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2013年7月 4日 (木)

ほんとうは怖い電力自由化 その3  再生可能エネルギーとFITによって歪められた電力需給メカニズム

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もう少し「容量市場」という聞きなれない言葉をご説明します。 

この容量市場は米国ニュージャージー州で実験的に開始され、英仏でも2016~17年に導入が予定されています。これはもっぱら供給予備力の確保という地味めの目的からでした。

我が国でももっぱら供給予備力の観点から経産省が既に検討しています。
※経済産業省PDFttp://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/sougou/denryoku_system_kaikaku/pdf/010_03_04_02.pdf#search='%E5%AE%B9%E9%87%8F%E5%B8%82%E5%A0%B4'

さて、この容量市場ががぜん脚光を浴びたのは、ドイツの脱原発政策による再生可能エネルギーの増加に対応した新たな電力市場調整機能という側面が出てきてからのことです。 

耳にタコかもしれませんが、再生可能エネルギーの導入が増加すると、電力供給は宿命的に不安定になっていきます。その理由はもういいですね。 

いや、太陽光は夜間でも発電するんだ、風力は風がなくても大丈夫さぁ、という人はどうぞそのまま信じていて下さい。(笑) 

下図は、太陽光が増加したスペインの需給運用のグラフです。(資源エネルギー庁作成)

Photo_2
    (図 「容量市場は果たして機能するか?~米国PJMの経験から考える」電力改革研究会より)

この図は、実際に再生可能エネルギーが拡大した場合、他の電源がどのような関係でそれをフォローするために増減をするのかがわかる貴重なものです。

現実に太陽光や風力が増えた場合、いかに瞬間、瞬間の電力需給をマッチングさせて停電させないために苦労しているのかが偲ばれます。 

図左の赤い楕円部分に注目ください。夜間の電力需要が少ない時間帯に、こともあろうに強風が吹いたのか風力(薄緑)が突然発電し始めたとみえて、火力(黄色)がただ1基のみまでに停止しているのがお分かりでしょうか。

逆に、一番電気が欲しい夜6時から9時(図右端)には風がやんでしまったと見えて火力がフル稼働の27基全開で出力しています。

みんなの党が公約(アジェンダだったっけか。わかんない言葉を使わないでね)で、再生可能エネルギーを「50年までに8割」などと無責任なことを言っていますが、電力構造的に絶対に無理です。

本気でそんなことをしたら、真夏の6時から8時に頻繁に停電が繰り返されることになります。 

理由は言うまでもてなく、火力による出力調整機能がなければ、再生可能エネルギーを大量導入した場合の需給バランスが維持出来なくなってしまうからです。

また、逆に再生可能エネルギーの尻拭いを強制させられている火力発電の設備稼働率は、再生可能エネルギーを受け入れた分だけ低くならざるを得ません

何度も言いますが、再生可能エネルギーが光る条件は、送電距離が短くて済む一定の狭い地域の中で、しかも火力などの補助が得られるという環境が整っていることです。

たとえば大型の製鉄所などの基幹工場があって、PPS(新電力)が確保されていれば、それに風力やメガソーラーを組み合わさることは可能でしょう。ただし電力需要を調整する地域限定ミニ・スマートグリッドは必要ですが。

それはさておき、FIT(全量固定価格買取制度)を導入しているドイツでは、再生可能エネルギーの電力は、電力卸市場(EEX)に全量売ることが定められています。(下図参照)

Photo   図 再生可能エネルギー大量導入時の火力発電所の運用
(経済産業省総合資源エネルギー調査会基本問題委員会第23回資料 「再生可能エネルギーを巡る事実関係」2012年5月)

ここで問題となるのは、再生可能エネルギーがFITという「全量買い取り制度」という無茶な制度で守られていることです。

卸売市場に参加している送電業者(送電系統電力運用者)は、泣いても笑っても再生可能エネルギーを全量買い込まねばならず、売り損も相当でています

笑える例では、風が吹く好天の休日にガンガン再生エネルギーが発電してしまい、火力を全部止めても間に合わず、丸損承知で買わざるを得なかった電力を小売りに叩き売るなどということが現実に起きているわけです。

いかに再生可能エネルギーが、FITという鎧で守られている限りわがまま放題の乱入者かお分かりいただけたかと思います。卸市場業者の心中お察し申し上げます。

ドイツの電力事情の混乱は、急進的な脱派原発政策の肝にFITと電力自由化という最悪の組み合わせを選んでしまったために、本来電力需給と原料需給という市場メカニスムで運用されるべき電力市場が大きく歪められているという実態です。

このようなことにひとこともふれず、参院選で票目当てに「脱原発」と再生可能エネルギーをムード的に叫ぶ政党は信じるに値しません。

※参考文献「容量市場は果たして機能するか?~米国PJMの経験から考える」
電力改革研究会

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■自民以外「原発ゼロ」…与野党9党幹事長討論会
読売新聞 6月29日

与野党9党の幹事長らによる討論会(関西プレスクラブ主催)が29日、大阪市内で行われ、参院選(7月4日公示、21日投開票)の主要な争点となる憲法改正、原子力政策、経済・景気対策などを巡り、論戦が交わされた。(略)

原発ゼロ」を目指すことの是非では、自民党は反対したが、それ以外の8党は賛成した。民主党は昨年の衆院選公約に続き、参院選公約でも「2030年代の原発稼働ゼロ」を記しており、同党の細野氏は、安倍首相が原発の輸出に前向きに取り組んでいることについて、「福島(第一原発)の問題を抱えている中で、首相を筆頭に、積極的に推進することには違和感がある」と疑問を呈した。

 唯一、「原発ゼロ」に反対した石破氏は「原発依存度は下げるが、単に減らすだけでは経済の活力が出ない。(原発の)ウエートを落とすために、どう経済に力を持たせるかを説明しないと無責任だ」と反論し、経済成長を下支えするためにも原発は必要との考えを示した。

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コメント

参院選、こちらでは「みどりの風」の舟山康江さんが圧勝しそうな勢い。
自民の対抗候補がイマイチですし、農協関係「自民党はTPPで嘘ついた!」と知事「知事にしていただいた義理がある」が舟山支持を明言。

新人で農水政務官(一番働くべきポジション)だった当時に、赤松大臣の下で宮崎口蹄疫発生中に「デンマークへの農畜産視察」なんかに行ってしまった方です。あれで農水省キャリア出身で農家の嫁さんなんだから呆れたもんですよ。
朗らかで感じの良い人ですが、無能なのは明らか。


県知事選挙では、ゴール裏で現職批判演説かまして、「Jリーグ規定でまずいぞ」と周りに諌められるまで大騒ぎでした。
そして、当選した現知事ともどもゴール裏になど姿を見せず…全く酷いもんです。
県民として恥ずかしい…。

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