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2013年12月

2013年12月31日 (火)

仲井真沖縄県知事の苦悩と決断その2 普天間問題解決が最優先に決まっているだろう!

015
今年最後の記事となります。今年もご支援有り難うございました。 

我ながらへそ曲がりなブログですが、来年もいっそう偏屈に磨きをかけてがんばっていきたいと思っております(笑)。 

皆様がよき新年を迎えられますように、心より祈念しております。

明日新年のご挨拶の後、4日土曜の週末写真館まで正月休みとさせていただきます。来週6日から通常どおりに戻ります。

さて、昨日からの続きです。仲井真氏が言いたかったことはなんでしょうか。仲井真氏はなにを危惧しているのでしょうか 

マスコミの皆さんや野党はここがわからないで、仲井真バッシングに走るのはやめたほうがいいと思います。

それは煎じ詰めるとひとつです。 

このまま手をこまねいていれば、都市開発が進んで副都心になりつつある宜野湾市のど真ん中に普天間基地が残ることになります。 

おそらく、今回の仲井真知事と政府の合意が流れた場合、再び先行きは見えなくなり、相当高い確率で普天間基地の永久固定化になることでしょう。 

それはもっともまずいことではありませんか。現実を見て下さい。 

昨日私は、反対派やマスコミは相互に矛盾している三つのことを同時に主張していると書きました。 

もう一度書けば 

①普天間は「世界一危険な基地」だから撤去せよ
②辺野古埋め立て反対
③県外に移設しろ
 

この3つには相互に矛盾があり、それを解決するような魔法はこの世にないと昨日書きました。理由は昨日の記事をお読みください。 

骨がある現実主義者の仲井真氏にはこの三つの矛盾が、放置すればするほど解けない糸玉のようになって、普天間永久固定化につながることを恐れていました。 

ならば彼が残り少ない任期のうちにせねばならないのは、普天間撤去に道筋をつけることでした。 

すなわら、解決するためにはなにから先行するのかという価値判断の軽重をつけることです。 

すべて同時に解決しろというのは、なにもするな、なにもしないままでこのままでいいという無責任と一緒なのです。 

そのように順序立てると、①の普天間の永久固定化をしないことが最優先であることは自明ではないでしょうか。 

よく新たな基地を作って、これ以上の基地負担を増やすのかという人がいますが、まったく勘違いです。 

今回の辺野古に作る「新たな基地」部分、既存の陸上部のキャンプ・シュアブとつながっています。 

つまり、まったく新たに基地を作るように報じられがちですが、実態はキャンプ・シュアブの増設にすぎません。
(下図参照「週刊オブイェクト」より転載いたしました。ありがとうございます)

Photo
しかも普天間と違って、滑走路の進入路が市街地にかからないようにあえてV字型に設計されていて安全性にも配慮されています。

もし、安全性に配慮しないならば、もっと少ない埋め立て面積でよかったはずです。

その結果、普天間基地が存続する辺野古に3分の1に縮小して移転するので基地は減りこそすれ、増えるわけではありません 

●[普天間基地と辺野古新規増設の面積比較

・普天間基地面積    ・・・480h
・辺野古新規建設部分 ・・・160h
 

辺野古だけで320h基地面積は減少することになります。 

また米軍基地は、既に1996年12月に日米合意した沖縄に関する特別行動委員会(SACO)でこのような縮小計画が決まっています。
(沖縄県 「SACO最終報告による米軍施設・区域の返還案」)http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/kichitai/documents/2sho.pdf
 

●[在沖米軍基地縮小計画 

・那覇港湾施設 ・・・60h
・牧港補給地域・・・270h
・普天間基地 ・・・480h
・キャンプ瑞慶覧・・・157h
・キャンプ桑江  ・・・70h
・北部訓練場・・・4000h
 

・縮小面積計 ・・・5037h 

これらの基地の返還がなされれば、沖縄にとって大きなメリットが生まれます。大きく2点です。 

航空機事故などの危険性排除
・跡地の再開発による経済活性化
 

牧港補給地区(浦添市)は、沖縄の大動脈である国道58号と海に挟まれた地域にあり、今まで補給地区を縫うように交通していた国道58号の大幅な改善が期待されています。 

普天間基地などは、那覇に隣接し商業用一等地として、あるいは県や国行政機能の一部移転なども可能となり、那覇に次ぐ副都心に成長することは間違いありません。 

那覇軍港は那覇市中心部と那覇空港の中間地点に位置し、物流の拠点として跡地を活用する案が検討されてきました。 

北部訓練区域は、面積が大きいだけでなく、今後のヤンバル観光のフロンティアに成長するでしょう。 

これにより沖縄県内の米軍基地の約4分の1が大幅に縮小され、沖縄の過重な基地負担は間違いなく軽減されます。 

今までこの返還が合意しても実現が遅れてきたのは、この中でもっとも重要な普天間基地の代替が決らなかったからです。

あるいは稲嶺名護市長のように反基地を掲げながら、基地返還を拒否するという本音と建前を使い分けるご都合主義の政治家がいたからです。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-10ca.html

この普天間基地の代替探しに実に自民党時代だけで14年、そしてそれを攪乱させた民主党時代だけで不毛な3年間という17年もの時間が経過してしまいました。

その間知事も認めるように、沖縄をめぐる外部状況が一変しました。

移設案が検討開始された頃にはなかった中国の膨張軍拡政策と、石垣市尖閣諸島への侵犯が頻繁になされるようになり、このような「決まらない」状態をいつまでも放置できる状況ではなくなりました。

外部状況の危機が強まる中での基地縮小という厳しい条件となったのです。

したがってもつれた糸玉の最初のつまづきが普天間にある以上、これを解決しない限り沖縄の米軍基地縮小は実現しないことになります。 

このように普天間基地移設問題に突破口ができれば、単なる一飛行場の移転にとどまらず、大幅な沖縄における米軍基地縮小の流れを作るものです。

また、仲井真知事の決断の背中を最後に押したのは、政府の日米地位協定の改定交渉に対する交渉開始意志でした。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-37d6.html

現行協定では、米軍人の「柵の外」、つまりわが国主権内で起きた犯罪に対しても、わが国では米兵に限ってわが国の司法がこれを裁くことが出来ません。

裁判自体はできますが、まず最初に裁判する権利は、米兵に限ってまず米軍が裁く権利を有します。 

これを「1次裁判権」といいますが、これを日本はこと米兵にだけは持ちません。また被疑者の身柄の確保も現行犯で警察が逮捕しない限り出来ません。

ですから、いったん「柵の中」に逃げ込まれたら、身柄の返還は米軍が裁いた後に「返してもらえるかもしれない」ことになります。

この地位協定によってどれだけ沖縄が悔しい思いをしてきたことか。この日米地位協定の改定はいわば沖縄の悲願だったのです。

単なる基地移設だけではなく、このような踏み込んだ政府の取り組みに仲井真氏は心打たれたようです。

移設容認ばかりが取り上げられ、この画期的とも言える日米地位協定交渉開始について触れた報道はまったくなされませんでした。 

もし責任論の揚げ足をとられない率直な議論の場であるなら、仲井真氏はこう言いたかったのでしょう。 

あくまで県外を望むのは沖縄人として当然だが、それが不可能な以上、次善の県内移設をすることで基地面積の縮小と危険性の除去をするしかないではないか。他に具体的代案があるなら言ってくれ 

次善なき政治は政治ではありません。少ない選択肢を突きつけられた者が、県民を背負ってとりうる道は屈伏か反乱だけではないのです。

病んだ仲井真氏が車椅子の上から叩きつけるように発した怒りは、金平氏たちのような愚劣なマスコミに対してだけではなく、いつまでも空論にふけって現状に安住する人たちに対してだったのかもしれません。

今年はこれでお終いです。年の最後に、私が尊敬して止まない骨のある現実政治家・仲井真弘多氏の最後の闘いに拍手を送って、今年を締めくくります。 

■写真 霞ヶ浦の渡し跡の日の出直前です。まだ三日月が出ています。

2013年12月30日 (月)

仲井真沖縄県知事の苦悩と決断その1  沖縄知事「最後の戦い」と沖縄差別をした金平キャスター

Photo_3
12月27日の仲井真沖縄県知事の記者会見で、本土の著名なジャーナリストであるTBSの金平茂紀元報道部長(「報道特集」キャスター)と、仲井真知事との素で激闘がありました。 

金平キャスターは仲井真知事にこう質問しています。 

「仲井真さんは、日本国民としての常識的な日本語能力をお持ちの方だと思うからお聞きするのだが、公有水面の埋め立ての申請があった場所は県内か、県外か」 

もちろんここで金平氏は、知事が公約である県外を破って埋め立て申請を認可した「違約」を糾弾したいわけです。

ここでうっかり仲井真氏が、「辺野古に埋め立てを認めた」というようなことを言おうものなら、鬼の首でも獲ったように、「違約だ。県民を裏切った責任をとれ」とつなげたかったのでしょう。 

金平さん、仲井真氏は島一番頭が良くて東大工学部に入りました。日本人なのにまるで外国人のようにパスポートを持たされて自国に「留学」に来たのですよ。 

沖縄は、沖縄戦において本土を守る人の壁となり、そしてその後にまた独立を守る「人質」として異民族支配に取り残されたのです。 

それは敗戦国としてやむを得ざる選択だったとしても、同胞を異民族の軍事支配に取り残したのはまぎれもない事実でした。 

その時代を確かに彼は生きてきたのです。 

島に戻って指導者になった彼が、その間どれだけ「沖縄人であることの悲哀」に涙を飲んできたのか、金平氏は分かった上で「知事は日本語が出来ない」と言ったのですか?

私は「沖縄差別」という言葉を安易に使いたくありませんが、これは明瞭に差別的発言です。

沖縄方言が明治以降いかなる扱いを受けてきたのか、沖縄戦においては沖縄方言か故に発生した忌まわしい事件すらあります。

戦中から戦後にかけて生きてきた仲井真氏の世代に対して、「日本語能力」を問うことは、米軍統治下で日本人として扱われなかった沖縄人にたいしての侮辱です。

常日頃ヒューマニズム的報道で知られる金平氏が、今後いかなる対応をするのか注視しています。

また、今回驚かされたのは、これを周囲で聞いていた沖縄タイムスや琉球新報がまったくこの発言をスルーしたことです。常日頃、沖縄差別糾弾を社是にしている両社とも思えません。

目的が正ければ、なにを言ってもいいということでしょうか

もしこれが沖縄防衛局長あたりが同じことを言っていたら、翌日の沖タイあたりの一面には、「防衛局長 沖縄差別発言! 知事は日本語が出来ない」 という巨大活字が踊ったことでしょう。

この両マスコミは「味方」なら、差別発言があっても容認するということなのでしょうか。ずいぶんとご都合主義なことです。

すくなくとも、金平氏は仲井真弘多の孤立無援の「最後の戦い」を理解しようとはしなかったのです。 

反戦イデオロギーで裁断して「公約との整合性」を攻撃しただけです。 

なんと人として薄っぺらいことか。報道という仕事は、野党と同じではありません。現実の中で苦しみもがく人々を伝えることです。 

報道は正義の代弁者ですらありません。矛盾に満ちて、重く生きる人に寄り添うことがその仕事なのではないのでしょうか。 

これに対して知事は簡単にその手に乗るような純情なタマではありませんでした。シラっとして横にいた土木部長に話を振ります。 

県土木建築部長は淡々とした役人声で、「埋め立て申請のあった場所は当然県内でございます」。 

金平氏はこれを聞いて、得たりとばかりに長口舌を振るいます。 

かい摘んで書けば、「県内に埋め立を承認したということは、辺野古移設を認めたことだろう。参院選の時の公約違反だ」ということです。 

仲井真氏はたじろぐ様子も見せず、こう切り返します。 

「だから承認をしましたよ。これは法の手続きに従って承認をしたんです。それで、どこがどうだとおっしゃってるんですか。 ご質問の趣旨が。私もあなた同様に、日本語はあなた並みには持っているつもりですが、ちゃんと質問してください」 

今回の県知事の記者会見は、防衛省が3月22日に提出した公有水面埋立法(公水法)に則った沖縄県知事あて埋立承認申請願書の審査結果を発表しているだけです。 

公水法によれば、県が埋め立てを拒否できるのは、審査で書類の不備や環境保護など工法上の問題点が見つかった場合のみです。 

それ以上、金平氏は県知事になにを望んでいるのでしょうか。 

かつての太田昌秀知事のように米国に乗り込んで、政府頭越しの反戦県外交でもやってほしかったのですか。 

それとも大昔の飛鳥田横浜市長のように基地の前に座り込んでみろとでも。 

まぁ、もうこんなことをやる時代ではないと思いますが、仲井真氏ではなく伊波洋一氏のようなゴリゴリの反基地運動家が当選していたら、そのていどのことはパーフォーマンスでやったでしょうね。 

そしてまったく普天間問題の解決は見えなくなり、永遠に普天間は宅地のど真ん中に存続し続けるのです。 

なんと不毛な!馬鹿な意地の張り合い。 

そして後年、イデオロギーの狭間に落ちた「普天間の悲劇」として22世紀の歴史書に記述されるのかもしれません。 

県知事がする「審査」は、それが知事の政治信条に合致しているかいないかではなく、あくまで申請書類に誤りや偽りがあるか、ないかという行政責任者としての仕事だけです 

どうしてこんな県の書類手続き上の審査に、「政治」を持ち込むことを望むのでしょうか。 

県知事は淡々と書類に偽りがないか、環境保護が適切になされているかを「審査」するだけで、それ以上の権限は与えられてはいないのです。 

仮に、この行政官としての仕事に私情を持ち込むことができるなら、移設容認派知事ならば書類がデタラメで、環境保護も杜撰であっても承認できてしまうわけです。 

そんな恣意的なことで法律を運用されたら困るのは県民です。 

次に仲井真氏は、普天間基地の5年以内の撤去の確約を政府から得たことを高く評価してこう述べています。 

普天間基地がそのまま宜野湾の真ん中にあり続けるということに問題がある。危険だから、日米両政府にも前からそう言ってきて、この危険を減らす、ゼロにするということで安倍晋三首相も菅義偉官房長官と共有できた 

ここで知事は普天間の危険の除去がもっとも大きな政府との確約だったと述べています。これが仲井真氏にとって政府との交渉の最大の収穫だったはずです。 

あの安倍首相との会談のあとに、沖縄一のタフネゴシエーダーが「立派なものを頂いて」という声を発しました。 

安倍首相には普天間問題を解決する強烈な意志があり、最後の戦いと腹を据えた仲井真知事もまた解決の意志をもって会談に臨んだのです。 

このような状況を西欧では、「時の時」というそうです。 

さて、マスコミや野党は、3つの矛盾したことを言っています。 

①普天間は「世界一危険な基地」だから撤去せよ
②辺野古埋め立てに名護市民は反対しているから承認するな
③県外に移設しろ
 

この三つは相互に矛盾していますから、一挙に解決できるような魔法はこの世に存在しません。 

②を拒否すると①が不可能になり、③はどん詰まりの袋小路ですから、①②も同時に不可能になって、結局①が永久固定化するだけです。 

普天間基地のみを切り離して県外に移設することは海兵隊が陸海空の統合運用で成り立つ特殊な部隊編成をしている以上物理的に不可能です。 

普天間飛行場を移設するなら、兵員の駐屯地であるキャンプハンセン、揚陸艦港であるブルービーチ、そして北部訓練場まで一括して移設せねばなりません。 

そんなことが到底無理なのことは、かつて自民党政権時に14年間、そして鳩山政権時にもたっぷりおさらいしたことではありませんか。 

鳩山政権の時の官房長官だった平野氏が「九州ならば可能だ」などと言っているようですが、それが可能だったならばあなたが政権中枢にいた時におやりなさい。 

平野さん、あなたがたの政権の時に北九州だ、いや徳之島だ、いややっぱり辺野古だとさんざん大迷走したあげく、日米関係を破壊し、そのたびごとに仲井真知事に迷惑をかけたのはどこの誰だったのですか。 

もう一回続けます。 

                  .。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。. 

沖縄県知事が埋め立て承認
12月27日 NHKニュース (冒頭写真も同じ)
 

アメリカ軍普天間基地の移設問題を巡って、沖縄県の仲井真知事は、環境保全に万全を期すよう求めたうえで、政府が申請した名護市辺野古沿岸部の埋め立てを承認し、沖縄防衛局に通知しました。 

アメリカ軍普天間基地の移設問題を巡って、沖縄県の仲井真知事は、政府が日米合意に基づいて申請した名護市辺野古沿岸部の埋め立てを承認し、27日午前、沖縄防衛局に通知しました。 

この中で仲井真知事は、埋め立てる沿岸部の環境保全を巡って、有識者から成る環境監視委員会を設けるとともに、外来生物の侵入を防ぐ対策や、ジュゴン、ウミガメなどの海洋生物の保護に万全を期すことなどを求めたうえで、承認するとしています。 

そして仲井真知事は、計画に反対している地元・名護市の稲嶺市長に埋め立てを承認したことを電話で伝えたのに対し、稲嶺市長は「非常に残念だ」と述べたということです。 

仲井真知事は午後3時から記者会見を開き、埋め立てを承認した理由について、申請内容に法律上の不備が見つからなかったうえ、25日の安倍総理大臣との会談で、普天間基地が移設されるまでの間も政府が責任を持って危険性の除去に取り組むことが確認できたなどと、説明するものとみられます。 

その一方で仲井真知事は、地元の反対が根強いなか、計画を予定どおり進めるのは困難だという認識に変わりはないとして、県外への移設は求め続ける方針も併せて示し、県民に理解を求めることにしています。 

移転推進派が知事の承認支持 

沖縄県の仲井真知事が埋め立て申請を承認したことを受けて、普天間基地の名護市辺野古への移設推進を訴える沖縄選出の国会議員や企業などで作るグループが、27日、沖縄県庁で記者会見を開きました。 

この中で、グループの中地昌平会長は「今の日本には日米同盟が必要だ。同盟を維持するためには、両政府が合意した辺野古への移設を進める必要がある」と述べ、仲井真知事の承認の判断を支持し、基地の早期移設を実現すべきだと訴えました。 

2013年12月28日 (土)

週末写真館 ランタン・キャンドルの夕べ

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今年最後の写真館です。

つくば市恒例のランタン・キャンドルを見に行きました。
子供たちを中心として各小学校の子供たちなどが絵を描いて、それをランタン仕立てにしています。
一斉に点灯した夕刻には、闇の中に並んだランタンが美しく並んで輝きました。
まるでこの時代という闇の中に光る彼らの夢のように。

2013年12月27日 (金)

不機嫌な太陽その12 地球温度の今後を占うグリーンランド海域

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地球の気象は複雑な要因で変動しています。

私は人為的二酸化炭素説もまったくの間違いだとは思いませんが、それ以上に大きく地球気候に影響するのは、太陽黒点活動、宇宙線、ミランコビッチ・サイクル、そして海流と大気との関係などだと思っています。

海流や太陽黒点、宇宙線といった自然環境的の要素と人為的だとされる炭酸ガスの温室効果との綱引きで、地球気温は決定されているのではないでしょうか。

ところがIPCCがなにかにつけ二酸化炭酸ガスのことしか言わなかったり、自然的要因を「二酸化炭素のわずか7%ていどの影響しかない」というような過少評価するのが問題だと思っています。 

ところが、地球学の本をひもとけば分かるように、大気、海流、海氷の変化・変動は周期的に起きています。 

特に世界の海の温度を決定しているのは、北大西洋北部・グりーンランド近辺の水温なのです。
(図 独立行政法人海洋研究開発機構 ・JAMSTEC 中村元隆「北半球の気候変動要因の解明 グリーンランド海の急激な変化がもたらした北半球の気候変化」より)

グリーンランド海は北極海に最も近い海

上の図はプレスリリース版のジュニア版でたいへん分かりやすいので、こちらを転移させていただきましたが、これをみると大西洋からの温かいメキシコ湾流が北上して、グリーンランド東側のフラム海峡から北極海に流れ込んでいるのが分かります。 

このグリーンランド海は、世界の海の温度の大元締めです。ここから流れ出た海流がぐるりと地球全体を循環して、地球全体の海水温を決定するのです。 

専門用語で「全地球規模熱塩(ねつえん)循環流」という長い名前がついています。 

この全地球規模熱塩循環流は、熱帯、亜熱帯の温かいメキシコ湾流が、グリーンランド海から北極海に行く間に急激に冷やされて深層に沈みこみます。 

そしてそのまま、海底付近を這うようにして大西洋を南下し、今度は南極付近の海の深層流と合流して、インド洋と太平洋に流れ込むそうです。(図 同)

大西洋を起源とする全球規模の熱塩循環流

この地球規模の海流の循環で、地球気象で重要なのは「大西洋熱塩循環還流」といって、グリーンランド海とラブラドル海で沈みこんだ後に低緯度に向かって進み熱帯・亜熱帯域でわきあがる大西洋だけの流れです。 

上の図の中央左の青線です。 

これが30年から40年ごとに寒冷化と温暖化を繰り返す「振動」と呼ばれる自然現象を引き起こしています。 

この場合の振動とは、私達が使う地震などの震動ではなく、周期的な海流の方向、風の流れ、温度などの繰り返しのことだそうで、「大西洋数十年規模振動」というこれまた長い名前がついています。 

この周期に従って、北半球では1940~70年代が寒冷期、1980年代から2010年代までが温暖期となっています。 

ということは1980年代を起点とする温暖期は既に30年以上経過しており、寒冷期に向かわねばならないことになります。 

この周期的な「大西洋数十年規模振動」の動向が分かれば、今後の気温変動を予測することが可能なわけです。 

この大西洋振動以外にも、気象、気候には多くの「振動」的現象があります。 

太平洋のエル・ニーニョ現象、ラ・ニーニャ現象、北極振動、そして「北大西洋振動」などがあります。 

ゴア氏の「不都合な真実」が評判だった時によく言われた北極海の氷が解けだす現象も、、赤祖父俊一氏などの手練の北極圏観測者にいわせれば、このよう振動、あるいは準振動による変化の範囲内だそうです。 

長くなりましたので明日に続けます。

2013年12月26日 (木)

カイロに積雪 北極海の氷、縮小鈍る

037
別な原稿を用意してありましたが、本日の産経新聞(12月25日)に、「長辻象平のソロモンの頭巾」として、一般紙で北極の海氷の拡大現象が掲載されましたので、転載いたします。

一般紙でこのようなことが掲載されるのは極めて稀です。

徐々に今までの地球温暖化危機一色から、寒冷化に向う実態を少しずつ報道されるようになったのは喜ばしいことです。

以下引用 (太字引用者)

.                 。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。.

【長辻象平のソロモンの頭巾】

カイロに積雪 北極海の氷、縮小鈍る
産経新聞 2013.12.25

砂漠の広がるエジプトの首都カイロの近郊で雪が積もった。今月13日のことだ。

 現地の情報によると、これだけの雪は、112年ぶりの現象らしい。ワールドニュースになって世界を驚かせた。インターネットでは子供たちが作った雪だるまや雪化粧をした町並みの風景などが紹介された。

 数十年前にも降ったという話もあるが、生まれて初めて本物の雪に触れた砂漠の民も少なくないという。

 中東一帯を襲った寒波が今回の雪の原因で、エルサレムなどでも積もった。      

 近年、減り続けていた北極海の氷が今年は増えている。(下写真産経新聞12月25日))

Photo
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の水循環変動観測衛星「しずく」による確認だ。

 北極海の海氷面積は、昨年9月、1978年以降の衛星による観測史上最小値を記録していたので、今夏はさらに減るのではないかと危惧されていた。

 意外にも、その面積がかなり増えたのだ。

 JAXAの地球観測研究センターによると、季節推移に伴う今年の海氷面積の縮小・増大は変化に満ちていた。

 3月の北極は低温傾向だったので海氷面積は回復し、2000年代の広さに戻っていた

 だが、6月下旬になると急速にとけ始めた。その減り方は昨年並みのペースに達したが、7月下旬になると減少の勢いが弱まった

 その結果、毎年最も面積が小さくなる9月下旬には、昨年の最小値を150万平方キロも上回る規模を確保したまま、秋の増大期に入り、目下、来年3月の最大期に向かっている。

 今夏の北極の海氷面積は小さい方から数えて過去35年間で歴代6位。海氷面積は全体として右肩下がりで、この数年は一段と急減傾向にあっただけに、今夏の回復ぶりが目立つことになったのだ。

 グリーンランドも今年は寒い。昨夏のグリーンランドは全域で氷床の表面がとけていたが、今夏は雪が積もってブリザードが吹き荒れている。

 極域の白い雪氷は、太陽からの日射を鏡のように宇宙空間にはね返す。だから温暖化で海氷面積が小さくなると地球は温かくなり、その結果、海氷はもっと減って気温はさらに高くなるという相互作用を繰り返す。

この逆のケースで、今夏のように氷や雪の領域が増えると反射による宇宙への熱放出も増加して、事態は地球が冷える方向に回りだす。雪氷面積についてのポジティブフィードバック(※)がかかるわけだ。

「原理はそうなのですが、北極海では海氷の厚さが海氷面積以上に重要なのです」

 「しずく」からの観測データの解析にあたる地球観測研究センター主任研究員の堀雅裕さんによると、5メートル前後の厚さがある多年氷の面積が、海氷全体の面積減少をはるかに上回る勢いで減っている。

 多年氷が分布するのは、カナダ寄りの北極海で、近年は北極点でさえ、若い1年氷になっている。1年氷は厚くても1、2メートルしかないので、もろくてとけやすい。今年6月下旬、急速に海氷が縮小したのもそのためだ。

 だから、寒さが続いて多年氷が増えない限り、フィードバックによる海氷面積の持続的増加は保証されにくい

 今年の北極域の低温傾向は、低気圧に覆われて曇りがちだったことによるという。

北極海の海氷減少には謎があるという。堀さんによると、数値気候モデルの予測以上に現実の海氷は減っているそうだ。

 これまでのモデルでは、海氷が重視されなかったことの影響もあるようだが、「研究者の理解を超えて北極海の氷の減少は続いてきました。その理由を解明しなければ、今後の予測もできません」と堀さんは語る。

 去年と今年は大きく状況が異なっている。その差が何によるものか。「変化が起きているときこそ、地球を理解するチャンスです」

※(引用者注)ポジティブフィードバック 何かの原因によって、ある変化が起こったときに、その変化をさらに強めるよう な作用が働くことを「正のフィードバック」といいます。

2013年12月25日 (水)

地球温暖化 大絶叫するな、NHK!

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地球温暖化・人為的二酸化炭酸ガス説ほど使い勝手のいい学説はありませんでした。 

保守サイドの産経、読売の原発推進派は、地球温暖化というカードを使って原発の増設のための世論形成をし、左翼サイドの朝日、毎日は地球環境保護というリベラル好みの看板を掲げることができました。 

この左右どちらの陣営も利用でき、「地球のために」という誰しも反対できない大義を持ち、その魔法の棒をかざせば国や企業が喜んで金を出してくれるという現代の錬金術が、この地球温暖化人為説でした。 

だからかくも、急速に全世界に流布したわけです。  

さて下はNHKスベシャルを単行本化したものですが、帯には「もう手遅れなのか」ですよ。

表紙は真っ赤に染まった暑苦しそうな地球です。もう手遅れなら、そもそもこんな番組なんか作る必要もないだろうにね。

Photo1

公共放送が、こんなに大絶叫していいのでしょうか?地球温暖化CO2説はあくまで未だ科学的な「仮説」にすぎません。異論も多々存在します。  

しかし、NHKは異説を一切ないもののように扱います。地球上の科学者が、皆声を揃えて同意見であるかのように編集しています。  

しかも、視聴者にコンピュータ・シミュレーションでこれでもかというあざとい映像をお茶の間に見せていきます。 

大洪水、天変地異、飢餓、疫病・・・しかしこれはあくまでコンピュータ上で予測された、しかも100年先の「最悪の予測」でしかないのです。  

もちろんNHKのことですから、周到にナレーションでそのような説明はしていますが、現実に番組をリアルタイムで見ていた私に印象されたのは上のようなカタストロフ(破局)のシーンでした。 

たぶん皆さんも見ていたのなら、同じ感想をもたれたのではないでしょうか。 

このようなやり方を、「印象操作」といいます。強烈な印象のシーンをぶつけて屈伏させ、見る人の意識を情報を流す側の思うがままの一定の方向に誘導する報道手法です。 

報道としてやってはならない反則技で古典的な方法ですが、それが故に効果バツグンです。 

よく共産党政権下の宣伝部がやった方法で、まともな報道機関が、ましてや公共放送がやっていいことではありません。 

上のような映像が流れたとして、それを検証しようと思う視聴者が実際何%いるのでしょうか? 

たぶん番組を見たまま、その説明を忘れてショッキングな映像のみで地球温暖化問題を「理解」します。 

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(上図 NHKスペシャル・地球温暖化のためにNYにカテゴリー4のハリケーンが来襲 ) 

だいたいビデオにとって、繰り返し見るようなことをしない限りそれがあたりまえなのです。しかし、しっかりと番組の「地球温暖化は大破局を近い将来に招く」という制作意図は伝わったのです。 

このようにして多くの明らかな誤りの情報がマスコミから流れていきました。 

TBSは100年後に6.4度の温度上昇があると、IPCCの1.8度から4度という予測より大幅に大きな数字を流しました。完全な誤報です。 

また、読売新聞も100年先と注釈せずに、「地球温暖化が進めば、日本の9割の砂浜がなくなり、渡り鳥の干潟もなくなる。農漁業に大きな影響が出る」と報道しました。 

この1m海面上昇の根拠は、先にも書きましたが仮説の最大値58㎝に高潮時を足したというような数字なのです。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-2a8d.html
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-8371.html 

しかもくどいでようですが、100年先の!第一、IPCCの予測値は平均38.5㎝なのです。 

他にもこのシリーズで検証したツバルや北極の氷河崩落、ホッキョクグマ絶滅など、この地球温暖化問題はまさに誤報と過剰な破局を煽った報道の宝庫と言えます。  

なぜマスコミは誤情報に振り回されるのでしょうか。いや、それどころか社会に混乱を与えかねない煽り的情報を流すのでしょうか?  

この原因は簡単です。不勉強。そして付和雷同。長いものには巻かれろ 

そして足を使わない報道です。歩いて、観測所のひとつも回ればなにか掴めるのに、IPCCの言う通りの取材しかしないからなにも見えません。 

私は、霞ヶ浦の環境保全運動をしていた時に何回かマスコミの取材を受けました。 

あらかじめ勉強をして来た者など皆無です。 だから、質問が皆ピントはずれでおざなりでした。 

次に、勉強の替わりに初めから「結論」らしきものがあります。その意図でシナリオが書いてあるのですから後は「絵」をはめ込めば出来上がりです。  

ピッタリと自分の制作意図に合う「絵」。 

仮に記者がツバルに行ったとしても、現地の海面水位専門家から「いや、あれはツバルが沈んでいるんで、水面が上がったんじゃないんだよ。ほらこの資料を上げよう」などと言われても、おいそれと「ハイ、そうですか」と帰って来れないでしょう。 

デスクの怒った顔が目に浮かぶ。で、しかたがないので沈下した家屋の前に少年を写しこんで「環境難民の島」という記事にしてしまうわけです。哀しいマスコミ心理ですね。  

こんな調子で官民、公共放送から民報まで、産経から朝日までが煽りまくってこのていたらくです。 

ビョルン・ロンボルグではありませんが、「地球と一緒に頭を冷やせ」とマスコミに言ってやるべきでしょう。 

お願いです、マスコミ、状況を煽らないで下さい。煽れば煽るほど本質が見えなくなるのですから。

2013年12月24日 (火)

ニューズ・ウィークにまで「妄想報道の罪」と評された日本のマスメディア

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一連の特定秘密保護法騒動を、ニューズ・ウィーク最新版(12月24日号 上写真)はこのように評しています。

秘密特定保護法をめぐる批判キャンペーンの陰で、ほんとうに重要な課題は議論されずじまいだった。

私が先だっての記事で、「極端なことを言う人たちのおかげで、まともな議論が煮詰まらないまま審議終盤に来てしまいました」と書いたのと同じ見方です。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-0d25.html

一番煽りがひどかったのは朝日新聞です。中学校時代からこの新聞を読んでいた私には、うちがいつから「しんぶん赤旗」に講読替えをしたのか、首をひねったほどです。 

自民党全否定が存在理由である共産党なら当然の姿勢ですが、とりあえず公正中立が建前のマスメディアがこれでは困ります。 

ニューズ・ウィークは記事の冒頭で朝日新聞(12月6日)の典型的な例を紹介しています。 

「防衛産業で働くB男がA子と大学の同窓会で再会した。酔ったB男は『あまり知られていない話だけど』といって、数年前に北朝鮮が発射したミサイルが途中で失速して海に落ちたが、『もし失速していなかったらこの辺に落ちていたかも』という情報を暴露。
A子がブログで書き込み、ある防衛マニアかミサイルの飛ぶコースを推測してネットで拡散した。
翌月、捜査機関が二人を訪ねて来た。B男は業務で知った秘密を漏らした疑い、A子は漏洩をそそのかした疑いだった。」
 

朝日新聞はどうやら、この法案の問題点として、「どの情報が特定秘密かは行政機関の長と秘密を取り扱う担当者しか分からない。一般市民が意図せずに知ってしまうケースも考えられる」ということを批判したかったようです。 

しかし、それをこの記事のイラストには「有罪!」の字が踊ります。 

本文には「逮捕される」も、ましてや「有罪」もありません。ただ「捜査機関が訪れた」と記してあるだけです。

記事本体は政府与党側から、「こんなことは法案にはない」と批判されないために微妙な「捜査機関が訪れた」という曖昧な表現で寸止めし、イラストで「有罪!」と煽るという狡猾な印象誘導です。 

こんな書き方がメディアに許されるのならなんでも書けます。 

たとえば冗談ですが、朝日新聞の半世紀来の親中的記事を羅列し、結論部分に「現在人民日報日本支社は朝日新聞東京本社内にある」としたところで寸止めし、イラストで「やっぱりスパイ!」と描けばいいのです。 

おいおい、それは飛躍だろうですが、今、朝日か好んで使う手法はそれと一緒です。 

この記事は反対運動の大きな宣伝材料として瞬時に流布し、共産党系市民団体などのチラシにも内容を少し替えて使い回されました。 

とうとう文化人団体までもが、「言論統制を許さない」と声明を出す始末です。

朝日新聞には連日のように、「芝居が自由にできなくなる」「特高警察が上演中止を言う世の中に戻る」という文化人の声が載りました。http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312230263.html

「芝居が自由にできなくなる」ですって・・・。唖然となります。

はっきり言って、そんなことは妄想です。 法律にはそんなことは一言半句も書かれていません。この人たちは法律の条文を一行でも読んだのでしょうか。

このような熱に浮かされたような動きの発信源は、朝日新聞を先頭とするマスメディアにあります。 

もちろん朝日新聞はニューズ・ウィークが指摘するように、この法案が「スパイ目的や不正目的ではなく、さらに脅しなどの違法行為を行わず特定秘密を知った一般市民が罪に問われることがない」ことを知っています。 

知らなかったら、あの記事で「有罪」という結論部分まで書いているはずですし、知っていたからこそ本文では書かず、イラストに「語らせた」のです。 

それは、この法律が官僚と取り扱い業者が対象で、一般人は法の対象外だからです。この部分は法案の核心だけに、朝日新聞が知らないはずがありません。

特定秘密保護法は、機密保持取り扱者が対象で、報道機関や一般人が含まれないことは第22条に明記されています。 

そこで私は12月5日の記事でこう書きました。 

「ただし、条文に「教唆」が入っているのが引っかかります。情報の漏洩の「教唆」を拡大解釈すれば、一般人まで引っかけることが可能なのかという危惧は確かに残ります。
いままでの官庁や自衛隊法の機密指定と違うのは、秘密を知り得る政治家や出入り業者にまで法の対象になることです。
この「教唆」や「出入りの業者」の明確な規定が欲しいところです。」
 

私がこの法案を議論する時に必要だと思ったのは、問題点を「煽る」ことではなく、「絞り込む」ことでした。 

ニューズ・ウィークは、日本のマスメディアが「特定」という法的意味をまったく報道しないと報じています。 

たとえば、東京新聞が社説で、「7項目の例外が設けられていて、『政令で定める重要な情報』という曖昧な言葉が挿入されている。これでは半永久的に国民から重要情報が遮断されてしまう」と述べたことを、こう評しています。 

「これだけ読むと確かに法律が悪用されかねない抜け穴があるように思える。しかしこの社説は条文の肝心な部分をなぜか伝えていない。」(同号) 

私も指摘しましたが、特定秘密法には対象が同法4条に定めてあります。

・武器、弾薬、航空機その他防衛の用に供するもの
・外国政府、国際機関との交渉
・情報収集活動の手法・能力
・人的情報源
・暗号
・外国政府・国際機関から、60年を越えて提供された情報
 

これらはニュースウィーク誌がいうように、「いずれもまともな安全保障感覚を持つ国であれば決して公にしない情報だろう。」

そのとおりで、特定秘密保護法に類似する法律は欧米主要国はすべてもっています

わが国のみが持たなかったために、主要国との情報交換の阻害要因になっていました。

これらは法の別表にあるように細かく定義されています。それを見て議論するならともかく、文化人団体のような文化的表現まで国家が介入するような主張はナンセンス以外のなにものでもありません。

ニューズ・ウィークは、対テロ戦争でいくつもの人権侵害や情報機関の暴走を招いた米国の経験を踏まえてこのように書いています。

9・.11以降、米国では対テロ戦争の名の下に国民のプライバシーや人権を犯しかねない法律や制度がいくつもできた

この法案が日本で提出された10月下旬に、メルケル首相の携帯の盗聴がなされていたことが発覚し、国際問題にまで発展しました。 

このような情報機関の「暴走」をどのように歯止めするのかという議論が、日本にあっても当然でした。 

しかし一方で、スノーデン容疑者の行為を正当化できるのか、そのように情報機関や軍事情報が漏れることが国民にとって良いことなのか、という議論も一方で必要だったはずです。

つまり、特定秘密保護法による「知る権利」の抑圧と、スノーデン事件のような「知る権利」の側の暴走をどうバランスするのかという議論が必要ではなかったのでしょうか。

この微妙な兼ね合いを国民が知り、議論することが大きな権力暴走の抑止につながるからです。 

私はこの部分の突っ込んだ議論が欲しかったと思っています。 

この時に前提となるのは、日本が米国のような昔から秘密保護法をもった上に、強大なCIAやNSA(米国国家安全保障局)のような情報機関を持つ米国ではないことです。

むしろまともな情報機関ひとつなく、いままで自衛官の不注意による機密漏洩事件が頻発していたというわが国の遅れた実態です。

この秘密保護法は、この先進国とは思えない悲惨な実態を一般の国際水準にするだけの法律にすきません

たとえば、07年には自衛官がイージス・システム情報を気軽に外付HDに入れて自宅に持ち帰っていたという事件が発覚しました。 

彼の妻が中国人であったので騒ぎは大きくなったわけですが、もし中国に漏れていたら日米同盟は即座に瓦解したでしょう。

この不祥事が起きた時も、なにが機密であるのか明確に区分されておらず、その手続きも杜撰な機密保持体制が問題視されました。

原因は、安全保障上の情報を包括的に管理 する法律が日本に存在しなかったためです。

防衛省の防衛機密は、各省の指定する官庁の機密指定と同格で、安全保障全般をカバーするものではないのです。

また、民主党政権時には、機密の範囲やその削除についての責任を明確にしておく法律が存在しなかったために非常に多くの重要情報が恣意的に消去されたり、隠ぺいされたりしました。

もっとも有名な事件は尖閣中国船衝突事件です。

先のニューズウィーク風に言うなら、「まともな知る権利感覚を持つ国であれば決して秘匿しない情報」である海保ビデオ映像を、権力の恣意で勝手気ままに「国家機密」に指定することも可能だったのです。

ちなみに当時朝日新聞はこう書いています。

仮に非公開の方針に批判的な捜査機関の何者かが流出させたのだとしたら、政府や国会の意思に反することであり、許されない」(朝日新聞22年11月6日)

呆れたことには、朝日新聞はこの事件の時には時の権力の側に立ち、国家が国民の知る権利を抑圧することが当然だと主張しているのです。

もし朝日新聞が知る権利こそが重要だというのならば、権力が自分に都合の悪い情報を「機密」指定した当時の民主党政権はいかなることになるのでしょうか。

この朝日新聞のような自分の支持する政権の情報隠匿にはベタベタに甘く、憎む政権ならば知る権利を徹底して振りかざすというダブルスタンダードが発生する余地がある今の情報管理規範こそが問題なのです。

このようなことは、恣意ではなく普段から法律で既定すべきことなのです。こここそがこの法律の議論のキモです。

いくら日本版NSCを作っても、こんな時の政府と官僚のその時の気分で重要情報が管理されているようなわが国に情報提供する外国はありません。

罰する法律がないために、政治家と官僚の気分と利害で外国からの情報が漏洩するからです。 

となると、わが国は緊張を増すばかりのアジア情勢の中で耳を塞がれたまま生きねばならないことになります。

ニューズ・ウィークは、「官僚のための、官僚による、官僚のための法」と批判した野党もありましたが、それはむしろも逆であると同誌はこう言います。 

守るべき秘密が明確に定義されれば、重要情報の秘匿性は高まる。実際これまでは、日本政府の情報管理では守るべきそうでない秘密の線引きが曖昧だった。」 

極秘情報、秘密情報は役人の手で勝手に決め、廃棄することができた」(衆議院議員・元文科省伊佐進一氏)

この法律は、野党の言い分とは逆に、官僚や為政者の恣意を規制できるという意味で前進でした。

「今回の法案はまったくの荒れ地を区画整理したようなもの」(同) というのが実態なのです。

いくつかの修正点が「場当たり的だった」(同誌)と批判した上で、こう結論づけています。 

ただ特定秘密保護法の『恐怖』ばかりを拡大解釈して大げさに伝え、本来すべき議論を喚起しなかったメディアの責任も重い。国際社会の現実を考えれば、国民の知る権利などの基本的人権を損なわない形で、いかに安全保障体制を強化するかという議論は不可欠だ。」 

極端なプロパガンダまがいの言説は、かえってものの本質を隠してしまいます。過激に叫べば国民がその方向に進むと思うのは、メディアの傲慢にすぎません。 

私達国民は、朝日新聞が言うように簡単に治安維持法の社会を再来させるほど愚民ではないはずです。 

この法律は、米国の9.11以降を見るまでもなく、一過性ではなく、今後も継続して議論し、監視し、そのつど修正をかけていく必要があります。そのためにも妄想や煽りは不要なのです。

2013年12月23日 (月)

福島県 土壌放射線量と玄米放射線濃度とは相関なし

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福島県が、福島事故以後の放射能問題に対する試験結果を公表しています。
「放射性セシウム濃度の高い米が発生する要因とその対策について~要因解析調査と試験栽培等の結果の取りまとめ~ (概要)」 

資料はまさに労作で、広範な範囲の試験がなされたことがわかります。 

まずは今年の福島県産の全袋検査です。全量全袋検査は既に1000万検体以上に達していますが、その中で基準値(100Bq/kg)超えはわずか71袋、0.0007%でした。(下図、上記福島県試験より・以下同じ) 

この結果を見れば、先日のコメントにあったような、「あなた方が汚染地域にとどまり生産活動を続ける限り、消費されるそれらは全国に送られて放射性物質は拡散し続けます」などという愚かな暴論は吐けないはずです。 

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このような喜ばしい結果は、福島県のカリウム施肥指導とそれをたいへんな思いで実施した農家の努力の賜物です。 

これらの検査によって改めて、土中の交換性カリウム濃度が放射性物質との相関で大事だということが分かりました。 

実験の結果、カリウム肥料が豊富に蓄えられている土壌で育った玄米中の放射性セシウム濃度は低く、カリウム肥料が与えられず土壌中の交換性カリ含量が低いと、放射性セシウム濃度が高くなってしまうことが証明されています。 

下図は、土壌中の放射性セシウム濃度と玄米の放射性セシウム濃度を表にしたものです。

これを見ると、もし、土壌中の放射性セシウム濃度と玄米の放射性セシウム濃度が比例するならば原点から右肩上がりのトレンド・ラインが引けるはずです。 

しかし、ご覧のようにまったく関係なくプロットされています。つまり土壌放射線農とイネのセシウム濃度は相関がないということです。 

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下図はカリと玄米中のセシウム濃度の相関関係を調べたものですが、「土壌中の交換性カリウム濃度がK2Oにして25 mg K2O/100g以上であれば玄米中にはセシウムはほとんど検出されず、10mg/100g土壌以下であれば基準値超えのセシウムも多く検出される」(同報告書)ということがわかりました。

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次に、土壌の種類による放射性セシウムの吸着力の違いがあります。

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セシウムを固定する粘土鉱物が多く含まれる土壌では、セシウムは吸着固定され、玄米への移行割合は低くなります。(上図参照)

こうした粘土鉱物が少ない砂質土は注意が必要です。

さらに、やはり出たかと思ったのは、籾摺り機にセシウムが付着していたために、後から摺った米に移行汚染したことです。

屋外に置いた籾摺り機に付着した例もあり、それが汚染度を左右するので事故時の農業機械の場所も確認せねばならないのは教訓として残りました。

実は、福島事故の以前は、セシウムの水田での移行のデータは皆無に等しかったのです。 

こればかりは、実際に事故が起きないと実測しようがなく、米作地帯での被曝例は今回が世界最初だったからです。 

唯一指標としてあったのは、研究所の畑での移行係数情報だけてした。そこから割り出したのが当時農水省が出した過去の移行係数に安全倍率をかけた0.1という数値でした。 

11年当時の暫定基準値500Bq/kgから逆算して移行係数0.1をかけて500Bq/kgにするというのが指導方針でした。

当時の福島県内の土壌放射性量は、警戒区域と計画的避難区域、緊急時避難準備区域以外で5000Bq/kgを超えている場所がなかったために、それ以外の地域では作付けを認めましたが、この後に思わぬことが起きます。
 

それは、知事が安全宣言を出した後に500Bq/kgを超えるセシウムが検出された土地がいくつか出たことです。 

その後もしばらくこの事態は続き、安全宣言の信頼性が疑われることになりました。そこで、今まで世界中どこもやったことのない全袋検査という難事業に福島県は挑戦しました。

その結果がこの報告書に詰まっています。

さて、私達がよく言う「土作り」と呼ぶ営為がいかにこのような非常事態においても有効だとわかる結果となりました。

カリウムとセシウムは化学的な性質がよく似ているために競合関係にあり、作物はあらかじめカリウムが植物内にあると侵入しにくくなります。 

カリは今回の指導では重点的に沢山入れていますが、通常の堆肥にもたくさん含有されている肥料成分です。

ですから、堆肥を充分に施肥していなかったりした田んぼは、カリウムが吸収されやすい条件を自分で作っていることになります。 

降った放射線量自体の量が絶対的な条件ではなく、むしろ受け皿である農地の豊穣さが重要だということが科学的にも立証されたことになります。 

この報告書に携わられた多くの人々、そして困難な全袋検査に挑まれたJA福島、そしてなによりすべての福島農民の皆様に心からの敬意権を捧げます。

福島県農業者の皆様が、来年こそよい年を迎えられますことを心から祈念いたします。

 

 

2013年12月21日 (土)

北浦河口の夜明け

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北浦は霞ヶ浦の一部です。
地元では、大きい方のいわゆる霞ヶ浦を「西浦」と呼んで区別しています。
この蝶が羽根を拡げたような湖に西に寄り添うようにあるのが北浦です。
別な地方にいけばそれだけでも立派な湖なのでしょうか、なにせ横に日本第2位の湖があるので、なんとなく地味で損しています。
よくいるでしょう、そういうタイプの人って。

ぜいたくにも、西に西浦、東に北浦があるわが地域は「弐湖の国」と呼ばれています。残念ながら自分で言っているだけですが(笑)。

冬の湖の朝は、しんと静まりかえって水鳥のにぎやかに鳴く声と羽根の音しか聞こえません。
画面左に見えるのは、観光名所の赤い揚水風車です。
実にカッコイイのですが、これまた残念ながら回っているのを見たことがありません。

画像はクリックすると大きくなります。どうぞ大きくしてご鑑賞ください。

2013年12月20日 (金)

不機嫌な太陽その11 限りなくクロに近いグレイ・クライゲート事件

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やや憂鬱ですが、やはり地球温暖化問題を語る時にはクライメートゲート事件に触れないわけにはいかないでしょう。

実を言うと、この事件の醜悪な科学界の内幕を見て、私はもう地球温暖化問題には触れまい内心思っていました。

今回、太陽黒点活動がいよいよ衰え、本格的に寒冷化が危惧される事態にならなければ、私はこの問題を封印したままだったと思います。

皆さん、クライメートゲート事件をご存じでしょうか?

おそらくもはや忘れ去られているか、そもそもそのような事件があったことすらわが国の人間は知らないかもしれません。

欧米では特番ができるような大事件であったにもかかわらず、わが国マスコミは完璧にスルーしました。

ところで、私はIPCCは、「科学界の革命政権」のようなものだと思っています。

それまでの科学界では、気候変動には自然的原因の周期があり、温暖化と寒冷化を繰り返しているのが共通認識でした。

それを彼らは一挙に、そして徹底的にひっくり返し、人為的炭酸ガスのみが気候変動の主犯であるという革命宣言を行いました。

今まで副次的要因と見られてきた人為的二酸化炭素を、一挙にそれこそが主要原因であって、他は無視してかまわないとまで主張しました。

今まで最大の気候変動の要因と考えられてきた太陽活動すらも、「二酸化炭素ガスの7%ていどの効果しかない」とまで切り捨てられたのです。

この説を裏付けたのが、マイクル・マンの有名なホッケースティック曲線です。

下の流出したジョーンズ教授のメールで、Dear Mikeと呼びかけているのがこの人です。

彼が作ったこのグラフは、薄青部分までが統計における解析誤差範囲なのですが、そのように一般国民には説明されていませんでした。

そのために現在このグラフは大きな批判を受けて、多数のラインがスパデッティ状のものにものに変更されています。PhotoIPCCはつまるところ、この疑似科学まがいの曲線を護持するための盟約集団のようなものです。

そして二酸化炭素を削減しなければ100年先まで気温上昇はとどまることなく進行し続け、ハルマゲドンのような破局をもたらすという革命綱領を全人類に押しつけました

「押しつけた」という言い方が穏当でないなら、同調圧力で浸透させたとでもいったらいいのでしょうか。わが国は福島事故が起きるまで、環境問題といえばこれ一色でした。

当時、地球温暖化に懐疑的意見を述べるとなんと言われたかご存じですか?

なんと懐疑論者は、「人類の敵」「石油資本の手先」「陰謀論者」呼ばわりされたのです。これではまるで中世の異端審問です!

事実、後に暴露されるジョーンズ教授のメールには、たとえば異説の論文に対して査読を自説関係者で固めて落とす、気象専門誌に自説のスタッフを送り込むなどのあからさまな異説に対する妨害行為がいくつもでてきます。

それに危機感を感じた科学者やジャーナリストは多数いて、米国では懐疑派のネットワークが存在して活発に活動していました。

そのひとりの米国在住のある国立研究機関の科学者から、私はそうとうに突っ込んだ情報を得ていました。まるで地下抵抗運動のようです。

そのような状況の中で、人為説的温暖化派に決定的ダメージを与える爆弾としてこのクライメート事件が発生したのです。

おそらくは、この異説を一切許さないIPCCの一元支配に怒りを感じた者の行為であったと思われます。

当時私は、この事件がきっかけで、温暖化論者と懐疑派の科学者との公開討論が行われることを望んでいましたが、甘かったようです。

もし、IPCCが公正な科学者集団ならば、多数存在する自然変動系の科学者と、公に開かれた場所で討論をするべきでした。

米国3大ネットは何回もこの事件を大々的に取り上げていましたから、喜んで場を提供したでしょう。

もちろんIPCCは、そのようなものの開催は念頭にもよぎらず、いまや各国政府を動かせるほど強大化した全政治力を動員して疑惑の消火につとめました。

この事件にたじろいだIPCCは、一時的混乱からすぐさま立ち直ると、既に巨額の予算が執行されている二酸化炭素削減事業を中止するわけにはいかない英国政府下院といくつかの大学に調査を依頼し報告書を作成しました。

これでは利害関係者の仲間うちで調査をしたことになります。

そして調査委はこう述べています。

「CRUの科学研究には不正は認められない。事件に関して不当な批判が寄せられているとし、パネルは批判者を逆に批判した。」(Wikipedia)

まるで、尖閣中国船衝突事件で、当時の民主党政権の仙石官房長官が、あたかも悪者は流出させた者の方で、犯人を草の根を分けても探し出すと、なにが問題の本質なのかわからないことをのたまうたのと酷似しています。

まさに絵に描いたような、うんざりする政治的幕引きというやつです。

さて、もう少し事件の中身を見てみましょう。

この事件は、2009年11月にIPCCの総本山とでも言うべきイースト・アングリア大学のCRU(気象リサーチ・ユニット)から、大量にデーターやメール類が流出しネット上にながれたことから始まりました。

その中には、IPCCの評価報告書の気象変動の執筆者であるフィル・ジョーンズ教授のメールが大量に含まれていたために大騒ぎになりました。

内容は驚くべきことには、IPCCの中心的教授が気象データを、温暖化説にとって都合よく改竄していたというものでした。

その内容は、ジョーンズ教授たちかデータを改竄して、寒冷化に向うデータを削除していたことを疑わせるものでした。(欄外資料2参照)

このメールの中でジョーンズ教授は、こう言っています。

adding in the real temps to each series for the last 20 years (ie from 1981 onwards) amd from 1961 for Keith's to hide the decline.

「1981年からの過去20年間と、キースの1961年以降の20年間のものに、実測気温に加味して降下を隠す処理をやっとやり遂げたよ

なぜかこの事件の検証報告書ではtrickという言葉ばかりにばかり焦点が当てられ、この文の後段にある「(気温)効果を隠す処理」という部分にはなぜかメスが入りませんでした。

しかし、言うのも愚かですが、このメールの肝はtrickにあるのではなく、データ改竄をしたことをほのめかす部分にあります。

trickが科学者仲間のスラングであろうとなかろうとどうでもいいことです。

その上、大量に流出したメールの中には、データ改竄処理を行ったプログラムのスクリプトまでがあるのです。 

yrloc=[1400,findgen(19)*5.+1904]
valadj=[0.,0.,0.,0.,0.,-0.1,-0.25,-0.3,0.,-0.1,0.3,0.8,1.2,1.7,2.5,2.6,2.6,2.6,2.6,2.6]*0.75
 

これはこのジョーンズ教授の流出メールにも登場するCRU副所長キース・バリッファ教授が20世紀の気温をグラフ化する際に使っていたスクリプトの一部です。

これを分析した専門家によれば、以下のデータ改竄をしています。

・ 1行目で1904~94年を5年ずつに区切り、各区間の気温(実測値)に2行目の数字を加算

・1904~24年は加算なし
・1929~49年は温暖期なので
温度を差し引いて低く見せる
・その後は徐々に気温を底上げする
・1979年以降は1.95度も加算している

この流出したメールには、イースト・アングリア大学のプログラマー「ハリー氏」の悲鳴に似た叫びが残されています。

彼は、尊敬するジョーンズ先生の言われるままにデータをインプットしている途中でとんでもないことに気がついてしまったようです。

「何てこった!(CRUの)データーベースには何百というダミーの気象観測ステーションが登録されている。しかも同じステーションのデータがあちこちに何度もコピーされている。ファック!」

そしてこのハリー氏(たぶん大学院生だと思われます)がプログラミングしていた気象観測データを提供していた出所のひとつが、アメリカ海洋大気圏局(NOAA)という世界最大の気象観測機関だったことから、いっそう事は重大になってきました。

英国のジョーンズ教授が、米国NOAAのデータを管理できるのは、彼がNOAAの「データ保管・公開に関する常置委員会」の委員だったからです。

つまりこのハリー氏は、NOAAが偽物の気象観測ステーションを登録したり、同じ観測ステーションのデータをコピーして使い回ししたりしている改竄を知ってしまったことになります。

NOAAは、米国のみならず、世界各地に気象観測ステーションを持っており、地球規模の気象観測データを収拾していました。

とすると、私達は恐ろしい想像に行き着きます。

もし仮に世界の気象の原データが改竄されているおり、なおかつ、それを下に気象変動を分析していたイギリスのCRUが更に地球温暖化説を証明するために、データを切り刻んでいたとするのならば・・・。

これらを根拠として書かれたIPCCの評価報告書にある地球規模の温暖化は偽りであった可能性が出るのです。

ジョーンズ教授は、情報公開法でデータを開示するくらいてら廃棄すると脅し、現に流出が発覚するやいなや原データを廃棄してしまったのですから。

いずれにしても、事件の多くはもはや闇の中です。IPCCの護教は勝利したかにみえます。

しかし、彼らのふるまいにもかかわらず、21世紀に入って世界の気象は上昇しておらず、太陽黒点活動は活動が非常に弱まっています。

したがって、あと数年の気象を見れば、なにが正しかったのか自ずと分るはずです。

               。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚

■資料1 Wikipedia「気候研究ユニット・メール流出事件」より引用

2010年3月、英国議会庶民院(下院)は調査報告書を発表した。メールに見られたtrickなどの口語は事実を歪めるような企みを意味するものでは無く、またジョーンズが査読プロセスの妨害を図る内容も無かったと指摘している。
またジョーンズが当初データの開示要求を中傷と見なし、開示を拒んだことは理解できると指摘する一方、UEAが事態の収束のためにより速やかに公開を進めるべきであったとも指摘している。
またデータそのものの正当性の判断に関して、報告書は下述のOxburgh卿の率いる評価パネルに判断を委ねた。

2010年4月14日、Ronald Oxburgh卿の率いる科学評価パネルは、CRUの科学研究には不正は認められないと報告した。同時に、事件に関して不当な批判が寄せられているとし、パネルは批判者を逆に批判した。

※このWikipedia記事は中立を装っていますが、あきらかに温暖化説論者が執筆したもので、公正性に疑問があります。

■資料2 流出したメールの一部

From: Phil Jones
To: ray bradley ,mann@virginia.edu, mhughes@ltrr.arizona.edu
Subject: Diagram for WMO Statement
Date: Tue, 16 Nov 1999 13:31:15 +0000
Cc: k.briffa@uea.ac.uk,t.osborn@uea.ac.uk

Dear Ray, Mike and Malcolm,
Once Tim's got a diagram here we'll send that either later today or first thing tomorrow. I've just completed Mike's Nature trick of adding in the real temps to each series for the last 20 years (ie from 1981 onwards) amd from 1961 for Keith's to hide the decline. Mike's series got the annual land and marine values while the other two got April-Sept for NH land N of 20N. The latter two are real for 1999, while the estimate for 1999 for NH combined is +0.44C wrt 61-90. The Global estimate for 1999 with data through Oct is +0.35C cf. 0.57 for 1998. Thanks for the comments, Ray.

Cheers
Phil

マイクが「ネーチャー」(※科学誌)に出したものに1981年からの過去20年間と、キースの1961年以降の20年間のものに、実測気温に加味して降下を隠す処理をやっとやり遂げたよ。
マイクのは北半球の年間の陸地と海洋の数値で、ほかの2つは北半球の北緯20度までの陸地。後者2つは1999年が実測、対して1999年の北半球の合算推定値は61年から90年を参照してプラス0.44度。1999年の10月までの通しの北半球推定気温は1998年の0.57度を参照してプラス0.35度になった。

2013年12月19日 (木)

不機嫌な太陽その10 100年先どころか、既にハズれた気候変動予測

053
1982年から実に30年間NASAゴダード研究所(GISS)の所長として君臨してきたジェームス・ハンセンは、いわば「地球温暖化説の父」とでも称すべき人物です。

彼の88年米国上院での「二酸化炭素が温暖化を起こすのは99%確実だ」という証言によって、一躍温暖化説は時代の寵児になりました。

彼は二酸化炭素を憎むあまり、学者なのに火力発電所建設反対で3回も逮捕されているという「戦う科学者」です。

商売っ気なしで体を張っちゃうってタイプは、 人としては私、けっこう好きなタイプです。

こういう無私のタイプの、しかも天下のゴダード研究所長という重責の学者の証言だから、米国政府を動かすことになったのです。

そのハンセンの手法は、気象をモデル計算して予測する方法でした。

下図の一番上の線が、ゴダード研究所の「二酸化炭素を削減しないままの場合」の予測ラインです。

Photo_4

これによれば2012年は温度上昇が1度とされています。

実はこの図を下にIPCCは、第4次報告書のキモとでもいうべきグラフを作成しています。

超有名なグラフですからご覧になった方も多いはずです。なにかと言うとこのグラフが温暖化の動かぬ証拠のように登場しているはずです。

Photo_6このグラフを使ってIPCCはこう述べています。

①世界の平均気温は1906年~2005年の100年間に0.74度上がった
②20世紀後半から気温の上昇が0.6度あり、その原因は90%の確率で人為的二酸化炭素である。

残念ながら、既にこのIPCCの予測はハズれたことが証明されています。

そのままその下の二番目のラインを見てください。0.4度で、ハンセンの予測値より0.6度も低いことが分かります。

前回で問題が沢山あった地上観測点での計測ですら、もう既にこれだけズレているのがとの分かり頂けるでしょうか。

次にその下三番目の線が衛星の実測です。実はこの衛星は他でもないハンセンのいるNASAが運用しており、11段階の高度に分けて大気の層を観測し続けています。

このうちもっとも地表に近いのが対流圏底層を飛ぶ観測ロケットで、これがもっとも地表温度を都市化と無関係に測定していると思われています。

その観測衛星やロケットの実測数値が下図です。(東京大学渡辺正教授による)

Photo_5

もう一枚南極の衛星による実測グラフを見てみましょう。

Photo_8
南極は横ばいからむしろ寒冷化していることがわかります。

以上2枚の観測衛星での観測結果は横ばい、ないしは寒冷化していることがわかります。

100年先どころ、10数年でもうハンセン・IPCC予測はハズれ始めているのです。

2013年12月18日 (水)

不機嫌な太陽その9  どこに設置しているのだ、観測装置!

019
よく平均気温といいますが、どこで測っているか考えたことがありますか?

気象庁は観測点の設置基準をこう述べています。

①1898年からの長い観測データの蓄積がある。
②全国の広い範囲をカバーできる。
都市化の影響を受けない

①の1898年は、日本が中央気象台を設置して、それを全国に拡げた年です。

②は当然ですね。北は網走から南は石垣島までの観測点が定められました。

問題は、③の「都市化の影響を受けない」という基準が守られているかです。

気象観測点の条件は、周りにビルなどの建造物がなく、開けて風通しのいい草地の場所でなければならないからです。
※気象庁 気象観測ガイドブックhttp://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/hpc.html

ちなみに、四万十川で日本最高の41.0度という気温がこの夏に出ましたが、その無人観測所の設置場所は駐車場のすぐ脇で、しかも基準の30㎡の芝生さえも張られていません。

四万斗の人たちは熊谷を抜いて日本一になって喜んでいたのに、残念(?)ですが、たぶん間違った数値だと思います。
http://matome.naver.jp/odai/2137644768761419701

さて下図は、気象庁の発表した日本の平均気温です。「100年で1.15度上がっています」というキャプションがついて、いまや教科書にも載っている有名なグラフです。
(図 気象庁HP)Photo

このグラフを見る限り日本の平均気温は右肩上がりで上昇しているように見えます。

ではもう一枚のグラフをご覧ください。これは同じ気象庁がある東京都でも、三宅島(オレンジ線)と大手町(青線)の気温を同時に載せています。(図 東京大学渡辺正教授よる)

_edited1_31三宅島は東京から175㎞離れた島ですが、ほとんど気温の変動がないのが分かります。

一方の大手町はグングンと気温上昇し、一方同じ東京都の三宅島は横ばいです。

おかしくありませんか。もし、東京都という面全体の気温が上昇しているのならば、当然三宅島も気温上昇せねばならないはずです。

大手町を標準ととるのか、それともこの地点のローカル気象だけが異常に気温が上がっているのかどちらかです。

気象庁のある大手町は、よりにもよって東京でも一番のビル街ですから、気温上昇しているのは「点」であって「面」ではないのかという疑問が起きます。Photo_2

東京都に統計では約440万台の自動車が登録されており,この2%の10万台が昼間に都心を走行すると、数百mの上層まで1~3度上昇するという試算があります。

この自動車が増え始めたのが1966年頃で、増加に拍車がかかったのが1970年前後だと言われています。

現在と較べると東京では約4倍、地方では15倍増加したと言われています。

地方気象台は県庁所在地のある大都市にあるために、まともにコンクリートやアスファルトの蓄熱、自動車の放熱によるヒートアイランド現象を受けています。

下図は宮崎気象台の記録ですが、70年代から大きく気温が上昇しているのが観測されています。

Photo_2一方、田園地帯は樹木が豊富なために、植物が余分な水分を葉から蒸散させて、気化熱を奪っているために涼しいことは知られています。

この都市化現象は70年代から進んでいて、全国の気象観測所を視察してきた東北大学近藤純正名誉教授(大気境界層物理学)は、「まともな観測所は寿都、宮古、室戸岬しかない」とまで述べています。

その上、地方のはほとんどが無人観測所で、設置された時から大きく周辺環境が都市化していてもそのままだったり、手入れが悪い例も多々あるそうです。
※「気象観測応援会」http://www.asahi-net.or.jp/~rk7j-kndu/ 

近藤先生はこのような例もあげています。 

下図は函館の1935年以降70年間にわたる年平均風速の経年変化のグラフですが、破線で囲む期間(1)は一見すると風速が落ちているように見えます。Ke45zu01

図 1935年以降の70年間の風速経年変化(函館) 

このグラフから、「温暖化の影響でアジア・モンスーンが弱くなったからである」と結論する説も出たそうです。 

また実線(2)で示す範囲に示されるように、風速が近年増加していることから、「温暖化によって台風が大型化する傾向になった」という発表があったそうです。 

ところが真実はそうではないのです。 

函館におけるこのグラフ変動しているのは1940年に観測所が移転したり、1950年に風速計の検定定数が変更されたたり、風速計の種類が変わったこと(1961年、1975年、 1982年)、はたまた観測所の周辺に建物が多くなり風速が弱まったこと(1960~ 1990年代)、あるいは1992年に風速計の設置高度が高くなって風速が強く観測されるようになったことによるそうです。
http://www.asahi-net.or.jp/~rk7j-kndu/kenkyu/ke45.html

このように温度や風速を計測するには、その設置場所や環境が大変に重要で、それを考慮しない結論はしばしば飛躍した説を作るということを教えています。 

米国でも近藤先生のような奇特な方がいます。 

気象予報士だったワッツ氏は、全米1221カ所の標準観測点のうち1007箇所を調査し、米国気象庁の指針を満たしたのはわずか1.2%の12カ所だったと公表しています。 

そのうちのある例では標準観測点の無人ステーションが、下の写真のような箇所もあったそうです。なんと建物の空調の排気管の外、駐車場のアスファルトの上です。

Photo_3
さすがの気象庁も大手町のビル街が計測適地だとは思っておらず(あたりまえだ)、庁舎構内から1㎞離れた北の丸公園に移設したそうです。 

その結果、気象庁によれば、「移転すれば2度から3度平均で落ちるでしょうね」とのこと。(笑) 

気象庁さん、温暖化で「100年で0.74度上昇」と大騒ぎしているのはどこの誰だったんでしょうかね。

なお、IPCCは大都市の気温は温度上昇が高すぎるので、周辺地域の気温データを加味して「一定の補正」をしているとしています。 

ただし、その「補正」がどのような方法によってなされているのかはよくわかっていません。 

しかし、ブラックボックスの「補正」などするくらいなら、そもそも日本でも都市化の影響を受けていない観測点のデータを使えばいいだけではありませんか。

■写真 北浦に注ぐ川の朝焼け

2013年12月17日 (火)

不機嫌な太陽その8 ドッコイ滅びぬ、ホッキョクグマ

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COP(地球温暖化締結国会議)か開かれるたびに、お決まりのように新聞はこのような詠嘆調の社説を書きます。 

「COPは先進諸国が、自国の利害だけ考えて失敗に終わった。南太平洋の島々が沈もうと、ホッキョクグマが絶滅しようとも、自分たちの国の経済が守れればいいのか」 

そして今に至るも、「ホッキョクグマが飢えのあまりコグマを食べた」という怪情報が飛び回ったりしていて、いっこうに下火になる様子もありません。 (※雄熊は繁殖期に雌が産んだ他の雄の小熊を殺すことがあります。)

「ニューズウィーク」最新号(12.17)でも、あの気候マフィアの頭目格ピーター・ワダムス教授が、「2015年には北極海の氷が皆溶ける」などとのたまうていました。 

おいおい、ワダムスさん、2015年というとあと実質1年ですが、むしろ北極圏の氷はこの1年で60%拡大しているのですが。これが皆溶けてなくなるとでも。 

先日来、北極には強烈な寒気団が鎮座して、エジプトやイスラエルにも雪を降らせました。(画像NASAによる) 

Photo

地球温暖化の危機を叫ぶことと、事実かどうか疑わしい言説をその傍証に使うこととは、まったく別次元なはずです。 

私たち大部分の気象学の素人にとって、大気圏における二酸化炭素濃度と気温との相関関係、太陽の黒点変化と地球の気温変化との関連などと言われても、正直その気象データの読み方もよく分かりません。 

私たちが心動かされたのは、アル・ゴア氏が「不都合な真実」で紹介した北極で溺れるホッキョクグマの姿、北極の轟音をたてて大きく崩れる氷河、永久凍土の上で溶けて傾いだ家、毎年後退するキリマンジェロの冠雪などといったセンセーショナルで素人でも分かりやすい絵でした。 

これらの「不都合な真実」は、残念ながら前の回で触れたようにほぼすべて捏造か歪曲、ないしは誇張です。 

しかし、それを知ってか知らずか、マスメディアはその「」を煽りました。そして国際世論が出来上がっていったのです。このような手法を印象操作といいます。

論理ではなく、ぱっと見た目の分かりやすい画像をなどを使うことで、見る人を支配することです。

_edited_31_2
さて、この写真はアル・ゴア氏の「不都合な真実」の中にある有名な写真です。 

アラスカ沖で砕氷船から撮られたもので、たぶんこのホッキョクグマの2頭の生存は厳しいだろうなと哀しい気持にさせられます。 

そしてこれがCO2の増大による地球温暖化説の証拠の一枚として人の心を大きく揺さぶりました。 

ゴア氏の「「不都合な真実」にはこうあります。 

「1970年代、北極の氷冠はかなりのスピードで縮小をし始めました。これは、ホッキョクグマにとっては悪い知らせです。ホッキョクグマはアザラシを追って氷盤から氷盤へと移っていきます。 

多くの氷が溶けてしまったために、クマたちはこれまでよりもずっと長い距離を泳がなくてはならなくなりました。

次の氷盤にたどりつく前に、おぼれ死んでしまうホッキョクグマもでてきたのです。こんなことはこれまでなかったことです」(「不都合な真実」P86:87) 

私は動物が好きなので、このテの報道には極端に弱いので、湾岸戦争時のイラク軍による原油の海への放出による原油まみれになった水鳥の写真には怒りがこみ上げてきました。 

許せん、イラク!こらフセイン、ここに来て座りなさい、という気分に「操作」されたのです。 

後にこの原油まみれの水鳥の写真は、湾岸戦争とはまったく関係のない画像であったことが後に分かってしまいます。 

それを仕掛けたのは、米国大手広告代理店で、米国政府から依頼されていました。世界の人たちに米国の戦争が正しいと分からせる決め手の一枚だったのです。 

この手法を米国政府中枢にいたゴア元副大統領が知らぬはずがありません。彼はこの分かりにくい地球温暖化説を、分かりやすい紙芝居にして見せたのです。 

ホッキョクグマという北極圏の帝王を使って、その絶滅を訴えることで地球温暖化を説いたわけです。まことに見事なプレゼンシーション戦略だといえるでしょう。ただしインチキの。 

これが皆んな溺れ死ぬとは尋常ではない。世界野生動物基金(WWF」も「ホッキョクグマは歴史上の動物になる」といい、英国「インデペンデント」紙も「ホッキョクグマは動物園でしかみられなくなる」と叫びました。 

わが国のメディアに至っては体質的調査能力欠如ですから、てもなく右へ倣えでした。 

かくして世界中でホッキョクグマは、地球温暖化の悲劇のシンボルに仕立て上げられてしまいました。 

結論からいいましょう、ご安心ください、絶滅してはいません 

まずはこの表をご覧下さい。(図 ビョルン・ロンボルグによる) 

Photo_2

 表の左側の横軸の最初の起点には1980とありますが、これは1980年を表します。 

縦軸が頭数です。お分かりのとおり、1980年にはわずか500頭に過ぎず、乱獲により絶滅寸前であったということが見て取れます。 

ちなみに当時は海氷の融解は観測されていません。あくまで人為的な乱獲が原因です。 

これが保護政策の結果が出て、5年後にはハドソン湾だけで一気に1500頭まで回復していきます。 

以後1990年代からはほぼ横ばいという安定した状態が続いています。減少トレンドの線が引かれていますが、1980年代の絶滅の危機からは大幅に増加していると言っていいでしょう。 

今上げた2005年850頭という数字は、あくまでも北極圏のハドソン湾地域のみの数字です。他にいくつものホッキョクグマの棲息地があります。 

ホッキョクグマは餌を追ってかなり広範囲に移動します。 

ホッキョクグマの総個体数は、北極圏というそれでなくとも厳しい自然の中で、おまけに広域に拡がっているために諸説あるようですが、おおむね総数2万5千頭(坪田俊男・北海道大学院教授・クマ生態学)という説が妥当なようです。 

少なくとも絶滅しそうだというデーターはありません。そう言っているのはマスコミと一部の環境保護団体だけです。 

それはこの北極圏で生活し、猟をしているイヌイットが年間なんと400頭ものホッキョクグマを狩猟していることでもわかるでしょう。 

イヌイットは合衆国政府が禁猟方針を打ち出したことに強く反発しています。もし絶滅寸前ならば、年間400頭もの狩猟はできないはずですから。 

ホッキョクグマは泳ぎも達者で、ゴア氏の本の写真を撮った後に、たぶん水に飛び込んで泳ぎだしたはずです。 

なにせ、ホッキョクグマは4日間泳ぎ続けて平均154.2キロ泳いだという記録があるのですよ。 

ちなみに泳法は犬かきとか。150㎞というと、東京から越後湯沢まで泳いでいっちゃったことになります。(欄外参照) 

というわけで、みすみす溺れ死ぬようなやわなタマではありません(笑)。ホッキョクグマはヒグマの親戚、北極の帝王はタフなのです。 

保護することは充分に必要ですが、絶滅危惧せねばならないことはないのです。

 

                  。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚

サイエンスポータル 

「調査はアラスカ北部の南ビューフォート海やチュクチ海にいるホッキョクグマのメス52頭に、GPS装置の付いた首輪をつけて移動の様子を追跡した。
その結果、2004年から2009年までに、20頭のホッキョクグマによる50回の遠泳が観測された。1回の遠泳日数は平均3.4日間で、平均距離は154.2キロメートル。ほとんどが休息なしで移動したとみられ、中には9.7日間かけて687.1キロメートルも泳いだホッキョクグマもいた。」
 

2013年12月16日 (月)

不機嫌な太陽その7 不都合な広告塔・アル・ゴア

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あらかじめ言っておきますが、私は地球温暖化問題は、科学者が団結して地球の脅威と立ち向かって成功した運動だったという評価をしています。

確かに排出権取引などネガティブな部分はありましたが、温暖化対策として取り組まれた低炭素社会や省エネ社会は素晴らしい功績だったと思っています。

実はこの対策は、仮に結論が温暖化ではなく、寒冷化であったであったとしても充分に対策たり得るからです。

その意味で、私は懐疑派の人たちがいう「温暖化詐欺」という言い方には賛成しかねます

そして、アル・ゴア氏は広告塔として見事な働きをしました。あまりにも見事すぎて、ノーベル平和賞まで受賞したほどです。

しかしその結果、彼の言説はそこら中で誇張、歪曲、捏造を繰り返し、かえって地球温暖化問題を批判にさらす結果になりました。

たとえばゴア氏は、海水面上昇について、「グリーンランド、あるいは南極が解ける、割れて海に流れ込むと世界中の海水は6.5~7m上がる」(2006年)、いやそれどころか「最悪、12~14mにもなります」(2006年)などという科学めかした漫談を触れ回りました。

「不都合な真実」で紹介されるのは、北極で溺れるホッキョクグマ、北極の轟音をたてて大きく崩れる氷河、永久凍土の上で溶けて傾いだ家、毎年後退するキリマンジェロの冠雪、大型ハリケーンなどといったセンセーショナルで素人でも分かりやすい絵でした。

彼の話の影響力は、ハーバード大卒、元ジャーナリストにして前米国副大統領&ノーベル平和賞、ついでにアメコミ的なハンサムというイヤミなまでのハイスペックも手伝って、すさまじいの一語に尽きました。

瞬く間に世界中のマスコミが飛びつき、まさに誰しも否定したらバチが当たるというような「不都合な真実」になってしまったわけです。

今大学生の人などは生まれた時から温暖化の危機を子守歌に育ったことになります。

人の心理というのは面白いもので、破滅願望でもあるんでしょうかね。ゴア氏自身が一方で、6.5mと言っているのに、テレビが伝える時には、この激烈な14m説しか伝えないのですから。最大値というか、最大災厄のみが一人歩きしていきます。

いわくバングラデシュは全水没、ペキンも水没、ミクロネシア諸島も全水没・・・、彼の説を基にしたハリウッド映画「ザ・デイ・アフター・トモロー」まで作られて、地球温暖化のために大津波に会ったあげくカチカチになるというストーリーです。

あの映画の愚かな副大統領がチェニー元副大統領のソックリさんだということに気がつきました(笑)。ゴアさんの怨念が忍ばれます。そして大ヒット。

たぶん、この14m説に一番ぶったまげたのはIPCCであったと思われます。

「こんな素人のヨタ話と一緒にされてはたまらん」とでも言いたげなIPCCの報告は、ゴア氏14m説の翌年の2007年にそそくさと発表されました。これが先ほど見た3番目の図のIPCC第4次報告書です。

このIPCC第4次報告書の最小予測値18㎝、最大予測値59㎝です。

最小予測値の場合、小波ていどでしかありません。しかも年間の上昇は1.4㎜というさざ波レベルです。

こうなるともう、「不都合な真実」を大絶賛していた太田光さんではありませんが、もはや爆笑問題の次元の話になってしまいます。

その差を図式化したのが下図です。(図 ビョン・ロンボルグによる) 約600倍! こういうのを誇張的トンデモ表現といいます。

Photo_4

最後に、気象庁が測定している日本海沿岸の海水準(1971年から2000年)29年間のデータがありますが、上昇トレンドは測定されていません。(下図参照)

IPCCの海水面上昇でハルマゲドンという予測には科学的根拠がないといわざるをえません。

Photo_6

私たちは、地球環境の危機を危機としてとしてとらえるためにこそ、センセーショナリズム(煽り)を排して見る必要があるのではないでしょうか。

2013年12月14日 (土)

週末写真館  すごい夕陽

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すごい夕陽でした。
いきなり晩秋になって、冴えわたる秋空には夕方には壮大な夕陽が似合います。

先日はたまたま通りかかった街で、呆然とするほど美しい夕陽に出会いました。
思わず、脇道に入って小高い丘から撮影しました。
夕陽ケ丘の番長気分です。(古い)

2013年12月13日 (金)

不機嫌な太陽その6 地球が水没する?

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地球温暖化を訴える上で最もショッキングだった予測は、海水面の巨大な上昇でした。 

下図は「ニュートン」誌2008年別冊号ですが、過激な温暖化説を煽った同誌だけに衝撃的です。 

ちなみに「ニュートン」誌は、温暖化問題で放射能の時の「週刊現代」なみの煽りをするので有名なところです。

単に等高線に沿ってチョコチョコと色をつけただけの図ですが、まったく悪趣味な。

強迫効果満点です。確か関東平野水没バージョンもありましたね。

薄い緑色が海抜ゼロメートル地帯、次にその周りを取り囲む薄い青色が、海面が59センチ上昇した場合のゼロメートルです。 

そして一番外にある濃い青は、同じく59㎝上昇した場合の満潮時+高潮時にゼロメートル地帯です。

Photo

これによる被害予測は、東京で322㌔平方キロ、東京の人口は415万人に減少します。この59㎝という数字は、IPCC第4次報告書の数字に基づいています。 

ただしこれは2100年、あくまでも約100年先の予測数値だということをお忘れなく。 

実際には突然起きるものではなくジリジリと毎年1.4㎜という㎜刻みで上昇するわけですから、首都が水没するのを指をくわえて見ている国などありえませんので、防潮壁などを建設してくい止めることになると思われます。 

だいたい、この「ニュートン」の図は、現在ある東京湾沿岸の3mの防潮堤を無視しています。

現実の実測された過去の海水面の変化のグラフをご覧下さい。(図 アラスカ大学北極圏研究センター所長・赤祖父俊一教授による) Photo_2上図(Jevlejeva2006)は横軸が年代です。1850とは1850年のことで2000年まで記録されています。縦軸は海水面の変化です。㎜で表示されています。

このグラフでわかることは、過去100年間の海面上昇が17㎝(1年1.7㎜×100)で、また1950年代を境にして上昇率が鈍化し、1960年代には1.4㎜に落ちたことです。 

ここで一点ご注意を。地球の海面上昇という自然現象にはあたりまえですが、大きな地球の自然変動があるということです。すべてが人為的なものではないのです。

さて、地球温暖化問題の総本山、世界的権威であるはずのIPCCの発表する予測数値がだんだんと下方修正されてきていることはあまり知られていません

Photo_3

上図は、2007年に発表されたIPCCによる未来予測です。右端の薄いグレイ部分が海面上昇の予測の範囲を示しています。 

これをIPCCは18㎝~59㎝としています。中央の平均予測値で38.5㎝です。しかも100年後です。  

実はIPCCはこの第4次報告書までに上昇率予測の書き替えを何度かしており、この回で海面上昇予測数値は下がるという奇怪なことになりました。  

まず、もっとも有名で、世界に衝撃を走らせた2001年報告では、9~88㎝という2倍もの大きなものでした。 

これがよく言われる「88㎝上昇すれば、高潮の時には1mを超えるだろう」という説の大元です。現に、ツバルなどに関わるNPOの多くの人はそのように言っています。 

この誤りは、ひとつにはIPCCの海面上昇の88㎝という最大予測数値が、現在のものではなく、2100年のものであるということです。

あくまでも100年弱先の数値であって、現実にはわずか数㎜の海面上昇しか観測されなかったわけです。  

これを誤解して、100年先の確証もない、あくまでも予測数値でしかない88㎝の海面上昇を、現に今の上昇の数値としてして理解してしまい、それに高潮を足すという勘違いが、現在のツバルの沈降説の主原因です。 

これに地球が危なければ危ないほど売れるという傾向があるマスコミが飛びつき、かくしてひとつの地球温暖化の偶像が生まれてしまったのです。

このような現象を、よく言って上げれば情報の伝達の失敗、はっきり言って誤報と言います。

しかし、よく考えてほしいのですが、地盤は隆起や沈降を繰り返しています。海水準は海岸に置いた潮位計で測ります。

置き場所の地面が上下していれば、海面の高さとは関係なく変動をしてしまうわけです。

大地震の後に陸前高田などは実に84㎝も隆起しています。東北や関東でも上下が多く観測されています。ですから、この陸上の観測点の隆起、沈降までを計算しないと正確な海水面の変動は分かりません

下図は大阪港の海水準のデータですが、大阪市の地盤沈下によってこの100年で実に2.6メートルも沈み込んでいますPhoto

このように、地殻変動が激しい地域や、大都市、隆起珊瑚礁の島々などは陸上観測点の変動が激しいのです。

まして、100年先のことですよ。誰がそこまで予測できますか。IPCCの予測が机上の空論だといのはこういうところにも現れています。

IPCC自体は、このように一人歩きする地球危機の数値に気象学者としての危機感を感じたようです。そしてこれに下方修正をかけたのが2007年版第4次報告書です。

Photo_4 

ここで新たな数値予測として、最大値を88㎝から59㎝に修正しました。

これには地球が危ないと言われるほど妙に張り切るように見えるグリーンピースなどが大いに怒って「生ぬるい」と大騒ぎをしたようです。

海水面の専門家もいない中、下方修正し続けるIPCCの洪水説。一体どこまで持ちこたえられるのでしょうか。

この海水面上昇について、ある人物が捏造、歪曲、ホラの限りを尽くしました。それについては次回。

2013年12月12日 (木)

不機嫌な太陽その5 ツバルは沈んでいるのか?

137
地球温暖化説を唱えるIPCCは、北極やヒマラヤの氷河が溶けているだけではパンチに欠けると思ったのか、既に海水面上昇で南太平洋の島々が沈下して住めなくなっている、難民が沢山でるぞと叫びました。

この話は、やがてオランダは水没,東京も半分水没、バングラディシュ水没と、どんどんと尾ひれがついて膨らんでいきます。

その最初の人間の住む地域の水没の例としてIPCCが訴えたのが、「沈み行くツバル」でした。

いつの間にかツバルは、地球温暖化の悲劇のシンボルになっていたわけです。今でも環境省のHPには大きくツバルが乗っています。(※欄外に転載しました)

ほんとうに温暖化による海水面上昇によってツバルは沈んでいるのでしょうか?

結論から言いましょう。していません。上がったのは海面ではなく、逆にツバルが珊瑚礁の圧壊で沈んだのです。

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まずは上図オーストラリア政府のSPSLCMP(South Pacific Sea Level and Climate Monitoring Project)のデーターをご覧頂きたいのですが、ツバルでは1mどころかわずか75㎜の海水面上昇しか計測されていません

この記録は、ツバル近海のフナフチ環礁で1993年5月から2006年5月までの13年間の記録の累積の総計です。

つまり表の右から2番目のトレンド(傾向)の毎年の観測数値を13年間分足してみると75㎜となったというわけです。

1年間に75㎜だとすると、確かに危険な数字ですが、あくまでも13年間の総計です。1年にすると1㎝にも満たないわけです。

ですから、このデーターの見出しの書き方は、やや誤った印象を私たちに与えてしまいますので、ご注意のほどを。くどいですが13年間のトータルの数字です。

もうひとつグラフを出しましょう。オーストラリア気象庁の公表データかあります。これは1993年からツバルの首都フナフチを測ってきた16年間のデータです。(下図参照)

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どう見ても横ばいです。これを見てどうしてツバル周辺海域で海水面上昇が発生したといえるのでしょうか。 

3枚目にハワイ大学の観測記録を載せておきましょう。これも1977年から99年までの23年間の計測データですが、上昇は0.9㎜で1㎝にも満たない数値です。(下図参照) 

科学の世界では、複数の公的機関が10年以上の長期で継続して計測したデータが、一致して同じ結論を出した場合にはそれを有意として扱います。

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Tuvaluを英文で検索するといくつかの英文の論文にヒットしました。その中でサリー・バリューナス博士の「ツバルは沈んでいるのか?」という論文をご紹介します。 

この論文はふたつに分けられ、前半でツバルの海水面のデーターを見ています。そして後半はその原因を考えています。博士は、ポセイドン観測衛星の記録から海水面は約10㎝落ちていると報告しています。 

また1978年以来の潮位記録から、1997年~98年のエルニーニョ(4年に一回発生します)には約30㎝も潮位が落ちているそうです。 

このようにエルニーニョは、太平洋を取りまく島々の海流や気圧に大きな影響を与えている最大のものです。  

また博士は、オーストラリアの潮位観測の責任者であるウオルフガンシェーファーさんの意見も取り上げています。この中でシェファーさんは「海水面の上昇があるという観測データーはどこにもない」と断言しています。 

どう考えても、13年間で最大58㎜、最小で0.9㎜ていどの海面上昇でひとつの島の沈下が引き起こされると 考えるほう無茶ではないでしょうか。 

さて、この1㎝にも満たない海面上昇で、いかに海抜1mのツバルといえど果たして海に沈むでしょうか?考えるまでもなく、ありえません。

ツバル沈降の主要な原因は隆起珊瑚礁の浸食です。

これは私自身沖縄に住んでいましたので、実感で理解できます。沖縄の八重山の先島に行くと、同じ隆起珊瑚礁ですので、少しずつ削られていくのが目でみえる地点がいくつかあります。

これは別に隆起珊瑚礁のみならず、海岸淵の岩場に行ってみれば同じような浸食が見られます。年間70㎜ていどの浸食などザラでしょう。

ツバル沈降の原因について、大阪学院大学教授で、太平洋諸島地域研究所理事の小林泉先生は以下のように指摘しています。このミクロネシアを知悉した小林先生のご意見は、私にもしごく妥当かと思われます。

①日本より稠密な人口密度が、狭いツバルの、しかももろい隆起珊瑚礁を圧壊している。

②アメリカ型の生活スタイルの定着によりペットボトルなどのゴミの散乱など島の環境破壊が進んでいる。

③滑走路の水没は、かつての米軍のいいかげんな工事のためである。

また、この調査をしたSPSLCMPのプロジェクト・マネージャーのフョリップ・ハル氏は、このような海水面上昇は10年ではまだ短く、20年以上といった長期の観測が必要であると語っています。

また、原因として、エルニーニョなどの異常気象を挙げています。

2002年のオーストラリア政府の発表によると、1978年~2001年の期間に、ハワイ大学とAustralian National Tidal Facility (NTF)の共同研究では、データーの欠損を認めつつ、ツバルの首都フナフチ環礁での海面上昇は約1㎜程度であり、危惧する必要はないという意見を出しています。

沈下面積が増えるツバルの皆さんには大変に言いづらいことですが、公平に見て、島民の苦難とは別に、その原因は地球温暖化にはないと思わざるを得ません。

こんなばかなことが起きたのでしょうか。それについて海水面研究の世界的権威であるストックホルム大学メルネル教授はこう言っています。

第3次、第4次IPCC報告書には海水面上昇の専門家がひとりもいなかった。報告書を書いたのは、現地の観測者ではなく、ただのコンピュータ計算屋があらかじめ決まった南太平洋諸島水没モデルにあわせてモデルを作っただけだ」

なんのことはない、IPCCがもったいぶって出した報告書で、ツバル現地で計測していた人間はおろか、海水面の研究者すらいなかったのです。

まったくひどい話です。このような現場で長年観測をしてきた科学者の知見を無視して、コンピュータのモデル計算だけで済ますという悪しき体質がIPCCの気象屋にはあるようです。

そのために、局地観測者や海洋観測者の中はIPCCに強い不信感を持っている人が多いようです

たとえば、オーロラ観測の第一人者であるアラスカ大学赤祖父俊一教授、海水面研究の第一人者ストックホルム大学メルネル教授は共に、地球温暖化説の強い批判者です。

IPCCはほんとうにツバルで観測したのではなく、下の環境省HPの記述にもあるような世界の海水面上昇平均0.17mをツバルの標高から引いて騒いできたようです。

ちなみに次回にふれますが、この世界の海水面上昇説も眉唾ですから困ったものです。

IPCCのコンピュータ屋が描いた初めに結論ありきのデマゴギー、それがツバル水没危機の正体なのです。

                。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚

環境庁HP 「進行する地球温暖化」
http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h19/html/hj07010100.html

海面上昇 写浸食されるフナフティ環礁(ツバル)の海岸 写真提供:遠藤秀一(NGO Yubalu Overview)

IPCC第4次評価報告書第1作業部会報告書によれば、20世紀を通じた海面水位上昇量は約0.17(0.12~0.22)mとされています。熱による海水の膨張や氷床の融解が主な原因として指摘されています。
南太平洋諸国では、既に多くの海岸沿いの地域が海岸侵食・水没の危機に瀕しています。ツバルは、南緯5~10度に点在する9つのサンゴ礁から成る面積わずか26km2の島嶼国で、約1万人の国民の半分が首都フナフティに住んでいます。
フナフティのある平均標高1.5m以下のフォンガファレ島では、近年、潮位が高くなる1~3月に、浸水被害が激しくなっていると言われます。海岸線に並ぶヤシの木の一部は、海に投げ出されるように倒れています。
(以下略)

 

 

 

 

2013年12月11日 (水)

不機嫌な太陽その4 IPCC版「不都合な真実」一覧

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TPPが越年だそうです。まぁ当然ですな。日米交渉が原因ではありません。

結局、ベトナムやマレーシアと国有企業や知的財産権をめぐって米国との溝が埋まらないのがひとつ。

そしてふたつめには、TPP交渉の内容が米国議会に漏れて、TPPが始まったらNZにかなうはずがない米国酪農業や、日本にメタメタにされる自動車産業などが一斉に反発しているようです。

その上、なんと今頃になって韓国が入りたいとは!もう笑うしかありませんな。韓国は全加盟国、つまりわが国が同意しないと交渉参加できないのをご存じなのでしょうか。

まぁ、存在するだけで、なにも決まらないWTOの二番煎じになって下さい。そのほうが国益です。(なら、初めからやらなきゃいいじゃないか!)

わが国は長引けば長引くほど有利ですから、ズルズルやっていましょう。というか、もう意味がないこんなこと止めませんか。

むしろ心配なのはTPPの裏で進む、日米交渉を念頭においた軽自動車税の引き上げなどのつまらない妥協ですね。

さて、IPCCはノーベル平和賞をアル・ゴア氏と共同受賞してから、今まで彼らが地球温暖化の動かぬ証拠としてきた事例を、他ならぬIPCC自体が取り下げるはめになっています。

それもひとつやふたつではないから困ったものです。

けっこう恥ずかしい話ですが、取り下げる前に、既に世界中の人々には印象として徹底的に刷り込まれているために、地球温暖化説は不動です。

これを見ると、案外「世界中の科学者がの叡知を結集して」と謳っているIPCCも、一般受けしそうな事例ばかり、たいして検証もしないでかき集めていたことが分かります。

では、 彼らの「不都合な真実」リストをみてみましょう。

「不都合な真実」といえばゴア氏が、この有名な本で上げた事例は完全壊滅といった有り様です。

●[事例1]ヒマラヤの氷河が2035年までに溶ける!?

2007年のIPCC第4次評価報告書にあった「ヒマラヤの氷河は2035年までに消滅する可能性が高い」という発表は、実は「充分な知識がない人による2350年の誤植だった」とそうです。

言うに事欠いて゛初歩的というのも愚かな「誤植」であったのですから冷汗ものです。IPCCには校閲をする人がいないのかしら。

というか、そもそも危うい話だったのを大げさに騒いで恥をかいたのです。

●[事例2]クライムゲイト事件 原データ改竄疑惑?

フィル・ジョーンズ教授CRU所長(イギリス・イースト・アングリア大学気象研究ユニット)のクライムゲイト疑惑は、地球温暖化説の世界的な権威者である彼のPCがハッキングされPCデーターから、千通に登るeメールと研究データーが流出した事件です。

この流出したメールから、出るわ、出るわ、危ないメールがウジャウジャ湧いて出たから大騒ぎになりました。

原データに一定の数字を挿入して偽造して気温上昇を捏造したとしかみえない部分や、温暖化説に疑問を持つ論文を温暖化マフィアが査読で落としてみたり、気象学術誌に自派のメンバーを送り込んでみたりと、なかなかすごい醜悪な内幕が露になりました。

しかも流出が発覚してからかの教授が泡をくらって、長年蓄積した原データを削除してしまうという科学者とも思えぬことをしたために事は大きくなりました。

これではまるで、改竄はほんとうですと自白しているようなものです(苦笑)

しかもこの英国CRUは、たたの気象研究所ではなく、NOAA(米国海洋気象庁)と並ぶ世界の気象データの大元締めのひとつで、温暖化説の拠点でした。

ジョーンズ教授もIPCCの報告書の重要な執筆者です。そのために温暖化説自体の真偽が疑われるような事態にまで発展しました。

もちろん、こんなハッキングは違法行為ですが、中身があまりにショッキングで、それ自体は自分のものだとジョーンズ教授が認めたために、欧米では特番までできるほどの騒ぎとなりました。

結局、その後の英国気象庁の調査ではシロということになり、事なきを得ましたが、欧米ではこの事件により温暖化を懐疑する世論が半数を越えるようになりました。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-146d.html

●[事例3]オランダが沈む!?

第4次報告書は、「オランダの国土の55%が(地球温暖化の影響で)海面より低いと表記した件も、ほんとうは「国土の26%が海面より低く、国土の29%が洪水の影響を受けやすい」が正しく、同報告書では、それを足して55%にしてしまった誇張的表現であると修正しました。

これなども、アル・ゴア氏の地球温暖化による海面上昇の誇張と重なっています。

これに関連して、よく南太平洋のツバルが海面上昇で沈没しかかっているという話がでてきますが、あれはまったく科学的根拠を欠いています。

この海水面上昇と、ツバル、ホッキョクグマ絶滅は共通のテーマなので、別稿で検証します。

●[事例4]キリマンジェロの雪が溶けた?

アル・ゴア氏が「不都合な真実」の中で、「キリマンジェロの雪が溶けた」ことを地球温暖化の証拠として大々的に取り上げたことを、英国高等法院は、「科学的な根拠がない」として退けています。

現地を調査した研究者は、気温の上昇ではなく、サバンナから吹き上げる乾燥した風が原因ではないかとみています。

●[事例5]IPCCのパウチャウリ議長献金疑惑事件

パウチャウリ氏が理事長を務める団体に、地球温暖化対策の企業から多額の献金が行われたことが暴露され、議長辞任を求める要求が出ました。

アル・ゴア氏にも同様な巨額な献金の流れが指摘されています。 この人為的地球温暖化説に、世界中の企業が飛びつきました。もちろん、新しい儲け話だからです。

政治の世界も飛びつきました。今までの石油利権は限られた人脈しか潤いませんでしたが、新しい金のなる樹だと嗅ぎつけたからです。

かくして、ノーベル賞で箔がついた、IPCCのパウチャウリ氏やゴア氏の邸宅の前には、門前市をなすことになりました。

各国の今まで陽の当たらなかった気象研究者も色めきました。今までの資金枯渇状態から一転して、地球温暖化とさえタイトルをつければじゃんじゃん政府や企業がスポンサーになってくれるようになったからです。

それ自体はいいことでもありますが、ここに新たな腐敗の温床が誕生したとは否めません。

●[事例6]NOAAデータ改竄疑惑

全世界の気象観測データを集約している米国NOAAにも、データ改竄疑惑がでました。

全世界の気象データを統括していたふたつの機関である、英国CRUはクライムゲイト事件で、米国はNOAAで同時にデータ改竄疑惑が出たことで、大きく信頼性が損なわれました。 これについても後日ふれたいと思います。

かくして、地球温暖化を叫んだ代表的3人の人物、フィル・ジョーンズ教授、パウチャウリIPCC議長、そしてアル・ゴア氏の3人、そして世界的な気象データ統括機関であるCRUとNOAAに同時に疑惑が降りかかったことになります。

これらを受けてパウチャウリ議長は、「批判を認識している。独立委員会を設置して透明性を高める」と弁明しています。

このように地球温暖化説は、放射能問題の時のようにスキャンダラスにぶち上げた結果、科学的研究というよりプロパガンダに変質し、ボロボロとほころびが出る結果となったのです。

ただし放射能問題の煽りの主役がマスコミだったのに対して、温暖化問題は「科学」の名の下に行われただけにより悪質だったといえます。

2013年12月10日 (火)

不機嫌な太陽その3 政治的宗教団体に堕したIPCC

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予言者的なハンセンから、眉唾的ハッタリ屋マイクル・マンのホッケースティック曲線を巧みに利用しながらIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、温暖化の使徒として世界中の国々を巻き込んで行くようになります。 

このIPCCという科学者の国際団体は、1998年の設立趣旨でこう謳っています。http://www.ipcc.ch/pdf/ipcc-principles/ipcc-principles.pdf

「人間が起こす気候変動の(クライメイト・チェンジ)リスクの科学面と影響、対策を考える」

ここには「気候変動」とはありますが、その原因を温暖化とだけは書いていません。当然です。初めから結論を決めた科学などはありえないからです。

IPCCの報告書は、科学面・影響・対策の分野に分かれていますが、なんと言っても「科学面」の知見かその大本です。

「気象変動」という限りは、当然寒冷化の可能性も含まれた多様な議論が保障されるべきですが、そうではありません。

初めから結論がガッチリ決まった「科学的団体」なのですから白けた自己矛盾です。

IPCCは地球温暖化の研究及び対策を講じる組織として、異説を排した「疑う余地のない真理」として温暖化のみを主張し続けてきたのです。

これでは科学的に公正な態度といえるでしょうか。

これが小さな団体ならば、間違っていましたから解散しましょうか、で済むのでしょうが、ここまで肥大化し国家機関と密接に関わってくるとなるともはや後戻りはできないというところです。 

私はIPCCの人為的炭酸ガス温暖化説は「根も葉もある間違い」 だと考えています。

たしかに人為的温暖化は存在します。その影響は無視できません。しかし、炭酸ガスだけで、地球の気候変動をすべて説明しようとするにはあまりにも無理があります。

地球の気候変動が周期的な理由を、右肩上がりに増大する人為的炭酸ガスひとつで見ようとするから無理がでるのです。

なぜ、他の太陽の活動や海洋の周期を視野に入れようとしないのでしょうか。

おそらく、私は人為的温暖化と、周期的寒冷化が綱引きをしている状態が現代ではないかと思っています。

しかしIPCCは温暖化の原因を過度に人為的炭酸ガスのみに求めた結果、その対策もまた炭酸ガス排出規制に一面化され、ともかくなんであろうと炭酸ガスさえでなきゃいいんだろうというようになりました。

温暖化対策のためのCOPは既に19回開かれてきています。COPとは「気候変動枠組条約」の締約国会議のことです。

COP会議には今年もグリーンピースなどの世界中の環境NGOが集結してプレッシャーをかけるのですが、温暖化対策の特効薬はこれら環境NGOの願望に背いて、今でも原発なのです。

世界は福島事故以降にもかかわらず、原発大増産期に入っています。 

中国はこの10年で世界一の原発立地国となり、ヨーロッパ、米国も新規建設に入っています。発展途上国は建設予定が目白押しです。

ドイツは世界唯一の例外的存在にすぎません。

その増設の原因となっているのが、IPCCの地球温暖化対策なのです。

正直、バッカじゃないかと思います。だから蓋を開けてみれば、栄えるのは小は100円ショップで売っているようなエコ商品から、大は「クリーンな」原子力産業、「あなたの国や企業が炭酸ガスで枠内を使い切ったのなら、どうぞわが国でお引き受けしましょう」という排出権ビジネスということになりました。

意地悪く言えば、こういう構図です。

温暖化という科学学説が、異様なほど世界各国政府に受け入れられたのは、原子力推進という流れを加速させることはあっても減速するものではなかったことがひとつ。

CO2排出権売買で国際金融資本に巨額で金が転がり込む、という金融ビジネスの利害に合致したのがふたつめの理由です。

日本はこれまでの8年間に、政府や企業合わせて20兆円以上を温暖化対策の肝であるCO2排出削減のために投じてきました。 

東日本大震災の被害総額17兆を越える巨費です。この結果、日本でCO2が減ったかというと、福島事故以降の火力発電の全面稼働も手伝ってまったく減らずという有り様です。 

その上、COP19を議論している直前に、太陽黒点の異常な減少が報じられてしまいました。

前々から黒点異常は報じられてきたのですが、どうも太陽活動が完全におかしいということが分かりつつあります。

となると、誰が考えても地球気候を直撃するはずですが、もはや温暖化教と化したIPCC一部幹部は、「太陽の活動の影響は炭酸ガスの7%ていどだ」だと言ったかと思うと、「また復活周期に入っている」と右往左往しています。

いずれにせよ、いい機会です。今一度、いまや不磨の定理となってしまった地球温暖化説を再検証してもいい時期なのではないでしょうか。

2013年12月 9日 (月)

不機嫌な太陽その2 地球温暖化説の怪しい出生

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地球はほんとうに温暖化しているのか?それとも正反対に寒冷化に向っているのか?  

実はこのことに対して、科学界はふたつに分かれているといったほうか公平でしょう。  

主流はいうまでもなくIPCC(気候変動に関する政府間パネル)を中心とする温暖化派で、それに反対する人たちは懐疑派と呼ばれています。 

簡単に温暖化説を誕生のいきさつをおさらいすると、 1970年代後半からそれまでの寒冷化説に代わって人為的CO2の増加が温暖化の原因だとする学説が生まれました。 

88年には、NASA・ゴダード宇宙研究所のハンセン前所長の炭酸ガスの増加が地球温暖化を引き起こしているという爆弾証言があり、一挙に世界中で話題となりました。 

これは金星がぶ厚いガスに覆われていて、その雲の下は温室効果で焦熱地獄に違いないという考え方から来ています。 

それに歩調を合わせるように、9年後に有名なマイクル・マンのホッケースティック曲線が世に出て、米国政府まで動かすようになります。(下図参照Wikipediaより)

これがホッケースティク曲線と呼ばれるのは、20世紀に入るやいなや炭酸ガスと気温が45度でドーンっと同調して上昇するという分かりやすいグラフだったからです。Photo
この図はIPCCの「気象変化2001」にデカデカと掲載されました。マンは若手の古気象学者で、主に気象代替指標といって年輪などを使って1000年~1980年代までの気象変化を調べていた人でした。 

このホッケースティック曲線は、マン自身もIPCCの執筆者のひとりで加わっていた2001年のIPCC第3次報告書に公式文書に登場するやいなや、大騒動に発展しました。 

まず、米国のクリントン大統領(というよりゴア副大統領)が、いわば米国政権の公認の学説となりました。

当時、米国海洋・気象諮問評議会副委員長をしていたS・フレッド・シンガーは、これに対して苦々しげに「クリントン政権と、IPCCが気象変動に関してほしがっていたお手軽な答え」と評しています。 

つまり当時、石油資本の後ろ楯のある共和党政権から一線を画して新たなエネルギー政策を取りたかった米国民主党政権と、気候問題というマイナーな分野に多額の予算を欲しがっていたIPCCなどの気候マフィアが手を組んでこのマンのホッケースティック曲線を政治的に利用したというわけです。

もちろんIPCCも一枚岩で温暖化を信じていたわけではなく、すぐに有名なホッケースティック論争が開始されます。 

というのも、多くの気象学者が関わったマンの発表の3年前95年にIPCC「気象変動1995-図22」としてこのような気象変動グラフが掲載されているからです。 

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ここにはマンが意図的に無視した中世の農業発展を支えたといわれる中世温暖期と、その後にやって来るテムズ河も凍ったマウンダー極小期による小氷河期がしっかりと記されています。 

ちなみに上図で分かるように中世温暖期に至っては、現代より温度が高いのですが、当時にハンセンやマンが言うような「地球気候を変動させるような人為的炭酸ガスの排出」がなかったのはいうまでもありません。 

このような多くの批判を受けて2004年にマン自身も訂正に応じて、現在はこのようななんと11種類の曲線があるグラフに訂正されています。(下図参照Wikipediaより)

ここには批判があったマウンダー極小期が小氷河期としてでてきます。(ただし、マンは訂正しても間違ってはいないと主張し続けています。)

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このように一見不動のように見える地球温暖化説は、多数の間違いやスキャンダルを引き起しながらも本質的にはまったく変更を加えられることなく現代に至っています。これについては後の回で触れる予定です。

IPCC第5次評価報告書は、2013年9月26日から部分発表があり、最終報告書は2014年3月の横浜総会で出る予定です。゛

2013年12月 7日 (土)

週末写真館 霞ヶ浦水位観測所

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霞ヶ浦西岸には水位観測所というものかあります。

なんのことはない小さな無人の観測所ですか、その真正面の水中には、「2001年宇宙の旅」のモノリスよろしく大きな水位計が鎮座しています。

よく見るとなかなかカラフルで赤や黄色で、「警戒」「注意」などと書いてあります。

先だっての大型台風の時には、湖も満タン状態でこの水位計もかなり上がったんじゃないでしょうか。

今回は大分水位が下がったので、岸部に降りて普段はあまり使わないバリアングル液晶を引っ張りだして水面すれすれで撮ってみました。使ってみれば便利なもんですなぁ。

水が苦手な方は拡大しないように、溺れそうな気分になりますよ(笑)。

逆光でとったモノリス、じゃなかった水位計はなにやら神秘的です。湖の前方に見える櫓は曰くありげですが、魚の養殖場です。

冬が来て、湖は渡り鳥が急速に増え始めました。

今が湖の旬です。

※写真はクリックすると大きくなります。

2013年12月 6日 (金)

不機嫌な太陽その1 弱まる太陽活動

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太陽が実は不機嫌に冷め始めているのではないか?、そのような衝撃が世界に走っています。 

皮肉にもまるで地球温暖化対策に関する国際会議COP19に合わせたように、太陽の活動が弱まっていることが観測されました。 

なぜなら、最近の太陽表面は、驚くほど「穏やかな状態」が続いており、黒点の数が20世紀のどの時期よりも少なくなっているからです。 

2008年から始まった観測単位であるサイクル24(第24太陽活動周期)は、過去250年間で観測された最弱なものだからです。(下図 情報通信研究機構)http://www.nict.go.jp/glossary/4otfsk000000k85f.html太陽黒点相対数のグラフ                

※図 2000年から2019年までの太陽黒点相対数のグラフ。2011年以降は赤線で予測値を表示している。(NOAA/SWPC提供) 

太陽活動はほぼ11年の周期で変動していて、1755年から数えて24番目のサイクル(周期)だとされています。この周期は2008年1月から開始したと考えられています。 

サイクル24の活動は、世界の温暖化対策を嘲笑うかのように長期に渡って黒点が観測できない状況が続いていました。
下図をみていただくとNOAA(米国海洋気象庁)の観測データでも、11年から再度活発化トレンドに向かうかと思われた黒点数が、また13年を境にして下降に戻ったことが分かります。
Photo上図 NOAA・ アメリカ海洋気象庁の太陽活動の予測と実際の太陽活動の相違を示したグラフ)
この長い黒点数がない時代は、1645年から1715年の異常に黒点がないマウンダー極小期の再来すら予感させるものでした。
この時期はたまに小さな黒点が現れてもすぐに消滅してしまい、フレア(太陽面で発生する爆発)の現象も微弱でした。
そう、太陽は不機嫌に冷めていたのです。
上のグラフを見れば2002年から低下の一途をたどり、09年には最低の時期を迎えているのが分かります。むしろ、11年以降緩やかに回復基調ですらあります。
このグラフで赤線で描かれているのは、いわば期待値です。

しかし、やっと回復しているのかという微弱な動きが太陽表面で見られています。

宇宙天気情報センターによると、最新の12月5日の観測ではこのような動きが見られています。
・太陽面でCクラスフレアが数回発生し、太陽活動はやや活
・引き続き今後1日間、太陽活動はやや活発
な状態が予想
http://swc.nict.go.jp/datacenter/daily_latestnews.php
さて、今後このサイクル24がどのような動きを見せるのかは、今後数年の観測によらねばなりません。
回復が弱く、そのまま09年より落ち込むことがあるなら、スベンスマルクの予測が正しいということになります。 

彼の「予言」は、いまや世界の定理となってしまった観のある地球温暖化を真っ正面から否定する内容でした。 

地球温暖化の本は掃いて捨てるほどありながら、科学界では高名なヘンリク・スベンスマルクの邦訳は、「不機嫌な太陽」(H・スベンスマルク/N・コールダー・恒星社厚生閣)のみです。

今回手にしているこの本を、温暖化炭酸ガス説批判書として読む人は期待はずれになることでしょう。

実際に地球温暖化に触れた部分は、彼が書いた部分でない8章にわずかに言及されているにすぎません。

スベンスマルクは彼の学説が政治的に利用されることをストイックに避けているように思われます。

彼は実に慎重な、そしてフィル・ジョーンズなどとは違って、非政治的な科学者らしい科学者なのです。 

それは地球温暖化説を唱えるマイケル・マンやフィリップ・ジョーンズとその亜流が、早々と政治的権力と癒着することで自説を万人をして疑うことを許さない「真理」にまで高め上げた態度と対局をなすものです。 

これらの野心満々の政治家的気候学者たちは、スベンスマルクの学説が彼らの説を否定しかねない異物として、「あたかも進入してきた虫けらのように踏みつぶした」のです。

この本の初版が出た同じ2007年に、IPCCは「気候変動の政策立案者用最新概要」を発行します。

これが、今や疑うことを許さない「真理」として世界を覆い尽くしている、本世紀中に気温が数度上昇し、地球規模のカタストロフが起きるというローランド・エメリッヒが好きそうな大予言でした。

フィル・ジョーンズ率いるIPCCは、二酸化炭素のみの影響を過大に評価するために意図的に太陽活動の及ぼす影響は炭酸ガスのわずか7%にすぎないとして切り捨てました。科学の名を借りた暗黒裁判と言ってよいでしょう。

この報告書作成には、スベスマルクの研究にいままで協力した科学者も多く含まれており、したがって彼の説を熟知する立場にあったにかかわらず、スベンスマルク説が「政治的に適切でない」ことに怯えて、次第に彼と距離を置くようになっていきました。

そしてスベンスマルクの燐国ノルウェー議会は、彼ら野心的科学者たちにノーベル平和賞を授与しました。 

自らの学説が、全世界を動かすという科学者の見果てぬ夢の甘露をぞんぶんに味わったことでしょう。 

スベンスマルクはどのような気持ちで彼等の笑みこぼれる様を眺めていたことでしょうか。 

いや、あんがい平静だったのかもしれません。ヘンリク・スベンスマルクとナイジェル・コールダーは、地球温暖化が過度に政治的なテーマとなってしまったために、これに介入することをあえて慎重に避けていきました。 

しかし、彼らの説が討論されることに対して直接の妨害を受けた場合は別だったといいます。 

彼らは、寒冷化することによって特に発展途上国の農業生産において致命的なダメージを与えることを懸念していました。 

そして理由のいかんを問わす 現在なされている温暖化阻止の大号令の下に行われている低炭素化社会実現への努力が、寒冷化に対しても有効であると考えていたからです。 

世界は「間違った理由の下で正しい行為をすることをしていたのかもしれません。 

彼の説によれば、 今後地球は太陽活動の低下傾向が観測されているため、マウンダー極小期のような寒冷期が到来する可能性があると思われます。 

仮に寒冷化となった場合でも、現在進められている低炭素化社会化、つまり化石燃料の節約、資源の有効活用と循環再利用システムの社会的実現は、そのまま有効な処方箋となりえます。

つまり皮肉なことには、誤った原因説であったが、その社会的対策としては誤りではなかったということになります。 

しかし、寒冷化のほうが温暖化よりはるかに恐ろしいのです。 

日本に限って言っても、歴史的な大飢饉は必ず寒冷化によってもたらされています。農業技術が進んだ今でも、寒冷化によって茨城以北の米作は壊滅的な打撃を受けることでしょう。

食物の端をかじっただけで捨てている飽食の時代は終わり、もうひとつの別な時代が始まろうとしているように私には思えてなりません。

ですから私たちが今後なすべきは、炭酸ガスさえ削減できればいいというようなワンイッシュの方向ではなく、寒冷期の農業生産の縮小、生物資源の激変に耐える準備が必要なのです。 

エネルギー源、生物資源、農業資源、人的資源まで含むトータルな地球資源の確保と保全、再利用化が、人類という種が生き延びるためにリアルに必要な時代が来るかもしれません。

そのとき、「国産農産物は高いから輸入品を買う」、「日本農業は盲腸」などと言ってきたツケを日本人はしっかりと払わされるでしょう。 

長い時間をかけて有機農業が蓄積してきた循環型資源利用の知恵と、最新の科学技術の融合がこれほど必要な時代は、今をおいてないはずです。

参考スベンスマルク-雲の神秘HV版-(スベンスマーク)
http://www.youtube.com/watch?v=w_NAeLFLnsY

2013年12月 5日 (木)

特定秘密保護法案が通ったら、その「手柄」の半分は石破発言で浮かれていた連中のものだ

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私は大分前から新聞の政治欄を読まなくなりました。朝読んだりすると、げんなりして一日の労働意欲がなくなるからです。 

たまに気の迷いで読んでしまって、石破氏の発言をめぐっての政治騒動が起きていることを知っててきめんに気が滅入ってしまいました。

石破氏が国会などへのデモの大音量を、「テロと本質的には変わらない」と書いたことに対して、野党や朝日新聞が折からの特定秘密保護法案と絡めて激しい攻撃をしかけているようです。石破さんのその部分の文章は欄外資料1に載せておきます。 

朝日新聞などは、一政治家のブログ記事を1面でデカデカと報じていますし、反対派の集会はまるで石破糾弾一色だそうです。 

彼らに言わせると、「国民のデモすらテロ扱いにしているような政治家が通す特定秘密保護法案は、国民の知る権利を奪い、情報統制でものが言えない社会にする」そうです。 

今回ブログ界で騒いでいるのは、面白いことに原発ゼロ(急進派)や内部被曝を声高に主張する人たちと見事に重なっているのも微苦笑を誘います。 

あの人たちほんとうに声が大きいですからね。声が大きい人特有の、他人の話にはまったく聞く耳を持ちません。 

私はあの麻生副総理の「ナチスを学べ発言」騒動を思い出してしまいました。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-a988.html

麻生氏の発言は、上記の私のブログで発言要旨を書き起こしているので読んでいただければ分かるとおり、「憲法改正は慎重にしないとナチスの再来になる」という意味のことを、彼特有の逆説的警句で発言した言葉尻をとられました。 

むしろ麻生氏の発言は、憲法改正を急ぐ人たちに冷水を浴びせたもので、むしろ朝日新聞のような護憲派には喜ばれそうな内容だったにもかかわらず、徹底的なバッシングを受けました。 

真逆に「ナチス信奉者」のように報道された上に、気の毒にもあろうことか朝日新聞によって海外にまでご注進されて、国際的な批判すら浴びてしまう体たらくでした。 

今回も麻生「ナチスに学べ発言」と似た構造です。石破氏発言の当該部分の前後を抜き出してみましょう。 

左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。テロリストと本質においては変わらない 

さてこれを読んで、今回も中学校現代国語読解のテストをしてみましょう。 

[問い]上の文章を読んで、筆者はなんと言っているか。正しいと思うものを選べ。 

デモするような人間はみんなテロリストだ 

大音量で多くの人の付託を受けた国会審議を妨害するのは民主主義の正しいあり方ではない

はい、できましたか。①に丸をつけた人がいたら、朝日新聞には受かるかもしれませんが、中学校は卒業できません。 

ここで石破氏が言っているのは、言うまでもなく、②の大音量で国会や首相官邸、党本部の執務や会議に差し障るようなバカデカイ音を出すな、という社会常識の範疇の以上でも以下でもありません。 

ここで①だと思った人は、典型的な詭弁トリックにまどわされています。①は発言の一部分だけを前後の文脈から恣意的に切り取って、論点のすり替えをしています。 

この「言葉尻手法」は攻撃したい者を印象操作するだけで済みますから、特定秘密保護法全体をキチンと批判する労力は要りません。 

石破氏が、「本質的にテロリストと変わらない」と言ったという部分を文脈から抽出して、彼らの趣旨である「一般国民の言論統制」方向に無理やりねじ曲げているのです。 

この人たちは、おおむねこんなことを言っているようです。 

①「デモをする者はテロリストだと自民党幹事長が言った」
②「特定秘密法が通れば反対デモはテロリスト扱いにされる」
③「この法案はテロリスト取り締まりが目的だから反対デモも許されなくなる」
④「権力者の恣意で原発情報すら秘密にされ、漏らした一般人は逮捕される」
⑤「言論、報道の知る権利が奪われる情報統制法だ」
⑥「平成の治安維持法がやってくる」
 

と、まぁこんなかんじでしょうか。NHKニュースなどが流す映画監督やマスコミ人士の声明を聞いていると、まるで戦前のようなファシズムがやってきているみたいな気分にさせられます。

しかし、この声明を出した人たちは、ほんとうに特定秘密法案の条文を読んだのかしら? 

①と②が論理の飛躍だと言うのは先ほど書いた通りです。 

③などは条文のどこにも書いてありません。そもそも、この法案は軍事機密を保護する「特定秘密」が対象なのであって、④のような原発情報などは従来の経済産業省の機密指定で済んでしまう問題です。 

この法案の対象は以下です。
①防衛
②外交
特定有害活動の防止
④テロリズムの防止
 

反対のための反対ではなくまともに議論する気ならば、③の「特定有害活動の防止」にかかわる「措置」、「研究」、「計画」の意味を政府に糾すべきでしょう。 

この部分は、政治家や官僚の恣意でいくらでも膨らませられる危険性があります。権力が独裁的な意志を持った場合のリスクがあると考えるべきです。 

同じように、「特定秘密」が何なのか一般国民には分からないためにブラックボックス化する可能性があります。

この情報公開の時期も、5年ごとに延長可能で、30年後に内閣が承認すれば再延長ができるというのは、事実上情報公開が不可能なものも出ることになります。 

④の一般人は、法の対象外です。特定秘密保護法は、機密保持取り扱者が対象で、報道機関や一般人が含まれないことは第22条に明記されています。(※欄外資料2参照) 

一般人はおろか、マスコミ関係者は法の対象外なのです。これを「情報統制」とまで騒ぐのは被害妄想です。 

ただし、条文に「教唆」が入っているのが引っかかります。情報の漏洩の「教唆」を拡大解釈すれば、一般人まで引っかけることが可能なのかという危惧は確かに残ります。 

いままでの官庁や自衛隊法の機密指定と違うのは、秘密を知り得る政治家や出入り業者にまで法の対象になることです。 

この「教唆」や「出入りの業者」の明確な規定が欲しいところです。 

この法案の最大の問題は「曖昧」だということです。「特定秘密」の指定、範囲、開示などの一連の流れが、時の為政者や官僚の恣意で可能だとすると危険な運用をされる可能性が残ります。

たとえば、首相に菅元首相のような「首相権限は期限を切った独裁」というようなトンデモ人物が座った場合、この法律はたいへんな運用をされることがありえます。

法律は主人を選ばないのです。 だから将来恣意的運用がされそうな部分はとことん詰めておく必要があります 

このようにいろいろと野党やマスコミに突っ込んで欲しいところは多々あるのですが、石破発言で鬼の首をとったようになっている人たちにはまったく期待できません。 

こんな極端なことを言う人たちのおかげで、まともな議論が煮詰まらないまま審議終盤に来てしまいました。 

大音量のスピーカーほどにも不毛なことです。この法案が通ったら、その「手柄」の半分はこの大音量の連中のものです。 

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[おまけ]

神浦元彰氏という「軍事評論家」が、ラジオ(文化放送12月2日)で意味こんなことを言っていました。 

「デモには音量規制があって、警察はそれを越えないようにモニターしていているのだから、合法の範囲内なはずだ。」 

はい、間違っています。裏を取らないことで有名なこの人らしい勘違いです。 

確かに神浦氏がいうように、右翼の街宣車対策で成立させた「国会周辺静穏保持法」がというものは存在します。
※「国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律」

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S63/S63HO090.html

同法は確かに、警察官が大音響の拡声機を使用している者に対して拡声機の使用をやめるように命ずることができると規定しています。 

そして警察官の命令に違反した者は6か月以下の懲役又は20万円以下の罰金の刑事罰となるとも記されています。 

ただし、この静穏保持法が適用される要件は、第三条にこうあるのです。 

第三条  

「 総務大臣は、衆議院議長又は参議院議長のいずれかの要請があつたときは、衆議院議員又は参議院議員が所属している政党の主たる事務所及びその周辺の地域のうち、第一条の目的に照らし静穏を保持することが必要であると認める地域を、期間を定めて、政党事務所周辺地域として指定するものとする。」 

一読してお分かりのように、「総務大臣は、衆議院議長又は参議院議長のいずれかの要請」が必要で、現在同法はこの要請がないために適用されていません

これは自民党が、特定秘密法案と絡んで「国民の言論やデモを規制した」と言われたくないために警察に対してあえて要請を控えているからです。 

たまたま反政府的皆さんが反対している特定秘密保護法案の時期だったから、言論弾圧ウンヌンという議論になりましたが、元々は静穏保持法ど取り締まり対象は右翼の街宣車だったのです。 

結局、いままで自民党は党本部や国会などを同法の適用範囲に「要請」したことはありませんでした。だからあいかわらず、会議も中断するほどうるさいのです。 

ですから、今回も石破さんはあっさりと、「あんまり大音量を出すと静穏法というものもありますよ」とだけ言えばよかったのです。 

しかし、同法を実際に使ってしまったのが、今、石破氏の首を取ろうとしている民主党です。 

民主党政権の2010年に右翼街宣車がうるさいとして民主党本部までを静穏保持法の適用範囲に指定したのは、時の総務大臣だった片山善博氏でした。 

そういえば、権力を取った民主党は、自民党以上に居丈高の権力者ヅラをしていたことを思い出してしまいました。

※資料1 石破茂氏ブログ11月29日 

「今も議員会館の外では「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。
 主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない本来あるべき民主主義の手法とは異なるように *1  思います。」
 

※資料2 特定秘密保護法第二十二条 
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18505009.htm
特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。 

2 第四条第三項後段、第九条又は第十条の規定により提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者がこれを漏らしたときは、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処する。同条第一項第一号ロに規定する場合において提示された特定秘密について、当該特定秘密の提示を受けた者がこれを漏らしたときも、同様とする。 

2013年12月 4日 (水)

太陽黒点活動史上最低に 地球は温暖化ではなく寒冷期に向かうのか?

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太陽黒点の活動に異常が出ています。活動が弱まっているのです。太陽からの地球に降り注ぐエネルギーが減少すれば、地球の温度と密接に関わってきます。 

すなわち、今の定説である地球温暖化ではなく、地球の寒冷化です。 

また太陽磁場の11年ごとの反転にも異常がみられており、これとの関係があるのか議論を呼んでいます。 

まだ数年の観測が必要ですが、もう黒点の活動が極小に向かっているならば、1645年から1715年にかけてのマウンダー極小期に起きた寒冷期の再来が否定できなくなります。(図の赤い部分がマウンダー極小期 Wikipediaより) 

 この問題については別稿でさらに追求します。

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太陽活動の低下、地球への影響は?
AFP12月2日

ワシントン 12月2日 AFP】

最近の太陽表面は、驚くほど穏やかな状態が続いており、黒点の数が20世紀のどの時期よりも少なくなっている。この現象に興味をそそられた科学者たちは、それがこの地球上で何を意味するのかに思いを巡らせている。

黒点の数はおよそ11年周期の太陽活動周期にあわせて増減し、1日で突発的に増加した後に急激に活動が弱まり、その後にまた活発になったりする。

観測史上最低レベル

だが「サイクル24(第24太陽活動周期)」と呼ばれる現在の周期は、あまりにも不活発なために科学者らを驚かせている。

サイクル24が2008年に始まってからこれまでに出現した黒点の総数は、過去250年間に観測された平均値を大きく下回っており、実際に半数にも満たない。

米海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric Administration、NOAA)の物理学者、Doug Biesecker氏は「これは、宇宙時代50年で最弱のサイクルになっている」と語る。

黒点から放射される強烈な電磁エネルギーは、太陽の紫外線放射やX線放射、太陽嵐などに重大な影響を及ぼす。

太陽嵐は、地球上の通信網や電子ネットワークを遮断する恐れがある。また、黒点活動は、地球の気候にも影響を及ぼす可能性がある。

「サイクル23」は2000年頃に「極大」に達し、その後、同サイクルの活動は徐々に弱まり、2008年に「極小」となった。科学者らはこの時点を現サイクルの始まりとした。サイクル23の終わりに太陽活動が極小になったことで、天文学者らはサイクル24が低調になると予測したが、現実は予想をさらに下回った。

サイクル24の初年度には、太陽活動は上昇するはずだったが、黒点が1個も出現しない日が合計で266日も観測された。

Biesecker氏は「黒点出現予測の最大値は90個だった」として、この1年で活動が上昇してきたにもかかわらず「90個に近づきそうにないのは極めて明白だ」と指摘している。同氏はまた、「黒点数は昨年、最高で67個だった。通常のサイクルの半数にも満たない」と付け加えた。

以前に黒点のサイクルがこれほど低調になったのは、1906年2月の「サイクル14」極大時で、1日当たりの出現数は64個にすぎなかった。

太陽磁場の反転

サイクル24は、もう1つ驚くべき点で、標準から外れている。

太陽磁場は通常、各11年周期の最後のあたりで北極と南極の磁場の性質が同時に反転し、極性が変化する。磁場の強度は、極性反転が起きている間はゼロ近くまで低下し、極性が逆になったら再び高くなると科学者らは説明する。

だが今回は、これとは異なることが起きているようだ。北極ではすでに数か月前に極性が反転しており、現在は南極と同じ極性になっている。

最近の人工衛星による観測によると「南半球は近い将来に反転するはずだ」と米スタンフォード大学(Stanford University)ウィルコックス太陽観測所(Wilcox Solar Observatory)のトッド・ホークセマ(Todd Hoeksema)氏は言う。

同氏はこの現象について心配していないようだが、科学者らは、サイクル24が「異常」な周期になるのかどうか、あるいは現在の太陽活動の低下が次のサイクルにまでも長引くのかどうかを見極めるために、太陽を注意深く観測している。Biesecker氏は「それが判明するまでに、まだゆうに3、4年はかかるに違いない」と言う。

地球の気候への影響は?

またこれは、長期にわたる太陽活動低下期の始まりかもしれないと推測する研究者もいる。

前回同様の現象が発生した、17世紀半ば頃から18世紀前半頃の間のいわゆる「マウンダー極小期(Maunder Minimum)」には、黒点がほとんど観測されなかった。この時期、地球上では気温が急激に低下し、欧州と北米でいわゆる小氷期(Little Ice Age)が起きた。

黒点の数が少ない状況がさらに続くと、地球の気候が再び影響を受ける可能性が出てくる。

だが地球温暖化のおかげで、再び氷河期に見舞われる可能性は低いだろう。「事態はまだ寒冷化に向かっていない。それほど速やかに(黒点の数が)上昇していないだけだ」とBiesecker氏は述べている。(AFP)>

太陽活動に異常―黒点や磁極反転に異例の現象
ウォールストリートジャーナル 2013年 11月 12日

太陽に異変が起きている。今年は太陽の活動が強くなったり弱くなったりする11年周期の中で、活動がピークになる年(極大期)に当たり、通常なら、太陽の北極と南極の磁場が入れ替わる「極域磁場転換」が起きるはずなのだが、いまだに起きていない。

さらに、活動ピーク年には増えるはずの“太陽の元気のバロメーター”とされる「黒点」も今年は異常に少ない。今後、太陽は活動の低調期に入り、併せて地球も寒冷化すると指摘する専門家もいる。

 「全く元気がなくパッとしない。明らかに異変が起きている」。米航空宇宙局(NASA)の研究者、ジョナサン・サーテイン氏は先週、今年の太陽の活動を評して米メディアにこう語った。

 観測史上、太陽は11年ごとに北極と南極の磁場が入れ替わることが分かっている。その詳しいメカニズムは不明だが、当該年は太陽の活動が最も活発になる年で、主に高緯度地帯に多数の黒点ができる。

黒点は磁石のように強い磁場が起きている場所で、磁力によって太陽内部の熱が表面から放出されるのが抑えられているため、周囲より低温で黒く見える。

黒点の地点は低温でも、その総面積は太陽のほんのごく一部であり、黒点が多発する時期は太陽全体のエネルギー放出量は増大する。

太陽の活動ピーク年には、常時150~200の黒点が観測されるのが普通で、大量の電磁波や粒子が放出され、こうした太陽嵐によって地球上の電信施設が損傷を受けることがしばしば起きてきた。

しかし、今年はこれまで、観測される黒点は概ね50~100ぐらいにとどまっており、ここ200年で最も少ないと言われている。

 また、NASAは今年8月5日、「黒点は少ないが、3~4カ月以内に極域磁場転換が起きるだろう」と予測したが、3カ月半が過ぎた今でも、明瞭な兆しは現れていない。

2006年9月に打ち上げられた日本の太陽観測衛星「ひので」が集めたデータによると、太陽の北極はすでに昨年から磁場がS極(マイナス磁場)からN極(プラス磁場)に替わっているが、南極は依然としてN極のままの状態が続いている。

その一方で低緯度地帯(赤道近辺)にS極が現れ、観測史上例がない「太陽の磁極の4極化」という異常現象さえ起きている。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターで太陽磁場周期について研究するアンドレス・ハラミージョ氏は「生存している科学者で、これほど弱い太陽周期(活動)を目にしたことがある人はいない」と指摘する。

17世紀に類似現象

 かつて、今年と似た現象は17世紀にも起きている。その時は約70年間にわたって黒点がほとんど出現せず、地球は寒冷化した。記録によれば、当時、ロンドンのテムズ川では冬にスケートが楽しめたといい、日本でも京都のサクラの開花が極端に遅れていたことが文献によって分かっている。

 では、今後、地球は寒冷化に向かうのだろうか。太陽活動の低調化による波及効果は温室効果ガス排出量増加による温暖化現象を打ち消すには至らないとう見方がある一方で、「地球は間違いなく寒冷化に転じる」(大気海洋地球物理学者の中村元隆氏)と断言する専門家も決して少なくない。

2013年12月 3日 (火)

もっとも有望なロシアからの天然ガスの行方

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天然ガスは、液化する手間とコストがいらず、搬送にも有利であるのですが、産出国とパイプラインがないと供給してもらえません

世界最大の産出国はダントツでロシアで、海を隔ててシベリアやサハリンという大産地がありますが、海底パイプラインという難点があります。

そして何より今までロシア(旧ソ連)とのパイプライン敷設が遅れていたのは、政治的問題です。

はっきり言って、近現代史の中でロシアは一貫してわが国の脅威でした。

そして悪いことには、ロシアはエネルギーを外交戦略に使うことで有名なのだから困ったものです。

不用意に依存度が高くなるといったん政治的にもめると、「じゃあ、パイプラインのコック締めるからね」と言う国なのです。

現に2009年1月、ロシアは領土紛争が起きたウクライナ相手にパイプライン閉鎖をやっていますので油断なりません。

この時は、ウクライナ経由で貰っていた先のヨーロッパ諸国まで止まったために大騒ぎになりました。

「紛争は長期にわたり、供給が完全に止まった国は東・南欧7ヵ国、供給減少を含め被害を受けた国は計17ヵ国と、過去に例を見ない大騒動に発展した。」(週刊ダイヤモンド09年1月26日)http://diamond.jp/articles/-/5825

こんなこともあって、東欧圏などは、エネルギーをロシアに依存するのがイヤだからあえて原発を選択するという国も多いのです。

しかし近年、プーチン大統領は欧州市場の手詰まりと、米国のシェールガス革命を受けてアジアへの原油輸出を拡大する大号令をかけました。(資料4参照)

足元を見たドイツは真っ先にロシアをねぎり倒しました。あの国もやりますなぁ。

日本にも積極的売り込みをかけており、かつての冷戦期と違い政治的にも国防・外務の2+2会談が開かれるなど良好な二国間関係に向っていますから、あんがい新展開もありえるかもしれない情勢です。

その場合、サハリンからは直接に北海道北部へ東シベリアからは新潟に海底パイプラインを敷設することが想定されています。(下図 資源エネルギー庁)

Photo_4

現在、ロシア産原油・天然ガスは中国・韓国との競合関係にあります。下図をみれば、残念ながら、ロシアの天然ガスパイプラインは西へ西へとしか向いていないのがわかりますね。

「化学業界の話題」(12年12月27日)によれば(上図同じ 欄外資料2参照)、このような状況のようです。

・東シベリア産の原油を極東に輸送する東シベリア太平洋石油パイプライン(ESPO)全長4740キロメートルの施設が完成した。これの主要供給先は中国である。

・中国は2009年2月、ロシアとの間で政府間協定を結んだ。中国開発銀行はロシア国営石油会社 Rosneft に150億ドル融資し、見返りにRosneft は2011年から20年間、毎年15百万トンの原油の供給を行い、東シベリア太平洋パイプラインを中国に延長する。

・CNPC(中国石油天然気集団※参照)、ロシアからの原油用に遼陽市の製油所を拡大。

一方わが国は、JOGMEC (独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が2010年10月、ロシアのイルクーツク石油と共同でセベロ・モジンスキー鉱区で可採埋蔵量が1億1000万バレルと想定される大規模油田の試掘に成功したと発表しました。
(欄外資料3参照)

これを読む限りわが国も一角に食い込もうと苦労しているのですが、中国に周回で負けています。

古澤襄元共同通信記者によれば、その遠因のひとつに田中角栄氏の勘違いがあると言われています。

病的親中派だった角栄さんは、中国に入れ込むあまり、「ロシア原油は硫黄分が多くて使い物にならない。これからは低硫黄で品質が高い中国原油の時代だ」という情報を流しました。

それを当時の自民党最大派閥の田中派が、多くの新聞やテレビに耳打ちし、日本での定説になってしまったそうです。

もちろんこれは田中氏が中国側要人から言われたことをおうむ返ししただけのことて、いっさいの科学的根拠はなく、実際にソ連崩壊後にシベリアのタイシェットなどの鉱区を米国石油企業が調査したところ良質な低硫黄品質だったそうです。

なんのことはない角栄派閥が流したこのロシア油田の風評は、大慶油田を日本に売り込みもうとした中国の謀略にまんまと引っかかっただけというのが真相のようです。

この角栄氏のミスリードのためにわが国は十数年にわたって、ロシア産原油・天然ガス取引が遅れてしまったそうです。

それはさておき、北方四島問題を、天然ガス油田などのシベリア開発と外交パッケーシで解決できれば、わが国にとっても意味がある話です。

佐藤優氏によれば、ロシア外交は、ひとつひとつの案件を個別に交渉するより、ドンっとまとめて一括交渉するほうが有利だとのことです。

つまり、北方四島などは、言ってはナンですが、もう何十年も交渉しても進展がないわけです。

少し進んだと思うと、ロシアや日本の政権が替わっただけでふん詰まるということを何度も続けてきました。

ならば、珍しくもロシア側から秋波を送り、日本も政権が安定している今が懸案解決の潮目ではないかというわけです。

この時に北方四島一括返還という原則ばかり言っていてもしかたがないので、領有権だけはキッチリ全島にあることを認めさせた上で二分割で施政権返還をしてもらうほうがいいのではないかというのが佐藤氏の意見のようです。

そして天然ガス開発や、パイプライン事業については、シベリア開発とパッケージで協力していくという考えです。

特に、今後おそらくは5年以上かけても、原発は3.11前の半数の稼働が精一杯だと思われます。

だとするなら、その間いかに代替エネルギーを確保するのか具体的に回答を与える必要があります。

おそらく政府は、ロシアの天然ガスパイプライン計画を真剣に検討していると思われます。

中国石油天然気集団公司
中華人民共和国の国有企業であり、原油天然ガスの生産と供給、および石油化学工業製品の生産・販売において中国最大の規模を誇る会社である。新セブンシスターズの一社でもある。(Wikipedia)

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■資料1 東シベリア原油パイプラインが全線で開通
日経新聞 12年12月25日
 

【モスクワ=金子夏樹】ロシアは日本などアジア・太平洋諸国への原油輸出を拡大する。25日、東シベリア太平洋石油パイプライン(ESPO)が極東ナホトカ近郊までの全線で稼働した。年間の輸送能力は従来の鉄道輸送に比べ2倍の3000万トンとなる。アジアでの需要拡大をにらみ、中期的に5000万トンまで増やす計画だ。 

 プーチン大統領は25日「ロシア極東のインフラが持つ可能性を飛躍的に高める」と語り、アジアへの原油輸出を拡大する方針を強調した。

 東シベリア産の原油を極東に輸送するESPOは全長4740キロメートル。東シベリアのタイシェトと中間地点のスコボロジノをつなぐ区間が2009年末に稼働し、原油輸送を開始。このほどスコボロジノとコズミノ港を結ぶ第2期工事が完了し、25日に稼働した。 

輸出ターミナルとなるナホトカ近郊のコズミノ港では、タンカーへの原油積み替え設備などを備えた埠頭を整備した。 

 東シベリア産原油は低硫黄で品質が高く、アジアや米国で需要が高まっている。コズミノ港からの今年の輸出量は、輸出能力最大の1600万トンに達する見通し。輸出先では日本がシェア首位の3割を占め、中国などが続く。日本の輸入量は東日本大震災で減少した昨年から一転、昨年比5割増の450万トンを上回る可能性が高い。 

 日本の原油輸入の中東依存率は約8割と依然として高く、調達先の多様化が急務となっている。ロシアからの輸入比率は約7%にとどまり、拡大の余地がある。 

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は6月、東シベリアの油田をロシア国営石油大手ガスプロムネフチと共同開発することで合意した。10年代後半からの生産を見込み、ESPO経由で原油を日本に輸出する検討を進める。 

 債務危機などで欧州向けの資源輸出は減少しており、ロシアは輸出先としてアジアを重視している。ロシアは9月、極東ウラジオストクでアジア太平洋経済協力会議(APEC)を開催し、アジアシフトの姿勢を鮮明にした。コズミノ港から3000万トンの輸出が始まれば、ロシア全体の輸出量の約1割を占める。

■資料2 「化学業界の話題」(12年12月27日)
http://blog.knak.jp/2012/12/post-1185.html

東シベリア産の原油を極東に輸送する東シベリア太平洋石油パイプライン(ESPO)は全長4740キロメートル。

東シベリアのタイシェトと中間地点のスコヴォロディノをつなぐ区間が先に完成したが、ここから中国の大慶を結ぶパイプラインが2009年末に完成し、2011年1月1日から、同パイプラインを通して年間1500万トンの原油がロシアから中国に供給されている。

中国は2009年2月、ロシアとの間で政府間協定を結んだ。

中国開発銀行がロシア国営石油会社 Rosneft に150億ドル、東シベリア太平洋パイプラインを運営するTransneftに100億ドルを低利で融資する見返りに、Rosneft は2011年から20年間、毎年15百万トンの原油の供給を行い、Transneftはパイプラインを中国に延長する。

CNPCは2009年7月、ロシアからの原油処理のため、遼陽市の製油所の拡大(11%) を開始したと発表した。2009/7/22  CNPC、ロシアからの原油用に遼陽市の製油所を拡大

独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は2010年10月、ロシアのイルクーツク石油と共同で探鉱調査を行っているイルクーツク州北部のセベロ・モグジンスキー(Severo-Mogdinsky) 鉱区で可採埋蔵量が1億1000万バレルと想定される大規模油田の試掘に成功したと発表した。

■資料3 「化学業界の話題」(2010年10月25日)
石油天然ガス・金属鉱物資源機構、東シベリアで大規模油田を確認

JOGMECは2012年6月、東シベリアの油田を、ガスプロム・ネフチと共同開発すると発表した。イルクーツク州北部に位置するイグニャリンスキー鉱区で、埋蔵量1億バレル級の中規模油田。2013年末までに地質調査や試掘などを行い、2010年代後半から日量数万バレルの生産を見込んでいる。将来的に日本企業が49%の権益を獲得する。

同油田から採掘した原油は、東シベリア太平洋石油パイプラインでコズミノまで運び、日本に輸送する。

■資料4 ロシア下院、LNG輸出自由化法案を承認
ロイター 2013年 11月 16日

[モスクワ 15日 ロイター] - ロシア下院は15日、液化天然ガス(LNG)輸出自由化法案を賛成多数で承認した。同案は今後、速やかに議会を通過する見通し、プーチン大統領の署名を経て、来年1月にも成立する可能性がある。

法案が成立すれば、これまでLNG輸出を独占したきた政府系のガスプロム だけでなく、独立系のノバテク や国営ロスネフチ にもLNG輸出が認められる。ただしタンカーで輸送される過冷却LNGが対象となる。

米国ではシェールガス生産の拡大で天然ガス価格が下落しており、ロシアの天然ガス会社はより高価格での販売が見込める日本などへの輸出拡大を目指している。

2013年12月 2日 (月)

いまだ放射能が怖いで止まっている「壁の中の住民」

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天然ガスの2回目の予定でしたが、少し違うことを書きます。

ひさしぶりにいっちゃったコメントをもらって改めて考えてしまいました。

ああ、まだこんな不自由な思考から離れられないでいる人かいるんだ、というなんともいえない気分です。 

放射能問題は、かなり前から養老孟司先生のいう「バカの壁」になりつつあるようです。 

流行語ともなったので、ご存じの方も多いと思いますが、「バカの壁」とは、自分の回りに「壁」を作った状態の人たちの思考状態を指します。

その「バカの壁」に囲われた人たちとは、まったくコミュニケーションができません 

同じ日本語でしゃべっているはずなのにダメなのです。 

彼らは同じような「壁」を作った人たちとだけのコミュニケーションしか存在せず、その内部だけでどんどん煮詰まっていくので、いっそう過激になっていくからです。 

もはや 一種のカルトといっていいのかもしれません。 

たとえば、放射能の食品基準をめぐる議論ではひどかった。 

初めは食品基準値を300ベクレルでは高すぎる、半分以下にしろと叫んでいたこの人たちは、政府基準が100ベクレルになったとたん、いや5ベクレルでも危ない、もはやゼロベクレルしかない、という風にどんどんとエスカレートしていきました。

この声の大きな少数派のエスカレーションに合わせて、多くの量販や有機農業流通、生協までもが、国の基準を無視して50ベクレル以下に独自基準を設定したために、二重規範状態となってたいへんな混乱を引き起こしました。 

ただでさえ史上空前の風評被害で苦しむ農漁業者の傷口に塩をなすり込むことになったからです。私事ですか、わが農場はこの打撃からいまだ経営的には立ち直っていません。

とどのつまりはゼロべクレルですよ。おいおい、自然放射線量も無視かいと思いました。 

ちなみに彼らは自然放射線は安全で、人工放射線だけが危険だそうです。はいはい。 

そしてなにかというと、福島とチェルノブイリを較べたがります

佐藤順一氏の作成した、チェルノブイリと福島事故の放射性物質拡散図を同一縮尺で比較した図をみれば、まったく拡散規模が違うのが一目瞭然です。(下図参照)

チェルノブイリと福島事故の同一縮尺上での放射性物質拡散図

また、セシウムと並んで注目されたストロンチウム90ですが文科省の発表があります。これをチェルノブイリ原発近辺と比較した図があります。(図 同)

この調査結果を見る限り、福島事故におけるストロンチウムの拡散は極めて限定的と評価できます。

最高濃度は双葉町付近の5700Bq/m2で、チェルノブイリの最低の数値である20000Bq/m2(20kBq/m2)の3分の1ていどです。

よくこの人たちは、「福島で白血病が沢山出ている」と吹聴していますが、その原因物質のストロンチウムの放出が微量な上に、このていどの拡散状況ではまったくありえません。

ストロンチウム90の福島とチェルノブイリの拡散分布図比較

さて最大の被爆地だったベラルーシでは、野菜などは3700bq/㎏から40bq/㎏まで実に13年かけて落としています。(下図参照) 

ベラルーシにおける食品規制値の推移(抜粋)
単位ベクレル/㎏

      86年     88年   92年   96年  99年

・野菜  3700    740    185   100     40
・牛肉  3700    2960   600   600     500 
・パン  -       370   370   100      60
・豚肉・鶏肉 7400  1850  185    185    40
・幼児食品  -     1850               37
 

かつて日本が事故直後が故に300bqだった時、彼らが持ち出して比較したのはベラルーシの事故から14年後の99年の数値40bqでした。 

まさにトリックであることがわかりますね。比較するなら、同時期で比較すべきです。 

このテのデタラメな比較はよくやっていて、「事故後のチェルノブイリの強制移住地域より福島のほうか酷い」などというデマも流していますが、これもチェルノブイリは5年後の数値です。

事故直後の福島の線量と、そうとうに減衰したチェルノブイリの5年後を較べること自体がナンセンスです。

セシウム134の半減期は2年なので、ちょうど日本ならば今の時期を境にして急激に線量は低下していくはずです。いまでもかなり低下しています。

そもそもベラルーシ政府は「強制移住区域」などは設けていません

1991年にベラルーシ最高評議会が決めたのは、「まだ放射能が残っている地域の住民で移住を希望する人がいれば、政府がお手伝いしますよ」ていどの内容で、「強制移住」などではありません。 

それはさておき、表を見ると、2年後のわが国と同じ88年には野菜など740bqで、わが国の100bqの7倍超です。 

いままで国家規模で被曝したのは旧ソ連(※被曝国はベラルーシ、ウクライナ)と日本ですから、わが国はむしろがんばって基準値を一気に引き下げたと評価されるべきでしょう。 

にもかかわらず、この人たちはこう言い放ちます。

「原発事故前まではゼロなのだから、5ベクレルだって5倍、いや無限倍に脅威が増大したのだ 

こういう脅威を、自分の頭の中でそれこそ「無限倍」に増幅してしまうような発想こそが典型的な「壁の中の住民」の考え方なのです。 

基準値をゼロベクレルというありえない地点に置いて、自分の白い手袋にピンホールくらいの染みがつくことも許せないのです。 

韓国さながらに「日本は放射能で住めない」と騒ぎ立て、歯茎から血が出れば放射能、頭痛がすればこれも放射能、生理不順だとセシウム、ファミレスで福島県産とあっただけで吐き出し、円形ハゲができてしまいます。 

単なる精神的ストレス症状にすぎません。一回放射能から離れて、のんびり自分を解放すれば直ぐに治ります。

とうとう彼らは、瓦礫処分反対運動などという人道に反する運動すら起こす始末です。 

度が過ぎたこの行き過ぎに多くの市民が眉をひそめていることに気がつこうとしません。

だから、どんどんと一般国民から遊離していき、それに過激派までがつけ込む有り様です。 

あるいは、「福島や東日本は危険です。すぐに逃げて下さい」という煽動に踊らされて避難する必要がない地域から「自主避難」し、遠く四国や沖縄まで逃げていき、生活がどんどん苦しくなったり、家庭崩壊する人が大勢出ました。

その上その人たちの一部は、静かにその地域に溶け込もうと努力するどころか、沖縄の子供たちに東北の雪をプレゼントする善意の運動にまで反対運動を起こすことまでやらかしました。

とうぜんのこととして、いっそう世間から孤立化するのですが、そうなると今度は被害者意識まで出てきて、それを指摘すると「上から目線」で見下していると思うようになります。 

そして哀れにも、この人たちを煽りに煽った教祖的存在の武田邦彦氏に、ちゃらと「危険はありません。このブログで2011年5月から言っているとおり、逃げなくても大丈夫です」(2013年1月13日)などと見捨てられる始末です。 

かつて沢山あった主婦の武田先生を囲む会のような人たちにはお気の毒ですが、彼のような詐欺師的人間や、彼を頻繁に登場させたマスコミを信じてしまったほうが悪かったのです。 

「壁の中の住民」は、自分たちが脱原発運動をしていると信じています。残念ながらまったく違います。 

脱原発政策はそのようなパニック的心理や、瓦礫問題に現れたような「東北は住めない。自分だけはキレイでいたい」というような差別的意識からは生まれないのです。 

むしろ、このような人たちが極端なことを言えば言うほど、一般市民は「こんな極端な人たちが脱原発を主張してるんだ」と離れていくばかりなのです。

正直に言って、この「壁の中の住民」にはどのような言葉をかけていいのかわかりませんが、早く一般の市民生活に戻られることがいちばん良い療法だろうと思います。

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