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2013年7月18日 (木)

菅直人氏、安倍総理提訴事件その1 船橋洋一「カウントダウン メルトダウン」に見る「海水注入」当日の情景

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菅直人元首相が、現職の安倍首相を名誉毀損で提訴したそうです。いや、なんとまぁ、そのほんまにスゴイ人ですな。

実現不可能なことは百も承知でしょうが、安倍首相の辞任まで要求しています。(笑) 

「菅氏は16日、安倍首相のメルマガがネット上で掲載されているのは名誉毀損だとして、慰謝料1100万円やメルマガの削除、謝罪記事の掲載を求める民事訴訟を東京地裁に起こした。」(産経新聞7月17日) 

どうも、安倍首相が「やっと始まった海水注入を止めたのは、何と菅総理その人だった」と書いたことに対して、菅氏は「いずれの事実も虚偽で名誉毀損だ」と言いたいらしいようです。 

では2011年3月12日の事実関係を、船橋洋一氏のメルトダウン カウントダウン上巻・第4章「1号機水素爆発」を基に、その状況の流れを振り返ってみます。 

できるだけ省略せずに、事実関係を書き起こしておきたいと思います。

この経過をお読みいただければ、菅氏の提訴がいかに「嘘は言っていないがほんとうのこともひとことも言っていない」類のものかご理解いただけると思います。

さて当時、東京電力本店事故対策本部と、政府事故対策本部のふたつの指揮系統が、情報交換はおろか、互いに不信と憎悪すら募らせていました

●[第1場 1号炉爆発 現場吉田所長の判断で海水注水開始 

・12日昼頃。吉田所長が1号炉に海水を注水することを決断
・午後3時前。防火水槽の水が干上がっていることがわかる。
午後3時すぎ。東電は保安院に「海水注入」の予定を告げた
・午後3時20分。1号炉爆発。
・2名負傷。全員、免震重要棟に脱出。構内は高濃度の放射線で汚染された瓦礫が散乱。最悪の極めて危険な作業環境。
・午後4時27分。吉田原災法第15条第1項の「特定事象」(敷地協会放射線量異常上昇)を宣言し、政府に報告。
・午後4時30分から約1時間30分。吉田ら現場は破損した海水注入用消防車のホースの修理などの注水のための復旧作業に当たる。
午後5時55分。この情報が海江田(経済産業相)に伝わらず東電本社に対して原子炉等規制法64条3項を根拠に海水注入を命じる

●[第2場 首相官邸

・午後6時。首相官邸執務室。海水注入をめぐる会議。出席者・菅、海江田、細野、斑目、平岡保安院次長、武黒フェロー(東電の連絡担当者)

会議の情景
・菅「塩水だぞ。影響は考えたのか!
・平岡「(海水の注水によって)臨界の危険性が高まることはありません」
・武黒「臨界を作ることは芸術的に難しい芸当です。不純物だらけの海水を入れて、そんなのできるはずがありません」
・斑目「(菅に促されて)保安院がそういうなら」
・菅「自分の判断で言ってくれ。絶対にないんだな」
・斑目「あるかもしれません」
・菅「どっちなんだ」
・斑目「ないとおもいますが、ゼロではありません
・菅「お前、水素爆発もないといったじゃないか」
・斑目「(泣きそうな声で)とにかく今水を入れなきゃいけないんです。海水で炉を水没させましょう」
・菅「もっと検討しろ!」「もっと詰めろ!」

●[第3場 武黒、清水、吉田に注水停止を命じる

・午後7時過ぎ。官邸危機管理室から携帯で吉田に電話。
・武黒「おまえ、海水注入は」
・吉田「やってますよ」
武黒「えっ、おいおい、やってんのか、止めろ
・吉田「なんでですか」
武黒「おまえ、うるせぇ。官邸がグジグジ言ってだよ」
・吉田「何言ってんですか」と電話を切る

吉田証言「指揮系統がもうグチャグチャだ。これではダメだ。最後は自分の判断でやるしかない
・吉田、テレビ会議で本店の武藤副社長に海水注入の必要を訴える。
東電本店「官邸の了解が得られていない以上、いったん中断もやむをえない
・吉田、納得せず
東電清水社長「今はまだダメなんです。政府の承認が出てないんです。それまでは中断するしかないんです
・吉田「わかりました」

●[第4場 吉田、本店がなにを言っても、絶対に水を止めるな

その後、吉田は所員にこう宣言する。
「海水注入に関しては、官邸からコメントがあった。一時中断する。」と大きな声で言った後、テレビ撮影機に背を見せて注水担当に対して、「本店から海水注入を中断するように言って来るかもしれない。しかし、そのまま海水注水を続けろ。本店が言ってきたときは、おれも中断を指示するが、しかし絶対に水を止めるな。わかったな

                    ~~~~~~~~~

まさに狂王とその下僕たちに国家存亡の非常事態は握られていたのです

ですから狭い意味で、吉田所長に注水停止を「命じた」のは武黒フェローであり、彼からの「吉田は頑として言うことを聞かず注水を継続している」という報告に動転した東電本社の清水社長でした

菅氏は吉田所長の死の翌日に自身のブログでこう書いています。

「事故発生日の翌日の夕刻、東電上層部からの海水注水停止の指示に対し、吉田所長は現場の責任者として、また技術者の立場から注水の継続が必要と判断し、上層部の意向に反して独断で注水を継続した。英断だ。」

先ほどの経過[第2場]をお読みいただければ、この菅氏の言葉がいかに白々しい責任すり替えをしているかご理解いただけると思います。

武黒フェローに「(海水注入を)もっと詰めろ」、「もっと検討しろ」と大声で怒鳴り散らし、東電を震え上がらせて、注水停止にまで追い込んだのはどこの誰だったのでしょうか

万事この調子です。菅氏は確かに「中断」も直接命じなかったし、注水命令も(既に現場が独自に実施していましたが)海江田氏を通じてとりあえず5時56分に命じてはいます。

この意味で菅氏の主張は半分正しいともいえます。ただし菅氏にとって都合の悪い半面を見なければ、ですが。

見てきたように菅氏の指揮ぶりは最低最悪の事故対応失敗マネジメントの見本帳のようであり、一国の首相として常軌を逸したものであったことは、すべての事故調が指摘するところです。

また安倍首相か菅氏が問題にしている記述をしたのは2011年5月の段階であり、事故調報告書が出るかなり前であったために、先に見て来たような一連の内部情報が内密にされた段階だったことによります。

内部情報は、当時官邸にいた民主党政権の政治家たちの露骨な口裏合わせ、責任回避、事実隠蔽があったために真相がつかめませんでした。

この封印が解けるには、独立事故調の報告書が世に出るのを待たねばなりませんでした。(独立事故調報告書については明日触れます。)

菅氏はブログの中で「安倍首相から反論が来ない」ことをあげて勝利宣言を出しているようですが、歴史的選挙の前夜に安倍首相がこんな馬鹿げた提訴に「反論」などするわけがないでしょう。

このような幼児的な自己中心体質が事故をあれだけ深刻にしてしまった原因のひとつなのです。
このテーマは明日に続けます。 

                   。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚

■民主党の菅直人元首相は16日、安倍晋三氏(自民党総裁、首相)が東京電力福島第1原発事故への菅内閣の対応を批判したメールマガジン記事に事実誤認があり、名誉を傷つけられたとして、記事の削除や謝罪を求める訴訟を東京地裁に提起した。
菅氏が同日、衆院議員会館で記者会見して明らかにした。
 訴状によると、安倍氏は2011年5月20日付のメルマガ記事に、同原発事故の初動対応に関し「海水注入をとめたのは菅総理だった」
「海水注入は菅総理の英断とのウソを、側近は新聞・テレビにばらまいた」などと記載した。
 これに関して菅氏は会見で、「いずれの事実も虚偽。重大な名誉毀損(きそん)だ」と主張。訴えでは、

(1)記事のバックナンバーからの削除
(2)謝罪記事の2年以上の掲載(3)慰謝料1100万円の支払い―を求めた。

 首相経験者が現職の首相を提訴するのは極めて異例。メルマガ掲載から2年以上が経過し、参院選(21日投開票)の期間中のタイミングで提訴したことについて菅氏は「今回の選挙からネット選挙が解禁された。
何度も(間違いを)指摘したのに無視し、選挙期間に入った今日まで掲載し続けている」と説明し、
「国民に誤った情報を流し続けている」と安倍氏を批判した。 

時事通信 7月16日

平成23年5月26日 東京電力株式会社プレスリリース

 当社は、本年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力
発電所の事故に関し、事態の収束に全力を挙げて取り組むとともに、事実関係の
調査を進めております。

 こうした中、3月12日に実施した1号機への海水注入に関する主要な時系列につ
いて、これまでに以下の内容が判明しましたので、お知らせいたします。

<3月12日の主要な時系列>
12:00頃  社長が海水注入の準備について確認・了解
14:50頃  社長が海水注入の実施について確認・了解
14:53頃  淡水の注入停止(これまでに8万リットル注入)
15:18頃  準備が整い次第、海水注入する予定である旨を原子力安全・保安院等
      へ通報
15:36頃  水素爆発
18:05頃  国から海水注入に関する指示を受ける
19:04頃  海水注入を開始
19:06頃  海水注入を開始した旨を原子力安全・保安院へ連絡
19:25頃  当社の官邸派遣者からの状況判断として「官邸では海水注入について
      首相の了解が得られていない」との連絡が本店本部、発電所にあり、
      本店本部、発電所で協議の結果、いったん注入を停止することとした。
      しかし、発電所長の判断で海水注入を継続。(注)

(注) 関係者ヒアリングの結果、19:25頃の海水注入の停止について、発電所長
    の判断(事故の進展を防止するためには、原子炉への注水の継続が何より
    も重要)により、実際には停止は行われず、注水が継続していたことが
    判明しました。

菅直人氏の訴状資料
http://ameblo.jp/n-kan-blog/entry-11574298649.html
http://ameblo.jp/n-kan-blog/entry-11574300090.html
http://ameblo.jp/n-kan-blog/entry-11573707126.html

 

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コメント

なんというかもう。
確かに菅直人本人が指示を出した証拠は無いかもしれないけれども「官邸」から出てるわけで、そのトップは誰なんだと…。
そういや自衛隊のトップが誰かも知らなかったんでしたっけ?この人。
だいたいこのタイミングでいきなり訴訟に出るってのが、あからさまな自爆テロでしょう。
普通なら安倍事務所に苦情入れて、次に内容証明郵便で警告文書送付って手順ですが、ちゃんとやったんですかね。

あの当時、国民に必要な情報すら開示せずにいたずらに被害を拡げ、疑心暗鬼に陥らせた自責の念とか無いんでしょうかねえ。

「名誉毀損」は成立するかもしれませんが、多くの国民の生命や財産を毀損せしめた総理大臣がなにを言ってやがるんだ!と。

名誉毀損が許せないなら納得するまで裁判で白黒はっきりさせるのがベストでしょう。
ただ、それを政治の場に持ち出すのは本当に呆れるしかないですね。
菅氏は政治家を辞めて市民運動家に戻った方がいいと思います。

専門家と称する人が専門知識もなく(GEでは危険だといっていたのに)、決断ができないので、もっと検討して人命をまもるようにと言ったのではないかと思う。もっと検討して東電やその傀儡を守れという意味ではないと思います。
しかし、これらの馬鹿者に騙されたという罪は自民党と同じくらい重い。今でもこれらのデマがはびこっているのには呆れる。

名無しさん。
その文章では誰に対して、何がデマなのか全く解りませんよ。
また、Mark-Ⅰの危険性を指摘し続けたのはGEではなくGEを退社なさった方々ですね。クローズアップされたのは事故後のことです。
また、短い文章の中でも前半は断定で後半は「思う」ばかりでは説得力がありません。

あなたを批判しているわけではありませんよ。何が言いたいのか伝わらないという指摘です。

なんか、一方的に菅直人が悪いみたいに書いてますが、技術職(専門家)の班目や武黒が菅直人を説得できてない事の方が問題でしょう。

そういう曖昧な態度を専門家が取り続けたから菅直人のイライラが爆発したというのは経緯を見ればわかると思いますが。

それに国会事故調の映像を見れば、海水注入が始まった事が官邸に伝えられてもいない時点で、菅直人ではなく武黒フェローが中断指示をした、と武黒フェロー自身が証言してますよ。

専門家の話に聞く耳を持たなかった、菅がイライラしすぎで人の話を聞けないという、逆にも読めます。というか、その方がありそうでしょう。

いずれにせよ、時の総理大臣であり、最高責任者は菅直人なのですから、彼の責任でなくしてだれの責任なのかと思います。総理を説得できないのが問題だというのは、部下がバカだから社長が気の毒と言っているように聞こえますね。責任転嫁以外の何物でもないと思います。

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