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再エネだけオリンピック村が運営できるかマジに考えてみた その2

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前回みたように、再エネ(再生可能エネルギー)の問題点は、つまるところひとつに集約できます。 

それは「ブレ」の激しさです。ともかく太陽がエネルギー原ですから、気まぐれもいいところです。 

下図は浮島太陽光発電所の発電状況のグラフです。12時頃をピークとして崖型に発電量が推移するのがわかります。

Photo

6時以前と4時以降はまったく発電を停止します。曇りと雨でも稼働しなくなります。 

このグラフは太陽光発電が活発な春3月のグラフです。冬や梅雨などはもっと悲惨なことになって底浅フライパンのような形になりますが、細川翁がショックを受けるといけないのでいちばんいい季節を選びました。 

春は太陽光のベストシーズンで、利用側もエアコン使用がないため電力需要にも余裕があります。 

ただ残念ながら、オリンピッックが開かれる真夏の気温上昇はパネル内の温度上昇により電気抵抗が増すので効率が下がる季節です。 

燦々と太陽が降り注いでいるのに案外発電をしません。にかかわらず、ご承知のように1年でもっとも電力需要がピークを迎える季節です。 

つまり、太陽光は一番必要とされる時には発電が減るという宿命的な欠陥を持っているクセのある電源だということです。 

ですから、「発電量」公称1メガワット(100万ワット)と発表されていても、実態の実発電量はその7から10分の1にすぎません。 

中とって8分の1として、公称1MW太陽光発電所の実発電量は0.12MW(メガワット)にすぎません。 

ここまでを整理しておきます。

①再エネの「定格出力」、あるいは「最大出力」はカタログデータ。実際はその時間ごとの発電量で、「キロワット毎時」で表す。実効発電量は、定格出力の約8分の1から10分の1ていど。 

②太陽光発電は6時以前、4時以降は発電しない。冬や梅雨、夏の盛り、曇りや雨の日は絶望的。 

発電量が極端に貧弱。日本最大の浮島・扇島発電所の1年間の発電実績は、柏崎原発1号機のわずか16時間分ていど。 

④発電量を人為的にコントロールできないので、必ず火力などのバックアップ電源が必要

⑤出力と周波数調整のために、大容量NAS(ナトリウム・硫黄)電池が必要

ではオリンピックを再エネで実施するとなると、どのていどの発電量を確保しなければならないのでしょうか? 

おおよそオリンピック選手村の収容人数は1万人から1万2千人程度だと言われています。 

ちょうど北海道夕張市くらいの規模の都市が都内にポンっと出現したと思えばいいでしょう。ここから計算です。 

・1人あたりの年間電気使用量・・・東京都2310kW/人÷365日=6.3kW/人
・オリンピック村1万2千人の1日の電気使用量・・・7万6千kW
・オリンピック開催期間17日間(準備期間含まず)の電気使用量推定・・・129万1千KW
 

さて、昨日見ましたように浮島・扇島発電所の1年間の発電量の実績は2315万kWですから、1日の発電量にすると6.3万kWです。 

おお、なんとかいきそうだぞ。よかったね、細川さん。 

とすると、期間中に雨も降らず、曇りもなく好天に恵まれた777みたいなことになれば、あともうひとつ扇島発電所クラスを建設したらまったく不可能ではありません 

ただし、この計算は致命的な欠陥があります。 

夜や早朝はどうするんですか?雨や曇りの日は?

昨日書いたように朝6時以前、夕方4時以降は太陽光はただの箱になってしまいますよ。 

だとすると、オリンピック村は夕方4時から朝6時まで停電となります(苦笑)。 

まぁ、というわけにいかないでしょうから、実際は火力のバックアップ電源をスタンバっておかねばなりません。それも湾岸には火力はいくつもありますから、なんとかできるでしょう。 

しかし、もうひとつの問題はそう簡単ではありません。現在の蓄電技術では7年後としてもそうとうに進化しないと1万人都市の蓄電ができないのです。

技術的問題もさることながら、最大の問題は蓄電コストてす。つまり、メーカーの日本ガイシさんに言わせれば、1万人規模の蓄電なんてやりゃやりますが、とんでもなく金がかかりますよ、ということです。

kWh単価(コスト)は、リチウムイオン電池20万円、ニッケル水素電池10万円、鉛電池5万円、もっとも安いNAS電池で2.5万円 です。

したがって、1日のオリンピック村の電気を蓄電するためにはもっとも安いNAS電池ですら約15億7千万円ほどかかってしまいます。

17日間の開催日だけでも、蓄電だけで266億9千万円ほどの出費です(すいません、吹き出しました)

オリンピックの直接予算として3400億、間接予算まで含めて8000億円ですから、蓄電だけで直接予算の7%程度を食う計算です。

もちろんこんな計算もまた机上の空論にすぎません。

本来の再エネにおける蓄電技術は、丸々蓄電することの目的に作られたものではなく、再エネ特有の出力や周波数の「ブレ」の調整の為にあるのです。

だからそもそも、こんな6万kWを蓄電することなどありえない想定なのです。

しかし、「太陽光発電でオリンピック」というのは、いかに高いお遊びかお分かりいただけたと思います。

ただ、いかに蓄電が再エネのネックなのかを国民に理解できる、という意味では教育的て意義がしるのかもしれません。

というわけで、夜間、早朝、曇、雨などの時間には太陽光発電利用はバッサリあきらめて、完全に火力発電に依存せねばならないでしょう。

そして蓄電池もそれに応じた規模のものをつけてやればいいし、現実にもそうなっています。

その場合、「再エネによるオリンピック」などという誇大宣伝は止めて、「再エネ(一部)利用のオリンピック」という看板にするべきでしょうな。

以上、理屈の上では金に糸目をつけねば、グリーン先進都市をアピールすることは可能そうですが、いかにも脱原発=再エネと簡単に言う不勉強な政治家が言いそうなアホーマンスです。

現実には、そのような政治的厚化粧よりやるべきことが山積していると思います。

たとえば、高騰を続ける都民の電気料金、福祉や医療、震災強靱化対策、都としての景気振興策など世界最大の都市として解決すべき問題は無数にあります。

そんな時にこのような「脱原発趣味」の政治的パーフォーマンスに、財政の財布をはたくことが賢明かどうか子供でも分かるはずです。

そもそも、小泉、細川、宇都宮各氏は、原発問題をエネルギー問題として捉えていません。

3氏に共通するのは「原発は危ない」のただ一点だけです。

それが故に、予想される大災害時に必要なライフライン確保のためには、ギリギリの電力予備率では危険だということが分からないのです。現在、電力会社の電力予備率は3%を切っています。

まして、わが国が脱原発政策のために再エネが6割(※ドイツの目標値)などという国だったら、絶望的な事態になります。

電源予備率はまちがいなく大幅マイナスになっているでしょうから、災害に極端に脆弱な国になっているはずです。

災害時だけではなく、一番電力が必要な復興期に貧弱・不安定な電源しかなければ、もう考えるまでもないことです

こんな簡単なことか分からず、再エネを叫ぶ候補者がいること自体信じられません。

そしてもうひとつ。これだけは原発立地県の人間として言っておきます。

誰が当選するか分かりませんが、新たな都知事は地方に「発信」などしなくてけっこうです。

むしろしないで下さい。東京に「命令」される覚えはありません。

その代わり、今まで東京都を黙って支えてきた電源立地の地方住民に深甚の感謝の言葉を捧げなさい。

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コメント

先日、山形市内でもソーラーパネル設置の商談会があって、FIT制度のおかげで大盛況だったようです。
主に家庭や休耕田を利用した中規模なものがお薦めだとか。
一概に休耕田とは言っても耕地整理された場所は、本来優良な田畑ですし、山間部の場合、決定的に日照が少ないという問題があります。
また積雪の問題もあり、県主導で設置したメガ(笑)ソーラーなど、地上2mものコンクリ台座を打ち込んで設置する有り様です。
日本海側や内陸部に大規模ソーラーはそぐいませんよ。
夏場は逆に暑い気候ですので、パネル裏側から水冷で冷やす技術も実験されてますが、モーター回すのは電気。しかも冬場には凍結防止の電熱といった工夫が必要になります。
トラブルの度に散々批判を浴びている福島第一原発のALPS装置を笑えませんね。

また蓄電池の問題。
これには耐久性の問題が付きまといます。
一般の自動車用バッテリーが、長年少しずつ改良されながらも未だに鉛蓄電池が殆どなのは、クルマに乗る人なら分かると思います。

投稿: 山形 | 2014年2月 5日 (水) 10時34分

ちょうど今の国会で、民主党議員から質問されてましたが、冬の「家庭内ヒートショック」対策なら、地域の衰退激しい林業と組み合わせた、大火力の木質ペレットや薪のストーブや暖炉によるセントラルヒーティングを導入した高断熱住宅でしょうね。
ストーブなら停電しても調理や湯沸かしにつかえますし。
一応、カーボンニュートラルですよ。
これを地域ごとに纏まって拡げる、オーストラリア方式で、山形県でも小国町・最上町などでは地味ながら進めています。

従来型の部屋ごとの電気エアコンなど論外でしょう。

新築ならいいんですが、改築はそうそうできません。
それこそ新築並みのコストをかけて、某リフォーム番組にでも取り上げて貰わないと…。


これが、東京のような巨大都市となると…無理ですね。ペレット輸送コストもあり、古い家屋も多いですし。


夏場の暑さに関しては、地域の高断熱高気密住宅メーカーが様々な工夫をして、「空気(風)の流れる家」を開発しております。
山間部ではそれで有効ですが、都市では正直辛いですね。

投稿: 山形 | 2014年2月 5日 (水) 11時10分

管理人様から詳細な試算を示して頂きましたが、以前からの記事の通り、再エネの不安定さは致命的であると思います。
再エネを全面否定はしませんが、安定的な電力供給と言う面ではあまりにも役不足です。太陽・風力に比較したら「バイオガス・地熱」の方が比較的安定しているのではないでしょうか?
地熱の場合国立(定)公園関係や自然保護との協議等々ハードルはありますが、安定さは増します。
人間夢も必要ですが、現実も考慮せず政策を進める事は将来に禍根を残す事になります。
先ずは○泉さん・・・郵政改革の総括してから次へ進みませんか??

投稿: 北海道 | 2014年2月 5日 (水) 15時33分

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