中国新型インフルエンザ第7回 WHOはフェーズ4かどうかの現地立ち入り調査をするべきだ!
■「疑問その12] 中国政府推薦で当選したマーガレット・チャン事務局長
WHOのパンデミックフェーズを3から4(6段階で上から3番目※参照)に上げる最終決定権は事務局長がもっています。今、その席に座っているのは、マーガレット・チャン(陳馮富珍)女史は香港出身です。
彼女は2003年にWHOに入りましたが、中国政府の後押しで当選した事実上の中国選出事務局長だと見られています。
2008年、日本が推した尾身茂WHO西太平洋地域事務局長を破って事務局長の座を射止めました。
チャン氏は、78年に英統治下の香港政府入庁し、94年6月から03年8月まで香港政府衛生局長という防疫・衛生トップを務めました。
その任期中の97年にトリインフルエンザ流行では高く評価されましたが、その時とった手段が徹底した殺処分だったのは、今のやっているのかいないのかわからない中国の現状を見ると皮肉としかいいようがありません。
2003年のSARS流行時には、事態を軽視して対応が遅れたと強く批判され、今でも香港の書き込みに「killer」と呼ばれている始末で、喚問すら受けています。
WHOは客観的にみても明らかに中国政府寄りの立場をとっており、かつてのWHOがもっていた緊張感は皆無です。
■[疑問その13]パンデミック・フェーズは3でなく、4に進むべきではないのか?
現在の中国の状況をWHOはフェーズ3としています。
フェーズ3とは、「インフルエンザウイルスが、ヒトにおいて散発例を発生させるか小集団集積症例を発生させたが、市中レベルでのアウトブレイクを維持できるだけの十分なヒト-ヒト感染伝播を起こしていない状態」を指しています。
上海にだけ局地的に発生していた時点ではそのとおりでした。
しかし、今や感染は長江デルタ地帯から離れて、北部の首都北京、内陸部の河南省にまで拡がっています。
今は次のフェーズ4、すなわち「ウイルスのヒト-ヒト感染伝播が確認され」、「パンデミックになることが既定の結論である」とはいえないが、「WHOと発生国は共同で状況を評価」するレベルか否かを判断すべき時期」に当たっています。
このフェーズ4と認定されると、中国は自らのみの判断で対策を立てることは難しくなり、必ずWHOとの協議をせねばならなくなります。
そしてこれがさらに拡大すれば、フェーズ5「1つのWHO地域で少なくとも2つの国でウイルスのヒト-ヒト感染拡大がある」国外感染へとつながります。
つまりフェーズ4は、国際的パンデミックになる前夜という重要な分岐点という判断です。
WHOのフェーズ4指針はヒト-ヒト感染ですから、そうであるのかどうなのか、中国当局任せにするのではなく、WHOが自ら立ち入り検査をするべきではないのでしょうか。
■WHOは現地立ち入り調査をするべきだ
近々、SARSについて調べてみるつもりでいますが、当時のWHOのとった姿勢は、軍病院にまで患者を隠して隠蔽工作に走る中国当局と、ケンカに近いやりとりをして情報を引き出しています。
今回のWHOを見ると、かつてのWHOとは別組織のように及び腰です。
中国政府にすり寄る姿勢が濃厚な香港に影響されたのか、マーガレット・チャン事務局長は、「10年前とは較べものにならない進歩をした」などと持ち上げる始末です。
ならば、どうしてその「進歩」とやらを実証するために現地調査をしないのですか。
北京政府と上海市のプレスリリースの口まねするのが、WHOの仕事ではないはずです!
※WHOパンデミック・フェーズ 感染症情報センターhttp://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009who/09who21.html
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コメント
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日本国内はまだ『外国の話』みたいにのんびりしていますが…。中国で人人感染が確認されたり、日本国内の鳥類からH7N9が見つかれば、雰囲気はかなり変わりますね。いまのところ抗インフル薬の感受性ありっぽいのが救いです。
投稿: ぶりお | 2013年4月17日 (水) 18時42分