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2013年10月

ドイツの脱原発は隣の家の青い芝(3) 待ち構えていた送電網の不安定と近隣諸国からの苦情

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ドイツ政府は風力発電を北部海岸地帯から南部工業地帯に送電するために、送電網を最優先に建設するとして約7兆円(!)をかけて建設しようとしました。

念のために申し添えますが、これは再生可能エネルギーを送電するため専用のようなものて、メルケル政権の脱原発政策がなければ敷かずに済んだものです。

しかし、そのかいもなく送電網計画の半分が遅れ、4年間に渡ってまったく進んでいない路線すら生まれました。(欄外図参照)  

現在完成しているのは、欄外図を見ていただくとわかりますが緑色のラインのわずか10%のみで、オレンジ、濃赤、青ラインが計画放棄で未着工です。

まぁぜんぜん進んでいないということのようです。これではいつ出来るのか分からなくなってしまいました。

ここで、ドイツの脱原発政策は、送電網不足という致命的なボトルネックにぶつかってしまったわけです。

しかも皮肉にも工事が遅れた原因は、脱原発の同志であるはずの環境保護派の送電鉄塔建設反対運動でした。

彼らは送電鉄塔建設のための森林伐採による自然破壊と、高圧線付近での電磁波による健康障害を理由に頑として建設に反対しました。

ドイツ政府からすれば、環境派の主張どおりに脱原発をしてみれば高圧送電網が必要となり、政権命運をかけて始めてみれば、今度は別の環境派が反対するのですから、たまったものじゃありません。

かくして、メルケル政権は送電網建設という巨大な金食い虫と一緒に、送電網反対の住民運動という二重の火種を抱え込むことになってしまいました。 

ところがこれで終わりではありませんでした。

北海沿岸に立ち並ぶ巨大風力発電装置を見てメルケル氏は満足そうでしたが、たちまちこういう状況が頻発しました。  

ある日、北海沿岸で強い風が吹き続けて風力発電がガンガン回ったとします。夜も吹き続けてすごい発電量を稼ぎだしました。  

そこまではめでたいのですが、なにぶん再生可能エネルギーは調節も蓄電も効きません。

蓄電ができない!そう、発電所は火力、風力を問わず蓄電ができないのです。

最近やっと日本の「脱原発派」の皆さんもそれに気がついてきたようで、確か前回の衆院選では三宅候補を出したみどりの党が蓄電技術の研究拡大を掲げていましたね。

あいかわらず不勉強で勘だけが頼りの小泉さんは読売新聞に、「再エネは蓄電できるから大丈夫!」みたいなことを言っていましたが、まだコスト面まで含めて「使える」大型蓄電装置は実用化に至っていませんって。おい、資源エネ庁、ちゃんとあのご老公に教えてやれよ。

技術的には高性能なものがやがて生まれると思いますが、再生可能エネルギーの場合、ただでさえ送電網とかバックアップ火力とか、スマートグリッドのような発電本体以外のバックエンドが異常に多いので、これにさらに高価な蓄電装置をオンするのは経営的にかなり難しいのではないでしょうか。

それはともかくとして、送電網があればさっそく南部に送り込んで国全体でコントロールすることも可能なのですが、ないものはしかたがありません。

いたしかたないので、あまり電力需要のない北部の送電網に無理矢理送り込むしか手がなくなりました。 

すると北部地域の送電網が予期せざる過剰な電力供給のために、あっちこっちの火力発電所を止めてまわるはめになりました。

これで問題が終われば、しょせんドイツの国内問題で済んだのですが、この風力の時ならぬ過剰発電が国外に飛び火します。 

というのは゛昨日述べたヨーロッパが電力広域連携を持っていたためです。  

ドイツで過剰に発電された風力発電は、ヨーロッパ電力広域連携に乗って、隣国のポーランドやチェコに突如流出する事態が頻繁に起きてしまったのです。

しかも風任せですから気まぐれにして、かつ唐突に。

隣国のほうからすれば、事前に「これだけ輸出したいんですが。はい何月何日何時から○○キロワット買いましょう」ということならまだしも、突然まさに風任せで自分の都合のいい時間帯にどどっと輸出してくるのだからたまりません。 

それもだいたいがドイツの余剰になる時間帯とは、隣国も余剰なものなのですから、ポーランド、チェコの電力業界は怒り心頭。 

いきなり大量の電力を押し売りされてあわてて自国の火力発電所を止めたり、出力を下げるなどの緊急対応を強いられることになってしまいました。

そうしないと過電流で送電線そのものがショートしてしまいます。

仮に送電線ルートが3本あるとして、そのうち1本に過電流が流れてショートすると、他の2ルートに 3ルート分の過電流が流れ込むこととなり、ドミノ倒し的に送電網全体が崩壊し、大規模停電が発生してしまいます。

ですから、ヤバイと思ったら瞬時に火力を止めて対応せねばなりません。火力だけは出力の上げ下げが自在にできるからです。

原発も水力もそんな器用なまねができないので、この損な役割はいつも火力です。

それを外国にやらせるとなると、当然外国の電力会社はドイツの脱原発政策になんの関係もないわけです。

「冗談じゃない、なんで自分らの国がドイツの尻拭いをせにゃならんのだ」とばかりに隣国たちは怒りだしました。まぁ当然ですな。  

そしてとうとう東欧諸国の電力会社4社が連名で出した抗議文にはこうあります。 

ドイツ南北の送電線増強工事が終わるまでは、ドイツ北部に再生可能エネルギー発電設備を建設すべきではない」

つまりそもそも送電線工事ができてから風力発電所を作るべきだったのに、逆に作ってしまってからあわてて送電線工事をするとはなにごとだ、すぐ風力発電なんぞ止めなさい、というわけです。まったくもって正論でございます。

原発が最終処分場もないうちから原発を作ってしまったのと一緒で、満足な送電網もないうちから再生可能エネルギーの発電所をぶっ建ててしまったのが致命的ミスでした。

バックエンド問題をなおざりにして、世論受けのいい再生可能エネルギー政策をするとこういうハメになる見本です。

もっとも、送電網を作ってからだと、あと数年先に脱原発政策の開始がズレ込むか、非力な太陽光頼みになり社会・経済の不安定化がいっそう進んだことでしょうが。 

というわけで、ドイツは「再生可能エネルギーを大胆に取り込む」のはいいのですが、ヨーロッパの電力広域連携全体を不安定にしてしまったのです。 

ところで、ドイツへの「美しい誤解」の中には、ドイツは再生可能エネルギーで電力輸出ができるようになった、というものがあります。

これもいま述べた文脈でお考えください。そんなにビューティフルなことでしょうか。

他ならぬメルケル政権の脱原発政策の舞台監督のひとりであった送電網管理の総責任者、マティアス・クルト氏(ドイツ連邦ネットワーク庁長官)はあっさりこう言っています。  

「今多くの人は、ドイツが数週間フランスに電力を輸出したと喜んでいます。しかし2011年全体でみれば、ドイツはフランスに対してかつての電力輸出国から輸入国へと転落しています。都合のいい数字ばかりではなく、事実を見つめるべきです。」

残念ながら「フランスに電力を売った」内実は、突然隣国に過剰な電気を「流出」させて迷惑をかけたていどというのが実態のようです。

原発大国フランスにとっては笑いの止まらない電力輸出のお得意さんで、輸出向け電力のために原発を増設する計画があるくらいです。

ドイツの脱原発政策は、フランスの原子力で支えられているという逆説的構図が生まれてしまったわけです。

このように電力広域連携を持つヨーロッパでは、「一国脱原発主義」は難しいということです。やるならメルケル政権は事前に隣国との多国間協議をしてからすべきでしたね。

というわけで、隣国の抗議を受けて、ドイツ政府は仕方なく2011年、過剰な電力が発電された場合には、風力発電のプロペラを止めて発電を止めるようにとの通達を出しました。 

このようにして失われた風力発電量は、前年比で70%も増加してしまいました。まさに宝の持ち腐れです。

現在、ヨーロッパ電力広域連携をスマートグリッド化するなどの計画がありますが、EU財政自体が危機にあり、たぶん無理なのではないでかと言われています。

つまるところ、巨額な資金を投じて作った風力発電所群の電気は、能力どおりに送電できない、捨てるのが多いということになったわけです。

こうしてみると、いかにドイツが無計画、かつ無展望に脱原発を始めてしまったのか分かると思います。

どうも私達日本人はドイツと聞くと正確無比に計画を実現するように思っていますが、これだけ不測の事態が多発するのをみると、フロンティアの栄光と悲惨というべきか、はたまた、あんがい出たとこ勝負だったのかもね、と評すべきなのか迷ってしまいます。

ただ、電力は社会インフラの基盤ですから、あまり理念のオモチャにしていいものではないことだけはたしかです。

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沖縄は貧しくとも沖縄自身のものであれ 南の島様のコメントにお答えして

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南の島様。私は沖縄は独立するのが最善だと思っています。しかし、残念ですがそうとうに難しいのはたしかです。

なぜなら沖縄は民族として自分の能力や、風土としての魅力にほんとうに気がついていないからです。

そしてむしろ破壊しています。それは米軍基地があるから、あるいは、ヤマトゥに歴史的にやられたと言う以前に自分たちで壊しています。

世界でもっとも美しい海岸線を壊しているのは他ならぬシマンチューです。米軍基地の正面のほうがよほど荒らされていません。

赤土を無神経に海に流しているのは誰ですか、パイナップル栽培や道路工事です。
白保のサンゴを壊して空港を作ろうとしたの誰ですか。反戦反基地の社会大衆党の前市長です。

くそっ。なんたることだ!沖縄を壊しているのはウチナンチュー自身なのです。
地域の中に蓄えられたウマンチューぬチカラをどんどんと忘れ去っているのはシマンチュー自身ではないですか。

それに気がつかないで、いつも他人のせいにします。アメリカーが悪いさ、ヤマトゥはね。差別されてるからね。日本一ビンボーだからね。

そしてヤマト政府にもっとモノクレと言う。

私はこのような依存体質的心根が治らない限り「独立」はありえないと思っています。

独立は、本土並の高給をはむ官公労とマスコミ中心の「沖縄革新」エリートがするものではありません。

まして、基地と無用な公共施設建設の利権に浸ってきた「沖縄自民」にはなにひとつ期待できません。

独立しようという相手からのカネなくして成り立たないような島を作っておいて、独立など笑止です。

独立はまっすぐに地面に立つ人たちがするものです。

沖縄は貧しくとも沖縄自身のものであれ、と心から思います。

かつて1991年にキューバが、ソ連の崩壊以降辿った道を少し沖縄も学べきです。

おそらく沖縄は独立後に政府支援とエネルギー源を断たれ、観光もダメになり、米軍基地のみがズシっと残っているという状況もありえます。

そして東アジアのパワーポリティクスの只中に投げ出されます。

こういう時に、今までの一本調子の反米闘争は成り立ちません。米国とサシでやり合える外交力がいるのです。

まして安易に中国や北朝鮮にすり寄ろうとしている「沖縄革新」の人たちのような発想では、独立の意味すら危うくなります。

核ミサイルを沖縄に照準し、沖縄県石垣市尖閣を侵犯し続けている国に媚を売ってどうしますか。

それは宗主国をヤマトから中華帝国に替えただけのおぞましい「独立」です。こんな「独立」ならしないほうがましです。

沖縄以上の苦悩の中で簡単にくたばらなかったカストロを私は尊敬しています。

石油がなければ島をあげて再生可能エネルギーを地域で作り出し、化学肥料がないなら有機農業に本気で取り組む。医療と教育の水準は死んでも落とさない。

彼の冷徹な現実政治を読む力と理想の高さをバランスする政治を、沖縄はしっかりと学びとって糧にすべきです。

沖縄からひとりのカストロ、出よ、と願います。

貴兄とはいつか島酒をくみかわしたいものです。

■写真 名護市役所の漆喰シーサー

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ドイツの脱原発は隣の家の青い芝(2) 再エネ用送電網建設に約7兆円!

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プライドが高いドイツ人は認めようとしませんが、ドイツの脱原発政策の失敗は、脱原発と再生可能エネルギーをくっつけてしまったことです。

原子力の危険性と、代替エネルギーの選択は本来は別次元なのですから、もっと冷徹な視点で考えればよかったのです。

もし、ドイツが再生可能エネルギーという癖のある電源にFIT(全量固定買い入れ制度)の補助金だけで累積23兆もの税金を投入するなどという深入りをしなければ、とうに今以上の原発を削減できたはずです。

これだけ税金を湯水のように注ぎ込めば、再生可能エネルギーの比率が16%(07年)から22%(12年)にもなろうというもんですよ。

よく再エネ派の皆さんが、「22%にもなったぞ。原発の代替になっている」とドヤ顔で言うのを聞くと、「じゃあ、わが国も真似して22兆投入しますか?」と聞き返したくなります。

ちなみにドイツの目標は2050年に60%にまで引き上げるそうです。まぁどうぞ、よそさんの国の事ですからご勝手に。ただ、わが国のバカな政治家がマネして欲しくないだけです。

余計なお世話ですが、ギリシヤ、スペイン、ポルトガル、アイルランド、そしてとうとう主要国イタリアなどのEU諸国が財政破綻し、ドイツは彼らに緊縮財政を強いているわけですが、今後も自国だけこんな大盤振る舞いができるのでしょうか。

実はドイツ自身も均衡財政主義に基づいて公共事業を削減しまくった挙げ句が、アウトバーンもベルリン市内の道路さえもガタガタになっています。

自国の道路という根幹的公共インフラのメンテナンスまで放り出して、こんな再生可能エネルギーなどという不要不急の「道楽」(失礼)じみたことに財布を叩いていていいんでしょうか。

代替エネルギーを常識的に天然ガスにしておけば、2013年には米国のシェールガスに危機感を抱いたロシアが天然ガス供給価格の引き下げに合意していますから、ドイツの天然ガス供給事情はぐっと楽になったのにね。残念。

さて、脱原発政策は、当初政府が予想もしなかったもうひとつの大問題を引き起こしました。 

このFITの大出血だけにとどまらず、別の大出血か待ち構えていたのです。それは送電線不足です。それもハンパではなく、えんえん長大に。

ドイツは太陽光と共に風力を主力再エネに位置づけていました。

むしろスペインなどのようにカンカン照りの土地と違って、寒冷なドイツには風力が適していると思っていたはずです。

となると、風が強く、地価が安い風力発電適地は北海沿岸のドイツ北部なのですが、地元では電力消費があいにく少ししかありません。

使うのは圧倒的に南部BMWの本社などがあるバイエルンなどの工業地帯です。 (BMWのBはバイエルの頭文字です)

となると、北部から工業地帯のある南部まで実に延々900キロ超、延べ1800キロ超の送電網を敷く必要が出てしまいました。

わが国に置き換えると、本州は縦断すると約2000キロですから、青森から山口まで送電線を敷くハメになったということです。

今までのドイツの送電網は、こんな遠距離で送電する必要はありませんでした。それはヨーロッパが電力広域連携を持っているからです。  

下図で色分けされているのがヨーロッパ広域電力連携ブロックです。レモンイエローがドイツが加わっている広域連携UCTE1です。
(下図参照)

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           (図 山口作太郎氏・石原範之氏論文による)

ドイツはこのヨーロッパ広域連携UCTE1の中で電力の売り買いをしていました。

ですから、風力発電などの新規建設しなければ、いままでは自国内部の縦断する大規模送電網を敷く必要がなかったのです。 

ところが、ドイツは自分の国だけで「勝手に」脱原発してしまったために、再生可能エネルギーは自分の国でまず消費する必要が出ました。

そこで再生可能エネルギーのバックエンド問題が浮上したのです。

再生可能エネルギーのバックエンドは、発電そのもののコスト以外の、火力発電所によるバックアップ電源コスト発電所建設コスト、そして送電網インフラなどにかかるコストのことです。

2009年にドイツ政府は、「送電網拡充法」を立てて、再生可能エネルギーに必要な送電網をリストアップして、それを最優先で建設する計画をたてました。

計画では実に1807キロにも及び、かかる費用は570億ユーロ(1ユーロ=118円換算で6兆7260億円)という莫大なものです。

いままでFITで累積23兆円使っていますから、これと合わせて実に約30兆円です。

ですから、これだけの財政支出をしてなお「22%しか」達成されていないのです。

「2050年に60%」という目標が、立案者たちのメンツだけの空論かお分かりいただけるかと思います。

このように再生可能エネルギーを一国単位の基幹エネルギーとするには厖大なカネがかかるのです。

こういうことをいっさい無視して、「原発の替わりに再エネだ」と言える人は幸いなるかなです。Photo

                    (「脱原発を決めたドイツの挑戦」熊谷徹より)

■写真 バラのブラック・ジェイド種です。別に枯れているわけではなくこれがまんまの色です。びっくりしました。

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私が原子力を呪いつつ脱原発派と一線を画した理由

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こうして、今まで自分が2年半の間に書いてきた原発と放射能に関する数多い記事を整理していると、やはり感慨めいたものが浮かんできます。 

2011年3月11日から4日間、私たちの地域は大停電になっていました。 

かろうじて生き残ったラジオだけで、東北の惨状と、福島事故があったことを知りましたが、実はそのときには既に私たちの頭上を放射能雲が音もなく、目にも見えず通過していたのです。 

それからのことは、多くの茨城、福島の農民たちの血を吐くような経験とまったく同じです。 

市場に農産物を出しても突き返され、茨城と付くだけで見られるあの蔑んだような視線が突き刺さるようでした。 

大量の牛乳は土に流され、卵は割られ、野菜はトラクターで踏みつぶされました。 何人かの農家が自殺しました。

行政は無力であり、無作為の上に無作為を重ねていきました。まるで、今だけ頭を出さなければ無事であるかのように。 

私は、この土地に起きた事実を知るために農業者グループで放射能測定運動を始めました。その時の、村のなんとも言えない圧迫感を思い出します。 

・・・余計なことをするな。変な数字が出たら村内に迷惑がかかるぞ。 

このような村の空気とは別に、街では放射能パニックが起きていました。

これは当初は民主党政権の情報の出し方の失敗によるものでしたが、後には人為的で悪意に満ちたものに変わっていきます。 

ある大学教授はテレビで、「福島の野菜を食べたら死ぬ」とまで言い、別の学者は「放射能で死ぬようなものを出荷する農家は作為のテロリストだ」と叫ぶのです。 

そしてその煽動に乗った実に多くの消費者が、福島、茨城と名がつくだけで、手に触れただけで「放射能が染る」とまで忌避しました。

まるで「ピカの毒が染る」と被爆者を家から追い出した「はだしのゲン」の親戚のように。

知らぬうちにこの「被曝地」に生きて生産しようとするだけで、私達農民はパブリック・エネミー扱いされていたわけです。 

私の唯一の武器であるこのブログにも、読むに堪えないコメントが大量に書き込まれるようになりました。 

私がただ冷静になってほしい、風評に踊らされないでくれと書いただけて、「原子力村の犬」「東電からいくらもらった」とまで言われる始末です。 

そしてそのような街の人々は、自らを「脱原発派市民」と名乗り、楽しげにサンバホイッスルを吹き鳴らしながら徒党を組んで首相官邸周辺を躍り狂っていました。

脱原発を言うなら、もっとも多大な被害を受けて苦しんでいるいる「被曝地」の人々、なかでも生活と生産共に破壊された農業者、漁業者たちと向き合わないでどうする、と思いました。

ところが彼らの一部は自らははるかに離れた安全地帯にいながら、「東日本は終わった」「お待たせしました。福島で奇形が出た」「40万人がガンになる」と、むしろ嬉しげに叫ぶのです。

あたかも私たち「被爆地」の人間が、ガンや奇形を待つ実験動物であるかのように。

いまでも、これらの言説を吐いた人間たちを私は許していません。たぶん一生許さないでしょう。

放射性瓦礫でもない陸前高田の松板を大文字焼きで焼くという善意の運動に、まさに「ピカが移る」とばかりに反対し、果ては震災被災地の瓦礫を「実力阻止する」と叫ぶ過激派も出る有り様です。

沖縄まで逃げた「自主避難者」の一部は、東北からの南国沖縄の子供たちへの雪の贈り物にすら唾しました。

あるいは、内部被曝が怖いと、計測限界値5ベクレルですらダメだと言い出しました。

そのような「消費者の声」に媚びるように、国の100ベクレル基準値引き下げはなんの役にもたたず、むしろ大手量販は勝手に自主基準値を50ベクレルに切り下げ、有機農業関係流通にいたってはさらに20ベクレルにまで落とす競争を始める始末です。

自然放射能を含みゼロなどということはありえないにもかかわらず、ゼロベクレルでないと承知しないと言うのです。

そして内部被曝は1ベクレルでもガンになると触れ回りました。

チェりノブイリ事故の後のベラルーシですら13年かけてやった基準値引き下げを、わずか1年間でやれと私たちに言う、その神経が私には理解できませんでした。

ある脱原発派を名乗る人間は私に向って、「あんたらが農業を止めるのがいちばんの復興支援だ」とまで言い放ちました。

言うまでもなく、このような人ばかりではないのはよく知っているつもりです。

多くの脱原発を支持する良識的な人たちが福島に心を寄せて、地道な支援を続けているのは十分承知しています。

しかし、総体としてみれば、「声の大きい少数派」が運動を牛耳っているように私には見えました。

そういえば、その頃から、脱原発運動に左翼政党と過激派が公然と姿を現すようになります。

私は、それ以来、私自身も原子力を人一倍呪いつつも、この人たちとは一緒になにかできることはないと思うようになっていました。 

脱原発という目的が正しくとも、あの人たちにはそれをなし遂げるのは無理だと思いました。

この人たちがやっているのは、脱原発に姿を借りた「被曝地」差別運動、あるいは単なる反政府運動です。

その中で、ひとりの農業者としていままでやってきたあたりまえの営為である「耕やす」ということが、科学的にも最善の放射性物質対策だと分かってきました。

土は放射性物質を吸着し、封じ込める力を持っているのです。

そんなことは当時誰も言っていなかったし、N先生などのごく一部の研究者が実際の福島の田畑を計測する中で唱え始めていたことです。

耕すことが、農業者にとっての放射能との最大の戦いになるということがわかってから、私は必要以上に恐怖するのを止めました。

そうなんだ、特別のことをするのではなく、今までやってきたことをしっかりと見つめて変えるべき点は変えていくこと、それがこの最悪の時期に大事なんだと気がつきました。

それ以来、私は、一般の脱原発の流行の論説を検証し、納得がいくまで自分で考えてみようと思うようになりました。

このような中で、もはやイデオロギーと化している脱原発=再生可能エネルギー=FIT・電力自由化という三段論法を自分なりに考え直してみようと思い立ったのです。

それを通して、私なりの原子力からの離脱への方途を探って行きたいと考えました。

正直に言って私のような脱原発を目指しながらも、現実的な途を考えていこうというブロッガーはほとんどいない状況です。

様々な研究成果を取り入れて、実証的に論理構築をしている者はだんだん減っていっているのが現実です。 

今私が考えているの脱原発案をおおざっぱに言えば このようになります。 

①規制委員会の厳しい審査に通った数少ない原発を当面維持し、現在のエネルギー危機から脱する。 

②核廃棄物は暫定保管により、核変換技術の完成までのモラトリアム期間を稼せぐ。 

③核リサイクル施設構想は見直す。 

④代替エネルギーは天然ガス(特にコンバインドサイクル)を主力とし、メタンハイドレートなどの新エネルギー源に大規模予算を投じる。 

⑤再生可能エネルギーは、FIT制度を廃止し、健全な競争環境を作る。 

おそらくこの案は、原発ゼロを即時実行するべきだという人には日和見的に写るはずですし、逆に全面再稼働を唱える人には猛反対を受けるでしょう。 

特に核リサイクルを私は否定しましたが、これが、今後の争点になるはずです。 

このようにひとつひとつに難題が山積しているはずですが、すっきりとした解決などない以上、そのつど壁に頭をぶつけるようにして前進するしかありません。 

「原発ゼロ」とだけ言っていればいい段階は過ぎました。国民的知恵を結集してもっともいい道を考えていく時期なのです。

大震災以前からおつきあいいただいている読者の方のなかには、何回同じテーマを蒸し返しているのだとうんざりされておられる方も多いと思います。

そのような古い読者の方々には申し訳ないのですが、このテーマは何度となく書き換えながら持続していくものだと堅く思っている次第です。

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週末写真館 空路

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広島に所要があって帰りの空路で撮りました。羽田です。

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ドイツの脱原発は隣の家の青い芝(1) ドイツは低品位石炭火力大国だった

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ドイツの脱原発に対する「美しい誤解」があります。

それは我が国が福島第1原発事故を起こしながら、脱原発に踏み切れなかったのに対して、ドイツは倫理委員会を開いて原発ゼロを決めたからスゴイというものです。

そこまでは間違いではないのですが、そこからいきなり原発がゼロになったと飛躍して理解しまう人が絶えません。

現在ドイツで稼働している原発は8基
ブロクドルフ、エムスラント、クローンデ、グラーフェンラインフェルト、フィリップスブルク第 2、 イザール第 2、グルントレミンゲン B、グルントレミンゲンCの各原発です。

よく勘違いされているように脱原発政策で、原発をゼロにしたわけではなく、停止中の再稼働を認めなかったのです。そのあたりは我が国と同じです。

むしろドイツ電力需要の全体の6分の1(約17%)程度はいまだ原子力で、その比率は3.11前の日本の32%(10年12月)の半分ていどに止まっています。(マティアス・クルト前ドイツ連邦ネットワーク庁長官による)

似ていると言えば、エネルギー比率も似ていなくもありません。2012年時のドイツの電源比率は化石燃料に70%依存しています。

あながち皮肉というわけはありませんが、ドイツはイメージ作りがうまい国だなと妙な感心をしてしまいます。

ドイツは石炭火力が主力の国だ。原発も16%残っているぞ」と正直に言うとなんだということになりますが、「原発ゼロを目指して、再生可能エネルギーに邁進するエコ大国だ」と言い直せば、実にカッコイイ。別にウソは言っていませんからね(苦笑)。

というわけで、その火力のうち石炭が42%を占めています。しかも石炭の火力の内訳は、質の悪い硫黄分が多い国産褐炭火力(発電出力22.4GW)で、石炭火力(同29.0GW)と同じくらいの比率です。

ちなみに日本の石炭依存度は16.8%(01年)で、空気汚染対策は世界最高峰の水準にあります。

この辺のことをアピールしないで、「いまだ再生可能エネルギー1.6%にすぎないエコ後進国」、という妙に卑下した自己認識を持っているのがわが国です。

私に言わせれば、再生可能エネルギーが多いからといって別に環境大国ではないんですがね。

中国なんか硫黄分の多い低品質石炭と排ガスで金星のようなスモッグの底に沈んでいますが、世界有数の太陽光発電の国であるのは確かですから、ドイツ流に「再生可能エネルギー大国の中国はエコ大国だ」と宣伝して下さい(爆笑)。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-6a5b.html
       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-819f.html

それはさておき、こんなに石炭に強依存してしまうのは、ドイツが国内の雇用政策として長年に渡って国内炭鉱を維持してきたためで、強みでもあり弱みでもあります。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-5189.html

さて、2011年6月9日のメルケル首相演説は、「2022年までに全ての原子力を停止する」とした脱原発部分だけが抜き出して日本では報道されてしまいましたが、火力発電所の増設送電網増強も述べています。

メルケル演説の骨子はこんなかんじです。
(「ドイツ電力事情」国際環境経済研究所主任研究員 竹内純子氏による)

①供給不安をなくすために2020年までに少なくとも1000万kWの火力発電所を建設(できれば2000万)すること。

②再生可能エネルギーを2020年までに35%にまで増加させること。但し、その負担額は3.5セント/kWh以下に抑えること(*しかしこれが2013年には約5セントに上がることが発表され国民の不満が増大している)

③太陽光や風力発電などの変動電力増加に伴う不安防止のため、約800キロの送電網建設すること。

④2020年までに電力消費を10%削減して注目の再生可能エネルギーは、設備容量ベースで20%前後(※統計年によって違う)にする。

このようにメルケル首相は、火力発電の増設と送電網の増設、節電などをワンセットで述べています。

ただし、ご注意いただきたいのは「2020年までに再生可能エネルギーを35%にする」という中身です。

これはあくまで設備容量ベースなのです。これが他のエネルギー源と違う点です。

この「設備容量ベース」カウントは、再生可能エネルギーに対しての「美しい誤解」、悪く言えばトリックを呼ぶ原因になっているからです。

このブログとおつきあいいただいた方には、もうお分かりだと思いますが、この設備容量ベースというのは、「条件さえよければ、これだけ発電できますよ」という理論的可能性の数字です。

再生可能エネルギー以外だと、故障とか定期点検で停止しているとかの特殊事情がなければ、設備容量ベース=発電量ですが、再生可能エネルギーではまったく違うのです。

風が吹かねばプロペラは回らず、曇りや雨だと太陽光発電はただの箱だからです。

ですから、再生可能エネルギーでは設備容量に稼働率をかけたものが実発電量となります。ややっこしいですね。

ドイツの再生可能エネルギーの稼働率の実数値は
・太陽光発電平均稼働率・・・10.4%
・風力発電         ・・・23.4%

だいたい平均して、再生可能エネルギーの稼働率は10~20%前後程度だと推測されます。ですからよくメガソーラー発電所などと言っても、実は10分の1メガソーラーなのです。

ドイツのように長年に渡って莫大な国家財政を注ぎこんで再生可能エネルギーを育成しても、天候という現実の壁があるということは知っておいたほうがいいでしょう。

ところがこの「現実の壁」は、単に天候だけではありませんでした。

現実に大々的に国家レベルで再生可能エネルギーを導入するとなるとバックアップの火力発電所が悲鳴を上げ、工場は瞬間停電に日々備えなくてはならなくなりました。

「なんだたかが瞬間」なのかと甘く見てはダメです。今のコンピータ制御の工場システムは、ミリ何秒単位の瞬間停電で製造工程がストップして、ひどい時はオシャカの山を築いてしまいます。

その原因は、再生可能エネルギーが、昨日の発電量グラフの4番目のように慌ただしく変化する場合、バックアップ電源とのリレーがうまくいかずミリ秒(千分の1秒)単位の停電を引き起こしてしまうからです。

ドイツの「シュピーゲル」誌はこう述べています。
ドイツ産業エネルギー企業 (VIK) の調査では、過去3年間にドイツの電力網の短い中断の回数は 29 %です」。

そのためにドイツから逃げ出す製造業がじりじりと増え始めました。工場が外国に移転するというのは雇用がなくなるということですから大問題です。

ドイツ商工会議所のアンケートでは、60%の企業が瞬間停電や電圧変動などを恐れていると回答し、電力供給の不安定さからドイツ国外へ工場移転した企業がすでに9%、さらに移転計画中が6%ほどあるということです。

BMWの新工場もメキシコか東欧に作る予定のようですが、販路戦略との関わりも大きいといえども、このドイツ国内の頻繁に起きる瞬間停電に嫌気が差したのかもしれません。

こんな犠牲を払いながらドイツは脱原発=再生可能エネルギーという「理想」のために、火力発電所と送電網の大増設を始めたわけです。

これを本来する必要のなかった努力になるのか、あるいは人類史的実験になるのかの結論はまだ出ていません。


※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-4e06.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/jaxa-a7dd.html

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ドイツ型脱原発政策の落とし穴

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もし、日本でドイツ型脱原発をすればどうなるのか、それは今のドイツをみればわかってきます。

ここで私が言うドイツ型脱原発というのはこの3点セットのことです。

原発の急進的削減
代替エネルギーとして再生可能エネルギーを位置づける
③太陽光発電に偏ったFIT制度(フィード・イン・タリフ 固定価格全量買取制度)の導入
 

これにもうひとつ加えれば、発送電分離=電力自由化がつきます。

わが国では①はかつての菅政権によって全面停止状態です。 

②、③のいずれも菅政権が政府既定方針として定めたままになっています。政権は替わり変わりましたが、簡単に政府決定を変更するのは難しいようです。 

つまりは、わが国も事実上ドイツの脱原発政策をコピーしているといっていいのです。

いやコピーどころかドイツはいまだ8基稼働中ですので、ドイツ以上の急進的脱原発政策を遂行中なのかもしれませんが。

さて、ドイツのFIT(ドイツ名EEG)についてNHK特集「揺れるドイツ自然エネルギー政策」(12年8月21日放映)は真正面からドイツの現状をリポートしています。 

いままで、マスコミは手放しでドイツやスペインの事例を礼賛に近い口調で報じてきました。 

いわく、「ドイツでは太陽光発電を個人住宅に大胆に導入した結果、こんなに電気料金が安くなった」、「ドイツでは屋根に設置した太陽光パネルで電気を売って脱原発をしながらお金を稼いでいる」、「もうヨーロッパでは20%を越えて原発はいらないと言われている」、ウンヌン。 

そしてお約束の、「それにつけても福島第1原発の事故が起きながら遅れているわが国は情けない」という嘆き節が続きます。

日本特有の「進んだドイツ、遅れた日本という図式が、このようなエネルギー問題にまで顔をのぞかせています。

本当にドイツはそんなに脱原発のパラダイスなのでしょうか?実情は、いままでこのブログで何度か書いてきたようにまったく違います。 

ドイツ再生可能エネルギー法(EEG)では、再生可能エネルギーが通常の電気買い取り価格よりケタ違いに高く買われてきました。

特に、太陽光発電は群を抜いて高い買い上げ価格が設定されました。 

これは高い固定価格だけではなく、いったん設定された価格を20年間の長期にわたって固定して全量買い上げるというプレミアムまでついています。

ということは、20年間電気料金は下がらないわけです。 

そして電気が予定よりできようとできまいと、仮にできた電気が周波数が狂ったものであろうと全量買い取るというのですから凄まじい制度を作ったものです。 

しかも毎年買い取り価格は下がっていきましたから、高い期間につけなきゃソンソンとばかりに我も我もと殺到したわけです。これがドイツやスペインの太陽光バブルです。

この中には地雷がたくさん隠されていました。ひとつは税金投入して買い支えているわけですから政府の予想を超える太陽光バブルに財政負担がショートしました。

NHK特集でも、「再生可能エネルギー全体のわずか15%でしかない太陽光発電に、電気利用負担者の負担金の5割にあたる7640億円が使われている」ことが報じられています。

また番組の中では短期的利益を狙う投資家たちが大量参入したことも描かれています。

番組では詳細はありませんでしたが、ひとつは投機的資金のメガソーラーなどへの参入と、もうひとつは市民の屋根にパネルをローンで設備を設置させ、売れた電気の収益の一部を渡すという商法です。

この方法が普及してしまったために、本来は買うことができない太陽光パネルを自宅に設置する低所得者層が急増しました。

一種の太陽光版サブプライムローンです。これがEEGの破綻とともにどのようになるのか心配されています。

EEGの再可能エネルギー買取費用の総額は、1年間で160億ユーロ=1.6兆円、2031年段階で1500億ユーロ=15兆円と予測されていますが、これも5割増にまでなると予測されていますからハンパではありません。

次に、低所得者層だろうと富裕層だろうと均等にそれを税金や電気料金上乗せの形で平等に負担しているために、現在では電気料金への上乗せ金額は1kwhあたりで3.6ユーロセントに値上がりしました。

これは火力発発電のコストの優に10倍ちかい数字です。これを知った低所得者層は高価な太陽光パネルを自分たちが設置することが難しいが、富裕層は設置できて儲けている、その上に税金負担か一緒とはおかしいじゃないか怒り始めました。

EEGは低所得者も富裕層も均等に広く薄く負担するという点で消費税に似ているといわれています。

しかし、一点違うのは、消費税は確かに低所得者にもかけられますが、徴収した後に社会保障という形でとりすぎた分を返還する逆進制がとられています。 

しかし、EEGにはそれがないために貧富の格差を拡げる悪平等な制度となっています。

ヨーロッパでは電力貧困層といって、高額になりすぎた電気料金を支払えない層が多く出てしまいました。

ドイツでは、とうとう80万所帯もの大量の「電力貧困層」さえ生まれてしまったのは、ご存じのとおりです。

ドイツの平均的な所帯の電気代は年間225ユーロ(2万6550円)増加し、来年には300ユーロ(3万5400円)にもなってしまいました。 

特に低所得者層への影響は大きく80万所帯が電気代の滞納をし、電気を止められそうになっています。

ドイツ連邦環境庁のフラスバート長官はコメントで、「エネルギー政策の転換によって生じるコストは、公正に分担されなければならない」、「過剰な電力料金が貧困者を生み出すような事態になってはならない。支払い能力のない消費者に対しては国が補助金を出すべき」だと制度の修正の考えを発言しています。

一方、電気料金がストレートに経営に跳ね返ってくる製造業者は死活問題であって、違憲だとして提訴しました。

ドイツの紡績会社では、電気料金の上昇か従業員一人あたりに換算すると年間5000ユーロ(50万円)の負担増になっている会社もあり、このままでは従業員の人件費をカットするしかないところまで追い詰められる会社が増えていきました。

繊維衣料品産業連盟のバウマン代表は、「エネルギー転換によって生じるコストは雪だるま式に膨れ上がる恐れがあり、計り知れない」として、再生可能エネルギーの助成金のために生じるEEGの分担金は違憲であるとの見解を表明し、提訴に踏み切りました。

しかもこれが国内のグリーン産業を育成するためなら我慢もできるでしょうし、国内での競争で切磋琢磨も可能でしょう。

ところが競合相手は中国製でした。中国は自ら赤字覚悟のダンピング的雪崩的輸出をおこなったために、ドイツQセルズの世界一シェアは瞬く間に瓦解し倒産に追い込まれてしまいました。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-2.html

このドイツの太陽光パネルの市場動向わかるのは、ひとつには新興国のダンピング攻勢による国内産業への圧迫であり、今ひとつはこのような市場状況ではとうていイノベーション(技術革新)が起きる余地がないことです。

EEGは初期初期投資者のみが優遇される制度的特徴があるために、いかに早く参入し、いかに安く発電コストを抑えるのかが重要になります。

これではじっくりと中長期を考えた投資や、イノべーションが入り込む余地がありませんドイツは明らかに脱原発の入り口戦略を誤ったのです。

今、ドイツはユーロ安を起爆剤にして輸出攻勢を強めています。しかし、足元の国内では電力不安と電気価格高が恒常化したために、自動車産業のように外国に製造拠点を移転するところが増えていっています。

このドイツ再生可能エネルギー法(EEG)のコピーが日本における再生可能エネルギー法です。民主党政権瓦解の後は批判的検討が加えられるでしょうが、このような悪制度は1年間限りで廃止すべきです。

仮に廃止したとしても1年間分の初期参入者は20年間も権利が守られるのですから、なんともかとも・・・。

ドイツの失敗を見て感じるのは、脱原発=再生可能エネルギーではないことです。たしかに、脱原発の途も再生可能エネルギーの増加も間違いではありません。

しかし、再生可能エネルギーはその選択肢のひとつでしかないのです。

脱原発の入り口戦略を読み間違えると、社会的な混乱と生産部門の大混乱を引き起こし、国民の生活と雇用を直撃します。

そしてその社会的怒りは、ドイツのように脱原発という目標そのものに向けられます。

ドイツの失敗を見ると、脱原発を再生可能エネルギーと必要以上に結びつけて主張することは脱原発の意味からも危険だと思わざるを得ません。

それは思考の自由を奪い、選択の幅を縮め、硬直した政策しか生まないからです。

再生可能エネルギーに対して批判的なことを言うだけで、脊椎反射的に「原発の危険性を無視するのか」と返してくる者が後を断ちませんが、どうしてこの二者を強引に接着するのか理解に苦しみます。

原発が危険を内包しているというのは3.11以後あたりまえの認識で、再エネを批判するたびに「原発の危険を忘れたのか」とすごまれても困ります。

脱原発にはさまざまな方法があり、達成のためには相応の時間がかかることを覚悟しなければなりません。

今は危険をアッピールする時期ではなく、具体的に「原発ゼロ」社会を冷静に論じ合う段階なのです。

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小泉元首相の勘違い脱原発論その3 再生可能エネルギーは国家的代替エネルギーにはなれない

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小泉さんの脱原発論は、私も脱原発は支持していますから悪いとはいいませんが、その方法論が「通俗的」脱原発論の域を抜けていないのはどうしたことでしょうか。 

小泉さんはこう言っています。

「今こそ原発をゼロにするという方針を政府・自民党が出せば一気に雰囲気は盛り上がる。そうすると、官民共同で世界に例のない、原発に依存しない、自然を資源にした循環型社会をつくる夢に向かって、この国は結束できる。 」(ハフィントンポスト 10月2日

私が「通俗的」と評したのは、セットメニューよろしく、「脱原発」を達成するためには、再生可能エネルギーと電力自由化がまるで常識のように方法論として語られているからです。 

実はこの三つは本来、なんの関係もない別次元のテーマなのです。 

再生可能エネルギーは、もっとも古典的なエネルギー源として古くからありました。 

中世にはほぼ今の原型を完成させていますが、産業革命で大部分はすたれつつも、地域にしぶとくしがみついて生き抜いてきました。 

それが改めて再注目されたのは、1979年のスリーマイル島事故以後の脱原発運動の盛り上がりからです。 

当時は反原発運動といっていましたが、若き日の私もその一翼を担っていました。 

この中で再生可能エネルギー、当時の言い方では「市民エネルギー」という言い方を好んで使っていましたっけね。 

その言葉のニュアンスどおり市民が、「裏庭で自分の家のエネルギーくらいは作ってみせる。その分原発はいらないんだぜ」という気持ちが込められていました。 

飯田哲也氏の初期の本には、1986年のチェルノブイリ原発事故以後のスウェーデンで同じような、地域で市民が知恵と金を出し合って風車を建てていくエネルギー・デモクラシーの様子が描かれています。 

世界中で私たちのように、市民が日曜大工で怪しげな「エネルギー発生装置」を作ったり、市民ファンドで風車を作っていたのです。 

さて、言うまでもなくこのようなある意味牧歌的な再生可能エネルギーは、今では「神代の時代」の昔語りにすぎません。 

なぜなら、今や脱原発運動は、裏庭どころか再生可能エネルギーを社会全体の代替エネルギーと位置づけてしまったからです。 

結論から言いましょう。私はそれは不可能だと思います。

再生可能エネルギーは元々そのような近代工業国家規模のエネルギー源ではなく、地域の生活や生産に密着した「もうひとつのエネルギー源」でしかないからです。

発電規模が違う再生可能エネルギーを「飛躍」させようとすれば、必ず別の矛盾を引き起こします。

それは反原発運動の意識の延長で国家規模の、しかも世界で屈指の工業技術国の代替エネルギーを再生可能エネルギーに据えてしまったドイツの経験が物語っています。 

ドイツではいくら優遇策であるFIT(全量・固定価格買い上げ制度)に厖大な金をつぎ込んでも再生可能エネルギーは07年時点で最大で16%にしか伸びませんでした。 (下図参照)

ちなみにその内訳は、風力発電が4割、バイオマスが3割、水力が2割、太陽光が1割未満です。

驚かされるのは、太陽光は再生可能エネルギーの代表選手のように思われているものの、実は全エネルギー源の0.2~0.4%(2010年現在)にすぎないことです。Photo_2

一方、ドイツは原発を暫時停止(完全停止していません)することによって低品質の硫黄酸化物の多い国内石炭火力発電が49%にも増えてしまいました。 

皮肉なことには脱原発政策によって化石燃料シフトが起きてしまったのです。 これによってドイツの炭酸ガス排出量は一挙に増えています。

特に2008年からの2年間の二酸化炭素の排出量の増加は危険視されています。脱原発よって環境が確実に悪化したのです。 

2009年の国連気象変動サミットにおいて、鳩山元首相が国際公約してしまった1990年比で2020年までに25%温室効果ガスを削減するという目標には、あと8年しかありませんが、原子力発電なくしてどのようにするのかはまったく不透明です。
(*CO2削減率問題については過去ログをご覧ください。)
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-a3c7.html

それ以前の1990年に8%削減という政府目標を立てた時ですら、そのために原発を9基増設し、当時60%台だった稼働率を一挙に81%にまで引き上げ、太陽光も20倍にする、と試算されていました。

また、2009年時点で、政府は電力に占める原子力の割合を当時の30%から2030年には50%にまで引き上げる計画を立てていました。

とうぜんのこととして、それらの計画は3.11以後、完全に白紙になりました。

ここで、ではどうやったら原子力なしでCO2削減ができるのか、という問題に直面せねばならなくなったわけです。

当座の間、新エネルギーで現実的に供給体制に入っているものはありません。存在するのは、唯一化石燃料のみです。

実際、止まっている原発の代わりとなる電力は、今まで稼働を止めていた旧型火力発電所を再稼働したものによって補われています。

発送電実績をみればそれは明瞭です。事故前の2010年11月時点で原発は230億キロワット時を発電し、電力需要の30%を超えて供給していました。

それが事故後の2011年11月には70億キロワット時と3分の1以下に減少し、10%を切りました。それが現在2012年5月時点ではゼロです。

では、火力発電の増加ぶりを見ましょう。2011年11月時点で、363億キロワット時であったものが、493億キロワット時と35%増大し、今や電気供給量の実に68%を占めるまでになっています。

脱原発の世論の流れによって、皮肉にも日本は今や約7割を化石燃料に依存するCO2大国に生まれ変わってしまったと言っていいでしょう。

この状況が続くのならば、1990年比25%削減など夢のまた夢であって、大量の排出権購入を考えない限り、わが国は外国に排出権購入で膨大な富をむしりとられ続けることになります。

つまり、原子力をゼロにする環境問題解決を実現すれば、片方の地球温暖化阻止というもうひとつの環境問題を犠牲にせざるをえないパラドックスが現実のものとなったわけです。

では、この原発停止分を再生可能エネルギーで補完できるのでしょうか。

残念ながら、再生可能エネルギーには、その力はありません。たとえば、世界で最大のメガソーラー発電所はどこか知っていますか?

それは米国のモハベ砂漠で計画されている40万キロワットなのですが、この稼働率は砂漠なのにもかかわらず2割ていどなので実質10万キロワット程度の発電能力しかありません。

これは通常サイズの天然ガス・コンバインドサイクル火力発電所1系列の4分の1ていどでしかありません。

原発と比較するのは気が進まないのですが、あえてしておけば超巨大メガソーラーとて新鋭火力発電所1基の10分の1ていどの能力しかないのです。

これではジャンボジェットのエンジン1基分も出力できません。しかもそれは瞬間最大出力時であり、朝や夕方、曇りや雨ではほとんど発電しません 

そして太陽光は既に発電転換率の理論的限界値まで達してしまっているため、今後の伸び白がありません。 

つまり、太陽光発電はいかに脆弱な電源かと言うことです。私は太陽光は原発の代替ネルギーとしてはもっとも不適格だと思っています。

今脱原発運動の中で、過剰な太陽光発電へのムード的期待が作られていますが、私はほどほどにしておいたほうがいいと老婆心ながら思います。

このような再生可能エネルギーの宿命的欠陥を見ずに、それが拡大しないのはみんな社会制度が悪いんや、という逆切れをした人がいました。飯田哲也氏です。

この飯田氏が提唱したのは、発送電分離でした。長くなりましたので発送電分離問題は別の機会にします。 

■写真 広島原爆ドーム 。原子力の最悪の使用は、このドーム上空500メートルで炸裂しました。

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小泉元首相の勘違い脱原発論その2 暫定保管という知恵

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小泉さんの脱原発論は、核の最終処分という原発政策の最大の弱点を突いている点は、さすが稀代の勝負師だと思いました。

小泉さんは、原発の再稼働をしないというだけが処方箋だと考えているようですが、果たしてそうでしょうか。

原発は現時点で止めても、数万トンに及ぶ核廃棄物は残ったままです。確かにこれ以上増やさないということはできますが、抜本的解決にはつながりません。

結局、この最終処分問題を避けて通れないのです。

では、いままで小泉内閣も含めて政府がどうしていたのかと言えば、一言で言えば、「処分地を探すふりをしていた」のです。 

認可法人「原子力環境整備機構」(NUMO)という組織が、最終処分地に適した場所を探すというふれこみで、なにか「やっているふり」をしていたのです。 

最終処分地はおろか調査候補地すらないことはわかりきった話で、ある財政難の小さな自治体が村長の独断で応募したところ、発覚して村を上げての大騒ぎになりました。 

ですから、このナンジャラ機構とやらは、なにも仕事がないのです。しかし、このようなナンジャラ機構があるというだけで、経済産業省は、国会での言い訳が出来たというバカバカしい一席しです。 

原子力村にはこの手のなにもしないが、あるだけで言い訳の材料となるという組織がゴマンとあります。いずれも役人どもの天下り先です。

地層処分する技術はいちおう「確立」されています。下図のような4重もの天然、自然バリアーで封印します。(図Wikipedia クリックすると大きくなります)

実験施設としては幌延深地層研究センター、瑞浪超深地層研究所があり、地層処分や深部地下環境に関わる研究が実施されています。

ただし、いずれも実験施設であって、現実の処分施設の候補は現れていないのが現実です。というのは問題か「時間」だからです。 

核廃棄物処分はこのようなプロセスで考えられています。 

・[第1段階中間貯蔵施設・・・高レベル放射性廃棄物は、深地層埋設処分される前に、30年から50年間の中間貯蔵される。 

・[第2段階深地層埋設処分・・・埋設地選定・施設建設から数10年から100年間の操業(廃棄物の搬入)された後に、施設はコンクリートで封印されて作業は終了する。 

・[第3段階埋設地周辺の管理・・・埋設地域は長期にわたり継続看視される。 

とまぁ、書けば簡単なのですが、放射性物質は無害化するまで数万年以上の時間がかかります。 

第2段階ていどまではとりえず100年(それでもスゴイですが)ですから、情報の受け渡しは可能でしょう。 

しかし、施設を封印した後の数千年、数万年の保障をできる者などひとりもいません 

仮に1000年としても、わが国など平安時代まで遡り、米国など国自体が存在していませんでした。 

これだけの超長期間、こんなブッソウなものを埋めて果たして大丈夫かということです。これが決定打がないままに徒に時間だけすぎた最大の理由です。 

このような停滞状況を初めて真摯に突破したのが日本学術会議の提言(高レベル放射性廃棄物の処分について(回答) - 日本学術会議)でした。 

おおよその骨子は以下です。 

① 高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策の抜本的見直
② 科学・技術的能力の限界の認識と科学的自律性の確保
暫定保管および総量管理を柱とした政策枠組みの再構築
④ 負担の公平性に対する説得力ある政策決定手続きの必要性
⑤ 討論の場の設置による多段階合意形成の手続きの必要性
⑥ 問題解決には長期的な粘り強い取組みが必要であることへの認識
 

日本学術会議は、いままでの政府が固執してきた地層埋却処分を、到底受け入れられないものをにしがみついて時間を無駄にしたと批判しました。 

その上で、我が国で万年単位で安定した地層を探すのは困難であり、当面は最終処分という迷妄、いや正確に言うなら「言い訳」にしがみついているのではなく、現実を直視して数十年から数百年ていどの「暫定保管」というモラトリアム処分に切り換えることを提案しました。 

日本学術会議の「回答は」こう述べています。 

暫定保管という管理方式は、いきなり最終処分に向かうのではなく、問題の適切な対処方策確立のために、数十年から数百年程度のモラトリアム期間を確保することにその特徴がある。」 

保管終了後の扱いをあらかじめ確定せずに数十年から数百年にわたる保管を念頭に置く。」 

「暫定保管は、回収可能性を備え、他への搬出可能性があるため、そうした可能性が開かれていない最終処分と比較すれば、施設立地にあたって、より説得力ある政策決定手続きをもたらす可能性がある。」 

このように日本学術会議は、このモラトリアム期間に新たな技術進歩があったり、社会的なコンセンサスが取れた場合、いつでもそれを取り出すことができる方式としました。

そしてもう一点きわめて重要な提言もしています。

それは際限なく核のゴミが出続けるのではなく、この暫定保管できる許容量に合わせた核のゴミの排出量を定め、それに合わせて原発発電量を決めるべきであるとしたのです。

いわばフィンランド方式とでもいうのか、入口=発電需要からだけから考えるのではなく、出口=暫定保管量から発電量を決めていくという総量規制の考え方は説得力があります。

安倍首相は、19日の本会議で地層処分について、「20年以上の調査の結果技術的に実現可能と評価されている」と指摘し、「それにもかかわらず処分制度を創設して10年以上を経た現在も処分場選定調査に着手できない現状を真摯に受け止めなければならない。国として処分場選定に向けた取り組みの強化を責任もって進めてゆく」と答弁しました。

いままで曖昧にされ続けてきた地層処理を改めて明解に宣言したものです。

ただし、もし首相がほんとうに「真摯に受け止めて」いるなら、今までのやり方を根本的に改めねばなりません。

つまり暫定モラトリアム保管への移行と、いまや実現が限りなく不可能となった核リサイクル施設の見直しをせねばなりません。

おそらくは、国有地に暫定保管し、数十年の時間を稼ぎながら、その間核変換技術(※)などの消滅処理技術によって半減期を圧縮するなどの方法がとられると思われます。

この核変換技術はわが国での研究は進んでおり、実現可能な技術だと考えられています。これが完成すれば、大幅に保管期間を圧縮できます。

問題はむしろ保管場所でしょうが、この「回答」にもあるように長い時間かけてステークホルダー(利害関係者)との話し合いをする以外方法はないでしょう。

ただ、保管期間が数十年に圧縮された場合は大きく可能性がでるのでは、と思います。

もし、小泉さんがフィンランドから学んでくるなら、この新たな処分方法が完成するまでのモラトリアム期間確保のための保管と、それに合わせた総量規制という2本柱を持ち帰るべきでした。

核変換 人工的に核種変換を起こす技術の事を核変換技術と言う。特に高エネルギーかつ長寿命の放射性核種を含む高レベル放射性廃棄物を、比較的短い時間で低レベルの放射性物質にすることを目指す研究が行われ、消滅処理とも呼ばれていた。

■写真 広島城です。バランスのとれた美しい天守閣でした。原爆で破壊されて再建したものです。

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日経新聞12年8月23日

原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分方法について、日本学術会議が抜本的な見直しを求める提言をまとめたことが23日明らかになった。地中深くに埋設するのではなく、地上や地下に一定期間保管した上で技術開発を進めて、最終処分法を新たに決めるべきだとしている。今後の原子力政策の議論にも影響を与えそうだ。 

 学術会議は24日に報告書を正式決定し、来週にも内閣府の原子力委員会に提出する。原子力委は提言を受け、見直し方法の議論を始める方針。 

 使用済み核燃料を再処理・再利用する核燃料サイクル政策を日本はこれまで推進してきた。それでも処理後に高レベル放射性廃棄物が出るため、数万年にわたって地中深くに埋めて最終処分する計画だった。ただ候補地が決まらず、計画は停滞している。 

 学術会議は廃棄物を「暫定保管」している間に、高レベル廃棄物の毒性を下げる研究などを優先して進めるほうがよいと判断した。 

 原子力委は2010年9月、国民の理解が進まない最終処分法をどう説明すべきかについて、科学者の集まりである学術会議に提言を依頼。ただ、昨年に福島原発事故が起き、学術会議は「現在の枠組みに無理がある」と判断。依頼内容を超えて最終処分のあり方にまで踏み込むことにした。 

 政府は将来の原発依存度などのエネルギー戦略の見直しを進めている。仮に原発依存度をゼロにしても、既に出た高レベル廃棄物の最終処分は不可欠。「核のごみ」問題で事実上行き詰まっていた現行政策を見直すかどうかも今後大きな焦点となる。

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小泉元首相の勘違い脱原発論その1  フィンランドの原子力政策の曲解

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小泉元首相の「脱原発発言」が波紋を拡げているようです。 

言った人が人だからでしょうね。内容的には、よくある脱原発論以上でも以下でもありません。 

あの人、首相時代にも郵貯が財政投融資に入れられているという勘違いに基づいて民営化に突撃してしまい、民営化か必要ないと知っていた竹中平蔵氏に、「一から理屈をつくりあげさせた」りしていました。

郵政解散やった時に言った台詞が、「民間でできることをなぜ税金をかけて公務員がしなきゃならないんです」、でした。

あの、小泉さん、郵政公務員給与は郵政事業から支払われているんで税金は関係ないんですが。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-5925.html
       
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/24-881d.html

と、このように根本的な勘違いしてもキャラで塗り隠してしまうという、恐るべき「ああ勘違い」の人なのです。 

ただ、この人特有のワンフレーズポリティックス(←ああ懐かしい)で連呼されると、妙な説得力があるのは確かで、みんなの党の渡辺、生活の小沢、共産党の志位の各氏、そしてお約束のあのカン氏までもが歓呼の声を上げているとか。(欄外資料1)

自民党内では息子さん以外冷やかな反応ですが、「脱原発」で自民を割って、政界再編したいという生臭い思惑も渡辺、小沢両氏からは漂ってきます。

では小泉さんのご意見を拝聴することとしましょう。

そもそもなぜこんなことを小泉さんが言い出したのかといえば、財界人がフィンランドの核廃棄物最終処分場施設「オンカロ」視察に、よせばいいのに彼を連れていったからです。 

財界人とすれば、このオンカロを見せて、「こんな安定した地層は地震国日本にないのだから、核燃料リサイクル施設を動かして原発再稼働しませんか。ぜひ小泉さん、お力添えを」といった目論見だったのでしょう。 

ところが、政界一のひねくれ者の小泉氏は真逆に暴走してしまいました。面白いお人だな、ほんと。

こういう元首相の「オレは見てきたんだ」という発言は、情報操作トリックでいう権威の利用」というタイプです。

「元首相」という権威と、「見てきた」という2枚のカードで信憑性を高めていて、実際この人かどれだけフィンランドの原子力政策を知っているのか、地層保管の技術に知識があるのか、正しい情報を伝えているのか、を検証しようとしなくなります。

下の発言などお馬鹿タレント並です。

フィンランドには原発が4基しかないが、日本には50基もある。いますぐ止めないと最終処理が難しくなる。」(ハフィントンポスト10月20日 資料2参照)

フィンランドの電力に占める比率は日本より高く、29.6%(日本は3.11以前までは24%前後)ですから、これは23倍の人口を持つわが国に換算すれば92基に相当します。

そもそも人口が532万人のフィンランドでできたから、1億2千万人の人口を持つわが国でもできるだろうといった発想自体が間違っているのです。

これだけ人口が違えば、問題の質も違ってくるのです。そんなことあたりまえじゃないですか。

小泉さん、人生色々、国も色々なんですよ。

小泉さんは典型的な一知半解、というか一知曲解をしています。日本に帰ってきてオンカロやフィンランドの原発事情を多少調べれば、こうも単純な勘違いをしなかったと思うのですが。 

小泉さんは、オンカロとフィンランドの原子力政策の関係を正反対に捉えているのです。 

だいぶ前にオンカロは取り上げていますから、詳しくはそちらをお読みください。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-1f72.html
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-bc12.html 

フィンランドの原発政策が、この国以外すべての国と異なるのは、先に最終処分場を作って、その容量に合わせて原発を作ったことです。

ドイツはニーダーザクセン州ゴアレーベンの岩塩ドームに最終処分場を作る予定でしたが、失敗に終わりました。

米国は、ネバダ州のユッカマウンテンに作るつもりでしたが、これも挫折。

わが国は、受け入れ自治体がないまま宙を漂っています。

オンカロとはフィンランド語で「隠された場所」を意味し、この地下埋却施設の地層はなんと18億年変動していないそうです。

この安定した地層を500m掘って二重のキャスクに入れて保管する計画です。

しかし実はまだオンカロは動いていません。オンカロが操業を開始するのは、7年後の2020年で、そこから貯蔵していって2100年代に満杯にする予定だそうです。

問題はこの80年間の間になにをフィンランドが計画しているかです。80年たったら原発を止めますなどと、フィンランド政府がひとことも言っていないことに注目してください。

フィンランド政府はこの80年間で、核リサイクルの安全な技術が確立されるか、あるいは代替エネルギーが誕生すると考えています。

要するに、いきなり原発を全部止めて自然エネルギー一本でいけるなどとフィンランドはまったく思っていないのです。

ところで、フィンラド人が原子力発電を維持し続ける理由はなんでしょうか。

まず第1に、フィンランド人が原発のリスクより地球温暖化によるリスクが大きいと考えたからです。

フィンランドは寒帯に属する国で、気候変動が起きた場合、北極圏にあるためにオゾン層破壊が、そのまま紫外線の増大とつながってしまうことを恐れています。

新規原発3基を建設することによって国内のCO2の3分の1にあたる3000万トンを削減する計画です。そして2020年までに石炭火力発電所をゼロにする予定です。

第2に、80年代にエネルギー供給の多くをロシアに依存している構造を解消して、エネルギーの安全保障を確立したこともあります。

ロシアは湾ひとつ隔てた巨大な隣国で、常に侵略を受けてきた苦い過去があります。ソ連の侵略を受けた1939年の「冬戦争」は今もフインランド人の魂の中に生き続けています。

ですから、フインランドは「独立」の二字にかけてかつての支配民族ロシアにエネルギーを依存する選択はありえなかったのです。

電力供給をロシアに握られてしまっていては、フィンランドの独立にも関わります。同様の地政学的位置にあるバルト三国や東欧圏も、ロシアの異民族支配を肌身で知っているだけに安易に原発からの離脱の道を選べないのです。

そして第3に、フィンランドは国際競争力世界順位1位2位を争う工業国です。その彼らにとってエネルギー・インフラは教育制度や金融制度と並んで重要な国際競争力の源泉です。

小国でありながら技術立国であり続けるためには原発は必要悪であり、その維持のためには「オンカロ」が許容するだけの放射性廃棄物は認めていこう、そう彼らは考えたわけです。

小泉さん、わが国の火力発電に使う燃料費は今年の試算で3・6兆増加し、アラブの富豪たちに景気よく特大福袋を配りまくっています。

電気料金は関西電力の場合、家庭用で11.88%、企業向けが19.23%上昇と2割値上げが現実になりつつあり、これがわが国の経済・社会生活に与えているマイナス効果は計り知れません。(資料3参照)

日本経済と社会を犠牲にしてでも脱原発を貫くんだという立場は、カンさんのような「市民運動家」のものであって、責任ある政治家のものじゃありませんね。

小泉さんに、グスタフソン・フィンランド駐日大使のこの言葉をお贈りします。

「(原発問題は)論理的に導き出された選択であって、情熱やイデオロギーの問題ではない。」(「ニューズウィーク」10月30日号)

※こちらもお読みください。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-4813.html

■写真 広島城護国神社の鯉の像です。ポカッと開いた口かかわゆい。

             。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚ 

■資料1 小泉元首相「脱原発」、共産・民主から賛同の声
読売新聞10月19日   

小泉元首相が最近講演などで「脱原発」を主張していることについて、野党幹部が取り上げる場面が目立っている。 

 これまで小泉内閣を厳しく批判してきた党も多く、自民党内では「小泉氏は野党に利用されている」との声も出ている。 

 小泉氏の脱原発発言を巡っては、共産党の志位委員長が17日の記者会見で「理が通っている」と賛同したほか、小泉内閣時代、小泉氏を厳しく追及した民主党の菅元首相が今月3日の広島市での講演で、「ここだけは私も拍手している」と語った。小泉内閣時代は自民党に所属していた、みんなの党の渡辺代表も17日の衆院本会議での代表質問で、「小泉氏は『首相が決断すれば(原発ゼロに)できる』と言っている」と、発言を引用した。 

 ただ、小泉氏を利用して政府・与党を揺さぶるという野党の狙いは明確なだけに、自民党内の反応は小泉氏におおむね冷淡だ。甘利経済再生相は「いい意味では純粋、悪い意味では短絡的」と評した。 

■資料2 「小泉純一郎元首相が「脱原発」発言を加速する理由とは
ハフィントンポスト 10月20日
http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/28/junichiro_koizumi_n_4010252.html 

小泉氏は「脱原発は政治がリーダーシップを発揮しないと進まない。自分は数十年後には死んでいて、原発のない日本は見られないかも知れないが、それをするのが本物の政治家だ」と語った。また、今年8月にフィンランドを訪れ、高レベル放射性廃棄物を地下に埋めて10万年かけて無毒化する核廃棄物最終処分場「オンカロ」を視察したことに触れて「フィンランドには原発が4基しかないが、日本には50基もある。いますぐ止めないと最終処理が難しくなる」と即時原発ゼロを訴えた。

朝日新聞デジタル

「小泉元首相「首相が決めれば脱原発進む」 みんな渡辺氏に即時ゼロを訴え」より。 2013/09/29) 

■資料3 東洋経済2月28日 

「家庭向けの料金改定については、関西電力と九州電力が4月からそれぞれ平均で11.88%、8.51%の値上げを申請しており、自由化部門の企業向け値上げ率は各19.23%、14.22%とさらに上回る。 

そして大震災の被災地をカバーする東北電力と、四国電力も、家庭向けで各11.41%、10.94%の値上げを7月実施で申請中。企業向けは各17.74%、17.50%を予定している。」

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週末写真館 台風の去った空

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日米同盟の米国側からみた重い意味とは

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国際関係の中での「同盟」とは互いに利用し利用される関係です。 

どちらか一方が得をする事などありえない代わりに、同盟の利害が消滅すれば速やかに解消されます。そこに情緒や左右の理念が入り込む隙間はありません。

ですから、欧米では外交-防衛政策は、いかに政権が替わろうと変化しません。

政権が替わるごとに外国との条約や約束事を廃棄していたら、国家として国際社会で認知さえされなくなります。

ま、その「絶対やってはいけない」ことをしでかしたのが、うちの国のハトさんだったわけですが。

さて、わが国の場合、いままで大きな「同盟」をふたつ結んでいます。 

ひとつは1902年の日英同盟で、もうひとつはいうまでもなく1960年の日米同盟です。 

当時「七つの海の覇者」だった英国海軍が、ドイツ、フランス、ロシアの海軍増強の追い上げにあって絶対的優位性を失いつつありました。 

そこで英国は、同じロシアを仮想敵としていた日本に、有体に言えば「極東の番犬」になることを望んだことで締結されました。 

わが国にとっても、スーパーパワーであった英国の後ろ楯なくして日露戦争の勝利はおぼつかなかったでしょう。 

このように同盟とは、超大国の外交路線の冷厳な利害と一致した時のみ結ばれることを知っておかねばなりません。

日本にとっては、米国という強大な後ろ楯を背景にして軽武装での独立を保つことが可能でした。

一方、米国にとっては、原子力空母を修理するドックは世界で4カ所しかありませんが、そのうち2カ所は米国内、そしてあとの2カ所は日本にのみ存在します。

これは横須賀第6ドックと佐世保第4ドックですが、大和級巨大戦艦を建造したドックですので、米国と日本以外にこのようなドック自体存在しません。

また、第7艦隊の補給を受け持つ弾薬貯蔵施設(秋月、広、川上、嘉手納)の貯蔵能力は実に12万トンを越えます。

あるいは、米国防総省が自ら「ペンタゴン最大のオイルターミナル」と呼んだのは、在日米軍燃料タンク施設(鶴見、佐世保、八戸)です。

鶴見は国防総省管内のうち米本土まで含めて第2位の備蓄量、第3位は佐世保で、八戸(航空燃料)と合わせると1107万バレルを備蓄しています。

これは米海軍最強の第7艦隊全体の10回分の満タン量に相当します。

米軍の唯一の国外に駐留する緊急展開部隊(第3海兵遠征軍)は沖縄にあります。

このようにわが国は米軍、なかでも米海軍の補給-修理の海外インフラを一手に引き受けているのです。

しかも「思いやり予算」の提供も受けて地代はタダ、民生施設や一部軍事施設は日本側の提供です。欧州まで含めてこんな好条件の国は日本だけです。

したがって、わが国の戦略的位置は他の国をもって代替がききません日本との同盟がなければ、米国の世界戦略は根底から崩壊してしまうのです。

よく言われる比喩として、米国本土を「東京本店」とすれば日本は「大阪本社」の位置にあり、かつてのフィリピンや今の韓国、グアムなどはちょっとした「地方出張場」程度の重みしかありません。

米国にとって、北の侵攻が考えられなくなった現状では、反米感情の根強い韓国駐留などはさっさとやめたいのが本音でしょう。

日米同盟において、米国は十分すぎるほどの利益を得ており、必ずしも「日本防衛のために駐留している」わけてはなく、「日本防衛のためにもいる」ていどです。

このようなギブ&テイクの補完関係があってこそ、日米同盟は50年という異例の長きに渡って維持されてきたのです。

ですから日本人は、「米国様に守ってもらって頂いているのだから、ご機嫌をそこねたら大変だ」という卑下はやめたほうがいいと思います。

また、逆に米国のジャパン・バッシャーたちがよく言うような、「米国の若者が血を流して日本を守ってやっているのに、日本はぬくぬくとしやがって」といった高慢な台詞には、「日米同盟の実態を見てからものを言え、日米同盟はおまえらのためにもあるんだぞ」と言い返してやりましょう。

翻って現代は、米国衰退期の始まりに当たっています。米国は、9・11以降の対テロ戦争で国力を消耗し、中東とアフガンの二正面で泥沼に足を取られてしまっています。 

その中で、厖大な軍事予算の出血が止まらず、オバマの外交戦略のアジア離れによってそれが加速し、今やアジア・アフリカにおいて中国の巨大な台頭を許してしまいました。 

特にアジアにおいては、中国は大海軍建設を夢見て、太平洋に進出する構えを見せています。 

「冷戦終結後に世界の大国は海軍の予算を大きく減らしてきたが、ここにきて、海軍力増強が再び熱を帯びている。その背景には、海洋進出の動きを強める中国への警戒心や、シリアなど紛争地域への地上部隊派兵を渋る西側諸国の思惑がある。」
(ロイター9月30日)
 

「中国も初の国産空母の完成を目指しており、向こう10年で世界の海には新たに10隻を超える空母が登場するとみられる」(同) 

「米軍は現在、中国人民解放軍(PLA)の海軍の動きをにらみつつ、艦船を大西洋から太平洋に移しつつある。中国海軍は、同国の国防費が毎年2ケタの伸びを続ける最大の要因とみられている。

中国国防省は昨年9月、ウクライナから購入して改修した空母「遼寧」を海軍部隊に正式配備したと発表。同空母以外にも、中国海軍は潜水艦や哨戒艇などの建造を進めている。

今年9月には、国有企業の中国船舶重工が、私募形式での株式発行で14億ドルを調達する計画を発表した。資金は軍艦製造設備の購入などに使われる予定だが、中国が軍拡に向けて株式市場での資金調達に初めて踏み出すケースとなる。」(同) 

この中国の軍拡に刺激されて、中国を仮想敵とするインドは8月に、同国初となる国産空母の進水式を行い、オースラリアも海軍力増強に乗り出し、ベトナムはロシアから潜水艦を購入する予定を発表しました。

なんとわが国の5分の1しか領海しかない韓国すら、空母建造計画があるそうです。

どうしていきなり空母まで飛躍するのでしょう。毎度のことながら、なにを考えているのかよく分からない国です。

南シナ海のスカボロー礁の領有権をめぐり中国と対立するフィリピンもまた、米沿岸警備隊で使われていた巡視船2隻を導入し、日本からの巡視艇10隻の供与とフランスからの哨戒艇を購入する計画です。 

「米国を拠点とする調査会社AMIインターナショナルの推計によれば、今後20年間で海軍に使われる予算は、世界全体で総額8000億ドル(約78兆2500億円)前後になる見通し。そのうち4分の1を占めるのは、緊縮財政の欧州を抜き、海軍支出額で北米に次ぐ世界第2位の規模になったアジアだという。」(同) 

このように現代は、戦前のワシントン、ロンドン海軍軍縮会議の失効した1936年(昭和11年)に次ぐ「21世紀の大建艦競争期」を迎えているといえます。

その一方米国は、スーパーパワーの地位から徐々に滑り落ちつつあります。

「米政府の予算が自動的にカットされる「強制歳出削減」が今後10年にわたって続けば、米海軍の空母11隻のうち最大3隻が運航停止になる可能性があり、大幅な戦力縮小は避けられないとみられる。」(同)

この米国の戦力縮小と、台頭する中国軍事力、それに対抗する東南アジア・オーストラリア各国という構図の中で行われたのが、先日の日米安全保障協議委員会(日米外務・防衛担当相会議/2+2)でした。

この会議を米国は「歴史的会議」と当初から位置づけていました。この共同声明はわが国が、従来の片務的安保関係から、双務的安保関係に明確に転換したことを宣言しています。(欄外参照) 

この共同文書はオスプレイの沖縄における駐留・訓練時間を削減し、米海兵隊司令部機能の沖縄からグアムへの移転を20年代前半に開始するなど、かねてから安倍政権が約束してきた沖縄の負担軽減へ道筋をつけました。 

これを受けて小野寺穂防衛大臣は訪沖し、普天間移設問題を仲井真知事と協議したようです。

これは従来の沖縄側の要求だった、オスプレイ訓練の軽減、米軍訓練水域の漁船操業てどを含んでおり普天間移転加速のための沖縄懐柔策です。

これに対して仲井間知事は、辺野古への移転問題について「これは微妙と答えざるを得ない」(県会答弁)とまさに微妙に転換しているようにもみえます。

彼の本心は例によってよく分かりませんが(簡単に分ったらタフネゴシエーターじゃありませんからね)、常識的な妥結を模索しているのかもしれません。

来週からまた農業に戻ります。

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日米共同発表要旨=日米2プラス2
時事通信 2
013/10/03 

日米安全保障協議委員会(2プラス2)が3日まとめた共同発表の要旨は次の通り。

 【概観】
 日本版NSC(国家安全保障会議)設置と国家安全保障戦略策定の準備、集団的自衛権行使に関する事項を含む法的基盤の再検討、防衛予算増額などの日本の取り組みを米国は歓迎し、緊密に連携。

 北朝鮮の核・ミサイル計画、海洋における力による安定を損ねる行動、大量破壊兵器拡散などの脅威、国際的規範への挑戦に対処するため十分な用意が必要。中国が地域の安定と繁栄に責任ある建設的な役割を果たし、国際的行動規範を順守、軍事上の透明性を向上させるよう促す。
 日米は同盟をよりバランスの取れた実効的なものとし、十全なパートナーになる決意。

 【2国間の安全保障・防衛協力】
 変化する地域・世界の安保環境がもたらす影響を認識し、防衛協力小委員会に、
日米防衛協力のための指針(ガイドライン)変更に関する勧告の作成と2014年末までの完了を指示。
 両国の弾道ミサイル防衛能力強化を確認し、SM3ブロック2A共同開発を含む最近の進展を歓迎。2基目のXバンドレーダー(早期警戒レーダー)システム配備先として航空自衛隊経ケ岬分屯基地の選定を確認。

 サイバー防衛協力強化を任務とする新たなサイバー防衛政策作業部会の実施要領への署名を歓迎。宇宙状況監視や宇宙を利用した海洋監視に関し、情報の収集・共有を向上させる。防衛当局間の情報収集・警戒監視・偵察(ISR)作業部会設置を歓迎。

 南西諸島を含む地域で自衛隊の態勢を強化するため、施設共同使用に関する作業部会の取り組みを歓迎。日本は武器輸出三原則等について検討。F35戦闘機製造への日本企業参画といった連携を通じ、装備・技術に関する2国間協力を深化。

 2国間の拡大抑止協議の成果は有意義。同盟協力に死活的に重要な情報保全を一層確実なものとするため、法的枠組みの構築における日本の真剣な取り組みを歓迎。
 時宜を得た効果的な2国間訓練の拡大など平時の防衛協力進展を歓迎。在沖縄米軍の県外訓練継続のための重要な取り組みを認識。日本による在
日米軍駐留経費負担は引き続き重要。

 【地域への関与】
 地域のパートナーに対する沿岸巡視船や訓練の提供など日本の政府開発援助(ODA)の戦略的活用を歓迎。航行の自由を保護し、安全なシーレーン(海上交通路)を確保するため、海洋安全保障、海賊対策でさらに協力。地域における安全保障・防衛協力の重要性を確認。特にオーストラリアと韓国との間で定期的に実施されている3カ国間対話の成功に留意。

 【在日米軍再編】
 〔沖縄〕13年4月の統合計画に基づく土地返還の進展を歓迎。普天間飛行場の代替施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区と隣接水域に建設することが、普天間飛行場の継続的使用を回避する唯一の解決策。この計画に対する両政府の強いコミットメントを再確認し、普天間返還を可能とする同計画を完了させる決意を強調。

 13年11月末までにホテル・ホテル訓練区域の使用制限の一部解除について、原則的な取り決めを作成するよう日米合同委員会に指示。

 〔岩国〕普天間飛行場から岩国飛行場への空中給油機KC130飛行隊移駐に関する協議を加速し、可能な限り速やかに完了させることを確認。厚木飛行場から岩国飛行場への第5空母航空団諸部隊の移駐を17年ごろまでに完了。

 〔グアム〕グアムを含む日本国外への米海兵隊要員の移転が、沖縄への影響を軽減しつつ、米軍の前方プレゼンス維持に寄与し、戦略的拠点としてのグアム発展を促進することを確認。09年のグアム協定を改正する議定書に署名。

 グアム、北マリアナ諸島連邦における訓練場整備に日本の資金を提供。12年の共同発表で示された移転計画の下、米海兵隊部隊の沖縄からグアムへの移転は20年代前半に開始。この計画は13年4月の沖縄における在日米軍施設・区域統合計画の実施を促進。

 〔高度な能力〕より高度な能力の日本配備が日本と地域の安全に一層寄与することを確認。高度な能力は次を含む。

▽米海兵隊によるCH46ヘリコプター換装のためのMV22航空機(オスプレイ)2個飛行隊導入

▽13年12月から開始されるP8哨戒機の米国外への初の配備

▽14年春からグローバルホーク無人機のローテーションによる展開を開始する米空軍の計画▽米海兵隊によるF35B戦闘機の米国外における初の前方配備となる17年の同機種の配備開始。

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アナザー・サイド・オブ・オキナワその7 「独立」で米軍基地はなくなるのか?

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すごかったですね、台風。わが農場も床上浸水やらなんやらで、復旧までしばらくかかりそうです。ああ、腰イタイ・・・。

さて、もう少し「民主党・沖縄ビジョン」を検討してみましょう。批判に値するからというより、半面教師として適当だからにすぎませんけど。

この「ビジョン」構想のふたつの柱は、ひとつは昨日取り上げた規制緩和によるグローバリズム資本のヒト、モノ、カネの規制緩和、そして今ひとつが米軍基地縮小でした。

そこで、この一国二制度=半独立でそれが可能かどうか考えてみることにします。ちょっと理屈っぽくなりますので、メンドーでしたら太字だけ読んで下さい。

まず、一国二制度の法的スティタス(地位)ですが、完全独立以前の半独立状態と解釈できますので、あくまで日本の主権下にあることに変わりはありません。

日本政府は1975年5月15日まで沖縄県を手離していましたが(それが県民の心に深い傷を与えたわけですが)、この復帰前の潜在主権状態より「半独立」のほうが大幅に強い権利だといえます。

なぜなら、米軍統治時代にはまったく現実的施政権は持っていない形式的な主権でしたが、「半独立」の場合、外交、軍事の分野は日本政府の専管事項だからです。

そしてさらに、もう一段階進めて「独立」を達成したとしても、国際法学でいうウィーン条約「白紙の原則」(clean-slate rule)が適用されません

それは、 ウィーン条約(「条約に関する国家承継に関するウィーン条約」)第4部の「国家の結合および分離 国家の結合・分離の際は、承継国は先行国の条約を引き継ぐ」からです。

したがって、沖縄米軍基地を規定している日米安保条約(「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」)を、「独立沖縄」は一方的に廃棄できず、原則として継承せねばなりません。

つまり、一国二制度=半独立はいうまでもなく、独立した場合ですら独立前に属していた国家の権利義務を白紙とすることはできないのです。

ですから、残念ですが独立後も国際法学上は米軍基地は依然として存在し続ける権利を有します。

実はこんな例は世界にゴロゴロしているのです。たとえば、社会主義国領土内に米軍基地があるのを知っていますか。あるんですよ、これがなんと。

キューバの喉に突き刺さったトゲであるグアンタナモ米軍基地です。

最近、米国のアルカイーダの捕虜を非人道的に尋問したとして国際的非難を浴びたので記憶にあるでしょうか。

1898年の米西戦争に勝利した米国は、わずか年間22万円でグアンタナモ116平方キロを永久租借します。

この権利に基づいて今でも社会主義キューバの一角に、地雷源に囲まれた米海軍基地を保有しているのです。まことに図々しいというか、面の皮が厚いというか。

このことは勃興期の米国の典型的な帝国主義の名残ですが、現代でもその権利は必要とあらば米国は冷徹に握りしめ続けることがお分かりいただけると思います。

このようにいったん設置された外国軍隊の基地は、当該国が撤退する気にならない限り残り続けるのです。

ですから、日本政府が独立前にあらかじめ予防的措置として、沖縄基地の戦略的重要性に鑑みて租借に切り換えると宣言した場合、米軍基地は租借期間内は撤去できなくなります

整理してみましょう。

①一国二制度は半独立状態であるが、日本の主権下にあるために、外交条約である安保条約を一方的に改変できない。

②「独立」した場合承継国は条約を引き継ぐので、外交条約である安保条約を一方的に改変できない。

③したがって、半独立・独立を問わず米軍基地は、米軍がその気にならない限りなくならない。

つまり、米軍基地が存続したままの「基地付き返還」ならぬ、「基地付き独立」ということになりかねないことになります。

独立とは米軍基地の完全撤去が目的の半分である以上、独立の意味の半分以上は消えてしまうことになりかねません。

もちろん現状で財政破綻県である沖縄は、本土政府の支援がなくなった場合直ちに財政クラッシュを引き起こします。

県職員の給与支払い停止や、県機関の機能停止、皆保険制度の停止などといった財政の崖が現実のものとなります。

その場合、経済支援をしてくれそうな相手は中国だけですから、なんともかともです。

あるいは、中国からの政治経済的支援の見返りとして、沖縄側から尖閣水域の中国との共同管理と共同開発を提案することもありえるかもしれません。

実は既に、この尖閣の沖縄県と中国との共同管理構想は、喜納昌吉前民主党沖縄県連会長が提言していることで、よく平気でこんな危ないことを言うなと当時思いました。

単に日本の政治家として危険と言っているのではありません。

それはあたりまえで、そもそも喜納氏には日本人というアイデンティティはありませんから、むしろ、沖縄民族として考えても重要なカードを初めから中国に渡してしまうようなことやっていいでしょうか。

昌吉さん、ほんと悪いこと言わないから、政治から手を引いてミュージシャンに専念しなさい。あなたには政治の才能はない。

政治は仲井真さんみたいな「基地」と「尖閣」で本土政府を翻弄しているネゴシエーション(交渉)のプロがやるもんですよ。

というわけで、この「沖縄ビジョン」は、幸いにも民主党政権が移設問題を頓挫させてしまった結果、自然消滅に終わりましたが、いまだ沖縄県内には残り火があるようです。

いやそうじゃない、自分の頭で考え、自分の足で貧しくとも立って歩くのだ、と宣言するのならば、私は無条件で拍手を送るでしょう。

沖縄について書きたいことは山ほどあるのですが、書くとなぜか塩辛いことばかりになります。

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アナザー・サイド・オブ・オキナワその6 民主党沖縄ビジョン・県丸ごと自由化特区に

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台風通過中です。

かつて西表島で台湾坊主という小型ですが、近海で突然発生する台風に遭遇したことを思い出してしまいました。時に予報も間に合わないとか。それに較べれば、今回のは、「さぁ、来い」ってなかんじです。

さて、沖縄県へは累積10兆円もの政府振興予算が投じられました。

これは全国一はいうまでもありませんが、対中国ODA累積額の約6兆円をはるかに越えて、もはや一国規模以上に達しています。

しかしそれが沖縄の庶民の豊かさに繋がらず、本土並は一握りの公務員だけ、大部分の島人はあいかわらず労働条件が悪かったり、失業率が高いのはなぜなのか考えてきました。

これに対する処方箋として民主党が政権交代直前に出した、「民主党・沖縄ビジョン」(2008年)というものがあります。

民主党の処方箋は、沖縄を半独立にして、自由化特区のモデルにしてしまえというものです。

それも狭い地域ではなく、県丸ごと自由化特区にするというのですから大胆不敵です。

自由化特区自体は、韓国にもあります。米韓FTAで医療特区を作って、米国の言うがままの保険制度解体し、グローバル資本の意のままのモデルを実験しているようです。

わが国でも今後TPPがらみで、経済競争力会議あたりが言い出すかもしれませんから、しっかりと阻止せねばなりません。

民主党はそれを政権交替前に沖縄県全体でしようと構想しました。

当時はTPPが浮上する前でしたので、彼らは「一国二制度」という、世界でも香港、マカオにしかモデルがない特殊な政治形態をモデルに引っ張り出してきました。

今だったらきっとTPPに絡めて、「交易国家であった琉球の特殊性を活かして、アジアの活力を取り込む地域」などと言ったことでしょう。

この一国二制度はまったくわが国の手本にはならない中国の特殊事情から生れたものです。(欄外にダラダラと解説を書きました。お暇なら。)

当時はなぜ、こんな普通選挙すら一度もやったことのない中国の苦し紛れの方策を、先進自由主義国のわが国がとりいれねばならないのかさっぱり私には理解できませんでしたが、思えば、要するに「自由化特区」を作りたかったんですかね(苦笑)。

ですから、表向きは左派色の強い琉球独立論に色目を使いながら、内実は新自由主義沖縄バージョンといった内容です。

無前提の基地縮小を主張する半面で、政権交替以前の民主党らしい「地域貨幣」などといった流行語が散りばめられていて微苦笑させられます。

民主党は概念規定もあいまいな、「新たな公共」とか「市民の参加する外交」みたいな流行語が好きでしたからね。

ああいう言葉を使うと、なんか新しい政治理念を語ったと勘違いしちゃうんで困ります。実際やったことは、旧態依然たる派閥政治と内部抗争だけでしたけどね。

それはさておき、前半の基地縮小は、ほんとうにハトさんがやらかして、ゴールデン・ラズベリー賞最低政治家賞を受賞しています。

あの時のハトさんの晴れがましい顔を今でも忘れられません。(もちろん冗談です)

さて、中国と離れて一般的に「一国二制度」を定義すれば、たぶん「一国の中に、政治制度・経済制度の 根本的に異なる地域が複数ある状態」とでも言うことになります。

だとすると、日本国の主権下にありながら、政治制度と経済的独立を持つ一定「領土」と「国民」を持つ沖縄地域ということになります。

だからここを、「自由化特区」として、本土でできない米軍基地の一方的縮小移民の大量導入、外国人参政権付与をしてしまえ、というのが沖縄ビジョンです。(※外国人参政権は同時期に別枠で提唱されていました。)

それはさりげなく紛れ込んでいる「.ビザの免除による東アジアとの人的交流の促進」という項です。 

このビジョンには「中国語の学習の活発化」が入っていますから、この「東アジア」とは中国を指すことはいうまでもありません。 

ビザを免除して長期滞在中心にして3000万人をステイさせるのだそうです。

今の関東地方の農村部の外国人研修生問題をまったく勉強してこなかったのがわかりますね。ビザを免除してしまえば、歯止めか効きません。

いったん入国されてしまえば、観光目的といおうが、学習目的といおうが同じことです。 

その3分の2以上は、高賃金のわが国に魅力を感じているのですから、間違いなく不法就労します。いいですか、中国農村部はいまでも月収が1万円にも満たないのですよ。 

農村から上海などの大都市に出稼ぎに来て底辺労働に従事している民工(農民工)は、国家人口計画生育委員会の「中国流動人口発展報告2012」によれば2011年末に中国全国の流動人口が史上最高の2億3千万人に達しており、その8割は農村戸籍を持つ者で、平均年齢は28歳です。 

実にわが国の人口を優に上回る人口が、職を求めてさまよっていることになります。一般に中国の農村は都市部と収入で3倍以上の大きな格差があります。 

たとえば上海や蘇州の3Kの底辺労働を担う人たちは、湖南や四川など農村部出身者が大半を占めています。 

これら農村部から来る外部労働者数は、蘇州などでは地元の人口を越えているそうです。蘇州市区は人口約538万人ですから、それほど大量に流入しているのです。 

20歳くらいの民工の平均月収は600元(約8000円)ていどです。いったんビザなし入国など認めたら最後、この民工の怒濤のような流入が始まります。

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           (写真 沖縄に向けて殺到する民工ではなく、広州駅付近のようです)

沖縄の人口は約130万人しかも大量の失業者、半失業者がいる狭い島に中国を中心として年間3000万人受け入れようというのですから、正気の沙汰ではありません。

これを実施したら最後、多数のオーバースティ(不法滞在)が生じるでしょう。

今だって公式発表で7千人もいるのですよ。実態はその10倍でも済まないといわれています。

そして、そこで家庭を作り子供をもうけるでしょう。まったく普通の営みなのですが、他人の狭い島でやらないでくれというだけです。

やがて遠からず、中国人特有の、郷里や一族でコロニーを作り始めるはずです。

そして世界各地に偏在するチャイナタウンか、島内各地にできることになり、彼らは自衛と抗争のための「力」を持つようになります。これがかの有名な蛇頭などのチャイナ・マフィアです。

この上に、「沖縄ビジョン」の提唱者たちは、渡辺周、ツルネン・マルティ、そして当時民主党政調会長の要職にあった岡田克也各氏はいずれも外国人参政権推進論者でした。 

すると、このビジョンには描かれていませんが、一定期間沖縄に滞在した中国人には、外国籍のまま地方参政権を与えるつもりであったと思われます。 

わずか数年で沖縄ネーティブと人口逆転し、数年間で一定基準を満たせば沖縄の地方参政権を得ることができるようになります。 

おそらく多くの中国籍のままの議員と首長が誕生することになるでしょう。特に人口減少で悩む離島では容易に島の主流になります。 

これは、実は中国のウイグルやチベットの漢民族植民政策そのままです。いったん人口逆転を許すと、これをネーティブが再度逆転するのは強制退去という措置を取らない限り不可能になります。 

中国ならともかく、今の人権意識の強い民主主義先進国では土台むりです。 

そして沖縄県は、米軍の退去を求めて「独立」を目指すのかもしれません。県民住民投票でもするのでしょうか。

かくして、麗しいこの島は中国人によって完全に乗っ取られることになるわけです。 

                 。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚

おまけ 「香港返還における一国二制度」

1997年に香港とマカオを英国とポルトガルから返還させるに際して、すでに民主主義政体をとっていたこの地の扱いに中国は窮しました。

いきなり「中国式社会主義」を押しつけるのは抵抗がありすぎます。だってそうでしょう。中国になったとたん、選挙権、被選挙権、集会・結社・宗教の自由ノいっさいは取り上げらてしまうのですから。

元々中国本土のように歴史上一度たりとも民主主義をもったことのない政治的後進国ならいざしらず、すでに民主主義政体を得て半世紀以上たつこの両地域からこれを取り上げるのは不可能でした。 

いや今の中国でも憲法で民主主義的権利は認められている、なんて馬鹿を言わないでくださいよ。あんなものただのイワシの頭にすきません。

あの国で通常の国家が持っている民主的諸権利を国民が得るには、第3次天安門事件が必要なのです。

もし中国に併呑されれば、香港・マカオには、民主主義のみならず土地の私有権もなくなります。

中国は都市部の土地は国家所有で私的所有は認められておらず、「土地使用権」という変則な既定があるだけだからです。 

となると、英国の植民地下にあって自由主義社会を謳歌していた香港が選挙もなければ、土地も持てない、政党も共産党一党だけという前近代的な時代に逆行してしまうことになります。 

これでは香港、マカオの住民が全員ノーを言うでしょう。第一、英国が絶対にそれでは返還に合意するわけがありません。

そこで苦し紛れに考えついたのが、主権は中国が有し、本土領域から分離した香港、マカオに一定の自治や国際参加を可能とするという一国二制度構想だったわけです。

この折衷的な解決案は、返還後から既に崩れてきており、香港政庁や各種統治機関は気がつけば「大陸派」が掌握し、今や香港芸能界すら大陸派が牛耳っている始末です。

遠からず、なし崩し的に香港の民主主義政体も消滅していくと思われます。

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アナザー・サイド・オブ・オキナワその5 沖縄の就職率と賃金が全国最下位なわけ

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沖縄の賃金はよく知られているように日本最低です。この原因はなんでしょうか。

よくある誤解は、沖縄の貧しさは本土の植民地的収奪によるものだとする意見です。

このような考えが事実と違うのは、何回かにわけて見たように、本土が沖縄に10兆円にものぼる振興資金を投入しつづけてきたことからも理解できると思います。

提供の仕方にも問題があるのはたしかでしょう。本土政府も手を替え品を替えているのですが、どうしても土木事業のみに比重がかかってきたのは事実です。

しかし、一方で政府の肝入りで研究機関を誘致したりといった動きはあるのですが、受け皿の地元がまったく無反応だとも聞きます。

ある時、この研究機関の地元へのプレゼンテーションをしたことがあるそうですが、配ったアンケートの回答には「ここで弁当売らせてもらえないか」とあって、関係者を脱力させたようです。

一方、観光業は島の重要産業ですが、島の青年は就職を嫌がります。勤務が不規則で、゛給料も悪いということのようです。

沖縄の観光業は華やかに見えて、実は航空会社や観光会社から徹底的に叩かれている哀れな存在です。

よくチラシでご覧になるように3万円台のパックツアーが全盛な折りに、もっとも叩きやすいのはホテルです。

ですから、しわ寄せはホテル従業員に行くわけで、好条件とはいいがたい労働条件のようです。

観光業も、今のような大量消費型パックツアーに依存した大型ホテルの乱立から、地場の様々を観光ストックを活かしたものに変化していくべきでしょう。

観光業は、美しい海岸線を醜い高層ホテルで汚していることにそろそろ気がつくべきです。

ではそれ以外の島の企業はといえば、大企業と呼べるものは皆無に等しく、中小零細のみで占められています。

ここの労働条件は、私自身ある印刷所に勤めた経験があるので実感でわかりますが、本土より10年以上遅れています。

オヤジは気はいいが、残業や労災についての意識はまったくありませんでした。賃金水準は思い出しただけで腹が立ちます。

家族労働の延長でしか、企業を考えていないのです。よくいえばアットホーム、悪くいえはズレきっています。

一度本土の企業を経験した後にUターンした若者が、島の企業風土になじめないのも分る気がします。

そこで調べてみると、沖縄の民間企業の大部分を占める中小零細企業の人件費割合は以下です。(日銀那覇支店調べ)

・2007年売り上げの人件費比率・・・全国平均13.51%
・同                   ・・・沖縄平均9.5%

これは仮に100万円の企業売り上げがあった場合、全国平均13万5千円もらえるのに、の 沖縄では9万5千円だと言うことになります。

ですから一方、沖縄の企業は全国平均に対して高い利益率を占めています。
・売り上げに対する経常利益・・・全国平均2.72%
・                  ・・・沖縄平均4.56%

つまり、沖縄県民は賃金は低く押さえられいるのに対して、企業は7割も高い利益を得ていることになります。

このような民間中小零細にはほとんど労働組合は組織されていないのが現状です。

これは労働者の定着率が低いので、いやならすぐに辞めてしまうからでもありますが、島の労働界があまりにも長くこの問題を放置して責任は重いでじょう。

このように見てくると、沖縄の賃金の低さ、就職率の低さを変えて行くには、公共事業への過度な依存を改め、島の第1次産業にむすびついた新たな観光業づくりなどの変革をしていくしかないのではないでしょうか。

島のエリードが、いつまでも公務員と教師だというのは恥ずかしい勲章と思う時期なのです。

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アナザー・サイド・オブ・オキナワその4 もの呉ゆーすど、わがうん主

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沖縄には「もの呉ゆーすど、わがうん主」という言葉があります。

これはまんま、「ものくれる人こそわが主人だ」という意味です。まさに琉球事大主義そのもののやや情けない言葉です。

イヤな言い方をお許し願えば、モノを呉れる者にシッポを振りますということです。先日お話した「琉球事大主義」そのものです。

照屋寛徳議員などの革新派は、長年「琉球差別」、「植民地支配」を批判し続けてきました。

その一方で、振興予算、基地交付金、移設関連調査費などさまざまな名目で国の金が数兆円委規模でジャブジャブと沖縄には流れ込んできました。

では建て前上は基地とは関係のない(←もちろんあります)沖縄振興予算を取り出して、もう少し具体的に内容を見ていきましょう。 

この振興予算は、本土復帰した1972年から始まり、2008年度までの総額は、実に9兆4056億円という途方もない額に達します。 現時点では10兆円を超えました。

その内9割以上が公共事業に費やされてきました。

そのために、本土では橋本構造改革以降、大なたを振るわれた土木事業費は、この沖縄のみでは生き残っており、狭い島に5千社もの土建業がひしめき合うという異常な光景があたりまえになっています。

これとはまた別枠で、基地に対する防衛施設庁がらみの軍用地代や地元交付金があります。地代だけで年間900億超です。

これを合わせた「沖縄関係予算」は、年間08年度で4393億です。これは県の自主財源の3倍に達します。

言うまでもありませんが、このように過剰に政府予算頼みの予算構造を持つ県は沖縄だけです。

「県税などの自主財源は 1,723億円で25.3%しかなく、全体の. 74.7%を地方交付税  などの依存財源で占めています。」(「沖縄の財政2012」沖縄県 欄外参照)

また、政府補助金率が他県と違った算定基準に基づいています。

たとえば、公共事業に対する政府補助金率は、他の県では平均して5割ですが、沖縄県のみは9割以上の補助金率です。 

具体的に、本土と沖縄県の補助金率を比較してみます。

・公立学校の整備             ・・・本土33~50% 沖縄県75~85%
・国道、空港、港湾などのインフラ整備    ・・・本土55~70% 沖縄県95%
・河川改修整備                  ・・・本土50%    沖縄県90%
・農業関連基盤整備               ・・・本土50~70% 沖縄県95%
 

よく沖縄革新勢力は、本土の沖縄関連予算を「箱ものばかりだ」と批判していますが、それは反面は先ほどみたように当たっていますが、半分は間違っています。

というのは、もはや沖縄県民の生活の隅々まで浸透している性格の「税の軽減措置」があるからです。

れは本土復帰に伴う特別措置として長年継続されてきたものです。主だった税の軽減措置は以下です。 これらなくしては沖縄県民は生活がいっそう厳しくなるわけです。

・泡盛やビールに対する酒税
・ガソリンなどに対する揮発油税
・地方道路税
・本土-沖縄間の航空燃料税
・観光業、情報通信業、電力会社に対する法人税

にもかかわらず大部分の県民はそれを「知らない」で、恨みだけを蓄積していきました。

よく革新派は、「沖縄は沖縄差別に苦しむ植民地だ」というような言い方を好みますが、こんな十重二十重の援助をもらっている「植民地」などこの世にはありません

沖縄が「植民地」であることをやめ、本土政府から注入されたカネを拒否すれば現在の3分の1にまで県財政は縮小せねばなりません。

そうなれば、皮肉にも真っ先に特権的地位から転落するのは「沖縄差別」を言い立てている当の官公労を中心とする沖縄革新勢力です。

これが沖縄をめぐる政治にねじれた安定」を与えてきました。

たとえば、普天間移設問題は、そもそも米軍が言い出したものではないために、彼らからすれば純粋な日本の国内問題にすぎませんでした。

また本土政府からしてみても、地元の反対を成田空港のように強制代執行してまで強行する性格のものではなく、あくまでも移設の目的は、基地機能を維持したままで基地負担を減らしていこうとしていました。

よくいえば沖縄への好意、はっきり言って慰撫政策です。

そのために反基地闘争に火をつけては元も子もないので、刺激しないようにして話を煮詰めているうちに17年も立ってしまったというわけです。

まぁだから、ほんとうになんにも知らないハトさんにちゃぶ台返しされて、それまで関わってきた自民党議員はがっくりきたというのもわからないことはありません。

ところで一方、沖縄の経済界にとって、普天間移設の4000億円を上回ると見られる巨額の公共事業はヨダレがでるほど欲しいものであり、県外などとんでもないというのが本音です。

辺野古代替にひと頃、メガフロート案が浮上したことがありましたが、そのとき 沖縄の経済界が怒って言うには、「これじゃあ、沖縄の企業はなんとかフロートのペンキ塗りしか仕事が残ってないじゃないか」といったものでした。

そして彼らから出てきた独自案は、東海岸洋上をドドンっと大規模埋め立てしての民間共用の巨大洋上空港を作る案でしたから、その案どおりだったらジュゴンの里もなにもあったもんじゃありません(苦笑)。

一方、革新勢力側は伊波宜野湾市長が、「グアム移転は米軍が既に決めている」というガセ情報を流して牽制しながら、なんとか長期泥沼化を目指していました。

こういうと怒られそうですが、ほんとうに県外に行ってしまえば闘争目標が消滅して原資そのものがなくなってしまいます。

反米・反基地運動は彼らのエネルギー源で、それがなくなるとなにをしていいのか途方に暮れるというのが実際ではないのでしょうか。

したがって、「県外移設」というのは本土政府ができないことを見越しての無理は百も承知の要求で、それははからずも真に受けたハトさんの愚行で証明されてしまいました。

だから保守も革新も、無理筋の要求をし続けて、どこまで仲井真知事が要求を吊り上げられるかを注視し続けているというのが現状です。

かくして、現在保革は仲良く「普天間県外移設」で共闘しているという奇妙なデタントの真っ最中です。

この奇妙なバランスが、沖縄を県外者にいっそう分かりにくくさせていることだけは確かです。

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週末写真館 朝焼けの土浦港

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アナザー・サイド・オブ・オキナワその3 島でひとり「本土並」となった公務員

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身も蓋もない沖縄を知るために、沖縄に一体どのくらい国民の税金が投入されているのかを見てみます。 

下図は、「内閣府沖縄総合事務局」という霞が関統合出張所が出した統計です。 

ここは、経済産業省、農水省、国交省など各種官庁の出先を統合した国家機関で、ここを通じて沖縄県には予算が配分されます。 

ちなみに、こんな出張所は沖縄にしかありませんから、これだけでいかに沖縄が他県とは違った「特別な」存在なのか理解できるはずです。

普通なら、政府機関は各々の政策に応じて、自治体に配分するのですが、その枠を超えて「他県とは違う基準で手当てする特別な予算枠」(内閣府)が沖縄県にはあります。 

国が「他県とは違う基準で手当する」のは、言うまでもなく米軍基地かあるからです。 

単に面積的なら北海道や神奈川も負けたものではないのですが、その戦略的位置が違います。 

沖縄は太平洋、東シナ海、南シナ海、インド洋までにらんだ「要石」の位置にあるからです。 

その上、昨今中国の膨張政策により国境の島としての重みもぐっと増しています。 

これは他県をもっては替えがたい沖縄の宿命的特殊性です。 

それゆえ、国はふんだんに予算を投じてきました。原発立地自治体を10倍にして10乗したような場所が沖縄なのです。

これが島人(シマンチュー)にとって幸福だったのか、それとも悲劇だったのか、私はずっとわからないでいます。 

あるいは難しく考えず、「明日あさってをしぶとく生き抜いていくさ」というのが、案外沖縄流なのかもしれません。 

下図をご覧ください。

このグラフは沖縄振興事業予算の推移を表しています。面白いことに気がつきます。

Photo_2               (日経新聞那覇支局大久保潤氏作成による)

グラフ中央部の平成10年(1998年)が4713億円とピークとなって、徐々に減ってきており、現在は2000億~3000億円規模になってきています。

20013年度予算で、仲井真知事が3001億円と1億だけ3千億の大台を突破したことを考えると、この4713億というのは凄まじい額だと実感できます。

この黄金のピーク時の1998年時に沖縄県知事の椅子に座っていたのは、一時はその権勢を「琉球王」とまで呼ばれた太田昌秀氏でした。 

抵抗型革新首長の典型のような人で、山内徳信読谷元村長や、伊波洋一前宜野湾市長、そして今の稲嶺進名護市長などの「手本」になりました。 

鉄血勤皇隊という旧制中学の学徒組の生き残りで、沖縄戦を丹念に調査してまとめ上げた研究者でした。 

いい意味でも、悪い意味でも、その濃厚な存在感を持つ知事は見たことがありません。一度島酒を酌み交わしてみたいと思わす座談の名手だと聞きます。 

酒といえば、磊落な酒豪としても有名で、県外交で行った米国では高級ホテルでヘベレケだったという逸話が残されています。 

この県外交とは、国を勝手に無視して米国に乗り込み要人と会見して基地撤去を直訴するというものです。 

こられた米国はいい迷惑だったでしょうし、自治体首長がこのような国の専管事項である外交に首を突っ込むこと自体に問題があるのですが、県民からは「やってるな、太田サン!」という合いの手が聞こえてきそうな県内向けパーフォーマンスでした。 

さて、この太田知事を強く推して、選挙マシーンとなったのが官公労の自治労沖縄と沖教組であったのはいうまでもありません。 

さすが今は都市部では少なくなっていますが、今でも地方に行くと、北海道や山梨のように官公労の選挙運動は根強く残っていて、非常に強力な力を持っています。 

さて、太田知事の「存在感」は、彼の脂の乗った濃厚な押し出しだけではなく、本土政府への全面抵抗路線でした。 

軍用地の代理署名拒否から始まり、普天間移設容認を求める当時の岸本名護市長や官邸とも会談を拒否し続けました。 

そしてもうひとつこの存在感の背景にあったのが、財政力、つまりいかに本土政府からカネをもぎ取ってくるのかというエゲツないパワーにもありました。 

だから、彼は本土政府に徹底抗戦する姿を県民に見せて支持率を伸ばし、それをバーゲニングパワー(交渉力)にしていたふしがあります。 

その成果は、上図の太田知事在任中がもっとも巨額の本土からのお金が流れ込んでいのことをみれば、多少はおわかりいただけるでしょう。

反基地を掲げて当選しておきながら、臆面もなく基地の見返りの振興予算を貰う矛盾の底には、「本土からの振興予算は賠償金のようなものだ」という強烈な被害者意識に根ざす「沖縄差別論」的発想があるようです。 

そして、それを常に加害者であることを本土政府に忘れさせないために、沖縄地上戦や戦後の異民族支配、米軍基地が蒸し返されます。 

このイデオローグ(※)が、他ならぬ太田昌秀氏でした。 

「沖縄差別」という概念もそのときに言い出されたもので、沖縄県民たちは被差別者で本土人は皆差別者なのだということになります。 

私が沖縄にいた30年前にはこんな表現はありませんでした。しかし、今や国会議員すら公然と使っています。 

そこから自分たちは、「差別されているのだからカネを貰ってあたりまえだ」という歪な考えが常態化していくことになります。 

しかし、現実には、本土政府はこの振興予算を基地の見返りとして交付しているのであって、ゼニを貰えば貰うほど基地は恒常化することになります。 

県知事参与の比嘉吉彦氏はこう述べています。日経新聞那覇支局大久保潤氏による

「本来、沖縄の保守と革新の間にはイデオロギー対立はありませんでした。どこが違うのかというと、革新は理想論を主張し、保守が現実論を言う。」 

「そして沖縄全体で政府から振興策を引き出す役割分担が続きました。1,972年の本土復帰も、運動を指導したのは教員ら官公労です。」 

「『本土並』を求めて公務員の給与は、ほぼ本土並になりました。復帰でいちばん恵まれたのは公務員だったのです。公務員は勝ち組となり、同時に革新勢力の担い手となりました。」 

昨日みたような公務員と民間の処遇の著しい格差は、本来は沖縄革新、つまりは沖縄左翼の恥だったはずです。 

しかし、復帰後の長い年月で固定化されてしまった安楽な指定席だったことは間違いありません。 

この本土政府と米軍に抵抗してさえいれば、島全体の賃金や経済を底上げしないでも自らの島の特権が守られるかのようなぬるま湯が沖縄革新をダメにしていきました。

方や保守勢力も、本土からもたらされる湯水のような振興予算を使って、やくたいもない建造物をニョキニョキと島内に作り続けてきたのですから、革新のことをとやかく言えた義理ではないかもしれませんが。

※イデオローグ イデオロギーの創始者 

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アナザー・サイド・オブ・オキナワその2 官高民低の公務員天国

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沖縄の憧れの仕事ってなんだかご存じでしょうか。まちがいなくそれは公務員です。2番目に教員です。

次に本土に行って勤めるが入るでしょうか。4番目は基地従業員かな。ひと頃大変な倍率でした。 

まぁ、典型的デフレ型就活パターンですね。 民間経済が弱い地方はこういう形になるんですよ。

給料が良くて、地位が安定していて、ついでにカッコイイというところです。それに沖縄の場合の特殊事情で、実家の近くというのもあります。

ただ本土企業は勤めても、また出戻ってしまうんですね。生活習慣が合わないとか、ポーク缶が喰えないとか(笑)。 

最近「内地」(←こういう言い方はいまでも使っています)でもポーク缶売っているんで、定着率高くなったとか(うそ)。

出戻って失業手当で食いながら、切れたらまた本土の大阪か東京にでも行くかという出稼ぎふうな奴も知っています。 

ふらふらしている時に女の子とできてしまって、できちゃった婚日本一、これも沖縄です。 

それに較べて女性はしっかりしていること男どもの十倍(推定値)ですから、即、こいつダメ男とわかったら容赦なく別れます。したがって離婚率日本一かもしれません。 

というわけで、中高生の夢は、男女共に公務員トップの県庁職員です。間違っても農業などという声はないでしょう(涙)。 

理由は安定しているからだけではありません。賃金格差が民間とは大違いだからです。 

沖縄はおおかたの地方がそうであるように、公務員はエライのです。特に、沖縄は民間企業が低賃金なぶんだけ、いっそう官高民低の公務員天国です。 

どのくらい格差があるかといえば、2006年3月に県が自らおこなった「沖縄県外部監査報告書」にはこのような記述があります。 (琉球新報06年3月29日による) 

「4年度の県内給与所得者の平均年収約340万円に対して、県職員の平均年収は722万円と2倍以上の格差が生じている。」 

さらに国家公務員の給与を100とした県のラスパイレス指標(※国家公務員の地方公務員との所得格差指標)は99.3と47都道府県で31位で、「県民所得が最下位なのに、疑問の余地が大きい」。

県の一般職員給与費を4年度当初予算の約半分にすること」を求めています。

つまり、沖縄社会の勝ち組は公務員で、民間の2倍もの賃金を得ており、過剰に県財政に負担をかけているから県職員への予算半分を半分にしろと外部監査報告は指摘しているわけです。

もちろん官民格差というのは沖縄だけのものではありません。2007年年2月7日の衆議院予算委員会における、伊藤達也議員(当時)の官民格差の質問の資料にはこうあります。 

官民給与格差(2007年調査) 予算委員会 

官民格差             平均給与月給
                 地方公務員(A)   民間(B)     (A/B)
 

宮崎県   A市清掃員    50.7万円  29.7万円  1.71倍
大阪府B市・学校給食員    44.8万円  18.6万円   2.41
   C県・用務員         40.9万円  15.6万円   2.63 
宮城県A市・自動車運転手  51.7万円  18.7万円   2.76
宮崎県D市・守衛        39.3万円  13.1万円   2.99
E県・電話交換手        43.0万円  13.9万円   3.09
宮城県A市・バス運転手    44.2万円  27.9万円   1.58 
 

上図は公務員現業労働者を中心にして、同じ職種の民間同業労働者の賃金と比較したものです。その大きさに唖然とさせられます。

地方公務員労働者の優遇ぶりには驚嘆します。学校給食センターのおばさんが44万、市営バス運転手の月収が50万円超というのはスゴイ! 

また地方公務員は平均月給40万円~50万円、民間は13万円~30万円という実態は貧困県にいけばいくほど拡がって行くものと思われます。

特に沖縄は、官公労の「本土並闘争」が、公務員給与では実ってしまったためにいっそう格差は拡がってしまいました。

県職員は、国家公務員の給与を100とした県のラスパイレス指標で99.3ですから、ほとんど国家公務員所得と同等を得ているのに対して、民間企業所得は全国で最低辺をさまよっているのですからその格差は、狭い島で別人種のようですらあります。

ちなみに沖縄の民間平均月収はこのような実態です。 

※沖縄県の民間年収試算(民間) 2010年

・男女計        ・・・323.19万円
・男           ・・・353.16万円
・女           ・・・273.34万円
cf.県職員平均年収・・・722万円

復帰以降、沖縄振興予算や基地対策費などが厖大に流れ込んだわけですが、その大部分はなんとかドームとか、県職員の給与に消えてしまったかと思うと、本土の納税者としてはやるせない気分です。

この凄まじいまでの官民格差が沖縄のもうひとつの顔です。

ではなぜ、この公務員と民間との格差が縮小しないのでしょうか。その前にいかに本土から沖縄に厖大な金が注ぎ込まれたのかを次に見てみましょう。

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TPP 西川委員長発言の裏事情

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今回の衝撃的だった西川公也(こうや)TPP対策委員長発言の裏事情がわかってきました。

結論から言えば、要するに現在諸外国(おそらく米、豪、NZ、カナダなど)の自由化率要求の90%台後半と、今のわが国の自由化率の溝を埋めるための彼の「私案」のようです。 

つまりは世論の風向きを見るアドバルーンにすぎません。だからこそ、しっかりと批判しておかねばなりません。

現在自由化率をめぐる攻防はこのようなもののようです。

・農産品5分野・・586品目(タリフライン)
※「タリフライン」関税における対象項目の分類の細目数のこと
・内訳
・コメ58、麦(小麦、大麦)109、牛肉・豚肉100、乳製品188、サトウキビ131品目

・全関税品目9018品目中を5分野を除くすべての関税をゼロにした場合の自由化率は93.5%にとどまる。 

すべての重要5品目が関税ゼロになったとしても、わが国の自由化率は93.5%のようです。

そこであと5%ていど譲歩しないとならないのではないかというが、西川委員長の読みなわけです。

となると「重要5品目」に手をつけざるをえないと西川氏は考えました。

先ほど述べたようにひと口で「重要5品目」といっても、それぞれ細かい加工品などに別れて実に586品目にもなります。

この中から同じ「5品目」といっても、わが国で作っていない、あるいは競合しない家畜飼料や加工品などは譲歩してもいいのではないかと考えました。

わが国農業に対する危険度が少ないものから交渉対象にするということです。

たとえば例をとれば、「コメ」本体の輸入は断固死守しても、「コメ加工品」の混合飼料や加工品などには譲歩の余地があるということになります。

なるほど交渉のリアリズムではあります。しかし、自民党の公約は「重要5品目は交渉すらしない」でした。

一方、TPPは100%関税ゼロが大原則です。このふたつの建て前に見事バインド゙されてしまってこの西川委員長発言が出たということです。

吉川委員長のリアリズムは結構ですが、しっかりとした議論を踏まえて広く共有されないと日本の立場の動揺につながりかねません

もう一点。、西川氏のような与党対策委員長でも、果たしてどの程度交渉状況の詳細を知っているのか、という疑問は残ります。

おそらく、今の高度な箝口令が敷かれた交渉の場からは(なにせ交渉員は2名に限定し、携帯も持ち込めない)、あまり情報が出ていはずで、与党対策委員長とてその例外ではないはずです。

したがって、この発言も、山田としお議員の推測どおり「いままでの持論を述べただけ」かもしれません。

山田氏はこの西川氏の「持論」すらも危険であり、米国がどのような要求を出してくるのかわからないのに、先をとって譲歩するべきではないとしています。これもまったく正論です。

西川発言を聞いて、「これで日本農業は壊滅だ、自民党の公約違反だ」と叫ぶ農業者の方も多いし、その気持ちは私も十分に共有しますが、まずはいったん客観分析せねばなりません。

そもそも、西川氏も甘利大臣もまだインドネシアにいるのですから、マスコミ報道に踊らされて騒ぐのもいかがなものかと思います。。

怒るのは西川氏の弁明を聞いてからにしましょう。

それからいくらでも怒れます。進展次第では、TPP反対派の与党議員に対して「自民党を離党せよ」の運動も起こすことができます。

ですから、今は感情的にならずに、いったん冷静に見ていきたいと思います。

山田議員のメールマガジンを転載いたします。失礼ながらやや悪文なので、いちおう私の要約を付けておきます。

●[要約 

①この西川の発言は、ぶら下がり取材で「日頃の持論」を述べてしまったものである。

自由化率(※全貿易品目のうち関税を撤廃している品目数の割合)
・日本の自由化率            ・・・88%
・日本の諸外国へのオファー     ・・・80%台
・諸外国の自由化率の提案水準   ・・・92~95%
 

③西川氏の発言は、この差を埋めるには、関税撤廃をしていない重要品目に手をつけざるをえないという趣旨。

④西川案は、影響が少ない品目の自由化は認めていくというが、それによって他の品目が影響を受けて変化するという危険が同居するのではないか。

米国の要求がまだ明らかでないうちに、あらかじめ妥協をするのはおかしい。もし、日本側の読みがはずれて、「それはありがたく頂戴しますが。要求はもっと別です」と言われたらどうするのか。

⑥現在の米国は内政が混乱の極にあるのに拙速にすぎる

⑦政府・党の国民に対する公約を守れ

⑧TPP反対グループと、安倍総理・菅官房長官・甘利大臣・林大臣・石破幹事長・西川委員長による会議を開催しろ。

なお改行などは適時施し、太字は引用者です。 

以下引用 

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■山田としお メールマガジン No.319***
                    2013年10月8日発行
 

【日本中を駆け巡った西川委員長発言】

 西川TPP対策委員長が、TPP閣僚会合と首脳会談が行われるインドネシア・バリ島にて、甘利大臣らとの打ち合わせ後のぶら下がり取材(会合を終えたあと記者が取り囲んで、会合の内容の報告等を求めるもの)で、日頃の持論を話されてしまいました。

 こうした記者会見は、不意を突いた質問が出たりしますし、準備して臨むものでないので、日頃の思いが出てしまうものです。話し出すと、次々に質問が出て、止められなくなります。そうした状況での発言なので、同情もしますが、海外からの電話で聞かされた直後は、「ああ、やってしまった」というのが私の受け止めでした。
 

西川委員長は、かつてのWTO交渉のときは、自民党の農林水産物貿易調査会の事務局長として辣腕をふるった方で、日本の農業を守る決意はだれよりも強い方だと思います。だから、「なぜだ、どうされたんだ」という感じでした。

【重要品目とタリフラインの関係】

 もう新聞各紙が書き競っているので詳細は省きますが、わが国は、全貿易品目のうち関税を撤廃している品目数の割合である自由化率(日本は88%程度になる)を、11カ国に対して80%台をオファーしているが、米国等輸出国は不満で、もっと引き上げるよう求めてい
るものだから、それを諸国が提案している92%~95%程度に引き上げるには、これまで関税撤廃を行っていない重要品目にも手をつけざるを得ない
 

言い替えると、自由化率を高めるためには、重要品目のタリフライン(コメの場合は、玄米・精米・米粉・米粉調整品等58にのぼる貿易分類上の品目のこと)のうち、貿易量の少ない品目や、影響のない品目を関税撤廃することで、関税撤廃しない品目数を絞り込む――という考え方です。 

ちなみに、農林水産品目全体における、これまで関税を撤廃したことのない品目数(タリフライン数)は834になり、鉱工業品を含むすべての品目数9018に占める割合は9.2%です。このうち、重要5品目の品目数(タリフライン)は586になり、この割合は6.5%です。

これらをすべて関税撤廃しないとなると、自由化率は90.8%と93.5%にとどまります。これでは各国の要求に応えられない、という問題意識のようです。

 この問題点は、その品目に関連するタリフラインの関税を撤廃した場合、現に輸入が無いから影響が無いと見ていいのか、それとも、これら関税を撤廃したタリフラインの輸入が増えて、他のタリフライン、ひいてはその品目全体の需給に影響を与えかねないという心
配があるのです。

簡単な例示で言うと、米粉に砂糖やでんぷんを加えた米粉調整品というタリフラインの関税を撤廃すると、それら米粉調整品の輸入が増えて、輸入後に遠心分離機で米粉や砂糖やでんぷんを分けてしまうと、米粉や砂糖やでんぷん本体の需給に影響を与えてしまうことになります。

まさに、将来的にはコメ全体の需給は大混乱となりかねません。西川委員長は、だから品目ごとに検証して、影響のないものは自由化するが、そうでないものは関税を残すのであって、「重要品目から抜くということを前提にするものでない」とおっしゃっているわけですが、危険が同居した考え方であると言わざるを得ないのです。

【各国の要求をきちんと掌握すべきだ】

 このことは、いくつかの点で問題があります。

 一つは、米国等と本格的な品目ごとの協議を行っていない段階で、米国の要求を踏まえないまま、日本側が重要品目について妥協しようというものであることです。

米国の要求は、もっと別のところにあって、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在することを認識し」という安倍総理―オバマ大統領の共同声明を踏まえたうえで、重要品目について一定の配慮は行うが、少なくとも、コメのMA米の扱いについて見直してほしいというものかもしれないし、麦についても、国家貿易の制度を維持し、米国からの買い付け枠の確保を維持してほしいというものかもしれないのです。

とすると、日本側が自由化率を拡大しても、米国にとっては何のメリットにもならず、むしろ米国としては、頂くものは頂いて、あとは追加で米国の上記要求を求めてくるかもしれないのです。要は、米国ときちんと協議して、日本側の対策を練るべきなのです。

 二つは、米国の来年度予算案が議会を通らないこと等もあり、米国内は大混乱にありますが、これらにオバマ大統領も縛られて、TPPの行方も定まらない中で、なぜ、日本が拙速な動きをしてしまうのか、ということです。

 三つは、党の決議や国会の決議があり、それを守るというのが政府・党の約束です。なのに、これに抵触しかねないこれらの判断を、一切、党で議論していないことです。まして、10月2日の生産者・消費者の「国会決議の実現を求める」全国集会で、石破幹事長は「重要品目は必ず守る」「選挙公約はたがえない」「そのことを約束いたします」と言明されました。その言葉が私の耳に鮮明に残っています。

なのに、場合によれば、重要品目を守ることにならないかもしれない提案を4日後に容認してしまうのは、一体どういうこ
とでしょうか。西川委員長は、石破幹事長と相談したことであると話し、石破幹事長も、「西川委員長は、重要品目の関税撤廃を前提にしないと言っており、そのためにも細目を検証するということだ」とおっしゃっている。

だから、新聞各紙の夕刊は、「TPP重要品目を見直し」「聖域の関税撤廃も」と見出しを書き、重要品目の見直し開始を世論にしてしまったのです。これでは納得がいかない。

【総理を加えた鳩首会談を実施し、政府の方針を確立すべきだ】

 ともかく帰国後、党のTPP対策委員会が開かれるので真意を聞くことになるし、私が事務局長を務める「TPP交渉における国益を守り抜く会」で、こうした進め方は絶対に認められないとするとともに、今後の対応を決めてゆきたい。

 ところで、私の提案ですが、安倍総理・菅官房長官・甘利大臣・林大臣・石破幹事長・西川委員長による会議を開催し、これまでの党・国会決議、そして各国との交渉の動きと問題点、今回の一連の騒動を整理し、政府と党で一致した今後の取り組み方針を立てるべ
きです。

その際、オバマ大統領との間で「日米両国のセンシティビティを認識した」共同声明をつくりあげることができたことを理由に、「私は公約を守った」「私に交渉参加の判断をさせてほしい」「私は日本の食と農を守る」「私を信じてほしい」とおっしゃっている安倍総理に、真の決意を表明していただきたい。

 これは、安倍さんを総理にし、安定政権をつくりあげた農業者や国民の、そして私の切なる願いです。

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TPP・5品目を交渉テーブルに出す?オバマ大統領欠席 年内妥結不可能か?

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TPPでニュースが二つあります。ひとつが、お読みになった方の全員ががゲソッとした5品目を交渉テーブルに出そうか、ということです。 

いうまでもなく、これをしたら、自民党は公約違反です。 

私たち農業者はおろか、前回自民党に投票した人すべてにしっかりとその理由を説明してもらわねばなりません。

交渉妥結しました。実はこんなにダメでした、というなら一度死んでもらいます。冗談じゃありませんよ、まったく。 

おそらく自民党内の中で半数を占めるTPP反対議員から怒号の糾弾を受けることでしょう。ぜひ、徹底的にやって下さい。

ただし、メ、乳製品などのひとつひとつの品目は、関税表の中で枝分かれしてコメだけで58品目、5分野(いわゆる5品目)で586品目となります。

TPP交渉は「コメ」としての一括交渉ではなく、これら細分化されした一品目ずつのつぶし合いになっています。

ですからたとえば、コメ本体輸入で日本が勝っても、コメ加工品のパックご飯で譲歩するという可能性もありえるということになります。

今までの実績としてはペルーなどとの自由貿易協定では、交渉後の関税残存率は約4%です。

賛成、反対といった立場をぬきにしてみれば、この今までの交渉実績である4~5%の350~450品目ていどが目安となります。

すから「重要5品目」中の一定の枝分かれした品目で譲歩の可能性かあるということです。 

自民党内TPP反対グループが、政界最大の反対派グループだというのは悲喜劇的ですが、ともかく与党内反対派に気合を入れてもらうしかありません。もう少し詳報が入ったら続報致します。 

さて、もうひとつがあの陰気なレームダック・オバマが、TPP首脳会合に出ないそうです。こっちは朗報といってよいでしょう。 

妥結のボトルネックはふたつです。ひとつは知的財産権の扱い、もうひとつは農業分野です。 

現在延々とした交渉によっても、わずか3分の1しか交渉議題が煮詰まっていません。知的財産権は、東南アジア諸国の死活問題なために厳しい抵抗に合っています。 

農業分野は逆に、先進諸国の農畜産業界からの徹底的な反対に遭遇しています。 

このままいくと結局なにも決まらないので有名なWTOの二の舞になってしまうので、打開策として交渉参加国を経済協力開発機構(OECD)への加盟・非加盟で先進国と新興国とを分けるという案が浮上しました。 

つまり、これで先進国と振興国を分けて、新興国には知的財産権などの分野で猶予期間などを与えるという方向のようです。ちなみに1人あたりGDPが高いシンガポールは先進国に分類されるようです。 

とはいいつつ、もっともゴネているのがなにを隠そう米国です。あの国は経済交渉となると、ダブルスタンダードはあたり前、二枚舌、三枚舌がヒラヒラします。

オバマケアで、わが国の足元にも及ばない国民皆保険のまねごとやりつつ、わが国の皆保険制度が崩壊しかねないことを言ってきています。

日本政府は弱腰にも、郵便局の簡保商品の販売を取りやめて、かわりにアフラックを売ることにしたそうです。

桜井君、その辺わかってるのかね。アヒルと遊んでいる場合じゃないよ(笑い)。

あるいは、自分の国の自動車の環境性能が悪いのを棚に上げて、わが国の環境基準が高いのなんのとほざきます。まったくバッカじゃないかと思います。

米国が閣僚会合の中で、以下を主張した模様です。 

①特許権や著作権など知的財産の保護強化
②国有企業の優遇措置の見直し
③環境基準の扱い
 

①はジェネリック薬品の扱いや、細部では手術の術式まで討議されているようです。手術の術式です。あの国はそんなものにまで知的所有権をかけようとしているんですよ。

このジェネリック薬品は、世界に冠たる医薬・化学産業を持つ米国がかねてから、特許期間の延長を主張していました。

もし、米国の要求が通るとが国も含めて、安いジェネリック薬品で薬価を押えている諸国にとっては事実上使用できなくなります。

日本の世界に誇る国民皆保険制度が成り立っているのは、安く薬が手に入るという点にもあるからです。

ベトナムなどの医療水準が遅れた新興国でも、多くの国民に良い医療を受けさせるためには安くて質のいい薬品が必要なのです。

そのように主張すると米国はたぶんこう言うはずです。
「ならば、民間医療保険を充実させたらいいではないか」。

それはどういう意味かといえば、米国の民間保険会社をドドっと参入させなさいということなのです。

米国の戦略はこうです。

まず、知的所有権という一見国民皆保険とは無関係なことでジェネリック薬品を潰す。

これで薬価が上がって皆保険制度の運営がピンチになります。

次に、「制度的事項」などの医療、・保険、政府調達分野で、オレの国の商品を売りたいからお前の国内の諸制度を変えろという内政干渉まがい、いや内政干渉そのものを協議させます。

米国が大好きな言い方で言えば「関税外障壁の撤廃」のことです。彼らが気にくわなければ、全部難くせをつけて「関税外障壁」で攻撃する、これがアメリカン・スタイルです。 

たとえば我が国が、医療保険制度の保険補償をいくらにしていくのかという政策決定に医薬品会社を入れてこなかったのを認めろと米国は言ってきています。 

これは一見分かりにくいですが、要は米国ファイザーのような米国医薬品会社に審議会で発言権を認めろということです。 

これは既に米韓FTAをしている韓国でやって、医療保険制度が米国に牛耳られる状況に立ち至っています。

韓国は止せばいいのに米国医療そっくりの「特区」まで作って、ここで成功したら全国化する予定のようです。

わが国でも、このような「自由化特区」という案が経済競争力会議の民間議員から出てくる可能性かありますので警戒が必要です。

いいですか、これはわが国がわが国の国民に対して行っている健康、医療、保険、福祉といった分野です。

まさにわが国の主権中の主権です。自分の国の国民の健康も守れない国は、国てはありませんから。

また②は、明らかにベトナムの国有企業を名指しているようで、実は中国が参加に色気を見せつつできなかった最大の理由は国有企業の存在でした。 

これを一般企業と同等の競争環境に置くと国有企業は崩壊の危機を迎えかねません。

これ社会主義をとるベトナムにとってはいらんお世話です。 

③の環境基準は、米国が日本に自動車の環境基準を緩めるようにというたわけた要求を日米交渉の中でしているようです。 

これらの項目で、おそらくは米国とベトナムがガチンコの対立をしていると思われます。アタマに来たらベトナムは米国に、「もう一回やって見ますか?」と聞けばよろしい。 

さて、これを解決するべく「盟主」米国のオバマ大統領が乗り込むはずでしたが、これがとんだ屁たれ。

今や外国とどうのいうより、下手をすると連邦職員のレイオフどころか、債務不履行という最悪の事態に立ち至っているために見送りとなりました。 

まことにオバマ大統領にとっては運が悪く、わがニッポンにとっては運がいいことです。 

とりあえず、これでヌサドゥア会合はたいした収穫なくお開きになるはずです。 

「交渉参加国は11月末までに交渉官による作業部会や2国間協議を開き、残された課題の最終調整を行い、12月の閣僚会合で最終合意を得るシナリオだ。」(産経10月6日) 

しかし、今回のまたとない首脳会合というトップ同士の決着が流れた以上、そうそう簡単には年内妥結になどは至らないと思います。

一方オバマ氏の欠席を奇貨として、「習近平国家主席は交渉参加国を懐柔し、アジア・太平洋地域の経済連携の枠組みづくりで主導権を握る構えだ」(産経10月7日) だそうです。

既に、ASEAN諸国のなかで領海紛争をもたないマレーシアに経済連携、安全保障の「包括的協力推進」を申し出て合意にたっしたようです。

これでは、TPP推進派が言っていた、TPP中国包囲論はとんだ絵に描いた餅になりますね(苦笑)。

私は初めからそんな中国包囲戦略はありえないと思っていたので意外でありませんが。

習氏に「マレーシアが地域で重要な役割を果たしていくことを楽しみにしている」なんていわしては米国の負けです。

できたら、続いて韓国にも交渉参加していただいて、各国交渉のテーブルで「歴史認識」なんぞを吹きまくってTPP自体を太平洋の藻屑にしていただきたいと思います。

 

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■「聖域」5品目の関税撤廃も 自民検討へ
中日2013年10月7日

ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)=斉場保伸】自民党の西川公也環太平洋連携協定(TPP)対策委員長は6日、TPP交渉が開かれているバリ島で記者団に対し、「聖域」として関税維持を求めてきたコメなど農産物の重要5品目について、関税撤廃できるかどうかを党内で検討することを明らかにした。

 自民党は昨年末の衆院選で、「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」との公約を掲げ、重要5品目を守る姿勢を打ち出してきた。関税撤廃検討は、こうした公約を反故にするともいえる。これまで交渉の経緯を説明してこなかったこともあり、国内の反発は必至だ。 

 西川氏は重要5品目(関税分類上は586品目)の扱いについて「勘案しない姿勢が取り続けられるかどうかという問題がある」と説明。その上で「関税撤廃できるかどうか検討する」と語った。同時に関税撤廃で農林水産業が打撃を受ける場合に備えた対策の検討も表明した。 

 甘利明TPP担当相は「党がいろいろ考えていただけるのはありがたい。党と連携を取っていきたい」と話した。 

■環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉は年内妥結をもっとも急いでいた米国のオバマ大統領が国内事情により欠席する。主役の不在によって年内妥結に向けたシナリオはにわかに不透明になった。

各国の利害が交錯するTPP交渉は、首脳会合の中で政治的な妥協をはかるしかない。その機会がオバマ大統領の不在で失われた形となった。交渉妥結をもっとも急いでいた米国にとって手痛い誤算であろう。

オバマ大統領を欠いた8日の首脳会合では、それでも「大筋合意」の宣言をする方向だといわれるが、年内妥結の道は険しい。

<【ヌサドゥア=本田誠】6日閉幕した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は、オバマ米大統領の首脳会合欠席の衝撃が広がる中で、目標の年内妥結に向け意見集約を進めた。難航分野で新興国に一定の譲歩を検討するなど、協議に進展もみられたが、具体的な詰めの作業はこれからだ。首脳会合は“主役”となる米大統領の不在で、重要な政治判断の機会を逃した形となり、年内妥結に向けた道筋は険しい。

「年内の交渉妥結に向けて日本として引き続き精力的に交渉を進めていきたい」

甘利明TPP担当相は同日の会合後、記者団に対し年内妥結に向け、交渉を一段と加速する考えを強調した。

閣僚会合で最大の焦点となったのは、特許権や著作権など知的財産の保護強化▽国有企業の優遇措置の見直し▽環境基準の扱い-の3分野だ。交渉では米国と新興国が激しく対立し、協議が行き詰まっていた。

打開策として、知的財産分野の一部で、日米など先進国がマレーシア、ペルー、ベトナム、ブルネイの新興4カ国に一定の配慮をし、目標到達期間で先進国よりも長い猶予期間を認めるなどの案が浮上した。

経済協力開発機構(OECD)への加盟・非加盟で先進国と新興国とを分け、1人当たり国内総生産(GDP)が高いシンガポールは先進国に分類する方向で検討している。

こうした議論を踏まえ、8日の首脳会合では「大筋合意」を宣言する見通しだ。しかし、それでも年内妥結に向けた課題は山積している。

先進国による知財分野などの譲歩案も、詳細は固まっておらず、新興国の納得を得られない可能性がある。また、最難関の農産品や工業品の関税撤廃については、閣僚会合で個別品目にわたる詳細な協議が見送られ、首脳会合以降に持ち越された。

交渉参加国は11月末までに交渉官による作業部会や2国間協議を開き、残された課題の最終調整を行い、12月の閣僚会合で最終合意を得るシナリオだ。

しかし、交渉推進の要だったオバマ大統領の欠席により、首脳会合における重要な“政治的判断”がなされる機会は損なわれた。今回の首脳会合は年内に12カ国の首脳が集まる最後の機会だっただけに、年内妥結に向けたシナリオにも、影響がでる恐れがある。

 

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アナザー・サイド・オブ・オキナワその1  表からだけ見てもわからない沖縄

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沖縄という土地は、内側に入ってみねばわからないところがあります。

たとえば、いつだった民主党、共産党の統一候補が沖縄で破れた時に、出演していたジャーナリストが、「格差社会を是正しようとしている民主党がなんで負けるのか分からない。沖縄県は日本一の格差県だろう」ということを言っていたのを覚えています。

それを泡盛を呑みながら(←今でも定番で飲んでます)聞いていた私は、滑るなぁというかんじでした。よくあるのですよ、こういう言い方。

沖縄を貧困と格差、米軍基地の地獄のように言うのも、社会派といわれるジャーナリストお得意の沖縄節ですから、おおかたこの人、そんなふうに思ったのでしょうな。

沖縄は虐げられている、という先入観が抜けきれないでいるんですね。一定の年代以上の特有のものかと思ったら、いまでも生きています。そのことにかえってびっくりしました。

格差日本一というなら、この私など沖縄でも農家でしたからボトムもボトム、「日本一の負け組」(変な言い方)だったわけですが、沖縄はそんなに特殊にヒドイのかと、改めて今住む限界集落的な本土の農村で思います。

沖縄を「地獄」のように言いたい人には物足りないかもしれませんが、沖縄はいたってフツーの地方ですよ。

物価は、先島に行けば高いですが本島にいるかぎり本土並です。ガソリンなんか特別措置で安いくらい。

公共インフラなんぞピカピカで、ちょっと離れた小島にまで几帳面に橋が架かっています。

防衛予算で作った石川多目的ドームや宜野座ドームなんか、本土でもなかなかお目にかかれません。

この石川ドームは昔、野天の闘牛場でした。あれもあれで南国的で好きだったんですがね。岩のような雄牛がガジっとぶつかると、ほんとうにガツンっと音がするんですよ。

ドームじゃムードないなぁと思いますが、公共施設の充実度は統計をとったらたぶんダントツ日本一でしょう。

わが茨城県に就職した沖縄の若い衆が、「茨城はなんもねぇんすね」と笑ってました。(なくて悪かったな)。

確かに基地はありますよ。しかし、私、出身は厚木基地から歩いて数十分の場所でしたので、米軍機の轟音は聞き慣れています。

子供の頃は米軍機がよく落ちていました。神奈川の国道16号沿いなんか基地だらけで、その密集度は本島中部といい勝負です。

当時は、ベトナム還りのファントムでしたら、その爆音たるやハンパじゃなくて、先生の声なんかまったく聞こえませんでした。

空調なんかなかったので、窓開けていたせいもありますが。普天間2中なんて、かつての「爆音少年」としては同情しますが、なんでさっさと引っ越さないんですかね。

南部の那覇や首里なんて爆音は民間機じゃないですか。静かなもの。

そんな話を沖縄の連中にすると、「えッ、本土にも米軍基地があるんだぁ」と言われて、のけぞりました。あるに決まってンだろうが、ゴラぁ~!

沖縄の連中は沖縄にしか基地が無いと思っているらしい、というトリビィアでした。

もし、なんか「特別」なことがあるとすれば、それは本土政府(←これもこんな言い方するのはここだけ)がメチャクチャに沖縄を腫れ物扱いしていることでしょう。神奈川なんかちっとも特別扱いしてくれなかったのになぁ。

辺野古に基地作るって言ってますが、世界中見渡しても所在国が基地作ってやるのは日本くらいですよ。

それも、こういうと怒られるかもしれませんが、普天間移設は本土政府の「好意」だったのです。ただしトンチンカンな。

こんな住宅密集地に基地があったら危ないと思って、橋本さんがよかれと思ってやって14年。

いきなりハトさんがちゃぶ台返しをやってから、一気に「基地移設反対」ということで反基地闘争のシンボルに転化したのです。

移設反対、県外無理ですから、永遠に普天間にいてくれということでしょうか。

たしかに給料は安いですよ。失業率は日本最悪です。私も沖縄で百姓になる前に、那覇のハローワークに通いましたが、見事に事務仕事はなかったですね。

ガテン系やホテル関係はけっこうあるんですが、島の若い人はパスしたがります。だからいつも人手不足です。観光は島の基幹産業なのに3Kで嫌われています。

竹富島や与那国で、まっ黒になってサンシン片手に水牛操っているガイドはほとんど全員がナイチャーです。

どうも沖縄の若い人には、本土は皆東京みたいで、全員スーツきて空調効いた部屋で働いていると思っている節がありますね(苦笑)。違うんだって。

しかし、それはみんな本土、ヤマトのせいでしょうか。みんなヤマトが悪いのさぁ、と叫んでいても仕方がないじゃないですか。

もう少しそのあたりをできるだけインサイドから、堅くならないで見ていきたいと思います。

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週末写真館 マイケル一家

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見えますか?後ろにちょっとだけ。
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のそっとお母さんの前に失礼。

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母親など目もくれず。ママのなんともいえない顔。

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最後は素通りしてお尻でぷりっ。

なんか大笑い。
猫って無条件におかしい。

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沖縄独立という夢その2 条件が整っているクルド族がなぜ独立できないのか?

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沖縄選出社民党参議院議員の照屋寛徳氏には「独立」を述べたものがあります。 (欄外参照)

この照屋氏とは国会議員になる以前に面識があります。

彼は島の古株の左翼弁護士で、住民運動などの弁護も引き受けて頂いていました。当時私は沖縄の住民運動と関わっていたので、そのご縁で会話を交わしたことがあります。 

さて、照屋寛徳氏のこの文章を読むとなんともやるせない気持ちにすらなります。 

「100万人規模の独立国がたくさんある」という部分には脱力感すら覚えます。国会議員でありながら、政治オンチもいいところです。 

たとえば、沖縄と同じ島国のキプロス共和国は人口約87万人でも独立国ですが、一方クルド族は推定2500万から3000万人という人口を擁しながらも、いまだ12カ国に分散して国家を持っていません。

ちなみに、この人口規模はオランダの1659万人よりはるかに大きく中規模国家並のボリュームがあります。 

今クルド民族は、湾岸戦争、イラク戦争で米軍に協力した見返りとしてイラク北部に自治領を獲得しています。

治安もよく、「第2のドバイ」を目指してなかなかの好景気のようです。(図Wikipedia)

クルドの位置

しかし石油油田を持つ豊かな経済力を持ち、人口3千万、クルディスタン地域政府(KRG)、ペシュメルガという準国軍やなんと独自通貨まで有しながらも、クルディスタン共和国はまだ先の話のようです。 

沖縄よりはるかに「独立」可能な条件を持ちながら(沖縄にはこのすべてがありませんから)、クルド族が独立できない理由は、隣国トルコやシリアなどの近隣国がそれを許さないからです。 

特にトルコは自国内部に1140万人規模といわれる世界最大のクルド人コミュニティを抱えており、クルド労働党のテロに悩まされてきました。 

もしイラク北部に限定的にであれクルディスタンを作られた場合、自国内部でも呼応する可能性があって、トルコは頑としてクルド族の独立を阻むでしょう。 

つまり、いくら、一定規模の「国力」を持っていても、置かれた国際環境が承認しない限り独立はありえないのです。 

では改めて沖縄が置かれた地政学的位置を確認してみましょう。おそらく世界でも有数の複雑なパワーポリティクスの中に浮いている島だとわかると思います。 

列挙しただけでも
・日本にとって覇権主義国家・中国との安全保障上の最前線
・中国にとって海洋覇権を制する地域
・米国にとって、アフリカから中東アジアまで含む国際戦略上の最重要拠点
・台湾にとって有事支援の緊急展開拠点
・韓国にとって有事支援の緊急展開拠点

これだけ各国の利害が輻輳した地域に単純な「独立」はありえません。逆にいえば、これらの国々が沖縄の「独立」を承認せねば「独立」に辿り着かないことになります。 

たとえば仮に中国が先行して承認したとすれば、それは日米台を敵に回してのことになります。

逆に日米が沖縄の「独立」を先行して承認する可能性は、かぎりなくゼロです。 

ですから、規模は決定的理由にはならないのです。 

人口が少なかろうと多かろうと、その民族を取りまく国際環境の政治力学次第で、独立が認められたり否定されたするのが現実だと言えます。 

そこで照屋さんにお聞きしたいのですが、そもそも「独立」とはなんですか。定義してくださいませんか。

経済的独立ですか?心情的独立なんでしょうか?よもや法的独立じゃないでしょうね。

法的独立なら日本の法律には「独立」の項目はありませんから、というよりそんな分離独立という国家の根幹を危うくする政治行動を認めた法を持つ国なんて、この世界には存在しません。 

米国が国外最大の戦略拠点を、なんの抵抗もなく譲り渡すなどと夢想しているのではないでしょうね。無血で「独立」がなされるとでも考えているのでしょうか

かつて琉球独立派は、「有事独立」論を説いていました。有事、つまり沖縄を巻き込む戦争が起きた場合、「独立」して米軍基地を撤去させ平和を維持するという考えです。

むしろ現実には、好むと好まざるとに関わらず基地があることによって東アジアの「平和」が保たれているというのが実情なのですが、「有事独立」論は現実の国際政治の中ではどのように作用するでしょう。

有事のために米軍基地はあるのですから、それが肝心なその時になって利用できないという事態はありえないことです。

また沖縄基地が必要とされる東アジア情勢は、日本にとっても米国と利害を共有するはずです。

唯一近隣諸国の中で利害を別にする中国のみは、この沖縄の「有事独立」を熱烈に歓迎し、物理的・政治的に支援するでしょう。

ならば、日米両国は沖縄の「独立」を認めることはなく、「いかなる手段」を使ってでもそれを拒否することを決意するでしょう。

平和を求めるはずが、かえって流血の惨事を引き起こしかねないのです。

また県民がおそらくは真っ二つになると思われます。極少派の「独立派」の背後に中国が見え隠れすれば尚更です。 

その場合、かつての返還闘争末期のように、県民同士の血で血を洗う内部闘争が必ず起きるでしょう。

先に述べたクルド自治区においても、主導権争いでクルド族同士の内戦が発生し数千人が死亡しています。 

居酒屋独立論ではあるまいし、「法的独立」という概念は軽々しく国会議員が使っていい概念ではありません。

沖縄人が「独立」を構想するなら、それは法的な狭い意味での分離「独立」、すなわち流血を伴う闘争によるものではなく、静かに平和的に力を蓄えていき本土政府から経済的に自立する方向であるべきです。

それはかなり長い時間が必要でしょう。しかし、その時には沖縄基地を必要としない国際環境が整っているかもしれません。

その時にこそ、慎重に戦略を描いて「高度な自治」を本土政府に要求したらいかがでしょうか。

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照屋寛徳「沖縄、ついにヤマトから独立へ」
2013年4月1日
http://terukan.ti-da.net/e4584676

「私は、明治いらいの近現代史の中で、時の政権から沖縄は常に差別され、今なおウチナーンチュは日本国民として扱われていない現実の中で、沖縄は一層日本国から独立した方が良い、と真剣に思っている。
 沖縄の人口は140万人を超えている。国際社会には人口100万規模の独立国がたくさんある
 今朝(4月1日)の地元二紙朝刊によると、来る5月15日「琉球民族の琉球民族による琉球民族のための学会」と定めた「琉球民族独立総合研究学会」というものが正式発足するらしい。
 許されるならば(会員資格のうえで)私も学会に加わりたい。
 学会の設立趣意書によると、「薩摩侵攻、琉球処分からオスプレイの強行配備までを挙げ『日米による琉球差別であり、植民地支配』」「日本人は琉球を犠牲にして『日本の平和と繁栄』を享受し続けている」と批判している」。
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※琉球民族独立総合研究学会HP
http://www.acsils.org/ 

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沖縄独立という夢その1 私が愛した琉球独立派

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消費税については日をあらためて分析するつもりですが、なにぶん今は気力が湧きません。

ちょっと話題を変えることにして、途切れていた沖縄シリーズを少し視点を変えて続けることにします。

さて私の中には、沖縄の「独立」に心情的に共鳴できる部分があります。 

沖縄が、奄美まで含めた琉球弧として自らの足で立ち、自らの決定する方向に、自らの力で歩みを進めることは青年の頃の私の夢でした。  

その夢を胸いっぱい吸い込んで、私は32年前、沖縄に渡りハルサー(農民)になろうとしました。

百姓仕事もしたことがない男が、異邦に等しい場所でずいぶんと無理をしたものです。

今の妙にベテランになってしまった私に相談されたら、やめたほうが無難だよ、と言うかもしれません。しかし、それを突っ切ってしまうところから、私の農業人生が始まったのですから、やってはみるものです。

そして飛びこんだ先のムラには、たまたま琉球独立派の沖縄青年が農家としてヤンバルの赤土にしがみついていました。

彼らとは、ある時はカボチャ畑の隅に捨てられたぼろトラックの中で、ある時は明るい月光の下で語り合いました。作柄や生活のこと、そして琉球独立のこと。

今思うと、私は彼らの独立論を感性では一体化を望みながら、理性の一部では拒否していた気がします。

当時は島酒のせいかと思っていましたが、そうてはないようです。私が求めていたのは、「沖縄が独立するための具体性」でした。現実性といってもいいかもしれません。 

しかし、肝心な現実的プロセスの話になると、彼らは「琉球民族のアイデンティティ」に立ち戻ってしまうのです。

つまり「琉球独立」とは、やがて辿り着きたいニライカナイのようなものなのかもしれません。 

私からすればあくまでそこは出発点であって、それだけで煮詰められるとヤマトゥから来た私はどこかでついていけなくなったことを覚えています。 

しかし当時の琉球独立シンパの私さえも納得させることができなければ、気持ちのいい分離独立などができるはずがないじゃありませんか。

「ロマンじゃなくて、ほんとうにできるのか」と何度となく私は思っていたようです。

一方、当時の琉球独立派は、「独立」こそ唱えてはいましたが、食と経済的自立を中心においた地道な運動でした。  

まずは食の自給だということで、金武湾に浮く小島にイモを植えに行きました。彼らは沖縄自給のシンボルとして芋を位置づけて、食いたくもない芋を毎回食卓に乗せていたのです。

というのは当時、今もそうかもしれませんが、沖縄はまったく米がとれませんでした。 

昔は本島各所で米を作っていたのですが、戦後平坦な部分は基地に取られ、サトウキビに生産主力が置き換わる中で、少し残っていた谷津田は完全に消滅しました。

きれいさっぱりなくなるというのが、本土との大きな違いです。本土は、私の今住む村もそうですが、しぶとく生き残っています。 

沖縄の主食は、本土から送られてくる訳の分からないブレンド米であり、古々米まで混入していたのではないでしょうか。そのまずさは絶品ものでした。 

芋は戦前から重要な食料でしたが、ある世代以前はそればかり食べていたもので、正直言って、見たくもない食い物であったようです。 

その食いたくもない、いや見たくもない芋が、実は本土と決別する「武器」であると彼らは考えたようです。 

彼らの「食の自立」から沖縄独立を構想するという発想は、いまの私から見ても素晴らしいものだと思います。 

彼らは、米軍基地を芋畑で包囲してやるという夢を語っていました。すごい構想力です。

それはヤマトゥとアメリカァーによらないウチナーユ(沖縄世)がありえることを、かいま見させてくれました。 

ただし、本土からの古々米を拒否し、米軍支給から始まったポーク缶を食卓から追い出し、米軍が持ち込んだ大量の小麦粉から始まった沖縄そばを食べることを止められたらとしたら、ですが。 

彼らの構想はあまりにもストイックであり、現実になじむことが得意なエピキュリアンの同胞にはまったくといっていいほど共感を呼ばなかったようです。

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安倍首相、消費税8%を表明 アベノミックスの早すぎた終焉

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ご承知のように、安倍首相は、木下康司財務次官、黒田日銀総裁などの財務トップと、麻生副総理、石破幹事長などの政権中枢増税派の十重二十重の包囲網に抗しきれませんでした。

安倍首相は、党内の上げ潮派すら完全にまとめきれておらず、最終的には孤独の戦いを強いられたようです。

ここまで強力な財務省とマスメディアによって弾幕が張られてしまうと、いかに彼が高支持率を背景にしているとはいえ厳しかったと思われます。

首相の戦術ミスの側面もあります。

日銀短観をめどにすると言ってしまったために、これにより決断を迫られた格好になりました。短観ですら大企業は上向いたものの(+13)、中小企業は落ち込んでいます(-4)。

あくまでも「デフレ脱却」を指標とするべきでした。コアコアCPI(※食料及びエネルギーを除く消費者物価指数総合)の8月期マイナス0.1%で突っぱねられたはずです。

これは安倍首相と自民党の公約違反です。

政治的にはここまで引っ張ったために、首相の全責任という構図になってしまいました。

彼が消費増税に賛成ならば、さっさと「三党合意」を楯にして上げられたのであって、その方が政権に痛みがなかったでしょう。

といっても、野党は共産党、生活を除いてオール増税支持派ですからあんがい波風はたたないかもしれませんが。

いままで増税を煽ってきたマスメディアは、手の平を返したように「安倍消費税で庶民悲鳴」というような反安倍キャンペーンを張るはずです。

まぁマスメディアは「国際公約」なることまで言い出して煽っていたので、しなかった場合には「決断できない首相。国の借金に待ったなし」とか報道したんでしょうが(苦笑)。

しかし、特に復興特別法人税引き下げをしてしまったのは痛恨の失敗でした。三党合意の福祉目的税一本で説明すべきでした。

いくら首相が会見で「福祉目的に全額使う」と明言しても、復興を切り捨てて腹黒狸の経団連にすり寄ったという印象は否めません。

と言っても安倍首相は、復興予算25兆は崩さないと言明しており、民主党時代の17兆よりはるかに大きい予算枠を既に作っているのですから、野党はこの問題では攻めきれないはずです。

法人税減税は、景気浮揚効果もないうえに国民生活を犠牲にした企業優先という印象はまぬがれません。

腹黒狸の米倉会長は企業の270兆まで膨れ上がった内部留保を更に増やすでしょう。

やるなら設備投資減税、しかも国内への企業投資に対して政策誘導的に減税すべきで、こんなベタな法人税減税には国民所得を奪う以外の効果はありません。

財務省もいやがっていたのですから、財務官僚を楯に使ってでもここは腹黒狸の要求を拒否すべきでした。大きなマイナスです。

ただし、5兆円規模の財政出動を一体化しているのはせめてもの救いです。民主党政権なら、この部分がなくむき出しの増税だけだったはずです。しかし、少ない!

わずか5兆(+投資雇用減税1兆)では、増税による経済縮小の負の乗数効果による15兆ともいわれる減をカバーできません。

おそらく来年4月以降は税収の減収になるでしょう。ばかな話です。だからあれだけやめろと言ってきたではありませんか。

もうひとつ、円高が戻ってきます。EUは経済破綻寸前のイタリアの政権信任投票をします。

スペイン、ギリシアについでEU主要国のイタリアまで破綻国に転落すれば、いっそう安定した円が買われる状態、つまり円高に振れます。

おまけにオバマの失政(オバマケア)による予算の不成立で、米国がとうとう連邦政府職員の部分的レイオフに入りました。

ベトナム、ブラジルなどの新興国は景気の行き足が止まりました。

すべての国際経済の要因は、円高に向いています。この時期になぜ増税をやるのか!

増税による経済減速と円高で、アベノミックスは終わりました

これでわが国の経済再生は7割がた潰れて、アベノミックス以前に回帰しました。

次の10%はもっと早めに声を上げて、メディアによるおかしな同調圧力を作られる前に国民全体で阻止せねばなりません。

私は哀しく、そして心底怒っています。いっそう最高裁に出直し選挙を命じてもらって、もう一回衆院選挙をやり直したらどうでしょうか。

             。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚

■首相会見詳報http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131001/plc13100119320019-n1.htm

■安倍首相が4月引き上げ正式表明 「最後の最後まで悩んだ」
産経新聞 2013.10.1 18:31 

安倍晋三首相は1日夕、官邸で記者会見を行い、平成26年4月に消費税率を現行の5%から8%に引き上げることを正式に表明した。

「消費税率を法律で定められた通り現行の5%から8%に3%引き上げる決断をした。社会保障を安定させ、厳しい財源を確保するため待ったなしだ」と述べた。

 安倍首相は記者会見で、消費税率8%引き上げを決断したことに、「最後の最後まで悩んだ。熟慮した結論だ」と述べた。決断の理由として各種の経済指標が改善したことを挙げ、デフレ脱却や財政再建、成長を底上げする経済政策に同時に取り組む意欲を強調した。

 また、「社会保障を安定させ、厳しい財政を再建するため、財源確保は待ったなしだ」と述べ、「経済再生への自信を取り戻す。国の信認を維持し、社会保障制度を次世代にしっかりと引き渡す。これらを同時に進めるのが私の内閣に与えられた責任だ」と述べた。

 増税分で得られた税収の使途では、「社会保障に全額使う」と明言。法人税の実効税率引き下げには、「国際競争に打ち勝つため、真剣に検討を進めなければならない」と訴えた。

一方、首相は消費増税に伴い12月に策定する経済対策は「5兆円規模になる」と指摘。復興特別法人税は「1年前倒しでの廃止を検討する」と表明。「廃止が賃金上昇につながっていくことを踏まえ、12月中に結論を得たい」と述べた。

 平成27年10月に消費税率を10%に引き上げると定めた消費税増税法の扱いについては、「改めて経済状況などを総合的に勘案し、判断時期も含めて適切に判断したい」と述べた。

アベノミクス最初のエラー 消費税増税に海外紙から厳しい声
nifty 2013年10月1日

安倍首相は1日、来年4月から消費税を8%へ増税すると正式に発表した。景気回復への悪影響が懸念されるのに対し、景気刺激策および法人税減税もセットで行う方針だと報じられている。

【たかだか8%で騒ぐ理由】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、英国の20%など、欧米諸国の付加価値税に比べればまだ安い税率であることを指摘した(非課税品目の有無などには触れない単純比較であるが)。そのうえで、それが論争を呼んでいる理由は、1997年の前回増税時、実際に不況を招いたからだと説明。安倍政権において最初の政策エラーだ、と手厳しい。

 消費税増税は、現在の景気回復を主導している消費者支出を直撃する。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、米国エコノミストの間では、超党派で、増税すべきでないとの考えが優勢のようだ。

 非営利団体の日本経済研究センターが調査した41エコノミスト予想では、日本のGDP成長率は3月31日までの現年度の2.7%に対し、4月の増税以後の次年度には0.62%に低下する。

【長期金利上昇は困るのか】
 一方で増税賛成派は、アジア通貨暴落や日本の銀行危機などがあった97年当時よりは状況が良く、むしろ今がチャンスと主張している。また、増税を見送れば債権市場の信頼を失い、金利上昇に見舞われるとの懸念を示している。

 フィナンシャル・タイムズ紙の別の記事では、日本は元々構造的に債券の需要が供給を圧倒しており、世界で唯一、債券利回りの下落が続いていると指摘。自信が強まって余剰資金がリスク資産や実体経済活動に回されない限り、債券利回りは上がらない。同紙は、債券市場崩壊というシナリオを、災害映画に類する「アベゲドン」と呼んでいる。

【法人減税・公共支出・金融政策】
 日経新聞の最新の世論調査では、安倍政権の支持率は66%あるが、増税賛成は47%、反対は48%であった。さらに法人減税については、「日本の個人と法人の税バランスを他国のそれに近づけようとするため」であるが「有権者の友好度をテストする」ことになると、フィナンシャル・タイムズ紙は評している。

 また、今企業に設備投資をさせて能力拡大させる意味があるのかという疑問もある。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、連立与党内にさえ反対があると報じている。

 公共事業支出や低所得者層への現金配布などの景気刺激パッケージについても、同紙は、7.5兆円と予想される増税での増収を帳消しにしてしまうと指摘する。過去、政権が「有権者を喜ばせるため」に使ってきたこのような政策は、エコノミストらによると、永続的な経済浮揚効果は少ないという。

 同紙は、日銀の金融刺激策拡大で円安とリスク資産市場を強く保つ、第3の景気悪化対策が主軸になるだろうとも論じている。その重責は黒田日銀総裁にかかり、米国の利下げ政策「グリーンスパンプット」や「バーナンキプット」に並ぶ、「黒田プット」の出現を見るだろうという。

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愚者は歴史に学ばずになるな! 本日首相決断!

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今日、増税の有無が決せられることになります。

え、なに?もう決まっているんじゃないのって。そう、多くの日本人がそのように情報の強制刷り込みを受けてきました。

まさに、連日、くどいくらいに、朝日新聞、日経新聞以下すべての新聞が「首相、増税決断」と疑問符もなく報じ、NHKまでもがそれを定時ニュースで流す有り様です。

正直言って、これほどまでに情報のウォールが作られたのはひさひぶりに見ました。これは、国民を真実から遠ざけ、メディアが作り出した虚像への強い同調圧力を生みます。

国民の大多数は、「もう既に首相は増税に決めているんだ」」と思い、、だから「税調などが復興税の法人税上乗せをするかどうか議論しているんだろう」と考えるはずです。

ニュースキャスターも、「法人税減税などは国民無視の自民党らしいですね」としたり顔でアナウンスし、もうなんだか増税の「後始末」に眼が行ってしまっています。

とんでもない!決まるのは今日です。いままでの「決断」情報は増税派がリークした印象誘導にすぎません。

残念ですが、この情報リークは、麻生副総理・財務大臣から出ていると思われます。でなければ、ここまで決定的にメディアが書くはずがありません。

「事後対策」としても法人税減税などなんの景気対策にもならないのは目に見えています。

腹黒狸の経団連会長など、これを懐の腹巻に内部留保で仕舞い込み、大分入れ込んでいる中国に更なる金を注ぎ込むだけです。

で、私たち国民は?はい、なんの得もありゃしません。せめて企業が投資や賃金に回してくれればおこぼれの何万分の1もくるのでしょうが。

それ以上に私たち国民を襲うのは、今の長期に及ぶデフレ不況と、原油高、原発停止に伴う電気料金高騰などによる資材高によってドンっと生活に乗ってくる増税による値上げラッシュです。

これが、増税決定の場合、この晩秋、初冬から一斉に始まります。しかも原発停止による電気料金値上がりと同調していますから最悪です。

かくして、景気浮揚に一切繋がらない「悪い値上げ」が始まるのです。これは悪い景気循環をもたらします。

増税→需要縮小→供給過剰→投資縮小→企業利潤縮小→賃金下落・国民所得の下落→税収減収というの悪無限のループです。

なぜ悪無限かといえば、これにより税収がかえって下がりますから、するとまた財務官僚は「子孫に国の借金を残すのかーッ!増税しろ!」と叫ぶに違いありませんから、際限がないのです。

心底こいつらバカかと思います。頭がいいと思っている東大出のバカほど処置なしなものはないという見本です。

ならば初めからデフレ下で増税なんきゃせねばいいのです。

ところが彼らは、自然増収では省内の手柄にならないので、「増税をした」という彼らの世界の勲章を欲しいようです。もう一回言ってやります。このクソバカ!

かつて戦前のある一時期、政府は誤った判断を繰り返して自滅しました。

日独防共協定でドイツという最悪の相手とタッグを組むところからから始まり、満州事変という火遊びをしたあげく国際連盟を脱退して孤立、その気がなかったのに中国大陸の泥沼に足を取られて日中戦争の拡大を招き、そして詰まるところは対米開戦に追い込まれていきます。

かつての日本は、ころがる石のように、ひとつの誤った判断が次の更に大きな過ちを誘発し、そして自滅しました。

では、時の政府は後に言われるような確信的な軍国主義者だったのでしょうか。あるいは、ひとりのヒトラーでもいたのでしょうか?

東條英機ですか?とんでもない。彼はその時に居合わせただけの、凡庸な軍事官僚にすぎませんでした。

丸山真男が皮肉まじりに言ったように、わが国は三流の帝国主義だったがゆえに「ひとりのヒトラーも生み出さなかった」のです。

煽ったのはもっぱら新聞でした。当人たちは忘れているようなので、あえて名指します。ヒトラーユーゲントの日本訪問を演出し、日独を結ぶ「神風号」まで飛ばして日独同盟を陸軍内ドイツ派と共に押し進めたのが朝日新聞でした。

中国戦線の泥沼に足をとられて、和平に持ち込もうとした陸軍内部の穏健派に対して、「英霊に申し訳がたつのか」と叫んだのも、陸軍主戦派とメディアでした。

止められたのに止めようとしなかったのは政治家でした。首相は無力でした。

齋藤実、近衛文麿、東條英機、これらの怯懦の指導者は、戦争を止める勇気もなく、勝つ戦略もなく、時には事態に油を注ぐことすらしでかしました。

近衛は軍国主義者どころか、エリート(公爵)で自由主義者でしたが、国民党政府との和平をぶち壊しています。

この男の手痛い失敗のおかげで、冷静になれば確実に失敗すると初めから分かっていながら、準備不足のまま破滅の淵に国全体を投げ込まれたのです。

私はこの歴史を、わが国が再び繰り返そうとしているような気がします。

まずメディアが一斉に煽り、国民を誤った方向に導き、政治家は臆病な兎のようであり、国民と新聞の動向を見て国政を決定します。

そして山本七平が「空気の研究」で描いた「空気」、「同調圧力の壁」を作り出しながら破滅に向かって突き進む・・・。

誰しもが一歩離れて見れば今の日本の状況は分るはずです。思いつくままに記してみます。もちろんこれ以外に山ほどあるはずです。

・資材高は解消されず。
・畜産品の飼料高は天井知らず。
・漁業は燃料高で出漁回数を減。
・原発はいつ動くのでしょうか?再稼働まで電力会社の体力が持ちますか。
・それまで電気料金はウナギ登り。
・電気料金高騰のために中小の加工会社は青息吐息。
・景気のいい会社は一部の分野だけ。
・地方はまだアベノミックスの光すら届いていない。
・毎日電車が止まるのは人身事故。飛び込み自殺の多発。
・若者の就職戦線は地獄。20以上の掛け持ちなどあたりまえ。

こんな状況でなにが増税・法人税減税ですか。なにが復興税の法人税上乗せを止めるでしょうか。税調の政治家さん、どこを向いて議論をしているんです。

国民を見ろ!民はまだデフレ地獄の泥沼にいるぞ。

デフレ下の増税は死を招きます。比喩や例えではなく、真に自殺者を増大させます。

下図がかつてデフレ下で増税した時のグラフです。15年前の1997年に消費税増税増税時のことです。

橋本龍太郎政権時の消費税はを3%から5%の2%。今回は3%。一体どのような地獄図絵が拡がるのか。

Photo

消費税増税の翌年の98年にご注目ください。自殺者が急増します。97年には年間約2万4千人だったものが、翌年には約3万3千人にと、なんと1万人増加します。

覚えておいて下さい。消費税増税した翌年に日本は世界有数の自殺者を出す国になったのです。この分水嶺とでもいうべき3万人を突破したのがこの98年です。

デフレ下の増税、これは地獄の釜の蓋を開けることなのです。

安倍首相、あなたはぜったいにこの地獄の釜の蓋を開けてはなりません。

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