« 脱原発を具体的政策で論じよ! | トップページ | ドイツの脱原発は隣の家の青い芝(7) メルケル女史の脱原発という「正義」がもたらしたもの »

ドイツの脱原発は隣の家の青い芝(6) なぜ脱原発政策開始と共に電気料金は高くなったのか

015
先にもお話しましたが、ドイツの電気料金はバラバラです。再エネ(再生可能エネルギー)だけで2倍もの価格差かあります。

ですから、全体像をつかむには火力まで含んだ電気料金全体の推移を見る必要があります。

ドイツ電気事業連(BDEW)の平均的電気料金推移を見てみましょう。(下図参照) Photo_2

このグラフを見ると、2002年の脱原発政策以来電気料金は変わることのない右肩上がりを続けているのがお分かりになると思います。

図をみると、青色の発電・送電・配電コストという実費はこの10年来大きな変化はありません。

問題は、オリーブ色とグレイの再エネ法賦課金(税金と同じ)と熱源供給型発電所促進税とアズキ色の電力税(環境税)の部分が年々重くのしかかって、電気料金を押し上げていることです。

なんとドイツでは、36.3%が各種再エネがらみの税金なのです。これで不満がでないわけがありません。

その原因は、ドイツが原発に替わる代替エネルギーとして再エネを見込んでしまい、それに累積23兆円もの過剰な補助金を投入してしまったからです。

しかも初め20年間は固定価格で全量買い上げるというFIT(フィードインタリフ)という制度を作ってしまいました。この制度を模倣したものはわが国も去年から初めています。

ドイツ再エネ法(EEG)では、再エネが通常の電気買い取り価格よりケタ違いに高く買われてきました。特に、太陽光発電は群を抜いて高い買い上げ価格が設定されました。

これは単に高い固定価格だけではなく、いったん設定された価格を20年間の長期にわたって固定して全量買い上げるというプレミアムまでついています。

ということは、20年間電気料金は下がらないわけです。

そして電気が予定よりできようとできまいと、仮にできた電気が周波数が狂ったものであろうと全量買い取るというのですから凄まじい制度を作ったものです。

しかも毎年買い取り価格は下がっていきましたから、高い期間につけなきゃソンソンとばかりに我も我もと殺到したわけです。これがドイツやスペインの太陽光バブルです。

この中には地雷がたくさん隠されていました。ひとつは税金投入して買い支えているわけですから政府の予想を超える太陽光バブルに財政負担がショートしました。

NHK特集「揺れるドイツ自然エネルギー政策」(12年8月21日放映)でもこう報じられています。

「再生可能エネルギー全体のわずか15%でしかない太陽光発電に、電気利用負担者の負担金の5割にあたる7640億円が使われている」。

また番組の中では短期的利益を狙う投資家たちが大量参入したことも描かれています。

番組では詳細はありませんでしたが、ひとつは投機的資金のメガソーラーなどへの参入と、もうひとつは市民の屋根にパネルをローンで設備を設置させ、売れた電気の収益の一部を渡すという商法です。

この方法が普及してしまったために、本来は買うことができない太陽光パネルを自宅に設置する低所得者層が急増しました。

一種の太陽光版サブプライムローンです。これがEEGの破綻とともにどのようになるのか心配されています。

これにメルケルさんは補助金(※EUでは補助金ができないため「賦課金」名目)の半額、実に約12兆円を投じてしまい、それが回り回って太陽光パネルをつけられなかったドイツ国民の電気料金にも上乗せされることになったのです。

富裕層は太陽光パネルをつけたり、メガソーラーや風力発電所に投資して儲けることができましたが、貧困層はひたすら電気料金の負担の増加に苦しんだわけです。

脱原発政策は、意図せざる電力格差社会を生み出してしまったのです。

では、なぜその再エネで2倍におよぶ価格差が生じてしまったのでしょうか。

それは電力自由化の行き過ぎて販売部門にだけに会社が集中して過当競争になっているからです。

実はドイツは再エネ拡大だけではなく、電力自由化もほぼ同時期に行っています。(※電力自由化は1998年、脱原発は2002年から))

電力自由化とは、おおざっぱにいえば、今まで発電から販売まで一貫経営で地域独占していたものを、発電、送電、販売を切り離して、参入自由の自由市場にして競争させようという政策です。

つまりドイツでは、脱原発政策により半分の原発を止めた上に、再エネ拡大政策と電力自由化をするという三つの電力改革をしていたことになります。

この三つはひとつひとつとってもたいへんなテーマですが、それを同時に、しかも急進的にしようとしたのがドイツだっのです。

■写真 日の出です。ナニカよくわからないかもしれませんが、クリックすると大きくなります。

|

« 脱原発を具体的政策で論じよ! | トップページ | ドイツの脱原発は隣の家の青い芝(7) メルケル女史の脱原発という「正義」がもたらしたもの »

原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

一時的なイデオロギーによって、中長期的な政策を決定すると、後々様々な弊害が出ると言う事の典型的な例ですね。
長期的か超長期的かにも因りますが、脱原発や廃炉はそう簡単にできるものではありませんので、その後始末までを考える必要があります。
便利なものほど、短期的には始末出来ない・・・別な言い方すれば人間の手に負えない(全てをコントロール出来ない)ものに手を出してしまった「ツケ」は、孫子の代まで支払わなければならないと言う事だと思います。原子爆弾を悪魔の兵器とは言い得ています。
人々の多くは「結果」で物事を言います。それまで享受してきた、便利さを含めて経過の多くを評価したり語ろうとはしません。
結果だけで物を言うのは簡単ですが、併せてその対処法や解決法まで言ってほしいと思います。yuiさんもあれから姿を表しませんが、いちゃもんではなく建設的な意見を聞きたいのは、私だけでは無いと思います。

投稿: 北海道 | 2013年11月 7日 (木) 16時45分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 脱原発を具体的政策で論じよ! | トップページ | ドイツの脱原発は隣の家の青い芝(7) メルケル女史の脱原発という「正義」がもたらしたもの »