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2013年7月 2日 (火)

北京でまたもや最悪レベルの巨大スモッグ出現 

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あまり日本のメディアでは報道されていないようですが、先週、北京がまたスモッグの厚い雲の下に潜ってしまったようです。

当局が外出自粛令を出す「重汚染」レベル6ですからハンパではありません。
(下写真 同程度のスモッグ状況であった今年1月の衛星写真NASA。中央に白字でBeijingとある)

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「2013年6月28日、北京市で再び深刻な大気汚染が発生した。大気の状況は北京市が定めた基準のうちの最悪レベル「6級(極めて深刻な汚染)」を記録し、医師や専門家は市民に外出を控えるよう呼び掛けている。29日付で北京晨報が伝えた。」
(レコードチャイナ6月29日 欄外参照)
 

[下図 米国の北京大使館が公表しているリアルタイム大気質指標(28日18時現在)]Photo

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この金星のような「濃霧」の正体は、硫酸塩エアロゾルですが、主成分の酸化硫黄は、硫黄を含む質の悪い石炭自動車の排気ガスなどの燃焼によって発生します。 

気体の二酸化硫黄は、眼と気道と肺に障害を与え、重度の場合は肺ガンの原因にもなります。特に抵抗力の弱い乳児や子供には強烈な刺激で呼吸器系を蝕みます。 

この発生源は、中国のエネルギー源が石炭に81%も依存していることによります。しかもこの石炭は、国内産の硫黄分を多く含んだ低品位炭です。 

中国は世界最大の石炭生産国(2011年度)であり、同年の石炭 生産量は35億トンを越えました。これは世界総生産量の46%あたり、輸入量も世界一ですから世界総消費量のほぼ半分は中国が消費していることになります。 

また中国の工場や火力発電所は、甘い環境基準の上に排ガス対策装置が不十分です。我が国ならば稼働すら許可されない施設ばかりだと言われています。

その上、仮についていても経済効率優先で、浄化装置を止めて操業するケースが多く共産党機関紙・人民日報ですらこう書かざるを得ないようです。

「不純物を多く含む石炭を燃やしている。この時に煙を浄化する装置の稼働率が低い。この煙には毒性がある」。 

中国では、障害児の出生率が2001年以来40%も上昇しています。明らかに開放改革路線による無計画な工業化が背景にあるのは明らかです。

車の燃料は建前上は硫黄分が50ppm以下の「国4ガソリン」になったはずです。 

ならばなぜ、今になってこんな「壮大な人体実験」(日本大使館医師)のような状況になるのでしょうか

理由はこの「国4ガソリン」が、実は北京や上海などの一部大都市部でしか使用されていないからです。

つまり9割の地域ではあいもかわらず旧来の硫黄分たっぷりのガソリンを使っているのはいい方で、ひどい場合は殺虫剤原料のホルマールや、炭酸ジメチルなど安い原料を使ったニセガソリンが跋扈している始末だったからです。 

そのホンモノのガソリンの硫黄分でさえ日本のガソリンのなんと15倍

その上、大気汚染の大きな原因であるディーゼル排気ガスについては、まったく改善がされた様子がありません。

大都市だけで排ガス規制しても、車は勝手に外部と出入りするのが習性です。というか、その為に作られたわけで、北京という大消費地には大量のトラックが入ってきます。

ではなぜ、こんなハンパな規制をしたのでしょうか。それは国のエネルギー政策で石油価格を非常に安くしているからです。 

中国は改革開放経済を軌道に乗せるために、石油価格を抑制する政策を取りました。

このあたりはやはり輸出依存国の韓国もウォン安とエネルギー安という似た国家方針 を持っています。

それが出来るのも、石油企業が国営企業集団だったからです。石油精製製品は、わずか2つの企業集団によって握られている超寡占体制下に置かれています。 

中国天然ガス集団(CNPC)と、中国石油化工集団(シノペック)のふたつです。 

この巨大国営企業集団は、実は政府そのものでもあります。常に、中国政府には「石油閥」と呼ばれるこの2つの国営企業出身の政治家がいます。 

昨年秋には党中央政治局常務委員というトップに、シノペック出身の張高麗氏が送り込まれています。共産党常務委員序列は第7位です。

ですから、硫黄分の少ない「国4ガソリン」なんてバカ高いコストがつくものを全国販売してたまるか、という一企業の営利が通ってしまうわけです。

「大気汚染の深刻化に伴い、北京市内各病院の呼吸器科を訪れた患者は20~30%増加。小児病院で内科を受診した患者の50~60%が呼吸器系の疾患によるものだった。」(同上)

おいおい、国民の健康はどうでもいいのか、と私たちは思いますが、たぶんどうでもいいのでしょうね。

京市長代行は2020年までに解決すると言っていますが、この巨大独裁国家が構造的に抱え込んだ汚染構造は、政体が変わらない限り解決することは不可能でしょう。

というわけで、構造的な巨大スモッグ問題は解決が不可能に近く、いっそう中国大陸は人類が生息するには不適な地域になっているようです。

なぜか中国当局は遠隔のフィンランドと組んで大気浄化をするそうですが、燐国の我が国が世界最高の浄化技術をもっているのですが、まぁいいか、乳幼児の健康より尖閣が大事なんでしょうから。

ちなみに、我が国への拡散の影響は今年1月ほどではありませんが出ています。
(図 気象庁HP)

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やはり九州地方が影響を受けていますね。これが黄砂がひどい春でなくて不幸中の幸いでした。

 

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■深刻な大気汚染が再び発生!市民に外出を控えるよう呼び掛け―北京市
Record China 6月29日

2013年6月28日、北京市で再び深刻な大気汚染が発生した。大気の状況は北京市が定めた基準のうちの最悪レベル「6級(極めて深刻な汚染)」を記録し、医師や専門家は市民に外出を控えるよう呼び掛けている。29日付で北京晨報が伝えた。
28日早朝から発生した大気汚染の影響で、北京市内ではフォグランプを点灯しながら走行する車両が目立った。

北京市環境保護監測センターのデータによると、28日午前9時から市内の大部分で最も深刻な大気汚染レベル「6級」を記録。大気中のPM2.5(微小粒子状物質)の濃度も高止まりしたままだった。

大気の状況は、夕方になってから降った雨の影響で多少改善されてきており、29日は中度から軽度の大気汚染になりそうだとの予想が出されている。

大気汚染の深刻化に伴い、北京市内各病院の呼吸器科を訪れた患者は20~30%増加。小児病院で内科を受診した患者の50~60%が呼吸器系の疾患によるものだった。

医師は「市民、特に慢性疾患を抱える患者はできる限り外出を控えるように」と注意を促している。

 

※「ほんとうは怖い電力自由化」は明日再開いたします。

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