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2013年7月 9日 (火)

ほんとうは怖い電力改革 その6 電力自由化でも電力カラーリングは無理

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たぶん電力自由化になってもっとも活況を呈するのは、太陽光を除けば、小売市場だと思われます。

その理由は簡単で、参入するのは易く、撤退や事業譲渡もたやすいからです。電力自由化先進国のドイツには電気料金の乗り換えのための専門サイトまで登場しました。

電力の自由化と共に、いままでひとつだった電力料金はバラエティに富んだものになり、化石燃料や原子力を電源とする会社は料金が低く、再生可能エネルギーを取り入れる会社は高いという価格差が生じました。

その電源の内訳は開示が義務づけられており、電力料金票をみると使用電力量と料金以外ズラズラとさまざまな情報開示されています。

情報開示はこんな具合です。
電力がどの電源から作られているのかの内訳
・1キロワット時に要したCO2排出量
・同じく核廃棄物の排出量

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とうとう乗り換えガイドのサイトまで登場する始末です。ベリボックスというそのサイトは、自分の郵便番号と年間電気消費量を入力するだけで電気料金の比較が即できてしまうそうです。

各社の電源の内訳が明らかになっていますから、今月はプリオシュトロームにしようか、それとももっと安いイエローにするかなどと悩むことができます。

今ドイツには、1000社超あるといわれる電力販売会社は文字通り「販売」だけで、発電所はおろか送電網すら持っておらず、大手電力会社から電気を卸してもらって小売りしている会社ばかりです。

ドイツでは、電力自由化により、発電部門と送電部門の寡占化が進む一方で、小売りは徹底して小売のみで、送電網を所有することはありませんでした。

これらの店は全国展開しているわけではなく、地域売電専門会社だそうです。ちなみに発電会社も州ごと、送電会社も電力販売会社すら州ごとという場合が多いそうです。

我が国も全国的な小売網になることはないでしょう。

仮に周波数の壁が解消されていたとしても(電力改革第1段階)、既存の電力会社系小売りがたとえば「関西電力販売」みたいな形で大手となり、それに群小の小売りがひしめくという構造になると思われるからです。

逆に言えば、ドイツと同様に狭い消費市場に電力販売会社がひしめきあっているということになり、こりゃあ過当競争になって当然です。

とうぜん、安い電気への乗り換えも頻繁に行われているようで、連邦ネットワーク庁(BNA)によれば、電力を乗り換えた市民の比率は電力の自由化がはじまってから2年目の2000年には5%だったものが、2010年には3倍弱の14%に増えてました。

電力会社は替えていないものの、同じ会社の安い料金体系に乗り換えた人は41%と半数近くに登りました。 日本で電力自由化をした場合も、ドイツのように安さを売り物にする販売会社と、付加価値電源=脱原発エネルギーを看板にする会社に二分化されていくことも予想されます。

しかし、やや白けることを言いますが、ドイツのこのような電力の素性を確かめることは日本ではかなり困難かもしれません。

この電気の素性を明示するということは、「電力カラーリング」という技術を使います。

消費者からみると素性のわからない無色の電気を、電源はどこから来ているのかがトレサビリティできるような「顔がみえる電気」のことです。産直野菜の電気版だと思えばいいでしょう。

これはデジタルグリッドという方法で理論的には可能なようですが、現実化にはまだしばらくかかりそうです。

というのは、我が国では地域ごとの「電力プールに電力をいったん入れてから各地へ送電するので、太陽光だろうと、火力だろうとわからなくなるからです。

これは、電力が蓄電が効かない生もので、需給を常にマッチングさせねばならないために、いったん電力フールに「貯水」して、そこから取り出すしくみをとっているからです。

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                   パワープールのイメージ
電力改革研究会「電力カラーリングへの期待と誤解(上)— 誰が発電したか知る方法」より

「日本には9つの電力会社があり、それぞれが合計9つのパワープールを運用している(沖縄電力および離島をのぞく)。これらのパワープールは相互に直流や交流によって接続されている。」(図と同じ) 

ですから単純に、「この電力プールからもらっているから、電源比率はこのくらいだ」くらいは言えますが、それが本来小売りがやりたいような商品付加価値としての「電力カラーリング」までは現状不可能だと思われます。ちょっとがっかりですね。

「風力発電所の電気(緑色)も火力発電所の電気(黄色)も、一旦プールに注ぎ込まれると、プール内を光の速さで伝搬するから、瞬時に混ざり合ってプールから取り出す時にはどこで取り出しても同じ黄緑色になってしまう。一旦プールに入れるとどこから来た電気かもはや区別できないのだ。」(同)

また、電力カラーリングもさることながら、肝心要のユニバーサル・サービスを担う新小売り会社が、責任をもって供給義務を一瞬たりとも途切らせないことができるかです。

現代のオフィスや工場はコンピュータ管理ですから、コンマ数秒の瞬間停電すら許されません。

発電事業者からの言い値で買うことになる上に、小売業者間の激しい競争に生きる電力小売り部門が、いかにこの重い責任を果たしていくのか、それを定めた新電事法が必要になるのは言うまでもありません。

この今までは「言うまでもない」ことを改めて徹底して法律で縛らねばならないということが、「電力自由化」ということなのです。

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コメント

分野はまるで違うしやむおえないだろうとはいえ、「電力プール」の話って、リーマンショックの発火点になった「サブプライムローン」にそっくりだと思ったのは、私だけでしょうか…?

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