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返還交渉は一国だけではできない 南の島さんにお答えして

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昨日いったんアップして、差し替えた記事です。なんか気が抜けたビールみたいですが、やはり再アップしておきましょう。

稲嶺市長が勝利宣言第一声で、「日本政府の・・・!」とやっておりました。え、稲嶺さん、あなたは自分の国を「日本政府」って呼んでいたのと、ちょっとびっくり。

まぁ、そうかもしれませんね、彼みたいなタイプの政治家にとっては自分の国の政府は「外国政府」みたいなもんなんでしょう。

なら名護市は「外国」か、まぁいいとしますか。しかし、こういう言葉のひとつからでも、稲嶺市長の政治スタンスがわかっておもしろいですね。

さて南の島さん、コメントありがとうございます。
私は沖縄に住んでいたころには、辺野古海岸は近くでしたのでよく行った場所です。思い入れは深いものがあります。
 

今は歳相応に現実主義的になりましたか、それでも美しい大浦湾を思うと身を切られるような思いが残ります。 

しかし、前回の記事ではいっさいの私的感情を排して、できるだけ客観的データを積み重ねたつもりです。また、日本側だけではなく交渉相手の論理も見てきました。

さておっしゃる嘉手納統合案ですが、民主党政権の外相だった岡田克也氏が出した唯一の現実的プランでしたが、実は1990年代後半から幾度か検討されており、一時は日本側はこの案にかなり前のめりになった時期もあったほどです。 

しかし米国側からは以下の理由で拒否されています。 

低速のヘリと高速の戦闘機を管制官が同時に管制するのは負担が大きい 

②移設が実行されれば平時でもヘリ、戦闘機が各々60~70機ずつ訓練を行う飛行場となる。有事には増援などにより2~3倍の機体が集結すると考えられ、それを嘉手納一ヵ所で賄う事は不可能 

③嘉手納は当時から騒音が問題視されており、P-3Cの駐機場を移転したり、防音壁を設置したりしていた。普天間の機体を収用すれば嘉手納、北谷両町にとっては更に劣悪な環境となる。(Wikipediaより)

また1996年7月、在日米軍作戦部は嘉手納統合案の研究に絡めて、普天間の固定翼機を含めた基地機能の移設を目標に据えた技術評価を実施しています。 

その結果、このような規模の収容能力が必要だという結論が出て、日本側に通知されています。

普天間 平時71機 戦時最大230機
・嘉手納 平時108~113機 戦時最大390機

なお、南の島さんは勘違いされているようですが、既に嘉手納には海軍の哨戒機部隊8機が配備されていて、基地は空軍、海軍が共用しています。 

このように常駐機だけを見て判断してはならず、有事の際の収容能力まで計算にいれねばなりません。 

有事の際に、普天間基地がないと有事には実に5倍もの620機もの航空機を収容せねばならないことになり、物理的に不可能です。

現在、SACO合意によりコンクリート製遮音壁が長さ2.3キロ、高さ5メートルにわたって作られています。 

それでもなおかつ、沖縄でもっとも航空機騒音に苦しむのがこの周辺地域です。

もし普天間を併合した場合、現在の嘉手納の常駐機数の倍近い機数を常駐させ、なおかつ有事には600機を越える機体を収容せねばなりません。 

それを考えただけで、周辺地域の負担は言語を絶すると思われます。 

私は、実家が神奈川県厚木基地の進入路から数キロの場所にありましたので、軍用ジェット機の凄まじい爆音と共に幼少期を過ごしました。 

ちなみに今は百里の旋回面直下です。よくよく爆音にはご縁があるとみえます。

沖縄の頃に、友人に「オレの小学校も米軍機が飛ぶと窓がビリビリ振るえたんだぜ」と言うと、「ええ、本土にも米軍基地があるのか」と驚かれたことを思い出します。(笑)

もちろん、あります。神奈川県の国道16号沿いには、那覇から嘉手納に至るくらいの密度で米軍基地が密集していた時期がありますから、いちど沖縄の友人諸君にも見せてあげたいものです。

私のガキ時代の冒険は、基地のフェンスから忍び込んで、スクラップの米軍機の中で遊ぶことでした。

ですから、私の中には沖縄の人に対する共感と共に、「日本の悲惨をすべて沖縄が背負った」みたいな言い方をされると、ちょっと待ってよ、そこまで気負わなくていいんだよ、と言いたくなる時があります。

それはさておき、嘉手納周辺のジェット戦闘機の爆音に普天間までを加えることにはその意味からも反対です。 

機能削減とおっしゃる意味がわかりませんが、併合したり、基地面積を縮小・圧縮すれば、当然基地機能は強化されます

おそらく基地の部隊を削減しながら 統合しろという意味だと思いますが 、KC130給油機部隊はすでに岩国に出ており、鹿屋とのローテーションに入っています。その意味で削減はなされています。

ところで、添付していただいた米国の識者ダニエル・スナイダー氏の意見も読ましていただきました。 

氏によれば、本土の米空軍、海軍の能力の増加で沖縄海兵隊を大幅削減できるとしています。 

スナイダー氏の発想は、空軍の航空優勢と、海軍のトマホーク巡行ミサイル、あるいは無人機からのミサイル攻撃などですべて解決できると考える思想です。 

地上兵力を投入すると、イラク戦争のように4400名もの戦死者を出して社会的批判を浴びたために、アウトレンジから航空機や海軍、あるいは無人機からミサイル攻撃した方がいいという考え方です。 

戦争の無人化、ロボット化を目指す考え方てす。彼のような空軍やミサイル万能思想は確かに米国の一部には根強く存在します。 

しかし現実には、空や遠く離れた海上から発射されるミサイルは、よく目標を確認しないままに発射されたり、発射時と状況が変化したりするために、誤爆が連続する事件が続き、罪なき現地住民を多数殺傷しました。 

そのために国際社会のみならず米国でも強い批判を浴びています。 

このような発想の持ち主を、沖縄基地軽減できるようなことを言っているからといって持ち上げる琉球新聞の記者の見識を疑います。 

なお、南の島さんは辺野古が本島東海岸に面していることを不思議に思っておられるようですが、それは西海岸に適当な候補地がなかったためです。

また、西海岸は発展して人口が急増しているために、仮に移転してもすぐに普天間と同じ問題が生じてしまうからです。ちなみに普天間も西海岸沿いです。 

欄外に今まで検討された候補地を時系列に沿って挙げておきましたのでご覧ください。

かくも大量に存在しており、本島はもちろん、周辺諸島、九州までくまなく調査され尽くしているのがお分かりになると思います。

基地返還交渉は一国だけでできるものではありません。相手国がいるという「関係」の中で行われているです。

日本政府と沖縄という図式に、米国という補助線を引いてみるとまた別な見方ができると思います。

またもう一本中国という別な補助線を引くと、もっと立体的に「普天間」が見えるはずです。

まだ米国は今回の選挙結果を受けても、「やりかたはある」と言ってくれているようですが、今後の建設期間中にあまり反米ナショナリズム闘争が激化すれば、もうやめたいというのが本音でしょう。

いくら「辺野古移転は米国にとってデメリットばかり。善意で協力しているだけだ」と言っても、昨日の毎日新聞みたいに「銃剣とブルドーザーで取り上げられた恨みを沖縄県民は忘れていない」なんて反米意識むき出しの記事を書かれてしまうんですから。

ここで米国がサジを投げたら、普天間はそれこそ正真正銘に永久基地化ですが、まぁそれでもいいって人が沖縄に多いんでしょうね。最近皮肉ではなくそう思うようになってきています。

しかし、そう言う人たちが、一方で「普天間の永久基地化反対」と叫んでいるのですから、私にはこんな矛盾したことを平気で言えることに混乱してしまいます。

つまり、このような主張の人たちは、普天間もダメ、辺野古もダメですから、要するに反安保闘争をしたいのでしょう。

そのためには普天間基地が、反米闘争のシンボルとしてそこにあり続けることがいいということなのでしょうか。

今や、大浦湾の自然保護でもなく、普天間の危険性の除去でもなく、反米ナショナリズム闘争に転化してしまったこの名護市長選以降の流れを、私は憂鬱な視線で眺めています。

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●[資料 普天間移設候補一覧

①嘉手納弾薬庫案・・・農業用ダムと希少生物棲息地のために却下
②嘉手納飛行場統合案・・・本文参照
③キャンプ・ハンセン案・・・工事の難しさと騒音問題で却下
④杭打ち桟橋工法(QIP工法)案・・・米側の攻撃に脆弱との反対で消滅
⑤メガフロート(ポンツーン方式)案・・・米側の台風時の揺れ、橋の通行不能で却下
⑥メガフロート(セミサブ式)案・・・荒天時の変形、クラッドの剥離の危険性から却下
⑦重力着底型プラットフォーム案・・・本土との連絡が船舶なることで消滅
⑧移動海上基地(MOB)案・・・米側の予算削減による研究費削減で消滅
⑨B&R案Mcdermott案、Kværner Maritime/ボーイング案、ベクテル/レイセオン/Nautex案・・・いずれも研究段階て実績がないのて消滅
⑩キャンプ・シュワブ沖人工島案・・・軍・民共用空港を計画。大きな自然破壊で消滅
⑪辺野古沖現行案
⑫馬毛島案・・・駐屯地、航空基地、訓練施設の機能が近接していないため消滅

⑬伊江島案・下地島案・・・充分な面積を確保できない
⑭勝連沖埋立案・・・シュアブ沖案の変形
⑮グアム・テニアン島案・・・米海兵隊のグアムへの移動という虚報から発生し消滅
⑯キャンプ・シュワブ陸上案・・・工法と面積不足により消滅
⑰徳之島案・・・⑪と同じ理由で消滅
⑱長崎県
佐世保、大村移駐案・・・東南アジア地域から遠いため消滅

※その他 ⑲は論外。⑳は代案ではなく政治スローガンなので別とした。
⑲鳩山「腹案」・・・実は存在していなかったため公表されることなく辞任
⑳国外無条件移転案・・・共産党、社民党が主張

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沖縄問題」カテゴリの記事

コメント

補足しておきます。
南の島さんがどんなイメージで仰有ったのか理解できませんが、
沖縄本島東岸にはすでに「ホワイトビーチ」という海軍補給基地が存在しています。
GoogleEARTHだとDDがすでに並んでますし、時々原子力潜水艦も補給で寄港しています。

なぜか日本のメディアで圧倒的に詳しいのは、「しんぶん赤旗」だけですね。

投稿: 山形 | 2014年1月21日 (火) 12時35分

山形さん、確かにホワイトビーチがありますね。

「太平洋側・・・」は深い意味はなく、太平洋側に大きな港がないので不思議だなと疑問に思っただけです。
種子島から与那国まで南西諸島には何故か太平洋側に大きな港や街がないんですよ。
唯一の例外が沖永良部の和泊だけで、そこも接岸できないことが多いので、わざわざ東シナ海側に伊延という代替港があります。
そんなことが少々気になっただけです。
地形や気候、中国との交易の歴史が関係しているのでしょう。

管理人さん再アップありがとうございます。

投稿: 南の島 | 2014年1月21日 (火) 16時37分

昨日の記事も含めてコメントします。

選挙の勝敗に関しては、自民のゴタゴタや公明党の自主投票は大きな要因かもしれません。
しかし、辺野古の基地増設の名護市民の是非を考えたら、党派の拘束が外れ自由意志で投票したのですから、かえって民意をより反映したと強く思います。
私は政治家の思惑などより名護市民の気持ちのほうが重要だと思います。

今回の選挙で、政府は確かに札束でビンタしてきました。しかしそれは、昨年末に仲井真知事が埋め立ての事務的な承認と引き換えに心地良い取引を引き出してきた時点において、沖縄では「また補助金で解決しようとするのか」という抵抗感が強かったなかでは、火に油を注ぐ結果になりました。
補助金から脱却したいという点では確実に意識がはっきりと表れた選挙結果だと思います。北部でこんな結果なのですから・・・

名護市民ははっきりと意思表示をしました。軍事分野においても、もうそろそろ民意の枠をはめても良いのではないでしょうか?
軍事的には理想の体制があるとは思いますが、民意を踏まえて体制を構築すべきです。
辺野古の計画が米軍にとってデメリットが有るにも関わらずアメリカ側が良しとしたように、ダニエル・スナイダー氏の意見も現実を踏まえた妥協の提案かもしれません。
嘉手納移設案に関しても防衛上の理想を考えたら管理人さんのような指摘になるかもしれませんが、私は沖縄の民意を踏まえて防衛側も理想通りにはいかない現実を受け入れるべきだと思います。普天間も辺野古増設もない状態で日本を防衛すべきです。

その結果、政府がこれでは本土防衛上の危機を本当に感じるなら、本土住民にその切実さを訴えるべきじゃないでしょうか?

これから仲井真知事がどうするか(私も仲井真知事は結構好きな政治家です)、次の知事選のことなどコメントしなければならないことは山ほどありますが、それはまたの機会があると思いますので・・・

投稿: 南の島 | 2014年1月21日 (火) 20時08分

はじめまして!波泳ぎ兼光と申します。

①嘉手納弾薬庫案・・・農業用ダムと希少生物棲息地のために却下

それを言ったら⑪辺野古沖現行案だって、ジュゴンやトカゲハゼという希少生物生息地があるからNGでは?

あと、元米海兵隊総司令官が「韓国移転」を口にしましたが、それは無視ですか?

ジョーンズ米前大統領補佐官が「辺野古移設を困難視」 移転先 多様な選択
http://www.kamiura.com/whatsnew/continues_812.html

個人的には、反日韓国に米軍基地を押し付ける案は非常に痛快なのですがw

投稿: 波泳ぎ兼光 | 2014年2月10日 (月) 20時44分

波泳ぎ兼光さん。

もう、勘弁してくれよ。
統幕現役のお偉方でもないたかが「元司令官」の発言なんか、なんの意味もありません。

しかも、あなたは嫌韓で発言しているようですが、在韓米軍の韓国への指揮権移譲が、ロードマップ通りに進めば来年ですよ(遅れそうな気配ですが)。
それどころか米軍は半島からの撤退すら検討されているんですけど。そこは北朝鮮次第。
そして、佐世保や佐賀案を都合良く無視してますね。
当然、台湾海峡は見殺しですか?
台湾の次は沖縄ですよ。
中国の列島線構想や、最近の言動から素人でも分かることでしょうに。

また、ジュゴンがどこに?それこそアメリカの環境団体あたりが大騒ぎしそうな話ですが、全く聞きませんね。
もちろん大きな自然破壊であることは私も理解してますが。

ところで、2002年に国・県・名護市で合意された辺野古案は、それは民意では無いのですか?
もたもたしてるうちに鳩山がブチ壊してくれましたが。
あまりに都合の良いことばかり取り上げていませんか?
じゃあ、まず北部振興でバラ撒かれたカネ(税金)返して下さいな。

あまりにも視野が狭すぎると思います。
「普天間基地の返還」こそが第一義で、それで痛みが伴うのは同情しますし残念ながら致し方無い面があります。
しかし、沖縄という地理を動かすことはできないのですよ。

投稿: 山形 | 2014年2月11日 (火) 11時03分

山形さん、ネットではジュゴンの存在を疑うデマが流れていますが、防衛局の調査でも存在は明らかになっています。

防衛局、辺野古埋め立て調査でジュゴン31回確認2014年1月25日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-218347-storytopic-3.html

この記事では防衛局は辺野古と嘉陽を分けて影響が無いような評価をしていますが、隣接海域なので、おそらく同じジュゴンが回遊しているので影響は避けられないと私は思います。

こんな記事もあります。
辺野古沖でジュゴン確認 普天間移設予定先に食跡  防衛局公表せず(共同通信2013/09/22)
http://www.47news.jp/47topics/e/245846.php

それから、今、ケネディ大使が沖縄を訪れているのですが、2/11に地元2紙が日本語と英文で「辺野古にはイルカと同じ哺乳類のジュゴン生息」と移設反対の社説掲載しています。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-219249-storytopic-11.html

投稿: 南の島 | 2014年2月11日 (火) 21時20分

南の島さん。
データ提示ありがとうございます。

私はちゃんと議論できるあなたに別に含むところはありませんが、ケネディ大使訪問に合わせて沖縄2紙がどうしたかなど、全く興味はございません。

泡瀬干潟埋め立ても「民意」で、2002年辺野古合意も「民意」なんですよね。
なんだ、埋め立て大好きな県民じゃないですか。

投稿: 山形 | 2014年2月12日 (水) 07時31分

単純に知らないので教えていただけるとありがたいのですが、沖縄の西側にはジュゴンはいないのですか。

投稿: 東風 | 2014年2月14日 (金) 16時44分

東風様、長くなりそうなので月曜日にお返事をかねて記事にします。
沖縄の自然環境については本腰を入れて書いてみたいので、たぶん数回の連載になります。
とりあえずジュゴンだけでお答えすれば、西海岸の中部までは開発が進みすぎていないと思われます。

投稿: 管理人 | 2014年2月14日 (金) 17時46分

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