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ほんとうは怖い電力改革 その8 我が国の電源を「改革」せねばならないわけがわからない

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もう暑くて死にそうでしゅ(口がまわりましぇん)。関東もすさまじい猛暑で、ドラキュラなんか、出た瞬間に即死です。

ところがこの季節、農繁期で村では死人がでるぞと天を恨んでます。 

別なテーマに移りたいのですが、もはや背後霊のように電力自由化問題がくっついて離してくれません。あともう少しです(たぶん)。

さて気を取り直して、別な資料で各国の電力構造を比較してみましょう。

日本の電気料金は国際的に見て突出して高いわけではありませんが、決して安い部類には入っていません。

ただし、一部の脱原発派が言っているような「世界一高い電気料金」という言い方は正しくはないのが分ると思います。
電気料金の各国比較について - 資源エネルギー庁(2010年)

2009年の資料によれば、産業用に関しては、米国の倍の価格であり、英国、ドイツとほぼ同水準です。

住宅用としては、米国のこれも倍で、英国と同水準。ドイツ、イタリアは脱原発政策の影響により高騰しているのがわかります。

米国の新自由主義による電力自由化は、ケーススタディとして参考になるので、別稿で触れたいと思いますが、要するにレーガノミックスによる発送電分離による電力需給バランスの崩壊が、大規模停電を頻発させました。
(ただし米国の電力事情は複雑で、いくつもの供給形態があります。)

Dsc_5183

一方、電力の評価基準で重要な事故率(停電率)はどうでしょうか。
※同上 (2010年)
 

停電率が悪いものから並べます。
・米国  ・・・292分/年
・英国   ・・・75.7
・フランス ・・・61.6
・イタリア ・・・58.0
・ドイツ ・・・・19。3
・日本  ・・・16。0
 

1軒当たりの年間事故停電時間
・米カルフォルニア州・・・・約417分(2000~01年の間に大停電あり)
・英国・・・約76分
・ドイツ・・・約17分
・日本・・・約14分

Dsc_5180

次は各国の電源の内訳です。(下図参照2007年) 

Photo_2

●米国
・石炭  ・・・49%
・石油   ・・・21
・天然ガス・・・19
・原子力 ・・・19
・水力   ・・・6
・再生可能・・・2
 

●日本
・石炭   ・・・28
・石油   ・・・14
・天然ガス・・・26
・原子力 ・・・23
・水力   ・・・7
・再生可能・・・3
 

●ドイツ
・石炭   ・・・49
・石油   ・・・12
・天然ガス・・・12
・原子力 ・・・22
・水力    ・・・3
・再生可能・・・12
 

震災前の我が国の電源構造は、原子力にも石炭、石油にも傾かず、あえていうならベストミックスに近い形をしていました。

今は、このうち当然のこととして原子力がゼロに等しく、石油、天然ガスが増大する歪な形になっています。

否定するのは自由ですが、これが我が国の強みでした。それは先進国として安定した電力供給構造とバランスの取れた電源構造を持っていること、それが産業や社会生活の基盤を下支えしていたことです。 

ですから、私にはこれを急進的に電力自由化したいという理由がよくわかりません。一体、なにが問題なのでしょうか? なにを「改革」したいのです?

このような問いをすると、必ず「東電の回し者」とか、「総括原価方式はどうなのだ」などという糾弾の声が上がってきたものです。 

脱原発ならば、原子力が栄えた時間と同じだけかけて、フィンランドのように最終処分処分場まで定めてからフェードさせていけばいいのであって、今直ちにというのは実現不可能です。 

なるほど確かに東電という巨大会社は伏魔殿のようなものでしたが、経営のあり方と電力自由化はまったく別次元の問題のはずです。東電の失敗に便乗して、電力自由化をするというのはお門違いです。 

総括原価方式も、長大な送電網の保守点検まで含めた電力の安定供給義務への見返りがあってのことです。 

郵政民営化は、終わった後にやらねばよかったと国民はほぞを噛みました。道路公団民営化もそうです。そしてこの電力自由化もまた、「しなくてもよい改革」であるようです。 

 

■写真 コサギも子育ての真っ最中です。ふわっと飛んで、また場所を替えてお食事。

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