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日米同盟の米国側からみた重い意味とは

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国際関係の中での「同盟」とは互いに利用し利用される関係です。 

どちらか一方が得をする事などありえない代わりに、同盟の利害が消滅すれば速やかに解消されます。そこに情緒や左右の理念が入り込む隙間はありません。

ですから、欧米では外交-防衛政策は、いかに政権が替わろうと変化しません。

政権が替わるごとに外国との条約や約束事を廃棄していたら、国家として国際社会で認知さえされなくなります。

ま、その「絶対やってはいけない」ことをしでかしたのが、うちの国のハトさんだったわけですが。

さて、わが国の場合、いままで大きな「同盟」をふたつ結んでいます。 

ひとつは1902年の日英同盟で、もうひとつはいうまでもなく1960年の日米同盟です。 

当時「七つの海の覇者」だった英国海軍が、ドイツ、フランス、ロシアの海軍増強の追い上げにあって絶対的優位性を失いつつありました。 

そこで英国は、同じロシアを仮想敵としていた日本に、有体に言えば「極東の番犬」になることを望んだことで締結されました。 

わが国にとっても、スーパーパワーであった英国の後ろ楯なくして日露戦争の勝利はおぼつかなかったでしょう。 

このように同盟とは、超大国の外交路線の冷厳な利害と一致した時のみ結ばれることを知っておかねばなりません。

日本にとっては、米国という強大な後ろ楯を背景にして軽武装での独立を保つことが可能でした。

一方、米国にとっては、原子力空母を修理するドックは世界で4カ所しかありませんが、そのうち2カ所は米国内、そしてあとの2カ所は日本にのみ存在します。

これは横須賀第6ドックと佐世保第4ドックですが、大和級巨大戦艦を建造したドックですので、米国と日本以外にこのようなドック自体存在しません。

また、第7艦隊の補給を受け持つ弾薬貯蔵施設(秋月、広、川上、嘉手納)の貯蔵能力は実に12万トンを越えます。

あるいは、米国防総省が自ら「ペンタゴン最大のオイルターミナル」と呼んだのは、在日米軍燃料タンク施設(鶴見、佐世保、八戸)です。

鶴見は国防総省管内のうち米本土まで含めて第2位の備蓄量、第3位は佐世保で、八戸(航空燃料)と合わせると1107万バレルを備蓄しています。

これは米海軍最強の第7艦隊全体の10回分の満タン量に相当します。

米軍の唯一の国外に駐留する緊急展開部隊(第3海兵遠征軍)は沖縄にあります。

このようにわが国は米軍、なかでも米海軍の補給-修理の海外インフラを一手に引き受けているのです。

しかも「思いやり予算」の提供も受けて地代はタダ、民生施設や一部軍事施設は日本側の提供です。欧州まで含めてこんな好条件の国は日本だけです。

したがって、わが国の戦略的位置は他の国をもって代替がききません日本との同盟がなければ、米国の世界戦略は根底から崩壊してしまうのです。

よく言われる比喩として、米国本土を「東京本店」とすれば日本は「大阪本社」の位置にあり、かつてのフィリピンや今の韓国、グアムなどはちょっとした「地方出張場」程度の重みしかありません。

米国にとって、北の侵攻が考えられなくなった現状では、反米感情の根強い韓国駐留などはさっさとやめたいのが本音でしょう。

日米同盟において、米国は十分すぎるほどの利益を得ており、必ずしも「日本防衛のために駐留している」わけてはなく、「日本防衛のためにもいる」ていどです。

このようなギブ&テイクの補完関係があってこそ、日米同盟は50年という異例の長きに渡って維持されてきたのです。

ですから日本人は、「米国様に守ってもらって頂いているのだから、ご機嫌をそこねたら大変だ」という卑下はやめたほうがいいと思います。

また、逆に米国のジャパン・バッシャーたちがよく言うような、「米国の若者が血を流して日本を守ってやっているのに、日本はぬくぬくとしやがって」といった高慢な台詞には、「日米同盟の実態を見てからものを言え、日米同盟はおまえらのためにもあるんだぞ」と言い返してやりましょう。

翻って現代は、米国衰退期の始まりに当たっています。米国は、9・11以降の対テロ戦争で国力を消耗し、中東とアフガンの二正面で泥沼に足を取られてしまっています。 

その中で、厖大な軍事予算の出血が止まらず、オバマの外交戦略のアジア離れによってそれが加速し、今やアジア・アフリカにおいて中国の巨大な台頭を許してしまいました。 

特にアジアにおいては、中国は大海軍建設を夢見て、太平洋に進出する構えを見せています。 

「冷戦終結後に世界の大国は海軍の予算を大きく減らしてきたが、ここにきて、海軍力増強が再び熱を帯びている。その背景には、海洋進出の動きを強める中国への警戒心や、シリアなど紛争地域への地上部隊派兵を渋る西側諸国の思惑がある。」
(ロイター9月30日)
 

「中国も初の国産空母の完成を目指しており、向こう10年で世界の海には新たに10隻を超える空母が登場するとみられる」(同) 

「米軍は現在、中国人民解放軍(PLA)の海軍の動きをにらみつつ、艦船を大西洋から太平洋に移しつつある。中国海軍は、同国の国防費が毎年2ケタの伸びを続ける最大の要因とみられている。

中国国防省は昨年9月、ウクライナから購入して改修した空母「遼寧」を海軍部隊に正式配備したと発表。同空母以外にも、中国海軍は潜水艦や哨戒艇などの建造を進めている。

今年9月には、国有企業の中国船舶重工が、私募形式での株式発行で14億ドルを調達する計画を発表した。資金は軍艦製造設備の購入などに使われる予定だが、中国が軍拡に向けて株式市場での資金調達に初めて踏み出すケースとなる。」(同) 

この中国の軍拡に刺激されて、中国を仮想敵とするインドは8月に、同国初となる国産空母の進水式を行い、オースラリアも海軍力増強に乗り出し、ベトナムはロシアから潜水艦を購入する予定を発表しました。

なんとわが国の5分の1しか領海しかない韓国すら、空母建造計画があるそうです。

どうしていきなり空母まで飛躍するのでしょう。毎度のことながら、なにを考えているのかよく分からない国です。

南シナ海のスカボロー礁の領有権をめぐり中国と対立するフィリピンもまた、米沿岸警備隊で使われていた巡視船2隻を導入し、日本からの巡視艇10隻の供与とフランスからの哨戒艇を購入する計画です。 

「米国を拠点とする調査会社AMIインターナショナルの推計によれば、今後20年間で海軍に使われる予算は、世界全体で総額8000億ドル(約78兆2500億円)前後になる見通し。そのうち4分の1を占めるのは、緊縮財政の欧州を抜き、海軍支出額で北米に次ぐ世界第2位の規模になったアジアだという。」(同) 

このように現代は、戦前のワシントン、ロンドン海軍軍縮会議の失効した1936年(昭和11年)に次ぐ「21世紀の大建艦競争期」を迎えているといえます。

その一方米国は、スーパーパワーの地位から徐々に滑り落ちつつあります。

「米政府の予算が自動的にカットされる「強制歳出削減」が今後10年にわたって続けば、米海軍の空母11隻のうち最大3隻が運航停止になる可能性があり、大幅な戦力縮小は避けられないとみられる。」(同)

この米国の戦力縮小と、台頭する中国軍事力、それに対抗する東南アジア・オーストラリア各国という構図の中で行われたのが、先日の日米安全保障協議委員会(日米外務・防衛担当相会議/2+2)でした。

この会議を米国は「歴史的会議」と当初から位置づけていました。この共同声明はわが国が、従来の片務的安保関係から、双務的安保関係に明確に転換したことを宣言しています。(欄外参照) 

この共同文書はオスプレイの沖縄における駐留・訓練時間を削減し、米海兵隊司令部機能の沖縄からグアムへの移転を20年代前半に開始するなど、かねてから安倍政権が約束してきた沖縄の負担軽減へ道筋をつけました。 

これを受けて小野寺穂防衛大臣は訪沖し、普天間移設問題を仲井真知事と協議したようです。

これは従来の沖縄側の要求だった、オスプレイ訓練の軽減、米軍訓練水域の漁船操業てどを含んでおり普天間移転加速のための沖縄懐柔策です。

これに対して仲井間知事は、辺野古への移転問題について「これは微妙と答えざるを得ない」(県会答弁)とまさに微妙に転換しているようにもみえます。

彼の本心は例によってよく分かりませんが(簡単に分ったらタフネゴシエーターじゃありませんからね)、常識的な妥結を模索しているのかもしれません。

来週からまた農業に戻ります。

                   :;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+ 

日米共同発表要旨=日米2プラス2
時事通信 2
013/10/03 

日米安全保障協議委員会(2プラス2)が3日まとめた共同発表の要旨は次の通り。

 【概観】
 日本版NSC(国家安全保障会議)設置と国家安全保障戦略策定の準備、集団的自衛権行使に関する事項を含む法的基盤の再検討、防衛予算増額などの日本の取り組みを米国は歓迎し、緊密に連携。

 北朝鮮の核・ミサイル計画、海洋における力による安定を損ねる行動、大量破壊兵器拡散などの脅威、国際的規範への挑戦に対処するため十分な用意が必要。中国が地域の安定と繁栄に責任ある建設的な役割を果たし、国際的行動規範を順守、軍事上の透明性を向上させるよう促す。
 日米は同盟をよりバランスの取れた実効的なものとし、十全なパートナーになる決意。

 【2国間の安全保障・防衛協力】
 変化する地域・世界の安保環境がもたらす影響を認識し、防衛協力小委員会に、
日米防衛協力のための指針(ガイドライン)変更に関する勧告の作成と2014年末までの完了を指示。
 両国の弾道ミサイル防衛能力強化を確認し、SM3ブロック2A共同開発を含む最近の進展を歓迎。2基目のXバンドレーダー(早期警戒レーダー)システム配備先として航空自衛隊経ケ岬分屯基地の選定を確認。

 サイバー防衛協力強化を任務とする新たなサイバー防衛政策作業部会の実施要領への署名を歓迎。宇宙状況監視や宇宙を利用した海洋監視に関し、情報の収集・共有を向上させる。防衛当局間の情報収集・警戒監視・偵察(ISR)作業部会設置を歓迎。

 南西諸島を含む地域で自衛隊の態勢を強化するため、施設共同使用に関する作業部会の取り組みを歓迎。日本は武器輸出三原則等について検討。F35戦闘機製造への日本企業参画といった連携を通じ、装備・技術に関する2国間協力を深化。

 2国間の拡大抑止協議の成果は有意義。同盟協力に死活的に重要な情報保全を一層確実なものとするため、法的枠組みの構築における日本の真剣な取り組みを歓迎。
 時宜を得た効果的な2国間訓練の拡大など平時の防衛協力進展を歓迎。在沖縄米軍の県外訓練継続のための重要な取り組みを認識。日本による在
日米軍駐留経費負担は引き続き重要。

 【地域への関与】
 地域のパートナーに対する沿岸巡視船や訓練の提供など日本の政府開発援助(ODA)の戦略的活用を歓迎。航行の自由を保護し、安全なシーレーン(海上交通路)を確保するため、海洋安全保障、海賊対策でさらに協力。地域における安全保障・防衛協力の重要性を確認。特にオーストラリアと韓国との間で定期的に実施されている3カ国間対話の成功に留意。

 【在日米軍再編】
 〔沖縄〕13年4月の統合計画に基づく土地返還の進展を歓迎。普天間飛行場の代替施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区と隣接水域に建設することが、普天間飛行場の継続的使用を回避する唯一の解決策。この計画に対する両政府の強いコミットメントを再確認し、普天間返還を可能とする同計画を完了させる決意を強調。

 13年11月末までにホテル・ホテル訓練区域の使用制限の一部解除について、原則的な取り決めを作成するよう日米合同委員会に指示。

 〔岩国〕普天間飛行場から岩国飛行場への空中給油機KC130飛行隊移駐に関する協議を加速し、可能な限り速やかに完了させることを確認。厚木飛行場から岩国飛行場への第5空母航空団諸部隊の移駐を17年ごろまでに完了。

 〔グアム〕グアムを含む日本国外への米海兵隊要員の移転が、沖縄への影響を軽減しつつ、米軍の前方プレゼンス維持に寄与し、戦略的拠点としてのグアム発展を促進することを確認。09年のグアム協定を改正する議定書に署名。

 グアム、北マリアナ諸島連邦における訓練場整備に日本の資金を提供。12年の共同発表で示された移転計画の下、米海兵隊部隊の沖縄からグアムへの移転は20年代前半に開始。この計画は13年4月の沖縄における在日米軍施設・区域統合計画の実施を促進。

 〔高度な能力〕より高度な能力の日本配備が日本と地域の安全に一層寄与することを確認。高度な能力は次を含む。

▽米海兵隊によるCH46ヘリコプター換装のためのMV22航空機(オスプレイ)2個飛行隊導入

▽13年12月から開始されるP8哨戒機の米国外への初の配備

▽14年春からグローバルホーク無人機のローテーションによる展開を開始する米空軍の計画▽米海兵隊によるF35B戦闘機の米国外における初の前方配備となる17年の同機種の配備開始。

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