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情報戒厳令下のTPP交渉 

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悪い予想というのは、えてして当たってしまうものですか、TPP交渉はその「悪い形」が現実になりつつあります。

TPP交渉の最大の問題と目されていたのが、交渉経過の隠匿、それもハンパではない戒厳令的情報隠匿という問題でした。

というのはご承知のとおり、TPPは単なる交渉一般ではなく、「条約締結交渉」なのです。ですから、政府の情報隠匿は合法的です。だから困る。

大変にまずいことには、条約の交渉過程を国民に公開しないことは法的に保証されています。オープンにしないのは、別に法律違反でも何でもありません。

条約の締結は内閣の専権事項(日本国憲法第73条)であって、「三   条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする」という文言を楯にして、情報提供を拒否できてしまいます。

憲法が要求しているのは、「事前あるいは事後に国会承認を経る」という点だけです。

これが外交的案件であって、相手国の秘密の暴露にもつながることならともかく、TPPはまさにわが国の関税、医療・保険制度など多岐に渡る内政上の問題を多く含んでいます。

というか、TPPとはそのような、「内政を外交問題として変更していく」という奇形的な「黒い条約」なわけです。

たとえば、TPPに国防上の案件かあるというならわからないでもありません。在日米軍の部隊配置、移動などの交渉をやっているなら、「まぁ仕方がないだろう、途中で バラされたら相手国も迷惑だろうしな」と思えます。

しかしこれが、医療制度、農業などといった国民すべてが利害関係者である「内政問題」が、国内法を超越して改悪されようとしているのに、なにひとつ情報が出てこないというのは、あまりに異様です。

それが、国民はおろか、関係団体、与党国会議員まで秘匿されているのはどうしたことでしょうか。

これでは、安倍首相がTPP参加について国民に約束したはずの、「今後状況の進展に応じて、丁寧に情報提供していく」という公約に反していると考えざるをえなくなります。

つまり、TPP情報の開示は、いっさいの交渉を終了し、妥結した後の事後報告と国会承認時まで隠蔽し続けるという悪夢です。

かつて米韓FTAで、韓国政府はこのテを使いました。交渉がすべて終わった後に、「国会議員の皆さん。こんなことが決まったんで批准してください」とやったわけです。

当然、与党まで含んだ大騒動になりました。現代版不平等条約である米韓FTAdのですから、あたりまえです。 

もし、同じことを安倍政権が考えているなら、私たちは断固これを拒否せねばなりません。

最悪、この国会批准という選択肢ががぜん現実化しそうなイヤーな雰囲気です。

欄外にTPP反対派(与党でも反対派が多数ですが)の中心である山田としお氏のメルツガを転載しました。

この中で山田氏は、「交渉関係者の発言として、「95%も維持は難しいと予防線を張っていると報道しています。これでは、党と国会が決議している重要品目を守れない」と述べています。

また、「党のTPP対策委員会の幹部が、これも現地で動きを見守っている団体の関係者に対して、「重要5品目に踏み込まざるを得ない、覚悟してくれ。」というような判断を伝えている」という情報も伝えています。

そしてこのようなことが起きるのは、「ひとえに、交渉参加に当たって、または、交渉が一定程度進んだこの段階においても、内閣としての取り組みの基本方針や、情報開示の在り方や、その工夫の実行がなされていない」ことだと山田議員は指摘しています。

私たちは、今の段階では繰り返し交渉内容の開示を求めていかねばなりません。    

 

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自民党衆議院議員山田としお 氏のメールマガジン No.316(2013年9月2日)から転載いたします。 

全く納得がいかないTPPへの対処

 ところで、TPP問題の進め方は納得がいきません。きちんと情報が与えられない、自分が論議に参画できない、どこかで議論は進んでいるらしいことは新聞等で見ることはできますが、その情報を与えているらしい政府や党の関係者にもそれらのことを委任しているわけではありません。
 

要は疎外されているということです。これは頭にきます。

 私はまだ議員だから近くにいます。しかし、大与党になりました。
それを選挙戦で作り上げた各地の多くの関係者はもっと頭にくるでしょう。自分だって、前政権の民主党の菅総理や野田総理には、予算委員会でどれほど毒突いたか。その時以上の我慢ならないことが与党の内閣で進んでいるわけで、徹底して追求したいことが一杯あります。

【「反対派は静まりつつある」とは一体なんなんだ】
 一つは、共同通信の記事で、甘利大臣が、マレーシアの大臣に「(TPPに対する日本の)反対派は徐々に静まりつつある。(状況は)半年前ほど深刻ではない。」と発言しているといいます。
 

甘利大臣は「そんなことは言っていない。」と否定しているとも書いていますが、マレーシアの政府関係者は、「発言はあった。」と確認しており、「日本側は、とても熱心だ、交渉に深く入り込んでいる。」と驚きを示したと報道しています。 

こういうことは多々あるのだろうとは思いますが、しかし、許せません。与党にすら情報開
示する工夫も行わず、自分の気分だけで発言し、事態を混乱させる。
内閣不信につながりかねない問題です。

【進む、妥協への動き】
 二つは、これも与党議員にも何ら知らせないまま、自由化率80%の提示をしたらしいのですが、90%も出す、否、すでに出してしまった、ということらしい。
 

そして、新聞は、交渉関係者の発言として、「95%も維持は難しい」と予防線を張っていると報道しています。これでは、党と国会が決議している重要品目を守れないことになります。こんな進め方があるものか。

【党内の議論をしっかりやろう】
 三つは、ブルネイの現地に赴いている党のTPP対策委員会の幹部が、これも現地で動きを見守っている団体の関係者に対して、「重要5品目に踏み込まざるを得ない、覚悟してくれ。」というような判断を伝えていると聞こえてきました。
 

私は、情報交換を行うことまで否定しません。しかし、党の決議にもとる判断を示しておられるということになると、我々はそこまで委任していないし、論議もしていません。どこで、どんな判断で、どんな権限でなされたものなのか。

 ともかく、TPP対策委員会の幹部が、内閣が行うべきことを背負わされる形で損な役回りを担っている、この異常さは納得がいきません。


【問題は、政府が、基本方針の策定をしていないことにある】
 四つは、こうしたことが生ずる原因は、ひとえに、交渉参加に当たって、または、交渉が一定程度進んだこの段階においても、内閣としての取り組みの基本方針や、情報開示の在り方や、その工夫の実行がなされていないからです。

 今からでも遅くはありません。このことをきちんと行ってもらわなければなりません。

 私は与党の議員です。だから与党の政権の大臣や、そして仲間でもあり先輩でもあり、その立場で頑張っておいでの党幹部の先生方にいたずらに挑戦するものではありません。
 

節度はあります。与党の議員はみんなそうした気持ちで我慢しています。しかし、我が国
の農林漁業を、ひいては日本国を壊しかねない重大事です。将来大きな禍根を残しますし、ゆくゆくは国会承認の場で大きな混乱を生じさせるでしょう。

 内閣も、党の幹部ももっと緊張して、真摯に対処すべきです。私はそのことを発言もし、動くこともしていきたい。
 

自民TPP慎重派、嘆き 「情報なく議論できぬ」
産経 2013.8.21
 

日本が交渉に参加した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で、交渉過程に関与できない自民党議員に無力感が漂っている。20日の慎重派議員の会合では、情報が不十分だとの不満が噴出。昨年の衆院選と先の参院選で主要農産品の関税維持などの「国益を守る」と訴えて当選した議員が多いだけに、有権者との板挟みの苦悩もあるようだ。           

  約50人が出席して20日に党本部で開かれた「TPP交渉における国益を守り抜く会」(森山裕会長)の会合。最大の焦点は、交渉内容の開示だった。交渉参加国は、交渉内容を明かさない秘密保持契約を結んでいる。日本も例外ではなく、「情報がない中で議論しろというのか。ガス抜きにもならない」(上杉光弘元自治相)などの怒りや嘆きの声が相次いだ。  

 自民党は石破茂幹事長をTPP問題の「窓口役」として対応を一元化している。だが、会合では細田博之幹事長代行までもが「石破氏が一括して判断するといっても、簡単にはいかない」と発言。政府側は関税撤廃を求める品目リストなどについて「甘利明TPP担当相の指示を受けて作成している」と出席議員に理解を求めたが、「守るべき国益とは何か」との「そもそも論」まで飛び出し、迷走した。  

 自民党は衆院選で「聖域なき関税撤廃を前提にする交渉参加に反対」と訴え、参院選でも「守るべきものは守る」と公約に盛り込んだ。議員の不満の背景には「このままでは地元に説明がつかない」という事情も大きい。森山会長は「国益を確保できなければ脱退もあり得るとの自民党の決議をよく知ってほしい」と政府側にクギを刺したが、1時間40分に及ぶ長時間の議論が、堂々巡りに終わった印象は否めない。 

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コメント

TPPで、ケッシュ財団のプラズマリアクターの情報は、このまま握りつぶされるかもしれない。

ttp://www.onpa.tv/2013/08/11/1893

ttp://sunshine849.blog.fc2.com/blog-entry-118.html

汚染水を食い止め、暴走する原発を収束させる唯一の手段は、これ以外にはないだろう。。。

投稿: siodgp | 2013年9月22日 (日) 12時20分

国会に、国際法批准審議が、出て、国民の代議員である国会議員が、批准しなければ、批准されるまで、適用されない訳ですよね。

そうであれば、当面、批准しない、できないように、国会議員に、圧力を、掛けておくべきだと思えます。

農業系5品目とか、郵便貯金や健康保険制度など、他のTPP参加国、特に、農業以外は、米国が、主導しているような、イメージを、個人的には、持っておりますが、少なくとも、国会に、国際条約の全文が、出たとき、あわてて、批准する必要がないため、個人的感想としては、当面、批准しないで、ほかっておくと言う選択も、国会議員に、持ってもらいたいものです。

ハーグ条約だって、批准を求められてから、何年かかって、批准したのでしょうね?

27項目も、あるとか、農業を知らない与党国会議員が、
与党に残りたいために、不勉強なまま、批准してしまうことが、ないように、一般国民が、国会議員に、圧力を、絶えず掛けておくことが、今のところ、当面の課題ではないかと、思っております。

全農など、官僚的組織の役員に、丸投げしていては、問題は、解決しないと思われます。

農業と言っても、その生産物ごとで、まったく事情が、違う訳なんですが、官僚化した全農などの役員で、きちんと、守るべきものが、守れるのかが、個人的には、心配です。

重要5品目とマスコミや政府は、言っておられますが、ドーハラウンドのときの、農業部門の関税品目の数え方で、いくと、重要5品目だけで、少なくとも、600品目とか、それ以上の品目数と言う数え方だったようですが。。

ドーハラウンドどころか、ウルグアイラウンドでさえ、あまりにも、複雑にして、項目数を、増やしてしまい、参加国も、多いので、結局、決着が、つかなかった過去を、見ると、本来、多様に、専門分化した農家さん、当事者の、意見を無視して、官僚自体が、ゲーム感覚で、事務的合意は、出来ているなど、公言していることすら、国民をだましているとしか、僕には、思えないのですが。。

何もかも、秘密である以上、国民は、簡単に、批准させないぞ。と
国会議員や各省庁の事務方に、きちんと、アピールしていかないと、結果は、よくなりませんよね。

1980年に、国際法として、批准を求められた、子の、帰国問題は、30年以上、日本は、批准せず、ほかっていたのですから。。

投稿: りぼん。 | 2013年9月23日 (月) 20時05分

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