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2013年11月12日 (火)

ドイツの脱原発は隣の家の青い芝(9) 再エネはとんだ自己チュウだった

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ここまでで再エネ(再生可能エネルギー)の特殊性が分かって頂けたかと思います。

何といっても他の電源と決定的に違うのは、再エネには不安定な性格という宿命的欠陥があるのです。

「テルツァキアンの9項目」(※)でいう量的柔軟性出力安定性に決定的に欠けています。

これは基盤電源としての必須条件である、一定の電圧と周波数で電流を安定して流す定常性が欠落していることになり、大きなマイナスです。

この気まぐれ病があるために、再エネはもっとも古い人類とのつきあいがあっても、近代工業社会では徐々に忘れ去られていったわけです。

それが蘇ったのは、言うまでもなくチェルノブイリ以降の原子力に対する懐疑からでした。

様々な実験的取り組みが行われてきましたか、福島事故以前には、小規模な系統送電網内の中に紛れ込むていどの発電量だったので問題が出にくかったのです。

ところが、これを一気にドイツのように原子力の代替と位置づけて、国家規模での電源インフラとして使うとなると、先日みた様に電力供給全体が不安定になって、下手をするとブラックアウト(停電)になってしまうことが分かってきました。

もう少しそのへんを細かく見ていきましょう。これが理解いただけると再エネを大量導入した場合どうなるのかがわかるはずです。

よく再エネにはスマートグリッドが必要だと言いますが、そのほんとうの理由は単にこっちが雨が降っているから別な地方から電気をもらってこようという地域シフトの問題だけではありません。(もちろんそれもあります)

再エネは24時間、その発電量に応じて他の火力発電がつききっきりでフォローしている保護者付きの「半人前」の電源なのです。

下図は、太陽光が増加したスペインの1日の需給運用のグラフです。(資源エネルギー庁作成)

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 (図 「容量市場は果たして機能するか?~米国PJMの経験から考える」電力改革研究会より)

この図は、実際に再エネが拡大した場合、他の電源がどのような関係でそれを補完するために増減をするのかを示した貴重なものです。

単一の電源の増減グラフはよくあるんですが、複数電源を一目で見られるようにしたものは希少です。

電気というのは生ものです。生鮮品なのです。多くの人はこの電気の本質を忘れて議論しています。

だから再エネが設備容量ベースで22%だといわれるとマンマ額面どおりに信じて、22%常に供給できるんだぁと単純に信じてしまいがちです。

残念ながら違います。再エネはそれに実効発電率をかけねばなりません。しかもその時間ごとに。

太陽光の場合平均10%をかけますが、それとてあくまで平均で、一日のうちのにも増減しています。それを表したのがこのグラフです。

上図をみると、現実に太陽光や風力が増えた場合、いかに瞬間、瞬間の電力需給を他の電源がマッチングさせて停電させないために苦労しているのかが分ると思います。

ドイツでは連邦ネットワーク庁という中央電力供給指令所のような部署がコンピュータ管理をしているようですすが、担当者はいつもポケットに胃腸薬を入れているみたいです。(冗談)

たとえば、上図左の赤い楕円部分に注目ください。

夜間の電力需要が少ない時間帯に、なにを考えたのか強風が吹いたとみえて風力(薄緑)が突然発電し始めて、火力(黄色)はたちまちただ1基のみまでに停止しているのがお分かりでしょうか。

逆に、一番電気が欲しい夜6時から9時(図右端)には風がやんでしまったと見えて火力がフル稼働の27基全開で出力して供給を支えています。

一日のうちにたった1基から、フル稼働の27基までという恐ろしい振り幅です。

まさに文字通り風と晴れに振り回される電力事情になってしまったのです。

次回、もう少し再エネ導入以後のドイツ電力事情を探ります。

※テルツァキアンの9項目 
ピーター・テルツァキアンMIT教授によるエネルギー源判定基準のこと
① 汎用性(どんな用途でも利用可能)
② 量的柔軟性(微細でも巨大でも自在に出力調整が可能)
③ 貯蔵性・運搬性
③ ユビキタス性(時期と場所を選ばない)
④ エネルギー密度(面積・堆積・重量当たりエネルギー量)
⑤ 出力密度(時間当たりエネルギー量)
⑦ 出力安定性
⑧ 環境負担(CO2 の排出に限らない)
⑨ エネルギー供給安全保障(政治的リスク)

※参考文献「容量市場は果たして機能するか?~米国PJMの経験から考える」

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