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2014年2月11日 (火)

ニューズウィーク誌 山本太郎氏 意見が違う人は「向こう側」に行け

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                  (「ニューズウィーク」誌(2014年2月11日号より)

さて、この脱原発運動の現状の象徴的人物が山本太郎氏なことは論を待たないでしょう。

私は山本太郎氏という人物を、決して嫌いではありませんでした。 

女の子の尻を追うのが好きで、デカイ図体で隙だらけ、天皇に直訴する意味も知らない猪突猛進の「愛すべき野人」といった彼の姿を微苦笑で眺めていました。

しかし、この「ニューズウィーク」誌(2014年2月11日号)の彼の発言を知ると、そうとも言っていられなくなりました。

山本太郎氏はこう述べています。

脱原発派だけどTPP賛成というのは嘘つき」「TPP推進派は『向こう』に行ってくれたらいい。逆に『こちら』の空気を醸し出しながら中立を装うのが一番怖い。それでは第2、第3の自民党だ」(同) 

小出裕章氏も、「原発はTPP、戦争、沖縄問題すべてにつながっている」(同)と似たようなことを言っているようです。

う~ん小出さん、おっしゃりたいことはわからないではないんですが、そんなことを言うと、共産党支持者じゃないと、脱原発運動に参加できなくなっちゃいますよ。

ただ小出氏はその穏やかな人柄もあって、山本氏のように「向こう側に行け」というような極端な言い方はしていません。

すごいのは山本太郎氏のほうです。ひとつ違った意見があれば、「向こう側に行け」ですか・・・。 

私は運動とは仲間作りだと思っていましたが、山本氏にとってはどうやら真逆なようで、運動とは仲間減らし・純化運動だというのです。 

山本氏がこういうこと言う人だったんだぁと一驚しました。 

なんだァ、もう少し愉快な奴かと思っていましたよ。これじゃあ昔の過激セクトと一緒じゃないですか。 

70年安保世代が少し補足解説しましょう。

山本太郎氏の考え方は、彼自身が意識しているかどうか知りませんが、マルクス・レーニン主義組織論がベースにあります。 

ML主義では絶対的正義は自分(革命党)のみが所有し、中間的な考え方を一切認めません。 

元々マルクス主義がキリスト教神学の唯物論的読み替えから始まったために、すこぶる一神教的非寛容な体質です。、

敵か味方か、正統か異端かの二分法しかなく、それ以外は獲得されて指導されるべき「大衆」か、打倒すべき「向こう側」、すなわち「敵」なのです。

脱原発運動のような「大衆運動」の場合、運動のイニシャチブを握って他党派に勝利し、ひとりでも多くの人を「こちら側」に引き込み、党勢拡大を目指します。 

先ほど、純化・仲間減らし運動と書きましたが、ML主義では純化の過程で一部の決意した「革命派」エリートが生まれ、それが「党」を作って大衆を「革命」へと指導するんだと考えます。 

多様な価値観を前提とする民主主義とは本質的に相いれない思想ですが、それが軽いタレントだった山本太郎氏の口から確信をもって吐き出されるとは思いもかけませんでした。 

朱に交われば赤くなるとはよく言ったものです。 

私は、山本氏の陰には過激派のC派がいて(※1参照)、選挙マシーンとなっているというネットの噂をあまり信じていませんでしたが、どうもほんとうみたいな気がしてきました。

C派は、70年代に内ゲバ戦争で436人の死傷者を出し、うち殺害43名という屍の山を築いた過去を持つ極左組織です。(Wikipediaによる) 

私の知人にも、なんの関係もないのにC派の「誤爆」を受けて、鋭い鈍器で頭部を強打されて植物人間にされた者がいます。

実行犯は同じ大学のC派の学生だったそうですが、法廷で始終薄ら笑いを浮かべていたそうです。

彼は50代まで結婚はおろか仕事にもつけず、苦しみ抜いて自殺まで図りました。

このような者は「あの時代」無数に出ました。C派はその狂気の中心にいました。

欄外にC派の山本氏支持声明を紹介しましたが、そのアナクロな絶叫調を読むと、少しも変わっていない彼らの姿が思い出されます。

あのあまりにも有名な飯田哲也氏も、この「『こちら』の空気を醸し出しながら中立を装うのが一番怖い」人物というレンテルを貼られてしまったようです。 

「脱原発派科学者の筆頭だった飯田でさえ自然エネルギーの穏やかな転換をとなえただけで隠れ推進派として攻撃される
最初はみんな熱く盛り上がるが、熱が冷めて自分たちが少数派になるにつれ、運動が純化し極論に寄ってしまう』と、飯田は言う。『連合赤軍現象だ』」(同)
 

連合赤軍とはすごい比喩ですが、今の脱原発運動の行き詰まり感を、そう感じたんだろうな、と妙に納得してしまいました。 

連合赤軍事件(※2)とは、若い方は知らない人も多いでしょうが、70年安保闘争の後退期に起きた12名もの仲間を惨殺するという忌まわしいリンチ殺人事件のことです。 

私たちの世代にとって、忘れたくても忘れられない地獄のような事件でした。この事件を機にして70年安保闘争は完全に崩壊しました。 

私が今の脱原発運動に対して既視感があるのはこのためです。

飯田氏は私より若い世代ですが、当時の大学紛争後の荒廃した空気を知っているのかもしれません。 

彼はそれがいやで北欧に行き、日本の陰湿な空気とは違う開放的なエネルギー・デモクラットの運動に共鳴したのでしょう。 

飯田氏には功罪かありますが、脱原発の軸に再エネを掲げたことは議論のたたき台作りとして大きな業績だったと思っています。 

私は当初から飯田氏の再エネ路線を批判してきましたが、ひとつの具体的提案であることは充分に評価したうえでの「仲間としての批判」のつもりです。 

「仲間としての批判」というのは、目標は一緒だが、やり方が違う。だから議論をする。批判はするが、相手を「同じ方向を見ている仲間」と認めた上でする、それがルールです。 

脱原発派は、放射能に対する「火の粉を払う」議論ばかりで、肝心な「いかにしてなくすか」という具体論が大きく欠落していました。 

私が知る限り、脱原発運動内部の具体論は、彼の主唱したドイツ仕込みの方法論だけだったはずです。 

そして飯田氏は嘉田氏と共に、未来の党を作って脱原発をテーマにして選挙を戦いました。

だが彼らには風は吹かなかった。(略)当選した山本との差は脱原発に純化したかどうかの差に思える。ただし、運動が『純化』し、『先鋭化』すればするほど、一般市民との距離は拡がり、すそ野は狭くなる。純化と同時にセクト化も進んでいる。」(同) 

おそらく飯田氏は、簡単に「原発即時ゼロ」は言えなかったはずです。なぜなら、エネルギーの専門家としてそんなことは不可能だと知っていたはずたからです。 

代替を再エネとした論理を立てた以上、簡単に火力との腐れ縁が解消されないことも、蓄電池技術がネックなことも、送電網が決定的に不足することも、予測できたはずです。 

だから、飯田氏は広域スマートグリッドを提唱したのです。だがそれも建設まで長期の時間とコストがかかります。 

というわけで、再エネがいきなり全部の代替エネルギー源になることはありえません。代替として2割に達することすら難しいでしょう。 

ドイツでさえ、巨額な国費をかけて十数年かけてようやく20%に達し、あと数十年かけてようやく60%になる遠大な目標を立てています。

つまり時間がかかります。この移行のための過渡期的期間がいるのです。山本氏のような脱原発過激派はこれを断じて認めようとしませんでした 

なぜなら、今のドイツが半数の6基残しているように、過渡期においては一定数の原発は社会インフラ維持のために残らざるをえないからです。

仮に全原発が停止した場合、代替は今の日本のように9割が火力に頼るしかありません。 

そうなった場合、電気料金は値上がり、大停電の恐怖に脅えながら二酸化炭素の排出権売買でいっそう国富は減り続け、国民経済は疲弊します。 

だから時間をかけて移行しないと、社会的ストレスが厖大にかかってしまいます。 

一方脱原発過激派は、具体論を必要としません。いやむしろそんな具体論などは日和見主義であって、「原発残存に道を開く隠れ推進派」くらいに考えています。 

実現可能か不可能かなどと考える思考形態自体が既に、「第2自民」だというのです。 

なまじな具体案など示せば、「向こう側」=敵の土俵上で相撲を取らざるをえないことを恐怖しています。

本来は「向こう側」の土俵、言い換えれば現実のフィールドで政策論として争わなければ脱原発など実現するわけないのに、脱原発過激派はエネルギーの専門知識を持った人材もいなければ学習意欲すらないのです。 

それが故に、脱原発過激派にとって飯田哲也氏など具体案を出す輩は、「隠れ原発推進派」で粉砕の対象なのです。 

なぜ一時期の脱原発運動のアイコンだった飯田氏までが、今や「隠れ原発推進派」と呼ばれ「打倒対象」になったのか、これでお分かりにいただけたかと思います。

とうぜんこのような純化した人たちは、同じ脱原発をテーマに掲げていても、他者の意見や、立場が違う運動を認めませんから、そこかしこで摩擦を起こします。 

挙げ句の果てに運動の『セクト化』が進み、互いを罵る悪循環に陥った。まるで革命を目指しながら、内部分裂と暴力で崩壊した連合赤軍のようだ」(同)

あるいは、福島県出身の社会学者関沼博氏の表現を使えば、「あたかも宗教紛争のようだ」(同)ということになります。 

この数日間の書き込みをみると、その「空気」の片鱗がわかります。ろくに私の記事を読まない。一カ所気に食わないと延々とこだわり、相手をやっつけるまでネチネチ執拗に続ける。 

そもそもあのような人達にとって、建設的議論を交える気など初めからなく、揚げ足をとったり詭弁を弄してでも、相手を叩き潰すことが目的なのです。 

もちろんそんな純化運動をしてみたところで、現実に原発がなくなるわけはないのは、あの藤波心さんもよく理解しています。

彼女すら「原発推進派」と誹謗されたことを話しています。

「事故当時は女子中学生で、運動参加者から脱原発アイドルと呼ばれる藤波心も『なぜか原発推進派』と批判されたことがある。『こだわりすぎて自分の活動に酔いしれるだけでは原発はなくならない』と藤波は指摘する」(同)

純粋な藤波さんには気の毒ですが、あなたを誹謗した脱原発過激派は、「原発はなくならない」ということなどとうに折り込み済みなはずです。

原発がなくならない限り運動対象は不滅ですし、なくならない以上永遠に脱原発運動も組織も存在価値があり、党勢拡大の手段になると思っているからです。 

結局、飯田哲也氏や私のように、時間をかけても本気で原発をなくそうと考えるような人間は「向こう側」であり、結局「隠れ原発推進派」であって、つまりは「敵」なのです。 

このような「向こう側」と「こちら側」を線引きして、原発、安保、沖縄問題、TPPすべてが一致できない限り「向こう側」という発想に脱原発運動は陥っています。 

山本氏の明るく真摯な外見に惹かれて脱原発運動に入ったとしても、すべてのテーマで意見が一致するはずがありません。また、する必要もない。 

あくまでも脱原発をいろいろな知恵を絞りながら考えていけばいいので、その中には自民党支持者がいてもいいし、共産党支持者がいてもいいでしょう。 

いや、むしろ自民党政権の中に具体的に脱原発を構想する人が出てくれば、ほんとうに脱原発の流れは進展するでしょう。 

実際、脱原発運動がいちばん盛んだった頃には、自民党支持者も大勢デモに駆けつけたではありませんか。そうなってこそほんとうの「国民運動」なのです。 

それぞれの立場で、それぞれの考えを大事にして、少しずつでも原子力に頼らない社会をめざして行くべきです。 

まず『向こう』と『こちら』と線引きして敵味方を分け、相手ばかりではなく『妥協は悪』とばかりに自分の仲間までを攻撃する。『空気』に左右され、熱狂と忘却を繰り返す」(同)ような不毛な争いは止めにしませんか。

どうしてこんなあたりまえのことを繰り返し説かねばならないのか、私にはそれが口惜しいのです。

※1 革命的共産主義者同盟中核派機関紙「前進」第2590号における山本太郎支持声明
http://www.zenshin.org/f_zenshin/f_back_no13/f2590.htm

※2 連合赤軍事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E5%90%88%E8%B5%A4%E8%BB%8D
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%B2%B3%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B9%E4%BA%8B%E4%BB%B6

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コメント

ラジオパーソナリティで細川氏のウェブ配信タウンミーティングの司会を務めたモーリー・ロバートソン氏は以前「遠からず、反原発とは山本太郎を支持するか否かと同義語になるところまで行き着く。それもすぐに。」とツイートしていたそうですが、まさに彼の予言通りに事が進んでいるようですね。

私は脱原発穏健派なので彼を支持するなど到底考えられませんが、彼らの燃えたぎる思いはどうやったら鎮めてあげることができるのでしょうか…

山本太郎の愚かな言動は、皇居園遊会で人格否定されたことを恨んでいるのだ。・・・いい年して、まるで子供のような反抗。みっともないよ。

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