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2013年11月15日 (金)

バランスのいいエネルギー源の見方  テルツァキアンの9項目プラス2

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コメントで色々なご意見が聞けて楽しいですね。

原発の耐用数制限の問題、最終処分のあり方、核廃棄物と原発稼働数との関係(総枠規制)、あるいは核リサイクル施設の存続、代替エネルギーなど、実に多くの議論すべきことがあります。

簡単に「原発ゼロ」と言って済ませられる問題ではありません。

原発問題というのは、放射能リスクばかり強調されがちですが、むしろエネルギー問題だと私は思っています。

原発のリスクをなくすということは、別なリスクを取ることでもあります。その新たなリスクの大小が、代替エネルギーを選ぶ基準となります。  

原子力に安全上の危険性がある、さらに廃炉や最終処分というバックエンドまで考慮するとけっこう高いモノにつくなどというのは、今さら小泉さんに教えてもらわなくとも国民的常識になっているわけですね。 

じゃあ原子力を止めるか、もっとどんどん減らしていきましょうという漠然とした合意は、今の日本にできています。新規に原発を作るのは限りなく無理です。 

この私もあせって即時ゼロにするには反対ですが、計画的に減らしていくべきだと考えています。

その場合、規制委員会の言う安全審査以外にもっと大枠で判断する要素が要ります。

その重要な指標のひとつが、最終処分地にどれだけ埋設できるのかとういう量です。

日本にも100年前後の暫定埋設ならば十分可能な地層はいくつもありますから、そこで暫定埋設できる量が、原発から排出される廃棄物の総量+現在保管している分と均衡していなければなりません。

これが原発の総量規制という考え方です。これについては別の機会にじっくり考えていきたいと思います。

さて、当座考えねばならないのが、なにが原発の代替エネルギーになるのかということですが、その選択を決定するのが、「エネルギーの価値尺度」です。

まだるっこいようですが、ここからお話していきます。

ガス・コンバインドサイクルなどの技術的進歩は、この価値尺度の一部でしかありません。 

よく素人が技術的ブレークスルーに接すると、すぐこれこそが次世代の救世主と思ってしまうものですが、シェールガスや、メタンハイドレートのような新たなジャンルが誕生したのでなければ、その影響はこの価値尺度の枠の中で判定されるべきです。

そうしないと、新たな技術やエネルギー源が誕生するたびに宣伝文句に踊らされるはめになります。 

さて、このエネルギー価値尺度で世界的にもっとも有名なのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のテルツァキアン教授によるエネルギーの価値を判定する9の基準というリストです。(欄外参照)

学者の言うことですから、やたら小難しい用語で書かれていますが、要は「安全・安心・安定」ということです。

これはエネルギー源の利用価値を計るもので、「産出/投入比率」と合わせて使われているものです。 (欄外資料2参照)
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-3.html 

テルツァキアンの判定項目は以下です。

汎用性      ・・・どんな用途にでも利用可能
量的柔軟性   ・・・微細にでも巨大にでも調整可能
貯蔵性・運搬性 ・・・自在に移動することが可能
ユビキタス性  ・・・時期と場所を選ばない
エネルギー量  ・・・面積・体積・重量当たりのエネルギー量
出力密度     ・・・時間当たりのエネルギー量
出力安定性   ・・・エネルギー出力の安定性
環境負荷    ・・・CO2や窒素酸化物・硫黄酸化物などの排出量
供給安全保障 ・・・産出地の政治的安定性
 

そしてこのテルツァキアンの9項目に、私は福島第1原発の過酷事故以後は10番目として「危険度」が付け加えられるべきだと考えています。 

そこで私は10番目の判定基準として危険度を入れたいと思います。

事故時の危険度・・・過酷事故時にいかなる危険があるのかの度合い

また、専門家によっては、派生して出来る副産物を上げる人もいます。

たとえば石油は生成の過程で膨大な石油化学製品を生み出しますが、再生可能エネルギーはまったくなにも生み出しません。 原子力は原爆というものすごい副産物を生み出します。

そこで11番目の判定基準として
副産物・・・製造時にどのような派生品を生み出すのかの度合い
 

欄外の表を見ながら読んで頂きたいのですが、この9+2の判定基準でみると、最高得点なのは石油です。 

○が壮観なほどズラっと並んでいます。まさにエネルギーの優等生です。だからこそ、石油は現代エネルギーのチャンピオンになったわけですが。 

石油は⑧の環境負荷でCO2を出すことと、⑨の安全保障という点が産地が世界の火薬庫のような中東湾岸ですので、これが低い以外は平均して高い利用価値があるとされています。

私が勝手に追加した11番目の副産物も、プラスチック、ビニール、化学肥料などを先頭にして膨大なジャンルがあり、それがなくては現代生活が営めないほどです。 

しかし今や、むしろその高い利用価値が禍して、過剰に投機マネーが流入したり、原油争奪の国家間紛争が起きたりして、そのつど原油価格が大きく変動してしまう欠点を持っています。 

その為に数度の石油ショックで学んだ先進各国は、石油依存経済から脱却しようとしています。

●原子力は、どんな用途にでも使えるわけではなく、また移動することなどはぶっそうなのでやめて欲しいので汎用性とユビキタス性に難点がついています。 

かつて冷戦初期に、米国もソ連も原子力爆撃機などというもの騒がせなものを作ろうとしましたが、堕ちたらえらいことなので計画が中止されました。 

脱線ついでに、鉄腕アトムは原子力エンジンで動いています。足から出ているのは原子炉からの直接排気で、おいおいやめてくれよ(笑)。ちなみに妹はウランちゃん、弟はコバルト君です。 

原子力は「環境負荷」において、福島第1原発事故以前はCO2が出ないことで高得点でしたが、今そのように思っているのは日本の環境省くらいなものでしょう。 

環境負荷もなにも、事故がいったん起きれば一国の3分の1が住めなくなる可能性が高い(※)わけですから、10番目に「安全性」という評価項目かあれば、原子力は最低最悪の得点であることはいうまでもありません。

11番目の副産物は核のゴミから 出るプルトニウムです。原爆を作る気ならともかく、これほど始末に悪いものはありません。 

●石炭は、貯蔵性、運搬性、体積・重量あたりのエネルギー密度、出力安定性は高得点ですが、あまりにも窒素・硫黄酸化物やCO2の排出か大きく環境に負荷をかけすぎるために今後を期待できるエネルギーではありません。

●水力も出力密度と産地の安定はあるのですが、貯蔵出来たりするものではなく、どうしても巨大なダム施設を作ってしまうため環境負荷が高く、日本ではこれ以上の建設は無理です。(※小型水力発電所は期待できます) 

●天然ガス。平均して特に大きな欠点が見当たらないのが天然ガスです。汎用性、貯蔵性、運搬性にはやや石油より落ちるものの欠陥といえるものは見当たりません。 

エネルギー密度、出力密度、出力安定性などのエネルギー効率は高い能力をもっています。クラスで二番目にできるおとなしい子というかんじでした。 

これが天然ガス界の革命児のシェールガスや、ガス・コンバインドサイクルなどの新技術で、一躍石油に替わる次世代のエネルギーの主力の地位に躍り出ました。 

特に天然ガスは石油、石炭、水力で問題となる環境負荷が少ないのが特徴です。 

天然ガスをまとめてみると 

①中東などの政治的に危ない地域に偏在することなく、豊富に世界各地に存在する。
②CO2や酸化物の排出も少なく、化石燃料の中で最も良好な環境能力をもつ。
③シェールガスなどによる新たな天然ガス革命により、価格が安価になる期待がある。
④過酷事故が起きる可能性が少なく、仮に起きても原発事故とは比較にならない。
 

非常にバランスの取れたエネルギー源だと分かります。 

ですから、世界のエネルギー専門家の共通した意見では、天然ガスこそが21世紀のベース電源に成長するのではないかと期待されています。

再生可能エネルギーは、脱原発のシンボルのように扱われたために実力以上に人気が高いエネルギー源です。 

環境負荷が少なく、国内で生産されるという点では高評価ですが、それ以外ではすべての評価項目で「悪い」がついてしまっています。

これは再生可能エネルギー推進派のみなさんは反論がおありでしょうが、客観的に見た位置は、残念ですが一国の主要ベース電源(基盤電源)とするにはもっともふさわしくないエネルギー源だと評価されています。 

ただしそれは全国共通のベース電源としてであり、そのように再生可能エネルギーを位置づけること自体が間違っています。 

私はいままで利用されず眠っていた地域のエネルギーを市民参加型で利用できる地産地消型エネルギーとして発展していくべきだと思います。 

ですからなおのこと再生可能エネルギーを活かすには、他のエネルギー源との組み合わせ方をどのようにしていくのかを工夫したり、どこに何を設置したら効率がいいのか、どのような地域送電網があるのかを真剣に考えねばならないのです。 

以上のように、様々なエネルギー源があります。

脱原発だから再生可能エルギーしかないんだなどと思わずに、また逆に原子力は絶対に必要だなどとも思わずに、バランスよく考えていったらいいのだと思います。

※追記 「原子力事故が起きれば国の3分の1が住めなくなる」という表現は、今回の福島事故を表現するものとしては不適切です。帰還困難地域は限定的です。これは「最悪シナリオが発生した場合に」ということでご理解ください。 

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コメント

>事故がいったん起きれば一国の3分の1が住めなくなる可能性が高いわけですから、

これは明らかに、勘違いというか過剰な判定です。今回の福一のような過酷事故でも最大20mSv程度の狭い範囲の流出で、それは政治的には問題になっても健康障害が起きることなどあり得ないことはWHO、IAEA等が既に発表している、事実です。国土の1/3なんてパニック反原発派の妄想ですよ。
 またエネルギー密度など、明らかに原子力と火力で判断が逆になってますね。

sudoku.smith さん。「国土の3分の1が住めなくなる」という表現はたしかに今回の福島第1原発事故の表現としては間違っています。
しかし、あの事故は最悪シナリオに突入する寸前で停止したということにおいて救われています。最悪シナリオは、当時も検討されており、東京も含む東日本ほぼ全域が避難対象となります。

私は福島事故は、その意味で「地獄の釜の蓋」が半開きしたていどで食い止めているのです。
しかしこのことをもってして、「原子力が安全である」というわけにはいかないでしょう。

健康被害においていわゆる脱原発派(急進派)が、過大な数値で印象操作していることはそのとおりです。私もこのブログを読んでいただければわかるように、それに対して論陣を張ってきています。

あの福島第1の事故を上回る可能性の事故はありえるという前提に立って、今後の対策や進む道を考えるべきだとおもっています。

原子力と火力の密度ウンヌンについては、おっしゃる論拠がよくわかりません。


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