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2014年1月 8日 (水)

バイエタという名の狂気 その1 公共政策を誤らせた地球温暖化人為説

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米国農業はバイオエタノール(バイエタ)政策という病に冒されています。 もはや狂気と呼んでもいいかもしれません。

ブュシュ政権は、自分がアンチ環境派だったにもかかわらず、2007年に始めたバイエタ政策により、バイエタ生産を当時の50億ガロンから一挙に7倍の350億ガロンに生産拡大する政策をとりました。

この目標に掲げた350億ガロンのバイエタを製造するためには実に122億ブッシェル(※)ものトウモロコシが必要となり、今の米国で生産されるトウモロコシ全量をバイエタに回してもまだ足りない馬鹿げた数字でした。

にもかかわらず、このバイエタ政策が単なる努力目標値や期待値ではなく、法的に再生可能燃料基準(RFS)として義務づけられたためにバイエタには多額の投資資金が流入し、今やトウモロコシを作ることは食糧生産ではなくバイエタ生産であるかのような倒錯した構図が生れてしまいました。

バイエタ政策を始めたのが、バリバリの環境派の対立候補であるアル・ゴアではなく、「環境派なんて、ファックだ」と言いかねない(実際似たことを言ってましたが)ブッシュ・ジュニアだったのは皮肉でした。

代々石油利権を後ろ楯にしてにしてのし上がったブッシュ・ジュニアですら、地球温暖化の既定路線からはずれられなかったのですから、その呪縛がいかに大きいかわかります。

そして現在、バラク・オバマは就任演説で、大統領選で現実にある2ツの危機とひとつの妄想訴えました。

2つの現実とは、米国の財政危機と、破綻寸前のぼろ船に例えられている医療保険制度です。

そして私が「ひとつの妄想」と呼ぶのは、他ならぬ地球温暖化対策でした。

80年代以降、IPCCの科学者とそのロビイストたちは、地球温暖化によるハルマゲドンのシナリオを持って議会を飛び回りました。

「14mの水面上昇が来て南太平洋の島々は沈んでしまいますよ」「北極の氷が溶けてシロクマは絶滅寸前です」「カトリーナみたいなハリケーンが毎年来て海岸沿いには住めなくなります」「毎年気候変動による飢饉が来て飢餓が来ますよ」、エトセトラ、エトセトラ・・・。

はっきり言って妄想の類です。

この妄想がIPCCから「9割の確率」で、「世界中の一流の科学者2000名の叡知を集めた」と言われ、米国元副大統領のイケメンに「科学の出番は終わった。これからは政治の出番だ」とまで言われたらこりゃ説得力あったわけです。

この法螺でゴアはIPCCとノーベル平和賞を共同受賞し、オバマもなにもしないでノーベル平和賞もらってました。

閑話休題。

その上、第1期の目玉政策をオバマは、本来先行してやるべき政治課題を医療保険制度ではなく、グリーンニューディールこと包括的エネルギー・温暖化法(2008年11月)に置いてしまいました。

保険業界や医薬品業界の頑強な反対に合うのが予想される(実際2期目にオバマは政府機関の一時停止事態を引き起こしていますが)医療保険制度改革ではなく、パッと華やかで新鮮味のあるエコ政策で実績を上げたかったのでしょう。

オバマは09年1月、政府施設から先行して省エネを実施し、原発を増設する一方で、風力や太陽光、バイエタなどの再生可能エネルギー(再エネ)を倍増させて、約50万人の雇用を増大すると表明しました。

また7870億ドル(約72兆円)にのぼる米国史上最大の景気対策のうちから、年間150億ドル(約1兆4000億)円を投資すると宣言しました。

オバマの目論見では、経済と環境の同時解決という画期的な政策になったはずでした。

こんな税金の使い方をしなかったら、第2期オバマ政権の致命傷になった医療保険制度などずっと前に出来上がっていただろうと言われています。

結局、再エネは景気の回復にも雇用の増大にもつながらず、グリーンニューディールは2期目以前にシェールカス革命に救われるようにして秘かにフェードアウトしていきます。

しかし、フェードしないものがありました。それがバイエタです。

バイエタは、作れば作っただけ再生可能燃料基準法で使用されるのが確実なために消滅するどころか、かえって増大していきました。

ゴアが種を蒔き、ブシュが地ならしし、オバマが育てたバイエタだったのです。バイエタは狂ったように穀物を食い散らしたのです。

放っておいたら全米で生産されるトウモロコシは、皆燃やされて車のガスに消えていったことでしょう。

しかも、これで二酸化炭素が現実になくなるわけではなく、単に穀物の生育期の二酸化炭素消費とゼロサムになるだけ、つまりは単なる数字合わせだというのですらから呆れたものです。

バイエタが盛んなブラジルでは熱帯雨林を伐採して、「地球に優しい」バイエタ農産物を作っています。

この歴代の米国大統領の愚行により、バイエタは米国農業にしっかりと食い込み、全世界の穀物市場が高値に貼りついた結果、多くの人々が飢え、数千万人が貧困に逆戻りしました。

一握りの科学者が世界を巻き込んだ地球温暖化人為的二酸化炭素説は、このように人類に大きな傷跡を残して、そして今もなお人類を支配しています。

これが政策化された場合どんなことになるのか、米国をみると分かります。

次回に続けます。

※ブッシェル(bu)
ヤード・ポンド法の体積単位。かつて穀物を桶に入れて運送したためが由来。日本の米が俵(60㎏)で計算するのと一緒。慣習的単位なので、英米のブッシェルは異なる上に、穀物の種類によっても異なる。
トウモロコシの場合は 1ブッシェルは約14.52kg。

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コメント

内容が深くていつも考えさせられています。
有難うございます。

ところで今回で1点だけ気になりました。
バイオエタノールというのが、ゼロサムという点です。
文脈としては、それはそうだと思いましたが、
化石燃料からバイエタに乗り換えた分だけ、
つまり化石燃料の消費で増加する温暖化ガスが
増加しなかったという計算は抜けていませんか?


バイエタが、環境政策として無意味というコンテキストに、
この視点は抜けてないのでしょうか?
もちろん、食糧問題との背反はあるので、
この部分はその通りだと思いました。

10年くらい前に注目を浴びた頃、職場で飯食いながら
「世界の飢餓問題が相変わらずで、食糧が行き渡っていないのに根本的に順番おかしくね?」
「んだよねえ…。これはおかしいべ」
なんて会話をしていました。

おそらく金ダブダブ状態の投機筋が高騰するとボロ儲け。農家も収入が増えるというシステムが作られたんでしょう。

しっかし折角のトウモロコシを使うとは…あんなに無駄に水を使う作物(麦や大豆の数倍)でありながら地下水汲み上げピボット灌水なんてバカ農法。

生分解プラスチック原料用とかなら、量も限られるだろうし理解できるんですが…。


要はセルロースと分解酵素があればいいわけで、それこそ砂糖取ったあとのサトウキビカスや稲藁や麦藁を使うべき。
技術的に試験プラントレベルにはなってますからね。

ちなみに早くからガソホールやってたブラジル。中学時代の先生は絶賛してましたが、当時の技術では粗悪品で、排気ガスが臭くてたまらん代物だったそうです。

あとは藻類からバイオディーゼルの技術を1日でも早く商業ベースに乗せて欲しいですね。
767もF-15もちゃんと飛ぶのが実証されてるんですから。


三重県かどっかの中小企業が開発した、発泡スチロール(水産関係で膨大な量が捨てられる)を上から入れると、2時間ほどでしたから軽油になって出てくる魔法のような機械もありますが…最近聞きませんね…。

追記:ヒデミさん、ゼロサムの視点は仰るとおりですが、根本的問題は「貴重な食い物を燃料にするな」ということです。

輪点の相違

生物学的に地球に住む生物は後2乃至4度温暖化したほうが幸せなのです。

寒冷化して1度下がると、(これ10年以上前から言っていますので数値は不正確)1%以上の穀物生産量が減り、一億人以上が餓死するはず、が残念な事に地球は寒冷化に向かっているようです。

既にリタイヤ終の棲家としてフィジーを狙っていたのですが><キリパス、セーセルは津波が怖すぎるし、物価は高いがフランス領にするかなと考えている今日この頃です。

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