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小泉さん、あいかわらずハッタリばかり

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自民党もよくまぁ、これほどなめられたものです。 

もはや議員ですらなく、いわば素浪人同然の小泉さんにいいようにかき回されています。

初めは酔狂の類かと思っていました。

ご存知のように小泉純一郎という人物は、自己顕示欲と嫉妬をシャッフルして、ハッタリ風味でコーティングしたような人です。(←あまり喰いたくないな)

勘違いで始めた「郵政改革」が、敵を作為的に作る政治手法と、論理構築を省いたワンフレーズ・ポリティクスで爆発的な成功を納めてしまったのが日本の不運というものでした。

彼の発言はまず直球にきます。

郵政改革ならば、「民間でできることを公務員がやるのか。小さい政府を作ろう」と投げ込んできます。 

そして次の小泉さんが投げる弾にご注意ください。ここで彼はウソをバネにして自分の都合いいことに引き込みます。

「民間に任せれば公務員は大削減できるのだ。そうすれば国民は税負担が軽減される」と続けるのです。

はい、嘘です。当時の郵政公務員は、身分は公務員ですが郵政事業から報酬を得ていて、税金はびた一文使っていませんでした。

ですから民営化しても公務員数は頭数だけは減りますが、実質同じです。 

次に小泉さんは、郵貯のお金が財政投融資に繰り込まれて、官僚や政治家が癒着していいように使える「闇の資金」になっていると攻撃しました。

これも嘘です。彼が首相として民営化を叫ぶ前の2001年には財政投融資は郵貯から完全に切り離されています。

もう一丁。当時彼は「官業が民業を圧迫している」と言いました。

またまた嘘です。87年に郵貯の金利は民間と連動しており、92年には財務省と貯金の限度枠を1000万円とする定額合意すらできていました。 

こんなものは民間の金融業はありませんから、むしろ逆差別です。

そして決め手が「守旧派をやっつけろ」です。

小泉さんは反対する相手を一刀両断で「守旧派」と決めつけて、自民党内の民営化反対の候補に刺客戦術までとったのです。

この「守旧派」自民党ジジィが、若い女性の刺客に次々に倒されるのを見て興奮したのが、「小泉劇場」でした。 

この郵政選挙で小泉さんは望外の自民大勝を得ます。そしてうんざりするような長期政権が始まります。

彼の在任中に中央と地方、正規雇用と派遣の間には埋めがたい格差が誕生します。この格差はいまだ埋められていません。 

それを作った責任者がこの小泉純一郎という男なのです。

私は、このような小泉さんがあっさり引退して悠々自適はないだろうなとは思っていました。

しかしそれは俗世間に対する塩辛いひと言ていどだろうと思った私が甘かったようです。

今の小泉さんの「脱原発」発言は慎重に計算されており、的確に衆目を集める時と場を計算して行われています。

どうも彼は政治活動を再開したいようです。しかも「ワンフレーズ脱原発」で。 

小泉さんはいまや、「即ゼロがいい。その方が企業も国民も様々な専門家も準備が出来る」 と言っています。

できてませんよ。後述しますが、今の電力業界は、業界として滅亡危惧種入り寸前です。茨城県など、稼働停止している原発にまで課税するというんですから、もはやいじめ。

「即時ゼロ」の道筋はというと、こうです。

政治で一番大切なことはまず方針を示すことだ。原発ゼロという方針を政治が示せば必ず知恵のある人がいい案を作ってくれる」。

なにいってんだか、そんな便利な「知恵者」とやらは世界中にいませんよ。初め私は小泉さんが突如思いついたから発言しているのかと思いました。

ところがよく読めば、なんのことはない、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」(古い)の類じゃないですか。

フィンランドのオンカロでひらめいちゃったらしいですが、オンカロは原発止めるために作ったのではなく、動かすために作ったのです。このオンカロがいっぱいになる80年後までの時間稼ぎにすぎません。

蓄電技術があれば、なんて言っているようですが、ほんとうに調べてしゃべっているかしら。

蓄電技術は割に合わないコスト喰いで、それでなくても割高な再エネに蓄電器つけたら、法外なものになります。

というわけで、道筋もなんにもなく、無内容にただ思いつきで吠えているだけです。

それでいて、というかむしろ無知ほど強いものはないからか、方針だけは過激です。

「即時全面停止」などという立場は、今の脱原発派の中でも最急進派で、もはや山本太郎氏といい勝負です。 

段階的フェードというなら議論の余地がありますし、この私もそうですが、「即時ゼロ」などは論外です。議論の余地もない愚論、暴論でしかありません。

ところが、朝日新聞はこのようなことを「院政政治」と呼ばずに、「世論の支持が広がれば無視できなくなる」とまで持ち上げています。 

そうですかね。「小泉爆弾」が炸裂したのが、2011年夏あたりだったら、この私も含めて影響力があったでしょう。なんせ化けの皮が大分はがれても、元の「大宰相」ですからね。 

しかしそのあと、2年半以上たって国民は学んだのです。 

今すぐに原発が停止してしまえばどういう状況になるのか、ピンとこなくてもジワジワ分かって来ています。 

小泉さんのいう脱原発の理想郷を実現したはずのドイツかどうなったのか、私のブログ読者以外にもゆっくりと分かってきています。 

そう、2年半たって私達は冷静に脱原発を考えられるスタート地点にいるのです。それを「郵政民営男」に振り出しに戻されたくはありません。 

実は原発がゼロになった状態を想定するのは簡単なのです。答えは簡単。ただ今現在がそうだからです。 

わが国では9月17日に、国内で唯一稼働していた福井県の大飯原発4号機が定期点検のため停止し、現在ただの一基も原発は稼働していません。 

原発を止めると、代わりに火力発電所の運転を増やさなければなりません。半分止めたドイツもそうでしたし、全部止まっているわが国はドイツ以上にそうでした。

関電はわが国でも原発依存度が高いのですが、2012年3月期の連結最終損益は、2530億円と過去最大の赤字に転落しました。

東電のような事故補償や事故処理コストがないにもかかわらずに赤字転落したのは、原発の停止によって燃料費が2010年の2倍の8000億円に増えたからです。

これは単に一企業の利益だけの問題ではなくなりました。なぜなら電気事業法によって、電気料金は総括原価方式なので、コスト増は電気料金に上乗せされるからです。

そして原発ゼロは、日本経済全体に暗い影響を与えています。 

みずほ総研は、GDPの約1割が燃料費で消えていると発表しています。 

・2011年の燃料輸入額・・・21兆8000億円
・              ・・・前年から4兆4000億円増
・              ・・・GDP(国内総生産)の0.9%が燃料費で消滅
・              ・・・貿易収支は31年ぶりの赤字に転落

当然、電気料金はぐんぐん上昇していきました。完全に化石燃料コストと電気料金値上がりは同調しているのかわかります。(下図参照 東電HP) 

Photo

「燃料費調整として、ひっそりと1年のうちに537円もの値上がりが発生しているのも事実」(グリーンピース2012年9月3日 )だそうです。

小泉さん、どの国でも失敗している脱原発=再エネ政策を改めて持ち出すあなたの神経がわかりません。 

あなたは国を滅ぼしたいのですか。 国を滅ぼしても自分の理想を遂げたいのが運動家だとすれば、さてあなたはいつから運動家になったのでしょうか?

晩節を汚していただきたくないものです。横須賀でオペラでも唄いながら機嫌よく散歩でもしていて下さい。

※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-26ea.html
       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-4813.html
       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-1cf4.html

       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/24-881d.html
       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-5925.html
       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-8e91.html
       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/1000-1b70.html

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

ドイツの脱原発に関する連載は、大変勉強になります。ドイツがもっと苦しんで矛盾をもっと見える形で世界に表してくれることを願っています。ドイツ国民にとっては災難でしょうが。

 さて、唐突とも思われる小泉の原発即ゼロ発言ですが、ちょっと雑談の中で感想を述べた程度なら、フィンランド視察からの思い付き発言とみなしてよいと思うのですが、講演や記者会見など活発な活動をみているとどうも本気で言っているようです。
しかし、小泉元首相は勉強嫌いで有名でしかも政治家引退の状態です。そんな小泉が脱原発を今ごろになって真面目に考えているとは思えません。

 彼はれっきとした政治家です。何か考えがあってのことだと想定できます。小泉は脱原発を唱えていますが、本音は再生可能エネルギーの更なる普及だといっています。これが本丸なのではないでしょうか。

 考えられるのは、再生可能エネルギーへの批判が徐々に出てきたことと、北海道電力による再生可能エネルギー買取制限など再生可能エネルギーに逆風(弱いですが)が吹き始めたことを感じた勢力が今巻き返しに図っているのではないかということです。
 菅直人がFIT法案を急に通したのはなぜでしょうか。今それと同じことが起こっているような気がします。
証拠はないので、あくまで推定ですが。

投稿: 東久留米 | 2013年11月14日 (木) 10時56分

夏休み中、失礼します。小泉元首相が外国特派員協会で言いたいこと言いまくったみたいですね。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160907-00000090-asahi-pol

人のこと言えた義理かと思いますね。あんただって今まで散々国民だましてきただろ。そもそも今の政治混乱の原因は、あんただろ。と言いたいですね。こんな鳥越みたいなやつがなんで長期政権をつくれたのか、今考えるとゾっとしますね。

投稿: umigarsu | 2016年9月 8日 (木) 22時13分

umigarsuさん。
小泉さんは老醜=男の嫉妬+老ボケ+権力への執着+かつての栄光の反芻ですかね。

原子力や放射能について基礎的知識がないので、その都度いいように反原発組織に操られているみたいですね。

汚染水ことトリチウムのウソについては、あまたや騒がしいので、改めて週明けにやろうかなと思案中。

投稿: 管理人 | 2016年9月 9日 (金) 05時15分

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