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2013年10月17日 (木)

アナザー・サイド・オブ・オキナワその7 「独立」で米軍基地はなくなるのか?

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すごかったですね、台風。わが農場も床上浸水やらなんやらで、復旧までしばらくかかりそうです。ああ、腰イタイ・・・。

さて、もう少し「民主党・沖縄ビジョン」を検討してみましょう。批判に値するからというより、半面教師として適当だからにすぎませんけど。

この「ビジョン」構想のふたつの柱は、ひとつは昨日取り上げた規制緩和によるグローバリズム資本のヒト、モノ、カネの規制緩和、そして今ひとつが米軍基地縮小でした。

そこで、この一国二制度=半独立でそれが可能かどうか考えてみることにします。ちょっと理屈っぽくなりますので、メンドーでしたら太字だけ読んで下さい。

まず、一国二制度の法的スティタス(地位)ですが、完全独立以前の半独立状態と解釈できますので、あくまで日本の主権下にあることに変わりはありません。

日本政府は1975年5月15日まで沖縄県を手離していましたが(それが県民の心に深い傷を与えたわけですが)、この復帰前の潜在主権状態より「半独立」のほうが大幅に強い権利だといえます。

なぜなら、米軍統治時代にはまったく現実的施政権は持っていない形式的な主権でしたが、「半独立」の場合、外交、軍事の分野は日本政府の専管事項だからです。

そしてさらに、もう一段階進めて「独立」を達成したとしても、国際法学でいうウィーン条約「白紙の原則」(clean-slate rule)が適用されません

それは、 ウィーン条約(「条約に関する国家承継に関するウィーン条約」)第4部の「国家の結合および分離 国家の結合・分離の際は、承継国は先行国の条約を引き継ぐ」からです。

したがって、沖縄米軍基地を規定している日米安保条約(「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」)を、「独立沖縄」は一方的に廃棄できず、原則として継承せねばなりません。

つまり、一国二制度=半独立はいうまでもなく、独立した場合ですら独立前に属していた国家の権利義務を白紙とすることはできないのです。

ですから、残念ですが独立後も国際法学上は米軍基地は依然として存在し続ける権利を有します。

実はこんな例は世界にゴロゴロしているのです。たとえば、社会主義国領土内に米軍基地があるのを知っていますか。あるんですよ、これがなんと。

キューバの喉に突き刺さったトゲであるグアンタナモ米軍基地です。

最近、米国のアルカイーダの捕虜を非人道的に尋問したとして国際的非難を浴びたので記憶にあるでしょうか。

1898年の米西戦争に勝利した米国は、わずか年間22万円でグアンタナモ116平方キロを永久租借します。

この権利に基づいて今でも社会主義キューバの一角に、地雷源に囲まれた米海軍基地を保有しているのです。まことに図々しいというか、面の皮が厚いというか。

このことは勃興期の米国の典型的な帝国主義の名残ですが、現代でもその権利は必要とあらば米国は冷徹に握りしめ続けることがお分かりいただけると思います。

このようにいったん設置された外国軍隊の基地は、当該国が撤退する気にならない限り残り続けるのです。

ですから、日本政府が独立前にあらかじめ予防的措置として、沖縄基地の戦略的重要性に鑑みて租借に切り換えると宣言した場合、米軍基地は租借期間内は撤去できなくなります

整理してみましょう。

①一国二制度は半独立状態であるが、日本の主権下にあるために、外交条約である安保条約を一方的に改変できない。

②「独立」した場合承継国は条約を引き継ぐので、外交条約である安保条約を一方的に改変できない。

③したがって、半独立・独立を問わず米軍基地は、米軍がその気にならない限りなくならない。

つまり、米軍基地が存続したままの「基地付き返還」ならぬ、「基地付き独立」ということになりかねないことになります。

独立とは米軍基地の完全撤去が目的の半分である以上、独立の意味の半分以上は消えてしまうことになりかねません。

もちろん現状で財政破綻県である沖縄は、本土政府の支援がなくなった場合直ちに財政クラッシュを引き起こします。

県職員の給与支払い停止や、県機関の機能停止、皆保険制度の停止などといった財政の崖が現実のものとなります。

その場合、経済支援をしてくれそうな相手は中国だけですから、なんともかともです。

あるいは、中国からの政治経済的支援の見返りとして、沖縄側から尖閣水域の中国との共同管理と共同開発を提案することもありえるかもしれません。

実は既に、この尖閣の沖縄県と中国との共同管理構想は、喜納昌吉前民主党沖縄県連会長が提言していることで、よく平気でこんな危ないことを言うなと当時思いました。

単に日本の政治家として危険と言っているのではありません。

それはあたりまえで、そもそも喜納氏には日本人というアイデンティティはありませんから、むしろ、沖縄民族として考えても重要なカードを初めから中国に渡してしまうようなことやっていいでしょうか。

昌吉さん、ほんと悪いこと言わないから、政治から手を引いてミュージシャンに専念しなさい。あなたには政治の才能はない。

政治は仲井真さんみたいな「基地」と「尖閣」で本土政府を翻弄しているネゴシエーション(交渉)のプロがやるもんですよ。

というわけで、この「沖縄ビジョン」は、幸いにも民主党政権が移設問題を頓挫させてしまった結果、自然消滅に終わりましたが、いまだ沖縄県内には残り火があるようです。

いやそうじゃない、自分の頭で考え、自分の足で貧しくとも立って歩くのだ、と宣言するのならば、私は無条件で拍手を送るでしょう。

沖縄について書きたいことは山ほどあるのですが、書くとなぜか塩辛いことばかりになります。

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沖縄問題」カテゴリの記事

コメント

ですよねー。
国際法的にも妥当性が無い。

テレビはオスプレイが滋賀の演習に出たとか、頓珍漢なことばかり。
もう、ウンザリします。

少々日数が経ってからのコメントですが・・・。

国際的ルール(国際法)で考えるのであれば、100年以上前のことではありますが、超法規的措置である琉球処分はどうなるのでしょうか?

沖縄が日本に帰属しているのは既成事実であり、琉球処分という超法規的措置は時効であるということでしょうか?1872年~1879年当時は国際法上のルールはまだ存在していなかったのですか?
国際法に関しては知識が足りないのでわからないのですが、1898年の米西戦争で適用されるのなら、その20年前の琉球処分は国際法に実際に違反していた可能性があるかもしれません。
欧米列強が琉球処分を看過した歴史はありますが、その一方で第二次大戦後、奄美以南を日本から切り離したのは、琉球処分が国際的(国際法的?)に不当な占領であると欧米が認識していたからだと思います。

周辺国に付け入る隙を与えることになるので、日米はこの点に関しては不問に付して触れたくないのが現状ではありますが・・・。

南の島様。う~ん違うと思いますよ。あれは戦争による軍事占領です。米国は、1万2千人の戦死者の血によって沖縄の実効支配をえたにすぎません。国際法的にはあくまでわが国領土だということは戦後処理のいくつもの条約(サンフランシスコ条約など)に明記されています。

ですから、日本に潜在主権を認めたわけで、元来そうでない地域ならさっさと自国領に編入したことでしょうし、日本に返還する義理などはじめからなかったわけです。

実際、軍事占領した土地を返還するというのは近代史上も希有なことで、一回占領して軍事基地をおけば、次に植民させて支配を固めます。

米国の場合、返還交渉中に何度か言っているのは彼らに軍事基地を堅持する意志は強烈にあっても、植民などする意志はなかったことです。
ですから、施政権返還ということが可能だったわけです。

南の島さんのおっしゃるいわゆる第2次琉球処分(好きな言葉ではありませんが)は、当時の各種条約などによって国際的に確認されており、以降の沖縄・奄美を歴史的にどう評価するのかとは別次元の問題ではないかと思います。
この辺になると、あくまで超大国間のパワーポリティクスによって決せられているのは事実です。

私は沖縄が独立するなら、クールなハワーポリティクスを読む力が必要だと言いたいのです。さもないと中国に併呑されるというおぞましい未来が待っています。

私の沖縄の自立や独立に対する思いは、濱田様ときわめて近いものがあると思います。沖縄への厳しい指摘も愛情があってのものです。

さて、単なる軍事占領による分離なら、鹿児島県と沖縄県の境ではなく、米軍が上陸しなかった奄美群島も含めて分離したのが疑問です。奄美群島以南は日本ではないという認識がアメリカには当初はあったと思いますよ。
アメリカが沖縄独立も選択肢として考えていたということも、どこかで聞いたことがあります。
しかし、この点については記事とは直接関係ないので、これ以上踏み込む必要は無いと思います。


沖縄の独立には、周辺国との現状を考えると、アメリカの後ろ建ては必須だと思います。私も経済や政治をご破算にして独立など現実味が全くないと思います。沖日米で安全保障条約を結び、当面は日本の安全保障の役割は沖縄の基地が担わねばならないでしょう。地位協定はその際に改善して結び直します。沖縄国の復活を起動に乗せるまでは、基地使用料は重要な財源です。戦争をせずに沖縄国を復活をさせるのですから、変化は一歩一歩です。
独立後、日本はいつまでも沖縄に頼った安全保障は良しとしないでしょう。徐々に沖縄の基地が減るはずです。


現実味があるかどうかわかりませんが、時々こんなことを考えています。
奄美は沖縄よりも微妙であり、与論や沖永良部と奄美大島では沖縄への親近感がかなり違います。
それから・・・・、沖縄も奄美も島の人口以上に内地に行ってしまった人が多いんですよね。さらに、和牛を飼っている私の仕事を考えたら、独立したら困るでしょうね(笑)


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