの政権一族の懐に転がり込むというのもまた常識です。

中国のチャン氏推薦理由は、「大局に気を配ってくれた」
言う
までもありませんが、一国二制度という美名も元に、民主主義と自治権を剥奪されている香港の大物官僚が、中国政府の大々的後押しで国際機関の長におさまるということの意図は見え透いています。
チャン氏は、地元香港では猛烈な批判にさらされていましたが、中国衛生部の黄傑夫副部長にはたいそう評判がよく、「(中国の)大局に気を配ってくれた」と評価しました。黄氏の言う「大局」とやらは、何か考えるまでもありません。
中国がチャン氏をWHOの事務局長に押し込んだ政治的動機は、彼女がSARSのような事件が再び起きた場合に、つまり現在のような状況のことですが、「北京の代理人」として利用できると考えたからです。

伝染病対応の失敗した人物が、世界の伝染病制御のトップになるとは皮肉だ
香港SARS患者NGOの彭鴻昌氏はこう述べています。
「地域での伝染病感染の対応が、現地政府と社会から強く非難されていたのに、現在全世界を率いて、伝染病の制御や疾病予防を主管する国際重要組織の事務局長に選ばれること、我々は非常に皮肉なことである感じている」。
 

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※1 台湾・自由時報によると香港出身のマーガレット・チャン氏が事務局長を務めるWHO事務局は昨年9月(1)WHOの文書はすべて台湾の名称を「中国台湾省」とする(2)事務局は台湾当局が中国に属さない印象を与える行為を避ける――などとする内部文書を加盟国に送付していた。(「チャイナネット」 2009年5月19日) 

※2 [香港Yahoo!の掲示板での香港人のコメント] 
陳馮富x + "Dr. Killer Yeung  " had taken away so many HK people's life during SARS period !
Now, "Dr.Killer Yeung " went back to Malaysia .......why 陳馮富x  still can do the important position in WHO??

上海市、江蘇省、安徽省、浙江省にGWに渡航するのは非常に危険です!できる限り渡航は自粛してください!

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中国新型インフルエンザ事件第11回 台湾は中国「国内」? パンデミック前夜に中国の面子を立てている場合か!

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われながら、別のテーマに移りたいものですが、やはり今日はこの問題を書かないわけにはいかないでしょう。
中国新型トリインフルエンザのパンデミック・フェーズ格上げと台湾の問題です。
まず、予備知識としてパンデック・フェーズと、その対策については欄外に載せておきました。(※1、2参照)
ちなみにパンデミック・フェーズの和訳はいくつかありますが、「感染爆発の段階」ていどの意味です。
 

2カ国で感染拡大があったのは、フェーズ5の証明ではないのか?
現在WHOは、フェーズ3だとしています。
実にのどかだと思いますが、ウィルス株を中国から送られて遺伝子解析した国立感染症研究所では、既に「ヒト・ヒト感染が限定的にではあるが起きている」と述べ、それを追認するようにWHO自身もそれを認めています。
そして今回、大きな展開がありました。
江蘇省蘇州から上海を経て出張していた台湾の旅行者が、帰国後の24日にトリインフルエンザを発症し、いまだ重体です。鶏との接触はなかったそうです。
つまり、新型トリインフルエンザは、ヒト・ヒト感染によって「国外」に持ち出された可能性が高いのです。
これは明らかに、フェーズ5の「ヒト・ヒト感染が2カ国以上で感染拡大した」という要件を完全に満たしています。
なお、中国とWHOは「なぜ人々の間で感染したのかを示す証拠は不明で、家族クラスター(集団)のいくつかで発生している」というのが統一の公式見解です。(※3参照)

中国と日本では4月末から1週間の大量の人口移動が始まる
中国においても、日本のGWと同様の労働節休日が5月1日から1週間あるにもかかわらず、中国当局とWHOはフェーズ3の指針どおりの「検査・報告」に重点を置いた消極的な防疫対策に終始しています。
かつてSARSでは、中国の2月の春節と、4月末から1週間の労働節休日に感染爆発した経験があるにもかかわらず、今回は「ヒト・ヒト感染した証拠がない」の一点張りで有効な対策を打とうしていません。
それどころか、逆に
中国の衛生当局は、感染が拡大して社会的混乱が大きくなると、これまで毎日行っていた感染情報の発表を24日から週1回に変更するなどの情報隠蔽を強化する始末です。

WHOがパンデミック・フェーズを格上げしたならば時間的猶予を稼げる
もし、ここでWHOが、バンデミック・フェーズを上げて4、ないしは5にするならば、ガードも大きく上がることが可能です。
その場合、加盟各国は以下の対策を準備します。すなわち
「隔離をはじめとした物理的な封じ込め対策を積極的に導入し、ワクチンの開発と接種などの、事前に計画し、準備した感染症対策の実施に必要な時間的猶予を確保するために、最大限努める。」
現に、日本ではワクチン製造計画は開始されていますし、いち早く強制隔離ができる特別
措置法も成立しました。
これは、フェーズ5を想定した対策にほかなりません。感染患者を出した台湾や、かつてH5N1トリインフルで死者を出した経験を持つベトナムなどの燐国のガードも一斉に引き上げられています。
にもかかわらず、かんじんな世界の伝染病対策の司令塔たるWHOのみが低調な対応に留まったままです。

台湾は「中国国内」だから「2カ国以上」の感染ではないと言いたいらしい
感染は、先週に入り、東部の山東省や沿海部の福建省、内陸部の湖南省などにも拡大し、、死者23名、感染者は109名(24日現在)に登っています。

Photo                  (写真 NHKニュース4月27日より引用)

実際はケタがもうひとつふたつは多いはずだというのが、日本の医療・防疫関係者の偽らざる感想なようです。
たぶん10年前のSARSの時のように、労働節(メーデー)の人口大移動の後にさらに激増することでしょう。
にもかかわらず、WTOがここに至ってもパンデミック・フェーズを上げない理由は、もはやひとつしか考えられません。
その理由は医学的理由ではなく、台湾は「国」ではなく中国政府に言わせるとあくまで「中華人民共和国台湾省」という「国内」だからです。

台湾は「台湾省」だという中国の政治的虚構」
台湾回収」を狙う中国政府にとって、台湾が「国内」の一省にすぎないという政治的立場を護持することが絶対的国是です。
しかしこれが、民主的選挙で選ばれた政府と統治機構を有する台湾(中華民国)という実体を無視したフィクションにすぎないことは、常識の範疇です。
というか、私にはそのようなことはどうでもいい。伝染病が中国の「外」に出たという現実こそが重要なのです。
台湾が中国の「内」か「外」かなどという神学論争は、別の時にゆっくりやっていただきたい。
              

WHOマーガレット・チャンは、台湾は「中国台湾省」とする文書を加盟国に送っていた
ところがマーガレット・チャンWHO事務局長は、この中国政府の立場に従属して2010年9月に以下のような文書をWHO加盟国に送付していました。(※4参照)
「①WHOの文書はすべて台湾の名称を「中国台湾省」とする」
「②WHO事務局は台湾当局が中国に属さない印象を与える行為を避ける」
これには、さすがの対中融和路線をとる馬英九総統も「台湾の主権を軽視し、台湾人の感情を傷つけた」と反発しました。
なお、2009年にWHO総会ではオブザーバーとして招聘され、その時は、「中華台北(チャイニーズタイペイ)」という名称に変わりましたが、原則は「台湾は中国のひとつの省である」というのがWHOの立場です。(※5参照)
 

田村厚労相、台湾を「他国」としたことを撤回し、「他地域」に訂正
田村憲久厚生労働相は、25日の記者会見で「他国にまで感染者が出た」と述べたために批判を受けて、台湾を「他国」とした発言を撤回し、「他地域」に訂正しました。
田村大臣は間違ったことを言ったわけではないのに、中国に配慮したということのようです。

ことは国民の健康の問題だ。くだらない中国の面子を立てている場合か!
私は、大臣の対中国姿勢を問題にしたいのではありません。ことは外交的問題ではなく、国民の健康に直接関わる重大事だと言いたいのです。
ここで中国の主張どおり、台湾を「中国台湾省」としてしまえば、中国政府の思惑どおりウイルスの国外流出は「ない」ということになってしまいます。

■ウイルスが飛行機で国際間移動している実態が実証された
私は、台湾旅行者の発症を受けて、中国新型トリインフルは一線を超えた感染拡大をしたと考えています。
H7N9は、限定された地域内感染にとどまらず、航空機で国際間移動した実態か証明されたのです。
しかもこの上海、蘇州というコーズは、中国観光の定番です。このGWにも大量の日本人が旅行することでしょう。
そしてわが国にH7N9型インフル・ウイルスを大量に持ち込むことになります。
それが発症するのは、帰国してから3、4日あとのこと。H5N1型トリインフルエンザ流行時と違って水際作戦すらとっていないわが国は、丸裸同然です。
燐国のわが国は、WHOの判断とは関係なく警戒レベルを一段階引き上げるべきです。
 

感染症との戦いに中国の面子を持ち込むな!
中国は、本来人類として団結して戦うべき新型トリインフルに対して、政治問題を持ち込みました。
そしてWHOも中国におもねって、加盟国、中でも近隣国が「事前に計画し、準備した感染症対策の実施に必要な時間的猶予を確保する」パンデミック・フェーズ4(ないしは5)の警告をサボタージュしています。
伝染病には国境はありません。
パンデミックに備えるべき時期に、つまらない「政治」をもちこまないでほしいものです。

 

 上海市、江蘇省、安徽省、浙江省にGWに渡航するのは非常に危険です!
 できる限り渡航は自粛してください!

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※1 WHOの2005 年版分類
[フェーズ3]
 新しい亜型のインフルエンザウイルスが散発的又は限られた集団に感染し
ているが、コミュニティレベルでの継続的なヒト-ヒト感染は発生していない
[フェーズ4] コミュニティレベルでの発生を継続させる力がある新しい亜型のインフルエ
ンザウイルスが、ヒト-ヒト感染していることが確認された。
[フェーズ5] WHOの1つの地域に属する2か国以上で、そのインフルエンザウイルスに
よってコミュニティレベルの感染が継続している。
[フェーズ6] フェーズ5の条件に加え、WHOの別の地域の1か国以上において、そのイ
ンフルエンザウイルスによってコミュニティレベルの感染が継続している。
 

※2 フェーズ3と4以上の対策上の違い
フェーズ3の対策] 新型ウイルスを迅速に検査診断し、報告し、次の患者発生に備える。
フェーズ4~5の対策] 隔離をはじめとした物理的な封じ込め対策を積極的に導入し、ワクチンの開発と接種などの、事前に計画し、準備した感染症対策の実施に必要な時間的猶予を確保するために、最大限努める。
 

※3 新華社4月25日
http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/dr_okamoto/Forum2/H7N2/No%20proof%20of%20H7N9%20interpersonal%20transmission.htm
 

※4台湾の外交部(外務省)は9日、台湾が中国の一部であることを意味する「中国台湾省」を台湾の名称とすることを再確認する内部文書を世界保健機関(WHO)が作成したことに対し、厳重に抗議する声明を発表した。
同日付の台湾紙が報じた内部文書の存在を認めたもので、台湾独立志向の最大野党・民進党は馬英九政権批判を強めている。
台湾・自由時報によると香港出身のマーガレット・チャン氏が事務局長を務めるWHO事務局は昨年9月(1)WHOの文書はすべて台湾の名称を「中国台湾省」とする(2)事務局は台湾当局が中国に属さない印象を与える行為を避ける――などとする内部文書を加盟国に送付していた。(「チャイナネット」 2009年5月19日)
 

※5 台湾は2009年、中国との関係改善を進める馬英九政権の下でWHO年次総会へのオブザーバー参加を果たし、38年ぶりに総会に復帰した。WHO事務局は台湾の名称を五輪出場と同じ「中華台北」とした招請通知を出しており、馬政権は「主権は損なわれていない」と強調していた。(日経新聞2011年5月9日)

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週末写真館 湖のトラクター

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湖の周りにもうひとつの湖ができるのが、春の田作りです。
すべての田んぼには水が満々と張られ、いたるところでトラクターに乗った泥だらけの男たちが、朝早くから田んぼと格闘しています。
対岸のタワーには滝登りをする鯉登りたちが、男たちを励ましているようです。
さぁ、ほんとうの春です。

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中国新型インフルエンザ事件第10回 WHO福田敬二氏、「これまで見たなかで最も致死性の高いウイルスの一つだ」

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台湾旅行者の感染は、ヒト・ヒト感染している証拠だ
既報のように、台湾で新型インフルエンザの感染が確認されました。
上海と江蘇省に3月28日から旅行し、4月16日に台湾に帰国して3日後に発症したものです。(※1参照)
なお、台湾にも中国からウイルス下部が提供されたそうです。(※2参照)
どのような感染経路なのか分かりませんが、旅行者が生きた豚や鶏と直接接触したことは考えにくいので、市場などの環境中に濃厚にウイルスが放出されている場所で感染したのか、あるいは、これがもっとも疑われますが、ヒトから感染したのではないかと思われます。
だとするならば、これから、このようなケースは確実に急増していくはずです。

018          (図 BSプライム9 4月25日より参考のため引用いたしました。)

人口の大量移動に乗せてウイルスは拡散した
中国にはいくつか大量の人口移動が生じる時があります。そのひとつが春節で、今年は2月9日から14日まででした。
その期間には、上海などの大都会に働きに出ている労働者が、延べ数億人(一説では十数億人)規模で農村部へ帰郷します。
今年の新型インフルエンザは2月中旬に発症し、3月にかけて感染拡大しています。この時期との因果関係はあると思われます。
2003年のSARS 流行時には延べ18億人という膨大な人口が、都市部から農村に移動して流行を拡大しました。
今回も、1月中(一説では昨年中)には、既に新型インフルエンザは発生していたと見られており、それが春節の移動時にウイルス拡散したものだと思われます。
そして、次の大量の人口移動は、いうまでもなく4月から5月にかけてのGW期間です。
 

死亡例の病状進行ケース わずか8日間で死亡に至る
さて感染染死亡した52歳女性の進行状況を、「日経メディカル」(4月12日)の
「中国のH7N9型鳥インフルエンザ、死亡例の臨床像が明らかに」から引用します。(※3参照)
・第1病日 悪寒と発熱40.6度で発症。他の症状はみられず。服薬せず。
・第2病日 救急受診するも投薬のみで帰宅。
・第3病日 胸部X線施行、右下肺野に斑状陰影。抗生剤の経静脈的投与が3日間行われている。咳や呼吸困難は認められず。
・第7病日 咳、呼吸困難の症状が急速に悪化し転院。この時点で急性呼吸不全を伴う「重症インフルエンザを疑われ、気管内挿管・人工呼吸器開始。
・第8病日 抗生剤・免疫グロブリン・ステロイド継続するも状態悪化し死亡。
・第9病日 死後H7N9型感染と診断確定。

新型インフルエンザだと分かった時には既に手遅れ
同誌によれば、このH5N9型トリインフルエンザの難しさは、初期診断でインフルエンザだと引っかからないことです。
「(死亡例の)いずれもインフルエンザとは認識されずに生理的食塩水の点滴や抗生剤の投与をされているうちに最初の48時間が過ぎてしまっている。
(略)発症から抗インフル薬投与まで7~8日間の時間を要している。初診で診察室に現れたとき、どう疑って診断をすすめるべきか非常に悩ましい。検査キットもまだ無い現状で、ある程度過剰なまで抗インフルエンザ薬の投与ということも致し方ないのかもしれない。」

台湾は発症症初期に抗ウイルス剤を投与するべきだった
抗ウイルス剤は、ウイルスが大量増殖してからでは効果が上がりません。
まず、発症初期に咽喉をスワブ(滅菌綿棒)で検査して、インフルエンザに感染していたならばウイルス増殖を押さえるために、この段階から抗ウイルス剤を投与します。
中国も、そして大陸と濃厚な交流がある台湾も、これを怠ったために初期の感染拡大阻止のタイミングを逃してしまいました。
台湾は、今まで何度もトリインフルの度重なる全島感染を経験しています。
防疫体制も、大陸ほどではありませんが、私たちから見ればまだまだ甘い。
おそらくは、既にH7N9の侵入は既に始まっているはずだと考えて対応すべきでしょう。
一方、わが国では特別措置法が成立して強制入院や隔離が可能となったことは評価できます。
しかし、未だわが国の識者の反応は鈍く、「感染力も毒性も弱い。感染拡大を慎重に見極めよう」という認識であるのが危惧されます。

あいまいな「限定的なヒト・ヒト感染」という警告のために対処が遅れた
今回の新型インフルエンザでは、中国政府とWHOから「限定的ヒト・ヒト感染」というようなあいまいな感染警告しか出ていないために、診療した医師はそれをインフルエンザだと疑わないことです。
そのために、初期で叩くべきタイミングを失って拡大させています。
そして、もうひとつ特徴的なのは急激に劇症に突入し、死に至ることです。
多くの場合、抗インフルエンザ剤・タミフルなどの投与をする前になくなってしまっています。ですから、医師が初めから新型インフルエンザだと疑って診断すれば、初診から抗インフル剤を投与するなどして対処できるにも関わらず、的確なWHOからの警告がないために初期対処を誤って死亡させることになります。

台湾に感染拡大した時点でパンデミック・フェーズは5だ
私がパンデミック・フェーズ5に突入した宣言したほうかいいのではないかと思います
。フェーズ5の要件の最大のものは、「人ひとりの感染がWHOが決める2カ国以上で続く大流行直前の兆候がある」ということです。まさに台湾に拡大した今です。
私にはWHOが何にためらっているのか理解できません。
いくらなんでもありえないとは思いますが、中国はかつて台湾をWHOから追放する画策をしており、今も台湾は「国内」という立場です。WHOも中国の主張を受け入れる形で、加盟国に対し「中国台湾省」と表記するよう求めています。
だから、台湾は「二国」ではないということのようです。(※4・追記参照)

WHO福田敬二氏、「これまで見たなかで最も致死性の高いウイルスの一つだ」
嬉しいニュースがあります。WHOから、世界的なインフルエンザの権威が派遣されました。福田敬二医師です。
福田氏は米国CDC(米国疫病予防管理センター)の疫学チーフを務めた後に、2005年からWHOに転じて、2009年H5N1型新型インフルエンザ世界的流行時には、事務局長の特別アドバイザーを務めて、現職は事務局長補です。(※5参照)
氏は中国で1週間の調査後、このように述べています。

「中国で感染が拡大している鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)について世界保健機関(WHO)の福田敬二事務局長補は24日に記者会見を開き、「これまで見たなかで最も致死性の高いウイルスの一つだ」と語った。
 中国で1週間の調査を行ったWHOのチームを率いた福田氏はまた、H7N9型は鳥インフルエンザウイルスとしてより一般的な「H5N1型よりも伝染性が強い」と述べた。WHOによれば、H5N1型による世界の死者数は2003年以降で360人を超えている。」(AFP4月25日)
ちなみにこのAFP電は、わが国ではなぜかまったく無視されて報道されていません。

WHOは方針転換するか?
福田氏はジュネーブに帰り次第、この危機感に満ちた報告をすることでしょう。
氏の「H5N1よりも伝染性が強く、今までに見たなかでもっとも致死性が高い」という分析は、氏がかつてのH5N1インフルと最前線で戦った当時者であるだけに重く受け止められねばなりません。
今までWHO北京代表のオリアリー氏が取り続けてきた、新型トリインフルエンザの脅威度を「今のところ珍しい病気が散発的に発生しているにすぎない」と不当に低く見積もり、隠蔽に走る中国当局との過度な協調路線を取る現行方針を覆せるかが注目されます。
GWを控えた今、パンデミックは目前です

           。.。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。. 

※1 「(感染した)台湾男性はビジネスで蘇州と台湾を往来。直近の蘇州滞在は3月28日~4月9日で、上海経由で台湾に9日戻り、3日後の12日から発熱や発汗、体のだるさなどの症状が出た。16日に入院したが、19日夜から病状が悪化したため、隔離された。いったんは陰性反応が出たが、24日の検査で陽性と確認された」(時事)

※2 「中国での鳥インフルエンザ(H7N9型)の感染拡大を受け、台湾衛生署(衛生省)は11日、中国から1週間以内にウイルス株が提供されると明らかにした。鳥インフルエンザを含めウイルス株が中国から台湾に提供されるのは初めて。これを受け台湾はワクチン製造に着手する。10年前の新型肺炎「SARS」では、台湾には中国から情報提供を受けるルートがなく死者は約40人に上った。」(毎日4月13日)

※3http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/pandemic/topics/201304/529990.htm

※4 WHOパンデミンク・フェーズ5
フェーズ5は、WHOが定義する1地域(図4)の少なくとも2カ国で、ウイルスのヒトからヒトへの感染が発生している状況。この段階ではほとんどの国が未感染であるが、フェーズ5の宣言は、パンデミックが差し迫っており、組織やコミュニケーション方法、感染緩和措置の実施を最終決定する猶予が少なくなっていることを示す最も強いメッセージとなる
http://www.internationalsos.com/pandemicpreparedness/SubCatLevel.aspx?li=9&languageID=jpn&subCatID=25
http://k2r-co.jp/Swine-Flu-Alert-5.html

※5 福田敬二 日本人。医師、伝染病学者としてアメリカ疾病予防管理センター(CDC)、及び世界保健機関(WHO)で要職を歴任、特にインフルエンザ対策における世界的リーダーのひとりとして知られる。(Wikipedia)

追記 台湾はWHOにオブザーバー参加していますが、「地域」であって「国」ではないので「他国に感染拡大」ではない、というのがわが国の見解のようてす。
WHO事務局長マーガレット・チャン氏は台湾の総会参加に対して「チャイニーズ・タイペイ(中華台北)」という名称を使うように求めています。http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/21/dga_0429.html

※追記「中国で拡大する鳥インフルエンザ・ウイルス(H7N9型)感染者が台湾で確認されたことについて、田村憲久厚生労働相は「他国にまで感染者が出た」と述べた。日本政府は「台湾の領土的位置付けに関し独自の認定を行う立場にない」としている。そのため田村氏は発言を撤回し、台湾を「他国」とした発言を文書で「他地域」に訂正した。」(産経4月26日)

上海市、江蘇省、安徽省、浙江省にGWに渡航するのは非常に危険です!できる限り渡航は自粛してください!

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中国新型インフルエンザ事件第9回 国外にまで感染拡大!なぜ中国政府はヒト・ヒト感染を認めないのか?

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日本の感染症研が明らかにしたこと
中国トリインフルは日本の国立感染症研究所で、遺伝子解析され様々な新事実が明らかになったことは一昨日お伝えしました。大ざっぱに言えば、3点です。
①ヒト・ヒト感染が限定的ではあるが起きている。
②ヒト感染ウイルスはトリウイルスと同系列ではあるが、ヒトの呼吸器で生存するに適した変異をしている。
③ヒトへの感染源はブタの可能性がある。(※ただし③は示唆に留まっています。)
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-53db.html

なぜ日本で初めて明らかになったのか?今まで中国とWHOは何をしていたのか?
これについては日本国内でも反応が分かれました。
ある専門家は、「あの」中国がウイルス・サンプルを日本に渡したということ自体を称賛せんばかりで、これ以上中国を批判などして刺激するなと言わんばかりの人もいます。
まぁ、SARSがひどすぎましたからね(苦笑)。
とはいえ、今まで中国当局とWHOは2カ月近くなにをしていたのでしょうか、素朴に疑問です。
これでは中国はともかくとして、WHOもウイルスの遺伝子解析すらできない程度の国際機関だったということになってしまいます。
しかし未だWHO北京事務所代表オリアリー氏は、患者は家族であった為に遺伝子が似ていたので感染した限定的なものだろう、などと寝言を言ってヒト・ヒト感染をきちんと確定しない始末です。
それにしてもなぜ、ここまでヒト・ヒト感染が明確になっているのに関わらず、四の五の言って確定から逃げまわるのでしょうか?
 

おそらく数百人の感染死亡者が既に出ているはずだ
ところで感染症は初動制圧がイロハのイです。発生と同時に、ウイルスの侵入経路と、拡大経路を突き止めて封じ込めねばなりません。
今回、この初期封じ込めは完全に破綻し、大規模な拡大をしてしまっています。
そしてこのH7N9型トリインフルは、゛鳥類には弱毒であっても、ヒトには数日で死をもたらす強毒性だということも明らかになっています。
ですからたぶん既に100名単位、あるいはそれ以上の感染死亡者が出ているはずです。
 

感染患者は隔離病棟にすら入れない
というのは中国には、わが国のような貧しくとも、僻地に暮らしていようとも、均等な医療サービスが受けられる国民皆保険制度が存在しません。
医療の平等もないとは、恐れ入った「社会主義国」があったものですが、基本は患者の自己負担であり、H7N9型トリインフルにかかると隔離病棟に入れられてしまいます。
ところがこの隔離病棟は、1日1万元(約15万円)という超高額ですから、一カ月数万円で暮らさねばならない労働者の数カ月分の月給に等しい額です。
そのために
家族の入院のために家や財産を売った、海外に出稼ぎに出たなどという話が絶えません。
中国メディアの報道では、感染が確認された南京の女性が発症後、治療費に10万元(約160万円)を費やしたと報じられて、「貧困層は発症しても病院に行けない、と感染者の治療費を免除するよう求める声が強まっています。(共同4月10日)
 

新型インフルエンザの「水際作戦」は無意味だ
さて、わが国でも感染が警戒される状況になってきました。
東大医科学研准教授の上昌広氏はいわゆる「水際作戦」を批判してこのように書いています。ポイントを引用しておきます。
「新型インフルエンザの潜伏期間は長く見積もって約10日間ですが、空港利用者の大部分が短期間の旅行や出張から帰ってくる人でしょうから、ほとんどがこの期間中にあると予想できます。空港に着いた時に症状がなければ、どんなに検疫を強化しても発見できませんから、すり抜けて国内に入っていることになります」。
「厚労省は乗客の体温を検知するサーモグラフィーを大量に整備しました。しかしながら、サーモグラフィーでの有症者発見率は0.02%すなわち1000人に2人で、99.8%はすり抜けます」。
つまり、渡航者が感染して国内にウイルスを持ち込んでもそれを国境で防ぐのは極めて困難なために、職場や家庭で感染拡大してしまう可能性が大きいということです。

台湾でも新型トリインフル発生
とうとう大陸以外で新型インフルが発生しました。中国への渡航者で、重体のようです。

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「台湾の衛生当局は24日、中国から入境した53歳の台湾人男性が、鳥インフルエンザ(H7N9型)に感染したと発表した。(略)
衛生当局によると、男性は3月28日から仕事で中国江蘇省蘇州に滞在し、4月9日に上海経由で台湾に戻った。12日から発熱などの症状が出たため、16日に医療機関で診察を受けた。当局は、男性が中国滞在中に感染した可能性が高いとみている。ただ、蘇州では、市場で扱われる鶏などとの接触はなかったという。」(読売新聞4月25日)
やはり蘇州から上海に旅行した人です。ここがもっとも濃厚な汚染地帯だとわかります。

これもWHOがヒト・ヒト感染を認めてパンデミックフェーズ4を宣言しないからです。
WHOの責任は極めて重いと言えます。

感染地域、特に上海にはGWに渡航するのは危険です!

Photo                  (写真NHKnews web 4月15日より引用いたしました。) 

そこで大型連休を前にお願いがあります。私たちにできる最大の予防方法は、感染地域に渡航しないことしかありません。
特に濃厚に、保菌していると思われる豚、犬、トリが混在して生活している上海地域はレッドゾーンだと思って下さい。
今回のトリインフルは、上昌先生が指摘するように、感染しても空港の検疫ラインをすり抜けてしまう可能性があります。
トリインフルの最大の運び屋は、渡り鳥ではなくヒトだということをご理解ください。
 

中国新型インフル問題は、多くの中国公害病と同じようにこのような中国社会の医療体制の不備、貧困層の増大、腐敗した社会体制などの社会問題も絡んでいます。
次回、この問題をもっと掘り下げてみます。

 

 

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これはスゴイ、サトウキビからエタノールと砂糖が同時に

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これはすごいバイエタ技術です。
アサヒビールが(独)九州沖縄農業研究センターと共同開発したものですが、バイオマスが5割増という新品種のサトウキビまで作って、一貫の技術にした点もスゴイ。

まずは、砂糖キビの搾りカスからエタノール作り、同時に砂糖を精製してしまうというひとつで二度美味しい。

これだけでも充分にすごいのに、このプラントのエネルギーもサトウキビのバカス(搾りかす)でボイラー燃やして、廃熱も利用できるために外部電源も必要なし!
というわけで、電源にまでなるから3度美味しいというわけです。

私は沖縄でサトウキビを作っていたことがあるので、ハイバカスも土壌改良で使う以外ない邪魔者だと充分に承知しております。

あのジャマモノをエタノールにということはかねてから考えられて、実際に試験されていたのですが、そこをもうひとつエタノールと砂糖の並行製造してしまい、ついでにバカスまで燃やして電源にするとは、いや、たいしたもの、と素直に敬服します。

アサヒビールは、沖縄の地元ビールのオリオンビールと提携しているので、沖縄と縁ができたのでしょうか。ぜひうまくいって沖縄、先島、奄美諸島といわず拡げて行って下さい。
こういうことを「成長戦略」とやらで支援してほしいものです。

オリオン、こら、あんたのところが本来やることだぞ!

■写真 沖縄本島ヤンバルの風景

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アサヒビールは(独)九州沖縄農業研究センターと共同で、製糖用のサトウキビに比べてバイオマス総量が1.5倍程度となる新品種の「高バイオマス量サトウキビ」を用いて、砂糖生産量を維持したまま低コストで大量のエタノールを生産できる「砂糖・エタノール複合生産プロセス」を開発しました。

このプロセスでは、1回のプロセスでサトウキビから砂糖とエタノールを同時に製造できるだけでなく、製造の際に発生するバガス(サトウキビ搾り粕)のみを燃料として化石燃料を消費せずにエタノールを生産できます。

沖縄県・伊江島で2006年1月から2010年3月まで実施した「高バイオマス量サトウキビ」を用いた実証試験で、現状の砂糖生産量を維持したまま、従来技術と比較して耕作地面積あたり5倍以上のバイオエタノール生産量が得られることを実証しました。

またこのプロセスでは、耕地面積1ヘクタールあたり約40トンの温室効果ガス削減効果(従来技術の57倍)があることを確認し、経済性と環境性を両立する技術であることを証明しました。

この成果は、農林水産省の「2010年農林水産研究成果10大トピックス」に選定されるなど、地球温暖化ガス削減の効果を含めた有望な技術として期待されています。 2011年度は日本初の「砂糖・エタノール複合生産」向け新品種サトウキビKY01-2044※が品種登録されました。また実生産規模での技術の検証を行うなど、実用化に向けて経済性と環境性を両立する技術の開発を進めています。

※ (独)九州沖縄農業研究センターが開発

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中国新型インフルエンザ第8回 あらぬ方向を調査している中国当局とWHO

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WHO北京事務所代表オリアリー氏、「珍しい病気が流行っているにすぎない」
中国駐在WHO代表のマイケル・オリアリー氏はたいそうのどかな人であるようです。彼はこのようにのたまっています。
「今のところ珍しい病気が散発的に発生しているにすぎない。恐らく今後もそうだろう。」(エコノミスト4月18日)
WHOは封じ込めに失敗したにもかかわらず、危機意識はゼロのようです。

ちなみに、中国国家衛生計画出産委員会と、北京駐在WHO代表オリアリー氏はたびたび仲良く共同で記者会見をしています。(下写真参照)
彼は中国政府の「情報隠蔽はしていない」というプロパガンダに利用されていることに、まるで無頓着なようです。
本来、10年前にSARSで歴史的隠蔽をしでかした中国に対しては、国際機関として一定の距離を持ってしかるべきです。
と言っても、オリアリー氏のボスが中国人ではいたしかたないのでしょうが。
このようなWHOの無能が、今回のトリインフルの封じ込め失敗の原因のひとつです。

Photo_2                 (写真NHKnews web 4月15日より引用いたしました。) 

拡がる一方の感染 100名感染、20名死亡
この奇妙なWHOの楽観的姿勢をあざ笑うかのように、22日現在、浙江省の死者1名を加えて感染者102名、死亡20名に達しました。
これが日本ならば、新型インフルで1名死亡者が出ただけで間違いなく非常事態宣言です。

Photo             (図NHKnews web 4月15日より引用いたしました。)

さすがのWHOも、「限定的にヒト-ヒト感染が出ている」と認める
ところが19日、いままで家族内の複数の感染が確認されたことに対して、ついにオリアリー代表は、「家族内で限定的なヒト感染が起きている可能性も否定できない」と初めてヒト-ヒト感染を公式に認めました。
ただし、「別々に感染したことも考えられる」と、それこそ家族3名同時に「偶然に」感染したという考えられないような言い訳つきですが。

WHO「患者の50%は家禽に接触していなかった」
そしてその後、
WHOは、こんな驚くべきことをさりげなく発表しています。
「感染した患者の50%以上は家禽に接触していなかった」(朝日新聞4月21日)
 

ならばどうして感染拡大するのだろうか?トリのウイルスはヒトに直接感染しない
つまりWHOは、感染患者の半分が家禽以外から感染を受けたと言っているわけです。
私たちは大雑把に、「トリインフルエンザ」と呼んでいますが、大槻公一・鳥インフル研センター長は、トリからヒトに感染することはないと断言します。
トリはウイルスのキャリアー(運び屋)であっても、そのウイスルがヒトに直接感染した事例はないからです。
今まで人類は20世紀から3回の世界的なパイデミックを経験しましたが、それらはいずれもトリの直接感染ではなく、豚を媒介にした間接感染からヒト-ヒト感染に拡大したものです。
 

感染症研、「ヒト-ヒト感染は起きている」
4月19日、国立感染症研究所は、「中国における鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスによる感染事例に関するリスクアセスメントと対応」と題するリスク評価を公表しました。
そこには疫学的所見としてこうあります。
「ヒト―ヒト感染の可能性については、3月下旬に同一家族内での複数の有症者が発生した事例があることなどから限定的なヒト―ヒト感染が起こっている可能性も否定できない。」(本文※1参照)
 

感染症研、トリからではなく「別の何者」からの感染を示唆
また、この感染症研のレポートにはウイルス学的所見としてこのような記述もあります。(本文※2)
上海市鳥市場のハト、ニワトリおよび環境からの分離ウイルス3株と、患者のウイルス株を比較したとろ同系列であることはたしかだが、「しかし、両者の間には、明らかに異なる塩基配列もあり、今回報告された鳥分離ウイルスが、今回報告された患者に直接に感染したものであるとは考えにくい。」
これを素直に読めば、上海の死亡患者のウイルスは、トリからではなく家禽類と同系列の「別の何者か」のウイルスからの感染だと示唆していることになります。
 

ヒトの器官温度34度にウイルス至適温度を下げた「別のなにか」とは?
続いて同じくこのウイルス学的所見は、こう述べています。(本文※3)
ヒト分離ウイルス4株全て遺伝子は、「ヒト型のレセプターへの結合能を上昇させる変異」をしていました。
それは、遺伝子の「至適温度が鳥の体温(41℃)から哺乳類の上気道温度(34℃)に低下させる変異」があったことで分かります。
この変異によって、ウイルスは「ヒトの上気道に感染しやすく、また増殖しやすいように変化している」としています。
つまり今回のウイルスは、ヒトに適応するために7度も適温を低下させている株に変異していたのです。
このウイルス変異を起こさせたのは、ヒトと同じ34度という呼吸器の温度をもっている哺乳類だということです。
すなわち、それは豚以外に考えられません。

■感染拡大の原因は豚である可能性が高い
それを示唆する記述が、この報告書にはあります。(本文※4参照)
このウイルスはトリには低病原性であり、家禽に感染しても死亡することは少ないとされています。
ただし、トリやブタには低毒性であっても、ヒトにはわずか3~4日で死ぬ例もでる強毒性です。
そして、豚は静かに感染して発病もせずに、ヒトへウイルスを感染させているので気づかれなかっただけなのです。
 

ブタの調査は屠殺場以外されていない
ではなぜ、豚が感染源であると疑われなかったのでしょうか?
その理由は簡単です。単に調べなかったからです。中国当局は8万サンプルを集めたと豪語しますが、豚の調査は屠殺場があるていどで、農場レベルはまったく調査はしていません。
中国農業省の17日集計によれば、ウイルス調査されたのは以下です。(いずれも全国)
・生きた家禽を売る市場・・・473
・家禽処理場・・・32
・養鶏場・・・896
・野生鳥類棲息地・・・79
・豚屠殺場・・・36
・環境ポイント・・・137
・ウイルス検出・・・家禽市場9カ所・野生ハト39
一見してお分かりのように、養豚場はまったく調査されていないのです。
 

中国当局とWHOが「感染経路がわからない」のは当然
このように見てくると、中国当局とWHOが「感染経路がわからない」のは当然だと言えます。
トリばかり調べていて、間接感染源の豚をノーマークだったからです。
あらかじめ、トリからの直接感染ばかりを重点的に調査しているために、トリインフルといえば豚からの間接感染をまず疑うべきなのに、それを怠ったのです。

早く封じ込めないと世界規模のパンデミックになる
鳥取大学農学部の伊藤壽啓教授は、こう警鐘を鳴らします。
「H7N9型のウイルスは鳥でどこまで感染が広がっているか分かりづらいという難しさがある。仮に、ウイルスがヒトからヒトへ感染するものに変異すれば、あっという間に世界中に広がると考えられるので、そうなる前に感染源を特定し、封じ込めることが必要だ」。(
NHKnews web4月15日)
GWを控えて、上の発生地域には渡航なさらないように強くお勧めします。
もし、わが国に上陸したら一説100万人を越える死者が出るのですから。

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※[シリーズ・タイトル「中国新型インフルエンザ」という標題について
「新型インフルエンザ」は、狭義では大規模なヒト-ヒト感染に至った状況を指します。WHOパンデミック・フェーズ6のレベルのことですが、現時点では3から4に差しかかった段階です。私はあえてこれを標題とすることで、それに至らないようにとの警告の意味を込めて使用しております。

「中国における鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスによる感染事例に関するリスクアセスメントと対応」
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/a/flua-h7n9/2276-a-h7n9-niid/3477-riskassess-130418.html

※1 ヒト―ヒト感染の可能性については、3月下旬に同一家族内での複数の有症者が発生した事例があることなどから限定的なヒト―ヒト感染が起こっている可能性も否定できない。ただし確定例に対する接触者調査からはヒト-ヒト感染は確認されていない。 

※2 上海市鳥市場のハト、ニワトリおよび環境からの分離ウイルス3株:A/pigeon/Shanghai/S1069/2013, A/chicken/Shanghai/S1053/2013, A/environment/Shanghai/S1088/2013)は、遺伝子系統樹解析の結果からは、上記ヒト分離ウイルスのうちの3株(A/Shanghai/2/2013,A/Anhui/1/2013, A/Hangzhou/1/2013)と類似性が高く、同系統のウイルスと考えられる。しかし、両者の間には、明らかに異なる塩基配列もあり、今回報告された鳥分離ウイルスが、今回報告された患者に直接に感染したものであるとは考えにくい。 

※3ヒト分離ウイルス4株全てのHA遺伝子は、ヒト型のレセプターへの結合能を上昇させる変異を有していた。またヒト分離株全てのPB2遺伝子には、RNAポリメラーゼの至適温度を鳥の体温(41℃)から哺乳類の上気道温度(34℃)に低下させる変異が観察された。これらの株については、ヒト上気道に感染しやすく、また増殖しやすいように変化している可能性が強く示唆された。 

※4 今回の4症例、鳥、環境から検出されたウイルスの遺伝子解析の結果からは、これらのウイルスは鳥に対して低病原性であり、家禽、野鳥に感染しても症状を出さないと考えられる。また一般的に、H7亜型のインフルエンザウイルスはブタにおいても不顕性感染であることが知られている。従って、この系統のウイルスがこれらの哺乳動物の間で症状を示さずに伝播され、ヒトへの感染源になっている可能性がある。

■写真 筑波山麓の田んぼも田起が始まりました。

 

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TPP参加決定 国益の格闘技が始まった!

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ま、ご存じのとおり、インドネシアのスラバヤでのTPP11カ国閣僚会議で日本の正式交渉参加入りが決定しました。(資料1、2参照)

なんともドタンバまでNZとオージー、カナダの「頑迷さ」に期待していたのですが、日本側の「すべての品目を関税自由化協議の対象にする」というプシュで、それならば、ということになったようです。

やれやれです。正直、ガックリきましたね。

ここであっちから門前払いしてくれれば、「関税自由化が前提では交渉のテーブルには乗れない」とかなんとか言って、経団連からイヤミを言われること覚悟で堂々と玄関から帰ってこれたのに。

日本はおそらくこのN、豪、加の3カ国がわが国そのものの参加に反対しているのではなく、ほんとうの「敵」は米国だと読んでいたはずです。

わが国が参加するメリットは、ハッキリ言って、こちらよりあちらのほうが大きいはずですから。(逆にいえば、わが国のメリットってなに?)

NZやオージーが突っぱったのはあくまで米国相手の乳製品や牛肉などの問題があったからで、カナダとは米国と似た自動車関税があったようですが、「頑迷3カ国」のほんとうの気分としては「お客さん、いらっしゃい」のはずです。

それを見越したように、わが国がこの3カ国に対して「関税自由化の例外を前提としない」と一札入れれば、「頑迷さ」もトロけるというものでした。

さてこれで泣いても笑っても、7月交渉参加が決まってしまったわけて、批判をすることは簡単ですが、今後はいかにこちらのほうが「頑迷」になれるかにかかっています。

よく言われているようにTPPは年内妥結を掲げていますが、そのようなことは一切無視してTPP域内GDP2位の厚かましさで、わが国の「国益エゴ」を貫き通すしかなくなりました。

だいたいTPP交渉の今までの議事録と資料が手渡されるのが7月交渉の直前なのですから、それで年内結着はないでしょう。 

そもそもTPPとは「国益の格闘技」のこと。どの国も自分の国のことしか考えてはいません

そう言えば3月31日、林芳正農水大臣はNHKの討論番組でこう述べたことがあります。

TPPは『貸し切りバス』であり、日本が入らないとバスは出ない」。(資料3参照)

そのとおりで、「バスに乗り遅れるな」というTPP推進派の言いぐさは、わが国を入れないでTPPがなにかしら意味あるものになると勘違いしている自虐的愚論です。

林農相が言うように「決まっているものにサインするだけなら、席をたって帰ってくる」気合が必要です。

わが国はいかに辟易されようとも、「確かに関税自由化の例外はないと言いましたよ。しかし、6原則5品目は譲るとはひとことも言っていませんからね」と、二枚舌と言われようが、最後に入ってきてちゃぶ台返しとくさされようと、国益を言い立ててねばなりません。

したがって年内結着など、ちゃんちゃら可笑しい。それは日本がいない場で決めたこと、わが国が入った以上ルールは書き換えるのです。

おお、だんだん性格が悪くなるゾ(笑)。そうなのです。こうなった以上「和の国」は止め。負けたら、グローバリズムの植民地になってしまいます。

11カ国の皆さん、ほんとうは去年末に結着といってたのがズルズル伸びていているのでしょう。ここで1年、2年がナンだと言うのです。

わが国としては、国益が犯されるならば、あと何年でも交渉を引き延ばしたらよろしい

引き延ばされても、米国とNZ以外とは既になんらかの自由貿易協定を結んでいるのですから、痛くも痒くもありません。

だったら、そんなにやりたければ米国とは初めからFTAなりEPAなりで対応すりゃよかったのですよ、まったく。

そうすれば、このふたつはネガティブリスト方式、つまり、「原則としてすべてを認可するが、禁止するものだけを一覧表とする」方式ですから、こちらの国益=「エゴ」の品目は初めから議題からはずことが可能だったのです。

今、TPP参加を餌とされた日米並行協議をしていますから、TPPもさることながらつまらない妥協をしないか、私としてはそちらのほうが心配です。

ここでつまらない妥協をすると、実質ここでTPP交渉は終わってしまうのですから。

■写真 菜の花畑に新緑の若木。

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■資料1 TPP閣僚会合、日本の交渉参加を正式承認
読売新聞2013年4月21日00時46分 

【スラバヤ(インドネシア)=宮崎健雄】環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加11か国は、20日の閣僚会合で、日本の参加を全会一致で承認した。

 これを受け、11か国は閣僚声明で「日本の参加は、TPPの経済的な重要性を高める」と歓迎の意向を示した。

 日本は7月下旬にマレーシアで開催が検討されている次々回会合から交渉に合流する見通しだ。通商交渉で先行する韓国などに後れをとっていたが、TPP参加をテコに巻き返しを図る。

 閣僚声明は「日本の交渉参加で、TPPは国内総生産(GDP)は世界の40%近く、世界の貿易の3分の1を占めるようになる」と今回の意義を強調した。

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合出席のため、当地を訪問していた茂木経済産業相は、TPP閣僚会合に急きょ招かれ、参加が正式に承認されたことを伝えられた。

 茂木経産相は記者団に対し、「TPPの議論に最大限貢献すると表明した。国益をかけた交渉をしっかり進めたい」と述べた。

■資料2 「5項目全て」は困難=例外獲得で厳しい交渉―TPP 
時事 4月21日

環太平洋連携協定(TPP)交渉に途中から飛び込む日本は、コメなど農林水産分野の重要5項目で、関税撤廃の例外措置を獲得することを目指す。しかし、ニュージーランドなど先行交渉国は原則100%の関税撤廃という高いレベルの自由化目標を設定。TPPが大幅な例外措置を容認する「2流」の自由貿易協定(FTA)に変質しない限り、5項目全てを例外扱いにする目標は現実味が乏しく、日本は厳しい交渉を強いられる。(

■資料3 農相 TPP参加は公約確認後
NHK2月12日
林農林水産大臣は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、関税の撤廃に例外が設けられるかどうかに加え、食の安全安心に関する基準を守ることなど、自民党が先の衆議院選挙で政権公約に掲げたすべての点を確認できなければ交渉に参加するのは難しいという認識を示しました。

TPP交渉を巡っては、安倍総理大臣が、今月8日の衆議院予算委員会で、今月下旬に予定されている日米首脳会談で関税の撤廃に例外を設けられるかどうか確認したいという考えを示しています。

これに関連して林農林水産大臣は、12日の閣議のあとの会見で、「自民党の公約には、『聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加に反対する』ということ以外にも、5つの項目を掲げている。

5項目の判断基準に反することが明らかになった場合には、TPP交渉への参加は難しくなると思う」と述べ、関税の撤廃に例外が設けられるかどうかに加え、食の安全安心に関する基準や、国民皆保険制度を守ることなど、自民党が先の衆議院選挙で政権公約に掲げたすべての点を確認できなければ、TPP交渉に参加するのは難しいという認識を示しました。

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週末写真館 鯉のぼり

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都会ではなかなか見れなくなりましたが、わが茨城県は5月の節句の青空には、鯉のぼりはつきものです。さわやかな春の空を駆け上る鯉のぼりは、それだけで心踊ります。 

ここ霞ヶ浦湖岸の霞ヶ浦ふれあいランドは、青空を埋めるように舞飛ぶ鯉のぼりが見られます。
筑波山と富士山が一望に見渡せる展望タワーや、道の駅、水の博物館もあります。
ぜひいらっしゃって下さい。

http://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1021229-d1675081-Reviews-Kasumigaura_Fureai_Land-Namegata_Ibaraki_Prefecture_Kanto.html
http://ameblo.jp/shokokai-namegata/entry-10225011606.html

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がんばれ、NZ! 「TPP関税撤廃は無条件」 自民党は6原則、5品目を死守せよ!

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TPP推進派には失礼ですが、大変おもしろい展開になってきました。ニュージーランド(NZ)が頑として重要品目をはずすことを希望するわが国に対してノーを突きつけたようです。(資料1、別情報あり 追記参照)
 

既に米国とは、自動車関税と農業重要品目を取引するような形で「並行協議」しています。これも非常に見えにくいやりとりですね。 

並行協議というのは、「日本がTPPに入る」参加容認交渉と、日米貿易交渉を同時に進めていることです。 

いわば日本はTPPに「入れてもらう」というハンディを背負って交渉しているわけて、実にばかばかしいことをしていることになります。 

ですから米国の弱みである自動車についても、日本側が一方的に譲歩してしまった印象は拭えません。 

このような米国との非関税障壁交渉は、TPP参加交渉と同時に開始されており、今やかつての日米構造協議のような様相になってきています。

たとえば、保険、貿易円滑化、投資、知的財産権、規格・基準、政府調達、競争政策、急送便及び衛生植物検疫措置などの分野で、並行協議の交渉中とのことです。 

まるでこれでは日米FTA(正確に言えば、サービス分野も含まれていますからEPA交渉ですが)、をやっているようなものです。 

事前交渉の内容はTPP参加できようとできまいと、実績として残ってしまうわけで、今からこんな調子だと、本交渉において大丈夫なのかいという危惧が上がって当然です。 

おそらく推進派の人たちは米豪と交渉参加に合意したので、TPP7月会議参加に楽観的な空気もあったでしょうが、お気の毒なことにNZが「関税全面撤廃」の爆弾を降らしてきました。 

NZはなにもわが国を入れたくないということではありません。NZの「主敵」はあくまでも米国です。

日本にいい顔をすると、TPPは多国間交渉なので米国にも自動的に同じ条件となってしまうからです。 

NZはオリジナル締結国として米国の参加自体に消極的でした。それは農業立国としてメリットよりデメリットのほうが大きかったからです。

NZのジェーン・ケルシー教授が指摘する点は、いずれもわが国で問題となってものです。(資料2参照)  

特に、NZも米国が「遺伝子組換作物(GM)について特に強い要求を提案している 」ことに対して強い抵抗をしています。 

まったく同感で、思わず「その通り!」と肩を叩きたくなるほどで、今後もGMに対しては日本と強い共闘関係を作って米国に対抗するべきでしょう。

またNZは、「外資投資による土地・資源などの資産購入について制約を緩和する内容も盛り込まれている 」ことに対しても反対していますが、これも日本では危惧されことです。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-bd04.html 

今回米国とNZが角を突き合わせているのは、特に2点です。 

①TPPの基本的考えは発行後10年以内に例外なく関税をゼロにするものであるが、アメリカは農業について譲歩していない 。
②ニュージーランドの乳業、オーストラリアの砂糖についてアメリカは一切譲歩しないと明言している 。
 

おそらく、やはりかつて私も記事にしましたが、TPPにはこの3条件が存在していると思われます。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-d101.html

①合意済みの部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さない。
②交渉の進展を遅らせない。
③包括的で高いレベルの貿易自由化を約束する

この3条項はカナタとメキシコが去年6月に交渉参加した時点で、既に参加していた9カ国から「念書」(レター)で知らされたものです。 

この「念書」は、念がいったことには極秘とされており、協定発効後4年間秘匿されることは既に、ニュージーランドのTPP首席交渉官の発表で分かっています。 

①の「合意済み部分は蒸し返さない」というのは、「先行して交渉してきた9カ国が合意した条文はすべて丸ごと受け入れなさい2012年以降の参加国には拒否権はありません」ということです。 

②の「交渉の進展を遅らせない」ということは、特定の交渉分野について9カ国が既に合意した場合、その合意に従えという意味です。  

意地が悪いようにも聞こえますが、多国間交渉とはそのように各国の利害が錯綜するために、一国の利害だけで押し切れないということです。 

③は、現在NZがわが国につきつけた「例外なき関税自由化」そのものです。これはきっとオリジナルTPPの約束事であったのではないでしょうか。

それが米国が入った段階で、米国のパワーに押されてグズグズになっていったような気がします。

このTPP参加3条件を死守しているのがNZなのです。となると、NZが切り崩されない限りTPPに入ってはみたものの、内容的に日本にヤバイこと、すなわち③の「包括的で高いレベルの貿易自由化」を無条件で約束させられてしまうことになりかねません。  

私たちとしては、この自前の空軍すら持たない人口444万の「小国」NZの「頑固さ」を大いに応援せねばなりません。

このNZがノーを言い続けるかぎり、わが国はTPPに入れませんから!
ガンバレ、NZ!
自民党、6原則、5品目を絶対に守れよ

追記 なおNZ以外にカナダ、豪州も、「すべての品目を交渉の対象にする」「高い自由化を実現する」などと求め、カナダは米国のように日本車にかける税金(関税)を残すことも主張している。」(朝日新聞4月17日)

追記2 別情報もあります。どちらが真相なのか現時点ではわかりません。
政府は難色を示していたこの3カ国と合意した、ないしは寸前と言っています。いずれにせよ来週にはわかるでしょう。
「甘利大臣は18日の記者会見で、「日本の交渉参加への同意が得られていない残りの国の了解を取るために、意見交換と交渉をしたい。各国の理解はかなり進んできている」と述べました。
これに関連して、政権幹部は「オーストラリア、ニュージーランドなどの同意はほぼ得られた。カナダからの同意も現地で得られるのではないか」と述べ、19日中にすべての参加国から同意が得られるという見方を示しました。」(NHK4月19日)

■写真 風にそよぐ、青い麦。

 

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■資料1 TPP関税撤廃「例外認めず」=ニュージーランドが強硬
時事2013/04/16-22:
 

日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に向けた事前協議で、米国政府の承認後もニュージーランドが関税撤廃の例外を一切認めない方針であることが16日、明らかになった。コメをはじめ重要品目を例外としたい日本側は、こうしたニュージーランドの姿勢について「絶対にのめない」(政府関係者)と譲歩する考えはなく、ニュージーランドの承認が得られる見通しは立っていない。 

■資料2 TPPの危険性を説く、「ジェーン・ケルシー教授 仙台講演会 議事録」その1 10月29日 怒り心頭http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/279ba55cafd2f47b6efb06fc5a7ee9ad

<要旨>
・TPPの協定内容は全てアメリカの議会によって承認されなければならない
・交渉参加国はASEANと自由貿易協定を締結している。つまり障壁があるのはアメリカ
・マイクロソフトはTPPによって知的財産権保護のためDLファイルの有料化を提言している。グーグルはそれに反対している
・外資投資による土地・資源などの資産購入について制約を緩和する内容も盛り込まれている
・漁業権などを外資に購入された場合、漁業で成り立っているような地方の地域への悪影響は計り知れない
・日本の国営貿易会社(主に農産物)に対し、すでにアメリカは反競争主義だとクレームをつけている
・公共工事において外国企業の入札参加の権利を要求している。日本では復興事業に多大な影響が考えられる
・アメリカは遺伝子組換作物について特に強い要求を提案している
・TPPの基本的考えは発行後10年以内に例外なく関税をゼロにするものであるが、アメリカは農業について譲歩していない
・ニュージーランドの乳業、オーストラリアの砂糖についてアメリカは一切譲歩しないと明言している
・パブリックコメントや意見募集において、外国企業も発言可能になるように求めている
・TPPの交渉内容は署名されるまでは非公開である
・TPP加盟国の義務は他の加盟国にも強制される
・投資家にはその国への政策的助言に参加する権利が与えられる
・規則や義務の変更はアメリカ議会の承認が必要となるため、極めて困難である

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再生可能エネルギー FIT制度1年目の総括

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再生可能エネルギーの固定買い取り制度が始まって1年目の評価が出はじめました。
「週刊東洋経済4月13日号」は、FIT(全量固定価格買い取り制度)の特集記事を掲載しています。
結論から言ってしまえば、太陽光には投機的な異業種が食いつき、一方本来はメーンストリームとならねばならない洋上風力や地熱は苦戦しています。
 

太陽光発電 私の予想
私は旧記事(12年5月6日)で、ドイツなどのFITの総括からこのようなことになるだろうと予想しました。

初年度参入を優遇するために高額買い取り価格を実施し、特に太陽光発電に大量の新規参入者が殺到するだろう
その理由は
・立地条件を選ばない
・設備投資が安価である
・技術的に簡単である
・再生可能エネルギー中でもっとも買い取り価格が高い
・利潤の優遇措置が取られた

※関連記事http://arinkurin.cocolog-ifty.com/blog/2012/05/post-c7a2.html

やはり異業種参入で太陽光バブルとなった
東洋経済同記事によれば、太陽光はその法外な世界一の買い取り価格のためにバブルが来ると予想されていましたか、案の定発生しました。
特に住宅向けは既に優遇措置があったために、非住宅系の太陽光設置が進みました。
メガソーラーも飛躍的に伸びました。

・非住宅の太陽光の占める割合・・・全体の74%(385万キロワット)
・1000キロワット以上のメガソーラー・・・742件 (3月末には500万キロワットの予定)
・伸びた理由・・・①最高値である
        ・・・②稼働までのリードタイムが2カ月~1年と短い
 

発電量は公称500万キロワット、実態はその10分の1前後にすぎない
「再生可能エネルギーで原発5基分」、というような大本営発表の数字が同記事には踊りますが、ため息が出ます。
経済誌までそんなことを書いているから困ります。
「太陽光が他の電源と違って原発何基分なんて簡単にいえませんよ」、と私は脱原発派の皆さんに嫌われながらしつこく書いてきました。
原発や火力が「定常発電量」といえば、そのとおり発電しますが、再生可能エネルギーだと気象条件に左右されてしまって、EUの実測値ではその10分の1前後の出力にすぎません。
ですから、メガソーラーが公称1メガワットだとすると、多めに見ても0.12メガワットが実発電量なのです。
あとそうとうに頑張らないと原発1基分に届きません。
この厳しい現実を理解したうえで再生可能エネルギーを考えてくれればいいのですが、脱原発派の人たちはあまりにも短絡的に原発の代替に再生可能エネルギーを考えています。

「奇跡」が頼りの再生可能エネルギー
去年、再生可能エネルギー推進論者の人に説いても絶対に聞き入れてくれなかったことですが、現実にやってみると太陽光も風力にも「奇跡」が必要だと分かりました。
それは常に晴れていること。晴れたり曇ったりめまぐるしく天気が変わらないほうがいい。欲を言えば夜がないほうがいい。
風力では巨大プロペラを回すだけの強風がほしい。いつもコンスタントに吹いてくれて、できれば吹きすぎると壊れるので適当な強風が続くほうがいいというゼイタクな条件です。

電気は生もの 貯めておけないので融通の効かない再生可能エネルギーは不便
おまけに電気は生もの、貯めておけませんから刻々と変化する電力需要に応じた供給を行う必要があります。
ですからドイツでは、気まぐれ電力の再生可能エネルギーがダウンしたり、予想より多く発電してしまうたびに、近所の火力発電の出力を上げたり下げたりしなければなりませんでした。

あるいは余剰が生まれると貯めるための蓄電池も必要となりました。

ドイツは既に太陽光「敗北宣言」
既に
ドイツはFIT(ドイツ名EEG)の買い取り額を20~30%切り下げ、太陽光発電に見切りをつけました。
レットゲン環境相はこう述べています。

後、われわれは、コストが比較的安い再生可能エネルギーの電源を集中的に拡大していかねばならない。それは陸上風力と洋上風力である」。
ドイツははっきりと太陽光からの離脱と洋上風力発電にシフトしようとしています。
では、、この風力発電は善戦しているでしょうか?

風力発電 私の予想
風力発電では、予想どおり風力発電最大のネックの送電網問題が浮上しました。
私は風力発電が風力が平均6.7メートル以上ある北方に傾くために、旧来の送電網を大幅に建設せねばならなくなると予想しました。

風力発電は有力な電源だが、送電網の不足がネックになるだろう
・風力発電適地は、青森県、北海道、鹿児島県、福島県、静岡県、秋田県、鹿児島県
ここに大規模な風力発電所を導入した場合、工業地帯のある関東地方にまで電気を輸送するには、南北に串状に基幹送電網を建設せねばならない
・距離は北海道からだと直線距離で約1000キロ、東北200~580キロ、北陸450キロという
膨大な建設支出をせねばならないだろう
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-9dc0.html

苦戦中の風力、地熱発電
異業種の参入が相次ぎ活況を呈する太陽光と較べて、風力と地熱は厳しいものがあります。
風力は、低周波公害や景観破壊、バードストライクなどの影響が出るために、「最初の風況調査・住民説明に2年、環境アセスで3~4年必要とされる。さらに、建設にも1~2年かかる」(同)そうです。
結果として、「20万キロワット以上の風力発電の新規設備で、FITの認定を受けたのは2件のみ」といったところです。
地熱はやはり温泉協会との確執が表面化しています。
「地熱発電にしても、日本は米国、インドネシアに次ぎ世界3位の潜在力を有するといわれるが、自然公園の規制や温泉への影響が壁となって、なかなか開発が進まない。」(同)
 

■送電線が不足!風力の悩み
実情は、日本風力発電協会の斉藤哲夫企画局長は送電線問題についてこう懸念をしめしました。
「風力発電のポテンシャルのほとんどが(風況のいい)北海道、東北に集中しているが、両地域は電力会社の送電容量が小さい。建築基準法や環境アセスの制約のない太陽光に送電線への接続枠を先に占有されてしまうおそれがある」。(同)
やはり系統送電網の接続が大きな問題のようです。

この問題は長くなりますので続けます。

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中国新型インフルエンザ第7回  WHOはフェーズ4かどうかの現地立ち入り調査をするべきだ!

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「疑問その12] 中国政府推薦で当選したマーガレット・チャン事務局長
WHOのパンデミックフェーズを3から4(6段階で上から3番目※参照)に上げる最終決定権は事務局長がもっています。今、その席に座っているのは、マーガレット・チャン(陳馮富珍)女史は香港出身です。
彼女は2003年にWHOに入りましたが、
中国政府の後押しで当選した事実上の中国選出事務局長だと見られています。
2008年、日本が推した尾身茂WHO西太平洋地域事務局長を破って事務局長の座を射止めました。
チャン氏は、78年に英統治下の香港政府入庁し、94年6月から03年8月まで香港政府衛生局長という防疫・衛生トップを務めました。
その任期中の97年にトリインフルエンザ流行では高く評価されましたが、その時とった手段が徹底した殺処分だったのは、今のやっているのかいないのかわからない中国の現状を見ると皮肉としかいいようがありません。
2003年のSARS流行時には、事態を軽視して対応が遅れたと強く批判され、今でも香港の書き込みに「killer」と呼ばれている始末で、喚問すら受けています。
WHOは客観的にみても明らかに中国政府寄りの立場をとっており、かつてのWHOがもっていた緊張感は皆無です

■[疑問その13]パンデミック・フェーズは3でなく、4に進むべきではないのか?
現在の中国の状況をWHOはフェーズ3としています。
フェーズ3とは、「インフルエンザウイルスが、ヒトにおいて散発例を発生させるか小集団集積症例を発生させたが、市中レベルでのアウトブレイクを維持できるだけの十分なヒト-ヒト感染伝播を起こしていない状態」を指しています。
上海にだけ局地的に発生していた時点ではそのとおりでした。
しかし、今や感染は長江デルタ地帯から離れて、北部の首都北京、内陸部の河南省にまで拡がっています。
今は次のフェーズ4、すなわち「ウイルスのヒト-ヒト感染伝播が確認され」、「パンデミックになることが既定の結論である」とはいえないが、「WHOと発生国は共同で状況を評価」するレベルか否かを判断すべき時期」に当たっています。
このフェーズ4と認定されると、中国は自らのみの判断で対策を立てることは難しくなり、必ずWHOとの協議をせねばならなくなります。
そしてこれがさらに拡大すれば、フェーズ5「1つのWHO地域で少なくとも2つの国でウイルスのヒト-ヒト感染拡大がある」国外感染へとつながります。
つまりフェーズ4は、国際的パンデミックになる前夜という重要な分岐点という判断です。
WHOのフェーズ4指針はヒト-ヒト感染ですから、そうであるのかどうなのか、中国当局任せにするのではなく、WHOが自ら立ち入り検査をするべきではないのでしょうか。

WHOは現地立ち入り調査をするべきだ
近々、SARSについて調べてみるつもりでいますが、当時のWHOのとった姿勢は、軍病院にまで患者を隠して隠蔽工作に走る中国当局と、ケンカに近いやりとりをして情報を引き出しています。
今回のWHOを見ると、かつてのWHOとは別組織のように及び腰です。
中国政府にすり寄る姿勢が濃厚な香港に影響されたのか、マーガレット・チャン事務局長は、「10年前とは較べものにならない進歩をした」などと持ち上げる始末です。
ならば、どうしてその「進歩」とやらを実証するために現地調査をしないのですか。    

北京政府と上海市のプレスリリースの口まねするのが、WHOの仕事ではないはずです!

※WHOパンデミック・フェーズ 感染症情報センターhttp://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009who/09who21.html

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 中国新型インフルエンザ第6回 WHO 中国当局は、最悪の状況に追い込まれない限り、われわれには本当のことを明かさない

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[疑問その6] 今年3月に突然発症したのではなく、実はかなり前から潜在して蔓延していたのではないだろうか?
中国の公式発表では2007年12月が最古のトリインフルの感染事例です。しかし、それから5年間まったく何もなく、突然今回ヒト感染が発生するのはあまりにも不自然です。
中国の獣医師が民主化グループに話した未確認情報によれば、家畜や家禽への大規模感染は昨年末からすでに中国の一部地区で発生していました。
当局は例によって隠蔽していましたか、今回ヒトへの感染が複数出たことで隠しきれなくなって公表したとのことです。
 

■[疑問その7] 未確認情報では頻発しているがほんとうだろうか?
同じく法輪講系「大紀元」による未確認情報によれば、
「昨年4月から5月にかけて、河北省石家荘市で発生した鳥インフルエンザは最も深刻で、家畜の死亡率は80%に達したという。
 また、昨年12月頃から、河南省や、山西省、陝西省などの各地で、ニワトリの鳥インフルエンザが大規模に発生し、陝西省では約50%が病死または殺処分された。
当局はこのことを公表せず、報道もしなかった。20数年来で、これほどの感染は初めてだ」とのことです。
また西北農林科技大学の獣医師・劉増耀氏のミニ・ブログへの書き込みでこのように述べています。

「毎年、初冬と初春には、口蹄疫と鳥インフルエンザが各地で発生する。政府は情報を隠ぺいしてきたが、今回は隠し通せなくなったため、公表するしかなかった」(同)
これらの情報はいうまでもなく、もはや中国当局の協力なくしては調べようもありません。
そしてそれがありえない以上、もはや闇の中です。
ただし、このように多くの感染の温床がなくては、今回のような大規模なヒト感染はありえないと考えるべきではないでしょうか。

■[疑問その8] 奇妙に楽観的な中国専門家の自信はなにが根拠か?
新華社(英語版)によれば、中国政府の獣医官のYu Kangzhens氏は、「暫定的解析によれば、H7N9トリインフルエンザは家禽の間で流行を引き起こさないことを示している」と述べています。
この認識は、「強力な生物学的安全確保措置と衛生対策が不可欠である」と勧告しているFAO(国連食糧農業機関)の見解とは正反対です。
この世界常識に反する中国当局の「感染しない」という自信はなにに由来するのでしょうか?
 

■[疑問その9] なぜWHOは、情報隠蔽の確信犯である中国政府を擁護するのか?
WHOの関係者は、かつて「中国当局は、最悪の状況に追い込まれない限り、われわれには本当のことを明かさない」と語ってたことがあります。ほんの数年前までのことです。
また、FAOは、「中国当局の許可なしに、専門家を感染地に派遣調査することはできない。中国の本当の伝染状況を把握するのは困難である」と指摘しました。
中国の政治-社会体制はあれからまったく変化していません。今回も肝心な情報
はまったく公表されていません。
WHOはなにをして中国当局を「進歩している」と評価しているのか、香港出身の事務局長マーガレット・チャン女史に聞いてみたいものです。

■[疑問その10] 中国当局にとってトリインフル情報は治安事件か?
今回の上海事件でも、ツイッターで未確認情報を流しただけで数名が治安攪乱で逮捕されています。
それは中国当局がトリインフルエンザに関する情報を国家機密扱いとしている歴史があるからです。

トリインフルエンザ研究の専門家である香港大学微生物学の管軼助教授は、2005年7月、英科学誌「ネーチャー」に、中国南部地域がトリインフルエンザの世界的発生源である可能性を指摘した論文を掲載したことにより、国家機密漏洩罪で、ウイルスのサンプルを押収され、研究中止に追い込まれました。
また、中国青海省で大発生したトリインフルエンザの情報を漏らしたとして、2005年6月には8人が逮捕されています。

私たちからみれば「単なる」伝染病でしかありませんが、中国政府にとっては体制批判につながりかねない「治安事件」のようです。

■[疑問その11] 中国国内の未確認情報では2005年までに死者300人超が出たという情報があるが?
また、2005年の末までに中国13省で発生したトリインフルエンザ感染者数は、死亡310人、隔離だけで5554人に達しているという未確認情報もあります。
もちろんこれも確認のしようがない情報です、中国の公式発表では死亡者はわずか2人なのですから。

ベトナムなど周辺諸国では2003年12月の最初の患者発生以降、32省・都市で92件発生し、42人が死亡したことを考えると、人口が17倍の中国がベトナム以上の蔓延状態にありながら、たった2人というのはありえない数字です。
ただし、ここでも中国が「普通の国」になって情報公開が当たり前になされない限り、闇の中です。
今回これだけ感染患者が出でいれば、その数百倍、いや数千倍の感染者がいるはずです。

※初回アップした後、あまりに長いので下半分をカットし明日に回すことにしました。

                ○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*

■新型インフル特措法、13日施行=中国のH7N9型で前倒し―閣議決定   
時事通信 4月12日(金)8時52分配信

 政府は12日、新型インフルエンザへの対策を定めた特別措置法について、13日から施行することを閣議で決定した。中国でのH7N9型鳥インフルエンザ発生を受け、施行予定を早めた。
 政府は特措法に基づき、16日に感染防止策や医療対策の手順を盛り込んだ行動計画案を有識者会議に提示。計画は5月末にも決まる見通しだ。各都道府県はこれに沿った形で、より具体的な行動計画を作る。
 特措法では、世界保健機関(WHO)が、動物由来のウイルスが人から人に感染が続いていることを示す警戒レベル「フェーズ4」(6段階で上から3番目)を宣言した場合などに、厚生労働相が新型インフルエンザの発生を認定する。 

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中国新型インフルエンザ第5回 中国当局は中国GPのために情報隠蔽した?


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北京でも7歳の子供が感染 上海では夫婦間でヒト-ヒト感染?
13日、新型インフルエンザのヒト感染は、とうとう北京に飛び火しました。女児の親は鶏解体業をしていたとされ、そこからの感染であると見られています。
また、上海市では感染者の夫の感染が確認されました。夫婦間で感染したのかは不明ですが、最悪のケースとしては、ヒト-ヒト感染が始まった可能性もあります。

そして、長江周辺から内陸部の河南省にも感染が飛び火しました。
死者は上海で新たに亡くなった2名を加えて13名となっています(14日現在)。
もはや全国規模の感染拡大となりつつあります。

ウイルスは生きた家禽やヒトが伝播する
あらためて確認しますが、イ
ンフルエンザ・ウイルスは、死んだトリやアヒルなどの体内には数時間しか生息できません。
ウイルスは鳥類か豚、あるいはヒトの呼吸器の中で移動するしか手段がないのです。
だからこの「ウイルスの移動手段」の家禽類を、発生地点から数㎞の範囲で殺す防疫体制をとっています。
これを怠ったためにそこかしこで感染拡大が進み、とうとう北京でも出てしまったのです。
 

感染拡大阻止には三つの手段しかなかったはずだ
中国当局は最初の感染が出て、すぐに三つのことを徹底して行わねばなりませんでした。
第1に、何度も言っているように発生点周辺の徹底した消毒と家禽類の殺処分です。
第2に、感染を発症した人の家族関係や職場での動きを徹底して追跡し、感染のルートを確かめねばなりませんでした

ヒトは殺すわけにはいきませんから、感染の可能性がある人の感染ルートを調べて対策を打つのです。
そして第3に、徹底した伝染病の感染情報の公開です。情報の透明化がなされないと、家畜業者や市民は危機だと思わずに思わない所まで感染を拡げるからです。

伝染病の情報公開シミュレーション
ではなぜ
、中国当局はこのような対策をとらなかったのでしょうか?
とらなかったのではありません。とれなかったのです。

宮家邦彦氏によれば、キヤノングローバル戦略研究所が伝染病の際の情報公開のあり方について、学者、ジャーナスト約40名で政策シミュレーションを実施したことがあるそうです。
シナリオの設定条件は
「アジアの隣接する2つの国家で原因不明の致死性の高い伝染病が同時に発生し、疫病の影響が徐々に両国の首都圏にまで拡大する」(日経BP)というものでした。
まさに首都北京まで感染拡大が及んだ、現在の中国の状況を予言したような内容に驚かされます。
 

シミュレーション結果は、情報の公開を誤れば独裁政権は崩壊すると出た
この伝染病シミュレーションで得られた情報公開の結果は、以下のようになりました。
①公開する情報の迅速さと正確さは二律背反する
②情報開示はタイミングが重要
③政府提供情報が多いほど、メディアは政府にコントロールされやすい
④公開する情報が少なくても、国民は情報不足に慣れていく(政府批判には繋がらない)
⑤独裁政権ほど情報公開のタイミングを誤れば崩壊する
⑥情報公開が進んだからといって政権が安定するわけではない

不利益な情報は隠蔽できるし、せねばならない国
中国という国は、一握りの太子党(※参照)というスーパーリッチが冨を寡占する国家です。
そして太子党は、国をどうしようという戦略目標もなければ、社会目標もありません。
彼らには理念もなく、先代の作った権力の上にあぐらをかき、富を食い散らすためだけに社会があると思っています。
たとえば、現職の共産産党統一宣戦部長のドラ息子は、北京でフェラーリを暴走させて大事故を起こしましたが、ただちに父親が隠蔽してしまいました。
権力者は自らにとって不利益な情報はあからさまに隠蔽できるし、いやむしろ政権維持のためには積極的にそうせねばならないのです。
 

上海中国GPの1カ月前に発生した上海インフル事件
現在の中国は、前述のシナリオの⑤、⑥の「情報の出し方を誤れば政権崩壊しかねない時期」に当たっています。
ところがこの4月12日から14日まで、こともあろうに場所もあろうにこの上海でかねてから予定されていた国家的プロジェクトが予定されていました。
それが中国GPグランプリです。
このF1レースは、中国が繁栄のシンボルとして国家の威信をかけて開催するものでした。
新型インフルが発生したのが2月中旬、1例目の死亡が確認されたのが3月、開催まで1カ月を切ってのこの事件に、おそらく中国政府は震撼したことでしょう。

この国家プロジェクトのために、情報隠蔽をし、適格な防除作戦をしなかった 
彼らは、共産党独裁国家が常日頃取り続けている手慣れた方法をとりました。
それは情報を封じ込め、なにもなかったが如く「平穏な街」と不安などミジンも感じさせないない「平和な市民の様子」を演出することです。
情報は都合のいい一部だけを公開して、それを騙されやすい海外のメディア
やWHO、FAOに伝え、危険な部分は慎重に封印しました。
死者が発生した市場には石灰の痕跡もなく、常日頃と変わらずトリが並べられ、殺処分を焼く煙も見えず、係員がのどかに公園に「感染防止のために」鳩を追う茶番の姿が見られました。
感染症など姿形も見えない、平穏で繁栄する中国社会がそこにありました。

観光客ほど好適なウイルス拡大の媒体はない
そして結果は?正直に言えば、あまり考えたくはありません。
オリンピックや世界博のようなイベントは、ウイルスにとってもまたとない世界交流大会なのです。
観光客という「善意の感染媒介者」ほど、感染症を世界中に運んだ媒体はこの世にはありません。
観光客が踏む土地、接触する現地の人、感染される状況は数かぎりなくあります。
もはや防ぎようもありません。
観光客の靴と服、時にはその呼吸器そのものが最悪の感染症の媒体なのですから。
そんなことは、新型トリインフルが蔓延する街に数万人の外国人を集める巨大イベントを催せばわかりきったことだったはずです。
グローバリズムとは、感染症のグローバリズムでもあったのです。

中国は時限装置つきウイルス爆弾を世界にバラ撒いた
持ち出されたウイルスは世界各地で変異を始め、地場のウイルスと混合しあって新たに強力な新種のウイルスを作っていくことになります。
弱毒株は強毒株に変異し、ヒト-ヒト感染して拡がっていくでしょう。
ヒトこそがウイルスにとって最良の乗り物だからです。
かくして、中国は時限装置つきウイルス爆弾を世界にバラ撒いたのです。

太子党(たいしとう )とは、中国共産党の高級幹部の子弟等で特権 的地位にいる者たちのこと、あるいはその総称である。世襲的に受け継いだ特権と人脈 を基にして、中国(あるいは華僑社会)の政財界に大きな影響力を持つ。(Wikipedia)

 

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週末写真館 春爛漫

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いっせいに芽吹く春。同じ青葉でも様々な濃淡があります。

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蜂がうるさいほどです。彼らは人間が近づいても驚くことなく蜜を吸い続け、花粉を重そうにぶら下げて帰っていきます。

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三寒四温とはよく言ったもので、つい最近までこんな霜がホトケノザに積もったこともありました。

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プラムの白い花です。梅の親戚なのでやはり梅に似ていないこともないのですが、西洋のはかなり違いますね。なんというのか、哀しくないのです。

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若葉が燃え、ウグイスが下手な歌を唄いだす春。
ところが、春は農家が一番忙しい季節。
稲の苗作りも終盤。春植えの種まきも一斉に始まりました。
村で最初に田植えをするのが自慢のオジィは、もう一枚済ましてしまって得意顔。
まだ水が冷たかろうにと、村の衆。
春爛漫。
春のどかにして多忙。
樹木と昆虫と鳥たち、そしてわれら農民が一番幸福な季節。

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中国新型インフルエンザ第4回 ズサン極まる防疫体制 守られぬ移動制限 発生市場に生きたトリ並ぶ

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閔行区、松江区の市場は共に通常営業
「週刊文春」(4月18日)によれば、上海閔行区の市場は死亡者が出た店だけが閉鎖されただけで、ほかは通常どおりの営業だそうです(苦笑)。
鶏は出荷停止になっていますが、様々なルートで売り買いがなされており、事実上放任状態のようです。
豚肉はまったく制限がなく、従来通りの搬入と売買が続けられています。

石灰すら撒かれていない
私にはトリインフルの経験があります。
2005年の茨城トリインフル事件です。ヒトにも感染し、重体患者こそ出ませんでしたが、13名の養鶏場従業員の血清検査でH5N2抗体価が4倍以上増加していました。
トリインフルが、ヒトに感染することをわが国で初めて実証した事件でした。
茨城だけで40農場 鶏約568万羽の殺処分が行われました。
当時、私たちの地域はどこもかしこも石灰の散布のために白い雪景色のようになり、いたる所に消毒液の臭いが立ち込めたことを鮮明に覚えています。
ところが、この中国では、死亡者が多数でているにもかかわらず、石灰の散布すら見られません。
死亡者が出てわずか半月で開業し、生きたトリが売り買いされているのです。
もう別世界としかいいようのない異様な光景です。

Photo
C                                       hina / Padmanaba01

1例目・閔行区市場で開業する27歳男性の場合
「2月末に風邪のような熱を出し、原因不明のまま治らないので、実家のある江蘇省にかえって入院したが、そのまま死亡した」とのことです。病院から200万程度の見舞金を貰った」そうです。
「3月6日に病状が重篤になった際も完全隔離されず、同じ病室に3〜4人の患者がいたという。」(レコード・チャイナ4月5日)
この男性がトリインフルであったにもかかわらず、隔離措置をとらなかったために、この病院が新たな感染ハブ(※欄外参照)になった可能性は高いと思われます。

2例目・同じ閔行区市場の近隣の老人 次男も同じ症状で死亡していた
2例目はこの1例目の出た市場から400mほど離れた場所に住む男性(87)で2月19日に発症氏、3月4日に亡くなっています。
1例目とほぼ同時期で、こちらは無免許医師にかかってその後入院していますが手遅れでした。

「治療を受けた上海第5医院の同じ階には、数部屋隔てた病室に別の患者が入院していた。完全に隔離された状態ではなかったという。病院関係者の1人によると、男性の入院を確認したのは2月末。家族3人の病状が重く、男性が死亡した際は病院が「特殊死亡事例」に指定された。関係者は病室へ入る際はマスクを着け、退出時に捨てるよう命じられたという。 」(同)
注意すべきは共に感染症の症状呈しているのに、隔離がなされていないことです。死亡してからようやく「特殊死亡事例」としてマスクが使われたようです。

また、この男性の長男(69)と次男(55)も同時期に同様の症状を発症しており、次男は既に死亡しています。
これは新型インフルの可能性が濃厚ですが、当局からはなんの発表もなく闇の中です。
 

5例目・外資系企業(?)の食堂調理師の場合
5例目は38歳男性の調理師で、上海から50キロ離れた太倉市の外資系企業の社員食堂で働いていました。
杭州出身で、共に働く妻は既に帰郷しています。
かなりの確率でこの妻も感染している可能性が高いにもかかわらず、当局はなんの措置もとっていません。
気になることは食堂という感染ハブで発症していることで、しかもそれが外資系だという点です。
もし感染拡大があった場合には、外国に流出する可能性もあります。

南京市ではまったく無制限に家禽類を販売 感染ルートなどわからなくて当然
4名の感染者が出ている南京では、まったく平常どおりに生きたままの鶏やウズラが販売されていました。
いちおう、感染が発覚する前に仕入れたとのことです。
もはやなにも驚きませんが、いかに中国の防疫体制がザルというのもおこがましいあってなきが如しなのかがよく分かります。
ここまで移動制限がないに等しいと、「感染ルートの解明は難しい」(WHO)もなにもあったものではありません。

現代の防疫常識が通用しない「防疫の暗黒大陸」中国
遡行調査とか、発生動向調査など私たち日本の防疫常識をを説くのがバカバカしくなりました。
そんなことのはるか以前のレベルです、中国は!

このズサン極まる防疫体制、守られぬ移動制限、発生市場に生きたトリが並ぶ光景こそが、現代中国です。
今後ウイルスの温床と感染の恒常化で毎年のように感染症で多くの人が亡くなり、常にアジア全体に感染症ウイルスを供給し続けるブラックホールとしてあり続けることでしょう。
中国国民にとっても、近隣諸国にとってもそれは大変に不幸なことですが。

渡り鳥ルートだけではない黄砂運搬説
さて中国青海湖のコブハクチョウによる渡り鳥によるトリインフル拡散ルートはよく知られていますが、今新たに指摘されているのが黄砂運搬説だそうです。
名古屋大学名誉教授・岩倉泰信氏によれば、黄砂は直径10マイクロメートルで、微生物にとってちょうど手頃のボートのような大きさだそうです。

セレウス菌などは黄砂に付着して、数千キロ離れた日本に飛来するのが確認されており、トリインフルに関しては実証例はありませんが、可能性としては大いにありえるそうです。
ちなみに、あの宮崎口蹄疫にも黄砂運搬説があるとのことです。
宮崎県で口蹄疫やトリインフルが多い理由として、宮崎県に黄砂飛来が多いこととなんらかの関係があるかもしれません。
まぁ、この中国の凄まじい中国の現実を目の当たりにすると、翼手龍が運んできたと言われても、私は信じますよ(笑い)。

※[感染ハブ] 車輪のスポークが集まる車軸のように基点となって、そこから感染を拡大させるポイントのこと。人や家畜が集まりやすい場所か多い。

※先日の「疑問」の後半部分は月曜日に掲載します。明日は週末写真館です。

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中国新型インフルエンザ第3回 中国当局への7つの疑問  まだ発生現場の家禽市場では鶏肉を生で売っていた!

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新型トリインフルの公表情報はごくわずかにすぎない
わが国の畜産関係者は、今回の上海新型インフル事件を冷めた目で見ています。
新聞、テレビのニュースは上海市当局のリリースそのままで、独自情報は皆無に近い状況です。
香港出身のマーガレット・チャン事務局長に率いられたWHOは、「10年前とは比較にならない。大変に進歩している」と手放しで称賛していますが、それにしては昨日の記事でも書いたようにどのような防疫作戦を展開しているのかさっぱりわかりません。
そこで、しつこく今日もわき上がる
疑問を拾ってみました。

■[疑問その1] 発生から50日間もたって、なぜ発生源が特定されないのか?
なにより最大の疑問は、1例目は2月19日に発症し、3月4日に死亡しており、それから実に50日近い日がたっているにもかかわらず、なぜ発生源が確定しないのでしょうか?
1例目は上海市閔行区の家禽市場の従業員から発生しました。ただし、ここは感染が表面に出た場所であって、発生源そのものではありません。
発生源は別にあるはずで、近郊の養鶏場だろうと思われますが、いまだ公表されていません。
感染源の特定は真っ先にされるべきもので、それがいまだ不明とはありえないことです。
 

■[疑問その2] 死亡者がすべて鶏と関係する職業なのに、なぜ発生源を絞りこめないのか?
死亡者の職業は、家禽市場の従業員、鶏の搬送業者、調理師、農家などです。
すべて、鶏を直接に触る立場にいます。トリインフル・ウイルスはトリの呼吸器や羽毛の中に多く生息しています。
死亡者はこれに直接接触してしまったために感染したことは疑いもないことです。ならばこの鶏がどこから出荷されたのか調査すればいいではないですか。こんなことは中坊にでも分かることです。
3例目の死亡した男性は鶏の搬送業でした。彼の持っていた出荷伝票が存在しているはずです。
どこの養鶏場が出荷したのか、とっくに調べはついているはずです。
こんな初歩的な情報がなぜ出てこないのか、そしてなぜそれを外国マスメディアが疑問に持たないのか、そのほうがよほど不思議です。
 

■[疑問その3] 感染ルートがなぜ明らかにされないのか?
発生源が特定できれば、この農場の従業員が2月から3月にかけて、どこに行ったか、その時に靴は何を履いていたか、消毒はしたかなどを丹念に聞き取りしていきます。
この調査をすれば、「点」と「点」が結びつけられて感染ルートが分かってきて「面」になります。
これが防疫における「遡行調査」です。今まで日本で起きた多くの家畜伝染病は、この手法で、ひとつひとつまるで刑事の聞き込みのように証拠を集めて発生源を特定し、感染ルートを辿っていいく地道な作業をしていきました。

この感染ルートもまた明らかにされていません。理解に苦しみます。

■[疑問その4] もう既に農村部でも感染拡大しているのではないか?
発生源とその周辺では広範囲にウイルスが拡散しているはずです。
発生源の農村部周辺は言うに及ばず、持ち込まれた上海などの都市部でも野生動物までふくめて広域に汚染が進行していると考えられます。
その場合、家禽、豚を移動禁止にして、スクリーニングし、その結果次第で殺処分の決定を下します。
この農村部の発生源の大本を野放しにしたまま、テレビカメラの前で公園のハトなどを捕獲してみせる演技にはうんざりさせられます。まるで悪い冗談のようです。
 

■[疑問その5] 本当に殺処分しているのだろうか?
下図は中国当局がOIE(世界獣疫事務局)に宛てた4月5日付の報告書です。

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(鹿児島大学元教授岡本嘉六氏のサイトより引用いたしました。ありがとうございます。)
表中程の「罹患動物」の項の見ると「殺処分数」は0となっています。
殺処分数2万羽とか10万羽とはあくまで上海当局の数字で、公式の中国疫学当局の世界機関への報告ではあくまでゼロなのです。

もしこれがわが国で起きたとすれば、死亡者は9名も出ているのですから、宮崎口蹄疫の比ではない厳戒体制が敷かれ、道路には消毒ポイントが設置され、移動制限を受けた鶏、豚などの殺処分が進んでいるはずです。
家禽の移動動制限はいちおうされているようですが、殺処分も不徹底、道路の消毒ポイントも設置されておらず、いったい中国当局はなにをしているのでしょう?

追記 未だ発生現場では生きたトリを売っていた!防疫なんか知らんぷりの中国
本日発売の「週刊文春」によれば、おどろくべきことに、上海市閔行区の発生場所となった家禽市場は未だ鶏肉を販売し続けているそうです!
 

Photo_2 写真 レコードチャイナ 上海市閔行区1例目発生場所の家禽市場・石灰が撒かれていないのが分かる)

もはや唖然というか、凄まじいというか・・・。このようなことは絶対あってはならないことです。
これを「進歩した」というWHOは何を指導しているのでしょう。これについては明日に続けます。

※読者から「長い。携帯で読めない」とご注意を頂戴しました。まことにごもっともです。携帯で数ページに収まる長さに納めるように工夫していきます。(管理人)

 

■写真 春の山は、秋の山に負けないくらい照り映えています。

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中国新型インフルエンザ第2回  なぜ進まぬ殺処分の謎

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死者4名、感染者24名に拡大
現在の上海新型インフル事件の状況は8日現在、上海市で1名の死亡が確認され、上海と江蘇、安徽、浙江3省で計24人、うち死者は7人になりました。(資料1参照)
 

※[追記] 江蘇省と安徽省の衛生当局は9日、重体だった83歳男性と35歳女性がそれぞれ死亡し、新たな感染者も上海市と浙江省でそれぞれ2人確認された。感染者は上海市、安徽、江蘇、浙江各省で計28人、このうち死者は9人となった。(毎日新聞4月9日)

ウイルスは韓国の野鳥と揚子江デルタの家禽が組み合わさったもの
「中科院病原微生物・免疫学重点実験室の研究者はこのほどH7N9型について、「韓国の野鳥が行き来する中で、中国・長江デルタのアヒル、鶏の群れの鳥インフルウイルスと合わさったとみられる。」(新華経済4月9日)
「ウイルス遺伝子の組み合わせの比較と血縁分析では、鳥インフルH9N2型の源は中国上海市、浙江省、江蘇省などの鶏の群れにある。遺伝子は長江デルタで組み変わった可能性が高い。」(同)
この研究者によれば、韓国の野鳥(水鳥を指すと思われる)の渡り鳥によって揚子江デルタに棲む野外のアヒルなどに感染し、それがさらに屋内飼育の鶏に感染拡大したものだと思われます。
中国では、アヒルは屋外飼育、それも水辺で飼育されており、容易に渡り鳥からトリインフルを感染します。
 

ヒト-ヒト感染の証拠はない
幸いなことに現時点では、WHOの発表によれば、トリ-ヒト感染に留まっており、ヒトがヒトに感染するヒト-ヒト感染は発見されていません。
もしこのヒト-ヒト感染が明らかになった時点でパンデミックに突入することになります。現時点ではかろうじてこの手前で止まっている状況のようです。
いずれにせよ、H7N9のワクチンができるのははるか先の半年先のわけであり、対処療法するしか手はありません。
 

当局は鶏の殺処分が10万羽と発表 殺処分までの流れ
当局は殺処分をしているとしています。(資料1-2参照)
これが真実ならば、殺処分は非常に遅れていると思われます。
通常では鳥インフルエンザの殺処分までの流れはこのようです。
①養鶏場でニワトリの死骸を発見する。
②鳥インフルエンザ感染が疑われる。
③獣医師が状況を確認し、その後の対応を判断する。
④家畜保健衛生所が簡易検査を行う。
⑤家畜保健衛生所が遺伝子検査を行う。
⑥養鶏場の全てのニワトリに対して殺処分が行われる。
 

中国ではなにが殺処分の障害となっているのか?
H5N1と違って①の養鶏場で死亡が発見されていないか、いても見逃されている状況だと思われます。
あるいはH7N9の簡易検査キットがないか、不足しているのではないでしょうか。

よもやこのような時の対処法がないのでは・・・。

もし正常に殺処分が行われていたと仮定した場合
上海、江蘇省などの感染発生地域、及びその家禽類の供給地となった地域は、ウイルスで濃厚に汚染されているはずです。
ですから、死亡鶏が出ようと出まいと淘汰をかけねばなりません。
殺処分しない限り、ウイルスは温存され、拡大を続けて変異していきます。つまり爆弾を抱えているのと同じなのです。
日本の家畜伝染予防法のような法律が中国にあったとすれば、以下のような処分がされるはずです。
下図は、最初の患者の死亡が発生した上海市上海閔行区を中心に半径30キロの円を描いたものです。(赤丸部分)
この赤い範囲の家禽類はすべて殺処分対象となります。
 

Dscn0037
出荷した養鶏場の地域も殺処分対象となる
次に、この閔行区の家禽市場に出荷した養鶏場の地域も殺処分対象となります。
仮にそれが上海の食料供給基地である嘉興市であるとしたら、下図の緑丸のようになります。
 Dscn0040_2

 上海新型インフル事件わからないことだらけ
上海新型インフル事件は不可解なことばかりです。
新たなウィルスの正体もまだよく解明できていません。
また、弱毒だといわれるN9タイプなのに死亡者が多数出ています。
防疫も、WHOなどはやたら「よくできました」と褒めちぎっていますが、日本の防疫常識とはあまりにもかけ離れています。
死者が出ているのに、情報量が非常に限られていて、結局のところ官製報道しかない有り様です。
「中国のことだから」で済ましてしまわずに、私はできる限り真実を探って行きたいと思っています。

※写真 路傍のポピーです。

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※資料1 鳥インフル、7人目の死者=感染者は24人に―中国 
時事通信 4月8日(月)18時29分配信   

 【上海時事】中国上海市政府は8日、H7N9型鳥インフルエンザに感染した64歳の男性が新たに死亡したと発表した。江蘇省政府も南京市の85歳男性と鎮江市の25歳女性の2人の感染が新たに確認され、2人とも重症だと発表。これで感染者は上海と江蘇、安徽、浙江3省で計24人、うち死者は7人になった。 

※資料1-2 インフル:殺処分10万羽に 中国・上海
毎日新聞 2013年04月08日 11時10分
 

 鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の感染者が相次ぐ中国上海市で、小売市場などで売られている生きた鳥からのH7N9型ウイルスの検出を受け、市当局が感染阻止策の一環で6日に着手した食用の鳥の殺処分が8日までに約10万羽に上った。市当局が明らかにした。 

 上海市警察当局は、6日に市外部からの生きた鳥の搬入禁止措置を開始したのを受け、貨物トラックなどへの検問を実施。検疫当局は、出国者の体温検査も行うなど、感染拡大阻止に向けた防疫作業を強化している。(共同)  

※資料2 鳥インフル H7N9型は中韓「混血」の可能性が高い=中科院専門家が指摘
新華経済 2013年04月09日
 

中国疾病コントロールセンター・ウイルス病研究所の舒躍竜副所長は国内で人の感染が増えている鳥インフルエンザウイルスH7N9型について、「人への感染は初めて報告されたもので、伝染力、病原性などは現段階では判断できない」と述べた。また中国科学院(中科院)の専門家は、このウイルスが中国と韓国のウイルスの「混血」である可能性があると指摘している。京華時報が伝えた。

H7N9型は鳥インフルウイルスが合わさった形で、ウイルスの殻はH7N9だが、その内部にある6つの遺伝子は別のウイルス「H9N2型」に由来する。舒副所長は「インフルエンザウイルスは混ざりやすく、積み木のように組み合わさっていく」と説明した。
 

 また財新網の報道によると、中科院病原微生物・免疫学重点実験室の研究者はこのほどH7N9型について、「韓国の野鳥が行き来する中で、中国・長江デルタのアヒル、鶏の群れの鳥インフルウイルスと合わさったとみられる」と指摘したと伝えた。 

同氏は「H7N9型の8つの遺伝子のうち、H7は浙江省のアヒルの群れから検出された鳥インフルウイルスに由来し、韓国の野鳥などから見つかるウイルスと似ている。また、N9も韓国で野鳥から検出されるウイルスと似ている。 

そのほかの6つの遺伝子は、H9N2型に由来する。ウイルス遺伝子の組み合わせの比較と血縁分析では、鳥インフルH9N2型の源は中国上海市、浙江省、江蘇省などの鶏の群れにある。遺伝子は長江デルタで組み変わった可能性が高い」と説明した。

中国国家衛生計画生育委員会は8日夜、7日午後5時から8日午後5時までに、全国で新たに報告されたH7N9型の感染者は4人で、これまでに全国で計24人となったと発表した。このうち7人が死亡している。
 

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「遺伝子組み換え食品の真実」を読むその1 本書が間にあったことを感謝します!

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今、私は手元に「遺伝子組み換え食品の真実」(アンディ・リーズ 白井和宏訳 白水社刊)という本を手にしています。
 
このような見事な形にまとめられて、国民の手に間に合ったことを感謝します。訳者の白井氏に敬意を表します。皆さんにぜひご一読いただきたい一冊です。
 
さて今私は、あえて「国民」と書きました。なぜなら、この本はただの消費者でも農民でもなく、「TPPという災厄」に立ち向かおうとしている「国の民」に向けて書かれた本だからです。
 
TPPが今までわが国に来訪したいかなる外来の波と異なるのは、それがわが国か営々として築き上げてきた「形」を根底から変えてしまう性質をもっているからです。
 
たとえばそれは、医療であり、医療保険であり、土木であり、あるいはわが農と食です。
これらは、国民生活のインフラとでもいうべき存在で、生活と健康の安全保障とでも呼ぶべき分野でした。
 
TPPという名のグローバリズムは、まさにこの日本の心臓をえぐりにやってきます。
 
食卓においては、今まで消費者が知らないうちに食卓に乗せていた遺伝子組み換え食品が、公然と表示されることなく食卓に乗せられることでしょう。
 
農業現場においては、今や世界最大の種子会社となったモンサントなどによって種子と農薬の遺伝子組み替え技術を用いた一元支配が進むでしょう。
食の安全は切り刻まれ、安値で叩き売られることになります。それでなくともわが国の遺伝子組み替えに対する規制はまさにザルであり、米国の言うがままに輸入を容認してきました。
米国が年次要求書で一貫して要求してきたのは、この遺伝子組み替えとBSEでした。既にBSEは最後の堤防を破られつつあります。
そして遺伝子組み替えにおいては、食料輸入だけではなく、遺伝子組み替え技術そのものを用いた農業を国内生産させる所にまで来ています。
それがTPPです。
遺伝子組み換えは、いまだ安全が一度として確認された完成された技術でないにかかわらず、EU、豪州、ニュージーランド、そしてわが日本を孤塁として世界支配を完成しつつあります。
この本には多くの研究者の成果によって、遺伝子組み替え技術の本質的危険性と、米国企業の世界戦略が詳細に語られています。
何回かにわけて本書をご紹介していく中で、今「食」と「農」の世界でなにが起きているのか、そして彼らがなにをなそうとしているのかを見ていきたいと思います。

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中国新型インフルエンザ第1回  失敗した初動制圧 拡がる一方の感染地域、始まった情報統制

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中国トリインフル拡大止まらず
中国上海という2400万を越える巨大都市で発生したヒト感染型トリインフルエンザH7N9型は、先週末から拡大しつづけています。
当初中国当局は、死亡した患者が既にインフルエンザに罹っていた上に重複感染して悪化したのだろう、ていどに認識していたようです。
たしかに、
元来このH7N9型トリインフルは、欧州から北米にかけて発生していた低病原性のもので、ヒトへの感染はこの中国での事件以前にはありませんでした。

中国当局が犯した初動のみくびり
感染力が弱い低病原性、しかも弱毒だというみくびりもあって、中国当局は今回はSARSでの悪評を返上すべく、国際ルールに則ってスマートにやろうと思ったようです。
それが初期の「積極的」情報公開方針です。これは西側マスメディアにおおむね好評でした。
しかしこの根拠なき中国当局の楽観をあざ笑うかのように、新型インフルエンサ・ウイルスは上海を飛び出して、華南地域一帯にヒト感染を拡げてしまいました。
ヒト-ヒト感染が出ていないのだけが唯一の気休めといった有り様です。

死者は6名に。上海市南部に集中発生
感染は拡大の一途をたどっています。

「中国農業省は5日夜、上海市から取り寄せた738件のサンプル検体のうち、感染者が 働いていた上海市閔行(びんこう)区の市場など3カ所から集めた19件の検体にウイルスの陽性反応があったと発表した。」 
「各地の衛生当局によると、感染者は5日夜の時点で計16人、うち死者は6人。江蘇省では2人の疑い例が出ている。」(同) 
ウイルスの陽性反応があった19件の検体は、ほぼ上海南部に集中しています。またこの松江(しょうこう)区ではウイルス感染した鳩が見つかっています。

感染死亡者には年齢、性別の区別はない。高熱と咳、重い肺炎と呼吸困難症状
 
死亡した人は、閔行区の農産品卸売市場(27歳)で働く労働者と87歳の老人です。重体で現在治療中の女性は35歳で、上海の西側に位置する安徽(あんき)省在住者このことで、年齢性別に関係なく感染していると思われます。
27歳、35歳という年齢からも、体力弱者というわけでもなさそうです。
死亡患者は同様の初期症状が見られ、高熱とせきが続き、その後、重い肺炎や呼吸困難を起こしています。
 

発生状況。1市3省に拡大(4月5日金曜日午後現在)
・上海・・・6例
・浙江省・・・4例
・江蘇省・・・4例
・安徽省・・・1例
・計  ・・・14例

Dscn0028        (図 NTVバンキシャより引用させていただきました。ありがとうございます。)
これを見ると明らかに感染は華南全域に拡がりつつあります。

H5N9インフルの検査試薬がなかった
新華社によれば、H7N9型の検査試薬が北京の疾病コントロール予防センターに届いたのが4月2日であり、初動制圧に完全に出遅れているのが分かります。
検査試薬はたぶん新型だったために、検体の入手と解析が遅れたのでしょう。
しかしそれにしても、1例目は2月19日に発症し、3月4日に死亡しているのですから、それから一月たっての検査試薬とは、論外の遅さです。
あの「空白の20日間」における初動の遅れが、すべてを決してしまっているようです。2010年の宮崎口蹄疫事件も、3月中旬には疑われる症状が出ていたにもかかわらす、確定は4月26日と遅れに遅れました。
この空白期間が、後の防疫体制構築の失敗にダイレクトにつながっていきます。

OIEへの報告書とWHOの対応
一方中国からOIE(世界獣疫事務局※防疫の世界組織)へ送られた報告しい(4月5日付け)は、鹿児島大学岡本嘉六教授のサイトでみることができます。
また、WHOは
黄浦江の病死豚との関連は否定しています。
ただし、現在のWHOの事務局長は陳馮富珍(マーガレット・チャン)氏で、香港出身です。氏はSARS野感染封じ込めに失敗したとの批判を香港で受けて喚問された経歴があります。
失礼ながら、彼女のスタンスは香港の置かれた位置に似て中国との距離は微妙だということを念頭に置いたほうがいいでしょう。

上海市 市内全域の卸売市場や販売店約460カ所を閉鎖、2万羽が殺処分に
上海市は市内3カ所の家禽市場を閉鎖し、市内へのトリ、アヒルなどの流入を停止させました。
また新華社によると、上海市は約2万羽のトリ、ガチョウ、ハト、アヒルなどの家禽類の殺処分をしたと発表しました。

中国家禽市場は、生きたまま売り買いする濃厚接触型
中国の家禽市場は、私も何回か行っているのですが、わが国の家畜市場とはまったく異なっています。
まず、最大の違いは生きたままのニワトリ、アヒル、ハトなどが売られていることです。
檻に入れられて、売り子と買手が相対で交渉し、決まればその場で殺して渡してくれます。
ですから、日本の家畜市場と違ってパックに入れられて売られていることなどなく、生きた家禽と濃厚な接触をしているのが中国の市場です。
この形の家禽市場では、日本と違ってはるかに速い速度で感染が拡大していきます。
私が、当局の公表した患者数より桁違いに感染が既に進行していると見るのはそのためです。

殺処分がたった2万羽なのは解せない 
さて今回の中国当局の措置で理解に苦しむのは、殺処分数がわずか2万羽であることです。一般の方には多いと思われるかもしれませんが、2万羽などは養鶏業では小規模に属します。

大規模養鶏場では一カ所で数十万から100万羽単位というところもザラにあり、この2万羽というのは死亡者が6名も出ている防疫措置にしてはハンパな印象で、あえて言うならアリバイ作り的印象すら免れません。

OIEへの報告書では殺処分ゼロ 実態は藪の中
一方、この2万羽殺処分を報じた新華社電とは異なり、OIE報告書では罹患羽数20536羽、死亡数0、殺処分数ゼロとあります。
つまり2万羽は罹患数であって、殺処分していないということです。
殺処分という防疫作戦でもっとも有効な手段を使っていないとなると、もっと問題ではありますが。
http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/dr_okamoto/Forum2/Event2010/China%20NAI.htm
実態は藪の中ですが、常識的に言えばOIEへの報告書が正しいのでしょうね。
ヒト感染しているのにOIE報告では対策として、スクリーニング、消毒、移動制限、地区割りなどをあげています。
中国はトリインフルのワクチン使用国ですが、今のところワクチンは使用していないようです。

ハト2羽、トリ2羽、新たにウズラからもH7N9の感染確認
今わかっているかぎりでは、4月5日付のOIEへの報告書では、ハト(食用)に継いで初めてトリ2羽にH7N9の感染が確認されています。
6日には浙江省杭州市の露店街でウズラ(羽数不明)からウイルスが検出されました。
普通は死亡鶏が大量に出てトリインフルに気がつくのですが、このH7N9d h死亡鶏が出ないか、非常に少ないので、農場管理者の発見は困難になるでしょう。

ウィルス封じ込めの国際常識
疫学の国際常識では、感染したハトが発見された上海市閔行区や松江区を中心にして、この初発地点でウイルスを封じ込めてしまわねばなりません。
これを初動制圧といいます。

そのために、わが国では発生源をつきとめるための発生動向調査をします。
日本の家畜伝染予防法では、半径5キロから30キロの範囲(※その時の状況で柔軟に設定)で家禽類と製品の移動制限区域を設定します。
そして家畜業者と流通の聞き取りと家禽類の抗体検査をしてスクリーニングしていき、感染ルートと感染時期を絞りこんでいく「遡行調査」を実施します。
これをしないと防疫作戦が建てられません。

家禽類の移動制限があまりに遅い 
上海の場合、この中途半端な殺処分数から見て、おそらくは感染ルートが突き止められていないと思われます。
発生動向調査をするためには、現状凍結をしなければできませんから、発生から数時間を争って移動制限をかけてしまいます。
ところがこの上海の場合、家禽市場で発生した1例目2月19日から実に40日以上たって移動制限しています。
家禽市場でトリインフルが出ているのですから無条件に家禽類が発生源だと疑うべきで、その移動を直ちに停止するのが常識です。
まずは30~50キロという大きな半径で移動制限をかけて、その中を徹底して発生動向調査します。
たぶん中国当局は、感染を甘く見ていたために移動制限をかけず、発生動向調査もおざなりにしたために、感染が深く広く浸透していってしまいました。
完全な初動対応のミスです。

ぜ、既に流通しているトリ肉や豚肉を販売停止にしないのか?
となると、この感染事件が発覚する2月中旬以前、そしてそこから移動制限がかかる4月初旬まで、既に多くの感染した家禽類が存在していたと考える方が自然です。
それらの症状は業者の目にとまらなかっただけで、保菌していた思われます。
そしてこの家禽類は、新型インフルを保菌したままで既に市中に出回っているでしょう。
ならば、4月初旬の時点で新たな上海への家禽類の流入を停止するだけでは不十分です。
きっと、感染性が低いので、市民生活の影響を配慮してそこまでしないのでしょうが、
既に出回っているものも含めて完全に回収して廃棄するべきです。

南京へも感染飛び火か?ツイッターが暴露。当局渋々4名感染を公表
今回、中国当局は米国紙などで情報公開が進んでいると評価される一方、あいもかわらず伝統芸の情報隠蔽をしていることが暴露されました。
微博(中国版ツイッター)で自称、南京市鼓楼区鼓楼医院の管理職が、新型インフルに感染した女性の診断書を写真で撮影し、微博に投稿しました。
その診断書には、南京市江寧区の市場で家禽業を営む45歳の女性が、3月30日に新 型インフルの感染者と認められ、隔離されていると記されています。
言うまでもなくこれは守秘義務違反ですが、どうも事実なようで、当局は素早く削除しましたが、あっという間に広まってしまいました。

結局、実際にツイッターの告発どおり4名が感染していたことが、後に公表されました。

中国当局、一転して情報統制強化に走る。 独自取材を許さず。封じ込められる真相
中国当局が、5日上海のメディアに対し、「市民の不安を招くような独自報道を控えるように」との通達を出したことが分かりました。(※資料8-2)
中国当局は、表面的には各機関や地方政府に対して情報公開を勧めるような素振りを見せながら、かなりの数の患者の発生を隠匿しているようです。

ツイッター上では、当局が発表した感染例以外の感染情報が盛んに流されています。
3日午後には、「うちの病院の救急患者がたった今、鳥インフルで亡くなった。私は同済大学同済病院にいる」などという投稿も出ています。
この投稿も間もなく削除されました。

高まる市民の怒り。中国民主化へ進むか?
このようなモグラ叩きのような状況に中国市民は怒りを募らせており、「上海の医者が自分の病院での鳥インフルの死者情報を流しただけなのに、なぜ削除されたんだ?何を隠そうとしているんだ?SARSの痛い教訓は生かされていないのか」と言う声も出はじめています。
 
私はマーガレット・チャンWHO事務局長と違って、黄浦江に流された1万数千の病死豚がなんらかの関わりをもっていると思っています。
多くの中国国民も私と同様の疑惑をもっているようです。(※参照)
今週また感染の拡大がみられるはずです。
かつてのSARSとは違って、いまは中国社会はツイッターが全盛です。中国政府は、国民の健康と安全よりも、みずからの政治体制の護持を優先させてきました。
経済が右肩上がりだった時はいいのですが、バブルがはじけ失速局面になった今、ありとあらゆる公害のツケが一斉に回ってきています。
どこまで当局が隠しおおせるか、中国の民主化とも絡んでくる事態に発展しそうです。

※[追記] この病死豚との関連は時系列とウイルス解析で否定されました。ただし、この病死肉が食用に回っており、一部はトリの飼料にまわったようです。またこの豚を投棄したのが嘉興の業者であることもわかっています。

※お断り 資料が冗長だとのお指摘をいただき、アップした後に最小限にカットいたしました。(4月10日)

 

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※ 中国トリインフル 上海南部の検体に陽性反応
毎日新聞4月6日
 

【上海・隅俊之】中国でH7N9型の鳥インフルエンザの感染が相次いでいる問題で、中国農業省は5日夜、上海市から取り寄せた738件のサンプル検体のうち、感染者が働いていた上海市閔行(びんこう)区の市場など3カ所から集めた19件の検体にウイルスの陽性反応があったと発表した。遺伝子を解析した結果、いずれも感染者のウイルスと起源がほぼ同じとみられることが分かった。3カ所はいずれも上海市の南部に位置し、この地域でウイルスがまん延している実態が明らかになった。

 ウイルスの陽性反応があった19件の検体は▽ウイルスに感染したハトが見つかった松江(しょうこう)区の農産品卸売市場▽27歳の感染者(死亡)が働いていた閔行区の市場▽そこから数百メートル離れた別の市場--の計3カ所から集められたもの。鳥類に感染が広がっていることも裏付けられた。

 このため、上海市は6日から、ハトやニワトリなど生きた鳥を扱う市内全域の卸売市場や販売店約460カ所を閉鎖し、取引を停止することを決めた。

 各地の衛生当局によると、感染者は5日夜の時点で計16人、うち死者は6人。江蘇省では2人の疑い例が出ている。一方、上海市は5日、3日に死亡した52歳の感染女性と接触し、治療を受けていた患者は、H7N9型に感染していなかったと明らかにした。

※ <中国・鳥インフル>当局が、独自報道を控えるよう通達
毎日新聞 4月6日(土)  

 【上海・隅俊之】中国でH7N9型の鳥インフルエンザの感染が相次いでいる問題で、死者4人が出ている上海の一部メディアに対し、中国当局が市民の不安を招くような独自報道を控えるよう通達していることが分かった。複数の中国メディア関係者が5日、明らかにした。

 関係者によると、メディアを管轄する宣伝部門の担当者が当局の発表内容を報道するようメディアの幹部に要請。鳥の殺処分を現場で取材した独自記事の掲載などが認められなかった。5日付の上海紙は市内でウイルスに感染したハトが見つかったことや感染者の増加を大きく伝えているが、ほとんどが当局の発表をまとめたものや国営新華社通信の配信記事になっている。

 感染が発覚して以降、中国当局は情報の「透明性」を強調している。中国国家衛生・計画出産委員会は3日、感染に関する情報の公開を徹底するよう地方政府に通達。上海市政府は感染が確定する前から疑い例もインターネット上で公表し、記者会見でも質問に詳細な説明をしている。

 中国では03年に新型肺炎「SARS」が大流行した際、当局による情報の隠蔽(いんぺい)で感染拡大を招いた経緯があり、国民の不信感は今も根強い。情報公開の背景には、そうした不信感を払拭(ふっしょく)したい狙いがあるとみられる。

 一方で、市民からは「対応が遅いのでは」という指摘も出ており、メディアの報道が過熱することで政府に批判が向かうことを警戒しているとみられる。
 


 

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週末写真館 菜の花畑

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菜の花というのは同じ春の風物詩であっても桜とは違います。
桜の花びらには、なにか哀しみが貼りついているようなところがありますが、菜の花は根明です。

生命力そのものがたぎって天に諸手をあげているような。
だから活動を開始した蜂がたくさん寄ってきて、菜種畑は今日も羽音がいっぱい。

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茨城県による市場意識調査が出る 消費者「茨城県産を元通り買うことはない」東京30・0%、関西28・3%!

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茨城県が福島事故の風評被害を調査した結果を公表しました。(欄外参照)
 

私たち有機農業者が昨年7月に「ガンバロウ、いばらき有機農業者の集い」の県庁要請行動をしてから8カ月。ようやく重い腰が上がったようです。

内容的には、私たちにのしかかっている重圧が数字的に確かめられた結果になっています。私たち独立系農業者からすれば、なにを今さらですが。

あの去年7月の陳情行動の時も、県にあれほど口酸っぱく言ったではないですか、茨城県産農産物は福島農産物と同じくらい「差別」されているんだと。

福島県が同情と共感と共にその「差別」を受けているに対して、我が茨城県は被災県とみなされないただの「被害担当県」でしかないだけです。

JAはその組織的力量で市場を素早く回復しましたが、未だ私たち独立系の農業者は徹底的に踏みつけにされ続けています。

その状況はこの2年間ほとんど変わりません。3.11以前に回復することなく、売り上げが2~4割減で低位安定してしまっています。

※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-c5a0.html

たとえば、今や多くの流通は、放射性物質が検出された瞬間、それがたとえ1ベクレルであろうとも返品処理します。国の100ベクレル/㎏という基準値がありながら、なんの関係もないのが現状です。

そのひとつの原因をつくった責任者のひとりは他ならぬ茨城県です。

県が魚介類について、自主基準と称して国の基準値の半分の50ベクレルを設定したのです。

2011年4月から夏にかけて茨城県は、最初に県が農産物の線量をマスコミ発表してしまったために大きな風評被害を被りました。

他県よりはるかに多い検体で、正直に検査したために(そのこと自体はよいことですが)、我が県にのみ風評被害が殺到しました。

実際、日本農業新聞の集計では福島県の次に風評被害を受けたのが茨城県です。

「茨城県産」と箱に記されているだけで、市場からけんもほろろに突き返されたのがあの時期でした。

「なんでだ!」という県政への怨嗟の声は農漁民に満ちていました。ある意味、東電や原発事故より橋本県政への怒りのほうが大きかったのです。

それに懲りたか、県は「積極的に放射能問題に対して発信しないことがいいことだ」、と学習してしまったようです。

表面的にはやっているように見せるが、積極的には計らない。まるでサボタージュ作戦のようです。その方針はコメなどに貫かれました。

国からの指示のみに徹することで、上部組織からお叱りこそされないが、実は県として独自になにもしないといういわは「砂丘に頭を突っ込むダチョウ」作戦です。

ところが、その唯一のほころびは魚介類でした。2012年4月、県沖で採れるシロメバルが政府の出荷停止指示を受けました。このシロメバルは4月5日に北茨城で漁獲されたもので、170ベクレルでした。

他にも魚介類で高い数値を示したのは、3月22日の同じく北茨城でのババガレイの260ベクレルがありました。

マスコミにも大きく報じられ、もはや逃げも隠れもできない。これを受けて茨城県産魚介類の出荷が危機に陥りました。そして県は国の基準の引き下げをしたのです。

その段階で県は、そのような基準切り下げをしたら、消費市場はどう反応するのかシナリオを書いておくべきでした。それをやっていない。

やっていたとしてもたぶん魚市場ていどのはずです。それが魚介類のみならず、県第1次産業全体にかかってくる影響だとは思っていなかったはずです。

結果どうなったのか?今やありとあらゆる大手チェーンストア、生協の一部では検出された瞬間に出荷停止です。

だから言ったではないですか。恣意的に基準を下げてはいけない、と。

生産段階で勝手に国の基準を「投げ売り」したら、消費者はかえって怪しいと思うのですよ。

このアンケートにもあるように、消費者は生産者はまだなにか隠しているに違いないと思い、「放射性物質検査が不十分」と思うものなのです。

私たち農業生産者は、脱原発派の一部から「放射能が危ないと知っていて売っているテロリスト」とまで言われて、悔し涙を流している時期でした。

こんな時に、その声に迎合するように基準の自主切り下げなどしたら、それで信頼回復どころか「それみたことか、やっぱり隠していたのだ」になるに決まっています。

その温度がまるで県のお役人には読めていなかったのです。そして県が国の基準の半分に下げれば、流通はさらにその上をいく究極の安心=ゼロベクレルにしてしまったわけです。

結果、県の自主基準などは消費者の「ゼロベクレル」指向に迎合したくてしょうがない流通の行動に拍車をかけた自爆行為にすぎませんでした。

青果でも同じような流通の基準の基準切り下げがそここで行われましたが、結果は同じで消費は回復せず、傷口に塩をなすりこんたようなものでした。

青果の場合は、関西や甲信越の産地に年間作付け計画自体が移動してしまったために、茨城の産地はいっそう苦しくなりました。

国の基準切り下げが有効な唯一の条件は、しっかりとした買い支えがある場合のみです。それなくしてただやみくもにやればこうなるに決まっています。

はっきり言ってあげましょう。風評被害を固定化するきっかけを作ったのは茨城県自身です

それが今頃になってなにを考えたのかこんな眠たい調査です。このようなものは遅くとも2011年末までに行うべきでしょう。

意識調査など時期が遅れれば意味がないのです。あの嵐のような風評被害の状況がいったん終焉して、低位安定で固着した時にやってなんの意味があるのでしょうか。

今頃になって罪の意識なく、「分かりやすい情報提供の仕方を工夫したい」(県販売流通課)ですか(苦笑)。

2年たって!呆れてものが言えない。県ってほんとうに当事者意識がないのすね。

こんな調査は、「元に戻すことはない」東京30・0%、関西28・3% という高率で固定化してしまってからではまったく遅いのです!

                      ~~~~~~

茨城県の調査結果は以下です。
(12年10月から13年2月にかけて実施。首都圏、名京阪神地区、北海道の各卸売市場の卸売業者と仲卸業者計158人から回答)
 

①「今も取り扱いを控えているものがある」と答えた業者
・名京阪神地区(名古屋、京都、大阪、神戸の4都市)・・・28・4%
・首都圏                           ・・・10・3%
 

取り扱いを控えている理由
・第1位・・・「取引先や消費者から要請・クレームがあったから」
・第2位・・・「基準値を超過し、国から出荷制限を受けていた(いる)から」
・第3位・・・「放射能に関する知識が十分でないから」
※京阪神地区では「特に要請・クレームはないが、他社の状況を見て」が多い
 

要請・クレームがあった取引先
・「スーパー・総合スーパー」や「給食事業者」
※その回答内容「できる限り茨城産を使わないでほしいが、代替品目がなければ茨城産を
使ってもよい」 

取り扱い再開のきっかけ
・「消費者などからの要請・クレームがなくなったら」
・「時間の経過」
 

県内外の消費者を対象とする意識調査
(県のイベントに参加した県内消費者2384人と、東京や関西地方在住のインターネットモニター2千人から回答)
県内消費者
・茨城産農林水産物を「今も買い控えている」・・・5%
・事故直後                     ・・・26・6%
・地元を応援する気持ち・放射性物質検査結果などの情報に基づき、茨城産食品を購入している                        ・・・95%
 

県外消費者
・「今も買い控えている」 ・・・東京13%
                ・・・関西15・9%
 

もっとも多かった理由
・「放射性物質検査が不十分と思ったから」
 

今後。購入を元に戻すきっかけ
・「放射性物質検査結果がほとんど不検出になったから」

⑧「元に戻すことはない」
・東京・・・30・0%
・関西・・・28・3%
 

県のコメント
「依然として原発事故の影響が残るとして、今後もキャンペーンなどを続けていく考え。」
県販売流通課は「検査で不検出の結果が出ているにもかかわらず、購入を控えている人がいる。分かりやすい情報提供の仕方を工夫したい。」

※関連記事※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-825f.html
        http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-eb08.html
       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-3695.html                  http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post.html
        http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-df15.html
        http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-053b.html

■写真 連作になってしまいました。桜堤にすっくと立つ一本桜。 

          ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

■西日本の市場関係者 県調査
茨城新聞4月3日
 

県が市場関係者を対象に実施した茨城産食品に関する意識調査で、東京電力福島第1原発事故による放射能汚染を懸念し「今も取り扱いを控えているものがある」と答えた業者は、名京阪神地区(名古屋、京都、大阪、神戸の4都市)で28・4%に上り、首都圏の10・3%を大幅に上回っていることが2日までに、分かった。調査結果から、原発事故の影響を懸念する意識が西日本でより強く残っている傾向が浮かび上がった。

市場関係者への調査は昨年10月から今年2月にかけて実施され、首都圏、名京阪神地区、北海道の各卸売市場の卸売業者と仲卸業者計158人から回答を得た。

取り扱いを控えている理由として最も多かったのは「取引先や消費者から要請・クレームがあったから」で、次いで「基準値を超過し、国から出荷制限を受けていた(いる)から」「放射能に関する知識が十分でないから」が続いた。

 このうち名京阪神地区では「特に要請・クレームはないが、他社の状況を見て」を挙げる声も多かった。

要請・クレームがあった取引先としては「スーパー・総合スーパー」や「給食事業者」が多く、内容は「できる限り茨城産を使わないでほしいが、代替品目がなければ茨城産を使ってもよい」との答えが多かった。

取り扱い再開のきっかけは「消費者などからの要請・クレームがなくなったら」「時間の経過」と答えた業者が多かった。

一方、県は同時期に県内外の消費者を対象とする意識調査も実施。県のイベントに参加した県内消費者2384人と、東京や関西地方在住のインターネットモニター2千人から回答が寄せられた。

県内消費者で、茨城産農林水産物を「今も買い控えている」と答えたのは5%。事故直後の26・6%に比べ大幅に減少し、95%が地元を応援する気持ちや放射性物質検査結果などの情報に基づき、茨城産食品を購入していると答えた。
 

県外で「今も買い控えている」としたのは、原発事故直後に比べれば減少しているものの、東京で13%、関西で15・9%に上った。理由は「放射性物質検査が不十分と思ったから」が最も多かった。購入を元に戻すきっかけとして「放射性物質検査結果がほとんど不検出になったから」などと回答する半面、「戻すことはない」との答えも東京で30・0%、関西で28・3%に達した。

県は、依然として原発事故の影響が残るとして、今後もキャンペーンなどを続けていく考え。県販売流通課は「検査で不検出の結果が出ているにもかかわらず、購入を控えている人がいる。分かりやすい情報提供の仕方を工夫したい」としている。

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公害大陸中国その12 中国発新型トリインフルで3名が死亡 パンデミックになるか?

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中国でトリインフルで3名死亡。新型のH5N9型
中国でヒトに感染するタイプの新型インフルエンザが発生したようです。(資料1、2、3、7参照)
「中国国家衛生・計画生育委員会は31日、上海市と安徽省でこれまでヒトへの感染が確認されたことのないH7N9型鳥インフルエンザウイルスに3人が感染し、うち2人が死亡したことを発表した。」(共同4月1日)
ヒトに感染するトリインフルエンザを「新型インフルエンザ」と言いますが、今回は今までのH5N1型と違ってH7N9型です。
死亡から20日間たってようやく発表。当局は隠蔽を否定
記事は、上海市に住むの87歳と27歳の男性がそれぞれ2月中に発病し3月上旬に死亡し、安徽省の女性は3月15日に発病し、現在も治療中だったそうです。
感染した2人が死亡したのが3月上旬であったにもかかわらず、20日間もたった3月31日になってようやく発表されました。
当局によれば「(H7N9型ウイルスは)世界で初めて発見されたウイルスであり、我が国の法定伝染病報告システムの対象外だった」として、10年前のSARS(重症急性呼吸器症候群)事件とは違って隠蔽ではないとしています。
まぁ、隠蔽と逆ギレが得意の中国当局の言うことですから怪しげですが、いちおう信じるとしましょう(笑)。
WHO「毒性は弱く、公衆へのリスクは少ない」 ただし変異して強毒タイプになっている可能性も 江蘇省にも感染拡大
さて、インフルエンザ・ウイルスにはありがちなことですが、また変異してH7N9型ウイルスという初耳のタイプになりました。
N9型(番号が多いほど弱毒性)ですので、今の段階では、世界保健機関(WHO)の専門家が言うように「毒性は弱く、公衆へのリスクは低い」のかもしれません。(資料2参照)
ただし、単なる弱毒タイプなら死に至るのは不可解で、変異して強毒タイプになっている可能性もあります。(資料4参照)
また、江蘇省でも4名の患者が発見され、合わせて7名となりました。たぶんこんなものでは済まないはずです。(資料4-2)
遺伝子解析では強毒性に変異しているとの情報もあります。(資料4-3参照)
インフルエンザウイルスは変異し続けている
問題は今後です。東大医科学研究所付属病院・岩本愛吉院長によれば、トリインフルエンザは他のウイルスと異なり非常に変異しやすいのです。(資料5参照)
通常はウイルスは、1つの細胞に対して1種類のウイルスしか感染しません。
ところが、トリインフルエンザ・ウイルスは1つの細胞に2種類のウイルス、例えばH5N1とH2N2が感染した場合、2種類の遺伝子16本が混ざり合い、この16種類のいかなる組み合わせにも変異できるのです。
これは大変に守る側からすれば恐ろしいことです。ひとつのウイルス・タイプだけに的を絞ってガードしようにも、新型インフルエンザかどんどん変異していくからです。
ウイルスは変異しながら強力なタイプになっていく
そしてもうひとつのトリインフルエンザ・ウイルスの特徴は、元来鳥類のインフルエンザでありながら様々な動物を経て変異し、病原性の高いものが残っていくことです。
ウイルスはもともとは特定の種を自然宿主とすることは知られています。トリならトリの呼吸器の中にのみしか生存できないと言われてきました。
この定説が近年崩れたのです。
香港のヒトへの感染が転換点だった
1997年に、香港で初めてH5のタイプの高病原性インフルエンザ・ウイルスがヒトに感染しました。その後、ちょうどSARS(重症急性呼吸器症候群)が騒がれた2003年の2月に、再び香港で感染者が出ました。
そして2004年にはタイ、そしてベトナム、カンボジアと東南アジアの国々でヒトへの感染が急増しました。(下図参照)Photo(図 国立感染症研究所発表
※確定症例総数は死亡例数も含む。WHOは検査により確定された確定例だけを報告する。)

「種の壁」を超えて感染拡大するトリインフル
それまで原則としては鳥類のインフルエンザは人類に感染できるはずがないと思われてきました。これがウイルスが「ひとつの鍵穴にひとつの鍵」といわれるゆえんです。
ところが、このトリインフルエンザにおいては、そのありえないはずの「種の壁」を飛び越えて感染する事例が出始めました。
トリからヒトへ感染の橋渡しをする豚
その感染の橋渡しをしたのが、ヒトと同じ哺乳類の豚です。感染した豚は、豚に感染を移します。ところが豚はカモといっしょで感染しても症状が出ないのです。もちろん死亡もしないし、食下量も異常がみとめられないから困ります。
ですから、豚の管理者は自分の豚が罹ったことに気がつかずに、群れの中でそのまま飼って、市場に出してしまいます。ここからトリインフルの豚感染がいっきに拡がっていきました。
このようにしていったんヒトへ感染したトリインフルは、ヒト-ヒト感染を引き起こしていきます。そしてそれに対して人間は自然抗体を持たないのです。
それが衛生環境が悪かった第1次世界大戦時のスペインでは感染者6億人、死者4,000~5,000万人という世界的惨事を招き、1968年の香港風邪では数週間で50万人が罹患しました。
新型インフルエンザ・ウイルスの恐怖の30桁スロットマシーン
国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター・田代真人センター長によれば、インフルエンザ・ウイルスを構成するアミノ酸は5000個ぐらいあり、トリ型とヒト型では30個ぐらいしかアミノ酸に違いがないそうです。
そしてブタ型は30個の半分が鳥型、半分がヒト型です。このようにブタはウイルスのアミノ酸組成の半分ずつをトリ型とヒト型で併せ持っているためにブタ型インフルエンザはヒト型インフルエンザに変異する可能性が高いのです。
インフルエンザ・ウイスはウイルスの特性として非常に変異しやすく、30のアミノ酸全部がヒト型にならないとヒト感染しないわけではなく、半分の15個変われば十分だそうです。
いわば30桁のスロットマシーンを回し続けて、15の桁がいつ合うのを待つ、ということだそうです。
中国青海湖はトリインフルエンザのハブ空港
2005年5月に、中国の青海(チンハイ)省の湖で数千羽の水鳥が死んでいるのが見つかり、その原因がH5N1ウイルスであることが確認されました。
この青海湖は、渡り鳥にとって特別な湖で、いわばハブ空港なのです。シベリアと東南アジアの間へ行き交う中継地であり、営巣地でした。
この青海湖の水鳥がトリインフルエンザに感染してしまったために、一挙にシベリア、東南アジアへと感染が拡大したわけです。 (下図参照)
この図を見ると、トリインフル・ウイルスの震源地が中国だと分かると思います。

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       (図 国立感染症研究所『鳥インフルエンザの公式発表にもとづく分布』)
20世紀に登場した3ツのヒト感染型インフルエンザ
ヒトに感染するインフルエンザとしては、1917年から1918年に流行したスペイン風邪がH1N1 型、1957年に流行したアジア風邪がH2N2型、1968年の香港風邪がH3N2型となっています。
なお、1977年に流行したソ連風邪は、スペイン風邪と同じH1N1型です。
したがって20世紀に登場した新型インフルエンザは、過去にスペイン風邪、アジア風邪、香港風邪の3種類しかありません。
ですから今回上海で出たH7N9型がヒト感染型トリインフルだと断定されれば、4つ目のタイプが登場したことになります。
今回の新型H7N9型がどのような変異をするかに注意
とまぁ、こんな風にトリインフルほど扱いにくい人類の敵は自然界にいません。
口蹄疫は牛と豚、野生偶蹄類にのみ照準を絞って対策をたてればよかったのですが、トリインフルは無数にいる野鳥と豚までも防疫の対象にせねばならないのです。
そして今回上海で登場したH7N9型ですが、これがどのような原因で登場したのか、今後どう変異していくのか、ヒトへの脅威はどの程度なのか慎重に見極めていかねばなりません。
パニックになる必要はありませんが、十分に危険な存在です。
ウイルス兵器にも転用可能なトリインフル・ウイルス
といのは、このような始末の悪いトリインフル・ウイルスは、その感染力とスペイン風邪や、香港風邪にみられるような死亡率の高さから、近年ウイルス兵器への転用の恐れが指摘され始めました。(資料6参照)
H5N1型ウイルスの研究は、世界的大流行の発生に備えるのに防疫に役立つ一方、研究次第では生物テロに悪用される可能性もあります。そのため米国政府は去年一時研究の公表を差し止めたほどです。
このような生物兵器にも転用できる感染症が、PM2.5地獄の真っ只中の中国大陸でパンデミックになったらと考えるとぞっとします。
中国社会のモラルハザードと新型インフルとの関連は?
現在の中国は、環境に対するモラルハザードが極点に達しつつあります。土地、河川や沿岸の重金属汚染、河川などの水資源の枯渇による砂漠化,大気のPM2.5汚染など枚挙に暇がありません。
そしてこのような中で、平然と呼吸器病で死んだ豚やアヒルを河川に大量投棄する事件が相次いでいます。
このような豚や水鳥の病死体を河川に投棄すれば、それがいかなるウイルス変異をし、どのような感染経路を辿るのかまったく予測がつかなくなります。
状況的には投棄ブタ死体はブタ・インフルエンザとしか考えられない
憶測の域を出ませんが、今回の上海の新型トリインフルでの死亡者が出た3月の前後に上海市の水道水を取水する黄浦江に豚の病死体が1万5千頭も捨てられており、その死亡原因は呼吸器病だとされています。
また、中国には家畜の病死体を扱う専門市場も多く存在しています。つまり、新型インフルエンザの条件である感染ブタに触った、あるいは食べたという「濃厚接触」の機会が他国とは比較にならないほどあるのです。
このような劣悪な衛生環境を考えると、この病死体の呼吸器病が新型インフルエンザ・ウイルスに変異を起こした可能性はありえると考えるべきでしょう。
今回の患者死亡との関係は薄い
ただし、レコードチャイナ(4月3日)によれば、上海市動物疾病コントロールセンターは、上海市の黄浦江に投棄されたブタの死骸のサンプルを検査し、トリインフルエンザ・ウイルスが検出されなかったとしています。
また今回の感染死亡者は外務省海外安全HPによれば
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo.asp?infocode=2013C114
・1例目:上海市在住,87歳男性。2月19日に発症,3月4日に死亡。
・2例目:上海市在住,27歳男性。2月27日に発症,3月10日に死亡。
黄浦江に豚投棄死体が確認されたのが3月9日以降ですので、この患者との因果関係はないかもしれません。
しかし、この不法大量投棄事件による新型インフルエンザへの変異の可能性は濃厚であり、今後WHOなどの第三者機関による徹底した疫学調査が必要でしょう。
        ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
※資料1 新型鳥インフル死者、発生から20日後にようやく発表=中国報道
共同 4月1日
中国の国家衛生・計画生育委員会は31日、上海市と安徽省でこれまでヒトへの感染が確認されたことのないH7N9型鳥インフルエンザウイルスに3人が感染し、うち2人が死亡したことを発生した。中国メディア・人民網は1日、「死者が出てから20日後にようやく発表」との見出しをつけて伝えた。
※資料2 鳥インフルで2人死亡 中国
産経新聞 2013.3.31
【北京=川越一】中国国家衛生計画出産委員会は31日、上海市で鳥インフルエンザウイルスに感染した男性2人が死亡したと発表した。検出されたウイルスは低病原性のH7N9型とされるが、人への感染が確認されたのは初めて。

 国営新華社通信によると、死亡した2人のうち、87歳の男性は2月19日に発病し3月4日に死亡。27歳の男性は2月27日に発病し3月10日に死亡した。また、安徽省の35歳の女性も3月9日に発病、感染が確認され、江蘇省南京の病院で治療中だが危篤状態という。

 中国疾病予防コントロールセンターが3月29日にウイルスを検出し、30日に同委員会がH7N9型の感染を確認。感染源の特定を急ぐとともに、感染ルートも調べている。家族など関係者の経過観察も続けているが、現在のところ感染の兆候は見られないという。

 H7N9型 A型インフルエンザウイルスの一つ。AP通信によると、2003年にアジアを中心に死者が相次ぎ、人から人への感染拡大が心配されている高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1型と違い、人に感染し感染症を起こす力は弱いとされる。世界保健機関(WHO)の専門家は「毒性は弱く、公衆へのリスクは低いのではないか」としている。

※資料3 世界初、中国で「H7N9型」鳥インフルが人へ感染 「人から人へ感染」これが一番心配な事態だ
JCAST 4月1日

中国政府が、鳥インフルエンザ「H7N9型」の感染によって、上海で2人の男性が肺炎などの症状を訴え死亡したと発表した。「H7N9型」の人への感染が確認されたのは初めてのことだ。
専門家は、中国当局の発表の遅れを2003年のSARS騒動と重ねて指摘し、「人から人へ(ヒトヒト)の感染が本当にないのか注視する必要がある」と話している。

発熱や肺炎等の症状で2人死亡

中国の衛生当局が2013年3月31日、発表したところによると、上海市の87歳と27歳の男性が、ともに2月に発熱や肺炎などの症状を訴え、87歳の男性は3月4日に、27歳の男性は10日に死亡した。
2人が「H7N9型」の鳥インフルエンザウイルスに感染していたことが、検査の結果30日に確認されたという。また、中国東部安徽省の35歳の女性からもこの型のウイルスへの感染が確認された。女性は現在も治療中で、肺炎などの症状が重いそうだ。

鳥インフルエンザはこれまで、「H5N1型」などの感染例は多数報告されてきたが、中国の衛生当局によると、「H7N9型」のヒトへの感染は世界でも報告されたことがない。
3人の感染経路は不明で、今のところ濃厚接触者88人に発症の兆候はなく、公式発表では、ヒトからヒトへの感染も確認されていないとされている。中国の当局は、3人の感染経路やウイルスの毒性、それにヒトへの感染力などについて分析を進めている鳥インフルで

今年8人目の死者 カンボジア
産経新聞 2013.2.27 14:54
 【プノンペン共同】カンボジア保健省と世界保健機関(WHO)は27日、コンポンチャム州の35歳の男性が鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染し、25日に死亡したと発表した。
 カンボジアでは今年に入り、この男性を含め9人の感染を確認、うち8人が死亡している。これまでの感染者はこれで30人、うち死者は27人となった。

※資料4 強毒型に変異か 中国トリインフル、人から人への感染の恐れも
2013/4/3 12:31 【上海=共同】

中国国内で人への感染が確認された鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)について、遺伝子解析などの結果、本来の弱毒性ではなく、発症すると重い症状が出やすい強毒性の可能性が高いと専門家が分析していることが3日、分かった。関係筋が明らかにした。

 ジュネーブに本部がある世界保健機関(WHO)は今のところ「人から人への感染例は見つかっていない」としている。しかし、専門家はウイルスが人から人への感染の恐れがあるタイプに変異している可能性が高いと分析。変異が確認されれば感染が拡大する恐れもあるため、中国の保健当局と協力し、事態を注視していく方針だ。

 WHOはH7N9型の人への感染は初めてと確認。これまでの調査では豚からの感染も疑われているが、上海市の川で3月に見つかった大量の豚の死骸との関係は不明で、感染源は特定されていない。

 H7N9型は本来、弱毒性で公衆衛生上のリスクは低いとされている。ただ、中国国内で確認された感染例はいずれも症状が重篤で、遺伝子解析を行った結果、感染した人体内で見つかったウイルスは強毒なことが分かった。

 H7N9型により上海市の男性2人が死亡。江蘇省と安徽省の計5人が重体で入院中。中国の保健当局は、強毒化の程度などを調べるため、入院患者から検出したウイルスの検査をさらに進めているもようだ。

 また、今回の感染例が1市2省と広範囲に及んでいることを受け、感染ルートの特定を急ぎ、ウイルスの封じ込めに全力を挙げる方針。

 上海市で死亡した87歳の男性は家族内での感染も疑われる可能性があるが、上海市政府の担当者は2日の記者会見で、同時期に肺炎の症状を起こした男性の2人の子供からはH7N9型が検出されておらず、人から人への感染は現時点で不明とした。2人の子供のうち1人は死亡した。

※資料4-2[北京 2日 ロイター] 

中国の新華社は2日、江蘇省でH7N9型の鳥インフルエンザに新たに4人が感染し、いずれも重体だと報じた。同型の鳥インフルはこれまでヒトへの感染が確認されていなかったが、上海市などで3人が感染し、うち2人が死亡したことが先月31日に明らかになっていた。

同型のウイルスについて、世界保健機関(WHO)は1日、ヒトからヒトへ感染する可能性を示す証拠はないとしたが、なお調査を続けていると発表した。

新華社によると、上海市に隣接する江蘇省の感染者4人は32歳から83歳で、うち45歳の女性は家禽(かきん)を扱う市場で働いていた。4人は3月中旬に発症し、月末までに入院。目まいや熱、咳、息切れといった症状が出ているという。

また、これまでの患者7人はヒトから感染したとみられておらず、7人に接触した255人からはインフルエンザの症状は出ていないという。

※資料4-3 中国発パンデミック警戒 鳥インフル、強毒性に変異か 死者3人に
産経新聞4月4日

中国で人への感染が確認された鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)は、強毒性に変異した可能性が浮上している。今後、最も懸念されるのは、感染が人から人へと広がりパンデミック(世界的大流行)となることだ。

 H7N9型は弱毒性とされてきたが、中国国内で確認された感染例はいずれも症状が重篤で、ウイルスの遺伝子解析から強毒性とみられる。

 「人人」なら深刻

 世界保健機関(WHO)はH7N9型の人への感染は初と確認。現段階で「人から人への感染例は見つかっていない」という。

 H7N9型はもともと、鳥が感染するインフルエンザウイルス。しかし、ウイルスは常に変異を繰り返しており、同じ型でもさまざまなタイプが存在する。今回もH7N9型の一部がマイナーチェンジし、人に感染することが可能なタイプが誕生した可能性がある。

 ウイルスは豚などの家畜を介して変異することが知られる。豚などは鳥と人両方のウイルスに感染するため、体内でウイルスが混ざり、鳥インフルが人にも感染しやすい能力を得ることがある。

 このウイルスが人から人にも感染できるウイルス(新型インフルエンザ)に変異していた場合、事態はさらに深刻になる。

3週間後に発表

 人類にとっては未知のウイルスとなるため、抵抗力がなく、感染は爆発的に広がる可能性がある。さらに今回、上海市の発表が男性2人の死亡から3週間もたっていたことに、国内でも批判が出ている。

 これまでの感染例では、2009(平成21)年のH1N1型が新型インフルエンザとなり、日本を含め世界70カ国以上に感染が広がった。この時は弱毒性だったが、今回のウイルスは強毒性の可能性も指摘される。

 強毒性の鳥インフルとしては、人に感染した場合の致死率が50%を超えるH5N1型が有名だ。ただし、H5N1型は現在のところ人から人への感染報告はないとされている。

 厚労省は中国の保健当局と協力し、事態を注視していく方針だ。

※資料5 東京大学医科学研究所 付属病院 病院長 岩本 愛吉氏 インタビューhttp://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/34/index1.html

※資料6 鳥インフル研究、2段階審査 米政府が科学誌に発表、テロ悪用懸念で厳格化
共同 2013.2.22 07:59

 毒性が強いH5N1型鳥インフルエンザウイルスを使った研究について、米政府は21日付の米科学誌サイエンス(電子版)に、国と助成機関の2段階で審査する新たな仕組みを導入すると正式に発表した。

 H5N1型ウイルスの研究は、世界的大流行の発生に備えるのに役立つ一方、公表された論文の情報が生物テロに悪用される懸念もある。

米厚生省は昨年12月、審査を2段階にして厳格化する案を示し、各国の専門家から意見を聞いていた。新たな仕組みは、遺伝子改変によって哺乳類に感染しやすいウイルスをつくる研究などが対象。米国立衛生研究所(NIH)などの助成機関は、こうした研究への助成申請を受けた場合、ウイルスが実験室の外に漏れないような措置が講じられているかどうか、公衆衛生上の利益が大きいかどうかなどを審査。さらに厚生省が、テロ悪用の可能性なども多面的に考慮して審査するとしている。(共同)

※資料7 <鳥インフル>ヒトへの感染しやすく変異 国立感染研が確認
毎日新聞 4月3日

 中国で鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の感染者7人が確認された問題で、国立感染症研究所の分析で、ウイルスがヒトへ感染しやすく変異していることが確認された。

 今回のウイルスを分析した国立感染症研究所の田代真人・インフルエンザウイルス研究センター長によると、ウイルスはヒトに感染できるように変異し、哺乳類の体内で増殖しやすくなっていたという。田代センター長は、ヒトからヒトへの感染は確認されていないが、上海市のケースでは可能性が否定できないとの見方を示す。

 東北大の押谷仁教授(ウイルス学)は、ウイルスに大きな変化が起きた可能性を懸念し、「ヒトからヒトへの感染の危険性が増していると考えることもできる。その場合、大きな被害をもたらす可能性はあり、かなり注意が必要だ」としている。【

※今日はゴチック太文字の代わりに小見出しをつけてみました。やっぱり見にくいかな。

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公害大陸中国その11 「完備された法と執行されていない現実」とは

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意外に思われるかもしれませんが、中国には環境保護法はあります。というか、世界的に見ても「先進的」ですらある法は存在します。 

「中国環境問題に関する「中国環境問題」(井村秀文 勝原健)という本の中には、わが国より「ある意味ではもっとも先進的」とすら讃えられています。 

このくだりは、中国の当局者がいたくお気に入りの一文で、なにかとアチラでは引用されるそうです。 

まぁ、中国にはなにかとわが国と比較したいという気持ちがある上に、環境先進国であるわが国の環境法体系より「先進的だ」とまで書かれたらうれしいのはわかります。 

もちろん、中国の環境問題研究者はおめでたくこんなことを信じているわけではありません。 

そりゃそうでしょう。今の中国は、たぶん人類が到達しえた「極北の環境地獄」であることは間違いないわけからですから。 

ではなぜ、こんな「立派な」環境法がありながら、現実にはなぜこんな悲惨の極みなのでしょうか。理由は簡単です。法はあっても執行されないからです。 

日本の環境研究者の片岡直樹氏は、「中国環境汚染防止法の研究」のなかで、「完備された法と執行されてい現実」という観点で、今の中国環境問題を分析しています。

片岡氏によれば「法」はあっても、その根拠となる適切な法令が整備されていないからだと考えています。

つまり、基本法はあっても、それを具体化する法令がないためにザル法 になっているのだというわけです。

法令がないために執行段階で、当局の恣意が入ってしまう余地が多くあるということのようです。

1979年に中国では環境保護法ができ、2002年に環境アセスメント(影響評価)が制度としては出来ています。 

2005年には国家環境保護総局の音頭取りで、マスコミとNPOが中心となって「アセスメントの嵐」という大規模キャンペーンまで行われました。 

ここまでは大変に結構で、私自身も関わった霞ヶ浦浄化運動でも環境NPOと行政、マスコミが互いに補完しながら問題解決にあたってきた歴史があります。 

しかし中国ではこのアセスメントの実施段階で問題が露になります。「環境アセスメントを誰がするのか」という根本問題につきあたってしまったのです。

「中国汚染」の著者である相川泰氏によれば、中国の場合、アセスメントは地方政府の下部機関が行っていて、そこに問題があるとしています。

この地方政府下部機関は、アセスメントの合格証を書くと企業から多額の賄賂を得ることが出来る仕組みになっていました。

また、評価に誤りや不備があっても責任を追及されることもないようになっていました。

しかも、組織としてしっかりと取り締まりをして公害が出なくなってしまえば、予算がとれなくなってしまいます。

ならば、いいかげんなアセスメントを出して企業から賄賂をもらい、来年度も予算を多く取ったほうがいいということになったようです。

このようにして環境法は骨抜きになり環境アセスメントも「本来は環境汚染を防ぐ為に作られたはずが、かえって助長すらする制度」(「中国汚染」)になってしまいました。

ここでもう一度一昨日に書いたモラルハザードの意味を思い出していただきたいのです。

規律の喪失、倫理観の欠如した状態のこと
危険回避のための手段や仕組みを整備することにより、かえって人々の注意が散漫になり、危険や事故の発生確率が高まって規律が失われることを指す。」
(現代政治用語辞典による)
 

私たち日本人は、環境法があると聞いただけで安心してしまいます。私たちにとって、それを遵守するのはあたりまえである「法秩序の国」に住んでいるからです。

しかし、ここには世界第2位という経済的モンスターになりながらも、統治において権力者の恣意がはびこる「人治」の国があります。

これが中国という国の「国柄」な以上、それは中国の人々がみずから変えていくしかないことなのかもしれません。

たた、PM2.5や汚染食品はいやでもわが国に流入する以上、なんらかの「環境共同体」のような構想は必要なのかもしれませんが。と言っても、相当に政治的に難しそうですが。

■写真 毎朝のようにこの河堤で写真を撮っています。今日は朝日に映えてそれは美しかった。

 

 

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TPP 林農水大臣「サインだけしなければならないなら、席を立って帰ってくる」

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林芳正農水大臣は、安倍政権でTPP推進派の甘利氏や茂木氏と折り合いが悪いのではないでしょうか。 

かつて2月12日に、林農水大臣は自民党の政権公約は、「自民党の公約には聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加に反対する』ということ以外にも、5つの項目を掲げている」、と改めて表明しています。(資料1参照) 

どうも日米首脳会議以降、マスコミは「聖域なき関税撤廃」ばかりを前面に押し出しています。困ったものです。 

このブログでもかなりしつこく言ってきているように、自民党政権はTPP交渉参加について政権公約で6項目の判断基準を全てクリアできなければ、TPP交渉に参加しない、そう公約したのです。(資料2参照

ところが、短絡的に「聖域」=重要品目=関税5品目ばかりが関心の対象になってしまっています。 

また、林大臣は交渉参加についても多くのマスコミや政治家が、「バスに乗り遅れるな」といわんばかりに、「今交渉参加できなければ交渉内容がわからなくなる」と騒ぎ立てていることに対して、こう言っています。 

TPPは『貸し切りバス』であり、日本が入らないとバスは出ない」。(資料3参照) 

これと同様の、「日本というTPP第2の経済大国が参加しないTPPなどありえない」という発言を、昨日3月31日のNHK日曜討論でした時には、思わず見ていた私もオッと叫んで膝を打ってしまいました。 

日本としては年内妥結にこだわらず交渉に取り組む考え」であり、「市場アクセスの分野はまだ何も決まっていないという情報がある。決まっているものにサインするだけならば、その場で席を立って帰ってくることだって視野に入れてやればいいわけで、しっかり交渉力を行使していかなければならない
(資料3、4参照)
 

この「その場で席を立って帰ってくる」という発言は、反TPPの論客で有名な鈴木宣弘東大教授が「交渉は9月で最終回ではないか」と問うたことに対する返答の中に出てきます。

鈴木さん、勢い込んで大臣から言質をとろうとして大臣からいなされていましたね。お気持ちよく分かります(笑)。

私も実は鈴木教授と同様の認識を持っていました。あと1回の交渉で、ほとんどが決まっていることを呑まされる可能性があると考えていたわけです。 

これに対して゛林大臣は落ち着いた口調で大意こう述べています。 

「TPPの22項目中2つしか妥結していない現状であって、そもそも去年11月をめどに終結のめどといいながらまったく進展していない。あと2回で交渉がまとまるわけがない。わが国が参加しても、すべてが決まっていることをサインだけして帰ってくることはありえない。」 

まさにそのとおりです。あせって交渉する必要などまったくないのです。 

日本はTPP参加国の大部分の国と経済連携協定(EPA)を結んでいます。つまりTPP参加国のほとんどの国と自由貿易枠組みは出来ているわけです。 

ただ自由貿易協定予定がない国がふたつあります。それが、米国とニュージーランドの2カ国です。

つまり、本来ならば米国とニュージーランドの2カ国間で個々に自由貿易協定を結んでしまえばいいのであって、なにもこんな11カ国などという枠組みを作る必要はありませんでした。

しかしわが国が3.11に遭遇してしまったためと、民主党政権が年中行事の内部分裂を起こしたために、TPP交渉参加の意思決定が大幅に遅れてしまいました。

その間に中国との厳しい政治的緊張関係が生まれてしまったことで、経済問題だったはずのTPPに新たな安全保障上の課題が生じてしまい、日米関係の強化のために米国主導のTPP枠組みに参加を余儀なくされてしまったのです。 

対中国との関係がなければ、わが国にとって経済的にはTPPなどどうでもよかったのです。

あくまでもTPPに日本を入れたいのはオバマ大統領のほうであり、わが国にとって利害はまったくといっていいほどないのです。はっきり言って安保をカタに取られたのです。 

ですから、わが国は「バスに乗り遅れる」ことなどまったく心配する必要はありません。

TPPというバスは林大臣がいみじくも言ったとおり日本の「貸し切りバス」なのですから、納得がいくだけわが国の利害得失を並べ立ててわが国をTPP交渉に招いたことが、エライことだったと思わせたらいいのです。

そして、林大臣の言うとおり、今年9月どころかズルズルと3、4年先まで交渉をやって米国のみならず政府内の推進派の諸公のうんざりする顔がみられるまで引っ張ってしまいましょう。

林大臣にぜひこのようなタフネゴシエーターになって頂きたいものです。

 

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。 

■資料1 農相 TPP参加は公約確認後
NHK2月12日
林農林水産大臣は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、関税の撤廃に例外が設けられるかどうかに加え、食の安全安心に関する基準を守ることなど、自民党が先の衆議院選挙で政権公約に掲げたすべての点を確認できなければ交渉に参加するのは難しいという認識を示しました。

TPP交渉を巡っては、安倍総理大臣が、今月8日の衆議院予算委員会で、今月下旬に予定されている日米首脳会談で関税の撤廃に例外を設けられるかどうか確認したいという考えを示しています。

これに関連して林農林水産大臣は、12日の閣議のあとの会見で、「自民党の公約には、『聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加に反対する』ということ以外にも、5つの項目を掲げている。
 

5項目の判断基準に反することが明らかになった場合には、TPP交渉への参加は難しくなると思う」と述べ、関税の撤廃に例外が設けられるかどうかに加え、食の安全安心に関する基準や、国民皆保険制度を守ることなど、自民党が先の衆議院選挙で政権公約に掲げたすべての点を確認できなければ、TPP交渉に参加するのは難しいという認識を示しました。 

■資料2 自民党のTPP交渉参加の判断基準
(1)政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
(3)国民皆保険制度を守る。
(4)食の安全安心の基準を守る。
(5)国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
 

■資料3 TPP交渉参加、参院選前の表明に難色 林農水相
朝日新聞 1月18日 

林芳正農林水産相は、米国のルース駐日大使に、環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加表明は7月の参院選前は難しいとの見通しを伝えたことを、18日あったBS朝日の番組収録の中で明らかにした。林氏は大使と15日に意見交換し、「参院選が非常に重要で、人口が少ない31の選挙区(1人区)が勝敗を決すると伝えた」と言い、参院選前の参加表明の難しさを示唆したという。

林氏は収録で、「TPPは『貸し切りバス』であり、日本が入らないとバスは出ない」とも語り、急ぐ必要はないとの認識を示した。TPPの経済効果についても「(関税が25%の)トラックも、日本企業はすでに米国に工場がある。関税ゼロになったからといってまた日本に工場造って輸出する企業がどれだけあるか、議論しなくてはならない」と否定的な見方を示した。
 

■資料4 TPP、年内妥結にこだわらず NHK番組で林農相
共同通信 3月31日
 

林芳正農相は31日のNHK番組で、環太平洋連携協定(TPP)交渉で米国などが年内の合意を目指していることに関して「スケジュールに合わせなければいけないという意識が強すぎる。国益が満たされない場合、もう少し議論しようと主張していい」と述べ、日本としては年内妥結にこだわらず交渉に取り組む考えを示した。 

 交渉で日本の主張が受け入れられない場合「その場で席を立って帰ることだって視野に入れてやればいい」と述べ、自民党が「聖域」とする重要品目が守れない場合、交渉脱退も辞さない姿勢を強調した。 

■資料5 TPP、年内妥結にこだわらず NHK番組で林農相
共同通信3月31日
 

林芳正農林水産相は31日午前、NHKの番組に出演し、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題について「(国益を守れない場合は)席を立って帰ってくることを視野に入れればよい」と述べた。コメや砂糖などを「聖域」として関税撤廃の例外扱いとする目標を達成できない場合は、交渉からの撤退も検討すべきだとの考えを示した発言だ。 

 林農水相は「『最後はサインしなければいけない』ということはない」とも語り、日本が得る利益が小さければ、合意に加わらない選択肢もあると指摘した。 

■資料6 林農水大臣がTPP交渉で年内妥結こだわらず交渉に、国益を守れないなら撤退を視野に
NHK 3月31日 

農相「関税撤廃の例外訴えたい」
NHKの「日曜討論」で林農林水産大臣は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、関税撤廃などのルールはまだ決まっていないとして、参加国との交渉の中でコメや麦などを関税撤廃の例外とすべきだとする日本の主張をしっかりと訴えたいという考えを示しました。

政府は、TPPに参加した場合に農林水産物の生産額が3兆円減少するとした試算を公表しており、自民党はコメや麦などの5品目を関税撤廃の例外とすることを最優先に交渉に当たるべきだとする決議をまとめています。これについて林農林水産大臣は、「TPPの参加国の中で、日本はアメリカに次ぐ大きな国だから主体的に交渉をやっていくという意識を持たないと交渉にならない。われわれが交渉がまだだといえば延ばしていけばよい」と述べました。

そのうえで林大臣は。述べ、参加国との交渉の中で、コメや麦などを関税撤廃の例外とすべきだとする日本の主張をしっかりと訴えたいという考えを示しました。

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公害大陸中国その10 中国食品モラルハザードの根深さ

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中国の病をひとことで言えば、それはモラルハザードではないでしょうか。 

モラルハザードは「倫理性の崩壊」あるいは「道徳観の欠落」と理解されてきました。たしかに、前回触れた感染症で死んだ豚やアヒルを河に大量に投棄する、あるいはその病死体を食肉として販売するなどという行為はそれに当たるでしょう。

しかしモラルハザードには、もうひとつの元来の保険用語の意味があります。それは、このような意味です。 

規律の喪失、倫理観の欠如した状態のこと
危険回避のための手段や仕組みを整備することにより、かえって人々の注意が散漫になり、危険や事故の発生確率が高まって規律が失われることを指す。」
(現代政治用語辞典による)
 

中国の場合、「道徳観の崩壊」が深く浸透した社会的温床の上に、本来は危機回避のための法律整備や仕組みがあっても、それは名ばかりで、その陰の「隠れた行動」によってかえって危険性が増している状況だと考えられます。

昨年暮れのこと、またしても中国の食の安全が揺らぐ問題が発覚しました。 

しかも今回は、ただの中国国内問題にとどまらず、あろうことか日本にも大量に輸出されていることが分かったというおまけ付きです。 

中国農畜産業は、おそらく世界最大の農薬と抗生物質、薬剤の中毒的利用者であることは有名です。 

新華網によれば、中国環境科学研究院のGao Jixi生態学研究所長はこう述べています。 

「中国農民は毎年、4124万トンの化学肥料を使っており、これは農地1ha当たりでは400kgになる。これは先進国の1ha当たり225kgという安全限界をはるかに上回る。  

「統計によれば、1985年から2000年の間に、1億4100万トン、1年当たりにして900万トンの窒素肥料が洗い流され、汚染物質に変わった。国の湖沼の75%、地下水の50%が汚染されている。

中国で大量に使われる化学肥料である窒素肥料は、40%が有効に利用されているにすぎない。ほとんど半分が作物に吸収される前に蒸発するか、流れ出し、水・土壌・大気汚染を引き起こしている。 

さらに、中国の畜産農場の90%はいかなる環境影響評価も行っておらず、60%は必要な汚染防止・統御施設を欠いている。」(農業情報研究所による) 

中国の養鶏場では、飼育の常識を超えた過密飼育をするために、病死する鶏や豚が絶えず、それを防ぐために薬剤、抗生物質などが過剰に投与されています。 

そして、先進国基準値をはるかに越える薬を与えられた鶏肉や、病死した鶏肉すら平然と出荷されています。 

発覚の発端は昨年11月、中国のニュースサイト「中国経済網」(11月23日)の報道から始まりました。 

河南省食肉大手の「山西粟海」が、短期間で急速に成長する品種であるブロイラーに、薬物を過剰に投与していると告発しました。 

そしてこの鶏肉は、同社が鶏肉を中国国内のマクドナルドやケンタッキーフライドチキン(KFC)に供給していると報じたため、中国国内で衝撃を呼びました。

中国人も、屋台の店は危ないと承知して用心していても、よもや外資系のファーストフード大手までが危険な食材を使っているとは思わなかったようです。 

当初、この事件は、山西省農業庁の調査で「基準に合致している」とされました。たぶん賄賂でもつかませたのでしょう。しかし、そう簡単に幕引きできませんでした。別の業者で火を吹いたのです。 

12月18日、今度は中国中央電視台(CCTV)が、別の「六和公司」というマクドナルドやKFCに出荷している養鶏場を調べたところびっくり仰天の実態がバレてしまいました。 

その番組では、隠しカメラを持った取材記者が養鶏場の責任者と会話をしているところが映し出されています。 

責任者 「(薬剤を与えるから)鶏の死亡は少ないんだ。だから、これからも投与を続けるよ。そうすれば体重はすごく増えるからね。だからオレたちは(投薬期間には)こだわらない。」
記者 「では基本的に薬はやめない?」
責任者 「やめないよ。出荷前日にやめればそれで十分だろ。」
 

いちおう中国にも投薬禁止期間があって、出荷前1週間は投薬が禁じられています。それを守らないと、肉の中に薬剤や抗生物質が残存して健康に悪影響が出るからです。 

例えば、この農場責任者が言っている、「(薬を投与を続ければ)すごく大きくなる」というのは、成長ホルモン剤を指しています

これは中国で大量に使用されている動物薬剤のひとつで、体重や背丈を司る成長ホルモンの分泌を過剰にすることで、異常な性成長をさせます。 

通常ならありえない発達を薬剤によって促進させ、短期間で大きな家畜に仕上げることが可能です。言うまでもなく危険で、わが国では使用が禁じられています。

成長ホルモンを投与された乳牛のミルクを飲んだ子供の胸が膨らんだり、性成長が狂ったというケースが多く報告されているからです。

このテレビ報道によって「速成鶏」の危険性が中国国内でも大きく報じられ、政府はこの養鶏場や加工工場の閉鎖を命じて調査する事態となりました。 

KFCは発覚後、いったんは「安全基準を満たしている」との声明を発表したものの、最終的には「検査が不適切だった」と謝罪に追い込まれてしまいました。 

これで一件落着かとおもったところ、この話には続きがありました。 

この業者たちは日本の業務用食肉として大量に輸出されていたことが分かったのです。 

日本は今も懲りることなく、年間400万トンもの食材を中国から輸入しています。水産物、業務用野菜、その加工品の漬け物、調味料、食肉加工品などです。

特にコンビニ、スーパーの弁当や惣菜に入っている中食業務用として大量に輸入しています。焼き鳥、チキンナゲット、から揚げなどですが、それらをこの業者が輸出していました。 

中国の報道によればこの出荷先としてマクドナルド、KFC、吉野家、大阪王将などの名が上がっています。 

日本の食品輸入体制は国が行うモニタリング検査と、民間検査期間の命令検査、自主検査があります。 

しかし検査そのものは輸入量の1割程度を検査するのがやっとです。 

しかも、国のモニタリング検査のやり方は、検査ロットをすべて留め置いて検査すべきなのに、流通させて消費者の口に入った頃に結果がわかるという杜撰さです。

さすがに現在、店頭ではかつてのように中国産野菜や加工品を見ることは減ってきました。毒餃子事件以降、危険だという認識が消費者に行き渡ったためです。

しかし、中国現地で冷凍されてしまう業務用食材は、事実上フリーパスで数百万トンも流入していることを知ったほうがいいでしょう。

中国の食の安全問題は、牛肉に絨毯染料のスーダンレッドが使われていたとか、養殖魚介にマラカイトグリーンが検出された、あるいはほうれん草にシロアリ駆除剤が散布されていた、などという表層に浮かび上がってくる問題ではもはやありません。

このようなことはかの国ではおそらく無数に存在します。今後もっとわれわれを驚かす事実がいくらでもわかってくるでしょう。しかし本質は別にあります。

とりあえず表面的には危機回避のための手段である法律はある、しかし見つかった奴がマヌケ、仮に見つかっても地方政府の役人に賄賂をつかませれば逃げおおせる、捕まるのは下っぱばかり、上層部はとっくに大金を持って一族郎党で国外脱出している・・・。

国民が共有すべき「モラル」が消滅し、特権階級は富を独占し、国民もまた法など眼中になくこぼれたわずかな富にしゃぶりつこうと狂奔しています。

このような法なき人治の国、希望なき大国に「安全な食」など存在するわけがありません。

■写真 河にそった桜道。眠くなるような午後。

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