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TPP 西川委員長発言の裏事情

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今回の衝撃的だった西川公也(こうや)TPP対策委員長発言の裏事情がわかってきました。

結論から言えば、要するに現在諸外国(おそらく米、豪、NZ、カナダなど)の自由化率要求の90%台後半と、今のわが国の自由化率の溝を埋めるための彼の「私案」のようです。 

つまりは世論の風向きを見るアドバルーンにすぎません。だからこそ、しっかりと批判しておかねばなりません。

現在自由化率をめぐる攻防はこのようなもののようです。

・農産品5分野・・586品目(タリフライン)
※「タリフライン」関税における対象項目の分類の細目数のこと
・内訳
・コメ58、麦(小麦、大麦)109、牛肉・豚肉100、乳製品188、サトウキビ131品目

・全関税品目9018品目中を5分野を除くすべての関税をゼロにした場合の自由化率は93.5%にとどまる。 

すべての重要5品目が関税ゼロになったとしても、わが国の自由化率は93.5%のようです。

そこであと5%ていど譲歩しないとならないのではないかというが、西川委員長の読みなわけです。

となると「重要5品目」に手をつけざるをえないと西川氏は考えました。

先ほど述べたようにひと口で「重要5品目」といっても、それぞれ細かい加工品などに別れて実に586品目にもなります。

この中から同じ「5品目」といっても、わが国で作っていない、あるいは競合しない家畜飼料や加工品などは譲歩してもいいのではないかと考えました。

わが国農業に対する危険度が少ないものから交渉対象にするということです。

たとえば例をとれば、「コメ」本体の輸入は断固死守しても、「コメ加工品」の混合飼料や加工品などには譲歩の余地があるということになります。

なるほど交渉のリアリズムではあります。しかし、自民党の公約は「重要5品目は交渉すらしない」でした。

一方、TPPは100%関税ゼロが大原則です。このふたつの建て前に見事バインド゙されてしまってこの西川委員長発言が出たということです。

吉川委員長のリアリズムは結構ですが、しっかりとした議論を踏まえて広く共有されないと日本の立場の動揺につながりかねません

もう一点。、西川氏のような与党対策委員長でも、果たしてどの程度交渉状況の詳細を知っているのか、という疑問は残ります。

おそらく、今の高度な箝口令が敷かれた交渉の場からは(なにせ交渉員は2名に限定し、携帯も持ち込めない)、あまり情報が出ていはずで、与党対策委員長とてその例外ではないはずです。

したがって、この発言も、山田としお議員の推測どおり「いままでの持論を述べただけ」かもしれません。

山田氏はこの西川氏の「持論」すらも危険であり、米国がどのような要求を出してくるのかわからないのに、先をとって譲歩するべきではないとしています。これもまったく正論です。

西川発言を聞いて、「これで日本農業は壊滅だ、自民党の公約違反だ」と叫ぶ農業者の方も多いし、その気持ちは私も十分に共有しますが、まずはいったん客観分析せねばなりません。

そもそも、西川氏も甘利大臣もまだインドネシアにいるのですから、マスコミ報道に踊らされて騒ぐのもいかがなものかと思います。。

怒るのは西川氏の弁明を聞いてからにしましょう。

それからいくらでも怒れます。進展次第では、TPP反対派の与党議員に対して「自民党を離党せよ」の運動も起こすことができます。

ですから、今は感情的にならずに、いったん冷静に見ていきたいと思います。

山田議員のメールマガジンを転載いたします。失礼ながらやや悪文なので、いちおう私の要約を付けておきます。

●[要約 

①この西川の発言は、ぶら下がり取材で「日頃の持論」を述べてしまったものである。

自由化率(※全貿易品目のうち関税を撤廃している品目数の割合)
・日本の自由化率            ・・・88%
・日本の諸外国へのオファー     ・・・80%台
・諸外国の自由化率の提案水準   ・・・92~95%
 

③西川氏の発言は、この差を埋めるには、関税撤廃をしていない重要品目に手をつけざるをえないという趣旨。

④西川案は、影響が少ない品目の自由化は認めていくというが、それによって他の品目が影響を受けて変化するという危険が同居するのではないか。

米国の要求がまだ明らかでないうちに、あらかじめ妥協をするのはおかしい。もし、日本側の読みがはずれて、「それはありがたく頂戴しますが。要求はもっと別です」と言われたらどうするのか。

⑥現在の米国は内政が混乱の極にあるのに拙速にすぎる

⑦政府・党の国民に対する公約を守れ

⑧TPP反対グループと、安倍総理・菅官房長官・甘利大臣・林大臣・石破幹事長・西川委員長による会議を開催しろ。

なお改行などは適時施し、太字は引用者です。 

以下引用 

              。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚ 

■山田としお メールマガジン No.319***
                    2013年10月8日発行
 

【日本中を駆け巡った西川委員長発言】

 西川TPP対策委員長が、TPP閣僚会合と首脳会談が行われるインドネシア・バリ島にて、甘利大臣らとの打ち合わせ後のぶら下がり取材(会合を終えたあと記者が取り囲んで、会合の内容の報告等を求めるもの)で、日頃の持論を話されてしまいました。

 こうした記者会見は、不意を突いた質問が出たりしますし、準備して臨むものでないので、日頃の思いが出てしまうものです。話し出すと、次々に質問が出て、止められなくなります。そうした状況での発言なので、同情もしますが、海外からの電話で聞かされた直後は、「ああ、やってしまった」というのが私の受け止めでした。
 

西川委員長は、かつてのWTO交渉のときは、自民党の農林水産物貿易調査会の事務局長として辣腕をふるった方で、日本の農業を守る決意はだれよりも強い方だと思います。だから、「なぜだ、どうされたんだ」という感じでした。

【重要品目とタリフラインの関係】

 もう新聞各紙が書き競っているので詳細は省きますが、わが国は、全貿易品目のうち関税を撤廃している品目数の割合である自由化率(日本は88%程度になる)を、11カ国に対して80%台をオファーしているが、米国等輸出国は不満で、もっと引き上げるよう求めてい
るものだから、それを諸国が提案している92%~95%程度に引き上げるには、これまで関税撤廃を行っていない重要品目にも手をつけざるを得ない
 

言い替えると、自由化率を高めるためには、重要品目のタリフライン(コメの場合は、玄米・精米・米粉・米粉調整品等58にのぼる貿易分類上の品目のこと)のうち、貿易量の少ない品目や、影響のない品目を関税撤廃することで、関税撤廃しない品目数を絞り込む――という考え方です。 

ちなみに、農林水産品目全体における、これまで関税を撤廃したことのない品目数(タリフライン数)は834になり、鉱工業品を含むすべての品目数9018に占める割合は9.2%です。このうち、重要5品目の品目数(タリフライン)は586になり、この割合は6.5%です。

これらをすべて関税撤廃しないとなると、自由化率は90.8%と93.5%にとどまります。これでは各国の要求に応えられない、という問題意識のようです。

 この問題点は、その品目に関連するタリフラインの関税を撤廃した場合、現に輸入が無いから影響が無いと見ていいのか、それとも、これら関税を撤廃したタリフラインの輸入が増えて、他のタリフライン、ひいてはその品目全体の需給に影響を与えかねないという心
配があるのです。

簡単な例示で言うと、米粉に砂糖やでんぷんを加えた米粉調整品というタリフラインの関税を撤廃すると、それら米粉調整品の輸入が増えて、輸入後に遠心分離機で米粉や砂糖やでんぷんを分けてしまうと、米粉や砂糖やでんぷん本体の需給に影響を与えてしまうことになります。

まさに、将来的にはコメ全体の需給は大混乱となりかねません。西川委員長は、だから品目ごとに検証して、影響のないものは自由化するが、そうでないものは関税を残すのであって、「重要品目から抜くということを前提にするものでない」とおっしゃっているわけですが、危険が同居した考え方であると言わざるを得ないのです。

【各国の要求をきちんと掌握すべきだ】

 このことは、いくつかの点で問題があります。

 一つは、米国等と本格的な品目ごとの協議を行っていない段階で、米国の要求を踏まえないまま、日本側が重要品目について妥協しようというものであることです。

米国の要求は、もっと別のところにあって、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在することを認識し」という安倍総理―オバマ大統領の共同声明を踏まえたうえで、重要品目について一定の配慮は行うが、少なくとも、コメのMA米の扱いについて見直してほしいというものかもしれないし、麦についても、国家貿易の制度を維持し、米国からの買い付け枠の確保を維持してほしいというものかもしれないのです。

とすると、日本側が自由化率を拡大しても、米国にとっては何のメリットにもならず、むしろ米国としては、頂くものは頂いて、あとは追加で米国の上記要求を求めてくるかもしれないのです。要は、米国ときちんと協議して、日本側の対策を練るべきなのです。

 二つは、米国の来年度予算案が議会を通らないこと等もあり、米国内は大混乱にありますが、これらにオバマ大統領も縛られて、TPPの行方も定まらない中で、なぜ、日本が拙速な動きをしてしまうのか、ということです。

 三つは、党の決議や国会の決議があり、それを守るというのが政府・党の約束です。なのに、これに抵触しかねないこれらの判断を、一切、党で議論していないことです。まして、10月2日の生産者・消費者の「国会決議の実現を求める」全国集会で、石破幹事長は「重要品目は必ず守る」「選挙公約はたがえない」「そのことを約束いたします」と言明されました。その言葉が私の耳に鮮明に残っています。

なのに、場合によれば、重要品目を守ることにならないかもしれない提案を4日後に容認してしまうのは、一体どういうこ
とでしょうか。西川委員長は、石破幹事長と相談したことであると話し、石破幹事長も、「西川委員長は、重要品目の関税撤廃を前提にしないと言っており、そのためにも細目を検証するということだ」とおっしゃっている。

だから、新聞各紙の夕刊は、「TPP重要品目を見直し」「聖域の関税撤廃も」と見出しを書き、重要品目の見直し開始を世論にしてしまったのです。これでは納得がいかない。

【総理を加えた鳩首会談を実施し、政府の方針を確立すべきだ】

 ともかく帰国後、党のTPP対策委員会が開かれるので真意を聞くことになるし、私が事務局長を務める「TPP交渉における国益を守り抜く会」で、こうした進め方は絶対に認められないとするとともに、今後の対応を決めてゆきたい。

 ところで、私の提案ですが、安倍総理・菅官房長官・甘利大臣・林大臣・石破幹事長・西川委員長による会議を開催し、これまでの党・国会決議、そして各国との交渉の動きと問題点、今回の一連の騒動を整理し、政府と党で一致した今後の取り組み方針を立てるべ
きです。

その際、オバマ大統領との間で「日米両国のセンシティビティを認識した」共同声明をつくりあげることができたことを理由に、「私は公約を守った」「私に交渉参加の判断をさせてほしい」「私は日本の食と農を守る」「私を信じてほしい」とおっしゃっている安倍総理に、真の決意を表明していただきたい。

 これは、安倍さんを総理にし、安定政権をつくりあげた農業者や国民の、そして私の切なる願いです。

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コメント

農家の人には、怒られるかもしれませんが、TPPに、参加表明した以上、自民党のいうように、重要5品目、つまり、タリフラインで、約600にも及ぶすべての項目が、無傷で、解決することは、残念ながら、不可能と思って良いのではと、思います。

それより、交渉担当者は、農業分野において、農作物の金銭価値や現状のタリフライン別生産額を、メインに、交渉をお考えのようですが、日本の国土は、世界にもまれな、緯度の差が、4,000kmほど、あって、当該農作物を、長期作農するには、急峻な国土形状もあって、周辺環境とセットで、保全しないと、国土としての、利用価値というか、農作地や林業地も含めた都市計画法に似たような望ましい長期利用制限を、強制までは、行かなくても、理想計画案が、示され、開墾されることを、期待しています。

都市部は、都市計画法により、各地域の産業地域区分が、出来ておりますし、法的規制も係ってますが、白地地域(建築物調整区域や山林地目地域など)は、どのような産業振興すべきか、全国的な明確な素案が、存在しないように、思ってます。

TPP問題を、きっかけに、それらのことを、国家として、考えていただけると、ありがたいですね。

離島のサトウキビ畑は、防風林でしょうし、山林は、雨水の貯水槽であり、漁港の急速な土砂侵入を防ぎ、漁礁の確保や、湾内の養殖漁場の保護に、役立っていて、そういう連携した自然との融合した産業構造を、理解した上での、日本国土の再開発、開墾であって、ほしいですね。

もう1点は、やはり関税と言う税金では、守れない、非関税障壁を、最低限必要である部分は、守ってほしいと
思ってます。

安心、安全な農作物であって、それを前提に、国産であれ、輸入品であれ、農作物や加工農作物が、流通することが、世界一の食メニューをもつ、日本の飲食環境を守ることになるものと、信じております。

2国間FTA、EPAの締結に、慣れてない日本国ですので、本質的に、今後、20年ほどは、国内生産人口が、減っていく訳ですので、EPAを使っての移民政策については、よくよく考えて、長期政策を、示さないと、

大変なことになると思ってます。

研修生と言う名の出稼ぎビザなどを、本来、どうしていくか、明確にしないと、結果値として発表される表面的数値であるGDPなどに、頼りすぎている政府の国際戦略は、破綻しそうな気がします。

現に、EPAや留学生ビザ、就学生ビザで、出稼ぎ状態の人が、農業、水産業、旅館業など、あらゆる業種に、労働力として、外国人が、来ていて、現在の日本が、経済的に存在しているので、今後、そういう人達のビザなど、どう国内法を、修正するかも、きちんと、明示されないと、難しい問題が、出てくる気がします。

他の交渉参加国は、原則、移民OKと言う国内感情ですから、日本だけ、ちょっと、異なった内国法ですから、
困ったものです。

別件ですが、沖縄人は、本土人と、違うんだと言う意識は、感じますね。
「内地」って言葉も、沖縄では、普通によく聞きます。

まあ、満州が日本だったころも、同じ言い方でしたし、

本土でしか、生活したことない私も、父親からは、内地、外地と言う事は、良く聞きましたね。

恩給計算ですと、外地1年赴任は、内地2年赴任扱いですので、そういう面でも、内地、外地と言う区別は、親時代には、歴然とあったように、思います。

同じ、日本国籍ですが、沖縄の文化、風習は、本土とは、かなり違うので、ある意味、外国のように、お互い感じるのでしょうね。

鳥葬をするってことで、昔、これが、最後かもしれないからと言われて、離島に、行ったことがあります。
正直、鳥葬って、そのときまで、知らなかったです。

投稿: りぼん。 | 2013年10月10日 (木) 10時18分

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