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2013年7月31日 (水)

ほんとうは怖い電力改革 その11 電力関係者が自由化賛成という理由は

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民主党の幹事長に,輿石氏の推しでわが茨城県の、というより日立労組出身の大畠章宏氏が就任されるようです。

日立という会社は労使癒着が激しいとみえて、構内放送で労組候補の演説が流れるところだという噂が地元にはあります。

また全国自治体には、茨城県を中心に日立の子会社労組議員まで32名も議会に送り込んで、一大派閥を作っています。もちろん連合の民間主力組合のひとつです。※http://www.hitachi-gr-giindan.jp/

大畠氏は、原発プラントの設計者にして、「原発ゼロ」政策推進の民主党左派に属する人ですから、この矛盾する立場を説明するエネルギー政策をぜひお聞きかせ願いたいものです。

しかし、山本太郎氏あたりからは、まちがいなく「原子力ムラ出身」という批判が来るでしょうね。

さて、電力自由化シリーズです。忘れられそうになりながらも細々と続いております(涙)。

調べていてわかったのですが、意外なことに、電力関係者の中には、やや皮肉な口調で「電力自由化やるべし」という人もかなりいます。 

新自由主義者風にいえば「既得権の巣窟」である電力業界が一枚岩で反対かと思ったら、必ずしもそうではないんですね。

しかしその理由は、なんと「再生可能エネルギーにいいお灸になるだろう」だとのことだからダーッとなります。 

この人たちは電力自由化が、太陽光や風力にとって今までのフリーライド(ただ乗り)状態から、一人前の電源になるための関門と考えているのです。 

現実にFIT制度を導入して2年たちましたが、風力にしても、太陽光にしても、土地代が安く、発電効率がいい土地を探すためにいやでも僻地に建設がシフトしています。

特に「発電埋蔵量」が多く、地価が安い北海道にはメガソーラーと風力の新規参入が殺到したのですが、既存の高圧線からとんでもなく離れていたり、津軽海峡を渡る送電ケーブルの容量が圧倒的に不足していたりで接続拒否が頻発しています。

北海道に広大なメガソーラーを作ってしまったSBエナジーの孫正義社長も、北海道電力が買い取り枠を厳しくしたことによりさっそく事業危機を迎えてしまい、「日本の再生可能エネルギーはここでストップしてしまう」と怒り狂っているそうです。

しかし、前回のドイツでも見たように送電線の拡充というのは大変な事業なのです。

具体的にいえば、大規模な風力発電の展開が可能な地域の北海道北部名寄地区、東北の下北・津軽半島、秋田沿岸、酒田・庄内(山形県)地域などからの送電網や海底ケーブルの新設が必要です。

ところが我が国が送電網を作るとなると、平べったいフランスなどとは違い、海を越え、険しい山谷を越えてエンヤコラと送電ケーブルや海底ケーブルを敷かねばなりません。建設費用が巨額化するのは覚悟してください。

試算として出ている数字としては、生産地の北海道と本州を結ぶ北本連系線などの基幹送電網が1兆1700億円かかるとされています。(北海道電力、東北電力の試算による)

というわけで、いま、この再生エネルギーのための送電線不足が焦点になっているようです。

要は、いくら発電してみても送電量オーバーなのですからどうしようもない。「電気作ったのはいいけど、一体誰が運ぶの?」という身も蓋もない話になってしまいました。

多くの新規参入した再生可能エネルギーの新電力会社は、安い太陽光パネルで電気を作りさえすれば、FIT(固定価格全量買い取り制度)でバカ高く売れると狸の皮算用をしていたのでしょう。

ですから送電網などは初めは意識になかったか、仮にあっても「電力会社が作ってくれるんじゃないの」ていどで安易な見込みで気楽に参入したはずです。

ところが、待っていた現実は電力会社による系統送電網への接続拒否でした。別に電力会社が嫌がらせをしているのではなく、技術的にできないのです。

「環境省などの試算によると、北海道には太陽光と風力による発電を開発する余力が約2850万キロワットあるとされる。毎冬500万キロワット台の道内ピーク電力を補って余りあるが、海底ケーブルの容量は60万キロワットしかない。発電所をいくら増やしたとしても、この容量を超えて本州の消費地へ送ることはできない。」
(毎日新聞(13年4月12日)

この新規参入業者の要求に沿うとなると、新たに送電網と海底ケーブルを巨額なコストで電力会社が負担して敷設せねばなりませんが、そのコストは結局電力料金の値上げという形で消費者に転化されるはずです。

今の接続を義務づけられている電事法にすら、「円滑な供給の確保に支障が生ずる恐れがある時」には接続拒否できる特例条項が設けてあります。 

これが発送電分離して系統送電運営者が別になったら、今の公共事業体的義務から自由になり、しっかりと営利を前提にするので、人も住まないない海辺などに多い風力発電所や、耕作放棄地などのメガソーラーなどは今後続々と接続拒否に合うと思われます。

ですから発送電分離をすれば、再生可能エネルギーの系統接続が進むような能天気なことを飯田氏は盛んに吹聴してきましたが、まったくの空理空論です。

送電網は、適切な投資やメンテナンスが維持されていることが前提であり、そのコストを送電業者は託送料金を中心に回収しているのですから、不安定でしかも山間僻地に多い再生可能エネルギーは、送電網の自由化により一挙に冬の時代に突入することでしょう。

このように、再生可能エネルギーにとっても電力自由化は危険な選択なのです。

■写真 水田脇に休むシジミチョウです。

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

管理人様、はじめまして播磨真悟と申しますm(__)m

いつも感心して読まさして頂いております。とりわけ、現在世間で流布されている「発送電を分離すれば原発がいらなくなる」という、よく分からない理屈に対して管理人様が論理的且つ的確に反論されている記事を読ましていただき溜飲が下がる思いでした(((^^;)

正直、自分は“半”原発派で、「原発を推進ではないが、現在は容認せざるを得ない。だが、原子力以外のエネルギー源は常に模索し、少しでも原発の比率は下げたい」という中途半端なものです…(..)

ここで管理人様にお訊ねしたいのですが、長期はともかく、中・短期の原発の代替エネルギーは、火力以外にないと思っています。火力は基本的には、石炭火力と天然ガスですが、環境に負担をかけず、使い勝手の良い天然ガスの価格高騰が原発なき日本を苦しめているのでは。ならば素人考えですが、価格が安定している石炭火力発電を増設するのが原発の代替エネルギーとして一番真っ当ではないかと思うのですがいかがでしょうか?

勿論、石炭は環境に悪影響を及ぼしますが、日本の技術なら環境を汚さない「きれいな石炭火力」=“クリーン・コール発電”が可能だと聞いています。また、芋を渇かして燃やす芋発電(何度かTVで取り上げられました)なんかも有望ではないかと自分は期待しました。ところが、衆院選・参院選共に脱原発を叫ぶ政党の代表達は誰もクリーン・コール増設も芋発電も言いませんでした。参院選の候補者が一人だけ最新石炭火力発電に言及しただけ。その候補者以外は衆院選の焼き直しの脱原発スローガンの連呼。

「クリーン・コールと芋発電を推してる俺が間違えてんのかな?」と思いましたが、どうも符に落ちません(((・・;)

もしよろしければ、農業のプロでありエネルギー問題も真摯に向き合ってきた管理人様の御意見を是非お訊きしたいですm(__)m

クリーン・コール増設と芋発電は、原発の代替エネルギーたり得ないのでしょうか?

播磨真吾さん。
こちらの記事で再三議論されてきたことですが、正直自然エネルギーへの転換は実に慎重を要しますし、あくまでバックアップ電源を確保してからのことでしょう。

今朝は5時すぎから家の前の電線工事がありましたが、カラスの巣の除去でした。
作業したのは東北電力子会社のYurtecでしたが、今「発送電分離」などやったら、全く旨みの無い送電事業は誰がやるんでしょう。


我々は震災時に1日でも停電したらエライことになることを実感してます。大都市なら図り知れない被害となるでしょう。

そういったあたり、もっとしっかりライフラインを考えるべきかと思いますよ。

http://www.j-lpgas.gr.jp/kiki/balk.html

ご無沙汰してます。
私の居住区は、都市ガスではなく、LPガスです。

個人的には、資源エネルギー庁の2分の1の補助を受けて、発電機とLPガス、炊飯設備や、発電設備を投入して、最低限の電気器具とガス器具を、孤立して、陸の孤島となっても、3日間は、生存できるように、計画中です。

普段は、既存電力10社に、頼るのですが、送電が止まっても、多くの場合、各家庭にある50kgプロパンボンベは、使える可能性が高いので、LPガスを燃料とした、発電機を設置しようと、協議中です。

電気事業法などのからみで、申請が、難しいのですが、できれば、うまく設置したいのですが、分電盤や、接続関係における、電気関係の条件クリアーが、今のところネックでありますが。。

http://www.j-lpgas.gr.jp/kiki/balk.html

播磨様。過分なお言葉ありがとうございます。励みになります。
現実的にどのようにしたら原発を畳めるのか、いろいろな角度から検証しております。よろしくお願いいたします。

さて仰せのクリーンコールは日本の得意技術ですので、大いに可能性があると思います。調べてきておりますので、そのうち書くかもしれません。

リボンさんお久しぶりです!なんかほっとします。

芋発電は・・・すいません、考えてなかった(汗)。クズ芋のエタノール化は簡単ですので、当然タービンはまわるわけですが、サトウキビ発電と同じで産業用というよりは、工場の自家発電が向いているような気がします。

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