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2013年12月 2日 (月)

いまだ放射能が怖いで止まっている「壁の中の住民」

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天然ガスの2回目の予定でしたが、少し違うことを書きます。

ひさしぶりにいっちゃったコメントをもらって改めて考えてしまいました。

ああ、まだこんな不自由な思考から離れられないでいる人かいるんだ、というなんともいえない気分です。 

放射能問題は、かなり前から養老孟司先生のいう「バカの壁」になりつつあるようです。 

流行語ともなったので、ご存じの方も多いと思いますが、「バカの壁」とは、自分の回りに「壁」を作った状態の人たちの思考状態を指します。

その「バカの壁」に囲われた人たちとは、まったくコミュニケーションができません 

同じ日本語でしゃべっているはずなのにダメなのです。 

彼らは同じような「壁」を作った人たちとだけのコミュニケーションしか存在せず、その内部だけでどんどん煮詰まっていくので、いっそう過激になっていくからです。 

もはや 一種のカルトといっていいのかもしれません。 

たとえば、放射能の食品基準をめぐる議論ではひどかった。 

初めは食品基準値を300ベクレルでは高すぎる、半分以下にしろと叫んでいたこの人たちは、政府基準が100ベクレルになったとたん、いや5ベクレルでも危ない、もはやゼロベクレルしかない、という風にどんどんとエスカレートしていきました。

この声の大きな少数派のエスカレーションに合わせて、多くの量販や有機農業流通、生協までもが、国の基準を無視して50ベクレル以下に独自基準を設定したために、二重規範状態となってたいへんな混乱を引き起こしました。 

ただでさえ史上空前の風評被害で苦しむ農漁業者の傷口に塩をなすり込むことになったからです。私事ですか、わが農場はこの打撃からいまだ経営的には立ち直っていません。

とどのつまりはゼロべクレルですよ。おいおい、自然放射線量も無視かいと思いました。 

ちなみに彼らは自然放射線は安全で、人工放射線だけが危険だそうです。はいはい。 

そしてなにかというと、福島とチェルノブイリを較べたがります

佐藤順一氏の作成した、チェルノブイリと福島事故の放射性物質拡散図を同一縮尺で比較した図をみれば、まったく拡散規模が違うのが一目瞭然です。(下図参照)

チェルノブイリと福島事故の同一縮尺上での放射性物質拡散図

また、セシウムと並んで注目されたストロンチウム90ですが文科省の発表があります。これをチェルノブイリ原発近辺と比較した図があります。(図 同)

この調査結果を見る限り、福島事故におけるストロンチウムの拡散は極めて限定的と評価できます。

最高濃度は双葉町付近の5700Bq/m2で、チェルノブイリの最低の数値である20000Bq/m2(20kBq/m2)の3分の1ていどです。

よくこの人たちは、「福島で白血病が沢山出ている」と吹聴していますが、その原因物質のストロンチウムの放出が微量な上に、このていどの拡散状況ではまったくありえません。

ストロンチウム90の福島とチェルノブイリの拡散分布図比較

さて最大の被爆地だったベラルーシでは、野菜などは3700bq/㎏から40bq/㎏まで実に13年かけて落としています。(下図参照) 

ベラルーシにおける食品規制値の推移(抜粋)
単位ベクレル/㎏

      86年     88年   92年   96年  99年

・野菜  3700    740    185   100     40
・牛肉  3700    2960   600   600     500 
・パン  -       370   370   100      60
・豚肉・鶏肉 7400  1850  185    185    40
・幼児食品  -     1850               37
 

かつて日本が事故直後が故に300bqだった時、彼らが持ち出して比較したのはベラルーシの事故から14年後の99年の数値40bqでした。 

まさにトリックであることがわかりますね。比較するなら、同時期で比較すべきです。 

このテのデタラメな比較はよくやっていて、「事故後のチェルノブイリの強制移住地域より福島のほうか酷い」などというデマも流していますが、これもチェルノブイリは5年後の数値です。

事故直後の福島の線量と、そうとうに減衰したチェルノブイリの5年後を較べること自体がナンセンスです。

セシウム134の半減期は2年なので、ちょうど日本ならば今の時期を境にして急激に線量は低下していくはずです。いまでもかなり低下しています。

そもそもベラルーシ政府は「強制移住区域」などは設けていません

1991年にベラルーシ最高評議会が決めたのは、「まだ放射能が残っている地域の住民で移住を希望する人がいれば、政府がお手伝いしますよ」ていどの内容で、「強制移住」などではありません。 

それはさておき、表を見ると、2年後のわが国と同じ88年には野菜など740bqで、わが国の100bqの7倍超です。 

いままで国家規模で被曝したのは旧ソ連(※被曝国はベラルーシ、ウクライナ)と日本ですから、わが国はむしろがんばって基準値を一気に引き下げたと評価されるべきでしょう。 

にもかかわらず、この人たちはこう言い放ちます。

「原発事故前まではゼロなのだから、5ベクレルだって5倍、いや無限倍に脅威が増大したのだ 

こういう脅威を、自分の頭の中でそれこそ「無限倍」に増幅してしまうような発想こそが典型的な「壁の中の住民」の考え方なのです。 

基準値をゼロベクレルというありえない地点に置いて、自分の白い手袋にピンホールくらいの染みがつくことも許せないのです。 

韓国さながらに「日本は放射能で住めない」と騒ぎ立て、歯茎から血が出れば放射能、頭痛がすればこれも放射能、生理不順だとセシウム、ファミレスで福島県産とあっただけで吐き出し、円形ハゲができてしまいます。 

単なる精神的ストレス症状にすぎません。一回放射能から離れて、のんびり自分を解放すれば直ぐに治ります。

とうとう彼らは、瓦礫処分反対運動などという人道に反する運動すら起こす始末です。 

度が過ぎたこの行き過ぎに多くの市民が眉をひそめていることに気がつこうとしません。

だから、どんどんと一般国民から遊離していき、それに過激派までがつけ込む有り様です。 

あるいは、「福島や東日本は危険です。すぐに逃げて下さい」という煽動に踊らされて避難する必要がない地域から「自主避難」し、遠く四国や沖縄まで逃げていき、生活がどんどん苦しくなったり、家庭崩壊する人が大勢出ました。

その上その人たちの一部は、静かにその地域に溶け込もうと努力するどころか、沖縄の子供たちに東北の雪をプレゼントする善意の運動にまで反対運動を起こすことまでやらかしました。

とうぜんのこととして、いっそう世間から孤立化するのですが、そうなると今度は被害者意識まで出てきて、それを指摘すると「上から目線」で見下していると思うようになります。 

そして哀れにも、この人たちを煽りに煽った教祖的存在の武田邦彦氏に、ちゃらと「危険はありません。このブログで2011年5月から言っているとおり、逃げなくても大丈夫です」(2013年1月13日)などと見捨てられる始末です。 

かつて沢山あった主婦の武田先生を囲む会のような人たちにはお気の毒ですが、彼のような詐欺師的人間や、彼を頻繁に登場させたマスコミを信じてしまったほうが悪かったのです。 

「壁の中の住民」は、自分たちが脱原発運動をしていると信じています。残念ながらまったく違います。 

脱原発政策はそのようなパニック的心理や、瓦礫問題に現れたような「東北は住めない。自分だけはキレイでいたい」というような差別的意識からは生まれないのです。 

むしろ、このような人たちが極端なことを言えば言うほど、一般市民は「こんな極端な人たちが脱原発を主張してるんだ」と離れていくばかりなのです。

正直に言って、この「壁の中の住民」にはどのような言葉をかけていいのかわかりませんが、早く一般の市民生活に戻られることがいちばん良い療法だろうと思います。

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コメント

2年前に、とにかく「武田邦彦先生が…」と万能の神の言葉のごとく書き込んでいた諸兄のご意見を、是非とも今聞いてみたいものですね。

武田氏ブログではともかく、テレビでは昨年夏までは危険を煽っていたのが、印税がたっぷり入ったら突然プッツリです。

それでも「ホンマでっかTV」なんかで、全く畑違いな脳科学や恋愛やらについて相変わらずノーテンキなことを垂れ流してますね。

信者さんたち、御愁傷様です!

ほとんど賛成ですが、1つだけ。
セシウム134の半減期は2年ですから、線量が減少するのは今までが大きくてこれからの減少は時間がたつほどに緩やかになっていくのではないですか?

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