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TPP 恐るべき秘密交渉ぶり

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TPP交渉がとうとう始まりました。想像以上の徹底した密室交渉です。 

なにせ日経新聞7月24日が伝えるところでは、「通訳を交えずに進められる首席交渉官会合には原則、本人と代理の2人しか参加できない」という厳戒体制の下での交渉となります。

日本の交渉代表団は、利害関係者への説明会を開いたものの内容はゼロ。たたひたすら、「TPPは他の通商交渉に増して秘密保持が厳しい」と言い訳に終始しました。

参加に際して署名した守秘契約にしばられ、交渉文書や交渉内容はおろか、日本代表団自身が何を主張したのかも明らかにできないとうゼロゼロぶりでした。

自分がなにいったのかくらい公開しろってんだ、と誰でも言いたくなりますよね。

さて伝えられるところでは、鶴岡首席交渉官は補佐官は、携帯、メールなどを取り上げられて、一切の外部との連絡が出来ない部屋で雪隠詰で交渉に臨むそうです。 ここは試験会場か!

一般の外交交渉でもこんな情報統制はなされません。なにかしら情報は漏れてくるものですが、聞きしに優る多国間協議の恐ろしさです。 

交渉文書、各国からの提案、関連資料を閲覧できるのは、政府当局者では「当該部署の担当官」、民間では「政府の国内協議に参加する資格のある担当者」、「交渉文書の情報を検討する必要のある者」、あるいは「情報を知らされる必要のある者」に限られます。 

また、仮に入手しても、政府から許可された者以外に見せることは固く禁じられています 

さらにこれはかつて記事にしたことがありますが、これらの文書は、TPP発効後4年間秘匿されます。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-cd51.html 

仮にTPPが成立しなかった場合ですら、交渉の最後の会合から4年間秘匿されます。なんともすごいですね。

米国で執拗な反対を続けているNGO「パブリック・シティズン」は、「これまでに公表された唯一の文書は、どんな文書も公表されないという説明の文書だ」と皮肉を込めて批判したとがあります。

また米国労働総同盟産別会議(AFL―CIO)、ニュージーランド労働組合評議会、オーストラリア労働組合評議会などは、揃ってTPP交渉の情報を公開するよう求める公開書簡を各国政府に送っています。 

TPPの主要国であり、先発の米国ですら、まったく情報が聞こえてこないというのは、そこから漏れることを恐れているからです。 

たとえば、我が国の反TPP団体とネットでやりとりしている先に出た「パブリック・シチズン」が情報を掴めば、それは瞬時にして各国で共有されます。 

そうなった場合、秘密交渉は、国民の怒りの声に大きく影響を受けることになります。

だから、徹底した水も漏らさぬ秘密体制を敷いているのです。 

でも、それが常識的な姿じゃないですか。国民こそが最大のステークホルダー(利害保持者)なんですから。 

しかしTPPが多国間「外交」交渉の範疇に入れられています。 

一般的に外交交渉は、安全保障と密接不可分なために交渉内容が途中で漏れた場合、敵対関係にある国を利してしまう可能性かあります。 

だから、国民には国会での批准を通じてしか異議申し立てかできないのです。 

TPP交渉のおかしさはここにあります。いいですか、TPPの内容は政治・軍事的安全保障条約ではないのですよ。 

国民の生活に密着する、それも瑣末なことではなく、医療、保険、農業、政府調達など、国民生活を直撃することばかりがテーマになっていることで、弾道ミサイル迎撃システムがどうしたこうしたという話じゃないのです。 

我が国のいままで築いてきた医療、保険、農業などが大きく揺らぐ可能性があり、しかもそれが国内法を勝手に超越して決まってしまう、この危なさを私は言っているのです。

今、さらっと「国内法を超越する」と書きましたが、それは外交条約だからです。外交は政府の専管事項で、しかも交渉過程を相手国との関係から秘匿できる特権があります。 

通常の経済交渉なら、事前に「関税はここまで」とか、「輸出入はここまで制限をかける」など、事前に関係業界との綿密な交渉があります。 

あたりまえです。勝手に、「締結したんで、国会で批准次第関税なしだから、よろしくね。あ、安心して最大10年間移行期間あるから」などと政府から言われたらたまりません。 

この「あたりまえ」のことが通用しないのがTPPなのです。TPPは、国民の経済・社会のあり方を大きく改変してしまう条約にもかかわらず、まるで軍事条約のように十重二十重にガードされて窺い知ることすらできないのです。 

長くなりましたので、次回も続けます。

■写真 カノコユリです。絶滅危惧種です。素晴らしい芳香で蜂を引きつけます。

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■TPP:国益確保に時間の壁 交渉官に緊張感
毎日新聞 2013年07月23日 

 日本のTPP参加は、鶴岡首席交渉官が秘密保持契約にサインした瞬間に始まった。交渉参加国には「通常の通商交渉と異なり、極めて厳格な情報管理が求められる」(外務省幹部)。一方で交渉の行方は産業界から国内農家までさまざまな利害に関わり、食品規制などは国民生活に影響を与える。政府はTPPが求める厳格な守秘義務と、国民の理解を得るための説明責任のはざまで難しい調整を迫られそうだ。 

 鶴岡首席交渉官が署名した保秘契約には、交渉中にやりとりした書簡や提案などを協定発効から4年間秘匿しなければならないことが明記されているという。また、協定の素案や交渉経過をまとめたテキストを読めるのは、登録されたごく一部の交渉関係者に限られる。

 実際、TPP参加で大きく出遅れた日本は外務省や経済産業省の官僚らが事前に交渉の進捗(しんちょく)状況を探ろうと国際会議などで参加国当局者に接触したが「見事なまでに中身が見えなかった」(政府関係者)。

 厳格な情報管理は米国の意向が反映したものという。米オバマ政権は通商交渉をめぐって議会と緊張関係にあり、輸入関税撤廃には米自動車業界の反発が強い。「途中段階で情報が漏れれば、交渉を進められなくなる恐れがある」(通商筋)からだ。

 「交渉で何を言ったか、何を話し合ったかは一切申し上げられない」。23日の交渉初参加後、記者会見した大江博首席交渉官代理は会合でのやりとりについて沈黙を通した。それがTPPの流儀。しかし、農業団体などの反対を押し切って交渉参加に踏み切った安倍政権には、国内で情報開示を求める声が高まっている。「政府は難しいハンドリング」(関係者)を迫られそうだ。

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