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ニューズ・ウィークにまで「妄想報道の罪」と評された日本のマスメディア

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一連の特定秘密保護法騒動を、ニューズ・ウィーク最新版(12月24日号 上写真)はこのように評しています。

秘密特定保護法をめぐる批判キャンペーンの陰で、ほんとうに重要な課題は議論されずじまいだった。

私が先だっての記事で、「極端なことを言う人たちのおかげで、まともな議論が煮詰まらないまま審議終盤に来てしまいました」と書いたのと同じ見方です。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-0d25.html

一番煽りがひどかったのは朝日新聞です。中学校時代からこの新聞を読んでいた私には、うちがいつから「しんぶん赤旗」に講読替えをしたのか、首をひねったほどです。 

自民党全否定が存在理由である共産党なら当然の姿勢ですが、とりあえず公正中立が建前のマスメディアがこれでは困ります。 

ニューズ・ウィークは記事の冒頭で朝日新聞(12月6日)の典型的な例を紹介しています。 

「防衛産業で働くB男がA子と大学の同窓会で再会した。酔ったB男は『あまり知られていない話だけど』といって、数年前に北朝鮮が発射したミサイルが途中で失速して海に落ちたが、『もし失速していなかったらこの辺に落ちていたかも』という情報を暴露。
A子がブログで書き込み、ある防衛マニアかミサイルの飛ぶコースを推測してネットで拡散した。
翌月、捜査機関が二人を訪ねて来た。B男は業務で知った秘密を漏らした疑い、A子は漏洩をそそのかした疑いだった。」
 

朝日新聞はどうやら、この法案の問題点として、「どの情報が特定秘密かは行政機関の長と秘密を取り扱う担当者しか分からない。一般市民が意図せずに知ってしまうケースも考えられる」ということを批判したかったようです。 

しかし、それをこの記事のイラストには「有罪!」の字が踊ります。 

本文には「逮捕される」も、ましてや「有罪」もありません。ただ「捜査機関が訪れた」と記してあるだけです。

記事本体は政府与党側から、「こんなことは法案にはない」と批判されないために微妙な「捜査機関が訪れた」という曖昧な表現で寸止めし、イラストで「有罪!」と煽るという狡猾な印象誘導です。 

こんな書き方がメディアに許されるのならなんでも書けます。 

たとえば冗談ですが、朝日新聞の半世紀来の親中的記事を羅列し、結論部分に「現在人民日報日本支社は朝日新聞東京本社内にある」としたところで寸止めし、イラストで「やっぱりスパイ!」と描けばいいのです。 

おいおい、それは飛躍だろうですが、今、朝日か好んで使う手法はそれと一緒です。 

この記事は反対運動の大きな宣伝材料として瞬時に流布し、共産党系市民団体などのチラシにも内容を少し替えて使い回されました。 

とうとう文化人団体までもが、「言論統制を許さない」と声明を出す始末です。

朝日新聞には連日のように、「芝居が自由にできなくなる」「特高警察が上演中止を言う世の中に戻る」という文化人の声が載りました。http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312230263.html

「芝居が自由にできなくなる」ですって・・・。唖然となります。

はっきり言って、そんなことは妄想です。 法律にはそんなことは一言半句も書かれていません。この人たちは法律の条文を一行でも読んだのでしょうか。

このような熱に浮かされたような動きの発信源は、朝日新聞を先頭とするマスメディアにあります。 

もちろん朝日新聞はニューズ・ウィークが指摘するように、この法案が「スパイ目的や不正目的ではなく、さらに脅しなどの違法行為を行わず特定秘密を知った一般市民が罪に問われることがない」ことを知っています。 

知らなかったら、あの記事で「有罪」という結論部分まで書いているはずですし、知っていたからこそ本文では書かず、イラストに「語らせた」のです。 

それは、この法律が官僚と取り扱い業者が対象で、一般人は法の対象外だからです。この部分は法案の核心だけに、朝日新聞が知らないはずがありません。

特定秘密保護法は、機密保持取り扱者が対象で、報道機関や一般人が含まれないことは第22条に明記されています。 

そこで私は12月5日の記事でこう書きました。 

「ただし、条文に「教唆」が入っているのが引っかかります。情報の漏洩の「教唆」を拡大解釈すれば、一般人まで引っかけることが可能なのかという危惧は確かに残ります。
いままでの官庁や自衛隊法の機密指定と違うのは、秘密を知り得る政治家や出入り業者にまで法の対象になることです。
この「教唆」や「出入りの業者」の明確な規定が欲しいところです。」
 

私がこの法案を議論する時に必要だと思ったのは、問題点を「煽る」ことではなく、「絞り込む」ことでした。 

ニューズ・ウィークは、日本のマスメディアが「特定」という法的意味をまったく報道しないと報じています。 

たとえば、東京新聞が社説で、「7項目の例外が設けられていて、『政令で定める重要な情報』という曖昧な言葉が挿入されている。これでは半永久的に国民から重要情報が遮断されてしまう」と述べたことを、こう評しています。 

「これだけ読むと確かに法律が悪用されかねない抜け穴があるように思える。しかしこの社説は条文の肝心な部分をなぜか伝えていない。」(同号) 

私も指摘しましたが、特定秘密法には対象が同法4条に定めてあります。

・武器、弾薬、航空機その他防衛の用に供するもの
・外国政府、国際機関との交渉
・情報収集活動の手法・能力
・人的情報源
・暗号
・外国政府・国際機関から、60年を越えて提供された情報
 

これらはニュースウィーク誌がいうように、「いずれもまともな安全保障感覚を持つ国であれば決して公にしない情報だろう。」

そのとおりで、特定秘密保護法に類似する法律は欧米主要国はすべてもっています

わが国のみが持たなかったために、主要国との情報交換の阻害要因になっていました。

これらは法の別表にあるように細かく定義されています。それを見て議論するならともかく、文化人団体のような文化的表現まで国家が介入するような主張はナンセンス以外のなにものでもありません。

ニューズ・ウィークは、対テロ戦争でいくつもの人権侵害や情報機関の暴走を招いた米国の経験を踏まえてこのように書いています。

9・.11以降、米国では対テロ戦争の名の下に国民のプライバシーや人権を犯しかねない法律や制度がいくつもできた

この法案が日本で提出された10月下旬に、メルケル首相の携帯の盗聴がなされていたことが発覚し、国際問題にまで発展しました。 

このような情報機関の「暴走」をどのように歯止めするのかという議論が、日本にあっても当然でした。 

しかし一方で、スノーデン容疑者の行為を正当化できるのか、そのように情報機関や軍事情報が漏れることが国民にとって良いことなのか、という議論も一方で必要だったはずです。

つまり、特定秘密保護法による「知る権利」の抑圧と、スノーデン事件のような「知る権利」の側の暴走をどうバランスするのかという議論が必要ではなかったのでしょうか。

この微妙な兼ね合いを国民が知り、議論することが大きな権力暴走の抑止につながるからです。 

私はこの部分の突っ込んだ議論が欲しかったと思っています。 

この時に前提となるのは、日本が米国のような昔から秘密保護法をもった上に、強大なCIAやNSA(米国国家安全保障局)のような情報機関を持つ米国ではないことです。

むしろまともな情報機関ひとつなく、いままで自衛官の不注意による機密漏洩事件が頻発していたというわが国の遅れた実態です。

この秘密保護法は、この先進国とは思えない悲惨な実態を一般の国際水準にするだけの法律にすきません

たとえば、07年には自衛官がイージス・システム情報を気軽に外付HDに入れて自宅に持ち帰っていたという事件が発覚しました。 

彼の妻が中国人であったので騒ぎは大きくなったわけですが、もし中国に漏れていたら日米同盟は即座に瓦解したでしょう。

この不祥事が起きた時も、なにが機密であるのか明確に区分されておらず、その手続きも杜撰な機密保持体制が問題視されました。

原因は、安全保障上の情報を包括的に管理 する法律が日本に存在しなかったためです。

防衛省の防衛機密は、各省の指定する官庁の機密指定と同格で、安全保障全般をカバーするものではないのです。

また、民主党政権時には、機密の範囲やその削除についての責任を明確にしておく法律が存在しなかったために非常に多くの重要情報が恣意的に消去されたり、隠ぺいされたりしました。

もっとも有名な事件は尖閣中国船衝突事件です。

先のニューズウィーク風に言うなら、「まともな知る権利感覚を持つ国であれば決して秘匿しない情報」である海保ビデオ映像を、権力の恣意で勝手気ままに「国家機密」に指定することも可能だったのです。

ちなみに当時朝日新聞はこう書いています。

仮に非公開の方針に批判的な捜査機関の何者かが流出させたのだとしたら、政府や国会の意思に反することであり、許されない」(朝日新聞22年11月6日)

呆れたことには、朝日新聞はこの事件の時には時の権力の側に立ち、国家が国民の知る権利を抑圧することが当然だと主張しているのです。

もし朝日新聞が知る権利こそが重要だというのならば、権力が自分に都合の悪い情報を「機密」指定した当時の民主党政権はいかなることになるのでしょうか。

この朝日新聞のような自分の支持する政権の情報隠匿にはベタベタに甘く、憎む政権ならば知る権利を徹底して振りかざすというダブルスタンダードが発生する余地がある今の情報管理規範こそが問題なのです。

このようなことは、恣意ではなく普段から法律で既定すべきことなのです。こここそがこの法律の議論のキモです。

いくら日本版NSCを作っても、こんな時の政府と官僚のその時の気分で重要情報が管理されているようなわが国に情報提供する外国はありません。

罰する法律がないために、政治家と官僚の気分と利害で外国からの情報が漏洩するからです。 

となると、わが国は緊張を増すばかりのアジア情勢の中で耳を塞がれたまま生きねばならないことになります。

ニューズ・ウィークは、「官僚のための、官僚による、官僚のための法」と批判した野党もありましたが、それはむしろも逆であると同誌はこう言います。 

守るべき秘密が明確に定義されれば、重要情報の秘匿性は高まる。実際これまでは、日本政府の情報管理では守るべきそうでない秘密の線引きが曖昧だった。」 

極秘情報、秘密情報は役人の手で勝手に決め、廃棄することができた」(衆議院議員・元文科省伊佐進一氏)

この法律は、野党の言い分とは逆に、官僚や為政者の恣意を規制できるという意味で前進でした。

「今回の法案はまったくの荒れ地を区画整理したようなもの」(同) というのが実態なのです。

いくつかの修正点が「場当たり的だった」(同誌)と批判した上で、こう結論づけています。 

ただ特定秘密保護法の『恐怖』ばかりを拡大解釈して大げさに伝え、本来すべき議論を喚起しなかったメディアの責任も重い。国際社会の現実を考えれば、国民の知る権利などの基本的人権を損なわない形で、いかに安全保障体制を強化するかという議論は不可欠だ。」 

極端なプロパガンダまがいの言説は、かえってものの本質を隠してしまいます。過激に叫べば国民がその方向に進むと思うのは、メディアの傲慢にすぎません。 

私達国民は、朝日新聞が言うように簡単に治安維持法の社会を再来させるほど愚民ではないはずです。 

この法律は、米国の9.11以降を見るまでもなく、一過性ではなく、今後も継続して議論し、監視し、そのつど修正をかけていく必要があります。そのためにも妄想や煽りは不要なのです。

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