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2014年1月10日 (金)

規制委事故報告書  全電源喪失は津波が主因

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原子力規制委員会の福島第1原発事故報告書が出来上がったようです。

これは事故の経緯、影響、復旧状況を調査しているIAEAに対応して、日本政府の公式見解として規制委員会が作成したものです。

特に焦点は、炉心融解を招いた原因であるIC(自動復水器)が機能しなかったのが、全電源喪失のためなのか、あるいは国会事故調が指摘するように「地震による損傷」だったのかという点でした。

国会事故調は、事故時に1号炉建屋内部にいた作業員が「出水を見た」としたことから、これが地震によるものと推測し、耐震構造に問題があったとしています。

もし、この国会事故調が正しいとすれば、規制委員会の作った耐震基準の見直しにまで進み、さらに審査が遅れることが予想されました。

これについて規制委員会の事故報告書は明確に、「現地調査やコンピュータによる再現解析などから、地震による損壊を否定し、出水は「5階の燃料貯蔵プールの水があふれた」(産経新聞1月9日)ことが原因と断定しました。

また1号機の全電源喪失が起きた時間は午後3時35~36分であり、これは津波が襲来した時間の3時36分と合致することも傍証としています。

もし、国会事故調が取る地震による損傷説が正しいのならば、地震が起きた時刻である3月11日午後2時46分に全電源喪失が起きていなければなりません。

しかし規制委員会の調査の結果、津波来襲時刻と同時に停電が起きていることは、津波説を裏付けています。

まだ報告書の詳細は明らかになっていませんが、一時巷に流れた地震による細管の破断などの事態もおそらくは否定されるものと思われます。

したがって、福島第1原発は、ほぼ直下で起きたマグネチュード9という世界最大級の地震に耐えてスクラム(緊急停止)に成功しながらも、送電鉄塔の倒壊とディーゼル非常発電機の冠水による全電源喪失によりIC(自動復水器)が損傷を受けて冷却系が機能せず、炉心融解に至ったというストーリーになります。

また、燃料がなかったにもかかわらず水素爆発した4号炉の事故原因について規制委員会は、「3号機から発生した水素がダクトなどを通じて4号機に流れ込んだ」ためとしています。

これでわが国の公式な福島事故報告書は出揃ったことになります。

最後に出されたこの規制委員会の報告書をもって、いちおう公式の調査は終了し、わが国の福島第1原発事故の公式見解となります。

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福島第1事故で規制委 全電源喪失「津波が主因」 月内にもIAEA報告
産経新聞1月9日

1月9日原子力規制委員会が、東京電力福島第1原発事故を分析した調査報告書をまとめ、早ければ月内にも国際原子力機関(IAEA)に提出することが8日、分かった。

規制委の報告書は「津波が主因で全電源を喪失」となる見込みで、国会の事故調査報告書が指摘した地震による損傷の可能性を否定する記述になることも判明。IAEAは規制委の報告書を受け今年中に包括的な報告書を作成する。(原子力取材班)

 IAEAは現在、5つの作業部会を設置し、事故の経緯や影響、復旧状況について調査している。専門家がたびたび来日しているほか、日本からも規制委の更田(ふけた)豊志委員がIAEAの議論に加わるなどして、事故報告書の作成に当たっている。規制委の報告書は、「日本の公式見解」として活用される見込みだ。

 地事故分析の中で焦点の一つは、1号機4階にあった非常用復水器(IC)が地震か津波のいずれで破損したかだった。ICは原子炉内の蒸気を冷やして水に戻す重要な装置で、震災後から機能せず、炉心溶融(メルトダウン)を招いたとされる。

 すでに公表されている政府や東電など3つの事故調査報告書は地震による破損に否定的な見方だったが、国会事故調は、地震直後に作業員が1号機の原子炉建屋内で出水を目撃したことから、「地震による損傷の可能性は否定できない」と判断。耐震設計の見直しにつながる重大な要因とみられた。

しかし、規制委は現地調査やコンピューターによる再現解析などから、地震による損壊を否定し、出水は「5階の燃料貯蔵プールの水があふれた」との記述にする。

 これとの関連で、国会事故調は施設に大きな損害を与えた津波の到達時刻は平成23年3月11日午後3時37分とし、1号機の発電機は津波到達前の3時35~36分ごろに停止と指摘。規制委は津波の到達時刻は3時36分で、電源設備が停止した時刻と矛盾はなく、津波が原因で全電源喪失に至ったと結論付ける。
 

さらに4号機では、定期検査のため炉心に燃料はなかったため、水素爆発した原因が問題となった。規制委は「3号機から発生した水素がダクトなどを通じて4号機に流れ込んだ」とみなした。建屋に蓄積した水素量は少なくとも約400キロになると初めて試算している。

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