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2013年4月18日 (木)

再生可能エネルギー FIT制度1年目の総括

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再生可能エネルギーの固定買い取り制度が始まって1年目の評価が出はじめました。
「週刊東洋経済4月13日号」は、FIT(全量固定価格買い取り制度)の特集記事を掲載しています。
結論から言ってしまえば、太陽光には投機的な異業種が食いつき、一方本来はメーンストリームとならねばならない洋上風力や地熱は苦戦しています。
 

太陽光発電 私の予想
私は旧記事(12年5月6日)で、ドイツなどのFITの総括からこのようなことになるだろうと予想しました。

初年度参入を優遇するために高額買い取り価格を実施し、特に太陽光発電に大量の新規参入者が殺到するだろう
その理由は
・立地条件を選ばない
・設備投資が安価である
・技術的に簡単である
・再生可能エネルギー中でもっとも買い取り価格が高い
・利潤の優遇措置が取られた

※関連記事http://arinkurin.cocolog-ifty.com/blog/2012/05/post-c7a2.html

やはり異業種参入で太陽光バブルとなった
東洋経済同記事によれば、太陽光はその法外な世界一の買い取り価格のためにバブルが来ると予想されていましたか、案の定発生しました。
特に住宅向けは既に優遇措置があったために、非住宅系の太陽光設置が進みました。
メガソーラーも飛躍的に伸びました。

・非住宅の太陽光の占める割合・・・全体の74%(385万キロワット)
・1000キロワット以上のメガソーラー・・・742件 (3月末には500万キロワットの予定)
・伸びた理由・・・①最高値である
        ・・・②稼働までのリードタイムが2カ月~1年と短い
 

発電量は公称500万キロワット、実態はその10分の1前後にすぎない
「再生可能エネルギーで原発5基分」、というような大本営発表の数字が同記事には踊りますが、ため息が出ます。
経済誌までそんなことを書いているから困ります。
「太陽光が他の電源と違って原発何基分なんて簡単にいえませんよ」、と私は脱原発派の皆さんに嫌われながらしつこく書いてきました。
原発や火力が「定常発電量」といえば、そのとおり発電しますが、再生可能エネルギーだと気象条件に左右されてしまって、EUの実測値ではその10分の1前後の出力にすぎません。
ですから、メガソーラーが公称1メガワットだとすると、多めに見ても0.12メガワットが実発電量なのです。
あとそうとうに頑張らないと原発1基分に届きません。
この厳しい現実を理解したうえで再生可能エネルギーを考えてくれればいいのですが、脱原発派の人たちはあまりにも短絡的に原発の代替に再生可能エネルギーを考えています。

「奇跡」が頼りの再生可能エネルギー
去年、再生可能エネルギー推進論者の人に説いても絶対に聞き入れてくれなかったことですが、現実にやってみると太陽光も風力にも「奇跡」が必要だと分かりました。
それは常に晴れていること。晴れたり曇ったりめまぐるしく天気が変わらないほうがいい。欲を言えば夜がないほうがいい。
風力では巨大プロペラを回すだけの強風がほしい。いつもコンスタントに吹いてくれて、できれば吹きすぎると壊れるので適当な強風が続くほうがいいというゼイタクな条件です。

電気は生もの 貯めておけないので融通の効かない再生可能エネルギーは不便
おまけに電気は生もの、貯めておけませんから刻々と変化する電力需要に応じた供給を行う必要があります。
ですからドイツでは、気まぐれ電力の再生可能エネルギーがダウンしたり、予想より多く発電してしまうたびに、近所の火力発電の出力を上げたり下げたりしなければなりませんでした。

あるいは余剰が生まれると貯めるための蓄電池も必要となりました。

ドイツは既に太陽光「敗北宣言」
既に
ドイツはFIT(ドイツ名EEG)の買い取り額を20~30%切り下げ、太陽光発電に見切りをつけました。
レットゲン環境相はこう述べています。

後、われわれは、コストが比較的安い再生可能エネルギーの電源を集中的に拡大していかねばならない。それは陸上風力と洋上風力である」。
ドイツははっきりと太陽光からの離脱と洋上風力発電にシフトしようとしています。
では、、この風力発電は善戦しているでしょうか?

風力発電 私の予想
風力発電では、予想どおり風力発電最大のネックの送電網問題が浮上しました。
私は風力発電が風力が平均6.7メートル以上ある北方に傾くために、旧来の送電網を大幅に建設せねばならなくなると予想しました。

風力発電は有力な電源だが、送電網の不足がネックになるだろう
・風力発電適地は、青森県、北海道、鹿児島県、福島県、静岡県、秋田県、鹿児島県
ここに大規模な風力発電所を導入した場合、工業地帯のある関東地方にまで電気を輸送するには、南北に串状に基幹送電網を建設せねばならない
・距離は北海道からだと直線距離で約1000キロ、東北200~580キロ、北陸450キロという
膨大な建設支出をせねばならないだろう
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-9dc0.html

苦戦中の風力、地熱発電
異業種の参入が相次ぎ活況を呈する太陽光と較べて、風力と地熱は厳しいものがあります。
風力は、低周波公害や景観破壊、バードストライクなどの影響が出るために、「最初の風況調査・住民説明に2年、環境アセスで3~4年必要とされる。さらに、建設にも1~2年かかる」(同)そうです。
結果として、「20万キロワット以上の風力発電の新規設備で、FITの認定を受けたのは2件のみ」といったところです。
地熱はやはり温泉協会との確執が表面化しています。
「地熱発電にしても、日本は米国、インドネシアに次ぎ世界3位の潜在力を有するといわれるが、自然公園の規制や温泉への影響が壁となって、なかなか開発が進まない。」(同)
 

■送電線が不足!風力の悩み
実情は、日本風力発電協会の斉藤哲夫企画局長は送電線問題についてこう懸念をしめしました。
「風力発電のポテンシャルのほとんどが(風況のいい)北海道、東北に集中しているが、両地域は電力会社の送電容量が小さい。建築基準法や環境アセスの制約のない太陽光に送電線への接続枠を先に占有されてしまうおそれがある」。(同)
やはり系統送電網の接続が大きな問題のようです。

この問題は長くなりますので続けます。

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コメント

記事の最後の所にある「送電線が不足!風力の悩み」が、十勝にもあります。

以前コメントしましたが、風力では無く家畜糞尿を使っての発電ですが、送電設備と受電設備の容量が不足しており、隣町まで送電しなければならない状況にあります。
太陽や風力に比べ、やや安定して発電する(気温により若干ばらつくようです)バイオガス発電ですが、中々前途は厳しいものがあります。
北電では、昼間は太陽光、夜間は他発電を受電するような考え方も示していますが、直ぐには対応できないような事が新聞に掲載されていました。
十勝地区には大型酪農経営が多く、バイオガス発電を計画している牧場も多いのですが、これらの問題で、その動きもストップしている状況にあります。
大都会や工業地帯と違って、北海道は送電や受電(変電所)設備が脆弱ですから、まだまだ時間はかかると思います。
本日の記事「太陽光発電」ですが、本町でもメガソーラー設置計画があり、廃校になった小学校のグランドを提供する予定で、地盤改良など行われましたが、1年経過しましたがいまだに設置の動きがありません。(賃貸か売買だったかは?)

おっしゃられていること全く同意です。
私も、このFIT制度の不条理を強く訴えています。このような訳のわからないエネルギー政策が行われるのは、このFIT制度の法制化の諮問に預かって、これを支持しているエネルギーの専門家と称する御用学者がいるからです。原子力村と同じ構造が、日本のエネルギー政策を支配しています。

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