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2013年7月 8日 (月)

ほんとうは怖い電力改革 その5 少しずつ変えていくことに耐えられないないならば、原子力に負けるしかない

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新基準の原発再稼働申請が始まり、参院選が花盛りです。

私は、かねがね今の脱原発派の論理の立て方では政府の思うつぼにはまっている、と思うことしきりです。

あらためて確認すれば、脱原発派の皆さんの論理はこんな骨格です。
①[原発再稼働阻止]・[再処理阻止]→
②[再生可能エネルギー拡大]・「FIT推進]→
③電力自由化[電力会社解体]・[発送電分離]

しかもこれを段階を経て実現するという斬新的改革ではなく、一挙にやってしまえという急進的路線です。

確かに原発の息の根は止まりますが、一緒に日本の息の根も止まってしまいます。病気を治そうとして、患者ごと殺してしまうようなものです。大変に無責任な理想主義です。

脱原発市民団体、日本共産党、朝日新聞、東京新聞、毎日新聞などの論調がこれです。

実はこのオリジナルモデルがドイツにあるのですが、原発の再稼働を認めずに、ドイツと同じように①、②、③の「改革」を同時実行すると、100%の確率で電気料金の大幅値上げと電力不足の加速を引き起こします

電気料金の高止まりは、中小国内製造業を確実に疲弊させていきます。

また、原油高騰による輸入増大による国富の流出はすでに4兆円規模にまで達しています。将来、これに瞬間停電、あるいは広域停電が加わる可能性が高まっています。

このような国内事情をまったく省みることなく、朝日新聞の論調は社説も記事も原発再稼働反対一色に染まっていて、公示日7月4日の社説ではこの調子です。 一般紙ではなく、まるで「しんぶん赤旗」のようです。

「半年間の安倍政権で目につくのが、自民党の『先祖返り』ともいえる動きだ。(中略)原発政策も同様だ。(安倍政権は)停止中の原発の再稼働や原発輸出への前のめりの姿勢ばかりが目立つ。こうした動きを後押しするのか、待ったをかけるのか。有権者の選択にかかっている」。

どうやら朝日は、去年の衆院選の時と一緒の「脱原発選挙」のモードに持ち込んで白黒をつけたいようです。

しかし、朝日の「自民党の先祖返り」という指摘は正確ではありません。実は菅内閣の原発事故対応の大失敗を受けた民主党野田政権時から、「先祖返り」は始まっていると見るべきです。

野田前首相が、大飯原発再稼働を訴えた時にこう言ったことを思い出して下さい。彼はこう言ったはずです。

「(現時点では)原発が無くては国民の生活と産業のためのエネルギーを賄うことができない」。

つまり野田首相は、前任者だった菅氏のとおりに脱原発を訴えて原発電力の代替は自然エネルギー電力だとした場合、電気料金の値上がりは避けられず、大規模停電すらありえますよ、と警告したのです。

しかし、再生可能エネルギーの限界をたぶんよく知りながら、野田政権と安倍政権は菅内閣が作った再生可能エネルギーのFIT(全量固定買い入れ制度)を継続しました。

電力料金の自由化移行の値上がりにより、上図のグラフの発電・発送電の実費コスト(紺色部分)が1998年と変わらないのに、2012年では家庭用では45%、産業用では39%値上がりしています。

この原因は、ドイツでは電気料金の半額弱までが再生可能エネルギーの賦課金負担という異常な構造となってしまっているからです。

電力の自由化を脱原発政策と一体に同時実行したドイツでは、国民は情報開示と電源選択の自由というささやかなプラスを得て、それと引き換えに年々増え続ける賦課金負担と電力料金の値上げという重い荷を背負い込むはめになりました。

2011年ドイツでは年間で7.5ギガワットの太陽光発電が設置され、その補助金総額は20年間累積で合計180億ユーロ(当時のレートで1兆8500億円)でした。

我が国は既に初年度だけの認定設備が12.2ギガワット(2月末現在)ですから、ドイツの1.62倍です。そして買い取り額はその2倍ですから、20年間累積で約7兆円前後と推定されます。

1年間にするとざっと3500億円といったところでしょうか。これが薄く広く電気料金に上乗せされるわけですが、思い出して頂きたいのはFITという制度は「20年間固定買い入れ」なのです。

つまり初年度42円(太陽光)の価格のまま20年間、そしてこの制度を止めない限り毎年買い込む高額買電料は積み重なっていくのです。

しかも最初は1年間分ですが、次年度は2年間分、3年目は3年間分と積み重なっていきます。なんか年齢スライド型ローン地獄のようてすね。

ドイツでは、初期は我が国と同じくらいの3000億円前後でしたからあまり負担は見えなかったのですが、積もり積もって13年現在では、年間200億ユーロ(2兆4000億円)にも達するようになってしまいました。

するとさすが国民の負担も人口8000万人のドイツだと、一人当たり3万円という途方もない額になり、電力貧困層という電気代が払えない貧困層まで誕生するようになってしまいました。

これは税負担と電気料金上乗せの二重の形で消費者・国民が背負います。しかもこのFITで儲かるのは、太陽光発電装置を付けられる富裕階層だけという金持ちに優しい制度です。

ですから遠からず、FITは買い入れ額を大幅に落とすか、買い取り量に制限をつけるか、はたまた買い入れ額を再生可能エネルギーで一本化するなどして競争原理を導入せざるを得ないでしょう。

というか、そんなことをするくらいだったら、FITなど初めから止めりゃよかったのです。

要するに、昨日書いた第1段階の広域系統運用が出来上がる2016年ごろまでには、FITには大鉈が振るわれる可能性が高いと思われます。

そしてFITが後退、ないしは廃止されるということは、今までの脱原発派が唱えていた「脱原発=再生可能エネルギー=電力自由化」という三点セット戦略が崩壊する時でもあるのです。

野田、安倍政権は、意図したかどうかわかりませんが、脱原発派の脱原発=再生可能エネルギー=発送電分離(電力会社解体)というシナリオを、あえてFITを続けることで国民に脱原発派のシナリオの実現不可能性を実証して見せた、ということになります。

脱原発は必要です。しかし、それはこのような急進的な政策によってやった場合、その被害のほうが大きいのです。

しかも今のように原油高の時期に、電力自由化とセットで叫ぶなどは正気の沙汰ではありません。

再稼働に関しては、規制委員会の新規制基準による客観的判断によればいいのであって、規制委員会がしっかりと機能している今、再稼働反対と一般的に叫んでもまったく無意味です。

政府が、規制委員会に対して不当な政治的圧力を政府が加えることがあるなら、国民がきちんと抗議すればいいのであって、今ではありません。

ムード的急進路線をとれば、すべてか破綻します。少しずつ確実に変えていくことに耐えられなくなったならば、原子力に負けるしかないのです。

■写真 上野動物園に行ってきました。めちゃくちゃおもしろかったですが、暑さで半死半生に(笑)。

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

早い梅雨明けの猛暑の中、お疲れさまでした。
お身体にはくれぐれもご注意下さいね。

こちらは梅雨末期の大雨です。おかげで今日は過ごしやすい。

思い出せば、93年の大冷害の年が、こんな日々が8月まで続き「昼間寝る分には」実に快適でしたなあ…

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