カイロに積雪 北極海の氷、縮小鈍る
別な原稿を用意してありましたが、本日の産経新聞(12月25日)に、「長辻象平のソロモンの頭巾」として、一般紙で北極の海氷の拡大現象が掲載されましたので、転載いたします。
一般紙でこのようなことが掲載されるのは極めて稀です。
徐々に今までの地球温暖化危機一色から、寒冷化に向う実態を少しずつ報道されるようになったのは喜ばしいことです。
以下引用 (太字引用者)
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【長辻象平のソロモンの頭巾】
カイロに積雪 北極海の氷、縮小鈍る
産経新聞 2013.12.25
砂漠の広がるエジプトの首都カイロの近郊で雪が積もった。今月13日のことだ。
現地の情報によると、これだけの雪は、112年ぶりの現象らしい。ワールドニュースになって世界を驚かせた。インターネットでは子供たちが作った雪だるまや雪化粧をした町並みの風景などが紹介された。
数十年前にも降ったという話もあるが、生まれて初めて本物の雪に触れた砂漠の民も少なくないという。
中東一帯を襲った寒波が今回の雪の原因で、エルサレムなどでも積もった。
近年、減り続けていた北極海の氷が今年は増えている。(下写真産経新聞12月25日))
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の水循環変動観測衛星「しずく」による確認だ。
北極海の海氷面積は、昨年9月、1978年以降の衛星による観測史上最小値を記録していたので、今夏はさらに減るのではないかと危惧されていた。
意外にも、その面積がかなり増えたのだ。
JAXAの地球観測研究センターによると、季節推移に伴う今年の海氷面積の縮小・増大は変化に満ちていた。
3月の北極は低温傾向だったので海氷面積は回復し、2000年代の広さに戻っていた。
だが、6月下旬になると急速にとけ始めた。その減り方は昨年並みのペースに達したが、7月下旬になると減少の勢いが弱まった。
その結果、毎年最も面積が小さくなる9月下旬には、昨年の最小値を150万平方キロも上回る規模を確保したまま、秋の増大期に入り、目下、来年3月の最大期に向かっている。
今夏の北極の海氷面積は小さい方から数えて過去35年間で歴代6位。海氷面積は全体として右肩下がりで、この数年は一段と急減傾向にあっただけに、今夏の回復ぶりが目立つことになったのだ。
グリーンランドも今年は寒い。昨夏のグリーンランドは全域で氷床の表面がとけていたが、今夏は雪が積もってブリザードが吹き荒れている。
極域の白い雪氷は、太陽からの日射を鏡のように宇宙空間にはね返す。だから温暖化で海氷面積が小さくなると地球は温かくなり、その結果、海氷はもっと減って気温はさらに高くなるという相互作用を繰り返す。
この逆のケースで、今夏のように氷や雪の領域が増えると反射による宇宙への熱放出も増加して、事態は地球が冷える方向に回りだす。雪氷面積についてのポジティブフィードバック(※)がかかるわけだ。
「原理はそうなのですが、北極海では海氷の厚さが海氷面積以上に重要なのです」
「しずく」からの観測データの解析にあたる地球観測研究センター主任研究員の堀雅裕さんによると、5メートル前後の厚さがある多年氷の面積が、海氷全体の面積減少をはるかに上回る勢いで減っている。
多年氷が分布するのは、カナダ寄りの北極海で、近年は北極点でさえ、若い1年氷になっている。1年氷は厚くても1、2メートルしかないので、もろくてとけやすい。今年6月下旬、急速に海氷が縮小したのもそのためだ。
だから、寒さが続いて多年氷が増えない限り、フィードバックによる海氷面積の持続的増加は保証されにくい。
今年の北極域の低温傾向は、低気圧に覆われて曇りがちだったことによるという。
北極海の海氷減少には謎があるという。堀さんによると、数値気候モデルの予測以上に現実の海氷は減っているそうだ。
これまでのモデルでは、海氷が重視されなかったことの影響もあるようだが、「研究者の理解を超えて北極海の氷の減少は続いてきました。その理由を解明しなければ、今後の予測もできません」と堀さんは語る。
去年と今年は大きく状況が異なっている。その差が何によるものか。「変化が起きているときこそ、地球を理解するチャンスです」
※(引用者注)ポジティブフィードバック 何かの原因によって、ある変化が起こったときに、その変化をさらに強めるよう な作用が働くことを「正のフィードバック」といいます。
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