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2014年2月

日米関係最悪シナリオ G2体制の悪夢

001

米国外交はゆっくりと、「もっとも重要な2カ国関係」(バイデン)、すなわちG2体制に向けて舵を切りつつあります。

このまま米国がG2に走った場合の最悪シナリオを考えてみることにします。

このG2にはいくつもの段階がありますが、おそらくその最終的な形態は、在日米軍は沖縄はおろか日本全土から撤収し、グアムの線まで後退します。

このラインを中国は「第2列島線」と呼び、伊豆諸島を起点として小笠原諸島、グアム、サイパン、パプアニューギニアへ至る線まで中国海軍を進出させることを目標にしています

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    (図 右側の赤い線が第2列島線、左赤線が第1列島線 Wikipediaより)

同盟関係とは、ひとつの国とひとつの国(超大国)の外交路線の利害が一致した時のみ結ばれます。

日本にとって日米同盟は、米国という強大な後ろ楯を背景にして、基地を提供する代わりに他国を攻撃する能力のない軽武装(専守防衛)で独立を保つことが可能でした。

一方、米国にとっては、米国のプレゼンス(※1)の象徴である原子力空母を修理するドックは世界で4カ所しかありませんが、そのうち2カ所は米国内、そしてあとの2カ所は日本にのみに存在しています。

これは横須賀第6ドックと佐世保第4ドックですが、大和級巨大戦艦を建造したドックですので、米国外では日本にしか存在しません。

佐世保の艦船修理能力と電子関係のメンテナンス能力は、米国を凌ぐと言われ、米海軍は定期検査の時期になるとわざわざ第7艦隊に配転するほどです。

また、第7艦隊の補給を受け持つ弾薬貯蔵施設(秋月、広、川上、嘉手納)の貯蔵能力は実に12万トンを越えます。

あるいは、米国防総省が自ら「ペンタゴン最大のオイルターミナル」と呼んだのは、在日米軍燃料タンク施設(鶴見、佐世保、八戸)です。

鶴見は国防総省管内のうち米本土まで含めて第2位の備蓄量、第3位は佐世保で、八戸(航空燃料)と合わせると1107万バレルを備蓄しています。

これは米海軍最強の第7艦隊全体の10回分の満タン量に優に相当します。

米軍の唯一の国外に駐留する緊急展開部隊(第3海兵遠征軍)は沖縄にあります。

このようにわが国は米軍、なかでも米海軍の補給-修理の海外軍事インフラを一手に引き受けているのです。

このような存在を米国は日本以外に持ちません。つまり米国は日本なくしては世界戦略が遂行できないのです。

米国が日本を、「世界でもっと重要な同盟国」(米議会調査局)と呼ぶのはあながちお世辞ではありません。

よく米国人には往々「日本を守ってやってやる」という者がいますし、日本側にも「守ってもらっている」と卑下する者が多いのですが、それはこの日米の利害関係がイーブンなことを知らないからです。

しかし、あくまでもこのような関係は同盟関係があればこその話にすぎません。これがG2(米中2国支配体制)となれば安保条約は自動的に解消されることになります。

わが国にとって中国と蜜月になった米国に基地を提供する利害はありませんし、米国もまた覇権国家てあることを止めて孤立主義に回帰しているはずです。

第7艦隊は原潜部隊を除いてハワイまで撤収し、替わって南シナ海、インド洋、東シナ海、日本海、そして太平洋はグアムの線まで中国艦隊が進出します。

かくしてわが国のシーレーンは中国によって完全に押えられ、日本は「中国の海」に浮かぶ孤島となります

わが国民は中華帝国の冊封国になる気持ちはないはずですから、自由主義国として生き残りたいのであれば、単独で自主防衛の飛躍的増強に迫られることになります。

もっともそのとき日本政府が、不幸にして鳩山・管政権のような存在であったなら、わが国は主権のすべてを喜んで差し出し、すんなりと冊封国として中国に編入されるでしょうが。

日本は今までの日米安保を軸にした軽武装と専守防衛ドクトリン(※2)を捨てざるをえません。

国際社会で類例を探すと、かつての「フランス型」になると思われます。

フランスは「米国はパリが核攻撃を受けても、ワシントンが核攻撃いを受ける危険がある以上、報復はしないだろう」という考えから、NATOを脱退して独自路線を取っています。(※2003年サルコジ政権時に再加盟しました)

具体的には、他国攻撃能力の獲得、それに伴う戦力投射手段(空母、戦略原潜など)の保持、そしてもちろん国軍化とワッセットになった憲法改正がなされるはずです。

そして最終的には米国の核の傘がない以上、独自核武装も視野に入れざるをえなくなります。

フランスの軍事予算は対GDP比率で2.3%ですから、今の日本は現在の0.9%をその水準まで倍加させることになります。※http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/world_data/list_of_countries_by_military_expenditures.html

このシナリオは戦前の昭和10年代に酷似しています。私はこの道に日本が踏み込まないことを心底願います。

わが国が国際社会の健全な一員として集団的自衛権を持ち、憲法改正に臨むというのならば、議論を深めた上でという条件つきで賛成です。

しかし、国際社会、端的にいえば米中との緊張関係を伴う条件下でのそれは、まさにかつての悪夢の再来以外何者でもありません

しかしオバマがG2政策の選択をしてしまい、東シナ海のみならず、太平洋の半分を中国に分割支配させるなどという政策変更をした場合、その可能性は否定できなくなるでしょう。

いきなりそのようなことになることはまずありえないと思いますが、常に米政権内の伏流としてG2という思想は存在していて、オバマもその考え方の持ち主だということを忘れず注意しておかねばなりません。

現実のオバマは、このオバマ-習会談時でそれをいったん拒否したものの、その後の日米関係の冷却に伴い、再び中国のG2論に乗るそぶりを見せているといったグレイゾーンの段階です。

オバマは中国膨張政策を抑止する伝統的抑止政策で進み「もっとも重要な同盟国」である日本を取るのか、あるいは米国の世界秩序維持のパートナーとして「もっとも重要な二国間関係」である中国と組んだほうが得策なのか決めかねて、その間を微妙に揺れ動いているのです。

オバマが強いリーダーシップを持つ大統領ならば、私たち日本人はなんの心配もいりませんが、彼が史上まれにみる意志薄弱、有言不実行の大統領だということを忘れてはなりません。

それにしても、あの大統領就任時の世界の期待が1世紀ほど前のセピア色に見えます。これほど世界と、米国民の期待を裏切った罪な男も珍しいのではないでしょうかね。

待てよ、なんか似た人物が日本にもいましたね。そうそうL・ハトヤマといったような。

もう一回続けます。

※1プレゼンス  存在。存在感。特に、軍隊・国家などがある 地域へ駐留・進出して軍事的、経済的に影響力をもつ存在であること。(goo辞書)

※2ドクトリン、政治や外交あるいは軍事等における基本原則(Wikipedia)

■関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-8200.html

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第2列島線(Wikipedia)
第二列島線は、
伊豆諸島を起点に、小笠原諸島グアムサイパンパプアニューギニアに至るラインである。近年に至るまで、中華人民共和国の海洋調査は、第一列島線付近までに留まっていたが、このところは第二列島線付近でも調査を行っている。海洋調査は、他国の排他的経済水域内では行えないため、第二列島線付近にある沖ノ鳥島問題が持ち上がっている。

この第二列島線は、台湾有事の際に、中国海軍がアメリカ海軍の増援を阻止・妨害する海域と推定されている。中国海軍は、従来、沿岸海軍であったが、第二列島線まで進出することは即ち、外洋海軍への変革を目指していると考えられ、その動向が注目されている。

中国海軍は、第二列島線を2020年までに完成させ、2040-2050年までに西太平洋、インド洋で米海軍に対抗できる海軍を建設するとしている。

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TPPと日米関係変容の予兆 

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TPPが外交問題的側面を持っているのは間違いありませんが、それがどのように米国の外交政策と関わっているのでしょうか。

よく推進派から聞かされたTPP推進の理由に、「あれは中国包囲網の経済版だ。参加しないと米国との同盟も危なくなるぞ」というものがありました。

私はいつも内心ウソつけと思っていたのは、果たしてオバマに外交戦略といえるようなものがあるのかという疑問からでした。

オバマの外交的軌跡を見る限り、彼には外交的定見が見当らないような気がしたからです。しかし最近になって、ようやく見えて来たような気がします。

オバマには「定見がない」のではなく、「定見がふたつある」のです。

第1期オバマ政権のヒラリー・クリントン国務長官は、原則的に中国に対応していました。

しかし第2期に入り、それがジョン・ケリーに替わり、安全保障大統領補佐官もスーザン・ライス大統領補佐官に替わると変化が始まりました。(※ライス補佐官はブッシュ時代のコンドリー・ライス補佐官とは別人)

12013年11月、2014年1月の2回に渡って、ライスはこのような外交概念を使い始めます。(欄外資料1参照)

(米中2カ国の)新たな大国関係」

この「新たな大国関係」という概念は、中国の使う「G2」という考え方と平仄があってます。

補佐官の発言は大統領と同一と見なされるので、オバマもまたG2的考えの持ち主だと分かります。

別な機会に、オバマはこう言っています。

米国は世界の警察官ではないとの考えに同意する」(2013年9月10日シリア問題に対するテレビ演説における発言)

2013年12月に訪中したバイデン副大統領は、中国の防空識別圏については一切言及せずににこう習に述べています。

米中関係は21世紀で最も重要な2国間関係であり、この2国は信頼と積極的な意志に基づいて行動しなければならない

この一連の米国政府中枢の発言を総合すると、オバマはこう考え始めています。

①米国は、世界秩序の保護者(「警察官」)であることを止める
②中国との「新たな大国関係」(G2)を作る

では一体このG2とはなんなのでしょうか?

それはひと言でいえば、米国が中国を「敵」ではなく、大国のパートナーと認め、国際社会で互いに密接なステークホルダー(責任ある利害共有者)となっていこうという米国の新たな外交政策のことです。

実は、この「新たな大国関係」という外交概念は去年初めて登場したものではありません。

オバマは既に、2012年の大統領選の折に共和党候補ロムニーとの外交討論の時にこう述べています。

中国は米国にとってアバーサリー( 敵)であり、同時にポテンシャル・パートナー( 潜在的パートナー)

オバマのこの考えには原型があります。それはズビグニュー・ブレジンスキー(カーター大統領安全保障大統領補佐官)です。

彼はこのG2論の米国の提唱者で、既にオバマの大統領就任直前の2009年1月中旬の論文で、このように述べています。

米中両国は相互依存の重要性に鑑みて、包括的なパートナーシップに基づくG2の特別な関係を築くべきである米中両国は経済問題を超えて、中東紛争から核兵器削減、テロリズム対策、気候変動などの国際重要課題の解決に共同で取り組む必要がある

これが典型的米国民主党系リベラルの発想なのです。

つまりは、中国が膨張して米国の海洋権益を犯すのは望まないが、国際秩序の共同責任者に成長してくれるならば、むしろ積極的にパートナーシップを結ぶこともやぶさかではない、というものです。

彼ら米国リベラル、すなわち「米国型左翼」は、大戦で共に反ファシズムで闘った中国に対してのほうが、「軍国日本」よりよほど親近感があるという歴史的DNAを持っています。

ちなみにわが国を大戦に導いた米国大統領は民主党のルーズベルトであり、原爆投下を命じたのも同じく民主党のトルーマンでしたし、戦後最も日本を軽視した大統領はクリントンでしたが、これも民主党です。

米国民主党にとって「アジア」の主要なプレイヤーは日本ではなく、中国を指すのです。

オバマのようなハーバード出の米国民主党リベラルにとって、中国は冷戦によって断絶したとはいえ、まともな自由主義経済の国になるなら、「極右政治家」に率いられた日本よりよほどましなパートナー、というのが本心です。

このような米国リベラルの考えを読んで、習近平は米中2カ国で世界を仕切る「新たな大国関係」(G2)論を提案しました。

いや、習が米国の意図を「読んだ」というより、奇しくも中国も似た太平洋分割統治論を温めていたというべきでしょう。

このG2提案は、13年6月のオバマ・習会談でなされたもので、ここで習は驚くべき提案をオバマにしています。

太平洋には米中両大国を受け入れる十分な空間がある

この習の発言は、中国と米国で太平洋を二分割し、東半分、つまり中国流に言えば第2列島線(※)までを「中国の海」として認めよ、ということを意味します。

ここまで明瞭に世界の覇権国になると宣言する国は、米国以外中国しか存在しません。

このテーマもう少し続けます。

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■資料1ライス補佐官、米中「G2論」容認 尖閣主権「立場取らず」
日経2013/11/21

ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)は20日のワシントンでの講演で、米中両国の「新大国関係」構築への意欲を明らかにした。米中の二大大国で世界を仕切るG2論を容認する考えも示唆した。

 中国との関係について「新たな大国関係を機能させようとしている。これは米中の競争は避けられないものの、利害が一致する問題では協力関係を深めようとしていることだ」と指摘した。

 中国の習近平国家主席が今年6月のオバマ米大統領との首脳会談で「新しいタイプの大国関係」を提案した。オバマ氏の側近であるライス氏の発言はこれを受け入れるとみられる可能性があり、波紋を広げそうだ。

 習主席の指す「大国関係」は米国が中国を対等な存在と認識し、軍事、経済の両面で、台頭を認めることを意味する。東シナ海や南シナ海で活発にする中国の海洋進出の容認にもつながりかねない。

 オバマ氏はこれまで「中国の平和的な発展は歓迎する」としながらもG2論には言及せず、事実上、拒んできた。米国が中国に求めるのは「大国としての責任」。東シナ海や南シナ海周辺国とのあつれきをいたずらに増幅させることではなく、アジア地域安定への貢献が念頭にある。

 ライス氏は沖縄県・尖閣諸島を巡る日中の緊張については「米国は主権の問題には立場を取らない」と表明。そのうえで「日中が対立を先鋭化しないよう平和的で、外交的な方法を探るよう両国に促している」と語り、尖閣が日本の施政権下にある点には触れなかった。

 クリントン前国務長官は今年1月、尖閣付近で挑発行為を繰り返す中国に関して「日本の施政権を一方的に害するいかなる行為にも反対する」と厳しく批判し、これが米政府の公式見解となっている。ライス氏の発言はクリントン氏と比べ後退した印象を与えかねない。

■資料2 防空圏批判なし
読売2月9日

<【ワシントン=今井隆】
オバマ米政権内で、外交政策に影響力を持つスーザン・ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)の中国への融和的な姿勢が際立っている。

訪米した岸田外相との7日の会談では、ケリー国務長官とヘーゲル国防長官が中国の設定した東シナ海の防空識別圏に厳しい姿勢を示したが、ライス氏は言及すらしなかった。


岸田氏はライス氏との会談で、中国の防空識別圏を改めて非難。ところが、外務省関係者によると、ライス氏は「中国との関係は、米国の中でも協力を進めていかなければならないという声もある。協力できる分野もあれば、対立分野もある」と米中関係の一般論にとどめ、防空識別圏の批判を一切口にしなかった。

日米関係筋は「中国を刺激したくないライス氏の姿勢の表れ」と指摘する。
(太字引用者)

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米国の目論見は2国間交渉で日本の譲歩をもき取ることだ

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予想どおりというか、予想するまでもなくTPPシンガポール会合は失敗に終わりました。お互い得ることのない会合をどこまでやっても一緒です。

日本はなんとか多少の妥協をしてでも、4月のオバマ訪日に花を添えたいと思っていたようですが、米国がゼロ回答なので、どうにもなりません。

そろそろ、オリジナルTPPだけ残して、もう止めようよ~っどこかの国が言い出しませんかね。

さてフロマン通商代表のUSTRはなぜこんなに強面なのでしょうか。

彼は、議会の反対で伝家の宝刀のTPA(大統領貿易促進権限)を剥奪されていますから、空元気しかないはずなのに。

前回説明しましたが、TPAがないと一本一本妥結した貿易交渉案件を議会に通さねばなりません。

おそらく過半数は哀れ討ち死にとなり、せっかく外国を脅しあげて成果を持ち帰っても批准されるかどうか分からないわけです。

もう少し説明すれば、TPPには二面性があるためにおかしなことになっているのです。

TPPは外交交渉なのか、それとも内政問題なのでしょうか?

日本ではTPPは本来農業とも、はたまた医療問題とも、あるいは保険ともぜんぜん関係のない外務省が主管しています。

外務官僚を支えるために各省庁からスタッフが派遣されていますが、テーブルの真ん中にいるのは外務省官僚です。

これは、TPPが外交案件であるからです

しかし、ちょっとおかしくありませんか。たとえば、日米同盟を話し合うというなら外務省が主管になるのはわかりますが、TPPの議題は、やれ農業関税がどうしたとか、保険システムがどうしたとか、国の公共事業に外国企業を入れろとかいうように純粋に国内問題ばかりなのです。

外交案件は、相手国がいることですから当然のこととして守秘義務があります。

たとえば沖縄返還協定に秘密条項がついていたと大騒ぎになりましたが、あれは外務省としては当然で、相手国があるのですからこちらが勝手に秘密条項を公開してしまうわけにはいきません。

またそれがなぜ秘密条項になったのかについても、国民に外交交渉の経過を公開することなどしたら、国際社会は二度と日本を信じなくなります。

しかし、TPPは国民生活と直結したことばかりで、交渉経過を知らなければ国民は自分の生活を守ることができなくなります。

ところが、TPPは交渉経過どころか、なにを討議しているのかすら秘密に出来ます。

会議場に入れるのは首席交渉官ともうひとりだけで、交渉内容は完全に守秘義務つきのブラックボックスの中ですから、国民は妥結して国会に批准を求められて初めて全貌を知ることになります。

その時は、日本政府は外国と交渉妥結しているわけですから、批准されないとなると日本政府は赤ッ恥で、国際社会の笑い物になります。 まぁ、それでも私は反対しますがね。

というわけで、TPPは秘密の爆弾作りみたいな交渉なのです。

もちろんこの問題は、自国の主権にことのほかうるさい米国では大問題になっています。

米国は他国の主権を平然と冒すことで有名ですが、自国の主権は1㎝も譲らないことでもまた有名です。

そんな米国が、外国で米国内の産業に打撃を与える可能性がある外交交渉をUSTRが秘密でやっていると分かったものですから、オクラホマの上院議員はストローハットを叩きつけて怒り、デトロイト選出議員はクラクションを鳴らして「冗談じゃない」と叫んだわけです。

というわけで、米国史上最弱の皇帝であるオバマ氏は、与野党を問わずそこかしこから攻められまくっています。

ついでにミシェル夫人にも離婚を突きつけられているようで惨憺たるご様子です。

しかたなしにオバマ氏はTPA(大統領貿易促進権限)を与えずに、大学時代の同窓生に因果を含んでTPP交渉に送り出したわけです。

たぶんこんなことをホワイトハウスで言ったのでしょう。

「な、マイク、もうお前しか頼れないんだよ。TPAはやれない。議会が強硬に反対しているからだ。TPPはもうラチがあかないかもしれない。だから、せめてあの生意気なアベの日本を締め上げて成果を出すだけが、オレの政権の延命の道なんだ。頼んだぜ、マイク」 (←もちろん想像です)

こうなったら、フロマン通商代表が取れる道はひとつ。TPPにかこつけて、それとは別枠で日本を陥落させることしかありません。

もしそれが成功すればオバマのメンツも保てます、ひょっとしたら難航極めるTPP全体の突破口 になれはめっけもんです。(ならんならん)

本来日本は、そんなことはTPP全体会合でやろうといえば済むはずですが、加盟時に米国の同意を得るために2国間協議をしてしまったという悪習慣がそのまま残っています。

オバマ氏は、米国が安保で日本を一方的に「守ってやる」と勘違いをしているようですから、安保をダシにしてなんとか2国間交渉で日本の譲歩を取り付けたいようです。

ですから、オバマ-安倍会談での「互いに聖域がある」という合意は反故にして、今になって関税ゼロを主張するというご乱心に及んだわけです。

米国のやけくその戦略は、日本をTPP会合とは別に2国間で譲歩をもぎ取ることなのですから、それに乗る必要はまったくありません。

困っているのは米国のほうで、わが国はちっとも困っていません。

米国は、あの手この手で日本を揺さぶるでしょうが、TPPにおいて日本は一切妥協する必要はありません。

あまりに無体を言うなら、自民党の公約どおり、「脱退も辞さず」を実現して下さい。

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TPP、関税など対立解けず=大筋合意先送り―閣僚会合・声明「早期妥結目指す」
時事通信 2月25日

 シンガポール時事】日米など12カ国がシンガポールで開いた環太平洋連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は25日、4日間の日程を終え閉幕した。関税をはじめとする市場アクセスなどで各国の対立を解消できず、目標とした大筋合意を見送った。閉幕後に発表した共同声明では「可能な限り早期に交渉を妥結させる」との決意を確認するにとどまり、期限は示さなかった。
 声明は「最終合意へさらなる前進を果たした」と交渉の進展を強調する一方、現状では「妥結に相当の努力が必要」と認めた。次回会合の日程も決まっておらず、交渉が長期化する可能性が強まった。
 甘利明TPP担当相は閉幕後に記者会見し、今回の会合について「次に向けて良い前進があった」と語り、交渉全体の進展状況を「70~80%」と説明した。
 交渉全体の行方を左右する日米の関税協議に関しては「誠心誠意、合意に向け努力している」と述べ、コメなど農産物重要5項目や自動車分野を重点的に進める姿勢を強調した。

■『甘利発言に異論続出=「TPP譲歩」を批判-自民農林族
時事2月18日

 甘利明TPP担当相が環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐり、米国に譲歩案を示す考えを表明したことに関し、自民党の農林族議員から異論が続出した。18日午後の党農林関係合同会合で、中谷元農林水産戦略調査会長が「交渉前に所管大臣が余計な発言をして、(交渉を)統率できるのか」などと批判。出席議員から大きな拍手が起きた。

会合では、重要農産品5項目の関税維持を求めた国会決議と発言の整合性を問う声や、「(5項目のうち)コメや砂糖を守って、牛肉、豚肉を差し出すのか」といった発言が出た。経済産業省出身で、官僚時代に対米交渉の経験がある斎藤健農林部会長は「米国は、日本を押しまくれば最後は降りると考えている」と指摘した。
 政府でTPP交渉を担当する渋谷和久内閣審議官が会合に呼ばれ、「皆さんの意見を大臣に伝える」と釈明に追われた。」

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伝家の宝刀を取り上げられた裸のマッチョUSTR

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米国が日本をファースト・ターゲットにしていることは、新たな米国の提案でわかります。

「米国は日本の重要5分野を含む農産品に対し最長20年の猶予期間を設けて関税を撤廃する案を提示。輸入車の関税撤廃を日本の農産品の市場開放と引き換えにする構えをみせることで、重要5分野の関税を維持したい日本に揺さぶりをかけている」
(産経2月23日)

話になりませんね。20年間というのは、TPPの猶予期間といわれる10年間の倍です。

通常のFTAでは米韓FTAでは、2年後の2016年には一般自動車、8年後の22年にはSUV(ライトトラック)の関税撤廃が決まっています。

これでは、日本は自動車業界はなんのメリットもないばかりか、重要5品目も守れないということになります。フロマンさん、なにトボけたこと言ってんだか、です。

さて日本では名前ばかり有名ですが、あまり知られていないのが、USTR(米通商代表部)はどこに所属し、なにをするための機関なのかということです。

日本流に考えると、米国の貿易一般の交渉事なら商務省がやればいいのですから、屋上屋になりはしませんか。

答えは、商務省貿易局は貿易交渉において一部の権限しか持たされていないのに対して、USTRは商務省には属さない大統領府直轄の機関です。

しかも、通商代表は閣僚ポストと同格な上に外交特権まで持つ大使待遇です。

閣僚&大使待遇ときていますから、すごいポストを作ったもので、通商代表の鼻の穴が拡がるのもむべなるかなです。

USTRは誕生自体は1963年ですが、初めは通商の締結・運用ていどのおとなしい存在でした。

それが1980年代に、WTOなどの多国間貿易交渉が増えたことに対応して、強大な権限を与えられて通商交渉全般を仕切らせる役割を与えられました。

1980年代と言われて何か思いあたりませんか?そうです、デトロイトで日本車が全米自動車労組の組合員によって10ポンドハンマーでブチ壊されていた時代です。

あの米国が日本の貿易攻勢におびえていた時代が、USTRの強大化した時代なのです。

議会が日本を標的にした包括通商法スーパー301条(不公正貿易国と行為の特定・制裁)の権限をUSTRに与えたあたりで、USTRは一挙にゴジラ化しました。

スーパー301条は、1988年に出来た不公正な貿易慣行を続ける国に対する制裁手続き条項です。

米国が輸入障壁のある国と指定して、3年以内に改善されないと思えば報復のため関税引き上げを一方的に実施できるというもの騒がせな条項です。

不満があればWTOなりに提訴すればいいのであって、それを一国の恣意で制裁を課せるというのですから、GATT違反に決まっています。

そしてこのスーパー301条というダンビラを振り回す特権を与えられたのが、他でもないこの大統領府直属のUSTRだったわけです。

USTRには、TPA(大統領貿易促進条項)に一括承認手続き」(ファースト・トラック)という特権が付帯しています。

国際交渉の結果はどこの国でも議会への報告と承認が必要ですが、一括承認続きとはUSTRが多国間貿易交渉でまとまった貿易上の合意事項を、ひとつひとつ議会で承認を経ることなく一括で通せるという権限です。

米国はなんてメチャクチャな権限を、一機関にすぎないUSTRに与えたものかと驚きます。

TPPならおそらく100本くらいの国内法を改定しなければならないはずですが、それを一本の法案でできるというんですから呆れます。議会無視の権限といっていいでしょう。

わが国なら、ひとつひとつ当該の省庁が作って国内法改正案を作って国会を通さねばなりません。

たとえば、米国が要求している知的財産保護の期間延長がTPPで合意されれば、これで改定しなければならない国内法は特許法から薬事法までかなりの数に登るはずです。

これをひとつひとつ国会で改正法案を可決して、ようやく批准の運びとなるわけです。考えただけで気が遠くなります。

TPPが国内法を超越する国際条約であるために、先に国際条約で合意して、その時に内容が初めて国民に明らかになり、初めて国内議論が始まるというゴールからスタートというヘンテコなことになっています。

ここがたぶんTPPの最大の矛盾で、国内法を外国によって変えることができるので、国家主権の毀損につながりかねません。

いちおう日本には国会批准という安全装置がついていますが、米国のTPAにはそれがないので、議会は怒りだして大統領宛てに民主、共和を問わず多くの議員が署名したTPP反対書簡を送りました。

そこで今のTPPがらみの交渉でUSTRは、この一括承認手続きができる「貿易促進権限」(TPA)を与えないことされてしまったのです。

ですからフロマン通商代表は、「日本の閉鎖市場をバールでこじ開けてやる」と息巻いたボーカス氏と同じ肩書でも、腰には何もぶら下げていない丸腰の裸のマッチョなのです。

いくらマッチョが、「お前は全部呑め!オレはひとつも呑まんゾ!」と喚いても、相手国から「TPA(貿易促進権限)も持たされてない弱虫なくせに、よー言うよ」とカラ元気を見透かされてしまう始末です。

これでは22日からのシンガポール会合でも、足元を見られて鼻であしらわれるのが関の山です。

こんなたいした権限もない新代表を、バトルロイヤル状態で末期症状を呈している今のTPP会合に投入しても、まぁどうにもならないでしょうね。

TPPの米国内のリミットは、米国中間選挙と見られていますから、おそらくはこのまま決まらないでオバマ氏はグズグズの姿勢のままそれを迎えることになります。

今や脇役だったはずの日本のほうが、なんとか米国に成果を出してやりたくて、手助けしているようなかんじさえ受けます。

余計なおせっかいで、米国内でも全米自動車労組を先頭に農業界までも反対に回っているのですから、さっさと脱退するか、このままいつまでもダラダラ決まらない交渉をしていればいいのです。

NZなどの6カ国のオリジナルTPPを米国中心のグローバリズムに改変しようとしたオバマ氏は、無理が分かって情熱を急速に失いつつあります。

政治的にも完全なレームダック(死に体)です。国内支持率は去年12月にはとうとう41%まで下落してしまいました。

おそらくはオバマ・ケア(医療保険改正)だけをなんとかモノにして、あとの期間は何もしないつもりです。

まぁ、やる気も元気も根性もないので、米国の没落を決定づけた大統領と後世言われること間違いなしですね。

ですから、外交的な揉め事に発展しかかっているTPPなどから早く自由になり、少しでも国内向け政治の前進をとりつくろって中間選挙に臨みたいのだと思います。

こんな落ち目の三度笠のオバマ氏に日本政府は付き合う必要はまったくありません。オバマ氏の任期が切れる3年後までにはTPPは露と消える運命にあるのですから。

今までの米国は、年次改革要望書のような利己的でわがままな経済的要求を他国に突きつけてきましたが、それは域内の安全保障に責任を持つという前提に於いてでした。

それを放棄して、「お前は全部イエスと言え。オレ様は全部ノーだ」と言われてもねぇ。

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■<TPP>関税以外も問題山積 米国の強硬姿勢に不満も

毎日新聞 2月24日シンガポール宇田川恵】環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉が難航しているのは、日米の関税交渉が進まないことに加え、知的財産権に関するルールなど、交渉参加国間で妥協点を探れない問題がなお山積しているためだ。「米国に譲歩する姿勢が見えない」と、難航分野で強硬姿勢を崩さない米国への不満もくすぶっている。

 「想定以上に積み残された課題が多い。がっかりしたような、やや安堵(あんど)したような複雑な思いだ」。日本側のある交渉関係者はこう話した。「安堵」というのは、今回の閣僚会合が始まる直前まで、日本だけが他の11カ国から攻められて孤立するという懸念があったためだ。

 これまでの交渉で日本はコメや牛・豚肉など重要5項目(586品目)の関税維持を強く求め、米国は関税全廃を要求してきた。「日本以外の交渉参加国すべてが100%かそれに近い自由化率を提示している」(交渉筋)といわれ、日本の形勢が悪いのは明らかだった。

 しかし、今回の閣僚会合や事務レベル協議では、関税以外の課題も山積していることが改めて浮き彫りになった。どんな物品が関税撤廃の対象となるかの基準を定める「原産地規則」の議論も集約にはほど遠い状態。24日に進展があったという知的財産権も、新薬の保護強化を求める米国に対し、早期に後発薬を開発したいマレーシアなどとの対立は根深い。

 各国間で「日米交渉が進めばTPPも進む」との共通認識はあるものの、「日本だけを攻める状況ではない」(日米以外の交渉関係者)。厳しい交渉環境の一因が「米国の強硬姿勢にある」との見方は強い。

 11月に中間選挙に入る米国は、製薬、農業、コンテンツ関連など国内の主要団体がTPP交渉に目を光らせ、安易な譲歩ができない。このため、日本との関税交渉だけでなく、他国との交渉でも大きな譲歩をしていないとされる。さらに、米議会が貿易協定に関する権限を大統領に一任する「貿易促進権限(TPA)」法案が成立するメドも立たないため、米国以外の参加国も最終的な譲歩案を出しづらいという事情もある。

 今回の閣僚会合では、「準備も整っていないのに妥結などできるわけがない」という不満の声が複数の国の交渉関係者から上がった。しかし、「最後の最後に合意の道筋が見えてくる場合もある」として、各国はギリギリの交渉を続けている。

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USTR 「オレは全部ノーだが、お前は全部イエスと言え」

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ひさしぶりにTPPの報告です。わがブログの主要テーマのひとつだったのに、なぜこんなに間があいたのかといえば、それはゼンゼン進んでいないからです。

今シンガポール閣僚会合をしていますが、予想どおりピクリとも前進しません。 (欄外参照)

原因としては、米通商代表部(USTR)の通商代表がマイケル・フロマン氏に変わったことで、なんだTPPってこんなもんだったのかと各国にバレてしまったことが大きいですね。

なんせあの人、身体がレスラーばりのデカマッチョ。デカイのは身体ばかりじゃなくて、態度もデカイ。

米国民主党政権は、クリントン、オバマと二代続けて大統領からして弁護士。ファーストレディも弁護士。閣僚も弁護士だらけと、うっとおしいまでの弁護士政権です。

このフロマン氏は、シティグループの幹部からTPP交渉もかじった経験があるようです。

しかし、オバマ氏に選ばれた最大の理由は、なんと言っても ハーバード大学の同期て同業の弁護士だったことでしょう。

そんなバカな、米国は能力主義なのになんてナイーブに思われる方も多いでしょうが、オバマ氏の外交人選は情実と論功報償だらけで、米国議会から批判を浴びているのです。

キャロライン・ケネディ駐日大使も、外交はおろか政治の経験もなく、ただ大統領選時の強力なサポーターだったというだけの理由で日本に来ました。

もちろん彼女は、わが国の歴史も伝統もなにも知りません。沿岸イルカ漁の歴史も勉強せずに、こともあろうに環境テロリストのシーシェパードからの情報を鵜呑みにする人物のようてす。

そんな彼女に、ケネディ・ブランドの好きな日本人の多く「失望」しました。ちなみに、彼女も弁護士です。

あるいは、オバマ氏の大統領選に130万ドルかき集めたジョージ・ツニス氏は見事ノルウェイ大使になったのはいいのですが、就任早々言った台詞が「ノルウェイ大統領閣下」。

あの~すいません、ノルウェイには「大統領」はいないのですが。大統領とは元首のことで、ノルウェイの元首は国王です。

おいおい、そんなことも知らないで任地に来たのかいと内外からの爆笑に包まれています。

ハンガリー大使には、テレビでメロドラマを作っていたコリーン・ベル氏が任命されました。

この選任理由も多額の寄附をしたからだけというのですから、オバマ氏が外交をどう考えているのか察しがつくというものです。

今、東欧ではウクライナのように、ロシアとEUとの綱引きでたいへんに緊張した情勢なのですが、1月の上院外交委員会公聴会に出席したベル氏の、「米国にとってのハンガリーの戦略的な重要性はなんだと思うか」という質問に対しての答えがふるっています。

「ビジネスの機会を広げ、貿易を増すことが重要だ」。チャンチャン。

東欧が新たな火薬庫になろうとしている時に、火薬庫にビジネスチャンスを求めに行くとは、武器でも売りこむんでしょうか(苦笑)。

このUSTRのフロスマン通商代表も似たようなレベルのようです。彼にとって、オバマ氏が安倍氏と交わした「お互いに重要品目は尊重する」という首脳間の約束事はもう完全に忘却の彼方のようです。

このフロスマン新通商代表になって、彼が言い出したのは、「米国の関税は全部据え置く。日本は全部ゼロにしろ」です。

これでは交渉にすらなりません。日米とも関税撤廃には「聖域」があり、お互いにどこを譲るか、どのように交渉点を絞っていくか、お互いに国内への影響を減らせるのかがミソなはずで、初めから「お前は100%、オレは0%」では話にもなりません。バッカじゃないか、この人。

しかも、今TPPは完全に暗礁に乗り上げています。オージー・NZvs米国、米国vsASEAN、米国vs日本、日米vsその他全部といったバトルロイヤル状態になっており 妥結のめどはまったく読めなくなっています。

そんな時に、よりにもよって能が足りないデカマッチョを情実がらみで送り込んで、オバマ氏はTPPをどうする気なんでしょう。

さぞかし甘利TPP担当大臣は頭を抱えたと思われます。舌癌にもなるわけです。お気の毒に。

もちろんフロマン流「オレゼロ、お前100%」では交渉になりませんから、わが国交渉団は親切にも、「米国が日本車に課している2・5%の撤廃時期を示せば、農産品5項目の一部で代案を出す用意がある」と誘い水を向けたようです。

この日本側の譲歩とは、重要5品目の中であっても、例えば牛肉で一定枠の限定量の範囲内で関税引き下げに応じるという妥協策です。

本来は突っ放しておけばいいのに余計なことをと思いますが、日本は妥協の名人ですからね。

前にWTOでやったコメのMA米のようなやり方ですね。その代わり米国も少し自動車で譲って欲しいということです。

たとえば、自動車関税で、SUV車になんと未だ25%という法外な関税をかけています。

SUV車というのはスポーツ多目的車のことで、ジープ・グランドチェロキー、フォード・エクスペディションといった米車が日本で競争力を持つ数少ない分野です。

もちろん競争相手は多く、トヨタ・ランドクルーザー、英国ランドローバー・レンジローバー、独ベンツGLクラスなどの強力なライバルかひしめき合っています。

これらライバルに25%かけているのですから、米国っていつから発展途上国になったのでしょうね。

日本は自動車関税ゼロです。米国は輸送費を除けば、米国内と同額で日本で販売できるのです

それにもかかわらず米国車が売れないのは、単に米車が魅力ないだけではなく、日本で真面目に販売店網を作らず、したがって壊れてもアフターケアが貧弱であり、中古車市場にも無関心なために乗り換えもできない、といったナイナイ尽くしの理由があるからです。

だいたい右ハンドル車も生産停止にしておいて、なに言ってんのですか。

ところが、米国は自分の怠慢を棚に上げて、「日本の自動車市場は中世だ。貿易外障壁だ」とイチャモンをつけて、日本がこの「貿易外障壁」を撤廃しない限り、米国は自動車関税をびた一文譲らないというのが基本態度です。

米国は自動車関税を、「オートモービル」(automobile)と「ライト・トラック」(light truck)に分けていて、前者は2.5%、後者はいきなりのケタがひとつ多い25%です。

いかにライトトラックを保護したいのかわかります。

このライト・トラックの高関税は、50年前にヨーロッパの貿易戦争の結果だったようで、米国は、フランスと西ドイツが米国産チキンに高関税をかけたのに腹を立てて、報復関税としてライト・トラックに25%の関税をかけました。

チキン関税に自動車の関税報復という構図は今の日米関係と一緒で、米国がいかに農産物の輸出が重要なのか分かります。

これがそのまま残って、自動車業界と、米国民主党の支持基盤である全米自動車労組(UAW)の既得権益になったというわけです。

ですから、米国はこの25%のライトトラックの関税を撤廃することは100%ありません。

このような戦略なき強硬戦術という人物を大学の同窓のよしみで送り込んでくるというオバマ氏のセンスかわかりません。

勘ぐるとオバマ氏のことですから、「もうTPPなどお終いだ。悪いのは全部日本のせいにして名誉ある撤退だ」くらいに考えているのかもしれません。

もう少し続けます。

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■TPP閣僚会合 甘利氏「日米差埋まらず」 交渉長期化に危機感
産経新聞 2月23日(日)

【シンガポール=会田聡】22日にシンガポールで開幕した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合では、政治判断が必要な難航分野の論点を解決できるかが焦点になる。ただ、日米が対立する関税撤廃に加え、知的財産の保護、国有企業改革などの分野は米国と新興国の溝が依然埋まっていない。膠着(こうちゃく)状態を打開できなければ、妥結のメドが立たないまま交渉が長期化する“漂流”の恐れも出てくる。

 12カ国はこの日の全体会合で、2国間協議を中心に議論を進めることで一致した。甘利明TPP担当相は同日夕、現地で米通商代表部(USTR)のフロマン代表と会談。米国が関税撤廃を求める日本の農産品の重要5分野の扱いなどを協議したが、「双方の立場の差は埋まっていない」と述べ、25日までの会合で再度会談する方針を示した。

 12カ国が今回の会合で目指すのは、閣僚でしか解決できないような難航分野の「落としどころ」を見つけ出し、交渉官に詰めの作業の方向性を示すことだ。

 そのために甘利氏は「各国とも柔軟に対応し、大きな方向性を見いだす」と述べた。この日は米国のほかマレーシア、ベトナムなどの担当閣僚と相次いで会談。他国の閣僚も同様に2国間の会談で歩み寄りの方策を探った。

 ただ、各国の立場は依然として大きく開いている。関税と並ぶ難関の知財では、大手製薬企業を抱える米国が知財収入を増やすため、新薬の特許期間を延長するよう提案。これに対し、マレーシアが特許切れの安価なジェネリック医薬品(後発薬)への影響を懸念して反発している。

 国有企業をめぐっては、米国や日本が民間企業の海外進出を妨げているとして、新興国に民営化や優遇措置撤廃などの改革を求める。だが、主要企業の約4割を政府系企業が占めるとされるマレーシアや、ベトナムが雇用などへの影響を理由に首を縦に振らない。

 ほかにも公共事業の入札を扱う「政府調達」で日本が要求する市場開放に各国が難色を示すなど、「多くの未解決な懸案が残っている」(マレーシアのムスタパ貿易産業相)。

 12カ国は今会合を「最後の閣僚会合」と位置付けるが、昨年12月の前回会合に続いて物別れに終われば「(妥結が)かなり先に行ってしまう」(甘利氏)と危機感を募らせている。

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週末写真館 シルエットの朝

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こんなに眠い一週間はありませんでした。ソチの見すぎです。
ろくに寝ないまま、習慣になっている朝の湖撮影に行くのですから、われながらよくやる(苦笑)。

今回、やはり記憶に残るのは浅田選手ですね。重圧から絶望へ、絶望の淵から立ち直って歓喜へ。私も泣いてしまいました。
メダルだけではオリンピックは語れないことを教えてもらいました。

メダルの色が気に食わないと怒っている国があるようですが、気毒な人達です。
あの人達には、スポーツが何故人の心をこれほどまでに揺さぶるのか、きっと永遠にわからないのでしょうね。


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瀬戸際戦術を突き進む沖縄政界と、そこから降りた仲井真知事

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浅田さんよくやった。1日でよくここまでリカバリーした。きみの悔しさは私たちの悔しさだ。胸を張って帰ってこい。ありがとう!

さて気を取り直して、昨日からの続きです。 

案外昨日のようなテンプレ記事を一番喜んでいるのは、那覇地方合同庁舎に棲む内閣府沖縄担当部局の官僚たちかもしれません。 

こんな記事で本土人が年間3000億円もの巨額の振興予算を気前よく沖縄に注ぐことを納得してくれたのなら、ありがたい話じゃありませんか。 

へんな話ですが、沖縄で反日感情が強くなればなるほど、本土政府からの振興予算は比例して増えるのですから、担当部局官僚たちは内心、どんどんやって欲しいくらいのはずです。 

予算が増えれば、官僚の権限も増える、革新陣営の中核である官公労も潤う、自民党の基盤の建築業界も島内みんな万々歳です。

馬鹿馬鹿しいのは、私たち県外の納税者だけです。 

他県では想像できないことですが、沖縄は基地カードという最強のカードを持っているために、政府と闘う姿勢を見せれば見せるほど掛け金、つまり振興予算が増えるという仕組みがあります。

基地公害といっても、それをまともに受けているのは本島中部だけで、南部や離島は空高く飛ぶ米軍機を見かけるていど、北部も大部分が原生林の中なので住民にはほぼ無関係です。

弱者が、他をもって替えがたい「基地」という最強のカードを握った場合、それは交渉のカード足り得ます。ういうことを嫌な言葉ですが、弱者の恫喝と呼びます。

かくして復帰後10兆円もの巨額な振興予算が注ぎ込まれてことは何度か書きました。 

もし、沖縄が「基地」という切り札がなければ、政府は復帰後累積10兆円までの予算投入はしなかったはずです。 

これとはまた別枠で、基地に対する防衛施設庁がらみの軍用地代や地元交付金があります。

軍用地主に支払われる地代だけで年間900億超に達し、その他に基地から上がる固定資産税、交付金などが占める自治体の財政依存度は、キャンプハンセンのある宜野座村では4割に達します。

もっとも基地が集中する中部では、基地なかりせば自治体財政は即破綻するでしょう。それほどまでに骨がらみなのです。

一方、基地が存在しない南部では 開発が進み那覇広域圏となっているために、むしろ基地などないほうかいいに決まっています。

自治体が基地をどう思っているのかに対しては南北差があり、オスプレイ反対運動で「オール沖縄」の音頭をとったのが翁長那覇市長と伊波前宜野湾市長だったのは象徴的です。

いわば基地の「資産価値」が違うとでも言ったらいいのでしょうか。

さて沖縄関係予算は、最大だった08年度で年間4393億、平均2000億後半から3000億円です。これは県の自主財源の3倍に達します。

これだけでも充分にすごいのですが、実はこの他にも「陰の振興予算」が隠されています。 

政府補助金率は他県と違った算定基準に基づいています。この補助金比率は、振興予算額には現れない「陰の振興予算」とも言われています。

公共事業に対する政府補助金率は、他の県では平均して5割前後ですが、沖縄県のみは9割以上の補助金率です。

では具体的に、本土と沖縄県の補助金率を比較してみます。 

・公立学校の整備                ・・・本土33~50%  沖縄県75~85%、
・国道、空港、港湾などのインフラ整備   ・・・本土55~70%  沖縄県95% 

・河川改修整備                  ・・・本土50%     沖縄県90%
・農業関連基盤整備               ・・・本土50~70%  沖縄県95%
 

さらにこの「陰の振興予算」は、公共インフラだけではなく市民生活の隅々にまで行き渡っています。それが沖縄だけに適用されている軽減税率です。

復帰特別措置として継続されてきた主な税の軽減措置は以下です。 

・泡盛やビールに対する酒税
・ガソリンなどに対する揮発油税
・地方道路税
・本土-沖縄間の航空燃料税
・観光業、情報通信業、電力会社に対する法人税

このうち酒税は、復帰から5年間の期限つき減免措置でしたが、7回延長して未だ続いています。 

このような手厚い国からの支援を一番潤沢に享受しているのが公務員です。県職員の平均賃金は722万円(04年度)で、県内平均賃金の340万円の2倍以上です。

2006年に行われた県の外部監査報告ではこのような指摘を受けています。

国家公務員の給与を100とした県のラスパイレス指標(※国家公務員の地方公務員との所得格差指標)は99.3と47都道府県で31位で、県民所得が最下位なのに、疑問の余地が大きい」

これは公務員だけがいち早く国家公務員並の賃金水準になったのに対して、民間の賃金が全国一低いからです。

ですから、沖縄の若者の憧れの職業は公務員で、その理由はいうまでもなく公務員が島の富裕階級だからです。

この公務員が作る政治装置が官公労です。沖縄官公労には自治労や沖教組、全駐労などが所属して、沖縄革新勢力の中核部隊を作っています。

もう一方の建築業については先日の記事で書きました。

つまり、国の沖縄県への支援の最大受益層は、振興予算の大部分の配分を預かる建築業界と、国家公務員並待遇を得ている公務員ということになります。

そして、前者は自民党の基盤、後者が社民、共産の基盤なのです。

ここに基地の見返りとして出される国からの手厚い支援に、保革が相乗りしている構図が見えてきます。

この人たちが本気で金のなる木である「基地」を切り倒すでしょうか?ありえません。

沖縄社会大衆党というローカル左翼政党の書記長をしていた比嘉良彦氏は、この沖縄の「不都合な真実」を、このように述べた事があります。 

「本来、沖縄の保守と革新の間でイデオロギー対立はありません。なにが違うかというと、革新は理想論を主張し、保守は現実論を言う。そして沖縄全体で政府から振興資金を人出す役割分担か続いてきました。
1972年の本土復帰も、運動を主導したのは教員と官公労です。本土並を目指して公務員はほぼ本土並になりました。復帰で一番恵まれたのは公務員だったのです。公務員は県内の勝ち組となり、同時に革新勢力の担い手でもありました」
 

沖縄革新は「安保粉砕・基地撤去」を叫ぶことで政府を左から追及し、保守もまた「沖縄の心」を叫ぶことでそれに相乗りして出来たのが「オール沖縄」体制だったわけです。

本土における自民-社会の野合的55年体制の沖縄版とでも言ったらいいでしょうか。

一見、振興予算を否定しかねない反基地闘争をしながら、より本土政府のハードルを高くして、より多くの見返りを取ろうとする瀬戸際戦術でした。

仲井真知事はこの愚かしい御輿を見切って、現実的解決に踏み込んだわけです。

現実的解決をせねば、普天間の固定化が確実になり、他の返還計画も凍結され、日米地位協定交渉も始まらないと見たからです。

そして担いだ御輿から降りられた担ぎ手の保革は、怒り狂って百条委員会(※)まで作って知事をバッシングし続けているというわけです。

降りた仲井真氏と、緊迫する極東情勢も省みず、あいも変わらぬ瀬戸際戦術のデキレースを続けている人々とどちらがまともな政治家でしょうか

この瀬戸際戦術を美化しているのがテンプレ記事であり、陰で笑っているのが合同庁舎の官僚集団なのです。

沖縄における政治表現には必ず裏があり、言っていることと本音は大きく離れている場合が往々にして見られます。その典型がこの間の普天間問題なのです。

※百条委員会   地方自治法第100条に基づくところからの通称》地方議会が必要に応じて設置する特別委員会。自治体の事務について調査する。関係者の出頭と証言、記録の提出を請求できる。正当な理由なく関係者が出頭、証言、記録の提出を拒否したときは禁錮または罰金に処することができる。(goo辞書) 

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「普天間屋」のテンプレ記事の薄っぺらさ

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天は我を見放した。浅田ボロボロ!信じられないほどひどい結果。オリンピックは怖い。

さて気を取り直して本題へ。那覇支局ほど変な支局は全国にないかもしれません。 

気分は地方支局というより、異国に来た特派員といったところでしょうか。沖縄は地元2紙の完全独占で、全国紙はかぎりなくゼロです。 

支局さえ2紙の社屋の中にあります。産経なんぞ、社論が真逆な琉球新報の中にあるので、気分は平壌特派員かもしれません(冗談です)。 

また全国紙のシェアはゼロなので、とうぜん読者がいません

読者がいない支局なんて、一体なに?ですが、とうぜんのこととして読者がいないので、情報が集まって来ません。 

記事を出稿する段になっても、本土のデスクが考えた「沖縄らしさ」が要求されるために苦労します。 

地味で時間がかかるルポを書いても、本土のデスクが紙面をくれません。

記者会見に行っても、そんなしゃれた設定をしてくれるような団体はだいたい島のボス然としている官公労か政党と決まっています。

それ以外に取材したくても任期が短いので、なかなか人脈ができません。

仮に出来ても、そこで仕込んだことをそのまま書くと、本土のデスクに「これじゃあ載せられないな」とボツにされます。

なぜなら、ボスが欲しいのは、複雑な島の内情などではなく、社論に合った記事だけなのです。

というわけで、初めから結論が決まっていますから、必要なのは分かりやすい筋書きと書き割りです。

その「劇」には3種類のタイプの人間集団しか登場しません。

まず島を悪くしようと企む悪玉の「日本政府」と、それを裏で操るもっとも「悪い米軍」です。

次にこれに対して雄々しく戦う「怒れる沖縄民衆」です。

基本のテンプレート(ひな型)はこれだけです。この3種類のキャラクターに、手下があり、裏切り者が出たりという多少のドラマがあって「劇」は進行していきます。

ストーリーとしてはいたって単純。

あるところに平和に暮らす島がありましたとさ。そこに悪い「米軍」が攻めてきて、たくさん島民を殺したあとに、「銃剣とブルドーザー」で基地を作って威張っていました。

いつも女の人を手込めにしたり、危ないヒコーキを飛ばしたりしたので、島の人は相談して揃って、「日本政府」の代官になんとかしてほしいとお願いに行きました。

けれど「日本政府」は、「米軍」の代官なので、帰れ、帰れと追い返して相手にしてくれません。

それどころか、「米軍」のご機嫌を伺うために美しい海岸を埋め立てて新しい基地まで作っろうとする始末です。

そこで、島の人はみんなで団結して島ぐるみて戦おうと誓い合いました。

ところがなんと、島のリーダーが金で裏切って寝返ってしまったのです。けれど、こんなことでは島の人の団結は崩れません。

改めて新しい基地を許さず、平和な島を取り戻すまで島の人々は団結して日夜戦い続けていくと誓いあったのでした。(♪音楽高まる)

はい、だいたいこんなところでしょうか。このようなストーリーは表面的には真実を含むが故にそこで止まってしまってはそもそも新聞記者などいらないのです。

ここから掘り下げてジャーナリストとしてナンボでしょう

このテンプレに忠実な例文を欄外に一本乗せておきました。

プロの記者の文章というより、なんか朝日の社説を読み始めた中学生のような作文で、肩に力ばかり入っているわりには、事実の表面をなぜただけで、彼の足を使った取材がまるで見えてきません。

この記事の締めでは、沖縄とはなんにも関係ない祝島の脱原発運動家まで引っ張りだして安倍政権への恐怖を語らせています。

毎日新聞の社論の反安保、脱原発、反安倍のポイントを忠実に押えて書きましたというところでしょうか。

こんなテンプレ記事を書く記者に、私は「テンプレ記者」(テンプラではありませんよ)の称号を奉っておきます。

このようなテンプレ記者に仲井真知事の複雑な苦悩など逆立ちしても理解できるはずがありません。

したがって仲井真知事に象徴される「沖縄の悲哀」など永久に理解できないでしょう。なにせあるのは善と悪が闘う紙芝居だけですから。

去年の暮れ、私は知事と金平キャスターとのやりとりについてこう書きました。

「(金平キャスターは)反戦イデオロギーで裁断して「公約との整合性」を攻撃しただけです。
なんと人として薄っぺらいことか。報道という仕事は、野党と同じではありません。現実の中で苦しみもがく人々を伝えることです。
報道は正義の代弁者ですらありません。矛盾に満ちて、重く生きる人に寄り添うことがその仕事なのではないのでしょうか」
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-8979.html

金平氏のようなベテラン・テンプレが敷いたレールの上を、このような見習いテンプレが追随しているみたいです。

ジャーナリストとして楽といえばこれほど楽なことはないでしょうし、惨めといえばこれ以上惨めなことはないかもしれません。

なにせやっているのことは、ただテンプレの文字を入れ替えているだけですから。

きっとこの記者たちは怖いのだろうと思います。

自分が住み慣れた取材範囲の世界で、聞き慣れた発言だけを活字化にしておけば、摩擦なく数年間を過ごして本土に帰って本社社会部に栄転できます。

なまじ記者魂に火を点けてしまうと、「あんたは容認派だったのか。もう協力じない」などとやられるのがオチです。狭い島社会でそうなったら座敷牢に入ったも同然ですから。

ですから、支局記者同士で飲みながら、「オレらは永遠に普天間屋だなぁ」とこぼし合うのでしょう。

長くなりましたのでもう一回続けます。

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.[テンプレート記事の見本]

■普天間飛行場:辺野古移設着手 「民意無視」に強い反発
毎日新聞 2014年02月02日

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画は、地元の名護市長の反対にもかかわらず、政府が移設方針を変えていない。だが、基地問題にかかわらず、政府が地元首長の反対を押し切って政策を強行するのは異例。国策のためならなりふり構わない安倍晋三政権の姿勢に「民主主義の否定だ」との批判もあり、国と地方のあり方や国策の進め方が問われている。【佐藤敬一】

 「関係法令に従って着実に進めていく」。辺野古移設に反対する稲嶺進市長が再選を決めた名護市長選から2日後の1月21日、小野寺五典防衛相は辺野古移設を進めることを明言。「地元の理解は得られているか」と問われると「県の承認をいただいている」との言葉を連発した。 

 政府は昨年末、沖縄県の仲井真弘多知事から辺野古沿岸部の埋め立て承認を得た。移設に向けてようやく法的手続きを終えることに成功し、長年の懸案に決着を図りたい考えだ。市長権限を駆使して移設を阻止する構えを示す稲嶺市長に対し、埋め立て工事に関する入札を公告し移設作業に着手した。 

 政府の強行姿勢に沖縄では反発が広がっている。県議会と市町村議会が次々と移設断念を求める政府への意見書を可決したのはその表れだ。1月24日に可決した北谷(ちゃたん)町議会の中村重一副議長(60)は「名護市長選で示された民意を無視し、権力で工事を進めようとするやり方は異常だ」と憤る。 

 沖縄は戦後の米国統治時代「銃剣とブルドーザー」で土地を奪われ、基地が造成された。一方、日本政府は地元の理解を重視して基地政策を進めてきた。普天間問題が長く膠着(こうちゃく)状態にあるのもこのためだが、今回の政府の姿勢について、中村さんは「『銃剣とブルドーザー』以上の横暴さではないか」と批判する。 

 不安を抱くのは沖縄に限らない。中国電力が山口県上関町で計画する上関原発に反対する同町祝島の農業、氏本長一さん(63)は「基地問題と原発問題は構図が全く同じだ。民意を無視して移設が行われてしまうと、それが安倍政権の『成功体験』となって原発政策でも強引にやってくると思う」と語る。 

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自然保護を都合いいときにだけ使うな

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沖縄市(旧コザ市)は嘉手納基地の門前町として栄えましたが、ベトナム戦争が終わり、米兵の暴行事件で外出規制が厳しくなると、地元経済も火が消えたようになりました。 

しかし、本土からは使い切れないような巨額の振興予算が毎年3000億円も流れ込み、ありとあらゆる道路や学校を整備しても使い切れません

通常の公共事業は単年度契約なので、一回予算を余らすと次年度に査定されてしまう、という状況が続きました。 

そこで登場したのが大型建設事業である干拓事業です。干拓事業は、計画から工事終了まで10年間を越えるものがザラな複数年予算です。 

建設業はすそ野が広い業種です。建設機械、土木、セメント、砂利、建設資材、運送など広く公共事業に関わる人々が多く、その社員や家族も大勢います。これらの人々の飲食店も沢山あります。 

これらの雇用を維持せねば、その会社だけではなく地域全体が衰退します。 

しかし、一方で工事による海の汚濁に反対する漁業者や、自然保護団体もいます。 

泡瀬干潟の場合、社民党出身で太田昌秀知事の時の副知事だった東門美津子市長は、市選挙公約に干拓反対を唱えて当選した後に、公約を翻して賛成に変身しました。

東門市長は、判決に対しても控訴で望み、「市民が夢を託してきた事業」という美辞麗句を掲げて事業推進の姿勢を改めて明確にしています。

別な例も上げましょう。

石垣市白保地区の海岸 に沿って、南北約10km、最大幅約1kmにわたって白保珊瑚礁が拡がっています。

グレートバリアリーフと比せられる世界有数の規模を誇り、北半球最大とも言われるアオサンゴの大群落をはじめとして世界遺産級のものです。

1979年、こともあろうにここを埋め立てて空港を作るという案を市が言い出し、地元民は反対運動をしました。

結局、あまりに非常識な案であることに加えて、当時の運輸大臣だった石原慎太郎氏も反対を表明し、1989年に白紙撤回されました。

白保珊瑚礁の埋め立て事業に対して、沖縄革新勢力は多少反対のそぶりはみせたものの辺野古とは比較するのも愚かなほど見て見ぬふりをしました。

泡瀬干潟に至っては、東門市長のように埋め立てに加担さえしています。

辺野古で「美ら海を守れ」埋め立て反対と言っていた革新陣営の人達が、一方では「市民の夢の推進」埋め立て推進というというわけです。

さて、誤解していただきたくないのは、このように書いたからといって私は必ずしも埋め立てる側=悪、反対派=善と決めつける気はありません。

どちらにも理があります。埋め立てをする側にも守らねばならない社員や家族かいて、反対する側にも失われていく自然環境への強い思いがあります。

別に沖縄革新勢力だから埋め立てをしたいわけではなく、自民党ならいっそうそうしたことでしょう。どちからが正しいと誰が決めつけられるのでしょうか。

ましてそこに住むわけでもない私たち本土人に、とやかくえらそうにお説教を垂れる資格はないはずです。

それをやるとシーシェパードか、従兄弟がその弁護士をやっているキャロライン・ケネディになります(どうでもいいですが、反対派がこれに便乗するのはアホです)

私はただ、都合がいい時だけ自然保護や「オール沖縄」を持ち出すなと言っているだけです。

沖縄社会の構図は複雑だなと改めて感じます。とてもじゃないが、単純に「オール沖縄」なんていえるほど沖縄社会は一枚岩ではないのです。

ですから私は、よく流布されているような、悪辣な米軍と本土政府は自然破壊と軍拡を企んでいて、それに抗して沖縄県民は団結して平和な「美ら島」を守るために戦っている、なんて単純な二項対立的図式は信じられません。

残念ですが、沖縄の自然保護意識自体は本土よりそうとうに遅れています。

埋め立てに象徴される自然破壊が当たり前だと思ってしまい、その現状に馴れてしまっているのが、残念ながら沖縄の実情なのです。

辺野古の埋め立て方法が議論になった時も、メガフロート構想に頑として抵抗したのは地元の建築業者でした。

なぜなら、メガフロートは本土大手の造船や建設業が技術を持っていて、沖縄の建設業が出る幕がなくなるからです。

代案として沖縄側が出したのが、なんと泡瀬埋め立てなど小さく見えるような巨大人工アイランドでした。正直、その発想の貧困さにゲソっとしましたね。

問題は、これだけの潤沢な予算を提供されながら、それが建設業に並ぶ強い県内産業の育成と県内需の拡大につながらないこと、あるいは環境と調和した経済発展の姿がみえないことにあるのではないでしょうか。

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振興予算年間3000億円の8割が公共事業に消える島

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山梨県などの大雪による激甚災害が心配です。一刻も早く救援の手が差し伸べられることを祈ります。

立ち往生した車に近所の人々が炊き出しをしている姿を見ました。わが国は大震災でひとつ優しい国になったのだなと感じました。がんばれ!

さて昨日、泡瀬干潟(ひがた)の埋め立て事業を見てきましたが、この計画は元々地元沖縄が80年代のバブル期に言い出したもので、沖縄市自身が策定したものです。

他にもこれだけの埋め立て予定地があります。

沖縄県の埋め立て計画がある渚・干潟(ひがた)
1塩屋湾外海埋め立て(大宜見村)
2屋我地島沖人工島(名護市)
3.羽地内海埋め立て(名護市)
4.東洋一の人工ビーチ(読谷村)
5那覇軍港移設(浦添市)
6.那覇空港拡張(那覇市)
7.普天間飛行場移設(名護市)
8.泡瀬埋め立て(沖縄市)
9佐敷干潟埋立(佐敷町)
10新石垣空港(石垣市)
11.小浜架橋(竹富町)
12西表ユニマット・リゾート計画(竹富町)

計画主体が地元自治体な場合、地元の意志だけでこれを取りやめることが可能です。

ではなぜ中止することが出来ないのかといえば、身も蓋もない言い方をすれば、「自然保護では金にならないから」です。 

よく「オール沖縄」とか、「沖縄の心」という情緒的な表現を沖縄側は使いますが、それほど「地元の心」は一枚岩というわけではありません。 

この泡瀬干潟の場合、太鼓を叩いて推進しているのは「地元」でも建築業者の人たちです。 

私は建設業=悪玉論には立ちません。

むしろ、平時において地方において建設業が基幹産業だというだけにとどまらず、災害時の修復のために地場の建設業が欠くことの出来ない存在だということは、東日本大震災の経験を通じて充分理解しているつもりです。 

しかし沖縄の場合、建築業への依存度があまりにも過剰です。 

今まで本土政府が沖縄へ投じてきた累計約10兆円という中国へのODAを上回る振興予算の多くがこの建築業へと吸い込まれています 

沖縄担当部局予算の6割から8割は公共事業関係です。たとえば08年度は振興予算の8割、11年度は1446億円と63%を占めています。 

この「沖縄担当部局」というのは多少解説がいるでしょう。他県にはない沖縄独特のものだからです。

正式には「内閣府沖縄総合事務局」といい、経済産業省、農水省、国土交通省などの中央官庁の統合出先機関で、もちろんこんなモノは沖縄にしかありません。 

この3つの省庁の名を聞いただけでピンと来る人も多いかもしれません。この三省庁こそ、公共事業の国側の三大出先だからです。

この霞が関の出先機関を通じて、毎年約3000億円もの予算が消化されていきます。その支出のもっとも多いのが公共事業なのです。なお、基地関連予算はまったく別枠です。

沖縄は差別され虐待され続けているというのが沖縄革新陣営の常日頃の口癖ですが、むしろ本土政府は腫れ物に触るように気を使っているように見えます。

ただ触り方が間違っているような気がしますが。

たとえば08年をみると、道路、治山治水、港湾・空港、下水道関連、農業農村整備関連、都市環境などへの予算枠だけで、実に2060億円にも登っています。 

もちろん他県でもこのような国の予算配分はありますが、内閣府が一括して企画して地元自治体に出すというのはこの沖縄県だけてす。 

その結果、狭い島内に5000社近い建設業者がひしきめき合い、県内全産業に占める建設業の売上高は8%を上回ります。(欄外グラフ参照)

国会議員も建築業界から多く出ていて、自民党の国場氏や、今はなき国民新党の下地氏などは大手建設会社の経営者でした。 

公共事業が半分にカットされ続けてきた挙げ句、今ようやく公共事業が回復しても肝心な人手でも資材も足りないという本土とは大変な違いです。

泡瀬干潟の埋め立て工事は、総事業費1020億円で、うち357億円が沖縄振興予算から投じられています。 

計画では、中城湾港新港地区から運んだ土砂で東京ドーム21個分にあたる96ヘクタールの埋め立て地を造成し、スポーツ施設やホテルが建設される予定です。 

しかし、判決文にあるように事業計画が杜撰で、一体ほんとうに観光業が進出してくれるのか分かっていないのが現状です。 

「泡瀬干潟を守る連絡会」事務局長の前川盛治氏はいみじくもこう述べています。 

「白い砂を敷き詰めた900メートルの人工ビーチも計画されてますが、本土からのお客さんがわざわざ沖縄まで来て人工ビーチで泳ぐと思いますか? 沖縄は観光の島です。海岸線を破壊することは、観光振興には自殺行為のはずです」 

まさにそうだなと思います。つまり、出来たはいいがホテルも、観光客も来るかどうかわからないが、ともかく建築業としては作りたいので埋め立てを始めました、ということのようです。

建設側も、判決文で改めてそれを突きつけられて、計画の杜撰さは感じているようで、従来のマリン観光一本槍からスポーツ施設やアミューズメント施設に方向転換を図ってはいるようです。

ただし、これも需要予測は甘そうで、同じ沖縄市にある同種の「コザミュージック・タウン」は半分しか入居者がなく、今や一部はゲームセンターと化しています。

これにかかった予算は71億円、施設維持費は年間5千万円です。

建設業界の「必要」で作ったものの,そのハコモノ負担は地元行政が背負い、そこにまた国からの交付金が注がれるといういつもの構図です。

このテーマ長くなりましたのでもう一回続けます。

                  。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚

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環境破壊が進む沖縄の海岸線

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葛西さんすごい!ごめんなさい、ほんとうに銀メダルを取るとは思いませんでした。ほんとうに感激しました。ありがとう!

さて東風様。西海岸にはジュゴンはいないと思われています。辺野古海岸では海草を食べた跡や糞が見つかっています。おそらく回遊のポイントになっているのは確かだと思います。 

辺野古現地の人の話だと、現実に見た人は非常に少ないようで、写真などの映像にはないはずです。 

政府はジュゴンの生態を調査すると約束しており、建設による海の汚濁など環境保全対策がどのようになされるのかが注目されます。 

沖縄においては毎年すごい勢いで島が「拡大」しています。復帰後の37年間だけで2400ヘクタール、東京ドーム約500個分だそうです(国土地理院による)。 

これは今話題の普天間基地5個分に相当し、辺野古飛行場部分埋め立て面積160ヘクタール(護岸を含む)の15倍です。 

この埋め立て地の県面積に対する率は0.3%(2000年から07年間)となり、ダントツ全国一の埋め立て好き自治体となっています。

「国土地理院は31日、都道府県の市町村別面積を発表した。沖縄県の面積は2012年10月2日~13年10月1日の1年間で0・08平方キロ増加し、2276・72平方キロだった。公有水面の埋め立てによる増加で、全国で7番目に大きかった。沖縄の埋め立て面積は過去25年で最も小さい。
 国土地理院沖縄支所によると、1年間の増加面積は那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇の約3個分。県内市町村で面積の増加が最も大きいのは竹富町の0・04平方キロ、次いで沖縄市の0・03平方キロ、糸満市の0・01平方キロと続いた。
 県の面積は1988年からの25年間で13・91平方キロ増加し、北谷町とほぼ同じ面積が増加していることになる。」
(2014年2月2日琉球新報)

特に発展が加速する本島南半分では埋め立てラッシュです。

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          (「沖縄の埋め立てと埋め立て計画-沖縄の渚の現状-)http://www.ne.jp/asahi/awase/save/jp/data/higatagenjyou/index.htm

たとえば、那覇から国道58号線を下ると、ベッドタウンの豊見城には、巨大な豊崎タウンが500億円かけて埋め立て造成されていています。
http://www.toyosakitown.jp/?page_id=17

あまり売れていないということで、計画の杜撰さか問題になっています。 

また中部の沖縄市では、南西諸島随一の天然の海草や貝が育つ泡瀬干潟て゛大型干拓事業が進んでいて、反対運動も起きています。

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上のGoogle Earthで海上に白く見える巨大な島状の場所が干拓地です。

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この泡瀬干潟は、ラムサール条約でも保護することが指定された場所なのにもかかわらず、ここに埋め立てだけて500億円かけて、187ヘクタールの人工島を作りホテルリゾートにする計画だそうです。

2008年には那覇地裁が、訴えを受けて県と市に対して公金支出の差し止めを命じていますが、判決後も工事は継続されています。

この埋め立て工事は、県の答弁では「地元の強い養成による活性化対策」であるとされていますが、県の包括的外部監査で、判決前の07年には「受容予測が甘く計画も抽象的。事業費401億円を投入すべきか検討の必要がある」と指摘を受けています。

反対運動を進めている自然保護団体は、東門美津子市長(社民党)に申し入れていますが、工事は止まる様子はありません。

かつて石垣市の世界有数の珊瑚礁を埋め立てて空港を建設する計画があった時もそうでしたが、観光の最大の目玉である「美ら海」(ちゅらうみ)を潰して観光施設を作るという発想自体がわけがわかりません。

沖縄にとっては観光が主力産業です。その観光の最大の資源は、「美ら海」なはすです。これを破壊して高層ホテルを建てて観光客を呼び込むという迷妄から、沖縄県民はいいかげん醒めたほうがいいと思います。

このように書くと、「ナイチャーが勝手なコトを言うな。自然保護は金にならないさ」という声が返ってきそうですが、それもまた一時代前の発想です。

今はかつてのようなコンクリート護岸ではなく、自然を残して景観と調和した親水型工法が取り入れられた自然護岸が登場してきています。
※親水型護岸
http://www.umeshunkyo.or.jp/108/prom/228/page.html 

沖縄の海岸線は、このまま放置すればとりかえしのつかない醜い景観になっていくことでしょう。包括的海岸線保全計画のようなものを作る時期です。

このテーマもう少し続けます。 

                         ~~~~~~~

※参考文献 
日本自然保護協会
「泡瀬干潟埋立事業で県と沖縄総合事務局が出した「埋立地用途変更」「計画概要変更」などの申請に対しの意見書」
http://www.nacsj.or.jp/katsudo/awase/2011/06/post-22.html

※内閣府
「中城泡瀬蓄埋め立て事業」http://www8.cao.go.jp/okinawa/5/58.htm

l※干潟ひがた tidal flat)世界大百科事典 第2版                  
河口域や湾の奥部の潮間帯には,川から流れ出た砂泥が堆積し,広く平たんな砂泥地ができる。干潟とは,このような場所干潮時,海面上に姿を現したものを指す。その成因から,干潟の砂泥は,きわめて豊富な栄養塩類や有機物を含んでいる。それにもかかわらず干潮時には,毎日2回は空気中にさらされるため,酸素が十分供給され,生物にとって好適環境をつくっている。 干潟には,ゴカイ類,二枚貝類などが,きわめて豊富にすみつき,コメツキガニなどのスナガニ類も多い。

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週末写真館 雪景色の村

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羽生結弦君、おめでとう!すごかったです。ほんとうに嬉しい!万才!

さて関東は大変な雪です。これほど短期間に何度も降るのは珍しいことです。しかも毎回大雪ですぞ。

東北や北海道の皆さんにはなんだこんなものていどなのでしょうか、私たちの地方は年に数回しか雪がない地方。

スキーか好きな人以外はスタッドレスなど持っていません。チェーンくらいはどこかにあったはずと納屋を探し回っています。

カメラ爺にとってはうれしいというべきかな。まったく見慣れた景色が別のものになりますからね。

とは言っても、初めは面白しろうて、やがて悲しき村の雪。

もうかんべんしてくれぇ。


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2月8日大雪の日の太陽光発電所の発電状況とドイツ市民の声

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先日の東京都知事選挙が大雪だったというのも、なんともな巡り合わせでした。

穏やかな5月あたりだったら、また違った結果が出たかもしれません。

雪だから低投票率というだけじゃなくて、都民はこんな酷寒の雪の日にもし電気が足りなくなったらどうするんだと秘かに心配したはずです。

東電の現在の供給状況は東電HPでご覧いただけます。(欄外参照)

この2月8日はあの大雪の日です。太陽光はまったく発電していないのが分かりますね。

また、他社からの受電が614万キロワットももらってなんとか凌いでいるのがわかります。

東電の自社電源のうち原子力だけで総発電量の約4割に当たる1,449万6,000kWありますから、これがゼロになったことの打撃は計り知れないいでしょう。

よく安易に再エネで代替したら大丈夫という人がいますが、日本最大のメガソーラーである東電・浮島・扇島太陽光発電所の1年間の発電量の実績は2315万キロワットですから、1日の発電量にすると天気がよくてもわずか6.3万kWにすきません。

火力がこの日108万キロワット発電して供給を維持していますが、再エネは17分の1ていどにすぎません。

したがって、今東電管内、中でも東京都の電気の供給は、薄氷状況だということが言えます。この日などはおそらく予備率3%を切ったのではないでしょうか。

こういうことを書くと、福島の事故を忘れたのかとか、東電を許さないゾというような感情論が必ず出てきますが、客観的データは知っておいたほうがいい思います。

ですから、もし、他社の火力発電が一基でも故障した場合、東京都にも影響が出ます。というか、大都市だけにもっとも大きなダメージが出るでしょう。

このような原発ゼロの状況を、代替エネルギーの確保が満足ではないまま続けて大丈夫なのか、不安定な再エネに任せて大丈夫なのか、というのが素朴な考えだと思います。

このような素朴だが、ごくまっとうな都民の考えが反映されたのが前回の都知事選の結果だったといえます。

さて、このような電力供給の不安定を日本より一足先に味わっている国民がいます。ドイツ人です。その偽らざる声を聞いてみるのも悪くないでしょう。

フランクフルター・アルゲマイネ紙は、ドイツの新聞です。(※追記 中道右派゛あるいは保守系という話もあるようなので、日本の新聞との比較した部分は削除しました。)

日本のこれらの媒体は脱原発懐疑の声をほとんど載せませんが、ドイツのほうは公平に伝えているようです。

そこに載った読者の声がありますので転載しておきます。なかなかわが国には聞こえてこないドイツの庶民のメルケル脱原発政策への声です。

そこに寄せられた投書にはドイツ市民の本音が赤裸々に語られています。

日本のメディアはなぜこういう普通の人の意見を伝えずに、いつもテレビ・新聞に出るのはメルケル氏の支持者か、意識の高い富裕層ばかり。これじゃあ実態は分かりませんよ。

ちょっと解説をしておけば、この投稿の中で「エコロビーに任せるべきではない。「プロの判断を仰ぐべきだ」という部分がありますが、メルケル氏がエネルギー関係者を完全にシャットアウトして、宗教家や教育関係者などで作った「倫理委員会」で脱原発を決めたことを指します。

また州政府がガス発電所を作ろうとしたが、再エネのFIT(全量固定価格買い取り制度)に阻まれて参入する国内企業がなく、結局ロシア企業に依頼することになりそうだ、という話もでてきます。

これもわが国で発送電分離などの電力自由化政策をFITと同時に行った場合ありえることです。

邦訳がぎこちなかったので、一部内容を変えずに手を入れてあります。名無しだとなんですので、勝手に仮名をつけてみました。

                        ~~~~~

●ハンスさん・エネルギーシフトの失敗は日毎に明らかになるばかりだ。ドイツの電力は限界で、電気代の値上がりもひどい。
なにより雄弁に失敗を物語るのは、プロパガダを叫ぶ奴がほんの小さな成功に大騒ぎして、プロジェクトの成功を声高に語っている。たまたま天気に恵まれて、ほんの少しフランスに輸出しただけだというのに。


●クルトさん・私の知る限り、2011年にフランスから輸入した電力は約18000GWhで、輸出は140GWhだ。
これは輸入超過なんてレベルではなく、130倍もの差だ。だがドイツの政治家とメディアは、エネルギーシフトに疑いを持たせる数字は語ろうとしない。

●ペーターさん・バイエルンではすでにエネルギーシフトは破綻している。原発の半分を停止したため、電力はチェコとオーストリアからの輸入頼み。
州政府はガス発電所を建設しようとしているが、自然エネルギー優先政策のせいで採算が合わないとドイツ企業は撤退し、今はロシアのガスプロムと交渉中。外国頼りで不安だ。
しかも新規発電所の稼働は残りの原発の稼働停止に間に合わないとくる。

●クララさん・エネルギーシフトなんていうのは、素人をその気にさせるためのコピーにすぎない。ドイツは輸出工業立国であり、安くて安定した電力はその命綱だ。
ドイツの存亡に関わる重大な問題をエコロビーに任せるべきではない。プロの判断を仰ぐべきだ。

●ルドルフさん・かつてのドイツは一流の電力産業と一流の原発を有し、安くて安全な電力を生み出していた。だが政治家のゲームに滅茶苦茶にされてしまった。本当の悪夢はこれからだ。

●ジョゼフさん・つい最近までエネルギーシフトを熱く語っていたやつらはどこに隠れたんだ?天候次第では停電してたんだから仕方ないか。
巨額の税金をつぎこんだのに風力と太陽光発電は見込みの2割しか発電せず、そのくせ電気代は去年から2割増しだ。そろそろバカなことはやめるべき
時だ。

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NHK世論調査とスウェーデンにみる脱原発世論とは

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国民の原発についての意識の世論調査(2013年6月)の結果があります。 

NHKが2013年1月に行った世論調査で、アンケートのお題は、安倍総理大臣が、2030年代に原発の稼働ゼロを目指すとした民主党政権のエネルギー政策を見直しの賛否です。(長い) 

・賛成         ・・・43%
・反対         ・・・21%
・どちらともいえない・・・30%
 

最大分布は43%の「見直し賛成派」で、第2位の「どちらともいえない」と合わせると73%にも達しました。 

2012年秋に「民意」とされていた[6割の国民が原発ゼロを望んでいる」(東京新聞)という流れが、転換点を迎えて大きく減少に向っていることが分かります。 

原発ゼロを支持した層は分解して、一部は現実主義的な「見直し賛成」と、判断保留の30%に別れたようです。 

これは、スウェーデンの国民投票結果と、1986年から2010年までの世論調査の推移と重ね合わせてみると分かりやすいと思います。

スウェーデンのヨーテボリ大学・世論メディア研究所が実施した原子力についての意識調査があります。 

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上の意識調査を見ると、赤線(見にくいですが上の線)の原発廃止の意見はチェルノブイリ事故があった1986年を頂点として毎年減少し、16年後の2002年を境目にして原発利用と逆転しているのが分かります。

次に1980年に行われたスウェーデンの国民投票結果ですが、ひとつの事案で国民投票までやって白黒をつけたというのは、原発事故の当事者でもないにかかわらず、いかに国民を二分した課題だったのかが分かります。
 

国民投票で示されたスウェーデン国民の「民意」の内訳はこうです。

①10年以内の原発全廃止・・・39.7%
②化石燃料依存から脱却し、社会に十分なエネルギーを再生可能エネルギーで生産できるようになるにつれて徐々に原発廃止・・58%
③無記入                    ・・・3.3%
 

脱原発に投票したのは約4割、一方「徐々に原発を廃止する」と、「無記入」(現状維持=賛成)で合わせて約6割です。 

ちなみに小泉純一郎氏や山本太郎氏のような、「即時ゼロ」という極端な選択肢は含まれていません。 

つまりスウェーデン人は急激な脱原発ではなく、代替エネルギーをしっかりと確保しながら原子力依存を減らしていくことを選んだのです。 

この国民投票の結果を受けて、2010年まで「原発モラトリアム」という建設凍結政策がなされました。 

というか、なされたはずですが、実は2基が新設されており、期限切れの10年には、代替エネルギーの見通しがつくまでという条件付きでモラトリアムは終了しています。 

さてここで問題となるのは、世論調査の設問の立て方です。 

「30年後ゼロ政策に対して」という前提ですが、賛成、反対という二項対立的な聞き方をしています。 

こんな聞き方をすれば、大部分の人々が「そりゃあ、なけりゃあないほうがいいに決まっている」と思って、「反対」と答えてしまうかもしれません。 

もし、本格的に原発政策について調査したいのなら、もっと絞り込んで具体的に聞くべきです。私ならこう聞きます 

●[原子力発電の今後どのようにあるべきかについてお聞きします]
①一切の原発の再稼働は認めない・即時ゼロにすべきだ
②原子力の代替エネルギーが確保され、国民生活や経済に影響がなくなってから中長期的に廃止の方向に向うべきだ
③安全と審査された原子力発電を維持し続けるべきだ

④わからない
 

②の中長期的は中期的「30年ていど」、「長期的50年ていど」のふたつに分けてもいいかもしれません。 

さて上の設問を先日の東京都知事選候補に当てはめてみましょう。
①の即時ゼロ  ・・・宇都宮氏・細川氏
②の長期的削減・・・舛添氏
③の再稼働   ・・・田母神氏
 

①の得票率合計・・・39%
②の得票率   ・・・43%
③の得票率   ・・・12%
 

ちなみに②と③を足すと56%です。 

さきほど述べたように、スウェーデンはチェルノブイリ事故直後をピークとして、脱原発支持は急速に落ちていきました。 

この傾向が日本にも当てはまるなら、事故後16年後の2027年頃には脱原発と原発利用が入れ替わります。 

いや既に、わが国では既に3年を待たずして入れ替わっていますから、よほど脱原発派がまともな具体政策を出せない限り再逆転は不可能となります。 

この事故後の大事な3年間の間に、脱原発派が飯田哲也氏以外まともなエネルギー政策を出せなかった空白は大きいと思います。

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やっぱり出てきたNHKの愚論「細川と宇都宮足したら4割」

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やっぱりこう言うことを言う馬鹿が出てきました。

東京都知事選の選挙のNHKのニュース番組で、登場した足立記者の分析です。聞き取りですので要旨でご容赦ください。

舛添候補の勝因は組織力だ
都民の脱原発の動きはこれで終わったわけではない
③その証拠に、反原発を唱えた細川候補と宇都宮候補の両方の得票数合計は、投票数の4割になる。

必ずこういうことを言う運動家が出てくるとは思っていましたが、トップバッターがよりにもよって公共放送とはね(苦笑)。

「組織力の勝利」が舛添氏の勝因と言いますが、たぶん46%の低投票率だからといいたいのでしょう。

しかし、この低投票率でもう一人得をした候補がいます。それは共産党が支援する宇都宮氏です。

東京の基礎票は先日も書きましたがこんな所です。
・自民・・・160万票
・公明・・・80万票
・共産・・・70万票

自公の基礎票の根拠は2013年参院選の247万票です。

共産の基礎票の根拠は、2013年参院選の吉良候補の70万票です。

また小泉・細川候補は、組織票といえるものはありませんが、2013年参院選の山本太郎氏への66万票とみどりの党7万票の計73万票に民主の一部くらいは見込めたでしょう。

一方民主は独自候補をたてられなかったばかりか、細川氏に対しての支援も勝手連といった始末で、しかも本来彼らの支持母体の「連合東京」からも離反されてしまってほとんどカヤの外でした。

この基礎票が丸々生きるためには「風が吹かない」ほうがむしろ有利です。つまり、天気が悪かったり、争点ボケしているほうがいいのです。

よく東京の浮動票は3割あるとかいいますが、それほど多くはありません。実際はせいぜい6~10%ていどだと言われています。

しかも「風」はなかなか読めません。候補者の演説に人が集まっても、必ずしも投票行動には結びつかないのが現実です。

それは今回、いちばん見物人が多かったといわれる小泉氏の場合を見れば分るでしょう。

ですから、今回投票率が50%を切った時点で、政治力学的には1位と2位は決定したと言えるのです。

細川氏と宇都宮氏を足せば4割になると足立記者が言うのを聞いて、私は無礼にもプッと吹き出してしまいました。この人ほんとうにこんな程度で政治記者なんですか。

まるで子供の算数だ。そりゃ足せばなりますよ。でも足せなかったんでしょう。統一候補にすることに失敗しました。

そのことが脱原発陣営の最大の敗因です。今のセクト化した運動体質では、相手が小泉・細川陣営でなくとも無理です。

そもそも私がこの間、口酸っぱく言っているように、今や「脱原発運動」と一口で呼べるような運動は既になく、それぞれ勝手にやっているのです。一部では味方を攻撃するのに忙しい所すらあります。

そんな運動の衰退という背景をまったく伝えないで、「足したら4割」ですって、この人は中坊以下!

あるいは、小泉氏が突然飛び出したのが、この足し算が失敗した原因とでも言いたかったのかも知れませんが、小泉さんはジョカーのようなもので諸刃の剣なんですよ。

小泉氏は脱原発票を割っただけではなく、自民党支持層も分解しているからです。

原発は怖いが、共産党には入れたくない」という層の票を取り込んだのが、他ならぬ小泉・細川陣営だったからです。

小泉さんが登場した結果、唯一の脱原発候補だったはずの宇都宮氏に入れる人が減った代わりに、自民党推薦候補に入れる人も減ったのですから、双方痛み分けのような作用をもたらしたわけです。

ただし、自民が目減りした分、「連合東京」の組織票が舛添氏に流入したためにその穴は塞がれた格好です。

つまり、低投票率と小泉効果は、どちらの側にも影響を与えているのです。

さて足立記者は、足し算がお好きなようですから、別な足し算の問題を出しましょう。

43.4+12.5はいくつでしょう?55.9ですね。はい、この数はなんでしょう。

これは原発の長期的削減を主張した舛添氏と、再稼働を掲げた田母神氏の得票率合計です。

この55%を占めた長期削減と再稼働は矛盾しません。長期に削減ということは、当座は再稼働せざるをえないという現実主義だからです。

またこの55%という数字は、他ならぬ足立記者のいるNHKが2013年1月の「民主党の脱原発政策の見直し」についての世論調査の結果と似た傾向を示しています。

見直し賛成    ・・・43%
どちらともいえない・・・30%
・反対         ・・・21%

この「どちらともいえない」というのは、具体案がないので選択できないという事だと思います。

この「どちらともいえない」という中間層が、小泉氏の登場の結果いくつかに分解して、東京都知事選の結果に近い数字になったのではないでしょうか。

この足立というNHKの政治部記者はマスコミによくいる空想的脱原発派だと思いますが、こんなつまらない気休めを言うより、真面目に今の運動の現状を取材して欲しいものです。

「組織票で負けた」なんて安易な分析をしている限り、脱原発派はまた負け続けますよ

だって、脱原発派は逆立ちしたって組織票で、自民党を越えることは不可能だからです。問題の本質は、脱原発統一候補を立てられない弱さなのです。

もし飯田哲也氏あたりで統一できたのなら、かなりいい戦いになったかもしれませんが、彼すら山本太郎氏のような脱原発過激派は「隠れ推進派」と打倒対象にしており、共産党系も乗らないでしょうから、やはり無理なのかもしれません。

明日はスウェーデンの世論調査も参考にして、もう少し掘り下げてみます。

※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-f641.html

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ニューズウィーク誌 山本太郎氏 意見が違う人は「向こう側」に行け

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                  (「ニューズウィーク」誌(2014年2月11日号より)

さて、この脱原発運動の現状の象徴的人物が山本太郎氏なことは論を待たないでしょう。

私は山本太郎氏という人物を、決して嫌いではありませんでした。 

女の子の尻を追うのが好きで、デカイ図体で隙だらけ、天皇に直訴する意味も知らない猪突猛進の「愛すべき野人」といった彼の姿を微苦笑で眺めていました。

しかし、この「ニューズウィーク」誌(2014年2月11日号)の彼の発言を知ると、そうとも言っていられなくなりました。

山本太郎氏はこう述べています。

脱原発派だけどTPP賛成というのは嘘つき」「TPP推進派は『向こう』に行ってくれたらいい。逆に『こちら』の空気を醸し出しながら中立を装うのが一番怖い。それでは第2、第3の自民党だ」(同) 

小出裕章氏も、「原発はTPP、戦争、沖縄問題すべてにつながっている」(同)と似たようなことを言っているようです。

う~ん小出さん、おっしゃりたいことはわからないではないんですが、そんなことを言うと、共産党支持者じゃないと、脱原発運動に参加できなくなっちゃいますよ。

ただ小出氏はその穏やかな人柄もあって、山本氏のように「向こう側に行け」というような極端な言い方はしていません。

すごいのは山本太郎氏のほうです。ひとつ違った意見があれば、「向こう側に行け」ですか・・・。 

私は運動とは仲間作りだと思っていましたが、山本氏にとってはどうやら真逆なようで、運動とは仲間減らし・純化運動だというのです。 

山本氏がこういうこと言う人だったんだぁと一驚しました。 

なんだァ、もう少し愉快な奴かと思っていましたよ。これじゃあ昔の過激セクトと一緒じゃないですか。 

70年安保世代が少し補足解説しましょう。

山本太郎氏の考え方は、彼自身が意識しているかどうか知りませんが、マルクス・レーニン主義組織論がベースにあります。 

ML主義では絶対的正義は自分(革命党)のみが所有し、中間的な考え方を一切認めません。 

元々マルクス主義がキリスト教神学の唯物論的読み替えから始まったために、すこぶる一神教的非寛容な体質です。、

敵か味方か、正統か異端かの二分法しかなく、それ以外は獲得されて指導されるべき「大衆」か、打倒すべき「向こう側」、すなわち「敵」なのです。

脱原発運動のような「大衆運動」の場合、運動のイニシャチブを握って他党派に勝利し、ひとりでも多くの人を「こちら側」に引き込み、党勢拡大を目指します。 

先ほど、純化・仲間減らし運動と書きましたが、ML主義では純化の過程で一部の決意した「革命派」エリートが生まれ、それが「党」を作って大衆を「革命」へと指導するんだと考えます。 

多様な価値観を前提とする民主主義とは本質的に相いれない思想ですが、それが軽いタレントだった山本太郎氏の口から確信をもって吐き出されるとは思いもかけませんでした。 

朱に交われば赤くなるとはよく言ったものです。 

私は、山本氏の陰には過激派のC派がいて(※1参照)、選挙マシーンとなっているというネットの噂をあまり信じていませんでしたが、どうもほんとうみたいな気がしてきました。

C派は、70年代に内ゲバ戦争で436人の死傷者を出し、うち殺害43名という屍の山を築いた過去を持つ極左組織です。(Wikipediaによる) 

私の知人にも、なんの関係もないのにC派の「誤爆」を受けて、鋭い鈍器で頭部を強打されて植物人間にされた者がいます。

実行犯は同じ大学のC派の学生だったそうですが、法廷で始終薄ら笑いを浮かべていたそうです。

彼は50代まで結婚はおろか仕事にもつけず、苦しみ抜いて自殺まで図りました。

このような者は「あの時代」無数に出ました。C派はその狂気の中心にいました。

欄外にC派の山本氏支持声明を紹介しましたが、そのアナクロな絶叫調を読むと、少しも変わっていない彼らの姿が思い出されます。

あのあまりにも有名な飯田哲也氏も、この「『こちら』の空気を醸し出しながら中立を装うのが一番怖い」人物というレンテルを貼られてしまったようです。 

「脱原発派科学者の筆頭だった飯田でさえ自然エネルギーの穏やかな転換をとなえただけで隠れ推進派として攻撃される
最初はみんな熱く盛り上がるが、熱が冷めて自分たちが少数派になるにつれ、運動が純化し極論に寄ってしまう』と、飯田は言う。『連合赤軍現象だ』」(同)
 

連合赤軍とはすごい比喩ですが、今の脱原発運動の行き詰まり感を、そう感じたんだろうな、と妙に納得してしまいました。 

連合赤軍事件(※2)とは、若い方は知らない人も多いでしょうが、70年安保闘争の後退期に起きた12名もの仲間を惨殺するという忌まわしいリンチ殺人事件のことです。 

私たちの世代にとって、忘れたくても忘れられない地獄のような事件でした。この事件を機にして70年安保闘争は完全に崩壊しました。 

私が今の脱原発運動に対して既視感があるのはこのためです。

飯田氏は私より若い世代ですが、当時の大学紛争後の荒廃した空気を知っているのかもしれません。 

彼はそれがいやで北欧に行き、日本の陰湿な空気とは違う開放的なエネルギー・デモクラットの運動に共鳴したのでしょう。 

飯田氏には功罪かありますが、脱原発の軸に再エネを掲げたことは議論のたたき台作りとして大きな業績だったと思っています。 

私は当初から飯田氏の再エネ路線を批判してきましたが、ひとつの具体的提案であることは充分に評価したうえでの「仲間としての批判」のつもりです。 

「仲間としての批判」というのは、目標は一緒だが、やり方が違う。だから議論をする。批判はするが、相手を「同じ方向を見ている仲間」と認めた上でする、それがルールです。 

脱原発派は、放射能に対する「火の粉を払う」議論ばかりで、肝心な「いかにしてなくすか」という具体論が大きく欠落していました。 

私が知る限り、脱原発運動内部の具体論は、彼の主唱したドイツ仕込みの方法論だけだったはずです。 

そして飯田氏は嘉田氏と共に、未来の党を作って脱原発をテーマにして選挙を戦いました。

だが彼らには風は吹かなかった。(略)当選した山本との差は脱原発に純化したかどうかの差に思える。ただし、運動が『純化』し、『先鋭化』すればするほど、一般市民との距離は拡がり、すそ野は狭くなる。純化と同時にセクト化も進んでいる。」(同) 

おそらく飯田氏は、簡単に「原発即時ゼロ」は言えなかったはずです。なぜなら、エネルギーの専門家としてそんなことは不可能だと知っていたはずたからです。 

代替を再エネとした論理を立てた以上、簡単に火力との腐れ縁が解消されないことも、蓄電池技術がネックなことも、送電網が決定的に不足することも、予測できたはずです。 

だから、飯田氏は広域スマートグリッドを提唱したのです。だがそれも建設まで長期の時間とコストがかかります。 

というわけで、再エネがいきなり全部の代替エネルギー源になることはありえません。代替として2割に達することすら難しいでしょう。 

ドイツでさえ、巨額な国費をかけて十数年かけてようやく20%に達し、あと数十年かけてようやく60%になる遠大な目標を立てています。

つまり時間がかかります。この移行のための過渡期的期間がいるのです。山本氏のような脱原発過激派はこれを断じて認めようとしませんでした 

なぜなら、今のドイツが半数の6基残しているように、過渡期においては一定数の原発は社会インフラ維持のために残らざるをえないからです。

仮に全原発が停止した場合、代替は今の日本のように9割が火力に頼るしかありません。 

そうなった場合、電気料金は値上がり、大停電の恐怖に脅えながら二酸化炭素の排出権売買でいっそう国富は減り続け、国民経済は疲弊します。 

だから時間をかけて移行しないと、社会的ストレスが厖大にかかってしまいます。 

一方脱原発過激派は、具体論を必要としません。いやむしろそんな具体論などは日和見主義であって、「原発残存に道を開く隠れ推進派」くらいに考えています。 

実現可能か不可能かなどと考える思考形態自体が既に、「第2自民」だというのです。 

なまじな具体案など示せば、「向こう側」=敵の土俵上で相撲を取らざるをえないことを恐怖しています。

本来は「向こう側」の土俵、言い換えれば現実のフィールドで政策論として争わなければ脱原発など実現するわけないのに、脱原発過激派はエネルギーの専門知識を持った人材もいなければ学習意欲すらないのです。 

それが故に、脱原発過激派にとって飯田哲也氏など具体案を出す輩は、「隠れ原発推進派」で粉砕の対象なのです。 

なぜ一時期の脱原発運動のアイコンだった飯田氏までが、今や「隠れ原発推進派」と呼ばれ「打倒対象」になったのか、これでお分かりにいただけたかと思います。

とうぜんこのような純化した人たちは、同じ脱原発をテーマに掲げていても、他者の意見や、立場が違う運動を認めませんから、そこかしこで摩擦を起こします。 

挙げ句の果てに運動の『セクト化』が進み、互いを罵る悪循環に陥った。まるで革命を目指しながら、内部分裂と暴力で崩壊した連合赤軍のようだ」(同)

あるいは、福島県出身の社会学者関沼博氏の表現を使えば、「あたかも宗教紛争のようだ」(同)ということになります。 

この数日間の書き込みをみると、その「空気」の片鱗がわかります。ろくに私の記事を読まない。一カ所気に食わないと延々とこだわり、相手をやっつけるまでネチネチ執拗に続ける。 

そもそもあのような人達にとって、建設的議論を交える気など初めからなく、揚げ足をとったり詭弁を弄してでも、相手を叩き潰すことが目的なのです。 

もちろんそんな純化運動をしてみたところで、現実に原発がなくなるわけはないのは、あの藤波心さんもよく理解しています。

彼女すら「原発推進派」と誹謗されたことを話しています。

「事故当時は女子中学生で、運動参加者から脱原発アイドルと呼ばれる藤波心も『なぜか原発推進派』と批判されたことがある。『こだわりすぎて自分の活動に酔いしれるだけでは原発はなくならない』と藤波は指摘する」(同)

純粋な藤波さんには気の毒ですが、あなたを誹謗した脱原発過激派は、「原発はなくならない」ということなどとうに折り込み済みなはずです。

原発がなくならない限り運動対象は不滅ですし、なくならない以上永遠に脱原発運動も組織も存在価値があり、党勢拡大の手段になると思っているからです。 

結局、飯田哲也氏や私のように、時間をかけても本気で原発をなくそうと考えるような人間は「向こう側」であり、結局「隠れ原発推進派」であって、つまりは「敵」なのです。 

このような「向こう側」と「こちら側」を線引きして、原発、安保、沖縄問題、TPPすべてが一致できない限り「向こう側」という発想に脱原発運動は陥っています。 

山本氏の明るく真摯な外見に惹かれて脱原発運動に入ったとしても、すべてのテーマで意見が一致するはずがありません。また、する必要もない。 

あくまでも脱原発をいろいろな知恵を絞りながら考えていけばいいので、その中には自民党支持者がいてもいいし、共産党支持者がいてもいいでしょう。 

いや、むしろ自民党政権の中に具体的に脱原発を構想する人が出てくれば、ほんとうに脱原発の流れは進展するでしょう。 

実際、脱原発運動がいちばん盛んだった頃には、自民党支持者も大勢デモに駆けつけたではありませんか。そうなってこそほんとうの「国民運動」なのです。 

それぞれの立場で、それぞれの考えを大事にして、少しずつでも原子力に頼らない社会をめざして行くべきです。 

まず『向こう』と『こちら』と線引きして敵味方を分け、相手ばかりではなく『妥協は悪』とばかりに自分の仲間までを攻撃する。『空気』に左右され、熱狂と忘却を繰り返す」(同)ような不毛な争いは止めにしませんか。

どうしてこんなあたりまえのことを繰り返し説かねばならないのか、私にはそれが口惜しいのです。

※1 革命的共産主義者同盟中核派機関紙「前進」第2590号における山本太郎支持声明
http://www.zenshin.org/f_zenshin/f_back_no13/f2590.htm

※2 連合赤軍事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E5%90%88%E8%B5%A4%E8%BB%8D
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%B2%B3%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B9%E4%BA%8B%E4%BB%B6

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都知事選結果 つまらない予測がつまらなく当たってしまった

 009
   

大雪の中の都知事選は舛添氏が当選し、細川氏は大敗しました。田母神氏は予想以上の健闘です。

●開票結果http://www3.nhk.or.jp/shutoken2/senkyo/
・舛添要一・・・2112279票
・宇都宮健児・・・982594票
・細川 護熙 ・・・956063票
・田母神俊雄・・・610865票

46.14%という低投票率でしたが、これは2位に滑り込んだ宇都宮氏の鉄板の共産党票には有利に働いたはずなので、一概に舛添氏に有利とも言えません。

政党の基礎票どおりになったということです。得票率が50%を切った時点で、舛添氏の基礎票自公で合わせて200万票を越えるので、当選は決まったも同然でした。

なお、東京都の政党の基礎票は以下だと言われてようです。
・自民・・・160万票
・公明・・・80万票
・共産・・・70万票

では天気がよくて投票率が伸びた場合はどうだったでしょうか。

よくマスコミが言う「浮動票」は正味で10%以下とみられており、実際は基礎票の中味である組織票を固めることに、各候補は力を注ぎます。

ですから、基礎票の分裂を恐れるのは、舛添、宇都宮両候補で、これも両候補とも小泉・細川氏の乱入には、冷や汗をかいたはずです。

とくに自民党からすれば、保守層を分断される危険性があったわけですが、小泉氏にはそこまでの力はなかったということです。

脱原発テーマでいえば、2位宇都宮氏と3位細川氏を足しても1位に及ばず、両候補の統一の可能性がゼロなのは書いてきたとおりです。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-f641.html

むしろ第4位の再稼働を訴えた田母神氏と、舛添氏の長期的削減を合わせると、約270万票ですから、どこに「民意」があるのかが明らかになりました。

いったん脱原発は盛り上がったようにみえますが、それは小泉氏の乱入で、「原発は不安だか、宇都宮氏に入れる気にはなれない」という保守層にまで訴えが届いたからです。

これは、現在の脱原発運動が陥っているセクト化ガラパゴス傾向に対する批判と捉えるべきではないかと思いますが、それについては明日に廻します。

※本日は別稿をいったんアップしましたが、選挙結果だけとしました。、

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週末写真館 冬の雲間から射す朝日

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曇り空が好きです。などと言うと変な奴だと思われるかも知れませんが、仕事の時の曇りはキライですよ。
しかし、写真を撮る時間にいい雲がでていると気分が良くなります。
覆いかぶさるような暗雲、複雑な縞模様を織りなす雲、そして夏の雷雲。
どれも皆、惚れ惚れするほど表情豊かで美しい。
雲の合間から「天使の梯子」が降り(1枚目と4枚目)、それに照らしだされた湖面をお見せしたいものです。

全部曇りも色気がないので、一枚だけ晴れも入れて起きました。

クリックしな大きくしてご覧下さい。

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ニューズウィーク誌に建設的議論がないと言われた脱原発運動

014

昨日からの続きです。 

「ニューズウィーク」誌(2月11日)のインタビューで、小出裕章氏はかつての「反原発運動」を簡単に振り返ってこう述べています。

小出は長年、愛媛県の伊方原発の反対運動に参加していた。チェルノブイリ事故以降、そこにも『恐怖に駆られた』人々が押しかけたが、最後は古くからの活動家と軋轢を起こし、しばらくするといなくなった」(同)

私も小出氏と同時期に、この光景を見ています。氏とは面識こそありませんでしたが、誠実な科学者として長年尊敬していました。

氏の福島事故時の発言は許しがたいものですが、その反面、福島農業への優しい心配りをした数少ない脱原発運動家だったことも事実です。

彼の「私は福島の野菜を食べる」というひと言は、「東北の野菜を食べたら死にます」とテレビでニヤニヤしながら言い放った武田邦彦氏と同次元で扱うわけにはいきません。

このように書くとお分かりになると思いますが、若き日の私は、スリーマイル島事故の頃から反原発運動に関わっていました。

チェルノブイリ原発事故後、参加者は数十倍に膨れ上がりましたが続かずに、やがてそれぞれの狭い「島」に閉じこもるようにして分散して、熱を失っていきました。 

かつての私もその流れの中で、有機農業を志して今に至っています。

さて、今回の福島事故は、私自身が「被曝地」の農民だったために、当事者としての現実的対応に追われました。

情報蒐集-測定-除染-風評被害対策などやるべきことは山積みされていました。

当時、幾度となくかつての反原発運動当時の友人たちから集会やデモに誘われましたが、気が進まないので一度も出かけませんでした。

口で「原発はいらない」といくら叫ぼうが、首相官邸に押しかけようが、私たちの土壌に降下した放射能はなくなるわけではありませんから。

東京でデモをするより、地元の地域で共同で放射能と戦う仲間作りをする方が、私には遥に意味があると思えたのです。

長期に渡る畑地や里山の観測体制作りと、現実的な原発をなくすための議論を原子力やエネルギー専門家の意見を聞きながら深めていくべきだと考えていました。

この時、私の前に立ちはだかったのは、皮肉にも東電でもなければ自民党でもなく、小出氏流にいえば「恐怖に駆られた」都市の住民たちの脱原発運動でした。 

武田邦彦氏のような悪質な煽動家たちがばらまいたデマに踊らされた人々のむき出しの憎悪は、私たち農民に向けられていたのです。

彼らは口を揃えて、福島や茨城、宮城の農民をあたかも「敵」のように見立てて口汚く罵り、「農業をやめろ」「東日本は住めない」とさえ叫びました。

住めないですって?ならば、私たち土地の上で生きる民はどうしろと言うのですか?

彼らは「福島の子供を救え」と言いながら、実はそれは土地から離れて疎開し無人化しろという主張でした。

脱原発運動(の一部)は、あくまでその地を浄化して生き抜こうとする現地農民や漁民を敵にしてしまいました

私は決定的に脱原発派と自称する人達と一緒にやれないと感じたのはこの時です。

脱原発運動と称するものは、単に都市住民だけが安全ならばいいというエゴイスティックな心情が肥大化しただけのものなのです。

これは後に続く震災瓦礫反対運動でいっそうはっきりした形を現します。

もちろん、福島の農民に対して支援をした団体、個人は多かったのですが、それは脱原発運動とは無関係な個人としての良心に基づいたものです。

「(反対運動の新規参加者は)原子力に反対なのではない。と小出は言う。自分のところに火の粉が降りかかるのを恐れているだけだ」(同)

福島第1原発事故は 原発をめぐって理性的で建設的な議論を行うチャンスを日本に与えた。
地震国である日本で原発を立地するリスクは必ずある。100%の絶対的安全は存在しない。もちろん100%の絶対的危険もありえない。(略)しかしこの3年間、議論はまったく成熟してこなかった
」)同)

私は、いくどとなく原発をなくすための具体的議論を呼びかけましたが、かつての友人たちはデモに忙しいようで反応はありませんでした。 

むしろ放射能汚染した農産物探しに忙しいとみえて、私の土壌や水の除染の技術、あるいは5年先、10年先のエネルギーのあり方などの「暇な議論」になどつきあってはいられない風情だったようです。 

こうして私は、徐々に今まで関わってきた脱原発から決別していきました。離れるに連れて、傲慢なようですが、私には彼らの行き先が見えるようになってきました。

一時的に燃え上がり大勢の人が参加するが、肝心な脱原発の具体策の議論がないままに内部抗争とセクト化の道をたどって孤立化し分裂していくだろうという暗い未来です。 

そして孤立化した少数派は、いっそう閉鎖的になり、立場の違う人達の意見を排除しようとします。結果、さらに孤立化が深まり過激化していきます。

残念ながら、この私の脱原発運動に対する予想は、今の時点でおおよそ当ってしまったようです。 

この人達は、脱原発の行程が極めて長いものであり、その過程で過渡的に規制委員会の安全審査をパスした原発を動かす選択肢もありえるということに頑として耳を貸しませんでした。

いつまでも、「再稼働反対」と叫んでこの場所に座り込んでさえいれば運動になるかのような判断停止、知的怠惰です。

このような姿勢からは山本太郎氏のようなピュアで先鋭にしてバイアスがかかった人物は生まれるでしょうが、ほんとうに現実が変わることはありません。

私は、小泉氏が突如として舞台に駆け上ったとき、あるいはなんらかの具体案のデッサンでもあるのかと期待しました。 

彼が最初にオンカロと口走った時には、一瞬おお、と思ったものです。フインランド方式は私が温めているもっとも有力なプランだったからです。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-26ea.html
       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-1f72.html
       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-bc12.html

もし、粗削りでもそれがあるなら、今の硬直化して左翼運動の亜種に堕っしてしまった脱原発運動にいい刺激になるたろうと思ったのです。 

ところが、やはり小泉氏は歳ふりても小泉氏でした。あいかわらず天才的漫談師ですが、中身はなにもないのです。

オンカロも真逆にねじ曲げて解釈しているのですから、むしろたちが悪いようなものです。 

小泉氏が「目覚めた」オンカロについてニューズウィーク誌はこう書いています。

脱原発で語られることの多いオンカロだが、フィンランドの経験から読み解くべきなのは、エネルギー政策に対するコンセンサスを導き出した国民の建設的な議論だ」。(同)

「(オンカロの街の住民は)原発のメリットとデメリットを冷静にとらえた上で、最終的に処分場を受け入れる判断をしている」

「(小泉の)「独善」はフィンランドの国民的議論の対局にある」(同)

小泉-細川陣営は、ムード的脱原発を叫び、宇都宮陣営はよくある「放射能怖い」を叫ぶだけという不毛な構図こそが、事故から3年たとうとしている脱原発運動のただ今現在の位置なのです。

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ニューズウィーク誌 小出氏 疫学調査を経ないまま「福島でこんな障害が」とすべてを被曝にむすびつけるでたらめも多い

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今週の世界的有力誌「ニューズウィーク」(日本版2月11日号)が、都知事選に絡めて日本の脱原発運動を記事にしています。

わが国のメディアが脱原発運動を取り上げる場合にありがちな、過度な思い入れや情緒的表現を排して極めて冷静に俯瞰に徹しています。

「ニューズウィーク」は脱原発運動に対してこう評しています。

この3年間は『空気』に揺り動かされるばかりで、日本は原発について建設的な議論を充分してこなかった」(同)

これは私がかねてから一貫して主張してきたことと同じです。

「どうやって」というHOWの議論が大きく欠落したまま、ネットで拡散消滅する極論の数々は、真面目に原発を少しでもなくそう、そのためにはどうしたらいいのだろうかという至極まっとうな議論をかえって阻むものでした。

この記事の中で小出裕章氏すらこう嘆いているのを聞くと、なんともいえない複雑な感情にさせられます。

疫学調査を経ないまま『福島でこんな障害が』とすべてを被曝にむすびつけるでたらめも多い」(同)

私はこれを読んで唖然となりました。 

何言っているんだ、他ならぬ脱原発教の教祖的存在だったあなたが、福島事故が広島原爆の400発から500発分だという馬鹿なことを言い出すからじゃないですか。 

原爆のようにほとんどセシウムが残留しないものと、セシウムのような軽い揮発性の核種が大量に出る原発事故を比較すること自体が間違っているということは、原子力の専門家の小出氏はよく知っていたはずです。 

いわゆる「嘘ではないが ほんとうではない」という発言です。 

セシウムは広島原爆ではでなかったが、その400倍も福島では出た。しかし・・・、さぁどうなんです、小出さん。ほんとうに広島の400倍の死者が出るんですか? 

あなたは単に400倍のセシウムと言ったにすぎません。しかしそれを聞いた素人は、原爆の犠牲者14万人の400倍ととります。 

このような作り上げられた「放射能恐怖症」の空気に便乗して、岩上安身氏は「奇形が出ました」と喝采を叫びました。 

右手で弱者に同情するしぐさをしながら、左手で差別を煽るという卑劣な手口です。 

「欧州放射線リスク委員会」科学委員長というもっともらしい肩書で来日したクリストファー・バズビー氏は、「福島でガンが40万人出る」と金切り声を上げました。 

では、小出氏が言う疫学的調査結果をみます。2011年夏の時点で既に完全ではありませんが、政府の疫学調査結果は出ていました。 

・2011年9月末までの福島県の住民4463名の内部被曝の疫学調査結果 

・最大数値であった3ミリシーベルト・・・2人
・2ミリシーベルト           ・・・・8人
・1ミリシーベルト以下     ・・・・4447人
 

セシウムが女性の卵巣に影響を与えるとすれば、750ミリシーベルト以上の被曝線量が必要です。それがチェルノブイリでの疫学調査のラインだからです。 

セシウムは筋肉などに蓄積する性格をもっていますから全身均等被曝します。一定の臓器に蓄積されることはありません。 

百歩譲って、卵巣にのみ蓄積されたとしても、福島の最大内部被爆量3ミリシーベルトは、チェルノブイリの750ミリシーベルトの、250分の1でしかありません。 

これで福島の女性が不妊になる、あるいは先天性奇形を出産することはありえません。 

ところが、「福島浜通りの女とは結婚するな」という差別が発生しました。

今でも福島の母親の中には学校給食を恐れる者が多くいます。

小出氏はこの結果に対して科学者としてしっかりかみしめるべきではないでしょうか

「(反対運動の新規参加者は)原子力に反対なのではない。と小出は言う。自分のところに火の粉が降りかかるのを恐れているだけだ」(同) 

小出氏は原子力の専門家として、感情を煽るのではなく、脱原発の筋道をしっかりとつけるべきでした。今頃気がついても遅いのですよ、小出さん。

脱原発運動は、今や「原子力反対のための」具体論などいらない運動になってしまっています。

あるのは冷静な議論と立場を超えた連帯ではなく、怒号とシュプレッヒコールだけなのです。

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再エネだけオリンピック村が運営できるかマジに考えてみた その2

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前回みたように、再エネ(再生可能エネルギー)の問題点は、つまるところひとつに集約できます。 

それは「ブレ」の激しさです。ともかく太陽がエネルギー原ですから、気まぐれもいいところです。 

下図は浮島太陽光発電所の発電状況のグラフです。12時頃をピークとして崖型に発電量が推移するのがわかります。

Photo

6時以前と4時以降はまったく発電を停止します。曇りと雨でも稼働しなくなります。 

このグラフは太陽光発電が活発な春3月のグラフです。冬や梅雨などはもっと悲惨なことになって底浅フライパンのような形になりますが、細川翁がショックを受けるといけないのでいちばんいい季節を選びました。 

春は太陽光のベストシーズンで、利用側もエアコン使用がないため電力需要にも余裕があります。 

ただ残念ながら、オリンピッックが開かれる真夏の気温上昇はパネル内の温度上昇により電気抵抗が増すので効率が下がる季節です。 

燦々と太陽が降り注いでいるのに案外発電をしません。にかかわらず、ご承知のように1年でもっとも電力需要がピークを迎える季節です。 

つまり、太陽光は一番必要とされる時には発電が減るという宿命的な欠陥を持っているクセのある電源だということです。 

ですから、「発電量」公称1メガワット(100万ワット)と発表されていても、実態の実発電量はその7から10分の1にすぎません。 

中とって8分の1として、公称1MW太陽光発電所の実発電量は0.12MW(メガワット)にすぎません。 

ここまでを整理しておきます。

①再エネの「定格出力」、あるいは「最大出力」はカタログデータ。実際はその時間ごとの発電量で、「キロワット毎時」で表す。実効発電量は、定格出力の約8分の1から10分の1ていど。 

②太陽光発電は6時以前、4時以降は発電しない。冬や梅雨、夏の盛り、曇りや雨の日は絶望的。 

発電量が極端に貧弱。日本最大の浮島・扇島発電所の1年間の発電実績は、柏崎原発1号機のわずか16時間分ていど。 

④発電量を人為的にコントロールできないので、必ず火力などのバックアップ電源が必要

⑤出力と周波数調整のために、大容量NAS(ナトリウム・硫黄)電池が必要

ではオリンピックを再エネで実施するとなると、どのていどの発電量を確保しなければならないのでしょうか? 

おおよそオリンピック選手村の収容人数は1万人から1万2千人程度だと言われています。 

ちょうど北海道夕張市くらいの規模の都市が都内にポンっと出現したと思えばいいでしょう。ここから計算です。 

・1人あたりの年間電気使用量・・・東京都2310kW/人÷365日=6.3kW/人
・オリンピック村1万2千人の1日の電気使用量・・・7万6千kW
・オリンピック開催期間17日間(準備期間含まず)の電気使用量推定・・・129万1千KW
 

さて、昨日見ましたように浮島・扇島発電所の1年間の発電量の実績は2315万kWですから、1日の発電量にすると6.3万kWです。 

おお、なんとかいきそうだぞ。よかったね、細川さん。 

とすると、期間中に雨も降らず、曇りもなく好天に恵まれた777みたいなことになれば、あともうひとつ扇島発電所クラスを建設したらまったく不可能ではありません 

ただし、この計算は致命的な欠陥があります。 

夜や早朝はどうするんですか?雨や曇りの日は?

昨日書いたように朝6時以前、夕方4時以降は太陽光はただの箱になってしまいますよ。 

だとすると、オリンピック村は夕方4時から朝6時まで停電となります(苦笑)。 

まぁ、というわけにいかないでしょうから、実際は火力のバックアップ電源をスタンバっておかねばなりません。それも湾岸には火力はいくつもありますから、なんとかできるでしょう。 

しかし、もうひとつの問題はそう簡単ではありません。現在の蓄電技術では7年後としてもそうとうに進化しないと1万人都市の蓄電ができないのです。

技術的問題もさることながら、最大の問題は蓄電コストてす。つまり、メーカーの日本ガイシさんに言わせれば、1万人規模の蓄電なんてやりゃやりますが、とんでもなく金がかかりますよ、ということです。

kWh単価(コスト)は、リチウムイオン電池20万円、ニッケル水素電池10万円、鉛電池5万円、もっとも安いNAS電池で2.5万円 です。

したがって、1日のオリンピック村の電気を蓄電するためにはもっとも安いNAS電池ですら約15億7千万円ほどかかってしまいます。

17日間の開催日だけでも、蓄電だけで266億9千万円ほどの出費です(すいません、吹き出しました)

オリンピックの直接予算として3400億、間接予算まで含めて8000億円ですから、蓄電だけで直接予算の7%程度を食う計算です。

もちろんこんな計算もまた机上の空論にすぎません。

本来の再エネにおける蓄電技術は、丸々蓄電することの目的に作られたものではなく、再エネ特有の出力や周波数の「ブレ」の調整の為にあるのです。

だからそもそも、こんな6万kWを蓄電することなどありえない想定なのです。

しかし、「太陽光発電でオリンピック」というのは、いかに高いお遊びかお分かりいただけたと思います。

ただ、いかに蓄電が再エネのネックなのかを国民に理解できる、という意味では教育的て意義がしるのかもしれません。

というわけで、夜間、早朝、曇、雨などの時間には太陽光発電利用はバッサリあきらめて、完全に火力発電に依存せねばならないでしょう。

そして蓄電池もそれに応じた規模のものをつけてやればいいし、現実にもそうなっています。

その場合、「再エネによるオリンピック」などという誇大宣伝は止めて、「再エネ(一部)利用のオリンピック」という看板にするべきでしょうな。

以上、理屈の上では金に糸目をつけねば、グリーン先進都市をアピールすることは可能そうですが、いかにも脱原発=再エネと簡単に言う不勉強な政治家が言いそうなアホーマンスです。

現実には、そのような政治的厚化粧よりやるべきことが山積していると思います。

たとえば、高騰を続ける都民の電気料金、福祉や医療、震災強靱化対策、都としての景気振興策など世界最大の都市として解決すべき問題は無数にあります。

そんな時にこのような「脱原発趣味」の政治的パーフォーマンスに、財政の財布をはたくことが賢明かどうか子供でも分かるはずです。

そもそも、小泉、細川、宇都宮各氏は、原発問題をエネルギー問題として捉えていません。

3氏に共通するのは「原発は危ない」のただ一点だけです。

それが故に、予想される大災害時に必要なライフライン確保のためには、ギリギリの電力予備率では危険だということが分からないのです。現在、電力会社の電力予備率は3%を切っています。

まして、わが国が脱原発政策のために再エネが6割(※ドイツの目標値)などという国だったら、絶望的な事態になります。

電源予備率はまちがいなく大幅マイナスになっているでしょうから、災害に極端に脆弱な国になっているはずです。

災害時だけではなく、一番電力が必要な復興期に貧弱・不安定な電源しかなければ、もう考えるまでもないことです

こんな簡単なことか分からず、再エネを叫ぶ候補者がいること自体信じられません。

そしてもうひとつ。これだけは原発立地県の人間として言っておきます。

誰が当選するか分かりませんが、新たな都知事は地方に「発信」などしなくてけっこうです。

むしろしないで下さい。東京に「命令」される覚えはありません。

その代わり、今まで東京都を黙って支えてきた電源立地の地方住民に深甚の感謝の言葉を捧げなさい。

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再エネだけオリンピック村が運営できるかマジに考えてみた その1

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川さんは、東京オリンピックを再エネでやるのが夢だそうです。

初めは返上論を言っていたのですから、苦しまぎれの感も拭えませんが、余計なお世話ですが、ほんとうに出来るのか考えてみます。

日本最大の太陽光発電所は東電浮島発電所で、これと扇島発電所が東京都オリンピックを再エネで実現するための供給主力になります。

ちなみにこれを作ったのは、菅さんが悪魔のように言っていた東電です。

Photo_2
            ※理想的太陽光発電設置場所の砂漠 Wikipedia

浮島と扇島両太陽光発電所の概要は以下のとおりです。扇島は浮島の約2倍の規模です。

Photo      川崎市と東京電力が共同で運営する2つの太陽光発電所の概要。出典:川崎市、東京電力

浮島と扇島発電所で合わせて最大出力は定格で2万kWていどです。

柏崎刈羽原発7基は、いずれも110万kWから135.6万kWですから、敷地面積が計34ヘクタールもあるにしては、桁違いに低い発電量です。ま、敷地面積は、出力と関係ないか(笑)。

ちょっと発電量を比較してみましょう。おとと、その前によくある勘違いを説明しておかねばならぬ。

今、私は「定格で2万kW」と書きましたが、この意味が分かりますか?

既存の発電所の発電能力を表す「(定格)出力○○kW」の単位は何も書いてありませんが、これは「毎時」です。

なぜkWh(キロワット毎時)で表記しないかといえば、火力や原子力は年間、止めない限りはずっと同じ定格出力を維持することが可能だからあえて書く必要がないのです。

しかし、再エネで言う定格出力は、ここが違うんですね。あくまでもこれだけ発電が可能ですというスペックにすぎません。

だから東電は正直に、これが最大発電量ですという意味で「最大出力」と表記しています。

もっと正直になるなら、時間によって発生したエネルギーの量が違うのですから「kWh」(キロワット毎時)で表記したほうが親切でしょう。

再エネはすべからく、「その瞬間」に発生したエネルギー量なのです。これが決定的に他のエネルギー源と異なるところです。

たとえばこうです。

・潮汐発電[満潮と干潮の海水面の高低差で発電]・・・満潮、または干潮の一日数分から数十分間だけ

・風力発電[風力によってプロペラを回して発電]・・・風が吹いている時だけ

・太陽光発電[太陽エネルギーで発電]・・・太陽が出ている時だけ

とまぁこういうことですので、太陽光発電所に「定格○○kW」と表記してあっても、それに1年間をかけて計算してはダメなわけです。

というわけで、この浮島・扇島発電所のデータを見る場合、上図の「最大出力」の下にある「実績」が大事なのです。

ああ、メンドクさー。けどこれに騙されて、そうかメガソーラー発電所か、100万ワットだぁ、などと思ったら大間違いで、実績はうたい文句の8分の1から10分の1程度です。

前説が長くなりましたが、ここで改めて太陽光発電所の能力検定をしてみましょう。

・浮島・扇島太陽光発電所の1年間の発電量実績・・・2315万kW(ただし、扇島は想定値)
・柏崎原発1号機1日の発電量           ・・・3013kW

誤植ではありません。太陽光は1年、原発は1日が単位です。

ですから、浮島・扇島太陽光発電所の1年の発電実績は2基で2315万kWですから、柏崎1号機の1日の発電量3013kWの約16時間分ていどの量にすぎません。

あざといようですが、もう一回書きます。

浮島・扇島太陽光発電所の1年間の発電量=柏崎原発1号機の16時間分の発電量

壮絶ななまでの発電能力の差があることを知ってから、代替エネルギーは太陽光だだと言ってほしいものです。

細川さんは「政治家はロマンだ」と言っているそうですが、ロマンは苦い数字の裏付けがあってこその「夢」であって、いい歳してのクリームソーダのような夢は御免被りたいものです。

このテーマもう少し続けます。

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脱原発陣営が統一できなかった段階で勝負はついている

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次の日曜日に脱原発が「争点」となった、というか、なりそこなった都知事選が行われます。 

新聞各社の予想によれば、2位、3位が細川、宇都宮候補となることでしょう。番狂わせはないと思います。 

すると、おそらくこのような言い訳が脱原発運動の皆さんから出てくるはずです。 

両候補が統一していれば勝てた。両候補の票を足せば1位になっていた。だから脱原発はやはり民意なのだ」というものです。 

なりませんよ。なぜなら、統一候補が不可能だったということこそが、今の脱原発運動の負の体質そのものだからです。 

宇都宮候補は共産党色が強い人物です。彼の主張は彼独自の味付けがされていますが、基本は100%共産党の方針と一致しています。 

共産党が組織候補としなかったのは、「元日弁連会長」「サラ金と戦った熱血派」の肩書ほうが、浮動票が多い大都市部では集票効果があるからです。

現在の貧困格差社会を作った元凶である小泉氏と、それと闘ったことが金看板の左翼系人権派弁護士が組めるはずがありません

そもそも自民党支持層にも多く存在する脱原発の考えを持つ都民を取り込む気ならば、宇都宮氏のような党派色が強い人物を選ぶはずがありません。

その意味で、革新陣営はこの都知事選は初めから自民VS共産という古い図式の上で戦う戦略だったのです。

ところが、突然湧いて出た小泉氏によってこの図式が崩れてしまい脱原発派は、意図しない分裂選挙に追い込まれました。

ですから、そんな宇都宮陣営が小泉自民党元総裁と妥協できるはずがないのです。 

逆にその小泉氏には、本来は立派な反党行為をしているのですから、舛添氏と同じ除名になってもおかしくないのですが、「今の安倍-石破にオレが切れるはずがない」という読みがありました。 

この辺の読みは勝負師・小泉翁は並の政治家よりはるかにしたたかです。 

とは言っても、共産党陣営と組んだとなると話は別です。選挙後に自民党も小泉氏を除名するしかなくなるでしょう。 

彼個人としては除名されても勲章くらいに思う人ですが、いくら彼でも進次郎氏の将来の芽まで摘む気にはなれないはずです。 

そもそも、もし後継者が人質に取られていなければ、彼は細川氏のような老耄を山中から引っ張りださずに、自分みずからが出馬したはずです。 

ですから、小泉氏も宇都宮氏もギリギリの政治的読みで闘っているわけで、「統一」などできる道理がないのです。 

山本太郎氏は、「脱原発陣営を一本化できなかったことは残念だ」と言っているようですが、そんなことは初めから無理なのです。 

もし両陣営ともに納得できるカリスマ的脱原発候補がいたのならば、この都知事選の結果は違ったものになったかもしれませんが、あいにくそのような人物は今の日本にはいなかったのです。 

菅直人氏がもてはやす吉永小百合さんあたりなら、あるいはなぁと思わないではありませんが、いややっぱり団塊の世代くらいしか票が集まらないか(笑)。 

ですから、脱原発陣営が、主張や背景を別にして統一できなかった段階で、勝負はあったのです。 

ところで、よく東京新聞や朝日新聞は、「脱原発が6割の民意だ」と言いますが、それは正確ではありません。 

アンケートの仕方に「脱原発」と「原発容認」の中間項が設定されていなかったから、このような脱原発6割などという結果が出たのです。 

その中間項とは、「化石燃料依存から脱却し、社会に十分な代替エネルギーを生産できるようになるにつれて徐々に原発廃止」というような、1980年にスウェーデンでなされた国民投票の選択肢です。 

ちなみに、スウェーデンの国民投票結果は以下です。
①反原発開発、10年以内の原発全廃止・・・39.7%
化石燃料依存から脱却し、社会に十分なエネルギーを再生可能エネルギーで生産できるようになるにつれて徐々に原発廃止  ・・・58%
③無記入                       ・・・3.3%
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-6d50.html

我が国でもし現時点で世論調査するなら、このスウェーデンの結果とよく似た②の中間派が多数を占める結果が出ると予想できます。 

100%脱原発を即時実現せよという神のような要求ではなく、ひとつひとつ危険因子を取り除いていく地道な努力が必要です。

それは「原子力には大きなリスクがある」ということを大前提にして、危険度の高い原子炉から随時廃炉にしていき、その間に代替エネルギーを社会のエネルギー基盤の一翼を担えるまで成長させることです。 

その置き換わっていくスピードに合わせて原子炉を永久に停止させていくべきで、その間に廃炉や使用済み核燃料の処分についてもいいアイデアが生まれてくるでしょう。 

そしてそれには時間がかかるということを覚悟して下さい。 

しかし今の脱原発派を見渡すと、原発を長期間かけて減らしていこうと考える現実的な人たちはいられなくなっています

直ちに原発ゼロをスローガン的に掲げる硬直した人たちばかりが運動の中心を占めていて、そんなことを言い出せば、「放射能が怖くないのか。自民党の再稼働に賛成するのか」と一喝されるのがオチです。

もはや脱原発運動は、かつての護憲反安保運動のようにイデオロギーと化してしまっているのです。だから、大部分の国民はついていけません。

もし小泉氏のようないちおう「保守」の政治家が(私は違うと思っていますが)、現実的な脱原発政策を提示していたならば、また展開は違っていたはすです。

ところが、小泉・細川両氏ときたら「政策は別な賢い人が考えろ」ですから話になりません。

一方はガチガチ、一方は中身からっぽですから、なんともかとも。

このように、まったく踏み込んだ議論がなされなかった「脱原発選挙」は、脱原発の具体的政策内容の貧しさを満天下にさらけ出して終わったということになりました。

考えてみれば、脱原発派はこの3年間「放射能は怖い」という感情論から一歩も出ず、証拠とデータに基づく政策を手探りでも作っていこうとすることを怠ってきた運動だったのですから、これも当然の結末かもしれません。 

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週末写真館 森と湖の朝

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一体どこの風景かと思いますが、わが霞ヶ浦です。
どの風景にも特別な時間があって、霞ヶ浦は夜明けです。
燦々とした朝日もいいのですが、この夜明け直前の水平線が朱に染まるこの時間が好きです。

クリックして大きくしてご覧ください。

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