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2013年11月26日 (火)

知られざる電力予備率10%切れの危機的状況

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今の電力事情を象徴する例をもうひとつ上げましょう。和歌山県の関西電力海南火力発電所です。

ここは、原油の値上がりなどの経済的理由で、需給関係を見ながら稼働させる長期計画停止状態にありました。

通常火力発電所は夏のピーク時をにらんで5月くらいから稼働し、秋になると定期点検に入ります。
(下図参照 BSフジ 環境ジャーナリスト枝廣淳子

ガリレオX「火力発電所の舞台裏 夏を迎える発電の現場を訪ねて」より)

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また、4年ごとに大きな定期点検に入っていくサイクルを繰り返します。
(下図参照 同)

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ここも定期的な長期停止状態にあったために設備の各所に錆などの劣化がみられています。
(下写真 同)

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この海南発電所も武豊発電所と同じで10年以上の稼働停止のために配管や排気ダクトが錆でボロボロになっていました。

これを同じく11年夏の原発停止を受けて全面的再点検作業に入り1万数千箇所の点検修理を行ってようやく再稼働にこぎつけています。

この海南2号機の再稼働のために要した人員は延べ12万にも達し、一日880人もの作業員が投入されました。

いかに時間を切られた困難な作業だったのかがわかります。

この海南発電所も老朽化している上に、定期点検もままならぬ状態なために、まさにだましだまし使っている状態で、武豊発電所もそうでしたが、壁の要点検ボードは要点検箇所で満杯です。

トラブル件数は再稼働した2011年夏からうなぎ登りです。これか「全一日未満」の軽微にすんでいるのは、作業員の使命感に支えられた夜間修理などの賜物だそうてす。(下図参照 同)

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このような現場の努力の他に、長時間の発電所のダウンに備えて海南発電所では敷地内に緊急設備電源などを設けて備えています。

このような緊急設備発電装置は全国各所に222基あるそうです。(下写真 同)いざとなって修理に数日かかるとこの緊急設備を動かして穴を開けないようにするわけです。

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このように、全国の現場の電力マンたちの献身的な努力と、定期点検の先延ばしでどうにか電力が足りているという状況です。

通常は予備電源率は10%ていどで運転されています。さもないとなにかあった場合に対応ができないからです。

このような電力の予備率が極端に薄い状況で、もし一基の火力発電が大規模故障した場合ブラックアウト(長期広域停電)もありえる状況だといってよいでしょう。

現場を預かる火力発電所の技術者は、「もし一基でも止まったら大停電だ」という思いで、毎日を過ごしているのだそうです。
 

現に、2012年2月3日、九州電力の新大分火力発電所(大分県大分市)のトラブルで計13台の発電機が一時停止し、東京、中部、北陸、関西、中国、四国の6電力会社から計240万kWに及ぶ電力の緊急融通を受けました。 

ところが、この緊急融通した中部電力自身も薄氷状態だったのです。 

「九州電力に電力の緊急融通を実施したこの日、中部電力では予備率が一時的に3.5%まで下がる恐れがありました。供給力に直せば、わずか80万kW程度。これはたとえていえば、ジェット機が海面スレスレを飛んでいるような危機と紙一重の状態です」(武豊発電所所長永崎重文氏) 

中部電力には80万kW以上の火力発電機が6基あるが、当日、一つでも故障していたら、ブラックアウト(広域大規模停電)につながりかねない事態であったそうです。

「電気は原発を止めてもたっぷりある」というのは神話にすぎません。もう少し現実をしっかりと見るべきです。

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コメント

もし、電力需要の多い時期・時間帯になんらかのトラブルが1箇所または複数箇所で発生したら…

輪番停電でもやるんでしょうか?
国民生活には多大な影響が出ますし、あの震災の直後には東京では少なからず混乱しましたし痛ましい交通事故も発生しました。
それでも「今が国家の一大事の災害」だからと、ほとんどの都民は堪えたり工夫をして受け入れてくれました。

ところが東電の会見に対してマスコミが「死ねっていうのかよ!」などと、まるでチンピラのような暴言を吐いていましたが。

西日本はじめ、全国のみなさんは、覚えていらっしゃいますか?
また、自分の身に降り注いだ場合に、甘んじて受け入れられますか?

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