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福島第1原発汚染水問題のおさらいその1 浄化装置しか解決方法はないが

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大飯4号機が点検停止し、現在日本は原発ゼロになりました。今後あいついで電気料金の値上げが続くと思われます。

さて民主党は、そんな直面するエネルギー問題になどには目もくれず、東電山下和彦フェローを査問よろしく集団で「尋問」したあげく、「今の状態はコントロールできていないと考えている」という言葉をもぎ取り、得意満面で安倍政権の「ウソ」を徹底追及するとのことです。呑気でいいですな。

この鬼の首でも取ったように嬉しげにはしゃいでいる人物が、事故時の経済産業相だった海江田氏で、おまけに事故後2年間も汚染水問題を放置し続けたのも彼らだときていますから、二重にゲンナリします。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-dc66.html

そしてこの山下和彦という東電幹部には当事者意識があるのでしょうか。これでは東電が二枚舌だと自分で言っているようなものです。

こういう過酷な現場のモチベーションなど考えもしない幹部がいる東電など、さっさと潰して完全に国有化するしかないのかもしれません。

ところで、福島第1原発湾外の汚染水問題で、いったん消えかかった放射能への恐怖が再燃してしまいました。 

経過をおさらいしましょう。東電は事故後3カ月後の11年7月頃から、原子炉を冷却水を循環させる装置を作りました。 

とうぜん使用済みの放射性物質が含まれた水が毎日大量に廃棄されるわけです。そこで、それを放射性物質除去装置を通してセシウムなどを取り除いてタンクに貯めてきました。 

その総量たるや、実に13年8月末で33万立方メートルというのですからハンパではありません。

これは全量溜め込んであり、約1000個のタンク群に納まっています。

しかしこのタンク設置に甘かった箇所がありました。

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タンクの密封ができる溶接型ステンレス・タンクではなく、鋼板をボルトで留めたフランジ型が約3割あったために、ポタポタと汚染水が垂れ出たタンク(G6-1no.6)が発見されたのです。(上図参照 東電HPより)

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東電は報告書で、「染みだした」という表現を使っているところからみて、流出量は限られているのかもしれません。

ですから、流出量は300トンと言われていますが、正確にはよくわかりません。水位計がついていなかったり、元々300リットル満タンだったどうかよく分からないので、規制委から怒られています。

このあたりは東電の処理作業の運営の甘さが問われてもしかたがないでしょう。

次に、いわゆる「汚染水」で括られてしまいますが、その大部分はタンク漏洩とは別の地下水です。

汚染水の大部分は阿武隈山系から豊富に湧きだしてくる地下水で、日量なんと1000トンもあるそうです。

この地下水がいまだ高濃度の放射能が残る原子炉建屋にぶつかるか、 そこからの汚染水と混ざり合って汚染水を増やすことになりました。

そこで、東電は地下水を施設建屋に侵入するのを防ぐために、施設建屋の手前に12本の井戸を掘って汲み出そうとしています。

日量バイパスさせる量は100トンから150トンといったところで、これがバイパス水といわれるものです。

これなら汚染された原発建屋をくぐらないきれいな水だということで、漁業者も納得して作業が始まったばかりでした。

しかし運悪くタンクの漏洩による汚染水問題がオリンピック招致と重なって国際問題化してしまい、この汲み出し作業は停止したままになっています。

次なる手段は、施設建屋を凍土壁といわれる壁で囲ってしまうことです。(下図東電資料)

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この工法は最新のもので、いままでトンネルの湧水対策などに利用されてきた実績かあります。

逆に言えば、最新なるが故に、これほど大規模な工事の経験が少ないというのも実態のようで、そこが不安視されていますす。

写真2-s

これは削孔といって杭を打ってそこに凍結管を差し込み、特殊冷却剤をしみ出させて、地中に凍土壁を作る工法です。(上図参照 同)

この工法だと地中に原発施設のパイプや岩盤などがあっても、それに沿って冷却剤を充填できるという強みがあります。

問題は、時間がかかるという点です。なにせ総延長約4kmで、施設建屋を内陸と海側から包囲せねばならないからです。(図青線部分)

現在この工事には2年かかると見積もられています。う~ん、2年というのは致命的に痛いですね。

そこで、かねてから東芝が米国エナジー・ソリューション社のライセンスを得て製造したALPS多核種除去装置が登場することになります。

これは、現在福島第1で稼働している東芝のサリー(SARRY)除去装置を進化させたものです。

サリーはセシウム除去に特化したもので、当初導入した仏アレバなどの外国製品が故障続きだったのに対して、構造が単純で優れた性能をもっていました。

今タンク群に入っている汚染水はこのサリーを通したセシウム除去済みのものです。

さて、このALPSは多核種除去装置というだけあって、セシウム、ストロンチウム、コバルトなど62種類の核種を除去することができます。

セシウム134と137は、サリーでそうとうに除去されていますが、処理前の濃度があまりにも高いために残留していました。

それがこのALPSではセシウム137で0.3ベクレル/リットル以下まで下がり、現状の海水と同じ濃度にまで下げることができています。

現在既に福島第1には3系統か設置されており、完全稼働すれば一日500トンの汚染水を処理することが可能です。

ただし、やや脱力することにはこのALPSは2つのタンクのピンホールから微量の汚染水が漏れだしており、現在検査修理中です。

このピンホールからの漏水は量的にはわずかですが、セシウム、コバルトなとが含まれているために慎重を期しているようです。

今、問題とされているのは、トリチウムです。これが東電も認めるように、400万ベクレル/リットル含まれます。

これは告示濃度限界(※)とされる6万ベクレル/リットルを大幅に越えています。

このトリチウム問題は明日に続けます。

告示濃度限度. 0447. 実用発電用原子炉の設置、運転などに関する規則(昭和53年  通商産業省令第77号)の第9条と第15条を受けて、経済産業大臣が告示で定めた  放射性物質の濃度限度。

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

よく存じ上げておりませんので、お尋ねいたします。

トリチウム漏洩問題とは、いわゆる水素に、中性子が、くっついたトリチウム原子を、分離したいのか、トリチウム水という、水分子に、くっついた水素の代役のT3を、トリチウム水として、分離したいのか?

現在の汚染水には、何%のT(3)2O、D(2)HOなどが、含まれているのか?

その含有形状は、常温汚染水状態で、安定分子として、混合しているのか、多量の水の中で、イオン化しているのか?Hの代わりに、両端とも、T3に置き換わっているのか?重水(D)が混入しているのか?
相手の酸素は、酸素16なのか?17、18?なのか。

安定同位体として、存在するのか、そうでないのか(世の中の放射性同位体のほとんどが、不安定な同位体で、主に、安定放射性同位体のみ、問題にされる。)

など、漏洩タンクから採取した汚染水の詳しい状態が、私には、理解できておりません。

分子レベルでの処理は、考える余地が多いと思いますが、原子レベルのトリチウムは、ふげん開発時に、ある程度、研究されているような気もしますが。。

正直、私には、今のところ、ちんぷんかんぷんです。

投稿: りぼん。 | 2013年9月16日 (月) 10時08分

追伸

連続投稿お許しくださいませ。

現在の原発設置場所は、阿武隈山脈のすその部分を、断崖絶壁を、掘り進み、現在の原子炉建屋を構築されたと聞いております。
つまり、平野部と違って、地層が、かなりうねっている可能性が高い訳です。

岩盤の上に建てたといわれる原子力建屋ですので、岩盤より、浅い部分の地層は、当然、ある程度、理解されているはずでしょうし、岩盤よりさらに深いところも、ひょっとして、地層データーが、あるのでしょうが、

地中遮水壁と言う物が、効果が期待できるかどうかは、
極端に曲がった地層次第だと思うのですが、どのような地層構造なんでしょうね。例えば、熱海の温泉は、塩分が多いと聞いております。この場合は、温泉井戸に、海水が混ざってくるからだと思うのですが、どこまでの深さで、遮水壁を作れば、問題解決に繋がるのか、埋め立て地や、平野に、地下鉄掘るような技術ですと、地層がうねって、曲がっていたら、かなり難しい工事だと思うのですが、どうなんでしょうか?

投稿: りぼん。 | 2013年9月16日 (月) 10時22分

トリチウムの殆どは、水の形(水素原子と入れ替わる)で存在し、ALPSでは除去できないと聞きますが、その点は、実に、厄介です。

ただ、400万Bq/水リットルであっても、それが一体、何Svなのか。これも大変、重要になってきます。要は、生物への影響なんですから。

投稿: Cowboy@ebino | 2013年9月16日 (月) 21時43分

りぼんさん。コメントありがとうございます。私も興味があったので調べてみましたが、化学的な現在のトリチウムがインン化されているかどうかの資料は今のところ見当たりません。おそらくないのではないでしょうか。

またトリチウムの処理方法も国が明らかにしていませんので、なんともお答えできません。俗に「水に水を落としたようなもの」といわれるくらいですから、かなり難しいのではないでしょしうか。
ただし液体シンチエーションで測定はできます。

投稿: 管理人 | 2013年9月17日 (火) 05時31分

りぼん。さん。

ちんぷんかんぷんで当たり前ですよ。
少なくても今回の福島のタンクから漏洩したトリチウムに関するデータは、どこにも見付かりませんし、無いのでしょう。
またそれが分かったところで、どうするか決まるものでもありません。

ちょっとググると3日前ほど前の「トリチウム処理方法を国際公募」のニュースがトップにくる位ですから、処理方法も国や東電でさえ決めかねる状況であろうことがわかるでしょう。
IAEAは「評価と批判」をしながら全面協力すると言ってます(天野さんも大変な時に議長になったもんですな)。


建築の地質は、なんとも言えませんが、建設当時では砂礫層を掘り抜いて安定した岩盤に固定したことが、地震対策としてベストと判断された。
あんなバカでかい津波なんか想定していなかった。あと2m位高い位置でパイルを多数打ち込んでおけば…ってのは私も思いますが、完全に後知恵になりますね。
早い話が当時の陸軍飛行場の土地を国土開発が「塩田」として買い取り、放置したままで後に原発用地になった。この辺は利権の匂いがプンプンしますね。
明らかな判断ミス。

ご年配のあなたならよく分かることでしょう?
福島に限らず高度成長に取り残された寒村(漁村)の疲弊や、当時の新エネルギーへの期待と巨大な補助金。
今ならどうにでも言える話です。

地質に関して、こちらの農家さんのブログでどうこういうのもどうかとおもいますがねぇ…。

投稿: 山形 | 2013年9月17日 (火) 12時08分

長くなりましたので、連投失礼します。

トリチウムの海洋や排気筒放出。国際的に認められたレベル以下なら常識だと思ってましたが、何も知らずにノリだけで『そんな話聞いてねーぞ!』とか騒ぐネット世界に呆れまして…。
せめてどっかの原発PRセンターでも見学してりゃ常識でしょうに。

ちょっとググれば、またまた陰謀論に持っていくのが多すぎて。

若狭湾や女川近辺から有り難く魚介類をお取り寄せしてきた皆様。微量ですがトリチウム含んでますよ。
何か問題ありましたか?
微量と言っちゃえば世界中ですし、日本人がやたら有り難がる欧州産食材なんか論外の高さです。

あんな弱放射線のトリチウムで死んだ人ってリアルにいるんですかね?

私は30年前のアニメ宇宙戦艦ヤマト完結編の沖田艦長自爆しか知りません(笑)。

テレビもネットも、いったい何を騒いでいるんだか。
他にやることがいくらでもあるだろうに。

投稿: 山形 | 2013年9月17日 (火) 12時48分

自分は安倍政権が大嫌いでかつ段階的脱原発なのですがほかの反安倍のブログとか見てると「太平洋が放射能汚染される動画」だの「東京は人が住めない」なんだの「放射脳にあらずんば反安倍・脱原発にあらず」みたいな風潮が漂っておりうんざりします。本当に「反安倍・脱原発」目指すのなら「脱・放射脳」の方がよっぽと効果的だと思います。

投稿: umigarasu | 2015年12月 4日 (金) 23時31分

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