不機嫌な太陽その5 ツバルは沈んでいるのか?
地球温暖化説を唱えるIPCCは、北極やヒマラヤの氷河が溶けているだけではパンチに欠けると思ったのか、既に海水面上昇で南太平洋の島々が沈下して住めなくなっている、難民が沢山でるぞと叫びました。
この話は、やがてオランダは水没,東京も半分水没、バングラディシュ水没と、どんどんと尾ひれがついて膨らんでいきます。
その最初の人間の住む地域の水没の例としてIPCCが訴えたのが、「沈み行くツバル」でした。
いつの間にかツバルは、地球温暖化の悲劇のシンボルになっていたわけです。今でも環境省のHPには大きくツバルが乗っています。(※欄外に転載しました)
ほんとうに温暖化による海水面上昇によってツバルは沈んでいるのでしょうか?
結論から言いましょう。していません。上がったのは海面ではなく、逆にツバルが珊瑚礁の圧壊で沈んだのです。
まずは上図オーストラリア政府のSPSLCMP(South Pacific Sea Level and Climate Monitoring Project)のデーターをご覧頂きたいのですが、ツバルでは1mどころかわずか75㎜の海水面上昇しか計測されていません。
この記録は、ツバル近海のフナフチ環礁で1993年5月から2006年5月までの13年間の記録の累積の総計です。
つまり表の右から2番目のトレンド(傾向)の毎年の観測数値を13年間分足してみると75㎜となったというわけです。
1年間に75㎜だとすると、確かに危険な数字ですが、あくまでも13年間の総計です。1年にすると1㎝にも満たないわけです。
ですから、このデーターの見出しの書き方は、やや誤った印象を私たちに与えてしまいますので、ご注意のほどを。くどいですが13年間のトータルの数字です。
もうひとつグラフを出しましょう。オーストラリア気象庁の公表データかあります。これは1993年からツバルの首都フナフチを測ってきた16年間のデータです。(下図参照)
どう見ても横ばいです。これを見てどうしてツバル周辺海域で海水面上昇が発生したといえるのでしょうか。
3枚目にハワイ大学の観測記録を載せておきましょう。これも1977年から99年までの23年間の計測データですが、上昇は0.9㎜で1㎝にも満たない数値です。(下図参照)
科学の世界では、複数の公的機関が10年以上の長期で継続して計測したデータが、一致して同じ結論を出した場合にはそれを有意として扱います。
Tuvaluを英文で検索するといくつかの英文の論文にヒットしました。その中でサリー・バリューナス博士の「ツバルは沈んでいるのか?」という論文をご紹介します。
この論文はふたつに分けられ、前半でツバルの海水面のデーターを見ています。そして後半はその原因を考えています。博士は、ポセイドン観測衛星の記録から海水面は約10㎝落ちていると報告しています。
また1978年以来の潮位記録から、1997年~98年のエルニーニョ(4年に一回発生します)には約30㎝も潮位が落ちているそうです。
このようにエルニーニョは、太平洋を取りまく島々の海流や気圧に大きな影響を与えている最大のものです。
また博士は、オーストラリアの潮位観測の責任者であるウオルフガンシェーファーさんの意見も取り上げています。この中でシェファーさんは「海水面の上昇があるという観測データーはどこにもない」と断言しています。
どう考えても、13年間で最大58㎜、最小で0.9㎜ていどの海面上昇でひとつの島の沈下が引き起こされると 考えるほう無茶ではないでしょうか。
さて、この1㎝にも満たない海面上昇で、いかに海抜1mのツバルといえど果たして海に沈むでしょうか?考えるまでもなく、ありえません。
ツバル沈降の主要な原因は隆起珊瑚礁の浸食です。
これは私自身沖縄に住んでいましたので、実感で理解できます。沖縄の八重山の先島に行くと、同じ隆起珊瑚礁ですので、少しずつ削られていくのが目でみえる地点がいくつかあります。
これは別に隆起珊瑚礁のみならず、海岸淵の岩場に行ってみれば同じような浸食が見られます。年間70㎜ていどの浸食などザラでしょう。
ツバル沈降の原因について、大阪学院大学教授で、太平洋諸島地域研究所理事の小林泉先生は以下のように指摘しています。このミクロネシアを知悉した小林先生のご意見は、私にもしごく妥当かと思われます。
①日本より稠密な人口密度が、狭いツバルの、しかももろい隆起珊瑚礁を圧壊している。
②アメリカ型の生活スタイルの定着によりペットボトルなどのゴミの散乱など島の環境破壊が進んでいる。
③滑走路の水没は、かつての米軍のいいかげんな工事のためである。
また、この調査をしたSPSLCMPのプロジェクト・マネージャーのフョリップ・ハル氏は、このような海水面上昇は10年ではまだ短く、20年以上といった長期の観測が必要であると語っています。
また、原因として、エルニーニョなどの異常気象を挙げています。
2002年のオーストラリア政府の発表によると、1978年~2001年の期間に、ハワイ大学とAustralian National Tidal Facility (NTF)の共同研究では、データーの欠損を認めつつ、ツバルの首都フナフチ環礁での海面上昇は約1㎜程度であり、危惧する必要はないという意見を出しています。
沈下面積が増えるツバルの皆さんには大変に言いづらいことですが、公平に見て、島民の苦難とは別に、その原因は地球温暖化にはないと思わざるを得ません。
こんなばかなことが起きたのでしょうか。それについて海水面研究の世界的権威であるストックホルム大学メルネル教授はこう言っています。
「第3次、第4次IPCC報告書には海水面上昇の専門家がひとりもいなかった。報告書を書いたのは、現地の観測者ではなく、ただのコンピュータ計算屋があらかじめ決まった南太平洋諸島水没モデルにあわせてモデルを作っただけだ」
なんのことはない、IPCCがもったいぶって出した報告書で、ツバル現地で計測していた人間はおろか、海水面の研究者すらいなかったのです。
まったくひどい話です。このような現場で長年観測をしてきた科学者の知見を無視して、コンピュータのモデル計算だけで済ますという悪しき体質がIPCCの気象屋にはあるようです。
そのために、局地観測者や海洋観測者の中はIPCCに強い不信感を持っている人が多いようです。
たとえば、オーロラ観測の第一人者であるアラスカ大学赤祖父俊一教授、海水面研究の第一人者ストックホルム大学メルネル教授は共に、地球温暖化説の強い批判者です。
IPCCはほんとうにツバルで観測したのではなく、下の環境省HPの記述にもあるような世界の海水面上昇平均0.17mをツバルの標高から引いて騒いできたようです。
ちなみに次回にふれますが、この世界の海水面上昇説も眉唾ですから困ったものです。
IPCCのコンピュータ屋が描いた初めに結論ありきのデマゴギー、それがツバル水没危機の正体なのです。
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環境庁HP 「進行する地球温暖化」
http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h19/html/hj07010100.html
海面上昇
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ツバルに関しては、メディアも盛んに報じたり乗っかってましたね。
一方でNZが移民受け入れを制限したり。
何しろ環礁ですからねえ。何もしなくてもいずれ沈む運命なわけで。
本気で守るなら、景観(80年代にはジグソーパズルで流行りました)ガン無視で「沖ノ鳥島」ばりに護岸を固めるしかないと思いますよ。余計に重くなって沈むという指摘もありましたが。
あとは国際的合意。とくにツバルのような実際に人が住んでいる「国家」には配慮すべき。それこそオランダや日本にはゼロメートル地帯がたくさんあるのですから。
国際法で認められている島の定義なんか無視して「あれはただの岩だ!」とか、領海主張する海域では「島だ!」と平気でダブルスタンダードを並べ立てて海洋進出を謀る東アジアの某大国なんかもありますが…。ああいうのが一番困ります。
ツバルの皆様。震災の時のご支援は忘れません!
小さな国なのに、ツナ缶を目一杯送っていただきました。
投稿: 山形 | 2013年12月12日 (木) 07時17分