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特定秘密保護法案が通ったら、その「手柄」の半分は石破発言で浮かれていた連中のものだ

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私は大分前から新聞の政治欄を読まなくなりました。朝読んだりすると、げんなりして一日の労働意欲がなくなるからです。 

たまに気の迷いで読んでしまって、石破氏の発言をめぐっての政治騒動が起きていることを知っててきめんに気が滅入ってしまいました。

石破氏が国会などへのデモの大音量を、「テロと本質的には変わらない」と書いたことに対して、野党や朝日新聞が折からの特定秘密保護法案と絡めて激しい攻撃をしかけているようです。石破さんのその部分の文章は欄外資料1に載せておきます。 

朝日新聞などは、一政治家のブログ記事を1面でデカデカと報じていますし、反対派の集会はまるで石破糾弾一色だそうです。 

彼らに言わせると、「国民のデモすらテロ扱いにしているような政治家が通す特定秘密保護法案は、国民の知る権利を奪い、情報統制でものが言えない社会にする」そうです。 

今回ブログ界で騒いでいるのは、面白いことに原発ゼロ(急進派)や内部被曝を声高に主張する人たちと見事に重なっているのも微苦笑を誘います。 

あの人たちほんとうに声が大きいですからね。声が大きい人特有の、他人の話にはまったく聞く耳を持ちません。 

私はあの麻生副総理の「ナチスを学べ発言」騒動を思い出してしまいました。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-a988.html

麻生氏の発言は、上記の私のブログで発言要旨を書き起こしているので読んでいただければ分かるとおり、「憲法改正は慎重にしないとナチスの再来になる」という意味のことを、彼特有の逆説的警句で発言した言葉尻をとられました。 

むしろ麻生氏の発言は、憲法改正を急ぐ人たちに冷水を浴びせたもので、むしろ朝日新聞のような護憲派には喜ばれそうな内容だったにもかかわらず、徹底的なバッシングを受けました。 

真逆に「ナチス信奉者」のように報道された上に、気の毒にもあろうことか朝日新聞によって海外にまでご注進されて、国際的な批判すら浴びてしまう体たらくでした。 

今回も麻生「ナチスに学べ発言」と似た構造です。石破氏発言の当該部分の前後を抜き出してみましょう。 

左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。テロリストと本質においては変わらない 

さてこれを読んで、今回も中学校現代国語読解のテストをしてみましょう。 

[問い]上の文章を読んで、筆者はなんと言っているか。正しいと思うものを選べ。 

デモするような人間はみんなテロリストだ 

大音量で多くの人の付託を受けた国会審議を妨害するのは民主主義の正しいあり方ではない

はい、できましたか。①に丸をつけた人がいたら、朝日新聞には受かるかもしれませんが、中学校は卒業できません。 

ここで石破氏が言っているのは、言うまでもなく、②の大音量で国会や首相官邸、党本部の執務や会議に差し障るようなバカデカイ音を出すな、という社会常識の範疇の以上でも以下でもありません。 

ここで①だと思った人は、典型的な詭弁トリックにまどわされています。①は発言の一部分だけを前後の文脈から恣意的に切り取って、論点のすり替えをしています。 

この「言葉尻手法」は攻撃したい者を印象操作するだけで済みますから、特定秘密保護法全体をキチンと批判する労力は要りません。 

石破氏が、「本質的にテロリストと変わらない」と言ったという部分を文脈から抽出して、彼らの趣旨である「一般国民の言論統制」方向に無理やりねじ曲げているのです。 

この人たちは、おおむねこんなことを言っているようです。 

①「デモをする者はテロリストだと自民党幹事長が言った」
②「特定秘密法が通れば反対デモはテロリスト扱いにされる」
③「この法案はテロリスト取り締まりが目的だから反対デモも許されなくなる」
④「権力者の恣意で原発情報すら秘密にされ、漏らした一般人は逮捕される」
⑤「言論、報道の知る権利が奪われる情報統制法だ」
⑥「平成の治安維持法がやってくる」
 

と、まぁこんなかんじでしょうか。NHKニュースなどが流す映画監督やマスコミ人士の声明を聞いていると、まるで戦前のようなファシズムがやってきているみたいな気分にさせられます。

しかし、この声明を出した人たちは、ほんとうに特定秘密法案の条文を読んだのかしら? 

①と②が論理の飛躍だと言うのは先ほど書いた通りです。 

③などは条文のどこにも書いてありません。そもそも、この法案は軍事機密を保護する「特定秘密」が対象なのであって、④のような原発情報などは従来の経済産業省の機密指定で済んでしまう問題です。 

この法案の対象は以下です。
①防衛
②外交
特定有害活動の防止
④テロリズムの防止
 

反対のための反対ではなくまともに議論する気ならば、③の「特定有害活動の防止」にかかわる「措置」、「研究」、「計画」の意味を政府に糾すべきでしょう。 

この部分は、政治家や官僚の恣意でいくらでも膨らませられる危険性があります。権力が独裁的な意志を持った場合のリスクがあると考えるべきです。 

同じように、「特定秘密」が何なのか一般国民には分からないためにブラックボックス化する可能性があります。

この情報公開の時期も、5年ごとに延長可能で、30年後に内閣が承認すれば再延長ができるというのは、事実上情報公開が不可能なものも出ることになります。 

④の一般人は、法の対象外です。特定秘密保護法は、機密保持取り扱者が対象で、報道機関や一般人が含まれないことは第22条に明記されています。(※欄外資料2参照) 

一般人はおろか、マスコミ関係者は法の対象外なのです。これを「情報統制」とまで騒ぐのは被害妄想です。 

ただし、条文に「教唆」が入っているのが引っかかります。情報の漏洩の「教唆」を拡大解釈すれば、一般人まで引っかけることが可能なのかという危惧は確かに残ります。 

いままでの官庁や自衛隊法の機密指定と違うのは、秘密を知り得る政治家や出入り業者にまで法の対象になることです。 

この「教唆」や「出入りの業者」の明確な規定が欲しいところです。 

この法案の最大の問題は「曖昧」だということです。「特定秘密」の指定、範囲、開示などの一連の流れが、時の為政者や官僚の恣意で可能だとすると危険な運用をされる可能性が残ります。

たとえば、首相に菅元首相のような「首相権限は期限を切った独裁」というようなトンデモ人物が座った場合、この法律はたいへんな運用をされることがありえます。

法律は主人を選ばないのです。 だから将来恣意的運用がされそうな部分はとことん詰めておく必要があります 

このようにいろいろと野党やマスコミに突っ込んで欲しいところは多々あるのですが、石破発言で鬼の首をとったようになっている人たちにはまったく期待できません。 

こんな極端なことを言う人たちのおかげで、まともな議論が煮詰まらないまま審議終盤に来てしまいました。 

大音量のスピーカーほどにも不毛なことです。この法案が通ったら、その「手柄」の半分はこの大音量の連中のものです。 

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[おまけ]

神浦元彰氏という「軍事評論家」が、ラジオ(文化放送12月2日)で意味こんなことを言っていました。 

「デモには音量規制があって、警察はそれを越えないようにモニターしていているのだから、合法の範囲内なはずだ。」 

はい、間違っています。裏を取らないことで有名なこの人らしい勘違いです。 

確かに神浦氏がいうように、右翼の街宣車対策で成立させた「国会周辺静穏保持法」がというものは存在します。
※「国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律」

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S63/S63HO090.html

同法は確かに、警察官が大音響の拡声機を使用している者に対して拡声機の使用をやめるように命ずることができると規定しています。 

そして警察官の命令に違反した者は6か月以下の懲役又は20万円以下の罰金の刑事罰となるとも記されています。 

ただし、この静穏保持法が適用される要件は、第三条にこうあるのです。 

第三条  

「 総務大臣は、衆議院議長又は参議院議長のいずれかの要請があつたときは、衆議院議員又は参議院議員が所属している政党の主たる事務所及びその周辺の地域のうち、第一条の目的に照らし静穏を保持することが必要であると認める地域を、期間を定めて、政党事務所周辺地域として指定するものとする。」 

一読してお分かりのように、「総務大臣は、衆議院議長又は参議院議長のいずれかの要請」が必要で、現在同法はこの要請がないために適用されていません

これは自民党が、特定秘密法案と絡んで「国民の言論やデモを規制した」と言われたくないために警察に対してあえて要請を控えているからです。 

たまたま反政府的皆さんが反対している特定秘密保護法案の時期だったから、言論弾圧ウンヌンという議論になりましたが、元々は静穏保持法ど取り締まり対象は右翼の街宣車だったのです。 

結局、いままで自民党は党本部や国会などを同法の適用範囲に「要請」したことはありませんでした。だからあいかわらず、会議も中断するほどうるさいのです。 

ですから、今回も石破さんはあっさりと、「あんまり大音量を出すと静穏法というものもありますよ」とだけ言えばよかったのです。 

しかし、同法を実際に使ってしまったのが、今、石破氏の首を取ろうとしている民主党です。 

民主党政権の2010年に右翼街宣車がうるさいとして民主党本部までを静穏保持法の適用範囲に指定したのは、時の総務大臣だった片山善博氏でした。 

そういえば、権力を取った民主党は、自民党以上に居丈高の権力者ヅラをしていたことを思い出してしまいました。

※資料1 石破茂氏ブログ11月29日 

「今も議員会館の外では「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。
 主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない本来あるべき民主主義の手法とは異なるように *1  思います。」
 

※資料2 特定秘密保護法第二十二条 
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18505009.htm
特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。 

2 第四条第三項後段、第九条又は第十条の規定により提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者がこれを漏らしたときは、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処する。同条第一項第一号ロに規定する場合において提示された特定秘密について、当該特定秘密の提示を受けた者がこれを漏らしたときも、同様とする。 

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コメント

菅直人元総理など、自分がやりたかったことが実現される…と、本来喜んで然りなのでは?と。
実際にあんなのがまた首相にでもなったら、それこそ悪夢ですが。
それこそナチス(国家社会主義)への入り口になりかねませんよ。
ちなみに8月の麻生発言記事でもありましたが、欧米で「ナチ」という表現は日本人には理解出来ないほど強く忌み嫌われる言葉になっています。

マスコミも都合の良いトリミングをしてバカ騒ぎするのを、いい加減に卒業しないと…。自分の首を絞めるだけだって気付けと。
月曜日のテレビなんか一日中トップで石破批判一色でした。


まさか、軍事評論家(笑)の神浦センセが出てくるとは。
あの人はもうダメ。過去の人。軍事も法律も無知。軍事に関してはことごとく「逆神様の誤神託」として広く知られています。
神浦ツイッターでは「中国防空識別圏設定で戦争危機という話をテレビ局から依頼されたけど、さすがに断った」とのこと。
むしろ彼には「日中ついに開戦だ!」とでも吹いてもらったほうが、逆に安心だったんですが(笑)
テレビ局も何考えてるんだか…。

投稿: 山形 | 2013年12月 5日 (木) 06時55分

山形さん。神浦さんは記事の趣旨と関係ありませんよ。(苦笑)

投稿: 管理人 | 2013年12月 5日 (木) 17時49分

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