• 20250117-013132
  • 20250117-015927
  • As20241225001545_comm
  • 20250115-143858
  • 20250113-081014
  • 20250114-011659
  • 20250113-133232
  • 20250113-134354
  • 20250113-134844
  • 20250113-135719

« TPPの原型・郵政民営化のウソ その4 優良事業体が年間1000億円の赤字会社に転落 | トップページ | 週末写真館  水族館は楽しいな »

2013年6月28日 (金)

TPPの原型・郵政民営化のウソ その5   郵政民営化の「成功例」ドイツポストの惨状と米国のダブルスタンダード

Dsc_4865
ドイツは、日本の郵政民営化の成功事例としてもてはやされていました。しかしそれも虚妄だったようです。゛

ドイツ・ポスト(ドイチェ・ポスト)は現在経営難に陥っていると伝えられます。ドイツポストは、子会社であったポストバンクが売却が準備段階に入っているようです。

ドイツ政府は1990年頃から、公共事業体の見直しに着手し、1995年にそれまであった国有の「ドイツ連邦郵便」を3ツに解体した上で、株式会社化・民営化しました。

その結果出来たのが、ドイツテレコム、ドイツポストバンク、そしてドイツポストでした。

まさに日本が辿った道そのままというか、そのお手本となった事例です。脱原発といい、発送電分離といい、日本人は「ドイツがこうやった」というのに極度に弱いみたいですね(苦笑)。

ドイツポストは民営化以降、絶好調にみえました。

まず、97年に民間文房具店のマックペイパーを買収し、02年には国際宅急便会社として世界的ネットを持つDHLまでを100%子会社にしたときには、得意の絶頂だったと思います。

その勢いは止まることなく、EU統合を追い風にして、その恩恵を目一杯受けて米国、オランダ、イタリアなどの大手企業を次々にM&A攻勢をかけて傘下に納めていきます。

しかし08年、その行き足がパタリと止まり、一気に崖を転げ落ちるようにして経営悪化が始まり、巨額の赤字転落を計上するようになります。

その引き金となったのは、最初に巨額の資金で買い込んだ米国DHLの業績不振でした。

JPエクスプレス(JPEX・宅急便事業)で巨大赤字を作った日本郵政会社とそっくりなことを、ドイツもやったようです。

そもそもドイツ連邦郵便は、郵便事業が中心でした。

ドイツ連邦郵便の営業利益の比率は以下です。
・郵便事業(ドイツポストへ民営化)          ・・・65%
・金融(ドイツバンクへ)                 ・・・21%
・宅急便や輸送業務(DHLなどを買収) ・・・それぞれ7%

一見して分るように、連邦郵便の本体は郵便事業であったにもかかわらず、本業以外の宅急便などの買収に巨額の資金投下をしたために経営が圧迫されたのでした。

そしてこの「本業」の郵便事業は民営化によって著しくサービスが低下し、国民のドイツポスト離れをもたらすことになります。

民営化前の90年当時、2万9000あった郵便局は03年末には1万3千と半数以下にまで激減しました。

地方で郵便局の多くが廃止され、配達回数すら半減し遅配が恒常化しました。まさしくわが国が民営化でやたことをドイツもしっかりと繰り返しているのが分かります。

ただ違うのはわが国が、米国の年次要求書に沿った金融開放の中で、民営化を決断した受け身の開放だったのに対して、ドイツはむしろ自国が主導したEU統合の流れの中でのグローバル化であったことです。

しかし、本質において、グローバリズムの中で、「国の骨格」のひとつである郵政事業を手放してしまえば、どのようなことになるのかがお分かりになるだろうと思います。

そして、ドイツにおいては2月には、ドイツ・ポストを黒字転換したことで英雄とまで言われたドイツポスト前会長のクラウス・ツムヴィンケルが、巨額の脱税容疑で逮捕されるという事件にまで至っています。

そして今、経営再建のためにもともと連邦郵便の頃には同じ事業体だったドイツバンク株を売却するという自らタコの足を食べるようなことをするまでに至っています。

ところで、世界各国で郵政民営化の成功例は皆無に等しいとすら言われるようになっています。各国事例をざっと見てみましょう。

フランス・・・国営郵便「ラ・ポスト」が「郵政の自由化に備える」として、一部地域で実験的にコスト削減、不採算局の縮小・整理統合を進めた結果、たとえばロワールアトランティック県では26の郵便局が9に減らされた。現在、全国で地方を中心に、約5千の自治体首長が連盟で反対署名。

スウェーデン・・・93年に「郵政自由化・規制緩和実施」して以来、役10年で郵便局数は5分の1、郵便料金は2倍になる。経営も赤字に転落。02年の赤字額は8千700万ユーロ(約116.6億円)。資産の大半を解体して売却。切り売りされました。

英国・・・英国郵便「ロイヤルメール」が02年年、自由化に向けて全国9千の郵便局のうちその3分の1にあたる3千の閉鎖。しかし、地方からの猛反対で地方では局数を維持。

ニュージーランド・・・87年に、郵政民営化で三分割され、郵貯はオーストラリアの銀行に売却。しかし国民からは極めて不評で、小口口座の運営、低利融資などかつての便利な郵貯の復活を求める世論が高まり、02年、郵便貯金の「キウイ銀行」が誕生し拡大している。

米国・・・ブッシュ大統領命令で設置された郵便改革のための委員会が、03年報告でこれまでどおり政府機関のままとし、民営化を退ける答申を提出。

米国郵政民営化検討委員会報告書には「ユニバーサルサービスの品質を維持しながら、郵便利用者の負担と納税者の負担を最小限に止めるように努力しなければならない」と述べられている。

このように世界各国は、ことごとく郵政民営化や「規制緩和」は失敗するか、それを学んで民営化を中止する方向に動いています。

この失敗事例に我が国はもう一頁汚点の章を付け加えたことになります。

実はこれらの各国民営化事情は、日本の郵政民営化以前から知られていたものです。

しかし、小泉首相と竹中平蔵郵政民営化担当大臣はそれを無視し、ニュージーランドの事例すら成功といいくるめて国民を煽ったのです。その罪は重いと言えます。

しかし、それにしても、米国は自分の国では「納税者の負担を最小限にするためにユニバーサルサービスを維持しろ」と正論を言っておきながら、我が国には郵政民営化を押しつけてくるとは、いい度胸ですな。

自分の国でやらないひどい政策を外国にやらせて、ガタガタにしておいて火事場泥棒のように自国金融の餌に巻き上げしうまう、これが正しいグローバリズムのあり方なのです。

TPPもまったく同じ文脈でやってきます。気をつけよう。甘い言葉と「改革」の二文字

■写真 今日も郵便局のミニバンは新緑の中を走っています。がんばれ、郵便局!

 

 

« TPPの原型・郵政民営化のウソ その4 優良事業体が年間1000億円の赤字会社に転落 | トップページ | 週末写真館  水族館は楽しいな »

TPP」カテゴリの記事

コメント

DHLってちょっと前まで絶好調だったんですが、そんなことになっていたとは…リーマンショックと墜落事故の影響もあるんでしょうかね。

で、アメリカ!
日本には押し付けておいて自分とこはなんなんだよ…。
牛肉輸入基準同様で酷いですね。

市場原理を憎む共産主義者は北朝鮮に亡命すれば?

こいつら既得権益派はサッチャー改革の勝利すら否定するんだろうな

市場経済の邪魔なので永久にソ連に引きこもっていて欲しいですな

また革命烈士か。

サッチャー改革っていつの話だよ(笑)
世界は動いているんですよ。

ソ連、今はそんな国は存在しません。
イデオロギーではなく、その時点で内部暗闘と市場解放の合理性が、かろうじてあったからです。

少しは勉強して下さい。


北朝鮮へ行け?
なんで、そんな暴言が吐けるかな。

あなたこそ、地球から出て行きなさいよ!

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« TPPの原型・郵政民営化のウソ その4 優良事業体が年間1000億円の赤字会社に転落 | トップページ | 週末写真館  水族館は楽しいな »