« 原発と免震 その2 重要免震棟は半数以下しか設置されていなかった | トップページ | 福島第1原発:吉田前所長 ビデオ発言全文  「最後まで残って戦ったのはこんな人間だぞ」 »

原発と免震 その3 原発建屋には免震構造はなしという現実

290
福島第1原発において重要免震棟に設置された免震装置が、他の6基あった原子炉に設置されたのかといえばノーです。この免震棟のみにあっただけなのです。 

原子炉建屋には免震構造は採用されていないし、我が国では、現在建設中のもっとも新しい形の大間原発ですら免震構造は採用されていません。 

我が国では、原子炉建屋や原発の電気計装盤への検討が行われましたが導入は見送られました。(欄外図参照) 

そのために原発の耐震基準(耐震設計審査指針)が、一般一戸建て住宅免震基準より低いというありえないことが続いています。 

首都大学東京名誉教授西川孝夫名誉教授の「原子力施設の耐震設計 建物・構築物への影響評価」は、新潟中越沖地震を踏まえた研究ですが、これによれば従来の免震構造は以下のようなものがありました。(下図2枚は同論文より引用)

011
しかし、このような免震設計すら上回る「極限挙動」が中越沖地震では起きていたと指摘されています。

 

地震衝撃波の効果は、100キロ程度離れていてもマグニチュード7程度の地震であれば鉄筋コンクリートの建物が座屈する事例が数多く起きました。

 

現在使われている地震計では高周波の地震波を捉えきれずに記録されないために、地震学会や土木学会でも認識されにくいと言うこともあるようです。

 

西川名誉教授の講演「原子力発電所・超高層建築の耐震問題」によれば、従来から言われていた通説の地震波P波やS波だけではなく、さらに高周波のほとんど揺れを伴わない衝撃波地震波を、大規模地震は広範囲から集めて建造物へぶつけているとのことです。

 

同論文「極限挙動の検討項目」として以下が挙げられています。(下図参照 同論文より引用)

 

●極限状態モードに影響を与える事象
・免震層での浮上り
・擁壁との衝突
・免震部材のハードニング・座屈
・免震部材の復元力劣化・破断
・上部構造の降伏

010
つまり、次のような耐震設計が機能しない可能性も示してます。 

・積層ゴムの引張力・座屈の発生
・擁壁との衝突
・免震部材の特性劣化
・鋼材ダンパー・鉛プラグ入り積層ゴム・高減衰積層ゴム・すべり支承
・免震層下部構造剛性が低い場合
 

このように原発という、一般住宅より100倍も地震に強くなければならない建造物が実は、低い基準で作られており、しかも重要免震棟という「最後の砦」すらすべてに設置されているわけでもないというのが現状です。

これは単に原発問題にとどまらず、もっと大きな「重要・危険建造物の地震対策 」という眼で見なおすべきではないでしょうか。

.              。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。

           .下図カッコで括ったものが旧耐震基準の原発

Photo_6

|

« 原発と免震 その2 重要免震棟は半数以下しか設置されていなかった | トップページ | 福島第1原発:吉田前所長 ビデオ発言全文  「最後まで残って戦ったのはこんな人間だぞ」 »

原子力事故」カテゴリの記事

コメント

アネハ事件以前は、基本的に、剛構造で作る耐震構造を、岩盤上に作ると言うスタイルでしか構造計算しませんでした。
単純な1方向に力がかかった場合のせん断力しか、計算しないと言う計算方法です。MS-DOS時代の計算プログラムですよね。

東北地方の大学の校舎で、3次元的に、破断した中高層ビルが、奇跡的に、宙に浮いても、倒れなかったと言う事実がありましたが、その大学の建築家の設計でしたが、現在は、壊してしまい、跡形も無くなっています。

そのビルには、地震計が、設置してあったので、ビル全体が、浮いたと言う事実は、記録されたのですが、現在の免新構造でも、直下型地震における、ビルの縦方向のゆれ、長期振動によるビルの周期の同期、横方向の断層のずれなど、3次元的な設計基準は、まだ、出来ていません。

よって、自分は、今のところ、現場で、杭を作る柱状改良タイプの基礎と、粘りのある耐火重量鉄骨造で、現状、工事の真っ最中です。Is値は、1.25で、設計しました。

なお、コンピューターシュミレーションがない時代の社寺建築は、建築物自体が、基礎土木工事以外は、非常に、柔軟に出来ていて、「ときょう」や「舟ひじき」と言う、木造柔構造と、ハネギ構造など、やじろべえのような細工をすることで、地震の応力を逃がしていて、すばらしい建築物だと思ってます。

もちろん原子炉建屋に、木造は、無理ですので、結局、配管のみ、じゃばらジョイントで、ゆれを逃がすと言う方法でしか、設計されていない現状です。

現在の建築では、水素爆発による内側からの膨張力について、解決する方法は、見つかっていないと思ってます。

気体の膨張力には、たとえコンクリートの厚みを、3mにしたところで、簡単に破壊されますので、水素爆発しない方法でしか、対処できないと思ってます。

かなり難しい設計ですよね。自分には、具体的な良案を、見つけられません。

投稿: りぼん。 | 2013年6月12日 (水) 20時53分

免震構造専門家ですが~
原子力発電所では建物より原子炉配管のほうが重要になります。免震構造において配管はある程度犠牲にしなくてはいけなく、配管損傷でメルトダウン起こす原発には採用されません。

投稿: 地獄少年 | 2013年9月11日 (水) 05時21分

免震構造専門家さま

建物より原子炉配管のほうが重要>>>。

このことは、BWRでは、直接、一部破断しただけで、プラントとしての、安全機能や、計測機能が、失われて、コントロール不能に陥ることは、解っていながら、現状でも、再稼動申請中の原子炉プラントも、耐震レベル、第4レベルでの設計ですから、原子炉建屋より、早期に、破断し、格納容器内のデーターは、中央コントロール室では、読み取れなくなりますし、BWRのような格納容器の外部まで、重要な配管が、ものすごい量で、作られている現状ですので、剛構造でも、柔構造でも、免震構造でも、あれだけの地震を受け、さらに、かなりの強い余震が続いたため、基本的に、現状の建築構造では、全く破壊されないのは、無理と言うか、安全を担保するのは、不可能でしょう。と、個人的には、思ってます。


免震であろうが、剛構造であろうが、超高圧で、耐えうるフレキシブルパイプで、すべて、地震による致命的な対応が、出来ていない以上、結果、どんな構造であれ、少なからず、放射性物質は、敷地外まで、汚染することは、防げないと思ってます。

メルトスルーした燃料棒は、鋼鉄の融点以上の熱量です。
計算上摂氏2,700度を越えるはずなので、地震だけでなく、超高温高圧で、配管も破損するでしょうし、圧力容器の鉄板は、厚さ5cmでしか、ありませんし。

1,500度を越えれば、核燃料が、溶け落ちるのは、あたり前のことでしょうね。

震災の地震で、地盤が、1.5m下がったとの計測値もあるようですので、上下、左右、1.5mの大きなゆれに耐えられる高圧フレキシブル配管が、出来ない以上、世界中の原発は、大きな地震には、耐えられないのは、明白でしょう。

専門家とおっしゃるなら、どういう構造であれば、安全なのか、ご教授願いたいと思ってます。

ただ、重要免震棟が、あったおかげで、事故後の作業が少しでも出来たことは、ありがたいことだと思ってます。

管理人さんからは、コメントに、意見を述べることは、避けてくださいとのことですが、専門家さんが、批判でなく、具体的な改善策を、教えていただければ、ありがたいと思って、コメントしました。

投稿: りぼん。 | 2013年9月11日 (水) 22時16分

りぼん。様

私もまったくの同意見です。

原発の配管は剛配管であり。これは地震に弱いのです。地震に一番強いのはゴムホースですよ。。。この矛盾が解決できるまで、再稼動はするべきではないと思っています。

免震重要棟でさえ縦揺れには対応していないのですから福島があれだけですんだのは、神様のおかげ 菅直人前首相の言葉が心に残ります。

意見だけになってしまい、申し訳ありません。しかし具体的な改善策がないのが現状かと思います。またご指導よろしくお願いします。

投稿: 地獄少年 | 2013年9月12日 (木) 00時52分

りぼんさん、どうぞどうぞ。私も大いにお二人のご意見は参考にしております。

なるほど細菅の免震構造か。勉強になります。
ただ、F1は本館建屋内部もそうとうに破壊されているので、そちらも含めて総合的免震化が必要なのでしょうね。

地獄少年さん、ありがとうございました。HNがすごいのでびびっておりました(笑)。

投稿: 管理人 | 2013年9月12日 (木) 04時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 原発と免震 その2 重要免震棟は半数以下しか設置されていなかった | トップページ | 福島第1原発:吉田前所長 ビデオ発言全文  「最後まで残って戦ったのはこんな人間だぞ」 »