安倍首相、消費税8%を表明 アベノミックスの早すぎた終焉
ご承知のように、安倍首相は、木下康司財務次官、黒田日銀総裁などの財務トップと、麻生副総理、石破幹事長などの政権中枢増税派の十重二十重の包囲網に抗しきれませんでした。
安倍首相は、党内の上げ潮派すら完全にまとめきれておらず、最終的には孤独の戦いを強いられたようです。
ここまで強力な財務省とマスメディアによって弾幕が張られてしまうと、いかに彼が高支持率を背景にしているとはいえ厳しかったと思われます。
首相の戦術ミスの側面もあります。
日銀短観をめどにすると言ってしまったために、これにより決断を迫られた格好になりました。短観ですら大企業は上向いたものの(+13)、中小企業は落ち込んでいます(-4)。
あくまでも「デフレ脱却」を指標とするべきでした。コアコアCPI(※食料及びエネルギーを除く消費者物価指数総合)の8月期マイナス0.1%で突っぱねられたはずです。
これは安倍首相と自民党の公約違反です。
政治的にはここまで引っ張ったために、首相の全責任という構図になってしまいました。
彼が消費増税に賛成ならば、さっさと「三党合意」を楯にして上げられたのであって、その方が政権に痛みがなかったでしょう。
といっても、野党は共産党、生活を除いてオール増税支持派ですからあんがい波風はたたないかもしれませんが。
いままで増税を煽ってきたマスメディアは、手の平を返したように「安倍消費税で庶民悲鳴」というような反安倍キャンペーンを張るはずです。
まぁマスメディアは「国際公約」なることまで言い出して煽っていたので、しなかった場合には「決断できない首相。国の借金に待ったなし」とか報道したんでしょうが(苦笑)。
しかし、特に復興特別法人税引き下げをしてしまったのは痛恨の失敗でした。三党合意の福祉目的税一本で説明すべきでした。
いくら首相が会見で「福祉目的に全額使う」と明言しても、復興を切り捨てて腹黒狸の経団連にすり寄ったという印象は否めません。
と言っても安倍首相は、復興予算25兆は崩さないと言明しており、民主党時代の17兆よりはるかに大きい予算枠を既に作っているのですから、野党はこの問題では攻めきれないはずです。
法人税減税は、景気浮揚効果もないうえに国民生活を犠牲にした企業優先という印象はまぬがれません。
腹黒狸の米倉会長は企業の270兆まで膨れ上がった内部留保を更に増やすでしょう。
やるなら設備投資減税、しかも国内への企業投資に対して政策誘導的に減税すべきで、こんなベタな法人税減税には国民所得を奪う以外の効果はありません。
財務省もいやがっていたのですから、財務官僚を楯に使ってでもここは腹黒狸の要求を拒否すべきでした。大きなマイナスです。
ただし、5兆円規模の財政出動を一体化しているのはせめてもの救いです。民主党政権なら、この部分がなくむき出しの増税だけだったはずです。しかし、少ない!
わずか5兆(+投資雇用減税1兆)では、増税による経済縮小の負の乗数効果による15兆ともいわれる減をカバーできません。
おそらく来年4月以降は税収の減収になるでしょう。ばかな話です。だからあれだけやめろと言ってきたではありませんか。
もうひとつ、円高が戻ってきます。EUは経済破綻寸前のイタリアの政権信任投票をします。
スペイン、ギリシアについでEU主要国のイタリアまで破綻国に転落すれば、いっそう安定した円が買われる状態、つまり円高に振れます。
おまけにオバマの失政(オバマケア)による予算の不成立で、米国がとうとう連邦政府職員の部分的レイオフに入りました。
ベトナム、ブラジルなどの新興国は景気の行き足が止まりました。
すべての国際経済の要因は、円高に向いています。この時期になぜ増税をやるのか!
増税による経済減速と円高で、アベノミックスは終わりました。
これでわが国の経済再生は7割がた潰れて、アベノミックス以前に回帰しました。
次の10%はもっと早めに声を上げて、メディアによるおかしな同調圧力を作られる前に国民全体で阻止せねばなりません。
私は哀しく、そして心底怒っています。いっそう最高裁に出直し選挙を命じてもらって、もう一回衆院選挙をやり直したらどうでしょうか。
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■首相会見詳報http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131001/plc13100119320019-n1.htm
■安倍首相が4月引き上げ正式表明 「最後の最後まで悩んだ」
産経新聞 2013.10.1 18:31
安倍晋三首相は1日夕、官邸で記者会見を行い、平成26年4月に消費税率を現行の5%から8%に引き上げることを正式に表明した。
「消費税率を法律で定められた通り現行の5%から8%に3%引き上げる決断をした。社会保障を安定させ、厳しい財源を確保するため待ったなしだ」と述べた。
また、「社会保障を安定させ、厳しい財政を再建するため、財源確保は待ったなしだ」と述べ、「経済再生への自信を取り戻す。国の信認を維持し、社会保障制度を次世代にしっかりと引き渡す。これらを同時に進めるのが私の内閣に与えられた責任だ」と述べた。
増税分で得られた税収の使途では、「社会保障に全額使う」と明言。法人税の実効税率引き下げには、「国際競争に打ち勝つため、真剣に検討を進めなければならない」と訴えた。
一方、首相は消費増税に伴い12月に策定する経済対策は「5兆円規模になる」と指摘。復興特別法人税は「1年前倒しでの廃止を検討する」と表明。「廃止が賃金上昇につながっていくことを踏まえ、12月中に結論を得たい」と述べた。
平成27年10月に消費税率を10%に引き上げると定めた消費税増税法の扱いについては、「改めて経済状況などを総合的に勘案し、判断時期も含めて適切に判断したい」と述べた。
■アベノミクス最初のエラー 消費税増税に海外紙から厳しい声
nifty 2013年10月1日
安倍首相は1日、来年4月から消費税を8%へ増税すると正式に発表した。景気回復への悪影響が懸念されるのに対し、景気刺激策および法人税減税もセットで行う方針だと報じられている。
【たかだか8%で騒ぐ理由】
フィナンシャル・タイムズ紙は、英国の20%など、欧米諸国の付加価値税に比べればまだ安い税率であることを指摘した(非課税品目の有無などには触れない単純比較であるが)。そのうえで、それが論争を呼んでいる理由は、1997年の前回増税時、実際に不況を招いたからだと説明。安倍政権において最初の政策エラーだ、と手厳しい。
消費税増税は、現在の景気回復を主導している消費者支出を直撃する。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、米国エコノミストの間では、超党派で、増税すべきでないとの考えが優勢のようだ。
非営利団体の日本経済研究センターが調査した41エコノミスト予想では、日本のGDP成長率は3月31日までの現年度の2.7%に対し、4月の増税以後の次年度には0.62%に低下する。
【長期金利上昇は困るのか】
一方で増税賛成派は、アジア通貨暴落や日本の銀行危機などがあった97年当時よりは状況が良く、むしろ今がチャンスと主張している。また、増税を見送れば債権市場の信頼を失い、金利上昇に見舞われるとの懸念を示している。
フィナンシャル・タイムズ紙の別の記事では、日本は元々構造的に債券の需要が供給を圧倒しており、世界で唯一、債券利回りの下落が続いていると指摘。自信が強まって余剰資金がリスク資産や実体経済活動に回されない限り、債券利回りは上がらない。同紙は、債券市場崩壊というシナリオを、災害映画に類する「アベゲドン」と呼んでいる。
【法人減税・公共支出・金融政策】
日経新聞の最新の世論調査では、安倍政権の支持率は66%あるが、増税賛成は47%、反対は48%であった。さらに法人減税については、「日本の個人と法人の税バランスを他国のそれに近づけようとするため」であるが「有権者の友好度をテストする」ことになると、フィナンシャル・タイムズ紙は評している。
また、今企業に設備投資をさせて能力拡大させる意味があるのかという疑問もある。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、連立与党内にさえ反対があると報じている。
公共事業支出や低所得者層への現金配布などの景気刺激パッケージについても、同紙は、7.5兆円と予想される増税での増収を帳消しにしてしまうと指摘する。過去、政権が「有権者を喜ばせるため」に使ってきたこのような政策は、エコノミストらによると、永続的な経済浮揚効果は少ないという。
同紙は、日銀の金融刺激策拡大で円安とリスク資産市場を強く保つ、第3の景気悪化対策が主軸になるだろうとも論じている。その重責は黒田日銀総裁にかかり、米国の利下げ政策「グリーンスパンプット」や「バーナンキプット」に並ぶ、「黒田プット」の出現を見るだろうという。
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コメント
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管理主様のお怒り、自分にもよく分かります┐('~`;)┌
今後はいかに消費増税のダメージを少なくするか。そして絶対に消費税10%にはしてはならないことを死守しないといけません!
しかし、ここまで財務省が増税に固執するのか自分にはさっぱり分かりません。
増税は税収を増やす為にやるのであって、増税して税収が減るんなら意味無いと思うんですけど…?
投稿: 播磨真悟 | 2013年10月 2日 (水) 09時43分
消費税は50%にでもしない限り、絶対に税収増えますよ。
今回の場合、1割消費を減らしても40%の増収になります。
ただ、1割も消費が減った場合の他への影響は考えませんけどね。その際は所得税をさらに上げるまででしょう。
国という存在がなぜ強いか、それは暴力装置を伴った徴税強制権を持っているからです。日本は規範意識の高さもあり、財政破たんはあり得ません。
嫌なら国を捨てて「根無し草」になるしかないですけど、それこそカネだけが頼り。普通の庶民でそんな覚悟のある人いないでしょ。筑波山のガマと同じ、絞れば絞るほど油が出るのよw
投稿: お初 | 2013年10月 2日 (水) 09時53分
お初さん。
「暴力装置」の意味分かってますか?
まあ、もしその消費税40%やらで、国外脱出者が続出して、この国がどうなるのか、ちゃんと説明していただきたいですな。
投稿: 山形 | 2013年10月 2日 (水) 11時47分
お初さんとやら、意味不明です。なにを書いているのかまるで理解できません。
増税しても国民は着いてくる?しぼればしぼるほど・・。なんのこっちゃ。国民はデフレ下で増税すれば、もの買わなくなるだけです。つまり消費が冷え込んで、全部タンスに行きます。
暴力装置と税金とどう関係あるのですか。暴力装置とは古典的には軍隊、警察のことですよ。国税が税金逃れに軍隊投入してくるとか(爆笑)。
播磨真悟さま。コメントありがとう。財務省(旧大蔵省)は特殊な官庁なんです。「官庁の中の官庁」を自認しています。
国家公務員上級に合格したエリートは成績のいい順から財務省に振り分けられます。ちなみにわが農水省はケツです。
ですから、彼らのエリート意識は強烈なものがあります。いわば「国を背負っている」という意識でしょうね。
そして彼らの中の価値観もまた彼らの中特有のものがあるのです。
ひとつは、予算配分権です。各官庁から上がってきた概算要求をバンバン切れる。ここで彼らの特有の意識、「なにかを創る」のではなく、他の官庁の仕事を精査して「切る」という特権的快感が生れます。
また税収を増やすというのも彼らの勲章です。ですが、ただ「増える」では能がないので、税金の枠を新設して増収するのが勲章です。
特に消費税はぜったいに逃げ場がない、つまり節税しようがない税金ですから捕捉率100%。これを一般先進国並の20%にするのが財務省官僚の大目標です。
そのための手練手管で、増税しないと国の借金で未来の子供たちが悲惨なことになるとか、国債金利が上昇して破綻するとか嘘八百のプロパガンダしているわけです。
投稿: 管理人 | 2013年10月 2日 (水) 14時28分
管理人さま
農業者向け弁護士をめざしておられるとのことですので、官僚構造にも、お詳しいと、存じます。
ご指導、ご意見を、戴きたいことは、財務省は、なぜ、主計局と主税局が、別々に、単年度執行案を、提示し、
その単年度収支差額を、違法性の高い、赤字国債の発行、承認を、立法府に、丸投げして、国家予算の番人と
しての責任が、採れていると、強弁されるのでしょうか?
単年度、単式簿記と言う、会計上、もっとも、レベルの
低い一般会計試案を、作り、閣法として、内閣が、国会に上程して、国会が、承認すると言う、財務官僚に、責任が、取れないと言うか、収支が、実態に、合わない予算案を、いつまで、内閣に、提示するつもりなんでしょうか?
民間では、帰属収入と支出を、別々に、単年度で、作る
ことは、ないはずですし、短年度決算であっても、減価償却や、資本金、引き当て金、積み立て金などの科目を設定し、次年度に、続いていく決算書を、作ることが、法的に、決まっているように、感じますが、収入、支出とも、複式簿記を、きちんと、適用すれば、当然、単年度プライマリーバランスも、長期予算見込みにおける、損益分岐点など、当然、シュミレーションするのですが、管理会計でなく、財務会計だけで、デフレ脱却シュミレーションは、無理だと思うのですが、未だ、財務省の行っている会計基準が、私には、理解できません。
どなたか、予算の半分以上が、国際および、国債償還金と支払い金利と言う一般会計処理を、行い続ける理由
が、知りたいのですが、教えていただけないでしょうか?
実際、財務官僚と議論したことは、ございますが、結論は、決算単年度財務会計は、国会を通じて使った公費の結果を国会の決算委員会に提出するだけの仕事であり、収入と収支が、つじつまが、合う、合わないは、仕事ではないと、お返事されます。
自由の国、米国であれ、主計局の計上できる総額は、主税局の収入と含み益を超えることは、出来ないというか、
議会が通らないので、青天井のような予算を、国会に、提示することは、米国では、出来ないのが、現実なんですが、日本だけ、このような会計が、なぜ、長期間、許されているのか、ご教授願いたいのですが、よろしくお願いいたします。
投稿: りぼん。 | 2013年10月 3日 (木) 00時09分
りぼんさん。「農業者向け弁護士」じゃなくて、「農業のための弁護士」です。司法試験めざしていません(笑)。というのは、まぁ言葉の綾で、あんまり農業バッシングがひどいので弁護してみるかていどのお話ですのでよろしく。
お聞きのことはわかりません。なぜ単式簿記にこだわって複式簿記にしないのかもわからないし、貸借対象表をつくっていなかったのかもわからないし(※いちおう作ってはあるようですが、国民に見せなかっただけのようで・・・)、単年度執行主義など復興にとって阻害要因なのにこだわっているのかもわかりません。(※これも越年執行もあるとは言っていますが)
財務省は伏魔殿です。なにか理由はあるんでしょうが、彼らなりのやり方を頑としてかえない秘密主義にはあきれるというか、感心するというか、まぁすごいとこです。
投稿: 管理人 | 2013年10月 3日 (木) 07時02分
昨年度の第4次補正予算の越年執行について、東海財務局を通して、許可をいただいた経験者です。
つまり、法律上は、越年執行とか、単年度主義など、明快な予算執行制約は、存在しないようです。
存在するのは、決算が、単年度であることだけのようです。
大企業は、4半期ごとの試算表を公開したりして、社債募集や株価の安定材料として、公開しているようですし、法人税の申告期限と納付期限は、決算日の2ヶ月後と決まってますので、パソコンで、処理しない限り、消費税、法人税、地方税、もろもろのことは、処理できないでしょう。
つまり、民間に、厳しく情報公開と納税を求めているのに、国は、国自身の会計を、主権者である国民には、公開しないという現状です。
せめて、米国並みの公開レベルまで、持っていくのが、すじだと思います。
公務員は、それぞれ好きな法律の一部を披露して、何かと、言いたがりますが、さすが、1月に公開した第4次補正を、3月末までに、執行することは、不可能でしょうから、今回、私の場合は、財務局に提出する書類の下書きは、全部、県の職員が、書いてくれました。
結局、マスコミのプレス発表は、無責任というか、裏とりせず、垂れ流すような発表ですので、本当のことが、国民に、知らされないのが、大問題であると思ってます。
投稿: りぼん。 | 2013年10月 3日 (木) 14時05分
これはそのうち記事化するつもりでいますが、復興のネックのひとつは土木業があまりにも公共事業削減でボロボロになってしまっていたことです。
これを再生するには単年度ではなく、複数年度予算を組んで安定させねばなりません。
財務省は単年度ではないといいつつも、複数年に渡る予算執行は事実上忌避してきました。
増税後ですが、かつての橋本政権のような増税⇒公共事業削減・単年度ちょい出しを繰り返すなら、わが国は絶望的です。
ちなみに農業予算も単年度で、私も農水のを受けたことがありますが、複数年で完結する計画を単年度で打ち切られ、再審制のための膨大な書類仕事をするハメになりました。
というところで、財務省談義は、記事と関係が薄いのでこれで終了させて頂きます。
投稿: 管理人 | 2013年10月 3日 (木) 14時41分