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« 週末写真館 台風の去った空 | トップページ | 小泉元首相の勘違い脱原発論その2 暫定保管という知恵 »

2013年10月21日 (月)

小泉元首相の勘違い脱原発論その1  フィンランドの原子力政策の曲解

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小泉元首相の「脱原発発言」が波紋を拡げているようです。 

言った人が人だからでしょうね。内容的には、よくある脱原発論以上でも以下でもありません。 

あの人、首相時代にも郵貯が財政投融資に入れられているという勘違いに基づいて民営化に突撃してしまい、民営化か必要ないと知っていた竹中平蔵氏に、「一から理屈をつくりあげさせた」りしていました。

郵政解散やった時に言った台詞が、「民間でできることをなぜ税金をかけて公務員がしなきゃならないんです」、でした。

あの、小泉さん、郵政公務員給与は郵政事業から支払われているんで税金は関係ないんですが。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-5925.html
       
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/24-881d.html

と、このように根本的な勘違いしてもキャラで塗り隠してしまうという、恐るべき「ああ勘違い」の人なのです。 

ただ、この人特有のワンフレーズポリティックス(←ああ懐かしい)で連呼されると、妙な説得力があるのは確かで、みんなの党の渡辺、生活の小沢、共産党の志位の各氏、そしてお約束のあのカン氏までもが歓呼の声を上げているとか。(欄外資料1)

自民党内では息子さん以外冷やかな反応ですが、「脱原発」で自民を割って、政界再編したいという生臭い思惑も渡辺、小沢両氏からは漂ってきます。

では小泉さんのご意見を拝聴することとしましょう。

そもそもなぜこんなことを小泉さんが言い出したのかといえば、財界人がフィンランドの核廃棄物最終処分場施設「オンカロ」視察に、よせばいいのに彼を連れていったからです。 

財界人とすれば、このオンカロを見せて、「こんな安定した地層は地震国日本にないのだから、核燃料リサイクル施設を動かして原発再稼働しませんか。ぜひ小泉さん、お力添えを」といった目論見だったのでしょう。 

ところが、政界一のひねくれ者の小泉氏は真逆に暴走してしまいました。面白いお人だな、ほんと。

こういう元首相の「オレは見てきたんだ」という発言は、情報操作トリックでいう権威の利用」というタイプです。

「元首相」という権威と、「見てきた」という2枚のカードで信憑性を高めていて、実際この人かどれだけフィンランドの原子力政策を知っているのか、地層保管の技術に知識があるのか、正しい情報を伝えているのか、を検証しようとしなくなります。

下の発言などお馬鹿タレント並です。

フィンランドには原発が4基しかないが、日本には50基もある。いますぐ止めないと最終処理が難しくなる。」(ハフィントンポスト10月20日 資料2参照)

フィンランドの電力に占める比率は日本より高く、29.6%(日本は3.11以前までは24%前後)ですから、これは23倍の人口を持つわが国に換算すれば92基に相当します。

そもそも人口が532万人のフィンランドでできたから、1億2千万人の人口を持つわが国でもできるだろうといった発想自体が間違っているのです。

これだけ人口が違えば、問題の質も違ってくるのです。そんなことあたりまえじゃないですか。

小泉さん、人生色々、国も色々なんですよ。

小泉さんは典型的な一知半解、というか一知曲解をしています。日本に帰ってきてオンカロやフィンランドの原発事情を多少調べれば、こうも単純な勘違いをしなかったと思うのですが。 

小泉さんは、オンカロとフィンランドの原子力政策の関係を正反対に捉えているのです。 

だいぶ前にオンカロは取り上げていますから、詳しくはそちらをお読みください。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-1f72.html
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-bc12.html 

フィンランドの原発政策が、この国以外すべての国と異なるのは、先に最終処分場を作って、その容量に合わせて原発を作ったことです。

ドイツはニーダーザクセン州ゴアレーベンの岩塩ドームに最終処分場を作る予定でしたが、失敗に終わりました。

米国は、ネバダ州のユッカマウンテンに作るつもりでしたが、これも挫折。

わが国は、受け入れ自治体がないまま宙を漂っています。

オンカロとはフィンランド語で「隠された場所」を意味し、この地下埋却施設の地層はなんと18億年変動していないそうです。

この安定した地層を500m掘って二重のキャスクに入れて保管する計画です。

しかし実はまだオンカロは動いていません。オンカロが操業を開始するのは、7年後の2020年で、そこから貯蔵していって2100年代に満杯にする予定だそうです。

問題はこの80年間の間になにをフィンランドが計画しているかです。80年たったら原発を止めますなどと、フィンランド政府がひとことも言っていないことに注目してください。

フィンランド政府はこの80年間で、核リサイクルの安全な技術が確立されるか、あるいは代替エネルギーが誕生すると考えています。

要するに、いきなり原発を全部止めて自然エネルギー一本でいけるなどとフィンランドはまったく思っていないのです。

ところで、フィンラド人が原子力発電を維持し続ける理由はなんでしょうか。

まず第1に、フィンランド人が原発のリスクより地球温暖化によるリスクが大きいと考えたからです。

フィンランドは寒帯に属する国で、気候変動が起きた場合、北極圏にあるためにオゾン層破壊が、そのまま紫外線の増大とつながってしまうことを恐れています。

新規原発3基を建設することによって国内のCO2の3分の1にあたる3000万トンを削減する計画です。そして2020年までに石炭火力発電所をゼロにする予定です。

第2に、80年代にエネルギー供給の多くをロシアに依存している構造を解消して、エネルギーの安全保障を確立したこともあります。

ロシアは湾ひとつ隔てた巨大な隣国で、常に侵略を受けてきた苦い過去があります。ソ連の侵略を受けた1939年の「冬戦争」は今もフインランド人の魂の中に生き続けています。

ですから、フインランドは「独立」の二字にかけてかつての支配民族ロシアにエネルギーを依存する選択はありえなかったのです。

電力供給をロシアに握られてしまっていては、フィンランドの独立にも関わります。同様の地政学的位置にあるバルト三国や東欧圏も、ロシアの異民族支配を肌身で知っているだけに安易に原発からの離脱の道を選べないのです。

そして第3に、フィンランドは国際競争力世界順位1位2位を争う工業国です。その彼らにとってエネルギー・インフラは教育制度や金融制度と並んで重要な国際競争力の源泉です。

小国でありながら技術立国であり続けるためには原発は必要悪であり、その維持のためには「オンカロ」が許容するだけの放射性廃棄物は認めていこう、そう彼らは考えたわけです。

小泉さん、わが国の火力発電に使う燃料費は今年の試算で3・6兆増加し、アラブの富豪たちに景気よく特大福袋を配りまくっています。

電気料金は関西電力の場合、家庭用で11.88%、企業向けが19.23%上昇と2割値上げが現実になりつつあり、これがわが国の経済・社会生活に与えているマイナス効果は計り知れません。(資料3参照)

日本経済と社会を犠牲にしてでも脱原発を貫くんだという立場は、カンさんのような「市民運動家」のものであって、責任ある政治家のものじゃありませんね。

小泉さんに、グスタフソン・フィンランド駐日大使のこの言葉をお贈りします。

「(原発問題は)論理的に導き出された選択であって、情熱やイデオロギーの問題ではない。」(「ニューズウィーク」10月30日号)

※こちらもお読みください。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-4813.html

■写真 広島城護国神社の鯉の像です。ポカッと開いた口かかわゆい。

             。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚ 

■資料1 小泉元首相「脱原発」、共産・民主から賛同の声
読売新聞10月19日   

小泉元首相が最近講演などで「脱原発」を主張していることについて、野党幹部が取り上げる場面が目立っている。 

 これまで小泉内閣を厳しく批判してきた党も多く、自民党内では「小泉氏は野党に利用されている」との声も出ている。 

 小泉氏の脱原発発言を巡っては、共産党の志位委員長が17日の記者会見で「理が通っている」と賛同したほか、小泉内閣時代、小泉氏を厳しく追及した民主党の菅元首相が今月3日の広島市での講演で、「ここだけは私も拍手している」と語った。小泉内閣時代は自民党に所属していた、みんなの党の渡辺代表も17日の衆院本会議での代表質問で、「小泉氏は『首相が決断すれば(原発ゼロに)できる』と言っている」と、発言を引用した。 

 ただ、小泉氏を利用して政府・与党を揺さぶるという野党の狙いは明確なだけに、自民党内の反応は小泉氏におおむね冷淡だ。甘利経済再生相は「いい意味では純粋、悪い意味では短絡的」と評した。 

■資料2 「小泉純一郎元首相が「脱原発」発言を加速する理由とは
ハフィントンポスト 10月20日
http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/28/junichiro_koizumi_n_4010252.html 

小泉氏は「脱原発は政治がリーダーシップを発揮しないと進まない。自分は数十年後には死んでいて、原発のない日本は見られないかも知れないが、それをするのが本物の政治家だ」と語った。また、今年8月にフィンランドを訪れ、高レベル放射性廃棄物を地下に埋めて10万年かけて無毒化する核廃棄物最終処分場「オンカロ」を視察したことに触れて「フィンランドには原発が4基しかないが、日本には50基もある。いますぐ止めないと最終処理が難しくなる」と即時原発ゼロを訴えた。

朝日新聞デジタル

「小泉元首相「首相が決めれば脱原発進む」 みんな渡辺氏に即時ゼロを訴え」より。 2013/09/29) 

■資料3 東洋経済2月28日 

「家庭向けの料金改定については、関西電力と九州電力が4月からそれぞれ平均で11.88%、8.51%の値上げを申請しており、自由化部門の企業向け値上げ率は各19.23%、14.22%とさらに上回る。 

そして大震災の被災地をカバーする東北電力と、四国電力も、家庭向けで各11.41%、10.94%の値上げを7月実施で申請中。企業向けは各17.74%、17.50%を予定している。」

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

勘違いしているのはあなたの方。

使用済み核燃料の最終処分には電源比率ではなく、総量が問題になる。

日本は最終処分場どころか、既に使用済み核燃料が中間貯蔵プールに殆ど満杯。

これで継続しようという方が頭がおかしい。

核のごみ満杯へ 打つ手なし 再処理技術や処分場も未定 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013092402000122.html

電気事業連合会などによると、国内にある使用済み燃料は二〇一二年九月末時点で、少なくとも一万七千トン以上。
電力会社は各原発の原子炉建屋内にある燃料プールでほとんどを貯蔵しているが、東京電力の福島第一、第二、柏崎刈羽、九州電力玄海、日本原子力発電東海第二でいずれも占有率が80%以上を占め、限界に近づいている。

青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(再処理工場)にも容量三千トンの一時保管スペースがあるが、再処理事業の遅れで各原発から持ち込まれる使用済み燃料がたまる一方。
今年九月の時点で貯蔵量は二千九百四十五トンに達し、占有率は98%に達した。

原発の燃料プールと六ケ所村の保管スペースを合計した貯蔵容量の73%が埋まり、原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になる計算だ。
 

せさん。なにか勘違いしているのでは。

電源比率は、フィンランドの原発依存度を示しただけで、小泉さんはあの国の原発政策のリアリズムを学んでいずに、心情に走っていると言っているのです。

それは運動家の立場ならいざしらず、ガバナンスのトップにいた人間のすることじゃないのではないかと問うています。

中間処理施設がいっぱいなのは百も承知です。そんな初歩的なことは私の過去ログを簡単にレビューするだけでわかるはずです。そんなことも知らないで書いているとでも思ったのですか。

私が言っているのは、今溜まっている数千トンの核廃棄物はどうするつもりなのか、あなたも書いている各原発の使用済み燃料プールにある貯蔵された分はどうするのか、そこです。

ただ、再稼働を止めるだけで解決になるのでしょうか。それを聞いています。

直接埋設しますか?それも方法です。ただ、それだけでは解決しないでしょうね。地層処分が危険だと、たぶんあなたは言うでしょうね。

なら、どうすりゃいいんですか。再稼働せもらちろんダメ。核リサイクルもダメ、地層処分もダメ。いっそ核爆弾でも作りますか。(冗談です)

そんな全否定的なことばかり言っていないで、現実的解決方法を考えてから来なさい。まったく不毛な人だな。

原発否定派の方々は、「とにかく止めろ」というドグマに陥ってますね。

本当に今日の記事を読んで言ってるんでしょうか?
はたまた技術の進化にはついていけない前提の化石のような方でしょうか?

今日の記事をちゃんと読めば、どういうことかすぐ判ることでしょうに。
全くウンザリする放射脳の意見そのものですね。
私は、かつては理想だった核燃サイクルの困難と共に「漸減作戦」を提示しました。
なにか間違ってますかね。

文句のある金持ち方々は、いち早く自力で発電や最新の蓄電システムを構築して買電して下さい。
メルトダウンの心配はなくても、大都市とインフラ防御として、今問題になっている。原発同様以上の警備体制は要求されすよ。
この辺理解されてますか?

ちなみに、国際会議で原発偏重を演説したのは鳩山由紀夫さんでしたな。

フィンランドとのアイデアとは真逆ですわな。

その2も読んだ上でコメントします。過去のコメントを整理したようなものですが。

行き場のない使用済み核燃料の量を考えると、原発は再稼働すべきではありません。発電需要のみを考えるなら、最新式のLNG火力と石炭火力発電所を10ヶ所ほど作れば原発は一切稼働する必要はなくなるでしょう。その後は自然エネルギー等を好きなようにしたらいいでしょう。
課題は建設に何年要するかでしょう。原発事故から現在までの空白期間があまりにも勿体無かったですが、政府が原発には頼らないと宣言し、今後10年以内に作れないでしょうか?その間、最小限原発を再稼働するかどうかは意見がわかれるところでしょうが、脱原発や廃炉への道筋をしっかりと国民や企業に示せれば、最小限の稼働は最重要課題ではなくなります。
二酸化炭素排出による環境への影響を考えるのであれば、日本の火力発電技術をインドや中国に輸出する方がよほど効果があります。ベトナムに原発を輸出する暇があるなら、火力発電の輸出に政府は力を注いだほうがいい。

電力料金に関しては、電力会社から原発を切り離して身軽にしてあげるしかないと思います。原発の処理は政府や国民が責任(金銭的負担も含む)をとるしかないでしょう。電力料金には添加しない代わりに、電力会社は先にコメントした火力発電の増設に最大限力を尽くさねばなりません。

道筋を示さずに、電力料金が高くなるという理由だけでダラダラ再稼働をしようとする現政権は無能無策としか言いようがないです。

>中間処理施設がいっぱいなのは百も承知です。そんな初歩的なこ
>とは私の過去ログを簡単にレビューするだけでわかるはずです。
>そんなことも知らないで書いているとでも思ったのですか。

何の反論にもなっていない。

知っていたところで、中間貯蔵プールが満杯になれば、再稼働はストップせざるを得ない。

にも関わらず、安易に再稼働など言ってるあなたは愚の骨頂。

>私が言っているのは、今溜まっている数千トンの核廃棄物はどう
>するつもりなのか、あなたも書いている各原発の使用済み燃料
>プールにある貯蔵された分はどうするのか、そこです

小出裕章や日本学術会議も指摘しているように、地上、もしくは浅い地下で暫定保管する他ない。

日本にオンカロのような施設をつくれる保証など、どこにもない。


再稼働すれば、行き場のない核のゴミがさらに増える事になる。

小泉元総理も、こんな状況だからこそ、再稼働は無責任だ、と言っている。

あなたのように短絡的な考えで再稼働など進めても、問題が大きくなるだけで、何の解決にもならない。

反対する側の意見が全く論理的ではないです。反対なんて極めて容易で誰だってできる。どう折り合いをつけてベターを目指すかが重要なのです。
反日思想が強いメディアは論拠としては無効です。

彼らの押した政治家が無能であった事が、被害を拡大させました。公平さを欠いたメディアも共犯ですよ。

新聞もテレビも廃止したらいいんじゃないかな、脱原発のためには無駄なエネルギーを使わない事が一番の道ですからね。エネルギー税でもいいです。

誤解されやすい文章ですね、最初から最終処分の方法を考えましょうって言えばいいのに小泉氏のオンカロ発言の揚げ足を取ろうとしている・・・しかもとれていないのがなんとも。。。

オンカロは2基分の容量(20年稼動分)しかなく、4基だと10年もすればいっぱいになるんですよ。

これをあらかじめ作って何十年も後にどうこうという話は想像で話しているこじつけとしかおもえません。

この点は講演会できちんと小泉さんが述べられているのでご確認ください。

最終処分についてですが、どうせインドに欠陥原発輸出する位ならいっそもんじゅでも輸出して使用済み核燃料も資源として輸出してしまえばどうでしょうか?

インドはもともと核保有国ですので核拡散にもなりませんし。

もしくは、稼動もせずにほっといてIAEAの監査に引っかかって没収してもらうとか。


そんなに難しいことではないと思いますよ。
核のゴミは海外に出せなくとも資源としてなら輸出できますからね。

もっとも資源と考えているのは事故リスク承知の広大な国土と衛生環境無視しているインドであって、国土の狭い先進国日本としては不良資産以外なにものでもないものですからね。

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