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公害大陸中国その11 「完備された法と執行されていない現実」とは

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意外に思われるかもしれませんが、中国には環境保護法はあります。というか、世界的に見ても「先進的」ですらある法は存在します。 

「中国環境問題に関する「中国環境問題」(井村秀文 勝原健)という本の中には、わが国より「ある意味ではもっとも先進的」とすら讃えられています。 

このくだりは、中国の当局者がいたくお気に入りの一文で、なにかとアチラでは引用されるそうです。 

まぁ、中国にはなにかとわが国と比較したいという気持ちがある上に、環境先進国であるわが国の環境法体系より「先進的だ」とまで書かれたらうれしいのはわかります。 

もちろん、中国の環境問題研究者はおめでたくこんなことを信じているわけではありません。 

そりゃそうでしょう。今の中国は、たぶん人類が到達しえた「極北の環境地獄」であることは間違いないわけからですから。 

ではなぜ、こんな「立派な」環境法がありながら、現実にはなぜこんな悲惨の極みなのでしょうか。理由は簡単です。法はあっても執行されないからです。 

日本の環境研究者の片岡直樹氏は、「中国環境汚染防止法の研究」のなかで、「完備された法と執行されてい現実」という観点で、今の中国環境問題を分析しています。

片岡氏によれば「法」はあっても、その根拠となる適切な法令が整備されていないからだと考えています。

つまり、基本法はあっても、それを具体化する法令がないためにザル法 になっているのだというわけです。

法令がないために執行段階で、当局の恣意が入ってしまう余地が多くあるということのようです。

1979年に中国では環境保護法ができ、2002年に環境アセスメント(影響評価)が制度としては出来ています。 

2005年には国家環境保護総局の音頭取りで、マスコミとNPOが中心となって「アセスメントの嵐」という大規模キャンペーンまで行われました。 

ここまでは大変に結構で、私自身も関わった霞ヶ浦浄化運動でも環境NPOと行政、マスコミが互いに補完しながら問題解決にあたってきた歴史があります。 

しかし中国ではこのアセスメントの実施段階で問題が露になります。「環境アセスメントを誰がするのか」という根本問題につきあたってしまったのです。

「中国汚染」の著者である相川泰氏によれば、中国の場合、アセスメントは地方政府の下部機関が行っていて、そこに問題があるとしています。

この地方政府下部機関は、アセスメントの合格証を書くと企業から多額の賄賂を得ることが出来る仕組みになっていました。

また、評価に誤りや不備があっても責任を追及されることもないようになっていました。

しかも、組織としてしっかりと取り締まりをして公害が出なくなってしまえば、予算がとれなくなってしまいます。

ならば、いいかげんなアセスメントを出して企業から賄賂をもらい、来年度も予算を多く取ったほうがいいということになったようです。

このようにして環境法は骨抜きになり環境アセスメントも「本来は環境汚染を防ぐ為に作られたはずが、かえって助長すらする制度」(「中国汚染」)になってしまいました。

ここでもう一度一昨日に書いたモラルハザードの意味を思い出していただきたいのです。

規律の喪失、倫理観の欠如した状態のこと
危険回避のための手段や仕組みを整備することにより、かえって人々の注意が散漫になり、危険や事故の発生確率が高まって規律が失われることを指す。」
(現代政治用語辞典による)
 

私たち日本人は、環境法があると聞いただけで安心してしまいます。私たちにとって、それを遵守するのはあたりまえである「法秩序の国」に住んでいるからです。

しかし、ここには世界第2位という経済的モンスターになりながらも、統治において権力者の恣意がはびこる「人治」の国があります。

これが中国という国の「国柄」な以上、それは中国の人々がみずから変えていくしかないことなのかもしれません。

たた、PM2.5や汚染食品はいやでもわが国に流入する以上、なんらかの「環境共同体」のような構想は必要なのかもしれませんが。と言っても、相当に政治的に難しそうですが。

■写真 毎朝のようにこの河堤で写真を撮っています。今日は朝日に映えてそれは美しかった。

 

 

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コメント

今度はH7N9か、もう「鳥インフル」の一種だとしか分かりませんが、あの国ですから実際拡大していても隠蔽が当たり前に行われる危険があります。
なにしろSARSの経験がありますからね。

米国CDCなんか、すでに動いてますね。

我が国の防疫体制は、相変わらすザルのようですね…残念です。

投稿: 山形 | 2013年4月 3日 (水) 12時10分

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