再エネは脱原発の切り札にはならない おまけ 細川候補のオカルト的発言
朝日新聞の仰せどおり脱原発の具体論を確認してみます。実はあまり具体論は豊かとは言えません。
脱原発運動の皆さんは、放射能情報は世界中から微に入り細穿って、ジャンク情報でもなんでもかんでも蒐集してくるのに、「ではどうする」という話にはいっかな興味をもってくれません。
いきなり余談ですが、ジャンク情報といえば 、細川候補がすごいことを言っています。
なんでも去年暮れに福島第1で核爆発が起きて、米国がヨウ素剤の配布を検討しているとか、ホッキョクグマが放射能で大量死しているとか。
ワァ~たいへんだぁ、核爆発だぁ!6680㎞もある北極でバタバタとホッキョクグマが死んでるんだ。
166㎞地点の私なんかすぐに逃げなきゃ!イヤ、すでに私は死んでいたのか?(爆笑)
いや確かに細川氏が言うとおり「すごい話」ですが、論評は差し控えます。いちおうマジに東電がコメント出しています。(欄外参照)
細川翁がこんな電波を感知して山奥から恥をかきに出てきたんだと思うと、そぞろ哀れを感じます。
この人はもう原発ウンヌンではなく、一般人としての判断ができなくなっているみたいです。
閑話休題。脱原発の具体論の話です。かつて飯田哲也氏が持ち込んだドイツ直輸入モデルのレールの上に乗ったきりで、少しも進歩していないのが実情です。
小泉さんは蓄電技術とか、電気自動車などと言っているようですが、それは作った電気を貯めるいわば「パーツ」であって、エネルギー代替案というのはその電気をいかなる方法で「作る」のか、ということです。
ほんとあの人、一般常識のレベルが足りない。
細川さんはオカルト、小泉さんはエネルギーのイロハを知らない。困った老害の人達です。
それはさておき、飯田氏の脱原発の処方箋は単なるドイツ直輸入品ですが、多くの脱原発団体がなんらかの影響を受けてしまって、いまや「脱原発憲法」の如しです。
①[原発再稼働阻止]・[再処理阻止]→
②[再生可能エネルギー拡大]・「FIT推進]→
③電力自由化[電力会社解体]・[発送電分離]
まず脱原発団体の主張の前提は「再稼働反対」ですから、原発を二度と動かさない、つまり即時原発ゼロということです。 小泉さん、細川さんも一緒なようです。
実はこの部分は本家ドイツより過激です。
よく勘違いされていますが、ドイツは脱原発政策で原発をゼロにしたわけではなく、定期検査で停止中の再稼働を認めなかっただけです。稼働している原発は8基もあります。
ドイツ電力需要の全体の17%はいまだ原子力に依存しており、再エネの22%といい勝負です。今、全原発を停止させたら、ドイツの電力供給は破綻すると言われています。
このように原発を停止すれば、ドイツにしても日本にしても火力発電に頼るしか方法はありませんでした。
ドイツの場合、国内産の低品位褐炭とロシアからの天然ガスが頼りでした。わが国は原油と天然ガスの輸入急増でどうにかしのいでいます。
さて、ここで小泉さんもはまった迷信が登場します。それは再エネ(再生可能エネルギー)をブワっと拡大すれば問題解決というものです。ところが、そんな簡単なことではありません。
再エネの急激な拡大は、昨日とり上げただけではなく、ドイツで大変な問題を引き起していました。
再エネのバックアップ電源が足りなくなってしまったのです。
え、再エネってバックアップ電源が必要だったのという、池上彰さんではありませんが、「そこからですか」という疑問を持つ人も多いでしょう。
わからなくて当然かもしれません。賢いはずのドイツ人ですら、中坊でも気づくことをころっと忘れていたのですから。
それは、太陽光は夜には発電しないし、曇りや雨となればただの箱。風力は風がなければただの巨大ウチワにすぎないということです。
そうなると、発電しなくなっている時は、一体だれが発電しているのでしょうか?はい、そのとおり。火力や水力、原子力などの既成の電源です。
なんのことはない、再エネは火力とペアでなんとかできる自立していない電源なのです。
(図 「容量市場は果たして機能するか?~米国PJMの経験から考える」電力改革研究会より)
上図はスペインのものですが、実際に再生可能エネルギーが拡大した場合、他の電源がどのような関係でそれをフォローするために増減をするのかがわかる貴重なものです。
現実に太陽光や風力が増えた場合、いかに瞬間、瞬間の電力需給をマッチングさせて停電させないために苦労しているのかが偲ばれます。
図左の赤い楕円部分に注目ください。夜間の電力需要が少ない時間帯に、あろうことか強風が吹いたとみえて風力(薄緑)が突然発電し始め、そのしわ寄せで慌てて火力(黄色)がただ1基のみまで停止しているのが分かると思います。
逆に、一番電気が欲しい夜6時から9時(図右端)には、今度は逆に風がやんでしまったとみえて、火力がフル稼働の27基全開で発電しています。
たとえば午前中は風がなくてゼンゼン発電してかったものが、午後晴れたらブンブン発電するようになるとすると、今度は電気が余ってしまいますね。
しかし気をつけよう、風車は急に止まらないのです。再生可能エネルギーは発電を抑制できないうえに、送電会社はFIT(全量固定価格買い入れ制度)により全量買電することを義務づけられているのです。
つまり再エネはFIT制度のおかげで、出来た電気を自由に売りたい時に、売りたいだけ売れるという大変な特権を持っているのです。
自然条件で発電したり、停止したりする掟破りの電源に合わせて、買い取り価格が半値以下の既成発電所は動いたり、止まったりしているのですから切ないもんです。
というわけで、ドイツの電力業界で再エネはすっかり鼻つまみ者になりました。
というか、ならばもう火力なんかは止めて、もっと条件のいい再生可能エネルギーに乗り換えようという動きが始まってしまったのです。
折から、ドイツは電力自由化による発送電分離をしていました。
そのため建設費用が莫大で、燃料代がかさむ火力にはまったく新規参入がありませんでした。
一方、建設コストが格安で、しかも全量高額買い取りの太陽光には新規参入が集中し、それが収まると今度は風力の方に行ってしまいました。
おまけに、市民は火力発電所を目の敵にして、「あんなに炭酸ガス出している。ああイヤダ。潰してしまえ」などと唾をかけるのですから、踏んだり蹴ったりです。
日頃、再エネがお世話になっているのに恩知らずなことですなぁ(涙)。
そうそう、ドイツ在住の川口マーンさんが書いていましたが、ドイツ人インテリは自国が褐炭でエネルギーで7割をまかなっていることをぜんぜん知らないでそうで、火力を前近代的と嫌っているそうです。
まぁというわけで、ドイツもそうですが、今の日本のように円安、原油高の相場で火力なんかを動かしているのがバカバカしくならないほうがおかしいですよね。
今は電気事業法で電力会社は需要を満たす発電を義務づけられているので発電義務を果たしていますが、電力自由化=発送電分離となれば話は別です。
電気事業法による地域独占や総括原価方式は、電力会社の健全な競争を奪っていくという弊害を招いたのは事実ですが、電力供給義務という鉄の掟のために世界でも有数の停電が少ない国であったことも事実です。
電力自由化ともなれば、電力会社は競争にさらされますが、電力供給の義務から開放されます。
となると、火力発電に対する投資インセンティブ(やる気)は、一気に冷え込んでいくでしょう。
皮肉にもその結果、再エネはバックアップ電源が不安定化するとことで、ただでさえ自立していないのにいっそう自立できなくなっていくでしょう。
再エネは、おそらく多くても2割前後ていどの依存率にしないと、他のエネルギー源へのしわ寄せが多すぎます。
というわけで、脱原発の具体策に再エネ拡大をもってくるのは大変危ない選択なのです。
危ない原発を止めて、炭酸ガス出す火力も止めて、クリーンでグリーンな自然エネルギーで8割エネルギー自給していこう、というのは、すいませんが夢にだけしておいて下さい。
。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚
[おまけ]
●デモクラTV(2014.1.22夜放送) スペシャルインタビュー 細川護熙さんに聞く-都知事になったら-
http://www.hatatomoko.org/democtv.htm
(細川)巻き込まれる話ですね。あれはもうジルコニウム火災がおこって、これは
今日、出た、今日出たというか、数日前に私は見たんですけども、あの、ロシアの国
(下村)何の資料ですか?
(細川)福島で、福島の、その、こないだ暮れに12月の31日だったかな、あの、爆発
(細川)だから、浜岡でもその刈羽でも東海第二でも、こっから100キロか200キロ
これはそのロシアの報告書にもですね
今、このことについて。で
あれは完全にメルトダウンを起こしているということを、いろいろ分析をしていて。
それでアメリカはヨウ素を15000袋だっかな、既に2月の始めに配るという
手筈を始めたということとかですね。
それから、いま北極海とかいろんなところでシロクマ、アザラシ、その他の生物の大量死が続出していると、
これはまさにその福島の影響であるということとか。
いろんなものが出てきているわけです。
これはまあ凄い話だと思いましたね。」
●電波発信源http://saigaijyouhou.com/blog-entry-1520.html
●東京電力プレスリリース
2014年1月10日
一部海外メディアにおいて、「福島第一原子力発電所3号機で湯気が発生し、放射性物質が放出されて危機的な状況にある」、「12月31日に福島第一原子力発電所の地下において核爆発が2回発生した」との報道がされておりますが、そのような事実はなく、プラントの状況に変化はありません。
報道の根拠として、「3号機オペレーティングフロアにおける湯気の発生」や、「地下水観測孔における高濃度放射性物質の検出」などが指摘されておりますが、各事象に対する当社の考え方は以下の通りです。
・「福島第一3号機オペレーティングフロアにおける湯気らしきものの発生」について
2013年7月より、3号機のオペレーティングフロアにおいて断続的に湯気らしきものの発生が確認されておりますが、湯気らしきものの原因は、シールドプラグ(コンクリート製の蓋)の下部に滞留していた雨水などの湿分が、原子炉格納容器(PCV)上部からの放熱により温められるなどしてシールドプラグの隙間からオペレーティングフロア上に放出される際に、冷たい空気によって冷やされて湯気のように見えるものと推定しております。
なお、湯気らしきものの発生時においても、原子炉関連温度や原子炉の状況を示す計測値、敷地境界の放射線量を測定するモニタリングポストの値などに異常はなく、外部への影響は無いことを確認しております。
また、湯気らしきものが出ていた部分の放射線量についても、周辺と同程度である事を確認しております。
・「地下水観測孔における高濃度放射性物質の検出」について
昨年8月に発生した汚染水貯留タンクからの汚染水漏えいによる影響調査の一環として、地下水の汚染状況を調査するための観測孔を複数設置してモニタリングを行っておりますが、年末に、漏えいのあったタンク近傍の観測孔において、放射性物質の一種であるトリチウムの値が上昇(12/28採取分:34,000Bq/L→1/1採取分:450,000Bq/L)しております。
これは、過去にタンクから漏えいした汚染水が周辺土壌に染み込んでいることや、当該観測孔の近傍において汚染された地下水を汲み上げておりますが、年末に一時的に汲み上げ量を減少させたことによる影響と考えております(1/8採取分:17,000Bq/L)。
なお、今回高濃度のトリチウムが検出された観測孔においては、過去にも同程度のトリチウムが検出されており、2013年10月17日には過去最高となる790,000Bq/Lが検出されております。
・2013年12月31日に発生した地震について
一部報道において、「12月31日に地下核爆発によるマグニチュード5.1および3.6の揺れを観測した」との報道があります。
気象庁によると、2013年12月31日に、茨城県北部を震源とする地震を13回観測(最大はマグニチュード5.4)しておりますが、いずれも震源は福島第一原子力発電所ではありません。また、同日、福島第一原子力発電所において事故・トラブル等は発生しておりません。
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