沖縄・地域資産としての基地その4 中国の属国になるな、沖縄!
沖縄から中国大陸に向けて二等辺三角形を作ると、その底辺の両端が福建と上海にあたります。
見事にほぼ等距離で、かつて沖縄が琉球王国時代に朝貢貿易で栄えた地理的理由が分かります。
これが沖縄の中国と日本に両属するという特殊性を生み出しています。
中国側から見れば、朝貢関係をもった国はすべて属国、旧版図ですから、日本人にはおいおいですが、沖縄は「奪われた領土」ということになります。
琉球王府のあった首里の「守礼の門」に掲げてある扁額にはこのような文字が刻んであります。
「守禮之邦」
これは観光客の皆さんに、いらっしゃ~いと言っているわけではありません。「中華皇帝に対して臣従の礼を守っている国(邦)」という意味です。
これが「琉球事大主義」(※)と呼ばれるものです。
琉球国王とその家臣は首里城で冊封使を迎えて、三度うずくまって9回頭を地べたに擦りつけるという三跪九叩頭の礼をしました。
上の写真は清の皇帝・皇太極に三跪九叩頭する朝鮮王・仁祖の銅板レリーフですが、琉球王もこのようなことをやったと思われます。(写真ウイキペディア)
私も試しにやったことがありますが、やってみるとわかりますが、けっこうこのスタイル、屈辱的ですよ。まぁやってる当人たちは屈辱どころか案外喜びに打ち震えているのかもしれませんが。
守礼の門の類似の存在には、韓国の迎恩門があります。東アジアでの中華帝国に対する位置が同じせいか、沖縄と韓国にはどこか似た歴史とメンタリティがあるようです。
さて、事大主義は過去のものではなく現代も生きています。中国共産党準機関誌「環球時報」(2010年9月19日)は、このように主張し始めています。
「琉球(沖縄県)は明治政府が19世紀末に清国から奪い取ったもので、日本政府は今も沖縄住民の独立要求を抑え込んでいる」。
さらにぶっ飛んで、「中国政府は尖閣で日本と協議に入ってはならない」、と続けます。
なぜならそれは引き換えに「境界線外にある琉球の主権が日本にあると認めることになる。こうなれば日本の琉球占領は合法的な根拠を得て、琉球民衆の独立要求は鎮圧されることになる」というものです。
※http://kinbricksnow.com/archives/51481894.html
つまり「環球時報」・中国共産党対日強硬派は、尖閣で交渉すること自体ナンセンスで、交渉などすれば沖縄の日本の領有権を認めてしまうと言いたいようてす。
はっきり言えば、尖閣と沖縄は力ずくで奪えと物騒なことを言いたいようです。
さすがこの部分は習近平の意向と違ったのか、いまは削除されてしまいましたが、まぁ、中国のある種の本音が思わずペロっと出たというところでしょうか。
今後も、日中関係が緊張すれば、もっと過激な「琉球独立支援論」が中国から飛び出すことでしょう。
話を戻しましょう。
さてこの福建は、琉球王国時代に中国への朝貢使節が最初に入港する港として、沖縄にとって中国の扉に当たる都市でした。
そのため、福建には旧琉球館跡や琉球人墓などの歴史遺跡が残っています。
久米三十六姓(閩南三十六姓)もこの福建から渡ってきたテクノクラート集団で、明の洪武帝から琉球王に下賜された人々として首里の近くの久米村に住み、琉球王国の支配階級の一角に君臨してきました。
まぁ、そうは言っても昨日今日ではなく、はるか昔の琉球王朝時代の話ですから、今はたわいもない家系伝説のようなものですが、いまだ沖縄県内では久米三十六姓を貴種とする風潮も一部にあるようです。
実際、沖縄政財界には久米三十六姓出身という人が多くいて、現知事の仲井真氏(蔡)は沖縄電力会長、その前任知事の稲嶺氏(毛)は琉球石油社長出身ですから、いまだに隠然としたパワーを持っているのかもしれません。
といっても私の沖縄時代の友人にもいましたが、いたってビンボー庶民でしたが(笑)。
この久米三十六姓の出身地福建省と沖縄県は、2000年に沖縄県・福建省友好協定を締結していることはあまり知られていません。
そしてこの時、福建省側にいたのが習近平(当時共産党省副書記・省長)氏、沖縄側は太田昌秀知事です。
ですから習氏は、沖縄の政財界や労働界の内情には、今の中国指導部の中で飛び抜けて熟知しているはずです。
太田知事は、中国側から接待漬けでおだて上げられて2億8450万 円を沖縄県が負担して「沖縄福建友好会館」を作りましたが、沖縄側の入居者が3社しかなく、結局福建側のものとなってしまいました。
貧乏県としては痛い出費だったはずなのに、まだ懲りず次の稲嶺知事は中国西北航空の上海-那覇直行便に夢を託し、またもや平成12年9月に1億3800万円の赤字補填を観光対策誘致事業費の名目でするはめになっています。
本土政府から県独自財政の3倍もの振興予算を貰っておきながら、まるでどぶに捨てたようなものです。
そしてこの中国大陸と沖縄を直結するという夢は、稲嶺氏の次の仲井真氏にもバトンタッチされています。
仲井真知事の中国出張の多さは有名です。知事が中国要人に見せるこぼれるような笑顔は、彼の渋面しか知らない私たち日本人にはやや複雑な心境です。
念のために申し添えますが、私は仲井知事の大昔の先祖が中国人であることは意味がないと思っています。
むしろ両属性を持つ沖縄が、今後誤った方向に舵を切ることを心配しています。
というのは、大きな眼で見た場合のアジア情勢は、米国の退潮が明らかになりました。
数十年のスパン、あるいはもっと短い期間で、米国はアジアから完全撤退する可能性も否定できなくなりました。
それと反比例するように、中国は国内的混乱を体外強硬政策で糊塗するために、外洋進出を図るでしょう。
まさに覇権主義そのものですが、その中国の外洋進出のルート上にあるのが沖縄諸島なのです。
この退潮する米国、弱まる本土との絆、繁栄して膨張を続けるように見える中国という構図を、沖縄が韓国のパククネ政権のように見誤らないでほしいと思います。
沖縄のDNAの中に、ふと「琉球事大主義」を感じる時があります。
那覇空港からタクシーに乗る時、運チャンになにげなく「最近中国人多いね」と尋ねると、「ああ、これからは中国の時代さぁ」いう答えが帰って来たことがあります。
大和世(ヤマトゥユ)からアメリカ世、そしてまた大和世・・・、次はチャイナ世なのでしょうか。
強い国に支配され、強い国に着いていくことで゛複雑な東アジアを生き抜いてきたウクナーという邦に涙します。わが愛するウチナーという「邦」よ、健やかにあれ。
※後半部分はアップした後、自分でもこりゃ長いと思いましたので、明日に分割しました。
※事大主義(じだいしゅぎ)は、大に事(つか)えるという考えと行動を表す語。外交政策の1 つでもある。
漢代以降、中国で儒教が国教化されると華夷思想に基づく世界観が定着し、またその具現化として冊封体制、周辺諸国にとっての事大朝貢体制が築かれることになる。
東アジアの歴史に於いて中国への事大主義と小中華思想は複雑な緊張・影響関係を保った。(Wikipedia)
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